今回は1話しかできませんでした。すみません。
壊理ちゃんとの初邂逅から約1日。
日曜日の朝8時と言う本来なら寝ている時間帯にマンションにやってきていた。
既に、火伊那以外のメンツが揃っている。火伊那は
全員集まったことを確認すると死柄木が話し出す。
「これから死穢八斎會に行く。あっちとの契約でこっちから数人出向させないといけなくなった」
「俺は行くでしょ?」
「当たり前だ。お前は行くなっていっても来るだろ?それなら正式に送った方がマシだ」
「よっしゃ!!……あ、でも。あっち行ったら学校とかいけないじゃん!!」
「それは問題ない。ていうか、お前ならなんとかなるだろ。でだ、太陽以外にトガとトゥワイスを連れていく。いいな?」
「太陽くんと一緒ならどこでもいいです!!」
「俺も問題ないぜ!!俺が連れてきたしな!!」
「よし、準備したら行くぞ」
死柄木はそういうとソファに寝転がってしまう。
太陽は「そういえば」と一つのことを思い出す。
「俺、死穢八斎會のボスに顔覚えられてるんだった。やっべ。変身して行こ。ついでに俺増やそ」
「え〜!!増えるんですか!?1人でも最高なのに2人になるなんて〜!!カァイイです!!」
「いや、増えるかはわかんね。やってみないとね〜。と言うわけで《変質 ウボ=サスラ》」
「えぇ!?溶けました!?」
太陽の肉体が融解する。ドロリという音が似合うであろう粘液になるとそれが人型を形取る。
ドロリとした粘液がだんだんと皮膚になり、髪の毛に変わっていく。その変化が終わる頃にはそこには全くの別人が立っていた。
その人物の最もたる特徴といえば、地面につきそれでもなお先端が見えないほど長い髪の毛であろう。175cmはあるであろう身長で立っているのがそれでも地面についた髪の毛の先端は見えない。髪色も緑がかった銀色であるもののその色は常に移り変わっているように見える。
その顔は美しくこの世の全ての美女を寄せ集めても生まれないであろうほどに整っている。女性らしく胸部に膨らみはあるものの他の神格とは違い大きくはない。それでもその全体像にピッタリと合う。
「よし、変身完了!!」
「うわぁ!!太陽くんが太陽くんじゃなくなりました!!でもでも、こっちもカァイイです!!!」
「ありがとね。……やべぇ、髪の毛邪魔すぎるな。縮めるか」
太陽がそう呟くと髪の毛はどんどん短くなっていき、膝ほどまでになったところで止まった。
「さ〜て、俺を増やせるか。やってみせろよ、俺!!…え〜っと、《生成 夢見太陽》…辺りでいいか?」
太陽がそう言うとどこからともなく4つの石板が出現する。
その石板は太陽の目の前の空間に浮きあがりある一点を中心に球を描くように回り始める。
するとその中心に不定形のアメーバーのようなものが現れ始める。それは石板が回るに連れて増殖し人の形を作り出す。それは本来の太陽の姿。
数十秒経った頃、石板は回るのを止め太陽のその長い髪の毛の中へと消えていく。後には変身前の太陽の肉体があるだけだった。
「よう、俺!」
『なんだ、俺?』*1
「俺、死穢八斎會、いく。お前、これから少しの間、学校行け。てか、俺の思考読め」
『あ〜、了解。さっさとやれよ』
増えた方の太陽はそう言うと門を作って寮へと帰っていく。
残った本物の太陽は「よし」といい死柄木を起こす。
「準備完了!!いこう!!」
─────────────
なんやかんやあって、死穢八斎會の事務所。
死柄木は途中で帰りやがった。何やら他にもすることがあるらしい。
「上の命令で来ました。トガです」
「久しぶりだな鳥野郎。テメェ絶対許さねぇぞよろしくお願いします」
「暇なので来ました。ルーラーと呼んでくれて構わないから。いや、そう呼べ」
自己紹介としては-100点のようなもの。しかし死穢八斎會側もある程度は予想していたのかこの程度では動揺していない。
「んで、何したらいいんだ?眠ぃ、帰りてぇ!!」
「「「なんだこいつ」」」
「組のもの同様、俺の指示に従ってくれればいい。そのためにもまず〝個性〟の詳細を教えて欲しい。情報交換、もしもの時連携を取りやすいようにしておきたい」
