クトゥルフ神話ってサイコホラーの小説が原型だから神とか普通にクソみたいな奴らしかおらんし、見たら発狂するって神としてどうなん?
まぁ、それをぶん殴ってぶっ殺す探索者も十分おかしいけど。
『準決勝だ!!第一試合は!!氷と炎のダブルコンボ!!相反する個性で無双するのか!?轟焦凍!!!
既に轟はフィールドの上に立っている。
遅れて登場した太陽はフィールドの階段を登る。
「待たせたな!!…てかなんだよびっくり箱って!!」
『遅れた奴に拒否権なんてないぞ!!』
「くっ、なんも言えねぇ」
両者がフィールド上に立ち今か今かと始まるのを待つ。
数秒後、プレゼントマイクの合図が聞こえる。
『レディ!!!ファイッ!!!』
先制攻撃は轟が決める。
氷が四方八方から太陽を取り囲む様に突撃する。
「危ないなぁ、《門の創造》」
即座に地面に門を作りその中に落ちる。
そして次の瞬間空中に出現する。
「それなら!!」
轟は右手を構えて炎を出す。
その炎は渦を巻きながら太陽を焼け焦がそうとする。
なんの躊躇いもなく炎を使える様になったのは心操戦での心の変化の現れだろう。
「《一陣の強風》」
太陽の周りを強風が吹き炎を消し飛ばす。
そして轟の足元を掬い10m程上空へ吹き飛ばす。
「落ちろ」
「なぁっ!?くそっ!!」
轟は咄嗟に足元から氷を出して地面まで一瞬で凍らせて足場を作る。
空中だと部が悪いと判断したのか氷の足場を使って地面に降りる。
太陽もそのまま地面に降り立つ。
「ほらほら、早くきな」
「舐めんなぁ!」
轟が再度氷を突撃させる。
「それじゃあ、《
そう言い太陽は手を氷に向けて差し出す。
すると氷が1人でに太陽を避けて背後に突撃する。
驚きながらも攻撃の手をやめない轟。
しかし、どれだけ氷を突撃させても全て自分の意思とは真逆に太陽を避けている。
「本当にお前、チートだな」
「氷と炎が使える奴に言われたくないんだが?」
「さっさとやられろよ」
轟は氷を出す手をやめて今度は炎を太陽に向けて放出する。
その炎も太陽によってそらされる。しかし、それは轟の想定内。
本質の攻撃は別のもの。
「膨冷熱波」
熱膨張を利用した爆風が太陽に向けてぶつけられる。
太陽の周りの氷を砕きながらぶつかる。
「やばっ!?《
ワタワタと初めて慌てるそぶりを見せる太陽。
それを無視する様に暴風が太陽に炸裂する。
体を斬りつけところどころを焼く。
その場に立っているのもやっとの様で風に煽られる。
暴風が止む頃には太陽の肉体はボロボロになっている。
「いやぁ、強いな」
「まだ倒れねぇのか」
「いいもの見せてもらった。代わりに俺もいいもの見せてあげる」
太陽はその場で呪文を唱える。
その言葉はひとフレーズ毎に人の根源を恐怖させる様なものに聞こえる。
ゾクッと背筋が凍り太陽に釘付けになる。
「詠唱完了。さて《肉体変質 アフーム=ザー》」
太陽の肉体が徐々に変化していく。それは体が異形になったとかそういうものではない。唯一、髪の毛が黒から白に変化した程度。
しかし、それを見た人は別の存在に置き換わった様な恐怖が体を支配する。
太陽は手を胸の前に差し出し掌を上に向ける。
「出ろ。俺の炎」
掌の上に青白い炎が点る。その色は燐光の様な病的な色。見ているだけで何か体に不調が起きてしまいそうなほど。
しかし、1番おかしいのはその青白い炎から冷気が出ていること。
本来、炎はどれだけ温度が低くても冷気が出ることは一切ない。しかし、見ていると周りの水蒸気が凍っている様に見える。
「なんだよ。それ」
「見ててよ」
太陽は左手を振り払う。すると青白い炎がそれに合わせて扇状に放射される。
轟は恐怖のためか咄嗟に氷を出して防御する。
太陽の青白い炎は氷にぶつかると冷気を一気に放出して轟の氷を覆い隠す様に氷が溢れ出す。
溶かすこともなければ燃えることもないその異常な炎に観戦者も当の轟も驚きに目を見開いている。
「あぁ、高揚する。最高にハイッてやつだ」
