機動戦士ガンダムSEED 臆病者の意地   作:ユーリさん

1 / 5


ステラが好きで好きで死んで欲しくなくて作ったものです。

注意
・アニメとゲームやっただけのにわか
・初投稿
・不定期更新

他にもいろいろありますが、以上をご理解の上でご覧下さい


第1話 最初の覚悟

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けられるなんて、思っちゃいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷静に考えれば、無理だって思うのが当然だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ…手を伸ばせば届く範囲に、君がいただけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伸ばした側が、偶然俺だっただけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コズミック・イラ 71年。

 

 

人類は、自らの意思で生まれる前から遺伝子操作され、様々な面で優秀に育つよう予め調整された存在、「コーディネイター」

 

そして、純粋なままの既存の存在「ナチュラル」

 

この2つの種族で成り立っている世界の中で、お互いの存在を認めずにいがみ合っていた結果、世界中を巻き込む大戦争となった。

ナチュラルは地球連合、コーディネイターはザフトを名乗り、既に地球連合軍とザフト軍との戦争がはじまってから数ヶ月が経ち、互いの存続を賭けた戦いの中で次第にどちらの陣営も疲弊していき、それでも一行に終わりの見えないこの戦争に、軍人ではない全ての国民は、もはや耐えしのぶことしかできなかった

 

そんな世界の中で、新たな戦火がまたひとつの未来を壊しにくる

 

 

 

 

 

 

 

舞台は宇宙。数々のコロニーのひとつ、オーブ連合主張国所属「ヘリオポリス」にて起こる。

地球連合、ザフト、そのどちらにも属さない国、オーブ。いわば中立であるその国に所属するヘリオポリスはナチュラルとコーディネイターが共存しており、この世界の中では数少ない安寧の場所でもある。

 

俺は、そんな平穏なコロニーに住む普通の人間だった

 

「どうだよツクミ、治りそうか?」

 

「そう焦るなよ。エンジン自体はもうほぼ終わってるし、今オイル交換してるから…」

 

手元にある友人の車両の整備をしながら悪態を着く俺は、このヘリオポリスで主に自動車に関するエンジニアの仕事を受けていた。

一応コーディネイターでもある俺は、平均より早く技術と知識を覚えることができ、21歳という若さで自分のガレージを持つこともできた。

 

「…これでいっかな、よし!終わったよ」

 

「お、悪いな、助かったよ。料金はいくらかかったんだ?」

 

「心配するな。エンジン自体もそこまで大きく故障していた訳でもないし、オイル交換といくつかの部品、修理費用を含めてもそうかかっちゃいないさ」

 

実際修理にかかった時間も部品調達を省けばそう長くはなかったしな。

友人と支払いが終わった後、唐突に店の前に軍事関係の車両が前を横切って行った。

 

「…なーんか最近きな臭いよなぁ。ここは中立のヘリオポリスだってのに、なんかやたら軍人さんを多く見掛けるようになったよな」

 

「んー?…まぁ、確かにそうかもな…」

 

友人が言った通り、何故か最近やけに軍事関係者が行動している。

いくら中立と言っても少しぐらいの軍隊はいる。だがそれを含めても異常に思うぐらいには日常でよく見かけるようになった。

 

「なんか良くないことの前触れかな。ったく…こういうのが嫌で、俺達はここに来たってのによ」

 

「まぁそう深く考えることもないんじゃないか?ザフトだろうが地球軍だろうが、ヘリオポリスに手を出せばオーブが出るんだ。今でさえ目の前の相手にヒーヒー言ってるのに、わざわざ敵を増やすようなことはお互いしないだろ」

 

明らかにメリットよりもデメリットの方が遥かに大きい。民間人の俺でさえわかる事だ、お偉いさん方だってそこまで無能じゃない筈だ。

 

「だといいんだけどなぁ…」

 

友人はため息混じりにそういうが、そうじゃないと困る。じゃなきゃホントにこのコロニーに来た意味が無くなる。

俺も友人も戦争が嫌で、死ぬのが怖くて逃げ出したコーディネイターだ。このコロニーに住む人々のほとんどがそのはずだ。それはナチュラルも同じだと思う。

 

「よし、悪いが今日はもう店は閉めるんだ。早いとこ恋人のとこに戻りな」

 

友人の車を外に出した後、ガラガラとシャッターを締めながら外出する為に支度をする

 