治崎が説明する。その後、〝個性〟について聞いてくる。太陽はその瞬間、異変を感じる。何か精神に干渉してきている感覚を覚えたのだ。
(POW対抗している感覚だ。なんかやってんな)
ヒミコやトゥワイスは何故か普通は信頼関係もクソもないどちらかと言うとマイナスに振り切れているであろう人物に自らの〝個性〟の詳細を話してしまっている。
(あぁ、支配みたいなもんか)
POW対抗に負ければ真実もしくは言われたことをその通りに話してしまうのだろう。呪文では《支配》あたりしか思い浮かばず、《支配》とは考えられないため十中八九〝個性〟によるものだろう。
「ん、あぁ…私か。私の〝個性〟は…見てもらった方が早いか。この通り下僕を召喚するものだ。漫画とかによくいるスライムに見えるがこれでもちゃんと意思疎通を取れる。物理や電気とかにも強いから盾にもなる。この石板?これはこいつらを召喚する魔法陣みたいなものだと思ってくれればいい」
太陽はPOWに勝っているためガッツリ嘘をいう。こんなやつに本当の〝個性〟について説明する義理もない。一応、ウボ=サスラの能力でショゴスを生み出せるのであながち間違ってはいないだろう。
試しにと生み出されたショゴスは石板の上で「テケリ・リ♪」と触手を一つ挙げて挨拶をしている。これでもちゃんと可愛くしたので発狂とかはしないだろう。てかしないで欲しい。
「なるほど。よくわかった」
「もう一つ、教えてくれ。──────死柄木から裏切りの予定は聞かされたか?」
その言葉に太陽はPOW対抗を感じ取る。この黒いペストマスクの男が使っていると判断する。
「いいえ/No…/ないな」
三人とも同じ答えが出る。治崎はそれに対して安心したように息を吐く。
「オッケーだ。これから八斎會の一員として迎える。だが、手配犯のお前らを自由にさせるわけにもいかない。指示のない限りこの地下の居住スペースから出ないよう頼む」
「軟禁かよ!?」
「自由でいた〜い!!」
「私は手配犯じゃないからいいのか。やったね」
「そうだったか……なら、ルーラー。お前には一つ仕事をやろう。壊理の世話だ」
その後、太陽は治崎に連れられて地下空間を彷徨う。相当入り組んだ構造なのだろう。階段を登ったり幾つもの曲がり角を曲がったりして漸く一つの部屋にたどり着く。
「壊理、入るぞ」
治崎は扉を開ける。その中は他の部屋とは違い子供用に作られた部屋だった。壁には虹の絵などが描かれており、床にはいくつもの未開封のぬいぐるみや玩具が散乱している。その壁際には一つのベッドが置かれておりそこに壊理はいた。
「っ!?」
壊理は扉が開く音を聞くとビクリを体を震わせる。
そして治崎の姿を見てさらに体を縮こませてしまう。
「壊理、こいつが新しい世話役だ」
治崎は簡単に太陽のことを説明すると踵を返す。
「じゃあ、宜しく頼むぞ。くれぐれも逃げ出そうとは考えるな。こっちはいつでもお前の仲間を殺せるからな?」
そう太陽に注意を促すと扉を閉めて行ってしまう。
薄暗い部屋に太陽と壊理の2人だけが残された。
壊理は布団をかぶって体を丸めて防御の姿勢をとっている。
太陽は「ふぅ」と息を吐くと変身を解く。
「昨日ぶりだね、壊理ちゃん。元気してた?」
太陽は昨日と同じ優しい声色で壊理に尋ねる。その声を聞いて壊理は布団をとって太陽の顔をマジマジと見る。
「…え。どうし、て」
「いや、助けに行くって言ったでしょ?」
壊理は太陽に抱きつく。安心からか壊理は太陽の胸の中で大粒の涙を流す。太陽はその小さな体を抱え上げて泣き止むまでただ抱きしめ返すのであった。
十数分経っただろうか、漸く泣き止んだ壊理に太陽は声をかける。
「どうしたの?そんなに泣いて」
「…だって。絶対来ないって…思ったから」
「大丈夫だよ。俺は約束は破らないから。君みたいな子との約束は特にね。だから来たんだよ」
「…逃げるの?」
「いや、まだかな。今うちの仲間が別のとこにいるから回収してかないといけなくてね。まぁ、もう少し様子見てからにするよ」
