冒涜的なヒーロー   作:月ノ蛇

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初投稿と言ったら初投稿なので初投稿です。

遂に小説のストックが消えたので週2投稿の傍らにチマチマストック作りをしています。
しかも、他の小説の執筆もしてるからこれが大変なんですよ。

なんか短いですが、幕間なので容赦してください。


幕間:幕間とか外伝で結構重要な情報や本編の新ヒロインが出るのってどうなんだろう

勉強会の次の日、太陽は1人プラプラと街を探索していた。

訪れたのは東京の中心街。《門の創造》を使えば簡単に移動できるため本来は移動時間もお金もかからないという便利仕様。旅の気持ちや友達と行きたい時以外は殆どこの方法で全国各地を移動している。

路地裏も入り組んでおり街の表と裏が簡単に見て取れる。

 

「なんか面白いのないかな〜」

 

両手を頭の上で組んで辺りを見渡しながら裏路地を移動する。

ゴミや酔い潰れた中年男性、黒猫などがいるがこれと言って面白そうには感じない。

稀に段ボールで作った家のようなものに寝ている浮浪者を発見するがどうでもいいことだろう。何か慈悲を与えるほどの存在でもないと感じる。更には、小綺麗な太陽の姿を見ると襲い掛かろうとする人もいるためそいつらは綺麗にミ=ゴやショゴスの餌になった。浮浪者なんて居なくなってもバレない存在なのでこういうのには向いているのだろう。社会のゴミの駆除に貢献したと考えればいいのではないか。POWを吸い取るのも忘れない。

 

さらに奥へと進んでいくと地面を赤黒い液体が流れてくるのが見える。その液体はまだ固まっておらず触ってみるとぬちゃりと音を立てる。これが流れてからあまり時間が経っていないのだろう。それならこの先にこの液体の持ち主がいるのだろう。久々に面白そうな事件を発見した太陽は嬉々としてその跡を遡る。

 

奥には全身から血を流している青年とそれに覆い被さって何かをしている少女の姿が見える。

太陽がその姿を発見する際に足元に落ちているゴミを踏んでしまいガサリと大きな音を鳴らす。少女はその音に機敏に反応し行動をやめて振り返る。

その少女はセーラー服を着用しており背丈などから大体太陽と同い年のように感じる。しかし、その少女の顔は狂気の笑顔に満ちており口の端からは血が垂れている。

 

「誰ですかぁ?」

「お食事中だったかな?邪魔したね」

 

太陽はその姿を見て血を啜っていたのだろうと考える。《個性》というおかしなものがありふれる世界だ。血で食事をとる人もいるのだろうと考える。クトゥルフ神話であれば吸血鬼の様な存在。血が食事の代わりになる存在は創作物の中ではよく存在する。殆どが吸血鬼なのだが。一概に血液にそこまで多くの栄養素が存在しているとは考えられない。例え、血液中の赤血球が細胞に届けるための酸素と栄養素を運んでいるとしてもだ。普通に食材から栄養素を摂る方が効果的だ。それなのにも関わらず血液を食事にすると言うことはその存在の体が血液を栄養に変化させられる体質なのではないか。はたまた、体を動かすための栄養素がそこまで必要なく、血液のみでも十分足りるのかもしれない。

 

閑話休題(それはさておき)

その声に気が付いたのか少女に組み伏せられていた青年はか細い声で言う。

 

「に、逃げ、ろ」

「最後まで人を心配するなんてカッコイイです!!」

「あ、大丈夫なんですお構いなく」

 

しかし、ここにいるのは異常者。一般人の言葉など通じるわけがない。

その青年はその言葉を最後に事切れる。

 

「というか、貴方は!体育祭の人じゃないですか!!太陽くんでしたよね!?カッコよかったです!!」

 

少女は事切れた青年のことなどどうでも良いように太陽の元へといく。両手を胸の前で組んで興奮したように話し出す。その表情は恋する乙女のよう。

 

「でも、傷ついてる方がもっとカッコイイです!!」

 

少女は腰のホルスターから勢いよくナイフを取り出すと太陽の胸元に突き刺す。

太陽はそのナイフを視認するも避けることなくその体で受け止める。ズブッという音を立てながらナイフはすんなりと体に侵入する。本来ならその傷を起点に血が垂れて服に滲み出る筈がその様子は一向にない。それどころか、筋肉が収縮してナイフを取り込む様に蠢いている様にも感じる。

ヒミコは突き刺したナイフを引き抜こうとするもその収縮した筋肉によって阻まれどれだけ力をかけようともびくともしない。太陽は胸に刺さったナイフに見向きもせずに少女の顔を特に特徴的な少女の牙を見ている。

 

「なん、で!?どうして血が出ないんですか!?しかも、引き抜けないです!!」

「え、不死*1だし。てか、牙みたいなのあるんだ。異形系なのかな?面白い」

 

