シリアスさんが久々に出演しました。いつ以来でしょうか…前回登場時には参戦とは書いてないのでいつかは忘れました。これが最初でないことを祈ります。
「お風呂!お風呂!バブルのお風呂!お風呂〜!!呼んだ?………呼んでねぇよ。ぶっ殺すぞ!?」
「は?誰?二重人格?」
「おいおい忘れちまったのか?太陽さんだよ」
「は?は?」
「おっと、混乱しているようだね。じゃあこっちの姿になればわかるかな?」
「本当だ……すまないな」
太陽が脱衣所に入るともうすでに轟が風呂に入るために着替えをしていた。太陽は一瞬だけ変身を解き轟を安心させるとまた元に戻った上で服を脱ぎ始める。着脱が面倒臭いドレスチックな服。一応脱ぎ方を理解している太陽は淡々と脱いでいく。ふと、轟を見るとさっきまで隣だったはずが何故か後ろを向いて脱いでいる。
「てかなんで顔逸らしてるの?裸の付き合いしようぜ」
「…いや、お前なんで元の姿じゃないんだ?いまガッツリ女だろ」
「バレちまったらしょうがねぇ。そうだよ。でも中身は男だし問題ない」
太陽は現在、普通にシュブ=ニグラス形態である。長髪で大事な部分などは隠せてはいるがそれでも扇情的だ。どこぞの峰田が見れば鼻血を噴き出して気絶するのではないだろうか。
「お風呂だ!!!……誰ぇ!?」
「女!?」
「女だってぇ!?」
轟と太陽がわちゃわちゃしていると遅れて緑谷たちが脱衣所に入ってくる。疲れが少しとれて元気になり始めた上鳴が先行して入るも堂々と立っている太陽の姿に驚いて後ろに転げてしまう。それに足を取られつつ入ってくる面々。切島が本来いるはずではない性別に困惑して声を荒らげるとその発言に興奮した峰田がダッシュで入ってくる。
「ガチだ!?えっっっっっろ!?」
「ふっ、やっぱりこの身体は人をダメにしてしまう様だ」
「ここは男子風呂だ!!女子は女子風呂に行ってくれたまえ!!」
「俺、太陽。中は男」
「くっ、そうだったのか。それなら身体と心どっちで指摘すればいいんだ!?」
「いや、男でしょ!?早く変身解いてよ!!」
緑谷が顔を真っ赤にしながら全力で懇願するため太陽は渋々変身を解く。
元の姿に戻りみんなはほっと一息つくと黙々と服を脱いで風呂に行く。峰田は血涙を流しながら後悔してたが太陽は気にも留めなかった。
「露天風呂とか最高〜!!」
「泳げるぜ!ここ!!」
「あったけぇ」
体を綺麗に洗い終わり太陽たちは露天風呂に浸かっていた。女子も風呂にいるのか仕切りの奥から声が聞こえる。性欲の権化の様な峰田は目敏くその声の反応する。悟った様な声色で呟く。
「やっぱりね。今日日、入浴時間をずらさない学校の方が悪いと思うんすよ」
「待ちたまえ!!君がしようとしているのは女性の尊厳を汚す行為だぞ!?」
「うるさいんすよ」
峰田は仕切りに自らの〝もぎもぎ〟をくっつけながら高速で登っていく。血走った目で登っていくその姿には狂気すら感じてしまう。
「壁とは!!超えるためにある!!」
「速っ!?」
涎を垂らした峰田がその仕切りを超えるであろう時、洸汰が仕切りの上に現れる。峰田の額をグイッと押して男湯に落とす。
「ヒーロー以前にヒトとしてのあれこれを学んでこい」
「なっ!?このクソガキがぁぁああああああああああああああ!!!!!!」
峰田はヒーロー候補らしからぬ悲鳴をあげながら落っこちる。洸汰は女子風呂から呼ばれたのか後ろを向いた後鼻血を噴き出して落っこちる。
「やばっ」
緑谷がいの一番に反応して落ちてくる洸汰を飛び込みながら抱える。着地を考慮していなかったのか緑谷はそのまま顔面から仕切りにぶつかろうとしてしまう。
「危ないな」
