機動戦士ガンダムSEED 臆病者の意地   作:ユーリさん

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設定に関しておかしなところもあるでしょうが遠慮なく言ってください

多分善処します


第2話 救って、救われて

 

 

 

 

わたしは……なに…?

 

 

わたしは……だれ…?

 

 

パパ……ママ……いない……

 

わたしと…おなじ、こども…?……いっぱい……

 

 

 

………?…わたしだけ、つれていくの……?

 

 

どこに…どこへ……?

 

 

おおきなおと……ばくはつ……?

 

 

 

わからない……でも、ここにいたら、あぶない……

 

 

にげなきゃ……どこに……?…どこでもいい……

 

 

どこか……とおくに……ここじゃない…どこかに……

 

 

どこかに…

 

 

どこかに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……じょうぶ……かな…ず…あ…せんな…しょに……」

 

 

 

 

 

 

 

なにか……きこえる……

 

 

しらない……こえ……

 

 

でも、わたしのからだ……あたたかい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あたた…かい…」

 

 

「!!目が覚めたかッ!?」

 

 

抱き抱えていた少女が、なにか呟きながら目を覚ました。

見たところぼんやりとした顔で、まだ上手く状況を掴めていないようだった。

俺はなるべく彼女を怖らがらせないように注意しながら聞いてみる

 

「大丈夫か?俺の事、わかる?」

 

彼女は俺の言葉を聞き、俺の胸元からこちらを見あげるが

 

「……ううん、わからない…」

 

彼女はあまり感情が読めない声色でそうつぶやく。

というか初対面なのに俺のことが分かるかなんて聞いてもそりゃわかるわけないだろ。

 

自分の質問がおかしかったことについて反省していると、彼女が聞いてくる。

 

「……ここ…どこ……?」

 

「え?あ、あぁ…ここは、モビルスーツのコクピットの中、なんだけど…分かるかな…」

 

「もびる…すーつ…?」

 

彼女はまた俺の顔を見上げて言う。

 

今の現状は、この機体を動かした時からそんなに変わってない。

とにかくザフト軍が侵入してきたところから離れるように動いていたが、途中あまりにも機体の反応速度というか…データを入力した時の遅延が大きく、とても動かしづらいので、歩行自体を半自動に設定し、空いた手でなるべく動かしやすいように四苦八苦しながらOSを弄っていた。

 

「俺達が今乗ってるこいつの事だよ……君も逃げてきたんだ。今がどういう状況か、ある程度はわかるだろ…?ザフトが、何故か急に攻めてきて…俺と君は逃げ遅れて…仕方なく、見つからないようにこいつに乗って逃げているんだ」

 

片手で色々とOSを設定し、やっと4割程の機体のデータを整えていく中である程度砕いて説明した。

 

コイツ…機体はオンボロなくせにフェイズシフト…?とかいう謎の装甲を持ち合わせていたり、何やらストライカーパックなるものの装着が可能…とかデータ上にあるが、一体なんのことを言っていて何を表していてどんな効果があるのかほぼ分からない。

こんなことなら電気系の専門知識もある程度勉強しとくんだったな…

 

あーだこーだと考えられるぐらいには今のところ順調に行ってるんじゃないかと思う。ザフトのモビルスーツが手当り次第に撃ちまくっていたせいか、そこら中でも炎上しており、そこから出てきた黒煙のおかげか、上手く見つからずに動けている……と思う。その代わりこっちからも視界が悪くてたまらないが。

 

結局、どこに行けばいいのかわからないまま突き進み、気づけば街の近くまで接近していた。

 

(…どうしたもんかな…いくらなんでもモビルスーツで街中出歩くのは流石に…かと言ってここで棒立ちなんて言わずもがな…いっその事降りる?いやいや、生身の方がかえって危険だ…)

 

いわゆる八方塞がりな状況の中、俺と彼女が生き残るにはどうすればいいのか、自分の頼りない脳内を必死に動かして方法を考えていると

 

 

 

「…ッ!?機体接近ッ!?左ッ!?」

 

「きゃっ!」

 

機体から急に発せられた警報により、備え付けられてる熱源探知レーダーのおかげである程度の方角はわかったが、黒煙が邪魔で視界で捕えることができない。

 

焦りと恐怖心で彼女を抱く腕の力がこわばり、小さな悲鳴が聞こえる。

 

俺は急いで逃げる為になけなしの推進剤を使ってスラスターを吹かそうとしたが、黒煙の中から2機のモビルスーツが現れる。

 

 

「!?ジン…だけじゃないっ!?」

 

現れたのはジンと、自分の機体と同じ姿をした機体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?ガンダムが、もう一機!?」

 

「嘘…!?プロトタイプのストライク!?解体されたはずじゃ…!」

 

 

ザフトの襲撃に巻き込まれて、なし崩しに機体に乗ることになってしまった人物、キラ・ヤマトとマリュー・ラミアスは、突如として現れたもうひとつの機体に驚愕した。

 

それはジンに搭乗しているパイロット、ミゲル・アイマンも同じだった

 

 

「何、もう一機だと!?地球軍のモビルスーツは5機じゃなかったのか!?」

 

……いや待て…もう一機の方は明らかに様子がおかしい…

目の前のやつと同型の機体なんだろうが、脚部の装甲が禿げていたり、フェイズシフト装甲を展開していなかったりと、見るからに異常だ。

 

数の差で不利な今、先に減らすなら…

 

「…コイツからッ!!」

 

思わず追撃の手を止めるミゲルだったが、ザフトの中でもエースパイロットである彼はその後の思考速度とそれを実行に移すまでの決断力の高さは並のものではなかった。

 

「生意気なんだよッ…!ナチュラルがモビルスーツなどォッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?く、来るッ!?」

 

 

来る!来ちまうッ!