太陽の周りにボボっと青白い炎が出現する。
その炎は冷気を放出し太陽の周りを凍らせていく。観戦席近くの壁まで凍り始める。
「だめだめ。真面目にやんないと」
青白い炎を消し去り轟を見る。
轟の闘志はまだ消えておらず炎を出して太陽の青白い炎が作り出す氷の世界を溶かしている。
「さて、もう一個やるか。………《肉体変質 クトゥグア》」
また太陽の肉体が変化する。太陽の体から真っ赤な炎が出現し太陽を取り囲む。
そして太陽を完全に覆い隠し数秒が経つと一気に霧散する。
その中からは髪の毛が真っ赤に変化した太陽の姿がある。
先ほどと同じ様に見ている人は自身と別の次元の存在が見ている様な恐怖に支配される。
「火焔」
太陽が右手の人差し指を伸ばして頭と同じ高さに持っていく。
そして一言呟く。
すると指の先から半径10cm程の大きさの火球が現れる。
その火球を見ると太陽を凝縮した様な感覚に陥る。
会場の気温も10℃ほど上がっている様に感じる。
「いけ」
腕を振り下ろすと火球はフィールドの中心に落ちる。
ボウッ!!!と一気に火球が膨張する。
轟は氷を出して自身を守る。しかし、その氷は炎によって溶かされる。
フィールドの半分ほどを埋め尽くす火球は一気に中に入っている炎を放出する。
辺り一面が炎によって溶け去り、視界を埋め尽くすほどの光量がでる。
咄嗟に観戦者は目を覆う。瞼を焼く様な光を受け、数分の時間が経つ。
目を開けるとそこには溶けて何も残らないフィールドの中心と倒れて気絶している轟の姿が映し出される。
一瞬の逡巡を経てミッドナイトが審判を下す。
『轟焦凍!戦闘不能!!よって勝者!!夢見太陽!!!』
太陽はフィールドを後にするついでに轟を連れていく。
俵に様に担ぎ上げて持っていく。
そして、未だに緑谷、心操、麗日のいる保健室に着く。
閉まっていた扉は足で開く。
「ちゃんと開けなさい」
すぐ隣で待機していたリカバリーガールに頭を小突かれる。
「さーせん。ベッドベッド」
麗日の隣にある空いているベッドに轟を放り投げて《治癒》をかける。
数分後、効果が現れ始め傷はみるみるうちに消え去る。
そして轟は意識を取り戻す。
「……負けたのか」
「そうそう」
自分がここに来るまでの記憶がないことで負けたことを察する。
すぐ隣に座っている太陽はそれを肯定する。
「クソッ、あいつを完膚なきまでに潰すために頑張ったんだが……炎も使ってさえ負けるとは」
「いいんじゃね?てか、俺の炎でどうせメンタルボロボロだろうし」
太陽はフィールドを後にするときに太陽を睨む様に見ていたエンデヴァーの顔を見ていた。
自分より火力の高い炎を見たことと轟が負けたことでメンタルがボロボロになっているはずだと考える。
「というか夢見。最後のあの青白い炎と火球はなんなんだ?」
「聞いちゃう?いいよ、教えてあげる。青白い炎はアフーム=ザーっていう北極に封印されているバケモンの能力。火球はクトゥグアっていうバケモンの能力の一部」
「バケモン?」
「俺の個性の一つでそういう化け物の能力を自分に取り込める感じなんだよ」
「へぇ…、てか、よくよく考えればお前の個性知らないな」
轟が今更の発言をする。
これ以前にも色々聞くことができたのだろうが誰もがそれに触れていなかった。
戦闘訓練では個性のことの記憶を曇らされ、《門の創造》などもなんとなく受け入れていた。
その轟の発言に食いつく人物がいる。緑谷だ。個性を考察することや調べることが趣味の彼は太陽の個性に興味津々の様子。麗日や心操も聞き耳を立てているのかじっとしている。
「あ〜、言ってなかったっけ?」
「そうだよ!!夢見くんの個性ってワープゲートを作るのが主体だと思ったら他にもどこからともなく食べ物や玩具を召喚しているこれはワープゲートでも補完できる。でも、USJとかでみた
「暇だし今から説明するか?」
「本当に!?」