「そう…なんだ」
「大丈夫、壊理ちゃんを傷つけるようなことが起きたら問答無用で潰して逃げるから安心して。それに俺は壊理ちゃんのお世話係になったからいつでもここにいるからね」
その言葉に安心したのか壊理はすぅすぅと太陽の胸の中で寝息を立てる。太陽はゆっくりと壊理のその小さな体をベッドに横たわらせる。
そして太陽は近くにあった椅子に座ってその寝顔を見ているのであった。そして日は過ぎていく。
─────────────
所変わって、休み明け。クローンのように生み出された夢見太陽の方が学校に来ていた。本体は壊理と遊んでいる頃だろう。
クローンといっても思考自体は元の存在と全くと言っていいほど同じなため殆ど元の存在と同じと言っても過言ではない。用済みになった場合もクローンが経験したものは全て本体にフィードバックするので最早もう1人の本人と言っていいだろう。
クトゥルフプレイヤーにわかりやすく言うならば、PLが2体の同じキャラを使っていると言う感覚に近いと言っていいだろう。
学校が少し早く終わり太陽*2はリューキュウの事務所へと来ていた。
「うちのインターンを受けてくれたのね」
「やった〜!!また一緒にできるね!!」
太陽はリューキュウと波動から熱い歓迎を受けていた。
その太陽の背後には2人の少女がビクビクと太陽を盾にするように縮こまっている。
「後ろの麗日さんと蛙吹さんもようこそ」
「は、はいっ!!よろしくお願いします!!」
「私もよろしくお願いするわ」
緊張でガッチガチに固まった麗日やそれを心配するように見ている蛙吹。この2人もまたリューキュウの元でインターンを受けることになっていた。
何故なら、彼女たちが職業体験で行っていたヒーロー事務所が今回のインターンでは実績などの関係で受け入れることができなかったためである。しかし、何かの縁か波動がリューキュウ事務所に来ないかと誘いに来た。もちろん太陽は強制だが。それに乗っかる形で2人はこの事務所にインターンにやってきたのである。
「よし、それじゃあ早速だけど。パトロールいこうか」
「がんばろ〜!!」
「う〜っす」
「は、はいっ!!」
「お茶子ちゃん、そんなに緊張しなくてもいいのよ?」
未だにガッチガチな麗日だったものの少しパトロールをすると本調子を取り戻し始めていた。
夜の繁華街。リューキュウのパトロール区域。帰宅ラッシュと噛み合ってしまったためか人が多い。リューキュウと波動が上空からパトロールする関係から太陽、麗日、蛙吹は地上へと降りてパトロールすることになった。
ということはどうなるかというと、太陽たちを見るような視線が多くなる。太陽は前にもリューキュウの事務所に職業体験に来ていたため特に視線を受ける。その殆どが好意的なものであるものの極たまに嫉妬のような視線を受ける。太陽はイライラしながらもちゃんと仕事はこなす。
「シーカーはすごいね。こんなに視線を浴びても普段通りなんやから」
「ん、ウラビティ*3。こういうのは全員ジャガイモだと思えばいい。先輩もそうしていたらしいしな*4」
「へ、へぇ〜。ジャガイモ…ジャガイモ…」
「そう言えば、みんな遠巻きに眺めているだけね。普通ならもう少し近付くはずなのに」
「そりゃあ、この状況見れば両手に花のクソ野郎に見えるからじゃね。知らんけど」
太陽たちが軽口を言い合っていると近くのビルから轟音が鳴り響く。
ビルから巨大な人物が2人組み合いながら飛び出てくる。それに伴いビルの壁は呆気なく倒壊する。それどころか組み合った拍子に近くの建物が巨大化
「行くぞ」
太陽はイヤホンから流れるリューキュウの指示を受けて走り出す。
蛙吹は即座に、手に人を書き始めていた麗日は少し遅れてそれに続く。
巨大化
巨大化
「それじゃあ、指示した通りに!!」
「いっくよ〜!!」
リューキュウの合図で戦闘を開始する。
はじめに先手必勝とばかりに波動が組み合っている