何故か変身していた太陽の長い触手の様な髪の毛*1が緑谷を間一髪で受け止める。つまり、本来は髪の毛で隠されるはずのボンキュッボンの裸体が惜しげもなく晒されてしまうということなのだが太陽は気にすることなく緑谷を起こす。
「緑谷〜、大丈夫か?」
「う、うん」
「よし。なら、その子連れて行くぞ」
太陽は髪の毛をうまく動かして緑谷を引き摺りながら脱衣所に向かう。残った男子は気絶している峰田以外顔を真っ赤にしていた。
脱衣所に行くと太陽は緑谷を解放して変身を解く。解放された緑谷は腰にタオルを巻いただけの姿でマンダレイの元へと走って行く。太陽はそんな姿を見ながら一応服を着てそれについて行く。マンダレイはオフィスに居た。緑谷の決死の表情に驚いたものの説明を聞いて納得という表情をする。洸汰は気絶しているためソファに横にすることになった。
「落下の恐怖で失神しただけだね。連れてきてくれてありがとう」
「ともかく何もなくてよかったです」
緑谷はそう診断されてほっと一息をつく。ふと洸汰のこれまでの行動を思い出して呟く。
「洸汰くんは…ヒーローに対して否定的なんですね」
「ん?」
「い、いや。僕の周りは昔からヒーローになりたい人ばかりで………この歳の子がそんなふうにヒーローが嫌いなのは珍しいな…って」
その質問にマンダレイは淡々と答える。
「そうだね。この子も普通に育っていたら憧れていたんじゃないかな」
「それは、どういう……」
「洸汰くんの両親ね……殉職したんだ」
その発言に対してマンダレイではなくお茶を持って部屋に入ってきたピクシーボブが答える。
緑谷はその答えに固まってしまう。それを後ろで聞いていた太陽は納得をする。
ピクシーボブの言葉に続ける様にマンダレイは話を続ける。
「2年前に
「………当たり前だろ」
太陽はその単語を繰り返す。異様に気持ち悪い言葉だと感じてしまう。
もうこの場にいる理由もなくなり太陽は部屋を出て1人廊下を歩く。部屋を出る際に緑谷の顔を見ると何も言えないようなもどかしそうな顔をしていた。
太陽は冷たい風に当たりたくなり太陽は外に出る。満月が太陽を照らす。
「はぁ…………まじでこの世界クソだな。3歳の子供にお前の両親が死んだのは素晴らしいことだ、名誉ある死だとかよく言えたもんだな。普通、痛ましい死とかいうだろ?なんだよ名誉って。こんなの3歳の子供にする様な仕打ちじゃないだろ。その当時のあの子は両親の死とそれを褒め称える世間の二つしか考えられないだろ。それならヒーローやら世間やらが嫌いになるわけだよ。当たり前じゃん。…………どうせ命を賭して捕まえた
太陽の憤りは誰にも聞かれることなく風に掻き消されていった。
2日目、早朝5:30。ジャージに着替えさせられたA組は一ヶ所に集まっていた。
「おはよ〜!!みんな元気ないね!?どうしたんだい!?ラーメン食べる?」
「ふあぁ〜〜。なんで太陽くんはそんなに元気なの?」
「そこうるさい。では、本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれに伴う〝仮免〟の取得だ。具体的になりつつある脅威に対抗する術を身につけてもらう。覚悟しておく様に」
相澤先生はそこまでいうと体力測定で使ったハンドボールを取り出す。
「それじゃあ夢見………いや、爆豪こいつを投げてみろ」
「俺は!?なんで俺じゃないんですか!?」
「お前はハンドボール投げとか好きなとこまで飛ばせるだろ?」
「まぁ、そりゃあ」
「だからだ。爆豪の前回の記録は705.2mか。どこまで伸びるかな」
これはこの3ヶ月間でどれだけ変化したかを測ることだろう。それに気がついたクラスメイトは爆豪を応援する。
「いったれ!バクゴー!!」
