冒涜的なヒーロー   作:月ノ蛇

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2話目なので初投稿です。

なんか筆が乗ったので1時間くらいで書き上げられました。映画は見ていましたが細部を思い出せないので細かい設定はわからないのでミリしらになる気がしますがご了承ください。


劇場版:目が覚めると白い部屋でした

「どこ、ここ!?」

「うるさいよ、透」

「いや、もっと狼狽えようよ!!拉致されてこんな部屋に居るんだよ!?」

 

太陽と葉隠は現在、四方が白い部屋に居る。扉は一つしかないがその扉は厳重に施錠されており簡単には開かない。荷物は全てなく、服とポケットに入っている小物程度しかない。スマホは案の定奪われている。

 

どうしてこんなことになったのかは数日前に戻る。

 

─────────────

 

「そういえば。夢見さんはI・アイランドのプレオープンには行きますの?」

 

公安襲撃から数日後、帰る準備をしていた太陽に八百万は質問する。

 

I・アイランド。なんかヒーローのアイテムを作る最先端の島。遊英体育祭を優勝した太陽はそこで行われるプレオープンの招待券をもらっていた。

 

太陽はカバンに入れていた招待券を取り出してまじまじと見る。そして何を思ったのか爆豪の元へと向かう。同じく帰る支度をしていた爆豪は不機嫌そうに近づいてくる太陽を睨みつける。

 

「爆豪くん!!君には頑張ったで賞でこれあげるよ」

「あ゙あ゙!?んなもんいらねぇ!!テメェが獲ったもんならテメェがいけよ!!」

「でもねぇ。俺には、このプレオープンペア招待券があるからいらないんだよ」

 

太陽は見せびらかすように胸ポケットから2枚組の招待券を取り出す。そこにはちゃんとペア招待券と書かれている。それを見た芦戸が勢いよく太陽の元へと近づく。

 

「何でそれ持ってるの!?そういうのってプロヒーローの家とか株主とかが貰うものじゃないの!?」

「それはね。公安の建物が大炎上して忙しくなったホークスから貰ったのだよ」

 

話はさらに2日前に戻る。

太陽はホークスに事務所に呼ばれていた。

 

「なんの用すか?」

「いやぁ、これあげるよ」

「何これ?」

「I・アイランドのプレオープンペア招待券。なんかここ数日いきなり忙しくなって行けなくなったんだよ。でも捨てるのも勿体無いし、君にあげるよ。1人くらい仲良い女の子いるでしょ?その子と行って来な」

「おぉ〜、太っ腹!!てか、大変ですね〜」

「ほんとにね。誰が夜に公安の建物に忍び込んで炎上させて行ったんだろうね」

「怖いっすね」

 

目の下に隈を作ってほとんど寝ていないだろうホークスからこの招待券を貰ったのだ。果たして公安局炎上事件の犯人は捕まるのか。もしかしたら近くにいるかもしれない。

 

「へぇ〜。それでペア招待券だけど誰と行くの?」

「え、人使とか連れ回そうと思ったけど……行きたい?」

 

太陽がそう提案すると葉隠がいの一番に反応する。

 

「行く!!」

「じゃあ、透と行くか」

「うん!!」

 

この直前に女子たちで八百万の持つ招待券を巡った人生を賭けたジャンケンを敢行していた。それに勝利してしまった耳郎は手を上げたくてもあげることができなかったのだ。頑張れ耳郎!勝機はまだまだあるから!!

ペア招待券があるということで不要となった招待券を爆豪に押し付ける。爆豪は不服といった表情をするもちゃんと受け取ってくれた。ツンデレさんめ。

 

そしてそれから数日。終業式なども終え夏休み初めの土曜日。2人は空港へと来ていた。カバンすらも持っていないラフすぎる格好の太陽と対照的に葉隠はキャリーケース一つと大きめのボストンバッグを持っている。合流して早々、葉隠はそのラフすぎる格好に突っ込む。

 

「何で手ぶらなの!?」

「招待券は持ってるから大丈夫。荷物はほら、いつでも取り出せるし」

 

太陽は手元の空間に穴をあけその中からカバンを取り出す*1。取り出したのも束の間、さっさと穴に放り込む。

 

「あ、そうだ。ついでに持ってもらう?」

「ありがと。お願いしようかな?」

 

太陽は葉隠の荷物もついでにその穴の中に放り込む。2人して手ぶらで飛行機へと乗り込む。圧倒的不審者だが結構グレードの高い席なので何も言われない。というか、稀にそういう個性持ちの人もいるのではないか。