本来なら大きくなればなるだけ質量も上がっているはずなのだがそれすら簡単に転ばすことができ、しかもチャージ30だというので100だったら地形でもえぐれるのではないかと考えてしまう。
「今だよー!2人とも」
「「必殺!!メテオ・ファフロツキーズ!!」」
合図を出された麗日と蛙吹の2人は麗日の〝個性〟で空中に浮かび上がらせた瓦礫を勢いよく
「よかったよ〜。キンチョーした〜?」
「指示通り動けました!」
「ケロケロ。意外と落ち着いてやれたわ」
「ねじれが連れてくるだけあって2人とも筋がいいわね。ねじれも転倒させるタイミング直ってきたよ」
「俺の仕事ない〜!!」
「
「イエッサー!!」
太陽はリューキュウに言われるがままに警察の元へと向かう。
その無駄に強いコミュニケーション能力*5によってすぐさま輪の中に入った太陽は《門の創造》を使って警察の仕事を軽くしている。
そんな様子を見ながらリューキュウはその場にいる3人に話をすると。
「この分なら、〝あの案件〟でも十分に活躍できそうね」
「アノアンケン?」
「オールマイトの元・サイドキックであるナイトアイからのチームアップ要請よ」
数日後*6。ここ数日間、リューキュウから音沙汰がなかったが急に連絡が来た。その内容はとある建物への集合のメールであった。
太陽は麗日たちと一緒に行こうと思ったものの帰る途中でエンカウントしてしまった波動に連行されて先に行くことになった。
「リューキュウ!!何するの〜?」
建物の中に入るとリューキュウの他に多くものヒーローが集まっていた。その中にはワイルドワイルドプッシーキャッツの4人もいる。また、相澤先生までもいる。何故、授業が終わってから即座に来た太陽たちよりも早く着いているのか。車だろうか。
後から麗日、蛙吹、緑谷、切島や他のビッグ3も来て漸く説明が始まる。
「ナイトアイさん。みんな集まったみたいだしそろそろ始めましょう」
「そうですね。皆さんに提供していただいた情報のおかげで調査が大幅に進みました。死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか。知り得た情報の共有と共に協議を行わせていただきます」
ナイトアイと呼ばれたメガネをつけた七三分けのスーツを着た男性が話し始める。
ナイトアイはその発言の後、この部屋にいる人を大会議室へと案内する。
四角上に配置された机と椅子。プロヒーローとサイドキック、インターン生はそれぞれ近くに座り会議が始まる。
青い髪に水色の肌。下乳が見えるコスチュームをきたナイトアイのサイドキック*7が立ち上がって説明をする。
説明によれば、死穢八斎會と
「それでですね、今回『
「そこ飛ばしていいよ」
「うん!」
太陽はそこで引っかかる。見知らぬ単語が出てきたためだ。
それは麗日も気になったのだろう。小声で波動に尋ねる。
「ヒーローネットワーク?」
「プロ免許を持ったヒーローだけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり便利な〝個性〟のヒーローに協力を申請できたりするんだって!」
「おいおい、雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話がすすまねぇや。本題の〝企み〟に辿り着く頃には日が暮れちまうぜ」
(うわ、うざ)
太陽、心からの本音である。
褐色肌の男性プロヒーローが面倒臭そうに呟く。知らないことを聞くのはいいことだろうにさも話の腰を負ったかのように言っている。まぁ、小声で聞いた麗日に普通に大きな声で説明した波動にも非があるだろうが。
「ぬかせ!!この2人はスーパー参考人やぞ!!」
その雰囲気を破るようにまんまるの黄色い体にフィットしたコスチュームをきた関西弁を話すプロヒーロー:ファットガムが大きな声をあげる。
それに続いて静かな声でナイトアイが話す。
「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります。そこでその道に詳しいヒーローに協力を要請しました」