 

モビルスーツの操縦なんてこれが初めてなのに、戦闘経験なんざ言うまでもない。いくら優秀だといわれるコーディネイターでも、戦闘用に調整されたコーディネイターと、仮初の平穏でぬくぬくと育ったコーディネイターではそもそもの土俵が違いすぎる。

 

覚悟はしているつもりだった。

こんなものに乗っている以上、向こうは問答無用で殺しにくる。だから、戦闘になるかもしれない…いや、その確率の方が高いっていうのはわかってた。

 

だが、俺には覚悟の度合いが足りなかった。

 

重斬刀を構えて突っ込んでくるジンを前に、俺は迫り来る死という概念に頭が真っ白になり、指ひとつ動かすことが出来なかった。

 

 

 

だが、

 

 

 

俺が今なお腕に抱えている少女は違った。

 

彼女は迫り来るジンから片時も目を離さず、俺の手の上からスラスターのレバーを握り、

 

 

 

 

「……邪魔だァッ!」

 

 

 

思いっきり前に倒した。

 

 

 

 

 

「はっ!?え、ちょ」

 

「ッ!?な、何ィッ!?」

 

当然、スラスターを一気に吹かしたこの機体は、迫り来るジンに向かって突撃したわけである。

 

何をしているんだと俺が叫ぶよりも先にジンに体当たりしてしまい、結果的に反撃することに成功していた。

 

流石のミゲルもこの状況で普通のパイロットなら取らないであろう、捨て身の突撃という行動を予測できなかった。

 

そんな奇行とも言えることをやってのけた少女は、つい先程の穏やかでぼんやりとした姿からは似ても似つかない、力強い目でジンを睨み続けた

 

「やっつけなきゃ…!怖いものは全部ッ!!」

 

「…き、君は…」

 

 

…なんて子だよ…こんな状況で、君は動けるのか…?

 

俺は呆気に取られた。

こんな年端も行かない少女が、迫り来る恐怖なんてものともせずに前に出るという行動をとったことに。

 

それと同時に、俺は頭の中で恥じた。

自分より10近くも幼いこの子を守るために行動してきたはずなのに、俺は守られた側だった。

そのことを認識して、俺は改めて覚悟を決めた。

 

 

「…俺がやらなきゃ…今やらなきゃ…!」

 

 

俺は恐怖を理性と根性で黙らせ、迷わず制御モニターの中から武装カテゴリを選択し、機体の腰部に装備しているコンバットナイフのような近接武器、アーマーシュナイダーを見つける

 

 

「今やらなくて、いつやるんだぁッ!」

 

 

すぐさまナイフを取りだし、相対するジンに向けて、突撃する。しかし…

 

「調子にぃ…乗るなぁッ!!」

 

ミゲルだってただ黙ってやられるはずも無い。

体勢が悪いなか、迫ってくるプロトストライクのアーマーシュナイダーを冷静に重斬刀で弾き飛ばす。

 

「きゃぁッ!」

 

「ッ!?嘘だろッこの状況でまだやれるってのか!?」

 

お粗末な突撃ではあったが、それでも自分が圧倒的不利な状況で行動できるところにミゲルの技量の高さが窺えた。

 

「お前らなんかに…ナチュラルなんかに…やられてたまるかってんだよぉッ!」

 

ザフトのエースパイロットとしての意地を見せるミゲル。

このままでは体勢を立て直される。推進剤も容量バッテリーもほぼない、挙句の果てに片腕は動かない機体の反応は悪いなどの状態であるこの機体では、純粋な1体1では万に1つも勝ち目はなかった。

 

 

 

 

そう 、1体1なら。

 

 

「させるもんかぁッ!」

 

「…ッ!?しまっ」

 

背後からキラ・ヤマトの乗るストライクが同じくアーマーシュナイダーを両手に装備し、ジンの背部にひとつ突き刺す。

そしてもうひとつを首元に深々と突き刺した。

 

「クソッ!ネズミがチョロチョロとッ!」

 

ミゲルはなおも重斬刀を振るおうとするが、背部に突き刺されたアーマーシュナイダーが思いのかほか致命傷になっていたのか、機体が言うことを聞いてくれず、指1本動かすことができなかった。

 

「何ッ?ハイドロ消失、多元駆動システム停止ッ!?」

 

次々と制御モニターに現れるエラーを前に、ミゲルはもはやこの機体では戦えないことを悟った。

舐め腐っていたナチュラルにいいようにしてやられる…彼にはその事が何よりも屈辱であった。

 

「…クソがァッ!…いつか…いつか落としてやるからなァ!!」

 

しかし、ここでむざむざと死んでやるつもりもなし。怒り心頭であったが体はすぐさま何かのパスワードを入力し、コクピットから脱出した。

 

その様子をキラの乗るストライクのコックピットの中で見たマリューは、一瞬混乱した。

 

(…?あれはジンのパイロット…?機体を捨てて…)

 

逃げる為に脱出しただけ…?でもまだ機体は稼働して……ッ!?まさか自爆システムをッ!?