ブツブツと独り言を始める緑谷に餌を見せつける。すると簡単に食い付き体を太陽の方に突き出す。
他の3人も興味あるのか太陽の方を見る。
「リカバリーガール、ホワイトボード借りるね」
「あいよ」
何故か保健室にあるホワイトボードを取り出し3人に見えやすところに置く。
ホワイトボードについているペンを取り出して文字を書いていく。
「まず、俺の個性は〝クトゥルフ神話〟ってやつ。人使、神話って何かわかるか?」
太陽はホワイトボードの左上に大きく『クトゥルフ神話』と書く。
そして、心操を指名して質問する。
「あれだろ、俺たちが認識する自然物や自然現象を世界が始まった時代における神など超自然的・形而上的な存在や文化英雄などと結びつけた物語だろ?」
「よく知ってるね。その神話。まぁ、この世に存在しない架空のものなんだけどね」
「つまり、神話にあるもんが使えるってことなん?」
麗日の質問に肯定する様に説明する。
「そうそう、神話ってのは神とか武器とか色々出てくるでしょ?それを召喚できたりそれに登場する事象を出したりできる」
ホワイトボードを4等分するように左から『神格』『神話生物』『武器』『呪文』と書いていく。
それを見て轟はふと気になったことを質問する。
「神格や武器はわかるが、神話生物と呪文ってなんだ?」
「いい質問だね!!轟くんには1億太陽ポイントをあげよう。…質問の答えだが神話生物は精霊みたいなものかな?神とは違う存在って感じ。呪文はさっきみんなに使った《治癒》とか俺がよく使う《門の創造》とかいう人間でも覚えれば使える魔法みたいなもの」
「つまり、俺との戦いのクトゥグア?やらはその神格か神話生物に入るのか」
「その通り!!あれは一応神格だね」
「つまり、夢見くんのよく使うやつは呪文か。でも呪文が魔法と同じものならゲームのように魔力のようなものを使うはず…ワープとか結構使いそうなんだけど魔力のようなものが切れたそぶりは見たことがない。あと、騎馬戦の時の狼?みたいなのは同じく神格か神話生物か。召喚以外にもその存在になれるなんて色々と強い………」
「はいは〜い!!」
緑谷の病気のようなブツブツという独り言を無視して麗日が手を挙げる。
「なにかな?」
「その神話生物?ってやつ見たいかも」
「あぁ、そんなこと?無理無理やめた方がいいよ」
「えぇ!?精霊みたいって言ったやん!?」
「みたいってだけで、普通に見たら発狂…気持ち悪くなるよ」
「えぇ!?じゃあ神格は!?」
「いや、神話生物で気持ち悪くなるんだから神格はもっとやばいよ。廃人になるかも………あぁ、1体くらいならいいか」
「ええの!?やばそうな雰囲気しかしないんやけど…」
「大丈夫大丈夫、クソウザ言動でぶん殴りたくなるほどだけど気持ち悪くはならないよ」
太陽は呪文を唱える。
適当そうな声色で唱えており気が緩んでしまう。
「《神格招来 ニャルラトホテプ》」
魔法陣が太陽のすぐ隣に出現しその中からスラッとした男性が現れる。
身長が180cmあろうかというほどの高身長。肌は浅黒く髪の毛は肩まである黒髪。青い瞳を持ちスーツを着ている。顔は超絶イケメンである*1。
「なんのようかな?」
「暇だから呼んだだけだが?」
「は!?イケメンすぎない!?」
その姿を見て麗日は声をあげる。
轟と同じほどのイケメン具合*2。
「おや、可愛い可愛い人間ではありませんか。お友達ですか?」
「ヨグパン喰らう?」
「殺す気ですか!?」
「テメェはゴキブリみたいに何度でも蘇るだろ?」
「そりゃあ、神ですので」
ブツブツ呟いていた緑谷すらも無言になってニャルから目を離せなくなっている。
麗日はその一挙手一投足を見逃さないようにしている。
「んで、こいつがニャルラトホテプ。神格だな。こいつの本当の姿はキモいヒトデみたいなのだが人間形態だとバケモンみたいな顔面をしている。あと、性格が下水を泥水で煮込んでドブ川に捨てたのをさらに核処理水で煮込んだようなようなものだから拘るのはやめた方がいいぞ」
