眠すぎでさっさと寝たいので最後辺りが適当になっている。
いつか直します。
偽物がバレた次の日。
朝っぱらだというのに死穢八斎會のアジトは騒々しかった。それは、地下の居住区から離れている壊理ちゃんの部屋まで届くほどであった。
太陽がそれを感じ取り目を覚ます。時計を手に取って見ると時刻は朝8:30。太陽は普段通り壊理ちゃんを起こそうとベッドに行く。
「あら?」
そこには壊理ちゃんはいなかった。争った形跡もなく、布団は雑に地面に落ちている。
太陽は寝起きの頭を働かせる。そして一つの結果に辿り着く。
「よし、ここ潰すか」
やくざ邸終了のお知らせである。
そうと決まれば行動は早かった。太陽は
『聞こえてる?』
『あ、起きました!?』
『聞こえてるぜ!!』
『よし。じゃあ俺、ここ潰すから』
『わかりました!!私たちも好きに動きます!!』
『おう!!』
太陽はインカムを外し、再度電源を切ってしまう。
そして、虚空から最近新たに使えるようになったキャラシの本を取り出す。
ここは呪文とか使わずに潰したいと考えていたのでその中から適当なキャラシに着替える*1。
手元にシャベルを持つと部屋の扉に手をかける。
時刻は8時35分。
少し遅れたが、これより内部から死穢八斎會の攻略が開始される。
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扉の先は異様な空間となっている。床や壁、天井はぐにゃぐにゃと形を変えて固定されない。一本道になったかと思えば別の通路が生み出され、どこの道を通ればいいのかなどわからない。
太陽は試しにシャベルを使って壁に傷をつける。迷いそうな迷路であれば傷が目印になるはずだが、その傷は通路が変化すると塞がれてしまう。太陽が何度傷をつけようが結果は同じ。痺れを切らした太陽が掘って見るもののそれもものの見事に修復されてしまう。これにより目印をつけることができなくなっている。
「チッ、だるいな」
壊理ちゃんがいなくなった(どうせ治崎に連れて行かれたのだろう)ことやそれに気づけなかったことでイライラが募っていた太陽には天敵のような要素。ストレスをさらに溜めていく。
この場所で止まっているにも埒が空かないと判断し、先に進むことにした。波打つように変化する床は走りにくい。
「もう、めんどくせぇ!!《門の創造》使ってやるよ!!」
移動しても移動しても常に変わりまくっている通路のせいで正しいのかどうかすらもわからない。遂には早々に禁止しようとしていた呪文を使う。
太陽は壊理ちゃんをビーコンにして門を作り出し即座に入る。太陽の視界は一瞬にして変化する。
門を潜り終えるとそこは地下通路。何一つ変化していないところである。目の前には治崎と音本、そして音本に抱かれるようにして壊理ちゃんがいる。
太陽は門を出ると同時に持っているシャベルを治崎の土手っ腹に突き立てる*2。
「おら、死ねッ!!」
治崎の体が真っ二つに切り裂かれる。
治崎は目を見開いて太陽の姿を凝視している。今にも「は?」と言いそうな顔である。
音本は治崎の様子を見て仮面で顔は見えないが驚いた様子で壊理ちゃんを放り投げて治崎の元へと近寄る。
「よし、キャッチ」
太陽はその俊敏な体を持って放り投げられた壊理ちゃんを壊さないように慎重に受け止める。
治崎が呆気なく倒されたことに呆然としていた壊理ちゃんだったが受け止めた人物が太陽だということに気がつく(気がつくか?)と目に涙を溜める。
太陽は変化していたキャラから元に戻ると壊理ちゃんに優しく声をかける。
「何度もごめん。ちょっと遅れた」
「ぐすっ……よかった…来なかったら…お兄さんが来なかったらどうしようって………うわあぁぁぁあ」
壊理ちゃんは太陽の首元に顔を埋める。太陽はその姿をただ抱きしめる。
これにて一件略着という雰囲気をぶち壊す声が背後から聞こえてくる。
「てめぇ……何しやがる!!??」
何故か生き返っている治崎である。
どういう手品かなき別れになったはずの上半身と下半身がちゃんとくっついている。目は酷いほど充血して太陽を睨んでいる。
太陽は体を振り向かせて治崎の方を見る。治崎は元の姿に戻った太陽を見てさらに怒りを露わにする。
「お前は…どこから入ってきた!!??」
「どこって、ずっといたぞ?……あぁ、この姿じゃないな!《変質 ウボ=サスラ》」
太陽は死穢八斎會にいた際の姿に変わる。
その姿を見た治崎は目を見開く。
「なぜ音本の〝個性〟が効いてない!?なぜ雄英生のお前が
「あぁ、嘘つけなくするやつ?俺の方が精神力が高かった。ただそれだけ。あと、俺が
太陽は壊理ちゃんを左手で抱きしめると右手にシャベルを持つ。
「知ってるか?シャベルって刺したり斬ったり殴ったり埋めたりできる万能武器なんだぜ?」
「どうでもいい。さっさと壊理を返せ」
両肩からプラス2本の腕を生やした治崎は一度頭を潰して作り直すことで冷静さを取り戻し、静かに太陽に命令する。
治崎の倒れていたであろう血溜まりには先ほどまで音本がつけていたマスクが落ちている。おそらく死の間際に音本を取り込んで生き返ったのだろう。『オーバーホール』という〝個性〟の奥の手である『融合』を使ったのだろう。
「お兄さん…死んじゃう」
「死んじゃう?お前のせいだろ、壊理。お前が人を壊すんだよ」
「よ〜し。お兄ちゃん、張り切っちゃうぞ〜!!」
