ふぇいと☆正妻戦争でnight!   作:河川敷マン

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※召喚するとは言ってない


ハズバンド召喚の儀

 ──その少年を夫にした者は、あらゆる幸福を享受できる。

 正妻戦争。

 最上級の優良物件、幸せを手にするための結婚活動。

 お見合いへの参加条件は二つ。

 女であることと、少年に少なからず好意を持っている事。

 少年は一人のみ。

 その者を欲するなら、汝。

 自らの愛を以って、夫婦であることを証明せよ。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 最近、肌寒い乾いた風が身に染みるようになってきた。ここでもし、身体を寄せ合える者でも居れば別なのかもしれないが、生憎そのような存在はいない。遠坂凛は、今日も一人、秋空の下でブランコに揺られていた。

「……はぁ。何やってんだろ、わたし」

 年頃の少女が休日に一人で公園。その事実だけが重くのし掛かる。凛は今の自分を客観的に見て、冗談半分ではあるものの死にたくなった。

 生きる希望が見えない。将来の展望が開けない。優秀な魔術師であっても人間の少女である以上、凛も昨今の若者と同じような悩みを抱えていた。

「……えみやくーん……えみやくーん……えみやくーん……」

 凛の乙女心を占有するのは、あのナンチャッテ魔術師。彼のこと考えていると一日が終わってしまうほどに、凛は重度の恋煩いに侵されている。自然治癒など期待するだけ無駄である。これを解消するには相応の努力と行動力が必要になってくるが、こればかりは凛にも躊躇があった。

 何せ、衛宮士郎を狙っていると思しき人間は自分以外に六人はいる。今はまだ水面下での睨み合いが続いており、抜け駆けするような輩がいないかを見張るのみに留まっているが、この均衡も何れは崩壊する運命にある。当然、勝者は一人だけなので、皆も慎重になって当然。足の引っ張り合いでもして、他の女に出し抜かれでもしたら目も当てられないのだ。

 そんなこんなで月日が経ってしまい、遠坂凛は来年の四月から晴れて?目出度く?女子大生にランクアップだ。流石に目尻の皺が気になる歳ではないが、互いに探り合ったままで三十路を迎えるのはノーサンキュー。どうせなら早いうちに結ばれたいのが、凛の本音であった。今日もまた一日を公園で消化した凛は、何回目かも分からない、重い足取りで帰路についた。

「……ただいまー」

 現在と言わず、もう何年も遠坂邸の住人は凛一人だけである。ほんの僅かであったが、赤い皮肉屋が居候していたこともあったものの、恋に焦がれる乙女の感情ではノーカウントである。本当にただの居候だ。それも、ペットとかに近似した。

 返事のない生活はもう慣れている。物寂しさを感じてしまうのも、季節的な、あるいは刹那的な心の揺らぎだ。決して、一人が不安というわけではない筈だ。こんな風に考えてしまうのも、殆どあいつが悪くて、あいつを好きになった自分も少しだけ同罪なのかもしれない。あくまで、ほんの少しだが。

「わたしは、負けるわけにはいかない。桜には悪いけど、妹だからって容赦は絶対にしないから。……やれる、やれるわよ遠坂凛! 他の奴もギッタギタよ!」

 おー!と、独り高らかに宣言する凛。その姿を誰かに見られているなど、この時の彼女は微塵も考えていなかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「……以上、エントリーナンバー1番遠坂凛さんの紹介映像でした」

「綺礼ィィィ! 絶対殺す! 今から殺してやる!」

 冬木市民体育館は、現在、約一名に限ってだが、熱狂の渦中にあった。観客席はその様子に盛り上がってきたようで、しかし目の前で繰り広げられるガンドの洗礼に無頓着というおかしな有様だ。

 先程まで壇上で取り仕切っていた綺礼は、凛が放つ凶弾の悉くを無言でかわし続けている。だが、愉悦に浸る微笑は隠す気もないようで、それが凛を苛立たせていた。

「凛、もう止せ! 戦う前に魔力を使う馬鹿があるか!」

「黙ってなさいアーチャー! あいつは殺す!」

 従者が主人に諫言するが、凛は完全に冷静さを失っている。

 これからどんな激戦があるかも分からない状況で、魔力を無駄に浪費するなど愚の骨頂だ。

 まあ、あれだけの羞恥プレイを衆目の前で晒されたことを考慮し、従者も然程強く出ることはしない。凛の激情も十分に理解できる。抑圧して不興を買うくらいなら、好きなように発散させてやった方がマシだ。戦いなら、自分がフォローしてやれば済むのだから。