I・アイランドまでは飛行機で数時間。海に浮かぶ人工島。どの国にも属さないため独自の法で生活をしている。中央の島には200階層を誇るセントラルタワーあるらしい。飛行機が到着するまで寝ていると葉隠が唐突に起こしてくる。葉隠に促されるまま飛行機の窓から外を見ると六花景が特徴的なI・アイランドが見える。

数分後には着陸しI・アイランドの入国審査を受ける。現在はI・エキスポという誰でも入国できる期間であるためなのか多くの人がいる。太陽たちは招待券を持っているため別口で審査を受けたのだが。この島に入るのは結構大変である。何故なら、一般的な身分では殆ど入れないためである。パスポートにおいて一線を画す日本のものですら入れない。入るには信用のある人からの推薦が必要なのである。まぁ、雄英生はその身分を根津校長によって保証されているので問題はない。というか、このついでにホークスにも推薦させたのでバッチリである。

十数分の審査を経て2人はI・アイランドへと入る。はじめに見えるのは多くの人。敷地が広いから少なく見えるがそれでも十分多い。彼らは同じ方向へと歩いている。ここは人工島であるはずなのだが草木も綺麗に整えられており正しく手入れがされているのがわかる。また、空にはいくつかの白い飛空艇が飛んでいるのが見える。これもここの技術の結晶なのだろうかと考えてしまう。

 

「どこから行く!?」

「そうだなぁ。適当に散策するか」

 

太陽たち2人は近くのものから見ていくことにした。初めの数個を見たあたりで太陽は一つの違和感を覚える。路地裏に入っていく人物たちが見えたのだ。屈強そうな人物で路地裏という普通人が行かないようなところに躊躇なく入っていく。気になった太陽は葉隠に言って少しだけ別行動をしようとした。

 

「ごめん、ちょっと気になったものがあるから行って来ていい?」

「いいけど……私もついてくよ」

 

説得は不発に終わり太陽は葉隠を連れて路地裏へといく。

 

「こんなとこに何があるの?」

「しーっ」

 

太陽は先程入って行った人物に追いつくことができる。何やらコソコソと話している様子。その話が気になり太陽はもう少し近づく。

突然、ガンッという音が太陽の頭に響く。振り返ろうとする前に太陽は倒れ込んでしまう。首だけを無理やり向けると1人の仮面を被った男が鉄パイプを持っている。それで太陽は後頭部を殴られたのだろう。太陽はそのまま意識を手放すのだった*2

 

─────────────

 

はじめに目が覚めたのは太陽だった。ロープで縛られることもなくただ寝かされていた。近くには葉隠もいる。というか葉隠は太陽に寄りかかって眠っている。あの後かその前にでも太陽と同じく気絶させられていたのだろう。

あたりを見渡すと白い部屋である。四方約4mの部屋。家具なども何もなく扉が1つあるだけ。天井に1つだけ電球がありそれが唯一の灯り。太陽は寄りかかって寝ている葉隠を揺らして起こす。数秒揺らすと葉隠も目を覚ます。目を覚ました葉隠は太陽と同じく辺りを見渡して大声を上げる。

 

そして、最初に戻る。

 

「何で狼狽えないかといえば。よくこんな目に遭うからとしか……」

「えぇ!?」

「まずはどうやってここを出るか何だけど……透が吃驚している間に扉調べたけど開かなかったよ」

「じゃあどうやってここを出るの!?あの扉以外何もないんだよ!?」

「まぁ、それはこうやって。《幽体の剃刀》」

 

太陽が扉のない壁に向けてそう唱えると不可視の刃が4つ飛び壁を四角に切り取る。トンッと亀裂の入った壁を押すとズズズッと音を立てて壁が後方に落ちる。太陽は四角に切り取られた壁から外を覗くとそこは空中だった。壁が落ちた時点で綺麗な青空が見えていたが改めてここが空の上なのだと理解する。透も同じように覗き込んですぐに顔を部屋の中に戻す。

 

「えぇ!?ここって空中なの!?」

「大体、飛空艇の中じゃね?」

 

太陽の考察の通りここは飛空艇の中。どうやって連れてこられたのかわからないが太陽と葉隠は飛空艇の中に監禁されていた。監禁した人は透明の個性と見た感じ無個性の男だったためこの程度で済ましていたのだろう。一番危険なのは太陽であることを知らずに。

 

「じゃあ降りるか」

「待って待って待って!!!手を掴まないで!!心の準備ができてない!!」

「あ、紐なしバンジーが怖い感じ?じゃあ、空中浮遊と翼だったらどっちがいい?」

「じゃあ、翼で」

「オケ、《変質:ナイトゴーント》。じゃあ行くよ」

「うぅ……」

 

