バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【アクティブメンバーの好きな食べ物(男子)】

・和真……カツカレー、焼きそば、焼き肉

蒼介「わんぱく坊主かお前は」
和真「ほっとけ」


・蒼介……だし巻き卵、鱧のお吸い物、鮟鱇鍋

和真「後ろの二つはともかく、最初のは意外と庶民派だな」
蒼介「しかし好きだからこそ拘りが強いぞ?半端なだし巻きは断じて認めん」
和真「めんどくせっ!?」


・源太……生春巻、ロールキャベツ、オニオングラタン

和真「OLかアイツは!?に、似合わねぇ……」
蒼介「人を見た目で判断してはならないが……いくらなんでもこれは……」
和真「しかもアイツ最近料理にはまってるらしいから、これ全部自分で作ったりしてるんだよな……あの強面でこんなもんせこせこ作ってる光景思い浮かべたら腸が捩れそうになるわ」



・徹……甘いものなら何でも

和真・蒼介「「知ってた」」








決勝戦①『小手調べ』

蒼介「……ハァッ!」

 

先に仕掛けたのはまさかの〈蒼介〉。試合開始の合図の直後、水嶺流壱の型“波浪”による急加速で弐の型・車軸を放つ複合技“雷雨”を放った。

どちらかと言わなくとも後手必殺に比重を置いている蒼介だが、それを考慮しても和真を相手に受け身になることは危険過ぎると判断したようだ。

並大抵の者ならば認識したときには既に吹っ飛ばされているであろう、急激な緩急から繰り出される高速かつ正確無比の刺突を…

 

和真「オラァッ」

 

ガキィィィインッ!

 

しかし〈和真〉はいとも容易く防いだ。超攻撃特化のスペックである〈和真〉と言えど、流石に助走により何倍も貫通力を高めた〈蒼介〉の突きを制止した状態で受け止めるのは不可能な筈である。ならば〈和真〉はどうやって“雷雨”を防いだのか?……種明かしをすれば単純明快、〈和真〉は攻撃を受け止めたのではなく、勉強合宿で鉄人と闘ったときと同じように草薙の剣の側面を強打し弾き飛ばしたのだ。いかに強力な刺突だろうと、刺突の特性上真横からどつかれればどうしようもない。

……とはいっても言うは易く行うは難し。猛スピードで自身に迫る剣の側面を正確に捌くのは当然ながら超高等技術。使いこなすには和真のように並外れた反射神経と戦闘センスが必要不可欠になる。

 

和真「喰らえ!」

 

そして返す刀(獲物は槍だが)で〈和真〉はロンギヌスを〈蒼介〉目掛けて斜めに振り下ろす。敵の攻撃を防いでから即座にカウンターと、〈和真〉は奇しくも蒼介の得意パターンで攻める。

 

蒼介「断る!」

 

しかし〈蒼介〉は捌の型“夕凪”で迫り来るロンギヌスの軌道をずらし攻撃を受け流した。攻撃に特化した〈和真〉の渾身の一撃はもはや腕輪能力に匹敵する程の破壊力だが“夕凪”は技の性質上、力の強弱に関係なく受け流すことが可能であるため、どれだけ強力だろうと単発の攻撃ではほとんど無意味と言っていい。

 

蒼介(……ここだ!)

 

さらに〈蒼介〉もすかさず〈和真〉同様返す刀で斬りかかる。それも漆の型“狭霧”による視線誘導を織り混ぜた死角からの攻撃である。いかに並外れた反射神経を持つ和真でも、見えもしない攻撃に反応することはできない。

 

和真「させるかぁっ!」

蒼介「なっ……!?」

 

しかし和真はこれまでの自身の試合や蒼介の水嶺流剣術を客観的に分析し、〈蒼介〉が反射の攻略に“狭霧”を用いてくるであろうことを読んでいた。よって〈和真〉は〈蒼介〉にとって必殺とも言えるタイミングの少し前に空中に跳び上がった。本来なら達人同士の闘いで無闇にジャンプするなど愚策中の愚策、どうぞ狙い打ちしてくださいと言っているも同然の自殺行為であるが、驚くべきことに〈和真〉は跳んだ直後に〈蒼介〉の草薙の剣を踏み台にし、そのまま大きく後方へ向かってもう一度跳び大きく距離を取った。

 

蒼介「私の剣を踏み台に使うとは……お前は相変わらず常識外れな闘い方だな」

和真「そういうお前は真面目過ぎるんだよ。ターミネーターみてぇに寸分違わない動きしやがって」

蒼介「ならばターミネーターらしく、お前を抹殺するとしよう!」

和真「ハッ、上等だ!スクラップにして溶鉱炉に直接叩き込んでやらぁ!」

 

両者は得物を構えてトップスピードで距離を詰め、目にも止まらぬ高速剣舞を繰り広げる。その凄まじさたるや、会場のほとんどの人が目で追いきれないほどであった。

 

キキキキキキキキキィインッ!!!