「成長具合か〜!!この3ヶ月めっちゃ濃かったしめっちゃ飛ぶでしょ!!」
「……んじゃ、よっこら─────────────くたばれ!!!!!」
爆豪の放ったボールは爆炎を撒き散らしながら飛んでいく。誰もが「くたばれ」という掛け声に顔を傾げている中、相澤先生が記録を発表する。
「709.6m」
「……あれ?思ったより飛んでない」
「約3ヶ月間、さまざまな経験を経て確かに君たちは成長している。しかし、それは技術面や精神面、あとは多少の体力面でだ。〝個性〟そのものは今見た通りそれほど成長していない。だから─────────────」
「今日から君たちの〝個性〟を伸ばす。死ぬほどキツいが、死なない様に」
その相澤先生の激励の様な言葉の後、A組が連れてこられたのは木々がなく土が剥き出しの広場。広場といっても普通にグラウンドよりも広い。そこには既にマンダレイら4人が立っていた。
「それより相澤先生。俺らの〝個性〟伸ばすっつってもどうやるんだ?発動系から異形系まで沢山いるじゃないですか」
「だからこそ、彼女らだ」
「そう!!」
マンダレイが合図をすると4人は慣れた様子で口上を叫びポーズを取る。
「煌めく眼でロックオン!!」
「どこからともなくやってくる……」
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」(フルver.)
その一瞬の迷いもないスムーズとしたポージングに太陽は思わず拍手をしてしまう。拍手にどこか誇らしげなプッシーキャッツの面々は相澤先生に変わって説明を始める。
「あちきの〝個性〟!『サーチ』は見た人100人までの情報が全部丸わかり!!もちろん弱点も!!見えなかった人もいるけど…」
「そして私の『土流』で見合った場所を即座に作成!!」
「私の『テレパス』で一度に複数にアドバイス!!」
「そこに我の殴る蹴るの暴行よ…」
(((1人だけおかしくないか?)))
「というわけだ。人数は一切気にしなくていい。それじゃあ、俺が勝手に個性の種類で分けたから。呼ばれたやつは指定の場所に移動してね」
相澤先生の分類の元、A組は早速個性伸ばしに取り掛かることになる。
「それで、呼ばれていない俺はどうするんですか?」
「それだよ。お前の個性は伸ばすところがないだろ?例えば変身時間は何分だ?」
「やろうと思えば無限にできます」
「変身のクールタイムは?」
「同じものなら何度でもクールタイムなしでできますね。2種類に変身して3種類目に変身しようとすれば少しクールタイムありますけど…ゆーて2種類で事足ります」
「呪文とやらは?」
「一応MPあるので有限ですけど」
「じゃあそれだ。ラグドールの〝個性〟を使ってもちゃんと弱点が見られなかったからな。口頭で聞くしかなかった。というわけで、お前はMPを増やせ。どうすれば増える?」
「あ〜〜〜〜〜〜、一応増やそうと思えば増やせるんですが…………」
「なんだ?増やせるならやればいいじゃないか」
太陽は相澤先生に近づいて耳元で囁く。
「我らが偉大なる主アザトース《アザトースの呪詛》」*2
相澤先生はその奇妙な音節の詠唱を耳にする。聞いているだけで悍ましい単語の羅列。自らの神経を逆撫でしゴリゴリと削ぎ落としている感覚が背筋を伝う。太陽の詠唱が終わるとどこか心がポッカリと精神力と言うべきものが奪われた感覚に陥る。
「な、にを…した…?」
「え、MPを増やす唯一の手段ですけど。これでMPが3増えました」
「どう言うことだ?」
「よし、では今から相澤先生に説明をしてあげましょう。先生、MPとはなんでしょう?」
「は?そんなの魔法とかを使うコストみたいなものだろ?昔のRPGとかでよくあるやつ」