 

「爆発するわッ!早く逃げなさいッ!」

 

軍事経験もあるマリューにはパイロットがとった行動がどういう意味なのか理解できた。

すぐさまキラの横から通信を繋げてツクミ達にそう叫ぶ

 

 

「は?…爆発ッ!?」

 

「えぇっ!?」

 

 

自分のいるコクピット内からいきなり知らない人物が通信でそう言ってもすぐさま反応なんてできるはずもなく、それはキラも同じだったようで、俺がそう叫んだ瞬間ジンが自爆し、至近距離にいた俺達2機はマリューの忠告虚しくその衝撃を真正面から受け止めてしまった。

 

「「うわぁぁッ!!?」」

 

 

 

 

 

互いに気絶しかねない程の衝撃を受けた2機は、幸いにも誘爆などはしなかったが、フェイズシフト装甲を展開して対物理防御を高めていたキラ達とは違い、素の状態だった俺の機体は所々ダメージを受け、ついに頭部のメインカメラにすらも異常をきたしてしまう。

 

ノイズの走るコックピットの中で、半分意識が朦朧としていた俺は、体にのしかかる温かさを感じて意識が覚めてくる。

 

「…ぅ…ッ!おい、おい大丈夫かっ!?」

 

「…だい…じょう、ぶ…」

 

 

彼女も俺と同じように意識が飛びかけていたが、俺の呼び掛けにたどたどしくも答えてくれた。どうやら俺の身体がクッション代わりになっていたらしく、彼女の言うとおり体にはなんの問題もなさそうだった。

まだ1つの危機から脱しただけとはいえ、それを見た俺は安心で力が抜けた。

 

「…ッハハ…そうかい…ならよかったよ…」

 

力無く笑う俺に、彼女は目覚めた時とおなじように、俺の胸元から見上げるようにして尋ねる。

 

「……あなたは、ステラを、まもるひと?」

 

「……ステラ?君ステラって言うのか…そういや、互いの名前なんて知らなかったんだよな、俺達…」

 

俺はなんでか少し感慨深く思った。そして彼女の頭を撫でながら、質問に対しての答えを告げた。

 

 

「…あぁ、守るさ…俺は君に、救われたからね…今度は俺が、君を救ってみせるよ…」

 

彼女が、ステラが、あの時スラスターのレバーを押してくれなかったら、きっと俺達は既に死んでいたんだろう。

 

「……ん……」

 

ステラは声にならないような声で小さくうなった後、俺の胸元に顔をポスッと埋める。

…あの時、ステラがジンに突撃した時の、まるで怒りに満ちたような表情からは想像もできないほど穏やかな顔をしていた。

 

彼女は色々と謎が多いが、まだそれを尋ねるには場所があまりにも物騒すぎる。疲れた体に鞭を打って操縦レバーを握り、ノイズの走るモニターで見ずらいが周りを確認する。

すぐ隣には色つきのストライクが膝を着いていたが、段々と機体色が無くなっていき、自分の乗る機体と同じグレーの色に染まった。いや、戻ったと言った方がいいだろう。

 

「…あれが、フェイズシフト装甲ってやつか…なるほど、見た目以上に頑丈らしい…ん?」

 

よく見ると、向こうのストライクのコックピットが開き、中からパイロットが2人出てくる。

 

「あれ、俺達と同じ2人乗りか…あ?てか、あれ…子供ッ!?民間人じゃないのかあれぇ!?」

 

「んぇ?」

 

俺の声にステラが起きるが、それどころでは無い。自分もいえた事じゃないが、モビルスーツは軍のものであり、その中でも超極秘機密が詰まったものでもある。決して民間人がおいそれと触るどころか、見ることすら下手したら犯罪になるほどの物だ。そんなものに、子供が乗っているなんて…

 

疑問が数え切れないぐらい出てくるが、さらにモニター内の端っこに何かしらの反応がでてきた。見てみると何故か数人の民間人が物陰からわらわらとでてきた。見たところ全員若い…学生のようだった。

降りたストライクのパイロットの1人、子供の方が出てきた民間人達と喜びながら話しているのが見えた。しばらくすると、全員が恐る恐るこちらの機体を指さしたり見てくる。

 

 

「…俺達も出るべきかな、これは…」

 

「ステラも、いく」

 

「あぁ、行こうかステラ。足元に気をつけてな」

 

 

俺達もコックピットを開いて、広い大地に足をつける。

これからのことについても、色々と話し合っていかないとな……

 




ちなみにステラの年齢的には12歳ぐらい。

見た目的にはシンの妹、マユぐらいだとイメージしてます。
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