 

〈蒼介〉が繰り出す参の型“怒濤”による無駄の無い流麗な高速剣撃を、〈和真〉は超反射を駆使して真っ向から迎撃する。お互い一進一退の攻防……しかし戦況は徐々に〈和真〉に傾いていく。

 

和真「オラオラオラオラ、オラァッ!」

蒼介「くっ…やはり単純な力比べは分が悪いか……!」

 

その理由は単純明快、二人の召喚獣のパワーの差であった。総合的なスペックならともかく、良くも悪くもバランス重視の〈蒼介〉では超攻撃特化の〈和真〉相手に、真っ向からのパワー勝負では流石に旗色が悪い。故にぶつかり合いの一撃一撃ごとに〈蒼介〉は押されていく。

 

蒼介「このままでは-」

和真「もらったぁっ!」

蒼介「っ!」

 

攻撃を迎撃する形であった〈和真〉が、〈蒼介〉の連撃を先読みし自らが先んじてロンギヌスを振るう。結果、草薙の剣を握った腕を大きく弾き飛ばされ大きく隙を晒してしまう。そんなあからさまな攻めのチャンスを〈和真〉が見逃すはずもなく、〈蒼介〉目掛けて刺突を放った。

 

 

 

 

 

 

が、それは罠。

 

蒼介「カズマよ、まだわからないのか?……そのような単調な攻撃、私には通用しない!」

 

すぐさま草薙の剣を引き戻し、“夕凪”で受け流す準備に入る〈蒼介〉。力負けして弾き飛ばされたにしては早すぎる立ち直り……否、〈蒼介〉は激突の瞬間自分から腕を大きく後ろに引き、意図的に隙を作ったのだ。そうして誘い込んだ〈和真〉の大技を受け流し、大きく隙ができた〈和真〉に今度こそ“狭霧”でのカウンターを喰らわせるのが蒼介の狙いのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

和真「ハッ、しゃらくせぇ!」

蒼介「ば…馬鹿な!?」

 

ガキィィンッ!

 

しかし〈和真〉はその技を力技で強引に突破した。それは和真にしかできない“夕凪”の攻略法……〈和真〉は〈蒼介〉が刺突を受け流そうと草薙の剣をロンギヌスに添えたまさにその瞬間、超反射でロンギヌスを握る手首を強引に返した。そんな強引な動きをされてしまえば、精密な剣捌きとシビアなタイミングを要求される“夕凪”をうまく扱えるはずもなく、“蒼介”は力を受け流しきれず弾き飛ばされてしまう。

 

和真「今度こそもらったぁっ!」

蒼介「……!」

 

〈和真〉はすかさず距離を詰め二度目の刺突を行う。弾き飛ばされた直後を狙われては流石の〈蒼介〉でも避ける術がなく、ロンギヌスが直撃した〈蒼介〉は大きく後ろに吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

和真「なっ!?」

蒼介「………」

 

しかし、この攻防の勝者は蒼介であろう。

何故なら……。

   

 

《総合科目》

『二年Fクラス 柊和真 5026点

VS

 二年Aクラス 鳳蒼介 7342点』

 

 

『え……?』

『な、なんで柊君の方が大きなダメージを受けているの!?』

 

両者の点数差は縮まるどころか、さらに広がってしまっていたのだから。

 

蒼介(ある程度予想はしていたことだ……お前が“夕凪”を破ってくるだろうことはな)

和真(やられたぜ……まさかここまで想定していたとはな。わかっちゃいたが、読み合いじゃ分が悪すぎるなオイ)

 

観客が混乱する中、和真は攻撃の手応えと自らの召喚獣についた小さい切り傷から、ここまでの攻防が蒼介の手の平であったことに気づいて顔をしかめる。

 

