バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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今回少し短めです。


オリジナル第四章『ラプラスの悪魔』

『アバター』によるデジタル世界を経由した空間転移により、ベルゼビュート達は彼らの本拠地である『桐谷サイバーシティ』の中枢、『バベルタワー』へと舞い戻った。   

 

紫苑「……………」

 

その最上階の社長室であった部屋にて、()()()()()()()()()()と切れ長の目つきが特徴的な少女……鳳紫苑は、幼き頃からの習慣である瞑想に励んでいた。満足のいくまで瞑想を行ってから目を開けた彼女の目の前には、眼鏡をかけスーツを着た茶髪の女性が呆れた表情で肩を竦めていた。彼女は御門空雅の後輩にして“御門エンタープライズ”の現トップである桐生舞…………だった者だ。

 

ベル「毎日毎日きっちり同じ時間に、これまたきっちり同じ長さの瞑想、か……相変わらず病的に几帳面な奴だなお前は┐( ̄ヘ ̄)┌」

紫苑「別に意図して揃えているわけじゃない。身に付いた習慣ってのは大概そんなもんさ。……随分と可愛らしい外見になったじゃないかベルゼビュート」

 

そう……今の彼女の肉体ははベルゼビュートの支配下に置かれていて、本来の彼女の意識は深い眠りに陥っている。

ベルゼビュートは人に憑依することで、召喚フィールドを介さずにこの世への現出を可能とする自律型召喚獣だ。憑依する相手は誰でも良いわけではなく、適正の低い者に憑依すれば戦闘能力を著しく低下させてしまう。そして桐生舞のベルゼビュートとの適正は最高レベル。すなわち今のベルゼビュートは宮阪桃里に憑依していたときよりずっと強い。確かに外見こそアレだが、それを考慮にいれてもべルゼビュートは宿主を鞍替えしたことに悔いは無い。

 

ベル「うっせ。……オメーの方こそなんで素顔になってんだよ?俺のイミテーションフェイスはそんなにお気に召さなかったか?(-ω- ?)」

 

そう……今の紫苑の顔は綾倉慶の娘・詩織を偽って学園に潜入していたときのものではなく、鳳家の長女として生を受けた紫苑本来の素顔になっている。

変装のタネはシンプルにして完璧。ベルゼビュートの固有能力、身体を自在に変化させる『シェイプシフター』を応用し、綾倉慶の面影がある少女のマスクを作成。あとはそれを切り離して紫苑に被せれば完成、何故か接合部位すら残らないため、決して見破れない変装となる。意外と職人気質なのか綾倉詩織の顔の出来を気に入っていたようで、それをあっさり脱ぎ捨てたことにベルゼビュートは少し不服そうだ。

 

紫苑「そう目くじらを立てること無いだろ。柊守那と蒼介……多分父にも私の正体はバレてるだろうし、もう変装しても無意味じゃないか」

ベルゼビュート「それは、そうだけどよ……(-_-;)」

紫苑「鳳とは縁を切ったとは言え、母様に似た容姿は気に入ってるんだ。悪いがここは引き下がってもらうよ」

ベル「……わぁーってるよ。確かにせっかく苦労して作ったから非常に惜しいが、どっちにしろもう外しちまったから手遅れだしなぁ……( ´△`)」

紫苑「そういうわけだファントム、アンタもその人をおちょくったような仮面はもういらないんじゃないか?」

 

おもむろに紫苑が明後日の方を向きそう語りかけると、突然その場所に不気味な仮面を被った性別不明の不審者・ファントムが姿を現した。ボイスチェンジャー越しに何やら困惑したような声色でファントムは紫苑に尋ねる。

 

『………いやはや、どうしてわかったのかね?私のアビリティ“ブラインド”は視覚のみならず聴覚、嗅覚の感知をもすり抜けると言うのに』

紫苑「………何、ちょいとカマをかけてみただけさ。学園から桐生舞をここに連れ込んだのはアンタなんだ。悪趣味なアンタのことだから、どこかに潜んでいると考えても不思議じゃあるまいよ」

