TS魔法少女は魔法少女を救いたい〜虚構の魔法少女アリス   作:廃棄工場長

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第七十八話 『連盟』壊滅③

 ――『虚構の国の女王』が展開されてから六分三十秒が経過した頃の、日本の地方都市を管轄区域とする『連盟』の支部。

 所属する魔法少女のレベルはダイヤモンド・ダストを除き、お世辞にも高い訳ではない。しかし氷属性の魔法を使うダイヤモンド・ダストを始め、フレイやアクアの三人は対軍勢に、他の魔法少女よりも秀でていた。

 

 

 けれど、そんな彼女達を以てしても今回の異変は容易に対処できる類のものではなかった。

 

 

「ああ、もう数が多すぎるよ!?」

「フレイム! あまり私とダイヤモンド・ダストから離れ過ぎないように!」

「そんなことを言っても、全然処理が追いついてないよ!?」

「……私が先行する」

「ダイヤモンド・ダストも一人で前に出すぎないでください!? 私達の内、誰か一人でも倒れたら一気に攻め込まれてしまいますよ!?」

 

 

 突如として世界各地の『連盟』関係の施設に、姿を現した異形の軍勢。その軍勢を構成する中に、トランプ兵がいたことで、この襲撃が連日起こっているものと同一犯であることが分かった。

 それが分かった所で、事態は全く好転はしないのだが。

 

 

 上からの命令で支部で寝泊まりを行っていた魔法少女達は迎撃に出たのだが、あまりの数の多さに辟易としていた。

 それだけではない。情報部の予測では、トランプ兵は一体一体が中堅の魔法少女に匹敵する強さがあり、生半可な攻撃では決定打にならない程の再生能力を保有している。

 そのせいで、ダイヤモンド・ダストの魔法でも決め手に欠けており、凍結させることで動きを止めることが精一杯のようだ。

 

 

 またトランプ兵達に加えて、初めて見るタイプの使い魔も軍勢に混じっていた。人間大の大きさの卵に、人間のパーツが付いた化け物のような風貌をした使い魔。

 卵の殻部分に子供が無理矢理取ってつけたような顔が、醜悪な笑みを浮かべていて、己の体の負傷を気にせず侵攻を続けている。

 

 

 フレイムが爆炎を、アクアが水流を、ダイヤモンド・ダストが猛吹雪を。それぞれの魔法を用い、局地的な災害を具現化する。

 もちろん周囲に余計な被害が出ないようにと。

 

 

 彼女達三人の連携やアリスがこの支部をマークしていなかったことも影響して、使い魔達の無秩序な進軍を食い止めることができていた。

 運が良ければ、『虚構の国の女王』の終了時間まで耐えることは可能だったかもしれない。

 問題はそもそも彼女達はそのような時間制限があることも知らず、運命の女神様はそれ程優しくなかったということだ。

 

 

「――『ブリザード』! ……この気配は!?」

「ダイヤモンド・ダスト。どうかしましたか? ……なるほど、運が良いのか悪いのか。騒動の元凶が、私達のいる支部にピンポイントで来るとは……」

 

 

 魔法を一度放った後、いの一番に不自然な魔力の流れを察知したのはダイヤモンド・ダストであった。その次に異変の正体を理解したのはアクア。

 彼女達が感じた不自然な魔力の流れの正体は、転移魔法による『門』が発生した時特有の揺らぎであった。

 

 

「――『魔女』アリス!」

 

 

 三人の内の誰がその名を口にしたのか。一連の『連盟』の襲撃事件の犯人が姿を現す。

 

 

 虚空に発生した転移『門』の中から、一人の少女――『魔女』アリスが出てくる。彼女は長い白髪を纏めるトレードマークの黒色のリボンを揺らしながら、地面に降り立つ。

 

 

 かつん、と。彼女が履いていた靴と床が触れ合うことで、どこか小気味よい音が鳴る。『魔女』アリスは肩に兎の縫いぐるみに似た契約妖精を乗せ、薄っすらと瞼を開けてアクア達に視線を向ける。

 

 

「君達は覚えてないと思うけど、因果応報ってものはあるのかな?」

「…何を言ってるのか、分かりませんが貴女はここで撃破させてもらいます。『魔女』アリス」

「うん。この段階まで来たら、言葉は不要だね。――来て、ジャバウォック。邪魔者を排除して」

 

 

 『魔女』アリスの声に従うように、背後の『門』から紫色の異形の竜――ジャバウォックが飛び出してくる。

 

 

「■■■■ッ!」

 

 

 ――『虚構の国の女王』が展開終了まで、残り三分間を切っていた。最後の闘いが繰り広げられようとしていた。

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