次の文章を読み、・・・・・・の部分の理由として
若くして夫婦になったジムとデラは、貧しくも互いを愛して暮らしていました。
ジムの宝物は代々伝わる金の時計、デラの宝物はその美しい髪の毛でした。
クリスマスの前日、デラは愛する夫にプレゼントを買う為、自慢の美しい髪を切ってかつら屋に売ってしまいます。
そしてそのお金で、ジムの金の時計につけるプラチナの鎖を買ったのでした。
ジムは家に帰ると、デラの姿を見て……怒りでも、驚きでも、不満でも、恐怖でもない、
ジムがデラに用意したプレゼントは、デラが憧れていた美しいくしだったのです。
(ア)買って来たプレゼントが、デラにとって必要のないものになってしまったから
(イ)デラが自分を想っていてくれた事が嬉しいから
(ウ)美しいデラが髪を失ってみすぼらしい姿になり、がっかりしたから
(エ)デラからのプレゼントを付ける筈の時計を売ってしまっていたから
翔子の答え
『(ウ)』
蒼介「正解だ。これはクリスマスにまつわる有名な話の1つで、お互いに買って来た物は役に立たなくなってしまったけれども相手を想う気持ちが伝わってくるという話だ。諸君らには是非ともそういった家庭を築いてほしいと思っている」
愛子の答え
『(ウ) ※ ショートヘアだって可愛いですよ!』
蒼介「正解だがどこか求めている答えと違うな……。ともあれ、誤っている物の選択という問題に対しては(ウ)という解答なので、一応正解だ」
須川の答え
『(ク)リスマスはキリストの生誕を祝う日であり、男女が乳繰り合っとる事自体が間違っとるんじゃぁーっ!!』
蒼介「選択肢を勝手に増やすな馬鹿者」
一打席目は迷うことなく蒼介を敬遠したのにも関わらず、今回は打ち取る気満々の様子である。
これはキャッチャーが〈雄二〉から〈和真〉に変わったことで強気な姿勢になったからではなく(いや、完全に無関係というわけではではないが……)、Fクラスとしてはなんとか無失点に抑えたいので、蒼介を敬遠することができないのである。周知の通り召喚獣のスペックは点数に比例して強くなる。この基本ルールは野球仕様の現在でも変わらず、打撃力も、肩の強さも……そして走力も召喚獣の点数に左右される。
和真(ソウスケのアホみたいな点数を考えると、間違いなく三塁まで盗塁で進まれる……そうなりゃスクイズか犠牲フライで一点取られちまう)
盗塁を刺そうにも〈和真〉の送球を誰もまともにキャッチできそうにないのがネックになる。先程のように〈雄二〉が体を張って止める戦法は、失敗して取りこぼせばばおそらくホームまで進まれてしまうほどにリスクが大きすぎる。しかも先ほどはセンターからホームまでの距離であそこまで削られたのだ、今回はホームからセカンドまでと遥かに距離が近いためおそらくは成功する可能性は極めて低いだろう。
《世界史》
『Fクラス 柊和真 514点
Fクラス 霧島翔子 449点
VS
Aクラス 鳳蒼介 598点』
覚悟を決め、〈翔子〉は第一球をアウトローいっぱいに投げ放つ。〈蒼介〉ほどの打者を相手にコース吟味を怠るのは愚行中の愚行であることは確かだが、それは同時にとあるリスクを跳ね上げることになる。
ズドォォオォォォオオン!!
和真「っ!……ちぃっ!」
御門「ストライク」
蒼介「む、確かに速いな。その上コースギリギリを攻められては、打つことは困難を極める……だが、払う代償も安くはないようだな」
《世界史》
『Fクラス 柊和真 291点
Fクラス 霧島翔子 449点
VS
Aクラス 鳳蒼介 598点』
〈蒼介〉がバットを振ったためストライク判定になったものの、コースギリギリを狙って投げられたボールは制球を乱し、〈和真〉のミットには収まらなかった。和真が咄嗟の機転で〈和真〉を盾にしたため後逸は免れたものの、半分近くもの点数を失ってしまった。
蒼介「……その戦法では先にお前の召喚獣が戦死してしまうぞカズマ。お前を欠いた状態で我々に勝てるほど甘い考えをしているわけではあるまい?」
和真「……ハッ、大きなお世話だ」
そう啖呵を切った後、和真は翔子にハンドサインで指示を出す。指示の内容は……『作戦続行』。さしもの翔子と言えど多少の驚愕と動揺を露にするが、和真の自信に満ちた不敵な笑みを見ると迷いを捨て、今度はインハイへの際どいコースに向かって全力投球させる。
ズドォォオォォォオオン!!