「そんで、先日の
「「「〝個性〟を壊す…!?」」」
「え…?環、大丈夫なんだろ?」
「あぁ、寝たら回復してたよ」
「回復すんなら安心だな。致命傷にはならねぇ」
「いえ、そのあたりはイレイザーヘッドから」
プロヒーローが多種多様の反応を示す。その効果に慄く人、回復することに一応の安心を示す人。そして、その効果を知っており重く埋め留めている人。誰もが相澤先生の説明を聞こうと耳を傾ける。
その効果は相澤先生のものとは似て非なるもの。相澤先生の『抹消』は対象の〝個性因子〟に作用させてその効力を一時的に休ませるものであるが、その〝クスリ〟はその〝個性因子〟自体に傷をつけるものだそうだ。天喰に撃ち込まれたものはその効果を正しく発揮させて一時的にだが天喰の〝個性因子〟に直接ダメージを与えていた。幸い自然治癒で治ったそうだが、それが治らなければどうなるか一目瞭然である。
「それで、その撃ち込まれたものの解析は?」
「ただただ〝個性〟にダメージが与えられていただけ!体には何の異常も示さんかった!撃った連中もダンマリ!銃もバラバラ!弾も撃ったっきりしか所持しておらんかった」
ファットガムはそこで一息つくと切島を指す。
「だが、切島くんが身を挺して弾いたおかげで中身の入った1発が手に入ったっちゅーわけや!!」
みんなの視線が切島へと向く。全ての視線は安堵や尊敬のものであった。
「切島くん、お手柄や!!」
「カッコイイわ」
「へ〜、やるやん」
太陽たちは口々に褒める。切島はそれ以前の話を話半分で聞いていたためかよくわかっていたいように周りを見ていた。
しかし、そんな空気も続くファットガムの一言で覆ることになる。
「そして、中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた…─────────────人の血や細胞が入っとった」
ゾワリと背筋が凍る。
「つまり、その効果は人由来ってこと?〝個性〟による〝個性〟破壊…」
「どういうことだ?話が見えてこないぞ」
「死穢八斎會の若頭、治崎の〝個性〟は『オーバーホール』。対象の分解・修復が可能というものです。『分解』…一度『壊し』『治す』個性。そして〝個性〟を『破壊』する銃弾」
ギリッと歯を噛み締める。口内に血の味が広がる。肚の内にドス黒い殺意が渦巻く。
「治崎には娘がいる。出生届もなく詳細はわからないものの、この2人とリューキュウの隣にいる1人が遭遇した時は手足に包帯が巻かれていた」
「まさか、そんな悍ましいこと」
「何の話っすか?」
「はぁ、わかれよな。─────────────つまり、娘の身体を銃弾にして捌いてんじゃね?ってことだ」
褐色肌のヒーロー:ロックロックが誰でも分かるように言い換える。
太陽の中で死穢八斎會は滅ぼすことに決まった。元々潰す予定だったが、今回は完膚なきまでにぶち滅ぼすことに変わった。
「想像しただけで腹わた煮え繰り返る!!今すぐガサ入れじゃ!!」
「そもそも、こいつらが保護してれば一発解決だったんじゃねーの!?」
「チッ」
太陽の口から舌打ちが漏れる。その音はシーンと静まり返っていた部屋に響く。
「なんだよ?お前らが保護してればよかったって事実を言っただけだろ?」
「はぁ…その場にもいない奴にとやかく言われたくねぇよ。それがわかったらその無駄にウルセェ口を閉じろ」
「はぁ!?誰に向かってそんな口を聞いてるのかわかってるのか!?」
「うるせぇな。黙れよ」
太陽は椅子の背もたれに寄りかかってロックロックを睨みつける。
仲裁するかのようにナイトアイが口を挟む。
「今ここで喧嘩をしても意味がありません。私たちは何としてでも彼女を保護するのが目的です」
その様子を見ながら緑谷と通形は机の下で酷く強く拳を握りしめていた。
その後は恙無く会議が進んだ。
最後にナイトアイが立ち上がって話し出す。
「娘の居場所の特定・保護。可能な限り確度を決め早期解決を目指します。どうか、ご協力よろしくお願いします」
誰もがその志を一つにした。
