ワイの本当の職業が【性騎士】とか言えない   作:恋狸

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明日(広義的概念)


童貞危機一髪

『どうもどうも、こんにちは』

「うっす」

 

 目を開けると真っ白な空間にいた。

 この時点で俺はあぁ……性欲が完全に無くなった時に出てくるヤツの空間だなと察することができた。要は夢の中ってこと。

 ちなみに俺の心の中は筒抜けらしいので、逆にそれを利用して毒電波を流してやろうとこの間決めたんだったわ。

 

 ちんちん!! ちんちん!! ちんちん!!

 

『ふふふ、息災なようで何よりです』

「ところで急にどうしたん? そんな雑談感覚で夢の中に現れることできたっけ?」

『アナタが【性騎士】としての力を十全に扱えるようになるほど、私はかつての力を取り戻していくのですよ。ああいえ、だからといって乗っ取るだとかしませんよ? 私、あまり()()に興味ありませんからねぇ』

「乗っ取らないよ、ってことは乗っ取ることはできるって自白してるようなもんなんだよなァ……」

 

 急に怖いこと言わないでくれよ。

 俺はまだコイツを完全には信用してないんだからさ。……何度も助けられはしたけど、たった一度裏切られるだけで覆水は盆に返らない。

 

 だからこそ俺は性欲を完全に消費しないように調整したりしている。

 

『まあ、私もアナタが自分の力で解決できるのならそれに越したことはありませんからねぇ。成長の機会を奪うのも勿体ないですから』

「そりゃどーも。まあ、信用はしてないけど感謝はしてるよ。それは本音だ」

『おやおや、それはまた随分と嬉しいことを』

 

 声音は弾んでいるが、相変わらず全身発光体のせいで表情を伺うことはできない。

 コイツの顔ってどんなんなってんだろ。そもそも人間かどうかすらも分かんねぇからな。マジで正体不明すぎるんだよなぁ……。

 

『ところで……あまり時間が無いので一つだけお聞きしたいことがあります』

「ん? なんだ?」

 

 改まった口調でヤツは俺に問いかけた。

 

『アナタは……やたらグイグイ来る女性は好みですか?』

「そうだな……嫌いではないけど気が引けるな。そもそも俺ってば童貞だからさ、どっちかという奥ゆかしい女性のほうがタイプというか……なんかいきなり距離詰めてきたら慣れてる感じがしてなんか嫌じゃん? ……初めてを迎えるって想定ならグイグイ来る女性よりは、照れながら一緒に初体験を歩んでくれるような感じの女性が良いかな……」

 

 息継ぎ無しに一息で言い切った俺は、ふぅと息を吐く。性癖のことなら幾らでも語り尽くせる自信があるぜ。

 謎の達成感を抱えながら、ヤツの反応を待つ。

 

 にしてもどうしていきなりこんなことを聞いてきたんだか。

 なんて疑問を心の中で発していると、不意にヤツはいつもの口調でなんてこと無いように言った。

 

 

 

 

『──アナタ今、寝てる間に童貞奪われそうですけど大丈夫ですか?』

 

 

 

 

☆☆☆

 

「うおおおいっっ!! 大丈夫なわけねぇよなァ!!」

「きゃっ!」

 

 ()()()を跳ね飛ばすように飛び起きる。

 すると、ドンッ! とナニカが床に落ちたような鈍い音と、聞き覚えのある女性の悲鳴が聞こえた。

 

「え、なに……!? ──カルミア?」

「あ、あら〜、どうも〜」

 

 床にべちゃっと落ちていたのは紫髪の妖艶な美女──カルミアだった。なぜか着ている服が少しだけ乱れていて、そこはかとないエロス……いや、全然そこはかとなくないわ。

 ……えげつないドエロいオーラを感じて、寝起き早々俺のムスコが戦闘態勢を取り出しそうになる。鎮まれ!!!

 

 ……にしても、何か変な夢を見ていたような気がするけど……気の所為か? というか、なんで俺の寝てるところにカルミアが来てんだ?

 

 と、首を傾げていると、彼女は困ったように頬に手を当てながら言った。

 

「護衛の交代を伝えに来たのですけれど〜」

「あ、あぁ、そうか。ありがとう」

 

 どうやら夜番の交代を伝えに来てくれたみたいだ。ちょうど起こすタイミングで跳ね飛ばしちまったのか、悪いことしたな。

 

「あー、ごめん。怪我はないか?」

「問題ありません〜。うふふ、起こそうとした途端に飛び起きるだなんて、随分と警戒心がお高いんですねぇ」

「いやぁ、普段だったら寝付き良いはずなんだけどな。知らん人が近くにいたらあんまり寝れないのかもしれねぇ」

「”騎士”として立派な警戒心かと思いますよぉ」

「そ、そっか」

 

 やけに褒めてくれるな。照れるじゃん。

 どことなく焦っているような気がするのは……まあ、気の所為だろう。俺の観察眼も寝起きじゃあんまり働かねぇし。

 俺はもぞもぞと寝袋から這い出ると、う~~んと大きく腰を伸ばして欠伸をした。

 外はまだ暗い。それでも4時間くらいは寝れただろうか。ここから朝までルナの寝ている馬車の近くを護衛するのが俺の役目だ。

 

「そんじゃ後は任せて寝てくれ」

「はい。お願いいたします〜」

 

 そう言ってカルミアは少し離れた寝床に歩いて行った。

 歩く度にぶるんっ、ぶるんっ、とムチムチの太ももが揺れていて、まさしく男の理想!! みたいな肉体をしている。

 ……ふっ、《神職教会》のシスターとは思えないくらい神聖さが欠けてやがるな。俺が童貞じゃなかったら確実に手を出そうとしていたところだったぜ。……まぁ、とは言えなぜかそこまで惹かれないんだけども。

 

「ふわぁ……護衛頑張りますか」

 

 眠気を堪えながら持ち場に付き、俺は周りに警戒網を敷いて集中し始めた。

 

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