御門「…………ストライク」
蒼介(今度は内側にズレたな。キャッチできたから良いものの、相変わらず恐れというものを知らん奴だ。
……だが、)
和真「おら、どうしたソウスケ?次当てないとお前の負けだぜ」
蒼介「……あまり私を舐めるなよ」
蒼介はそう言って目つきを鋭くしたと思えば、〈蒼介〉に独特の構えを取らせた。胴を大きく捻り体をピッチャーの反対側へ向ける、体のバネを最大限に活かすような構え方だ。
和真(あん?この独特な構え、どっかで似たようなものを見たことが…………っ!?)
突如強烈な既知感に襲われた和真はタイムをかけようとするが、〈翔子〉は既に投球モーションに入ってしまっているため中断することはできない。
蒼介(これぞ水嶺流肆の型……大渦!)
キィィィィィイイィィィイイイイイン!!!
〈蒼介〉のバットは〈翔子〉の放った豪速球を正確に捉え、空の彼方に消し飛ばした。結果は言うまでもなく本塁打、Fクラスは致命的な一点を献上してしまった。
水嶺流……水になぞらえた合計10の型からなる、鳳家に代々伝わる門外不出の剣術流派。第四の型・大渦は全身のバネを利用してパワーとスピードを増強させた回転斬りであり、今使用したのはその技を野球用に改良したものである。召喚獣とともにベースを回り終えた蒼介は和真を見据えながら言い放つ。
蒼介「……確かに速いが私のストレートには劣る。全神経を集中すれば反応しきれないこともない。そして霧島はピッチャーとして未熟過ぎる。一球目も二球目も、まるで同じスピードで投げ込んでいた。……そうとわかればタイミングを取るのは容易だ」
和真「……やってくれんじゃねぇかソウスケ。それでこそぶっ倒しがいがあるってもんよ」
蒼介(……やはり、こいつらの狙いは……)
痛すぎる失点を喫してしまったものの、和真や翔子だけでなくFクラスの誰にも絶望の色は見えなかった。その様子を見た蒼介はFクラスの狙いが何なのか、おおよその確信を得るが、何故かとくに行動しようとはしなかった。本塁打を浴びて挫けるどころか、より闘志を燃やした翔子は続く二宮、飛鳥の強打者二人を6球で仕留め三回を終了させた。
《三回裏終了。現在1-2》
続いて四回表、科目は古典。明久からの攻撃だがこれまでの攻防を鑑みるに、〈蒼介〉の究極ストレートに対抗しうるのは〈和真〉ただ一人。であれば、〈和真〉を敬遠するだけでAクラスの勝利は確実なものになるだろう。
そう。このまま召喚獣で勝負するならば、だ。
『ジジ……ジ……』
雄二「……よし!」
蒼介「……来たか」
校舎に取り付けられたスピーカーが、ノイズ混じりの音を吐き出す。雄二は弾かれたように振り返り嬉しそうな声をあげ、そして何故か蒼介も面白そうに笑みを浮かべた。一瞬遅れてアナウンスが響き渡る。
『……これより、中央グラウンドにて、借り物競争が始まります。出場選手の皆さんは、所定の場所に-』
「「「来たぁっ!!」」」
Fクラスの生徒達の声が重なる。蒼介以外のAクラスの生徒は意味がわからず困惑するものの、蒼介は特に何の指示も出さないでいた。
御門「お前らよー、何が嬉しいのか知らねーがさっさと打席に着けよ」
はしゃいでいる明久達の所に来て、気だるそうに準備を促す御門先生。
明久「わかってます。けど、ちょっと待って下さい」
御門「あー?何を待ちゃいーんだよ?」
明久「今にわかりますよ。そろそろ来ますから」
そういって明久が辺りを見渡すと、遠くからこちらに向かって駆けてくる人影が見える。
御門「アイツらは……2ーFの生徒か?あんなに急いでどうしたんだ?」
御門先生がこちら側に走ってくる生徒三人を見て疑問符を浮かべている中、Fクラスの生徒達は野球場にいる立会いの教師に大声で叫んだ。
『竹中先生!借り物競争です!すいませんが一緒に来てくださいっ!』
『えっ?でも私は、今からここで古典の立ち会いを』