「かっちゃん以上の性格」
「失礼ですね!!私はただ、人間がもがき苦しんで這い蹲って努力する様子を見たいだけなんですが!!*3」
「それなら、ちょっと」
正気に戻った麗日が改めて考え直す。
顔はいいが爆豪以上の性格の悪さなら関わりたくはない。
「これが神?」
「そうですよ?まぁ、人間に祝福するのは気まぐれですけどね」
「終わったら還れ」
「帰れの漢字違わくない!?」
悲鳴を上げるニャルカスに「《退散》」と呟き消し去る。
そしてそのまま説明を続ける。
「てか、神格にも種類があるんだった。忘れてた」
「忘れちゃいけなくない!?」
「緑谷、俺はクトゥルフ神話の神は全て等しくクソだって思ってるんだ」
「不敬すぎる!?」
「今召喚したニャルは『外なる神』っていう地球外からきた神ども。他にもクトゥグアとかよく俺が出す触手の主のクトゥルフとかは『旧支配者』っていう奴ら。あと、そもそも地球に存在して外なる神とか旧支配者を封印したりした『旧神』。この3種が主な神格、神話生物の分類かなぁ」
太陽はホワイトボードに左端に縦に『外なる神』『旧支配者』『旧神』と書く。
そして『神格』と『外なる神』がぶつかるところに『ニャルラトホテプ』と書く。
「旧神も呼んどくか……《神格招来 ノーデンス》《神格招来 バースト》《神格招来 クタニド ミニver》」
太陽の近くに3つの魔法陣が現れそこから筋骨隆々の髭の伸びた老人と猫の獣人のような姿の女性と小さい蛸のような生物が現れる。
「おいおいおいおい、なんで呼んだんじゃぁ!?さっきので終わりでないのか?」
「あら、お久しぶりですね」
「ジジイ、テメェさっき逃げたのまだ覚えてるからな?」
「待つのじゃ!!儂はただあの子のことを思ってじゃな?」
「何したんですか?本当に」
「バーストもなんか言ってくれ!!」
「貴方のせいでしょう?さっさと折檻を受けなさい。というよりこの子達は?」
「もしや太陽のお友達か?」
ノーデンスが太陽にぶん殴られているのを背景にバーストとクタニドは緑谷たちに注目する。
緑谷たちはバーストの社会にいる異形系とは違う神々しさを感じながらただ見つけている。
「こいつらが旧神っていう奴ら。普通にいい奴」
「そうじゃぞ。儂らはいい神だからな」
「私は猫の神様だけど…まぁ、人間にも信仰されてたわ」
「という感じで、さっきのクソニャルとは全くの別物やで!!まぁ、人間を好き嫌いで殺すこともあるけどな!!じゃあ帰って。《退散》」
「ただ呼ばれただけか!?」
「当たり前だろ。帰れ」
光に包まれて3柱は消えていく。
太陽は呆けている緑谷たちを無視しながらホワイトボードの神格と旧神の交わるところに3柱の名前を書く。
「ここまでで質問はあるか?」
「呪文が覚えられるとか言ってたがどういうことなんだ?」
「人使!!いい質問だね。呪文ってのは魔導書読んだり覚えている人から教わったりして覚えることができるんだよ」
「それって俺たちも使えるってことか?」
「使えるよ。教えないし読ませないけど」
ワクワクしたような表情で質問する心操を太陽は真顔で一蹴する。
不満を覚えた心操は太陽に食ってかかる。
「どうして!?」
「いや、だって。魔導書読んだら普通に正気削られるし教えてもらうのでも同様だし。普通にそんなの教えたりするわけなくない?」
太陽なりに心操たちを気遣った発言だったようだ。
太陽はふと時計を見て叫ぶ。
「もう少しで決勝じゃん!!じゃあね!!」
そういう時風のように走り去っていく。
その後ろ姿を3人はただ見ていることしかできなかった。
アフーム=ザーの炎って実質的に轟の赫灼熱拳・燐みたいなものだよね。
クトゥグアって招来するだけで周りを焼け焦がすはずだから普通に火力高いのなんなん。
ニャルはクソ。TRPGやってるやつは誰もが思うことだね。ぶっ殺せるならぶっ殺したいけど殺したところで何百もの化身いるから関係ないんよ。本当にキモすぎる。