両手を少女の頬に当ててその口を開いて歯をよく見る。先程まで啜っていた血液で染まった口腔内。歯並びは綺麗で虫歯も一つもない。臭いもなく逆にミントの様なスッとした匂いがする。血を啜っているなら何かしらの影響が起こっているのではないか、また、普段から血を啜っているなら口腔内に鉄臭い匂いがするのではないかとと考えたが杞憂に終わる。それとも、この少女が口腔内を清潔に保っている可能性もある。こちらの方が可能性的にも高いのかもしれない。

少女はその異常な力になす術なくされており、いきなり顔を覗き込またことに驚いて動きを止めてしまう。

 

「へぇ、犬歯が発達した感じかぁ。吸血鬼みたいだね」

「なぁ!?」

 

太陽はその手を離す。少女は体の力が抜けたのか尻餅をつきそうになる。その様子を目ざとく見た太陽は即座に少女の腰に手を回して転ばない様に手助けする。その際に胸に刺さっているナイフを抜くと少女に返す。引き抜いたことで本当なら栓が刺さっていた肉体からドバドバと血液が溢れ出るのだがそんなこともなく破れた服から見える体は何も異常がない綺麗な肌になっている。

少女は未だに呆けた表情で太陽を見つめる。

 

「それじゃあ、自己紹介しよう。俺は太陽。さっき名前呼んでたし知ってるよね。君の名前は?」

「え………えっと、渡我被身子です」

「ヒミコちゃんか。こんなとこで何してたの?」

 

太陽は気になっていたことを質問する。この吸血衝動が《個性》発作の様なものであればこんな場末の路地裏でしなくても堂々と街中でやればいいのではないかと考えていた。

しかし、その質問に答えることもなくヒミコと言った少女は目をキラキラさせながら逆に質問をする。

 

「不死ってなんですか!?いくら刺しても死なないってことですよね!?あ、でも、血が出ないのは…」

「血なら出そうと思えば出せるし、いくら刺しても死なないのは正しいね!」

「あ、それより、ヒーローになる人がこんなとこにいていいんですか?私、(ヴィラン)ですし」

「そうなの!?君のこともっと教えてよ!!」

 

ヒミコの話によれば幼少期から動物や人の血を見るのが吸うのが好きだったのにそれを家族は受け入れずに〝普通〟を強要し続けた。そして、その感情が爆発して1人の少年を失血死させたそうだ。こんな個性ありきの世界で〝普通〟とか存在しないのではないかと思ってしまう。普通らしくあると言うのが人間の形をとるのであればその辺に歩いている異形系は全員普通ではないだろう。しかも、ヒミコも失血死させるために吸ったわけではないだろうに。それなら、勝手に失血死したお相手さんも十分悪いのではないかと考えるのは無粋だろう。

 

「へぇ、そうなんだ。まぁ、しょうがないね。死んだ彼には黙祷しとくよ」

「え。なん、で」

「いやだって、俺だって他人から精神力を吸い取るし目的のためなら知らない一般人を大量に殺しても問題ないと思うし。きっと、その子もヒミコちゃんの血肉になれて喜んでるよ。多分、メイビー」

「初めてです。そんなふうに言ってくれたの」

「それはそう。こんな考えのやつとか普通いないし」

 

太陽自身、他人から大量にPOWを吸っている。そうでなければPOW300はありえない。大体100人から吸い取っている計算になるだろう。もっと多いのかもしれない。運が悪ければPOWが消し飛んで廃人になっている可能性もあるため太陽も結構な人数の人生を滅茶苦茶にしている。さらに、邪魔とか敵だからとかついでだからとかの理由で他人を殺すこともあるためヒミコの行動がおかしいとは感じない。やろうと思えば村や街を燃やし尽くすことも出来るので被害で言えばヒミコ以上になるだろう。そもそも、一般市民に興味など一ミリも存在しないのが太陽である。POWを吸われようと被害を被ろうと全ては相手の運が悪かっただけ。TRPGでいうファンブルの様なものだ。かわいそうだと思うがだからと言って止めることもない。

 

ヒミコは支えられたまま太陽の首に腕を回して抱きつく。よほど肯定してくれたのが嬉しかったのか太陽の体に顔を押し付けてグリグリと擦り付ける。太陽から表情は見えないが薄っすらと頬が赤くなっている。

ふと気になったのかヒミコは太陽に質問する。

 

「私を捕まえないんですか?」

「捕まえる理由ないし。ヒーローの卵って言っても(ヴィラン)を捕まえる権限ないし」

「でも、」

「あ、こいつ?大丈夫大丈夫。《召喚 星の精》、吸い取っていいよ。あ、ヒミコちゃんは見ないでね」

 