太陽は葉隠をお姫様抱っこしてトンッと飛空艇から飛び降りる。下を向くとI・アイランドの風景がよく見える。地上から5mほどで翼をバサリと開いて勢いを殺し始める。運が良かったのは落ちたところが岩場が多い何かのアトラクションの会場だったことだろう。翼の風圧で土が舞い勢いを殺し切った太陽は地上30cmほどを滞空した後、地面に降り立つ。

 

「透。大丈夫?」

「うっ、大丈夫…」

 

周りを見ると多くの人がいきなり落ちて来た2人を見ている。その中には見知った顔もいる。というか、このアトラクションをしようとしていたのが爆豪であった。爆豪は額に血管を浮き出させながら太陽に近づく。

 

「何邪魔してんじゃあ!!!召喚野郎!!!」

「おっと、俺も被害者なんだよ?そんなにカリカリしないで」

「うがぁー!!!」

「あ、緑谷くんたちじゃあないか!!来てたんだ」

「あ、うん、夢見くん。何で空から落ちて来たの?」

 

太陽は爆豪から避けるように翼を動かして緑谷たちの元へと行く。八百万たちと緑谷、轟、飯田とクラスのほぼ全員が集まっていた。緑谷の隣には金髪メガネの美少女がいる。

 

「あぁ、緑谷。簡単に女の子を引っ掛けちゃって……麗日ちゃんが泣いてるよ」

「違うよ!!この人はメリッサさんって言ってオールマイトの元サイドキックの娘さんだよ」

「そんな感じ?あ、ごめん、透。下すよ」

 

緑谷はワタワタと両手を顔の前で振りながら必死に否定する。その間にお姫様抱っこから逃げようとしていた葉隠を優しく下す。葉隠は女子軍に連れ去られてしまう。また、話題の渦中にいたメリッサはまずはじめに一般的な質問をする。

 

「あ、あの。どうして空から落ちて来たんですか?」

「おっと、初めまして。緑谷の学友の夢見太陽といいます。えっと、恥ずかしながら飛空艇に監禁されていて脱出して来たんですよ」

「えぇ!?そんなことが!?」

「まぁ、脱出したから問題ないですし。そういや何してたの?」

「あ、えっとね。障害物破壊競争っていうアトラクションを見に来たんだよ」

 

緑谷は爆豪を指す。爆豪は仕切り直した障害物破壊競争で好タイムを記録していた。爆破を利用した空中起動で岩場を移動しながら軽々と破壊していく。そのタイムは15秒。難易度を知らない太陽にとっては早いのか遅いのかわからないタイム。しかし、他の観客は「おお〜」と高評価のようだ。

爆豪は観客席にいた緑谷を目ざとく認識すると爆破を使って飛び込んでくる。

 

「おい、召喚野郎!!テメェもやりやがれ!!ぶっ潰してやる」

「ふっ、雑魚はよく吠えるね。まぁやってやるよ」

 

太陽は翼を動かして障害物破壊競争のスタート地点へと向かう。運が良かったのか爆豪の後にやる人がおらずすぐに太陽の番になった。

スタート地点にはマイクを持った女性がおり彼女がスタートの合図をする。

 

「あ、的って何個ですか?」

『20個ですよ』

「了解です」

『それでは!!彗星の如く落ちてきた人物の挑戦!!スタートです!!』

 

ピーという音と共にタイマーが開始される。

太陽は翼を動かして障害物破壊競争の会場全体が見える高さまで飛び上がる。ここまでで5秒。全ての的を視認し太陽は呪文を唱える。

 

「《ヨグ=ソトースの拳》×20」

 

その瞬間、全ての的が同時に破壊された。その記録は8秒。最速記録である。

 

『おおっと!?8秒!?8秒です!!翼の個性かと思いきや全く違うのか!?最速記録の更新です!!』

「ふっ、15秒とか遅すぎない?」

 

太陽は爆豪を見ながらそう呟く。自らの記録を7秒も更新された爆豪は太陽に飛びかかろうとする。しかし、それは寸前で緑谷に阻止される。爆豪はギリギリと歯を鳴らしながら緑谷と切島によって連行されていった。

太陽もすることがないので彼らに合流することになった。

*1
ニャルの頑張りである。故に個性無断使用には引っかからない

*2
何故、肉体の保護を使っていないのか?ストーリーのためだよ!!悪いか!?




障害物破壊競争は1回目なので全部の的を確認しないと壊せませんが、2回目以降は見なくてもできるのでもっと早くなります。
初めは心操を連れて行こうと思ったけど同じクラスの葉隠の方が話的にいいかなってことで変更しました。
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