読んでくれている人が少しでもいると執筆がはかどります。
流石に早く来すぎたので、二人は運動でもして時間を潰すことにした。
ちょうど朝練中の剣道部に混じり、ついでに試合をした。
先ほどの負けを取り返すかのように蒼介がストレート勝ちした。一通りこなした後、二年の教室に向かう。
和真「流石に剣道じゃお前の方が強ぇな」
蒼介「流石に剣術で遅れを取るわけにはいかないからな。そもそもお前は竹刀の使い方が拙い。素手の方が遥かに驚異なほどな」
和真「余計なお世話だ。まあステゴロの方がしっくりくるけどよ」
蒼介「それに私もまだまだだよ。不甲斐ないことに、未だに父様には手も足もでない」
和真「いや、それはお前が不甲斐ないんじゃなくてあの人が尋常じゃなく強いだけだろ。リアルファイトでも西村センセと渡り合えるんじゃねぇか、あの人」
蒼介「……それでも、いずれ越えなければならない。それがあの人の意思を継ぐ者としての責務だ」
和真「……金持ちは金持ちで苦労してるってな……お、ここでお別れだな。じゃあなソウスケ、首洗って待ってろよ!」
蒼介「あまり待たせてくれるなよ、カズマ」
二人は軽口を叩き合いながらそれぞれの教室に向っていった。
蒼介と別れた後、和真は廃墟のような外観のFクラスのドアの前まで来ていた。
和真(……ボロいのもここまで極まればある意味芸術だな)
予想以上にひどい外観に和真は呆れを通り越して感心しつつドアを開けた。外もひどかったが決して見かけ倒しではなく教室の中も期待を裏切らない。流石最低クラスと言うべきか、学業に支障がでかねないほどの劣悪な設備だ。まあその程度のことで足を引っ張られる和真ではないのだが。
和真「よぉ雄二、おはよー」
ずかずかと教室に上がりこみ教壇に立っている、恐らくはクラス代表である坂本 雄二に話しかけた。なにか悩んでいるのか、心ここにあらずのようで、声をかけられるまで和真の接近に全く気づいていなかった。
雄二「ん?あぁ和真かおはよ……和真ぁ!?」
一瞬スルーして適当に挨拶する前に、脳が予想外過ぎる情報をなんとか処理できた雄二は思わず仰天する。
和真「おいおい何だよその反応は、人を化け物みてぇに」
雄二「いや何でお前がここにいるんだよ!? お前はAクラス確実の成績だっただろうが!」
和真「それはお前もだろ? なに、この教室でお前が面白いことをするような気がしてな」
にやりと笑いながら和真がそう言うと、雄二は何かを諦めたかのように脱力する。心なしかどこか哀愁が漂っている。そのうち白髪とか生えてくるのではないだろうか。
しかし別に彼は和真の奇行だけでここまで辟易した訳ではない。
雄二「お前もかよ……どうして俺の周りには、伝えてもないのに俺がなにを考えてるか察知できる奴がゴロゴロいるんだよ……」
和真「お前もってことはもしかして…やっぱりお前もいるのか翔子」
いつの間にか和真のすぐ後ろに来ていた霧島 翔子に振り向きもしないで問いかける。実を言うと雄二の疲労の原因はこの少女だったりする。
翔子「……おはよう和真。また一年よろしく」
和真「こっちこそよろしくな」
この二人は去年から同じクラスであり、けっこう仲が良い。彼女が名前で呼ぶ男子は雄二と和真だけである。
和真「ところで、俺もだけどお前は雄二がFクラスに行こうとしていたのをどうやって察知した?」
翔子「……それは勿論、」
「「勘」」
和真は後ろを振り向き、翔子と固く握手する。男と女の友情は成り立つと証明した瞬間である。二人とも実にいい笑顔だ。その空気にいたたまれなくなったのか、取り残されていた雄二が不満を爆発させる。
雄二「お前ら打ち合わせでもしたのか!?なんでそんなに息ぴったりなんだよ!?」
和真「バカめ雄二、ほんとお前愚か。感覚派の人間同士は言葉を交わさずともわかり合えるもんなんだよ!」
どや顔で力説する和真。好き放題虚仮にされた雄二は思わずぶん殴りたい衝動に駆られた。しかし新学期始まって初めての乱闘に移行する前に翔子は雄二に詰め寄る。
翔子「……そんなことより雄二、なんで私に何も言わずFクラスに行こうとしたか、説明してもらってない」
雄二「うっ、それはだなぁ…」
翔子に問い詰められ狼狽える雄二。なるほど、さっき悩んでいたのはどうやらこれが原因らしい。和真は面白い玩具を見つけたと言わんばかりの邪悪な笑みを浮かべて翔子に耳打ちする。
和真「翔子よぉ…雄二はFクラスでしなければならないことがあって、だけどお前をこんな汚い教室に入れたくなかったんだよ。でもこいつ素直じゃねぇから恥ずかしくてそんなこと打ち明けられないんだよ、察してやれ」
明らかに雄二にも聞き取れる声量で。
雄二「てめえぇぇぇぇぇ!」
憤怒の形相で雄二が殴りかかるが、ある程度予想していた和真は軽快なステップでかわす。無駄に洗練された動きである。
翔子「……雄二、嬉しい。でも私は雄二と一緒にいたい」
雄二「………………ふん」
照れくさいのか、雄二はそっぽを向く。バカップル全快である。このとき異端審問会が結成されていれば間違いなく抹殺対象だ。悪運の強い男だ。
和真「いい雰囲気のとこ悪いけどよ、これで全員そろったのか?誰か足りないような気がするが」
雄二「いや、まだ二人来ていない…お、来たようだ」
雄二がそう言った直後、狙っていたかのようなタイミングでFクラスのドアが開いた。
明久「すいません、ちょっと遅れちゃいました♪」
雄二「早く座れこのウジ虫野郎」
明久「台無しだ!?」
観察処分者・吉井明久だ。
という訳で原作キャラ3人と顔合わせです。
雄二関連限定ですが、翔子さんは和真と同等の感覚の持ち主です。原作でもその片鱗を垣間見ることができます。
次回からは2日おきに投稿していく予定です。
では。