英国アホツヨお嬢様(ヤケクソ)   作:つええせしりあがよ…

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 多分一生書くことはないだろうと思ってた。でも強すぎるセシリアが書きたかった。


#0 プロローグ

 知ってるか、パンダってのは日に10時間以上笹食ってるらしいぜ。

 

「初耳ですわね。で、その雑学はどうしても今語らないといけないものでして?」

 

 なんでかっていうと、本来なら肉食寄りの雑食だからだ……笹じゃあ大量に食わねえと足りねえって話だな。つまり何が言いてえのかっつうと……

 

「猫を被っていると限界が来る、と?」

 

 冴えてるね。

 

「ぶっ殺しますわ」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 

 概ね、人類は2分される。

 運動が好きな奴、嫌いな奴。肉が好きな奴、野菜が好きな奴。ドクターペッパーが好きな奴、薬臭いとか抜かす奴。

 こじつければいくらでも分けられるだろうが、昔からわかりやすい分類として男女があった筈だ。ついでに数年前にその分類が強固になって、かつパワーバランスが女の方に傾いた。

 

 どんな時でも、反対側のド真ん中に突っ込まれるのは苦しいもんだ。

 猿を海に投げ込むようなもんで、魚を陸に放置するようなもんだ。

 だからまあ、つまり俺はあいつに心底同情してるってわけだな。

 

 

「はい! 私、織斑くんを推薦します!」

「ええ!? 俺!?」

 

 

 世界中の男の中で、唯一ほんのりと女側に足を踏み込んできた奴だ。織斑一夏という男だ。LGBTとか、そういうくだらない話じゃないぜ。

 世界で1人の特別な男はつまり、このIS学園の1-Aの教室でもたった1人の特別な男ってことだ。なんとなくで担いでやろうとする女生徒もいるってわけだ。

 

 おい、お前はいいのかい? 

 

 ──クラス代表とかどうでもいいですわ。ああ、でもデータ取りにはいい機会ですわね。

 

 立場ってのは大変なもんだな。

 

 ──どの口がおっしゃりますの? 

 

 この俺に口もクソもないだろ、なんていう屁理屈は飲み込んでおくことにする。飲み込む喉もないにはないが。

 さて、心の底から無関心という名の芯が通った我が主人であったが、仕事は仕事と割り切るらしい。

 思うが早いか、姦しい喧騒の中で気怠げに挙手をする。

 

 

「ほう、オルコットか。自薦か? 他薦か?」

「自薦ですわ、織斑先生」

 

 

 このクラスの中で我が主人が唯一関心を持つ相手がこの女教師だ。

 スーツを着こなしたその女は、織斑一夏の姉であり、名を織斑千冬と言う。世界最強の名を持つ女だ。

 どうやら、名前だけではないらしく、その身体の完成度やら目線の鋭さ以上に強者の雰囲気とでも言うべきものを纏ってる。我が主人風に言うのなら()()()()というやつか。

 

 

「ああ、それでも困ってしまいましたわ。多数決では勝ち目がありませんもの」

「それならば問題ない、この学園でクラス代表を努めるからにはある程度の実力を示す必要があるだろう。そしてそれに乗っ取れば、多数決よりも相応しい方法がある」

 

 

 悪い笑顔の女が2人、事態を理解しきれていない当人の頭の上で示し合わせたようなやり取りを行なっている。

 

 

「待ってくれ! 俺は立候補なんてしないぞ! 俺よりも相応しい人がいるはずだ!」

「いえいえ、ご謙遜を……ねぇ?」

「織斑、せっかくの推薦を蹴ることもあるまい。それに、だ。このクラスの大半はお前こそが相応しいと思っているらしい」

 

 

 何かマズいことになっているのは理解できたらしいが、あまりにも遅い。具体的には3週間程度は早めに気づいておく必要があっただろう。

 織斑千冬が悪い笑顔のまま続ける。

 

 

「では、他に立候補がなければエキシビションマッチで決定としよう。今週金曜の3限目にアリーナを抑える。その試合を見て代表を決する、というのはどうだ?」

「ええ!? そんないきなり!?」

 

 

 そうして一夏の方の驚愕など聴こえないとばかりに、我が主人……つまり、セシリア・オルコットが笑顔で応える。

 

 

「意義なし! ですわ。そのように致しましょう!」

 

 

 

 

 申し遅れたが、俺はどういうことかこのお嬢様に憑依してしまったチンケな男だ。

 そしてこれは、正しい歴史からずいぶん逸れたほうに向かってしまったお嬢様と、その周りの人間が、学園生活の中で大いなるものに立ち向かい成長していく物語になる筈だ。

 

 ──ところで、さっきから誰に話してますの? 

 

 独り言だよ、放っておいてくれ。

 筒抜けなんだ、嫌になるよな。

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