「……全く、手に負えんな」

「ですよね。姉さんったら、先輩の忠告すら聞けないなんて。あれじゃあ、先輩に嫁ぐ資格は無いも同然。早々にリタイアして欲しいです」

 従者は突然の声に驚いたが、それを気取られないように、苦笑しながら応えた。相手は凛の妹、桜である。前の現界では結局会話することは無かったが、この世界の桜には磨耗した記憶にも残る彼女の印象とは違った感じを覚えた。

「──ははは、これは驚いた。桜はなかなかに辛辣な意見を言う」

「そんなぁ。……酷いですっ。ねえ、先輩もそう思いませんか?」

 桜はそう言って傍らに立つ男に抱きついた。

 鍛え抜かれた肉体に直接ジャケットを羽織り、皮のズボンだとか首輪だとかを身に付けた赤い男。凛の従者から見て、お前マジ誰や!と叫びたくなるセンスを持つ無銘の存在は、桜の頭を甲斐甲斐しく撫でることで、「そうだな」という意思表示をした。

(この俺は正気なのか? 同一人物を七騎も召喚したせいか、イロモノが幾らか混じっているようだが……こいつは異彩を放ち過ぎだ)

 バキバキに割れた腹筋を惜しげもなく露出し、その上に赤いジャケットを着る変態。これで眼鏡でも掛けてみようものなら、自分の精神衛生上よろしくない。即刻斬り捨てる必要があるだろう。

 だが、こうしてみると、エミヤシロウにもまだ多くの可能性が残されていることが分かる。第五次聖杯戦争に参加し、一応の答えを得た身ではあるが、こればかりは素直に嬉しかった。

「アーチャー、ぼーっとしてないであんたも手伝いなさい! 宝具使ってもいいわ。さっさとぶった斬るのよ!」

「無茶言うな、凛。その男は曲がりなりにもこの戦争の監督者なのだろう? 別に斬っても構わんが、無法者に家計は任せられんぞ」

「うぐっ──!」

 凛の脳裏に、衛宮士郎との結婚生活が思い浮かべられた。甘く、幸せな日々。二人きりで出掛けたり、中華料理をご馳走してあげたり、あんなことやこんなこと、おまけに────まで考え、ここまで0,1秒。凛の頭は氷水に突っ込んだみたく急に冷えていった。

「ふむ、分かって貰えて何よりだ」

 アーチャーの満足気な表情に不覚にも凛はドキッとしてしまい、内心で自分の不埒を呪った。良くも悪くも、凛は根っからの純情であった。

 ちなみに、凛以外の紹介動画は無かった。何でも、師として出来る限りの餞別だったらしいが、余計なお世話でしかなかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 正妻戦争に招かれし七人のハズバンドをここに記す。

 

 

 

 

・エミヤシロウ(UBW√後) マスター:遠坂凛

真名:エミヤ

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きなもの:家事全般(本人は否定)/苦手なもの:正義の味方

 

 

 

・アーチャー(EXTRA CCC) マスター:間桐桜

真名:無銘

誕生日:消失/血液型:不明

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きな物:家事全般(本人は否定)/嫌いな物:未熟な自分

備考:素肌の上から羽織った赤い皮のジャケットに、黒い皮のズボン、太い首輪とドッグタグ。

 

 

・アーサー・ペンドラゴン(オリジナル) マスター:アルトリア

真名:アルトリウス

身長:167cm/体重:58kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤金

特技:超絶3分クッキング

好きなもの:清潔な円卓/苦手なもの:腐りやすい食材、ギネヴィア

備考:聖杯の力で転生したエミヤシロウ。

 

 

・エミヤシロウ(Fate√後) マスター:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

真名:エミヤ

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きなもの:家事全般(本人は否定)/苦手なもの:正義の味方

 

 

 

・エミヤシロウ(hollow ataraxia) マスター:ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト

真名:エミヤ

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きなもの:家事全般(本人は否定)/苦手なもの:正義の味方

 

 

 

・エミヤシロウ(カーニバル・ファンタズム) マスター:カレン・オルテンシア

真名:エミヤ

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きなもの:家事全般(本人は否定)/苦手なもの:正義の味方

 

 

 

・エミヤシロウ(フェイト/タイガーころしあむ) マスター:藤村大河

真名:エミヤ

身長:187cm/体重:78kg

属性:中立・中庸

イメージカラー:赤

特技:ガラクタいじり、家事全般

好きなもの:家事全般(本人は否定)/苦手なもの:正義の味方

 

 

 

 

 

 以上、諸君らの一層の奮闘を切に願う。    

 

 

 

 

 

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