『ふふふ……まあ、そういうことにしておこうか』

ベル(こいつらホント仲悪いよ……毎度毎度飽きねーのかね┐( ̄ヘ ̄)┌)

 

あんな特殊性の強い能力にもかかわらず思考回路が脳筋寄りのベルゼビュートでは、二人の水面下の争いについていくことができずやれやれと肩を竦めるばかりであった。しかし実のところ彼もあまり人のことを言える立場では無かったりする。

 

?「クックック……相も変わらず間抜け面をさらしておるようじゃのう、ベルゼビュート」

ベル「……バビロン(#´口`)σ」

 

社長室に入ってきた白髪の女性を視界に入れた途端、ベルゼビュートは嫌悪感丸出しの表情に変化した。

 

ベル「この引きこもりが……いったい何しに出てきやがった?(#´口`)σ」

バビロン「聞き捨てならんな。妾のような高貴な存在は、真に重要な局面以外でそうそう腰を上げたりはせんだけじゃ。お前のように地べたを這い回る虫けらには理解できんじゃろうがな」

ベル「高貴な存在だぁ?幹部のくせに他力本願しか能の無い、単体なら俺やダゴンやファントムら【セブンスター】はおろか、旧式七星獣にすら劣る雑魚が図に乗ってんじゃねーよ(*´・∀・)」

バビロン「……ゴライアス共の餌食になりたくなければ、あまりなめた口を叩くでないぞ」

ベル「雑魚専の玩具貰って調子づいてんのか?あんなもん俺からすればただの木偶だってのに哀れな奴(*´・∀・)」

バビロン「黙れ糞蝿」

ベル「死ね阿婆擦れ (`Δ´)」

バビロン「…………」

ベル「…………(#^ω^)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アバター「清々しいまでにチームワーク皆無だね……オリジナルももう少し扱いやすい駒を揃えて欲しいもんだよ」

 

社長室に備え付けられているパソコン内から一部始終を見ていたアバターは、今この場にコピー元であるラプラスに向かってそう愚痴る。

 

ラプラス「せっかくゴライアスも量産化に成功し、オーブも完成して闘いの準備が整ったってのに、先が思いやられるなぁ……まあ彼らが足並揃えて闘うなんて、初めから期待してないけどね♪」

 

そう言ってアバターがおもむろに手をかざすと、どこからともなく男女計四名が突如現れた。

志村泰山、黒木鉄平、宗方千莉……そして、元桐谷グループCEO・桐谷蓮。四人ともダゴンの洗脳を受けた影響か目の焦点が合っておらず、ただただ虚空を見つめたまま沈黙している。

 

ラプラス「多分彼らはこちらの指示とかにはあまり従わず各々好き勝手に動くだろうから、君達セブンスターの活躍には期待しているよ♪」

 

 

 

 

 

 

御門空雅がアバターの支配下から逃れるまで……それはつまり彼がラプラスの正体を暴き開戦の狼煙を上げるまで、あと、三日。

 

 

 

 

 




バトル漫画恒例、敵サイドの幹部大集合回です(半分ほど集まってないのはご愛敬)。
敵の戦力を整理すると  

【ボス】ラプラス(?)、アドラメレク

【参謀】アバター
 
【三幹部】 
・ベルゼビュート(桐生舞)
・ダゴン(鳳紫苑)
・バビロン(?)

【セブンスター】
・ファントム(?)
・桐谷蓮
・志村泰山
・黒木鉄平
・宗方千莉
・???
・???

その他ゴライアス及び自律型召喚獣達
  

……これ全部片付けるの大変だなぁ。
和真君達も、私も。




新キャラのバビロンは召喚獣でありながら、(ベルやダゴン、アドラメレクのような同格かそれ以上を除く)自律型召喚獣を操作する能力を持っていますが、素の強さは並のAクラス生徒の召喚獣程度です。意外とプライドの高いベルゼビュートが彼女と同格扱いを許容できる筈もなく、バビロンも同格でありながら隔絶した強さを持つベルゼビュートへの劣等感が強いため、二人の仲は尋常じゃなく悪いです。

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