「ん?お前今日どっか行くのか?」

 

「出張さ。さっきの軍の車見ただろ?最近は目に見えて増えてるし、その分故障する頻度も多くてね。軍人さんも手が足りないらしくて、先日うちに電話が来たんだ。今日はその修理に行くんだ」

 

荷物を専用の車に詰め込んで抜けがないかを確認して戸締りもしっかりしたあと、友人と共にそれぞれの車両に乗り込み、ガレージから離れる

 

「そっか、このご時世大変だろうけどさ、お互い頑張ろうな」

 

「あぁ。そっちも気をつけて」

 

お互いに短く別れを告げ、それぞれの方向に向かって走り出す。

 

目的地に向かう途中様々な物をみかける。

友人と楽しく遊ぶ子供、買い物を楽しんでいる夫婦、公園で休んでいる老人などいろんな人を見る。その景色を見る限り、コーディネイターやナチュラルなどという区別はなく、ただ平穏そのもののように見えた。実際このコロニー内ならばそうなんだろう。

 

「…ホント、この世界はどうなっていくんだろーなぁ…」

 

ハンドルにうつ伏せになるように体重を乗せ、悪態を着く

お互いの存続をかけた大戦争。そう考えればまだ戦争が始まって1年もたっていないが、まだそれだけしか経っていないとも受け取れる。

 

どのみちこの戦争が終わる頃には、人類の総数はとんでもなく減少している事だろう。もしかしたら、勝ち残った者達も無事には過ごせないのかもしれない

 

「…俺も、いつまで生きられるかな…」

 

ナチュラルが勝てばコーディネイターは生きづらくなるし、あの過激な地球軍の事だ。そもそも生きられるかも怪しい…かと言ってコーディネイターが勝ったところで逆もまた然り…

 

早く戦争が終わって欲しいと思う自分もいれば、戦争が終わったあとの世界で自分は無事に過ごせるのかという不安に潰れそうな自分もいる。

尽きることの無い不安と不満を考えていると、やがて目的地である軍事基地のすぐ側まで近づいていき、検問所で止まった。

 

「こんにちわ、自分こういう者で」

 

車の窓をあけ、名刺をだして軽く挨拶する。

事前に説明はされているだろうから特別何かしらの身分証などは必要ないはずだ。

 

「あぁ、聞いている。荷物を含めた車両の検査と身体検査を行うから車をおりて待っていてくれ」

 

「了解です」

 

その後、結構厳重にチェックされたが、無論違法なものなど持ち合わせていないので何事もなくスムーズに事が進み、1人の兵士が通信機で何かしらの通信をした後に目の前のゲートがゆっくりと開いていく

 

「一応言っておくが、ここは軍事機密もある場所だ。写真や動画などの撮影行動は一切禁止だ。わかっているな」

 

「当然ですよ。では、失礼します」

 

俺は軽く会釈した後、基地内に入る。

実を言うと別にこの軍事基地に入るのは初めてじゃない。と言っても過去にも滅多にないが似たような事で依頼があり、同じケースで入らせてもらっていた。が、やはり過去と比べても異常なぐらいに警備が厳重になっていた。今回ゲート手前で対応した兵士も制服の違いで地球軍の者だと気づいた。

 

「…地球軍が…一体この基地で何してるっていうんだ?」

 

俺は訝しげに周りを見ていたがあまり見すぎていると変な誤解を生むのでなるべく普段通りに行動した。

 

だがところどころ、大きなコンテナを詰んだ軍用トラックが横を通りすぎて行ったり、軍人だけでなく、やけに研究者というか技術者というか…少なくとも軍人には見えない者も多く見受けられた。

 

気にするな、知ったところで出来ることなどないと自分に言い聞かせながら仕事場に移動する。

 

 

 

 

だがその時、

 

「……ん?揺れてる…?」

 

微弱だが、車に乗っていてもわかるほどの振動を感じた。俺はつい車を止めて降りてしまったが、途中で何やってるんだ俺…と我にかえった。

 

(そりゃそうだ、ここは軍事基地。何かしらの演習とか、工場とかあって当然。それについさっき目の前を大きなトラックが通り過ぎていったじゃないか。これぐらいの振動は当然…)

 

頭の中で冷静に分析していると、その数秒後、唐突に爆発音が鳴り響く。

 

「うわぁッ!…へ?ば、爆発ッ!?」

 