「では、どうすれば伸びますか?」
「レベル上げだな」
「そうです。しかし、クトゥルフ神話におけるMPは少し違います。MPは精神の強さに比例した量になっています。そしてこの量は一生変わることがありません」
「はぁ?それなら今増やしたってのは」
「唯一増やす方法は他人から奪い取ることです。今やったみたいに先生から少しだけ貰いました」
相澤先生は納得した様に相槌を打つ。
「つまりお前は増やす方法があるがそれをするには人を犠牲にする必要がある、と……そんなの論外だ」
「つーわけで、この話は終わりです。俺は何してればいいですか?」
「なら、緑谷と一緒にやってろ。筋力はどうあっても必要だからな」
「は〜い」
太陽は小走りで緑谷の元へと行く。その頃、遅れてB組もやってきておりB組の単純な増強系の人とも一緒にブートキャンプに励むことになった。
(一応、STRに30くらい振っとくか。《完全》っと)
「おらぁ!!我ーズブートキャンプは始まったばかりだぞ?もっとだもっと筋繊維をブチブチ引きちぎる勢いでやれ!」
「「イエッサァ!」」
「イエッサァァアアアアア!!!」*3
「夢見ィ!今だ、打ってこい」
「死に晒せぇぇえええええ」
太陽の拳はえげつない風圧を伴いながら虎にぶつかる。緑谷や他のB組の攻撃を〝個性〟『軟体』でいなしてきた虎だったがこの拳には正面からぶつかる。
「よォォォォし。我に拳をぶつけるなんて久々だ!!だがもっともっとだ!!」
虎の返しのCATPUNCHが炸裂する。緑谷たち増強系ですら吹っ飛ばす威力のはずが太陽は正面から受け止める。
(こいつ、我の拳を正面から!?)
「虎さんもまだまだじゃないですかァ?!」*4
「ふっ、久々に骨のあるやつがいるじゃないか!」
「虎さんこそ!!」
2人は相手の顔面を狙った拳を打ちつける。防御を捨てた両者の拳が顔を捉える。つまるところクロスカウンターである。どちらも効いたのか中腰になって相手を見る。
「貴様は我とのタイマンだ!!」
「望むところよォ!!!!」*5
2人は数m離れてお互いを見合う。その間も緑谷たちはよくわからないダンスの様なストレッチをさせられている。
太陽は地面を蹴り一瞬にして間合いを詰める。ボゴッと地面に罅割れが入る。速度を維持したまま太陽は肘を虎の喉元目掛けて打ち込む。しかし、腐ってもヒーロー。〝個性〟を利用して回避する。
「まだまだ我には敵わない」
「それはどうかな?」
「なにっ!?」
太陽の膝が避けた後の虎の腹を捉える。ドスッという重い音が虎の体から鳴り響く。
「くっ、最高だ!!プルスウルトラしてんなぁ!!!」
「当たり前だァァァァ!!!」
虎の〝個性〟を利用した絞技が太陽を襲う。普通の絞技とは違い逃げることは殆ど不可能。骨格をガン無視した締め方であり抜けようと力を込めてもスルリと抜けてしまう。
「ほらほらぁ!!もっとプルスウルトラしろよぉ!!!」
「舐めんなよ!!!」
太陽は蛇の様に締め付ける虎の頭を掴んでぶん投げる様に振り解く。虎は空中で姿勢を整えると着地と同時に太陽に襲いかかる。軟体を利用した力を一つも逃さないパンチ。撓る鞭の様なパンチが太陽を襲い太陽は両腕をクロスして受け止めるも力を止め切ることができず後ろに吹っ飛ばされる。丁度後ろにあった木にぶつかりその木はぶつかったところを起点に凹んでしまう。
「若造が、もっとこいやァァァァ!!!!」
「ぶっ殺してやらァァァァ!!!」
夕方4:00。A組とB組はいくつもある木製のテーブルの周りに集められた。
全員先ほどまでの個性伸ばしで全身ボロボロのブチブチで疲れ果てている。しかし、太陽だけは虎と肩を組んで未だに元気そうだ。