虚空に向かって話しかけるといきなり少年の肉体がボロ雑巾のように絞られ、全ての血液が体外に放出される。その血液は空中で止まると勢いよく何かに吸い込まれる。実体化した星の精は満足したのか消えていく。残ったのはボロ雑巾のようになった死体だけ。それも、次に発せられた《復活》の呪文によって青い粉末に変わってしまう。この青い粉末は塩と化合物でしかないためこれから死体が発見されることはない。本来ならばもう一度《復活》を唱えて死者を生き返らせるものだが今回はこれで問題ない。生き返らせる理由がないからだ。

 

「終わったし、遊びに行こう!!」

「え、いいんですか?」

「いいよいいよ。暇だったし一緒に遊ぼう」

 

太陽はヒミコをお姫様抱っこすると《門の創造》で門を作りその中へと入っていく。

出たのはどこかの屋上。先程まで2人がいたところから少し離れたところである。

 

「わわわ!いきなり街中に来ました!」

「危ないから掴まってて」

「ごめんなさい」

「いいよ。それじゃあどこいく?お金なら有り余るほどあるからどこでも行けるよ」

「それじゃあ、服を見に行きたいです」

 

太陽はヒミコをお姫様抱っこしたまま服屋へと向かう。空中を歩きながら移動しておりヒミコは上空から見える街の様子にご満悦の様子。太陽は以前にクラスの女子に教えてもらった服屋に向かって行く。

服屋の前でヒミコを下ろして手を引きながら入っていく。

服屋の中ではヒミコの服を探す。太陽は女性の服のセンスがないため殆どヒミコが自分で選んでいる。

試着をしながら2人はどの服にするか考える。

 

「これカァイイです!!どうですか!?」

「ヒミコに似合ってるよ」

「わぁ、ありがとうです!!」

 

ヒミコが選んだ服は太陽が一括で購入する。100万以上も金がある太陽にとってはその程度端金でしかない。

100万も銀行で腐らせておくよりも出会ってすぐの少女に使った方がよっぽど有意義だろう。

ヒミコは初めは遠慮していたがプレゼントと言われると渋々受け取る。

 

2人は1日を通して買い物やカフェ、遊園地などを訪れて楽しんだ。

帰り際、ヒミコは笑顔で太陽に話しかける。

 

「今日は楽しかったです!!」

「俺も楽しかったよ。…あ、連絡先交換しようか」

「はい!!これが〝普通〟の1日なんですね!!」

「困ったらいつでも連絡してね。手伝ってあげるよ」

 

─────────────

 

(ヴィラン)連合の本拠地。闇ブローカー義爛によって紹介された5人の人物がいる。

 

「お前らか。義爛から紹介されたのは」

「……」

「そうね」

「はい!!よろしくお願いします!!」

「そうだぜ。違うぞ!!

「ああ、そうだ」

 

無言で壁に寄りかかるつぎはぎの青年。筋肉がありサングラスをしている女言葉の男。全身タイツで正反対の言葉を話す男。蜥蜴のような姿の青年。そして、元気に挨拶をするヒミコ。

その五者五様の挨拶に弔は頭を抱える。

 

「俺は死柄木弔。これから仲間になるんだ。よろしくな」

「よろしくです!!…あ、弔くん!!この動画見てください!!カッコいいですよね!?」

 

そう言ってスマホの画面を見せる。そこには遊泳体育祭の決勝戦で戦っている太陽の姿がある。

弔はそれを見た瞬間、すごく嫌な顔をする。

 

「うげ、なんでこいつの動画を見てるんだ?」

「だって、私の1番好きな人ですから!!」

「そうか…………………仲間の趣味嗜好は肯定すべきか?黒霧」

「肯定した方がいいかと」

「……………だよな」

「あ〜、太陽くんもこっち来ないかなぁ。来たら一緒に遊べるのに」

 

ヒミコは動画を見ながらうっとりとした表情で呟く。

それを聞いて弔は嫌そうな顔になったり熟考したりと1人百面相に勤しんでいた。

 

「あいつを勧誘か…………計画のためなら……いやでも、………殺しにきたやつを勧誘は………でも、計画のためだし……」

「弔、コーヒーでも飲んで落ち着きましょう」

「黒霧はどう思う?」

「あの人物は個性も強いですし仲間にする分にはいいのではないでしょうか?トガヒミコを捕まえることもない様ですし」

「だよなぁ。…あー、どうしよう」

*1
《延長》によるもの。《延長》…太古の生き物との契約により歳をとらなくなり怪我も太古の生物が肩代わりするというもの




今回は日常回です。トガヒミコとの初邂逅にしました。いつでも(ヴィラン)堕ちさせれるように着々と準備を進めている気がする。
てか、こんなふうに簡単に死体遺棄できるとかこいつヒーロー目指してるのか?いや、まぁ。シナリオでヒロイン救うために黒幕殺したり社会を混乱に陥れたりするタイプの人種だから誰かにとってはヒーローなんだろうけど。このヒロアカ世界の一般的なヒーローには当てはまらない気がする。
こいつって本当に社会に対する奉仕とか出来ない、しないような気がする。この世界のヒーローとして致命的やな。
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