「では、この後個別に詳細をお渡ししますが。その前に伝えることがある人は」
いないであろうが一応のためナイトアイはそう問いかける。
手が上がる。
「ラグドールさん。どうしましたか?」
「はい、えっと一つだけ」
いつもの口調は何処へやら、社会人たり得る口調でラグドールは話し出す。
椅子から立ち上がって指を指す。
その先にいるのは太陽。
「ねぇ、君は誰?」
酷く低い声が会議室内に響く。
当の指された太陽はケロッとした顔でその言葉を聞く。
「いや、夢見太陽ですけど?どうしたんですか?」
「違う。わたしの〝個性〟がそう言っている。君、偽物でしょ?本物はどこ?」
ラグドールの〝個性〟は『サーチ』。一度見た相手の〝個性〟から弱点まであらゆる事を視る事ができるもの。故にクローン体のようなものであるここの太陽のことを見抜けたのだろう。
その言葉に会議室は騒ぎになり始める。相澤先生は既に〝個性〟で太陽の〝個性〟を使えなくしている。呪文や技能自体は〝個性〟の範疇ではないので殆ど意味をなさないが。
(どうしようかな。バレるとは思わんかったし……適当にはぐらかす。いや、普通に言った方がいいか)
既に太陽の腕はリューキュウの人外の膂力で逃げられないように握りしめられている。太陽はそれを腕の形を変えることで難なく通り抜ける。
そして太陽は机の上に立ち上がって堂々と話し出す。
「はぁ、バレちまったもんはしょうがねぇな。……よくわかったな、俺は偽物だ」
「はぁ!?どういうことや!?あんた
ヒーローがすぐさま立ち上がって太陽を取り囲むように動き出す。
太陽は彼らを静止するように手を出す。
「
「「「はぁ?」」」
「これを活かすも殺すも君たち次第だ。俺としてはこれを聞き入れて早めに来て欲しいがな」
太陽はそう言うとドロリと肉体を溶けさせて消えていった。
無駄に悪役っぽいロールプレイだった模様。
音本真 〝個性〟「真実吐き」
この小説ではこの〝個性〟を使う際に受ける方はPOW100との対抗ロールを強制的にさせられ、負けると真実しか話せなくなる《支配》に陥る。
太陽の生み出したクローン体のようななにか
太陽の思考をコピーした存在。本体からクローン体にはいつでも考えを伝えたり、クローン体を操作したりできるもののクローン体から好きな時に考えを伝えることはできない。1日の終わり、0時丁度に本体にその日起きたことが自動的に伝わる。
クローン体であり用が済んだら本体に吸収されることを理解しており納得している。どちらもおなじ思考なのであんま問題ないなと考えている。
ショゴスが原型として使われているので自分の意思で自らの肉体を消失させる事ができる。その際は記憶とか全て本体にいく。
コピーアンドペーストされて同じシナリオで使われているキャラシのようなもの。
因みに〝個性〟は本体に宿る。
─────────────
初めて会った太陽と別れて治崎と帰った後。壊理は人体実験を受けることになっていた。
腕と足を固定するような椅子。ドラマでしか見たことがないものである。
壊理は促されるままに椅子に座る。
治崎は慣れた手つきでメスを取り出すと壊理の体に突き立てる。
カキーン!!
メスは何かに弾かれる。
「は!?」
「…え?」
治崎は見間違いかと思いもう一度メスを突き立てる。
カキーン!!
見間違いでもなんでもなく壊理の体はメスを弾く。
「どう言うことだ!?」
「ヒッ……」
「壊理!?何をした!?」
治崎は壊理に詰め寄る。しかし、壊理は恐怖で声も出ない。その様子を見て治崎は壊理は何もしていないだろうと考える。
「チッ」
カキーン!!
治崎は最後の手段として掌を壊理に当てる。本来ならばその行動で壊理は一度壊され、再度新たに構成されるはず。
しかし、それすらも壊理の肉体は弾く。治崎のイラつきはさらに溜まる。
それから3時間、治崎は壊理にできる限りの苦痛を与えようとしたもののそれらは一切合切弾かれてしまったため治崎はとうとう諦める。
邪神の攻撃すらも通さないほど硬い《肉体の保護》はちゃんと壊理のことを守ったのであった。