三者三様の意見を示す。腕の中で太陽のことを心配するも太陽はそんなこと意にも返さない。太陽にとっての最優先事項は壊理ちゃんを連れ出すことなのでそれさえ達成できれば死ぬことなどどうでもいいことである。なんとまぁ悲しい探索者の性であろうか。
治崎は手を地面につける。ズガガガガガ!!!!と太陽を襲うように地面から無数の棘が現れる。
地面、壁、天井。四方八方から現れた棘は太陽と壊理ちゃんを押しつぶすように突き刺さる。
「雑作もない。これであとは壊理を回収すれば」
「あ?何気ぃ抜いてんだ?」
治崎が死んだだろうと考えて棘を戻そうと目を離した瞬間、棘を突き破るように園芸用スコップが飛来する。それと同時に太陽たちを囲うようにしてできていた棘が全て薙ぎ払われる。バギボギィィ!!!と棘は粉々に砕かれている。その中には無傷の2人が立っている。太陽はシャベルを肩に担いで壊理ちゃんを抱き抱えている。
治崎は肩から生えた腕で掴んだ園芸用スコップを握りつぶし、ペストマスクと融合した口を歪ませて睨む。
「そんなに殺されてぇのか」
「何言ってんだ?俺がお前を殺すんだよ」
治崎は絶大な脚力を持って太陽へと肉薄する。その4本の手を太陽に向けて触る体制を取る。これは潔癖症である治崎としては珍しいことだが今は潔癖症が云々と言っていられるほど余裕がない証拠だろう。
太陽はその手が壊理ちゃんに当たらないように左半身を庇うようにして避ける。シャベルを使って腕を逸らしたり手に当たらないように体を動かしたりと回避を続けている。太陽の表情は飄々とした人を食ったようなものではなく真剣そのもの。壊理ちゃんに何がなんでも当てないようにしているため神経を使う。
ビキビキビキッ!!!
腕を逸らしていたシャベルが治崎によって掴まれる。太陽がすぐさまシャベルから手を離すも既に遅い。シャベルを介して太陽の右腕に罅が入る。ちざきが触った起点よりも遠いためか進行は遅いもののその腕は段々とボロボロと崩れ始める。シャベルはとっくに粉々になっている。
「ああっ!」
壊理ちゃんの悲鳴が響く。太陽は顔を顰めるもすぐさま呪文を唱える。
「《幽体の剃刀》」
太陽の腕が根本から切り落とされる。肩より先には進行していなかったためこれによって『オーバーホール』による分解は止まる。切り落とされた腕はまもなく粉々になって消えていく。
「チッ、片方だけか。だがまぁ、もう一つの腕は壊理を抱えているから使えないだろ?」
「やっぱり…私のせいで………」
「ん〜、生えるけど?」
太陽が右腕に力を入れるとニョキニョキニョキと腕が生えてくる。太陽は右手を握りしめて感覚を捉える。そしていつものように使えることを確認すると右手を前に出す。
太陽の右手にはいつの間にか拳銃が握られている。ドンッ!!とデザートイーグルが治崎に向けて発砲される。治崎は咄嗟に肩の第二の右手を前に出して弾を受け止める。〝個性〟を発動している暇もなかったのか弾は第二の右腕を貫通すると治崎の顔スレスレを通る。手の肉で少し軌道がずれたらしい。
「あれ、避ける?まぁいいや、死ね」
「テメェ!!」
太陽はどこからともなくシャベルを取り出すと右手のみでありながら凄まじい威力を持った突きを放つ。その突きは前に出していた第二の右腕を裂くように掌を突き抜ける。そしてフンッ!!と力を加えると腕が真っ二つに裂ける。
治崎は背後に飛び退くと第二の右腕を修復する。そしてポケットから1つの薬のようなものが入った注射器を取り出す。
「これを使う予定じゃなかったが。テメェだけは殺す」
治崎は器用に第二の左腕を使って注射器を首筋に突き刺す。刺された首筋からは罅割れに似たものが広がる。
「これは唯一できた完成品。理性を飛ばさず〝個性〟をさらに強化する!!それも!粗悪品なんかの10倍強化どころじゃねぇ!!100倍、1000倍は強化できる!!!…気分がいいぜ!!!!俺はなぁ!!こんなとこで止まっているわけにはいかないんだよ!!!!!!」
治崎の肉体がどんどん変化していく。第二の腕はさらにゴツく、顔はペストマスクとさらに融合して醜悪に、地面や壁、天井の石やコンクリートがゆらゆらと動き出す。そしてそれらは棘のような形状を取ると超スピードで太陽たちに飛び出す。途中で原子構造を変えその色を透明なダイヤモンドへと変化させる。
「危ねぇな」
太陽は片腕に持ったシャベルだけで棘を捌く。
微妙に傷を負うもすぐさま綺麗に修復される。それでもなお棘は止まらない。それどころかさらに速度を上げてきている。
「あらら?」
太陽は真下から足を突き刺す痛みを感じる。見ると両足の甲を棘が貫いている。踏ん張りが効かず太陽はその体を倒してしまう。それを好奇と捉えた治崎はいくつもの小さな棘を纏めると転倒から起き上がる前に太陽の心臓目掛けて打ち込もうとする。
その瞬間、天井が崩落する。
「見つけた!!」
それはドラゴンであった。いや、ドラゴンになることができるリューキュウの姿。横には波動や麗日、蛙吹たちが立っている。
「もう来やがったか」
治崎は舌打ちすると辺りの石材や木材と自らの肉体を融合させてさらに大きい肉体を作る。
それはこの地下空間では収まりきれず地上へと飛び出す。
太陽はその様子を見つつ、一言つぶやく。
「いっちょ、バケモン退治といきますか」
現在ヒロインレース1位は壊理ちゃん、2位は被身子、ヒーロー側も頑張って欲しいです。