和真「……それにしても、潔癖症のお前にしちゃ随分と泥臭い戦法を取るじゃねぇかソウスケ」

蒼介「もとよりお前相手に無傷で勝利できるなどと自惚れてはおらん。……勝つために必要ならば、スマートさなど躊躇いなく投げ捨てるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「くそっ、化け物め……!」

美波「ね、ねぇ坂本……なんで攻撃を喰らってない柊がダメージを受けてるの?それも鳳より大きな……」

翔子「……和真がダメージを受けたのは、多分鳳の召喚獣が攻撃を受け流しきれず弾き飛ばされたとき」

雄二「ああ、おそらくその辺りだろう。普通離れ際の攻撃なんざ大したダメージにはならないが……」

ムッツリーニ「………和真の召喚獣はパワーとスピードを重視するあまり耐久力が著しく弱い」

秀吉「バランス型とはいえ超Aクラス級の鳳の召喚獣相手では、例えかすり傷すら命取りになるというわけかのう」

姫路「で、でも攻撃に特化した柊君の攻撃が直撃したのに、どうして鳳君の召喚獣はあまり点数が減っていないのですか?」

明久「それはきっと、ぎりぎりで直撃を避けられたからじゃないかな。初めから避けるつもりがなく全力で直撃だけを避けようとすれば、鳳君には可能だと思うよ。それに加えて最後の攻撃で大きく吹き飛ばされたように見えたけど、あれは命中した瞬間に鳳君が自分から後ろに跳んでダメージを軽減したんだ」ヒィィイイイン…

秀吉「………何故明久はこのタイミング“明鏡止水”に入っておるのじゃ?」

雄二「俺が指示しておいた。話を円滑に進めたいのと、この状態なら何か見抜けるんじゃないかと思ってな。目論みが見事に当たったようで何よりだ。……話をもとに戻すが初めから避けることを度外視していたってことは……鳳は自らが仕掛けた罠を和真が突破してくることを、ある程度読んでいたようだな」

 

和真が“夕凪”を攻略できなければそれはそれで良し、たとえ打ち破ってきても痛み分けに持ち込む……それが蒼介の戦術の全容だ。初期点数は蒼介が上、相討ちでも和真が喰らうダメージの方が大きいとなれば、先に点数が尽きるのはどうあがいても和真だ。かといって強引に攻め急げば付け入る隙を与えるだけであり、それを見逃すほど鳳蒼介は甘くはない。

 

雄二「……ま、簡単に言うとこのままだと確実にジリ貧だ、和真が鳳に勝つ可能性はゼロに近いな」

明久「そんな!?(フッ…)なんとかならないの雄二!?」

雄二「動揺すると簡単に解けちまうのなお前のソレ……まあ落ち着け明久、このままだとの話だ。お前のおめでたい頭はすっかり忘れているようだが、アイツらはまだ持っている武器をほとんど使っちゃいない」

 

ここまでの攻防の時点で彼らと渡り合える者は学園でも極少数だろう。しかし彼らはまだ得物でぶつかり合うだけの原始的な闘いしかしていない。腕輪能力、オーバークロック、ランクアップ能力、“明鏡止水”に“気炎万丈”……鬼札と呼べるものは未だに全て温存した状態である。

つまりここまでの闘いは、彼らにとっては言うなればただの……

 

和真「……さて、ウォーミングアップと観客へのパフォーマンスはこれくらいでいいとして……そろそろ本気で攻めるぞ」

蒼介「ああ……望むところだ」

 

 




【アクティブメンバーの好きな食べ物(女子)】

・飛鳥……紅茶に合うもの、ラタトゥイユ、鴨肉のコンフィ

和真「キャラクターは意外と泥臭いのに無駄にお洒落だな……つーかお前ら婚約者同士なのに、好きな料理系統真逆にも程があるだろ。将来食卓の主導権の握り合いで争いが勃発したりしてな」
蒼介「交代ですればいいだろうに……あと、私は別に洋食が嫌いというわけではない」
 

・優子……グラタン、パスタ、シーザーサラダ

和真「…………普通だな……普通過ぎてつまんねぇぐらい普通だ」
蒼介「好物に面白さを求めるな」

 




愛子……■■■■(自主規制)

和真「ちょっとアイツ〆てくる」
蒼介「待てカズマ、私も行く」
和真「この小説全年齢対象だってわかってんのかあのボケ……」


※この後愛子ちゃんがどうなったのかは、読者の皆様のご想像にお任せします。



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