俺は慌てて爆発した方向を見た。そこそこ離れてはいたがそこからはなにか大きな影が見えた。

 

「…おい、おいおい嘘だろッ!モビルスーツだとッ!?」

 

飛び出してきたのはザフト軍が用いる戦闘用人型駆動兵器…通称、モビルスーツだった。

モビルスーツ名「ZGMF-1017 ジン」は一機だけでなく、後から2機飛び出し、自分のいる基地に無差別に発砲した。

 

俺の周りにいる軍人達は慌てふためき、それでもなお戦車などに乗り、発砲するが、人型で高速移動するモビルスーツに当てられる訳もなく、逆にジンの持つ重機関砲によって撃ち落とされてしまう。

 

「……だ、ダメだッ!ここにいたら巻き込まれて死んじまうッ!」

 

あまりの事態の急変に脳が追いつかず、フリーズしかけていたが我に帰った俺は急いでこの場を離れようと走り出した。

このご時世何があるか分からないからとこのコロニー内にある各シェルターの場所は大体知っていた。

俺はこの軍事基地にもいくつかのシェルターがあることを思い出し無我夢中で走っていたが、

 

「…ッ!?な、なんだよこの人数…」

 

目の前にはシェルターの前に沢山の人がはいりきれず騒動が起きていた。

先程も言ったが、この基地内には軍人だけでなく技術者のような者達も大勢いた。いくら民間人の少ない基地内とは言え、変に人が多くなっていたこの時期ではシェルターの一つや二つは簡単に埋まった。

 

「い、いや、まだシェルター自体はあるはずだッ!ここ以外の場所なら…!」

 

俺はそう信じて走り出した。そうしなければ待っているのは絶望だけだと本能ながらにわかっていたから。

 

まだひびき続ける爆発音と、あたりに漂う火と何かが燃える匂い。

数分前までは何も変わらない平穏な日常だったのに…

俺は恐怖で心が折れそうになり、半分泣きかけていたが、幸運な事に足は動き、転びそうになりながらでもがむしゃらに走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その途中で、俺は見つけた。

 

見つけてしまった。

 

自分と同じように無我夢中で走り続ける金髪の少女を

 

爆発音と同時に、走っていたその少女が燃え広がる火の付近で倒れたのを

 

 

 

 

 

「……ぁ…」

 

 

 

 

俺はつい足を止めてしまった。

少女が倒れてしまったのを見て…

なんでこんなところに女の子が?ということあったが、それよりも頭ではもうあの子は助からない。事切れてしまったんだと判断しかけた。

でも頭の片隅に、あの子がもし生きていたら?今なお生きようと足掻いていたとしたら?そんな考えがよぎる

 

こんな状況だっていうのに、俺の脳内は不思議なくらいに周りの状況が理解できた。あと数分走ればもうひとつのシェルターに着く。今走ればまだシェルターに乗れるかもしれない。

 

 

 

 

目の前の少女を置いて走れば…

 

 

 

 

助けに行こうにもシェルターとは真反対、それに今の少女と自分の距離だって決してそんなに近いわけじゃない。その上、自分と少女の間には焼ける工材、燃える車両、いつ爆発するか分からない状況だ。

これは物語なんかじゃない、現実なんだ。全部上手くいくなんてありえない。

そんな状態で助けに行ったって死ぬ人間が1人増えるだけだ。

 

俺は悪くない、こんな状況なんだ。仕方ないじゃないか。

考える必要なんてない。

 

走れ。

 

走れ。

 

走れッ!

 

走れッ!

 

走れッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は走った。

 

 

 

 

 

 

無我夢中に、がむしゃらに、恐怖で泣きながら

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、

 

 

 

 

 

 

 

少女の元に走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

……あーあ、何やってんだ俺…助けられっこない…もうあの子は死んでるかもしれないってのに……何カッコつけて走ってんだよ…

 

でも…しょうがながったんだ……だって、間違ってるってわかってても…足が動いていたんだ…

 

 

 

 

 

 

俺は息を吐きながら走り、爆発音が鳴り響く中、熱い空気で喉が焼けそうになるが、彼女の元に走り続けた。

 

そして、彼女の元にたどり着き、俺は生きてるかどうかの確認すらせずに抱き抱えて元のシェルターの方面へ走り抜けようとした。

 

が、

 

「…ッ!?うわぁッ!」

 