『いいから来て下さい!』
『でも……』
『なんと言おうとダメですよ!今日は、野球よりも体育祭が優先されるんですから!』
雄二が学園長と事前に決めておいたルールの一つに、『野球大会よりも本種目が優先される』というものがある。
『あ、えっと……すいませんっ。そういうわけで、ちょっと行っていますっ!』
『先生、急いで!』
真偽を確認する暇もなく、立ち会いの竹中先生が手を引かれてグラウンドから去っていった。
御門「…………しゃーねーな、ベンチで待機している先生の科目で代わりを…」
『船越先生!来てください!』
『遠藤先生、お願いします!』
御門「……まあ、そう来るよな」
ベンチの二人にも声がかかる。頼んでいるのは当然Fクラスの生徒。これで事前に用意されていた予備の立会人もいなくなってしまった。
『布施先生!』
『長谷川先生』
その上四回以降の生徒も次々と連れ去られていく。実を言うと彼らの内半数はFクラスではないどころか借り物競争にすら出ていない、事前に和真が仕込んだ工作員達(報酬:図書券)である。ほぼ全ての教師が持っていかれた後で、ただ一人取り残された御門先生は気だるげに溜め息を吐く。
御門「立会人の教師がいなくなっちまったな。別に俺が代理でフィールドを張っても良いんだけどよ、ルール的に無理だよな」
『立会いの教師は、事前に決められた教師以外の代理を認めない』、これも雄二が事前に定めたルールの一つである。これで召喚野球大会の続行は不可能になった。
蒼介「しかし野球大会後に全員参加の種目も控えている。立会人の教師が戻ってくるまで待機、というわけにもいかない。……ならば方法は一つ」
雄二「ほう、やっぱり俺達の狙いに気づいていたか」
蒼介「野球大会のルールに違和感があったのでな。おまけに、違和感が生じない程度にお前達Fクラスは時間を引き延ばそうとしていたからな」
守備位置やバッターボックスに入るまで、投球の感覚、さりげなくタイムを取るなど、このまでFクラスは注意されない程度に時間稼ぎを行っていたのだ。全ては借り物競争で立会人の教師を排除するために。
雄二「そこまでわかっていて見逃したってことは……俺達の挑戦を受けるってことで良いんだよな」
蒼介「まあな。もともと私としても不本意だったのだ、試験召喚システムベースでは点数で勝る我々に有利すぎるからな」
御門「やれやれ、血気盛んなことで……」
和真が事前に野球部から借りていた野球道具を運んでくるのを見て、御門先生は再び溜め息を吐く。
御門「それじゃ、ただ今からリアル野球大会に移項するけどよ……異論のある奴は?」
事前に狙っていたFクラスは勿論、挑戦状を叩きつけられたAクラスの皆からも反対意見は出ず、両チームは野球道具を身につけ始めた。
本当の勝負はここからだ。
【Aクラス選手データ③】
大門徹
・成績……A+
・操作技術……B+
・野球センス……A+
『アクティブ』の扇の要。蒼介の究極ストレートは彼がいるからこそ存分に力を奮える。バッティングも一流で、並外れたカット技術と執念深さで出塁率は八割を越える。バッティングの元ネタは元花巻東のカットマン。
木下優子
・成績……S
・操作技術……B+
・野球センス……A+
『アクティブ』では和真と二遊間を形成する守備の達人(投手が投手なので今のところ特に目立った活躍がないのだが)。バッティングも和真に匹敵するバットコントロールを誇り、もし投手が秀吉のままであった場合、被弾していた可能性が9割を軽く越えている。
鳳蒼介
・成績……S+
・操作技術……A+
・野球センス……S
Aクラスのキャプテンにして野球編における二大チートキャラの片割れ。和真ですら反応できないほどの超高速ストレートでFクラスを蹂躙する。本編で述べた通り操作技術が格段に向上しているが、さりげなく点数も6300点→6500点くらいにアップしている。