「虎さんってタイ行ってきたんですか?」
「そうだ。そこでちょちょいと性別を変えてきたのさ」
「かっこいいですね」
「わかるか、この筋肉が」
「はい、性別を変えただけでもこんな風にはなりませんよ。よっぽどの努力があったんですね」
「よくわかったな。この努力を知らない奴らが大量にいたからわかるやつは貴重だ」
ラグドールとピクシーボブは木製のテーブルの上に置いてある材料を指して元気に宣言する。
「世話を焼くのは昨日までって言ったね」
「己で食う食べ物くらい己で作れぃ。カレーだカレーだ!!」
太陽以外全員、この後料理をする気力がないほど疲れていたが絶対に教師が考えていないであろう考えに辿り着いた飯田は勝手に仕切って行く。
B組も疲れ果てており何時もなら文句の一つでも言う物間もこればかりは素直に従っている。
「いえ〜い、吹出くんだっけ?火つけて〜」
「夢見だったか?いいぞ『メラメラメラメラ』…というか体育祭の時みたいに自分でつけないのか?」
「だって、B組のみんなとも仲良くしときたいじゃん。物間が元気ない今しかできないしね」
「oh!!そんなコトを考えていたんデスカ!?よろしくデス!!」
「よろしく、角取さん」
「名前覚えられてマス!?」
「我が主よ〜!!!」
「待って、止まって!!!」
「何をするんですか?取影さん」
「迷惑するじゃん」
「ん!!」
「我が主はそんなことで迷惑するわけありません!!」
「行き過ぎない限り、まぁ…」
「ほら!!」
「顔が迷惑そうじゃん」
太陽は飯盒から離れてカレーに入れる具材を切ることにした。無駄に洗練された包丁捌き。ラーメンを作っているだけある。と言うか成功すればほとんどの料理を作れる《製作:料理》のバフだろう。
今夜はA組、B組の垣根を超えて皆で楽しく夕食にありついた。
(あれ、緑谷どこ行くんだろ?)
太陽はふとカレーを一皿持って移動する緑谷を見つける。気になった太陽はその後をつけることにした。どんどん森の中に入っていく。途中からは岩肌が目立つ道を歩き山の中腹の洞穴がある少し出っ張ったところに辿り着く。
「洸汰くん、お腹すいたよね?」
「なんで!?お前がここに!?」
「ちょっと足跡を追って…ご飯食べないのかなって」
緑谷はそこで洸汰と話していた。おそらくここが洸汰の普段からいるところ、秘密基地のようなところなのだろう。太陽は2人にバレない様に2人より少し上の位置をとって様子を見る。
「……頭イカれてるんだよ、みーんな。馬鹿みたいにヒーローとか
緑谷はその言葉を聞いて悲しそうな表情をする。そして「ね、ねぇ」と前置きを置いてぽつりぽつりと話し出す。
「僕の、友達の、えっと…友達のことなんだけどね……無個性の子がいたんだ。先天的にいるだよ、稀だけど………それで、その子は他の子供と同じ様にヒーローに憧れちゃったんだ。でも、今って〝個性〟がないとヒーローにはなれなくて…その子はしばらくそれを受け入れられなくて練習してたんだ。物が引き寄せられないか〜、とか口から火を吹けないか〜って一生懸命に─────────────みんな、〝個性〟に対していろんな考えを持ってる。でも、そこまで否定しちゃうと君が辛くなるだけだよ。えと、だから…」
「うるせぇよ!!!ズケズケと入ってきやがって!!出てけよ!!!」
「ごめん……カレー置いとくね」
緑谷はそこまで言うと元来た道を帰って行く。
太陽はその様子を見て自分も帰ろうとする。しかし、ポツリと洸汰が話した言葉が耳に残った。
「うるせぇよ…どいつも…こいつも…」
(しゃあねぇな)
太陽はガサリと大きな音を立てて飛び出す。
「へ〜い!!遊ぼうぜ!!」
