バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【二年Aクラス選手データ①】

佐藤美穂
・成績……A+
・操作技術……C
・野球センス……D+

操作技術は平々凡々かつルールはなんとか覚えたものの野球センスは並以下と、それほど警戒が必要な相手ではない。しかし点数は雄二以上で当たればデカいため油断は禁物。


沢渡晴香
・成績……A
・操作技術……C
・野球センス……B

全国レベルのラクロス部でエースを任されるほどの運動神経が武器。操作技術は並で成績もAクラス内ではそれほど突出しているわけではないが、文系科目は飛鳥以上の点数を取っている。

二宮悠太
・成績……A
・操作技術……C
・野球センス……A+

成績は理系が飛鳥以上の点数を取っているが総合的には秀吉より少し上程度、そして操作技術もこれていって優れているわけではない。しかし野球部員、それもキャプテンなだけあって『アクティブ』正規メンバーに匹敵する野球センスの持ち主。





野球大会決勝②『完全試合をぶっ壊せ!』

〈蒼介〉の圧倒的なストレートに為す術も無く三者凡退してしまったFクラス一同。そんな彼らに第二の試練が襲いかかろうとしていた。相手があんな球を投げてくる以上大量得点は到底期待できそうもない。であれば当然Aクラスには可能な限り点を献上しないことが勝利する上で必須となるのだが……

 

 

《物理》

『Fクラス 木下秀吉 236点

 Fクラス 坂本雄二 292点

VS

 Aクラス 大門徹  411点』

 

 

徹「ちっ、鳳のストレートを捕球する以上多少の消耗は仕方ないが……まさかこの僕が物理でこんなしょっぱい点数を晒す羽目になるとはね」

雄二(消耗してなお400点オーバーかよ……しかもこいつは野球の実力も一級品ときたもんだ。出塁率8割か……勝負するだけ損だな)

 

雄二は迷い無く敬遠を選択し、〈雄二〉は立ち上がってバッターボックスからでは絶対にバットが届かない位置にミットを構える。秀吉も特に異論は無く、指示されたコースにボールを投げ込んでいく。

 

御門「フォアボール」

徹「……ま、それが賢明だろうね」

 

続いて二番バッターの〈沢渡〉は手堅く送りバントを選択し、〈徹〉を得点圏である二塁にまで進める。〈徹〉のスペックなら盗塁という選択肢もあったが、観察力に優れる秀吉相手に仕掛けるには少々リスキー過ぎると判断した。それにそもそも……中軸の破壊力を考えれば余計な小細工は不要というものだ。

 

優子「アンタと野球で闘う日が来るとはね……アタシはそう簡単に打ち取れないわよ秀吉!」

秀吉「姉上……望むところじゃ!」

 

バッターボックスに召喚獣を配置しながら優子は実の弟と向かい合う。ごく普通の野球で勝負すれば秀吉に勝ち目は無いがこれはある程度召喚獣の強さに依存する闘いなので、秀吉にも勝つ可能性はある。

 

 

《物理》

『Fクラス 木下秀吉 236点

 Fクラス 坂本雄二 292点

VS

 Aクラス 木下優子 389点』

 

 

それでも不利であることは否めないのだが。点数差はもとより、クリーンナップを任されているだけあってバッティングセンスも並外れていると考えていいだろう。

 

雄二(本来なら真っ向勝負は危険過ぎる……が、次もその次も危険なバッターなことに変わりは無い。流石に毎回敬遠するってわけにもいかないし、ここらで何とか抑えておきたいのも事実だ。さてどうするか……ん?)

 

優子への対処を試行錯誤している雄二は、和真が雄二の方に視線をに向けることなく、さりげなくハンドサインで合図を送っていることに気がつく。

 

雄二(…………なるほど、試してみる価値はあるな)

 

和真のサインから意図を読み取った雄二は真っ向勝負を選択。〈秀吉〉は〈雄二〉がミットを構えた場所に込こむため、全力でボールを振りかぶる。

 

優子(200点オーバーでも充分速いけど、直球しかないなら打てない球じゃないわ。そしてアタシの狙いは……)

 

バッターとしての優子の強みは、どのコースだろうがヒットを狙えるミート力と、左右に正確に打ち分けられるバットコントロールにある。野球は『アクティブ』の活動でも何度もやったが、和真の尋常じゃない守備力は嫌と言うほど印象に残っていた。レフト方向に打てばアウトになる可能性がかなり高い……そう判断した優子は、

 

優子(ライト方向!)