もと来た道が焼けた工材が倒れたことによって塞がれ、俺はもう戻れなくなっていた。

 

「…クソッ!このまま…このまま死んでたまるかよぉッ!」

 

俺は方向を変えてただ走り続ける。

火の無い方に逃げ、方角も分からなくなり、次第に足がまともに動かなくなってきた。

 

俺は死にたくなかった。

この子を逃げさせてあげたかった。

このまま走り続ければきっと助かるんだって。

そんな希望をもっていた。

 

でも、迫り来る熱風が、燃え続ける車両が、瓦礫に押しつぶされて赤黒いシミとなったナニかが、嫌でも思考を現実に戻してくる。

 

そうして基地内をおぼつかない足で進んでいると…

 

 

 

 

 

 

「…ハァッ……ハァッ……あ……?」

 

気づけば、どこかの工場に着いていた。と言っても、もはや半分以上壊れていて、何か、どデカい何かの機械が横たわっているのを見て、ここは工場なんだと判別できたほどだ

 

だが、そこで見つけたのは…

 

「……モビル…スーツ…?」

 

ザフト軍が使うジンとは違う見たこともない人型の兵器、モビルスーツが横たわっていた。

 

何も考えられずただぼーっとしていたが、周りの瓦礫がさらに崩れて来た音が聞こえて我に返った

 

「クソっ…どこに行けばいいんだよ……」

 

もうこれ以上彼女を抱えて動くことは出来ない…かと言って今更彼女を置いていくことなんてもってのほかだ…

 

 

「…いや、そうだよ…わざわざ自分の足で動く必要なんてない…コイツが…コイツさえあればッ……!」

 

コイツに…モビルスーツに乗ってしまえばいい!

動きさえすればそこらの車なんかよりずっと早く移動できるッ!

 

疲れ果てた俺の頭は、もはや敵に狙われたらどうするとか、そもそも動かせるのかなんてことは除外した。少しでも助かるかもしれない見込みを見つけた俺は、機体のコクピットによじ登り、彼女を前に抱え、背中から落ちるようにコクピットに乗り込んだ。

 

「頼む…頼むぞッ…!動いてくれッ…!」

 

どんな機械だろうが使う者のことを考えて作られるのは当然のこと、わざわざ扱いづらくする馬鹿はいない。

それに自分だって腐ってもエンジニア。電気関係ではないが持っている知識は無駄にはならない。起動自体はそう難しくは無いはずだ。

 

「……あった!起動スイッチ!」

 

機体のメイン電源を入れ、コクピット内のシェルターを占めた後、目の前のモニター内に特徴的な英文が表示されていく。

 

「な、なんだ…?…ガ…ン…?いや待てプロトの文字だけは読めたぞッ!?…?まさか試作品なのか…?」

 

様々な文書が表示されたかと思えば、急に全体のモニターが外の景色に切り替わる。手元にあるレバーとモニターを駆使しながらなんとか立つこと自体はできた。が、

 

「とりあえず動きはするけど、コイツ…容量バッテリーが以上に少なすぎる…!」

 

それだけじゃない、急いで全体の各詳細を調べてみると、片足の装甲にあたる部分がなくフレームむき出しの状態であり、片腕に至ってはついてはいるが何かしらの不具合か動かすことが出来ない。

 

(勢いで乗ってしまったが、冷静に考えたらこんなので本当に脱出できるのか…?いやそもそも、脱出って言ったってどこに向かえばいいっていうんだ…)

 

襲撃された軍基地内から脱出するのは当然として、もはやコロニーにモビルスーツが入ってきているのだ。奴らが軍基地だけを狙うとは限らない。最初逃げ込もうとしていたシェルター自身も、今頃は沢山の民間人で埋まっているだろう。

単純に現在地から離れただけでは危険なことに変わりは無い。

 

(……とにかく、いつまでもここにいる訳にも行かない。幸い歩くぐらいの動作なら俺にもできそうだ…ザフトのやつらに見つからないようにしながら、移動し続けるしかない…か…)

 

推進剤すらほぼ空だが、それでもこの基地内を脱出するぐらいはできるはずだ。

今なお目覚めない少女を不安に思いながらも強く抱き締め、覚悟を決める。

 

 

 

 

俺が乗ったモビルスーツ「GAT-X105P プロトタイプストライク」

不安要素しかない機体だが、されどゆっくりと、確実に、その足は一歩づつ進み出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。