「なっ!?誰だよお前!?」
「そんなのはどうでもいい。飯食いながら遊ぼうぜ。何する?トランプ?ゲーム?沢山あるぜ」
「そんなことはしねえ。出てけ!!!」
「どうせ、この後1人でカレー食うんだろ?1人より2人の方が美味いぜ」
「やだよ!!お前なんかと一緒なんて!!」
「ふっ、緑谷はその程度で帰ったけど俺はそんなんじゃ帰るわけないんだよな」
「くっそ……好きにしろよ」
「月明かりで食う?幻想的だけど普通に暗いじゃん。ランタンあるよ」
太陽は金属の棒を取り出すとそれにランタンを吊るす。そして何処からかアウトドアチェアと机を取り出す。
「ほら座りな。地べたじゃ冷たいだろ?」
「ふんっ」
反抗的な態度とは反対に律儀に椅子に座る。机にカレーの皿を置いて黙々と食べ始める。それを見ながら太陽は空を見上げる。
十数分後、洸汰はカレーを綺麗に完食する。
「食い終わったな。何やる?トランプにするか。ババ抜きでいい?」
「はぁ!?やるって言ってないんだが!?」
「関係ないね。負けるのが怖いのか?」
「そんなわけないし!!早く渡せよ!!」
運がいいのか現在は無風。トランプが風によって飛び上がると言う悲劇は起きない。2人でやるババ抜きはすぐに終わった。
「へ〜い、俺の勝ち〜」
「くそっ!!今のは不正だ!!もう一回!!」
「別のやろうぜ。ジェンガとか」
「それでいい!!ぜってぇ勝つ」
それから2時間ほど2人はありとあらゆる遊びで対決した。ジェンガから花札、対戦ゲームなど対決できるものが主体。たまに息抜きで飲み物や軽めのお菓子を食べながら洸汰が疲れてウトウトするまでそれは続いた。
「眠くなった?」
「なってねぇ……」
「お菓子食べたんだし歯磨きちゃんとしないと」
太陽は未開封の歯ブラシを取り出す。洸汰は言われるがままに歯磨きをする。
「薬とか飲んでない?」
「飲んでない」
「そう、じゃあ疲れたし寝ていいよ。片付けはしておくよ」
「う、ん」
疲れ果て突っかかる気力も無くなった洸汰はそのままアウトドアチェアで眠りにつく。太陽はそれを見ながら机や使った玩具を片付ける。
洸汰を背負って座っていたアウトドアチェアと最後にランタンを消して片付けると、起こさないようにゆっくりと歩いて宿泊施設へと帰って行く。
「子供にはあんな風に現実を教えるより嫌なことを考えられないほど遊んで眠ったほうがいいよ。まだ5歳だし、気持ちの整理をつけるのはもっと先でいい。今は嫌な記憶より楽しい記憶がいっぱいのほうがいいじゃん」
太陽が洸汰を連れて戻ると玄関にはマンダレイが立っていた。おおよそ洸汰の帰りが遅いことを心配していたのだろう。太陽の背中に背負われている洸汰の姿を見た途端ホッとため息をついて近づいてくる。
「洸汰の面倒を見ていてくれたのね。ありがとう」
「いえいえ。一応、歯磨きとかもさせたのでこのまま布団に入れてもいいと思います」
「何から何までありがとう。あ、あと。もう少しで就寝時間だからね。早く戻った方がいいわよ」
マンダレイに洸汰を引き渡すと太陽は大部屋へと戻って行く。すでに疲れ果てたA組男子が死んだ様に寝ていた。太陽は余っていた自分のものであろう布団に寝転がると彼らと同じ様に眠りにつくのであった。
ヒロアカを読んでて気がついたこと。この世界ってマイルドに描かれているけど普通に終わっている件について。
ヒーローの死を名誉なこととか頭湧いてんのか?って思いました。ヒーローとしては名誉あるけど親としては名誉もクソもなかったね。両親以外にまともな親類がいない一人息子を残して死んでいった気持ちはどうだい?その一人息子がお前らのせいで世界を嫌っていることについても聞きたいなぁ。あとは、命を賭して捕まえた