 

カキィィン!

 

ライト方向へ強烈なライナー性の打球を放った。セカンドの〈ムッツリーニ〉、ファーストの〈明久〉はその物凄い打球速度に反応できず、さらにライトを守っているのは野球センス0の〈姫路〉とまさに最悪のシチュエーションである。〈徹〉の本塁生還は確実、下手をすればランニングホームランになりかねない絶体絶命の状況だ。

 

 

 

 

 

 

和真「読み通りだぁぁあああ!(バシィィィッ!)」

 

優子「なっ!?」

 

そう……〈和真〉が持ち場をを離れてライト方向へカバーに集中していなければ、確実に失点していただろう。

 

和真「よっしゃ、このままゲッツーだ!」

徹「残念だったね、僕も保険をかけていたのさ」

和真「……ちっ、そう上手くいかねぇか」

 

そのまま二塁に送球してダブルプレーを狙おうとするも、〈徹〉は二塁から動いていないためそれは叶わなかった。どうやら和真の策をある程度読んでいたらしい。

 

優子(くっ、一打席目は完敗ね……次はこうはいかないからね、和真)

和真(まあ、優子を打ち取れただけでも良しとするか……おーおー、悔しそうな顔してやがる。余計な火ぃつけちまったかもしれねぇが、それでも勝つのは俺達だ)

 

いつも一緒にいる和真と優子が火花を散らすなか、名実ともにAクラス最強の打者がバッターボックスに入る。

 

 

《物理》

『Fクラス 木下秀吉 236点

 Fクラス 坂本雄二 292点

VS

 Aクラス 鳳蒼介  604点』

 

 

御門「フォアボール」

 

そして即座にフェードアウト。点数もさることながら和真をも凌駕するミートセンスの持ち主に真っ向勝負を仕掛けるなど、勝負を投げ捨てるような愚行そのものである。蒼介もそれを理解しているため、特に何も言うこと無く召喚獣を一塁に進める。

 

 

《物理》

『Fクラス 木下秀吉 236点

 Fクラス 坂本雄二 292点

VS

 Aクラス 二宮悠太 318点』

 

 

次のバッターは二宮。理数系というだけあってかなりの点数、おまけにその召喚獣を操るのは野球部キャプテンと強敵であることが嫌でも伺える。

 

御門「フォアボール」

 

二連続敬遠でツーアウト満塁。野球部キャプテンを相手にするよりかは飛鳥を打ち取る方が容易であると雄二は考えたのだろうが……

 

飛鳥「……はぁっ!(キィイン!)」

雄二「し、しまった!?」

 

そんな雄二の思惑など粉砕してやると言わんばかりに、〈飛鳥〉はセンター前にタイムリーヒットを放つ。雄二の判断は間違っていたわけではなく、飛鳥よりも二宮の方が危険なバッターであることは確かである。だがしかし、だからと言って飛鳥が御し易いバッターかとなれば話は別というだけだ。七番バッターである〈久保〉はどうにか三振させることができたものの、雄二達はAクラスに痛すぎる1点を献上してしまった。

 

《一回裏終了。現在0-1》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二回表。この回の科目は英語であり、先頭バッターはFクラス最強の矛こと柊和真。

 

和真「さてと……悪いがくれてやった一点、早々に返してもらうぜ」

蒼介「それはできない相談だな」

 

親友でありライバルでもある二人が対峙するなか、召喚獣の点数が遅れて表示される。

 

 

《英語》

『Fクラス 柊和真 458点

VS

 Aクラス 鳳蒼介 607点

 Aクラス 大門徹 332点』

 

 

点数だけで判断すれば多少負けてはいるものの絶望的という程ではない。しかし〈蒼介〉の放つ超豪速球は、和真の並外れた反射神経・動体視力を持ってしても捉えきれるものではないだろう。そういった自負が有るためか生来の負けず嫌いによるものか、蒼介は真っ向勝負を選択する。和真は一瞬〈徹〉に視線を向けてから蒼介に向き直る。

 

ズドォォオオォォォオオン!!!

