TS魔法少女は魔法少女を救いたい〜虚構の魔法少女アリス   作:廃棄工場長

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第七十一話 今後について

 アリスはショッピングモール――の内装が完璧に再現された建物に到着した。現実世界のこのショッピングモールは、アリスも何度もお世話になっており、人気が全くない状況に違和感しかなかった。

 一向にこの異空間の主らしき姿は確認できない。無人の世界であるようだ。

 アリスは広場の方に行き、そこに設置してあるベンチに黒兎をそっと下ろす。

 

 

「……これで目が覚めるかな……?」

 

 

 黒兎の魂が具現化された宝玉を、黒兎の胸に添える。そうすると、漆黒の宝玉は黒兎の胸に溶けるように消えていく。

 

 

「……ん? ここは一体……どこなんだな?」

「――黒兎! ようやく目を覚ましてくれたね」

「――アリス!? 吾輩は確か……。そう言えば、ビルはどこに――!?」

 

 

 それまで意識を失っていた黒兎は状況の変化についていけず、慌てたように周囲を見渡した。そんな黒兎に対して、アリスは落ち着くように言う。

 

 

「――ビルと彼が連れてきていた『魔女』は、僕がきちんと倒しておいたから。だから安心して。戦闘が終わった後、結界が解けちゃったせいで『連盟』に捕捉されないようような場所を見つけるのには苦労したけど」

「そ、そうなんだな……。では、ビルはどこに――」

「――ビルなら、僕が殺したよ」

「――な!?」

 

 

 アリスの思わぬ言葉に、絶句する黒兎。それと同時に、黒兎の顔には怒りとも悲しみとも言えない表情が浮かぶ。そこには困惑しかなかった。そういった反応になるのも、アリスには理解できる。

 黒兎とビルの関係性は、再現によるものとはいえアリスは実際に自分の目を通してみたのだ。彼らの関係性は、クレアという同じ少女に仕える者同士――といった固いものではなく、『家族』と表現しても差し支えないものであった。

 

 

 たとえ道を違えて敵対した後であっても、『家族』の死を知らされるのは筆舌にし難い苦しみは存在する。アリスにも経験があることであり、黒兎の感情の整理が追いつくまで、無言を貫いた。

 

 

 時間にしてたっぷり三分間が経過した頃。冷静さを取り戻した黒兎は、アリスに謝罪をする。

 

 

「すまなかったんだな……。本来であれば、あいつに引導を渡すのは吾輩がすべきことであったはずなんだな……。それをアリスに押し付けるような形になってしまったんだな……」

「別にそれは気にしなくていいよ。これ以上は重たくなりそうだから、その話は一旦ここでおしまいね」

「了解したんだな……」

 

 

 その後アリスと黒兎は二人でベンチに腰をかけて、情報の整理をした。しかしその中に、マッド・ハッターの魔法による情報抹消を行った事実は含まれなかった。

 当然その対象には、黒兎も含まれている。効果があるのは、今までの会話でアリスは確信していた。黒兎は覚醒してから、アリスのことを一回も■とは呼んでいないからだ。

 

 

 黒兎であっても、もう■の名前で呼ぶことはないという事実に若干寂しくなるアリス。表情が曇るアリスの顔に視線をやりつつ、黒兎は首を少しだけ傾けた。

 

 

「どうかしたんだな? アリス」

「……ううん。何でもないよ」

 

 

 

 

「それでアリスは、これからどうするんだな?」

「僕に今やりたいことは二つある。一つ目は『連盟』に襲撃を仕掛ける。まあ、正確には魔法少女ではなくて、妖精が目当てだけど。今後の地球が平和である為には、妖精がいると都合が悪いからね」

 

 

 そこで黒兎はアリスに疑問にぶつける。

 

 

「アリスは自分の魔法を自由に扱えるようになったんだな? 『帽子屋』の魔法で吾輩以外の妖精の記憶を弄れば、穏便に済むのではないんだな?」

「いや……マッド・ハッターの魔法が全ての妖精に効く保証はない……って言いたいけど、それで終わらせたくないんだ。妖精には僕も思う所があるから。今まで散々地球で好き勝手してくれたんだし。――それにハートの女王の力を見せつけるにはちょうど良い相手だからね」

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