 

耳をつんざく衝撃音と共に、〈蒼介〉の放ったボールは徹の召喚獣が構えたミットに収まる。

 

和真(一回表に比べるとインパクト音が小っちぇな。おそらく徹の召喚獣の点数が削れすぎて戦死しねぇように力を8~9割程度に抑えてるんだろうな。……だがなソウスケ、)

 

いつものように不適な笑みを浮かべる和真。

 

和真(今のでハッキリした。

この勝負……俺の勝ちだ!)

 

そして〈和真〉はバットを〈蒼介〉の奥、召喚フィールドの端へと向ける。ざわざわと、野球に詳しい生徒達は皆ざわめきだす。

 

明久「ほ、ホームラン予告……」

雄二「ハッタリ……じゃなさそうだな」

飛鳥「まさか……もう対応できるって言うの?」

優子「相手はあの和真、万全を期するために敬遠するのも手だけど……代表の性格上それはないでしょうね」

蒼介(……フッ、面白い。やれるものならやってみるがいい!)

 

優子の予想した通り蒼介は片眉を吊り上げただけで特に動揺もせず、あくまで真っ向勝負の姿勢を崩さないようだ。和真はまた〈徹〉を一瞥してから〈和真〉にバットを構えさせる。

〈蒼介〉は大きく振りかぶって、1球目とは違って100%のストレートをアウトローいっぱいに投げ込む。人間の反応速度では決して見てからでは間に合わないであろうその豪速球を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィイイィィィィィイイイン!!!!!

 

蒼介「……っ!?」

和真「……これでイーブンだ」

 

〈和真〉は何の躊躇いもなくジャストミートした。流石の蒼介も思わず瞠目しつつも打球を目で追うが、ボールは行方を追うことすら叶わずに遥か彼方に消えていった。

 

御門「……ホームラン」

 

1~3試合ともただ一人たりとも塁を踏ませることなく勝利を収めてきた蒼介のストレートを見事打ち砕いた和真は、悠々とベースを周りベンチに戻り仲間達と盛大にハイタッチをする。

 

明久「それにしても、よくあんな平然と打てたね?」

和真「ちょっとしたコツがあるんだよ」

秀吉「そのコツとやら、ワシらにも教えてくれんかのう?」

和真「あいよ」

 

秀吉に頼まれるまでもなく和真は教えるつもりでいた。和真一人が打てるだけではこれ以上の得点は望めそうにないからだ(次からは間違いなく敬遠されるだろう。蒼介はプライドが高いものの勝つために必要とあれば勝負を避けることも厭わない人間である)。

 

和真「いいかお前ら、いくら徹がキャッチャーとして優秀と言っても、あんな化け物ストレートを見てからミットの位置を補正するなんてできっこねぇ。つまり徹が事前に構えた所にソウスケが投げ込むというスタンスになっている。そうとわかればソウスケが投げる前にミットの位置を確認しときゃある程度コースが事前にわかるっつう寸法だ」

明久「ふーん、なるほどねぇ。で、他には?」

和真「あん?球種とコースさえわかりゃ後は感覚で打てるだろうが」

「「「………………」」」

 

そんなことできるのはお前だけだよ……とその場の全員が思ったそうな。ちなみに被弾してしまったものの蒼介の鋼の精神力は少しも揺らぐことなく、そのまま三者連続三振に打ち取りこの回を終わらせた。

 

和真(完全試合が早くもお釈迦になったっつうのに涼しい顔しやがってよ……まぁ、この程度で崩れられても面白くねぇけどな)

 

蒼介の最大の強みは召喚獣のずば抜けたスペックでも、和真に比肩する操作技術や野球センスでもなく、決して崩れることのない強靭な精神力にあるかもしれない。

 

《二回表終了。現在1-1》

 

 




小さい頃は何故か電車がすごい好きだったのに、今となっては乗るだけで疲れます……。
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