ジャンケンが全てを決めるイカれた世界でハーレムを目指す!   作:かませ犬S

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ジャンケンに勝つと気を失うらしい

「お兄様!お兄様!いい香りですわ!お兄様に包まれているようで幸福ですわ!最高の気分ですわ!」

 

 最悪の気分ですわ!実に目に毒な光景ですわ!

 何が悲しくて実の妹の痴態を見ないといけないんだ。俺の下着を頭に被ってベットの上でゴロゴロ転がる妹の姿にドン引きだ。ここに使用人が居ないことを嬉しく思う。貴族の令嬢として人に見せてはいけない姿だ。なんてイカれた妹なんだ!

 

 俺が部屋に入ってから30秒程経過しているが未だに止まる気配がない。むしろ興奮が増していっている気がする。ハァハァと妹の息遣いが聞こえてくる度に嫌悪感が込み上げてくるのは致し方ないだろう。

 ハーレムを作るのを目的にしているが、近親相姦に興味はないので妹は俺のストライクゾーンの外だ。下腹部に手をやろうとしている妹を見て流石にそれ以上は見たくないので咳払いをする。

 ビクッと体が跳ね、恐る恐るといった感じで妹が俺の方を見た。

 

「あら、お兄様お帰りなさい。わたくしお兄様に会いたくて部屋で待っていましたの」

 

 下着を頭に被ったまま俺と話さないでくれ。倫理観はどこに置いてきたんだ俺の妹は。俺と同じ教育を受けてきた筈だ。ジャンケンに支配された世界ではあるがジャンケン以外の倫理観はそこまで狂っていなかった筈だ。

 これもジャンケンの所為だと言わないでくれ。俺が世界を変えたばかりに妹が狂ったなんて現実は見たくない。

 何年か前までは正常だった筈だ。急に奇行が目立ち始めたな。タイミングで言うと俺の婚約者が決まった頃からか。なるほど。お兄ちゃんを取られたくなくて構って欲しい、そんな所か。

 妹の心の奥底に隠れた本音すら読み解くとは、流石はジャンケンマスターだ。心理戦で俺に勝てる者はいないだろう。

 

「エルザ、すまないが頭のソレを取って話してくれないか? 」

「嫌ですわ!幾らお兄様の頼み事とはいえ、この最高の瞬間を捨てる事は出来ませんもの」

 

 頼むから鏡で1度自分の姿を見てから発言して欲しい。自分がどれだけ醜悪な姿をしているか認識して悔い改めるべきだ。如何にパーフェクトなお兄様である俺でも受け入れられないものはあるぞ。どうする? 流れ的にジャンケンファイトを行うべきか?

 この世界は前世に比べれば分かりやすい。決闘者達のように気に食わない事があればジャンケンをすれば良い。この世界はジャンケンが全てを支配する!!イカれてるぜー。

 

「エルザ、それならジャンケンで決めようか」

 

 ───その瞬間、俺の脳裏にある光景が浮かんだ。頭に下着を被った妹とジャンケンをする光景だ。大変遺憾な事に俺は妹にジャンケンで負けていた。ジャンケンマスターであるこの俺がだ!一回勝負の対決だったとはいえ親父に勝ったこの俺が負ける?

 脳裏に浮かぶ光景では妹がパーで俺がグーを出している。覆す事が出来ない敗北の光景だ。

 異様な興奮を見せる妹が鼻息を荒くし、どこぞの3世を彷彿させる豪快なダイブで俺に襲いかかってきた所でハッと我に返った。今のヴィジョンはなんだ? 未来でも見せたというのか?

 もしそうだとしたら悪夢のような未来だった。妹を見ると下着を被ったまま笑みを浮かべている。口角がつり上がっている。嬉しくて仕方ない時にする彼女の癖だ。

 

「お兄様、わたくしとジャンケンをするといいましたわね」

「そうだね、俺のパンツを賭けてジャンケンをしよう」

 

 自分で言っててアレだが、俺は何を言っているんだろうかとツッコミを入れたくなった。何が悲しくて自分のパンツを賭けて妹とジャンケンをしないといけないのだろうか?悪夢のような出来事だ。

 

「いいですわ、ジャンケンをしましょう!ただし!」

「ただし?」

「わたくしが勝ちましたら、今!お兄様が!履いている下着をちょうだいいたしますわ!!!」

 

 後ろに『ドンッ!!!』とエフェクトが付きそうな勢いで、俺に向かって人差し指を立て、こちらに向ける妹。言っている事が淑女とは程遠い最低な発言をしている事に出来ることなら気付いて欲しい。

 

 そんな俺の心境とは裏腹に空中にカラフルな文字が浮かんでいく。

 ───『ジャンケンの生みの親』ジャックVS『永遠の淑女』エルザ

 

 こんなイカれたジャンケンも神は見ているというのか。一体どんな神がどんな表情でどんな気持ちで見ているか根掘り葉掘り聞きたいところだ。

 それと頭に俺の下着を被った妹を見て、何をどう間違えたら淑女と呼ぶんだ。変態の間違いではないのか? 実の妹が変態である事実を再認識し、心が酷く落ち込んだ。

 

「お兄様、覚悟は出来てまして!」

「覚悟はしていないよ」

「どういう事ですの?」

「する必要がないのさ。俺が勝つからね」

 

 キュン!!ってラブコメや恋愛漫画でありそうな反応する妹を見て何も感じないのは姿形のせいなんだろうな。

 

 間違いがないように予め言っておくが妹は決してブサイクではない。いや、むしろ兄目線で見てもとびっきりの美少女と断言できるだろう。

 大きくパッチリとした碧眼、目鼻立ちは整っているが、性格が顔に出ているのか顔つきはややキツめの印象を受ける。分かりやすく例えるなら悪役令嬢みたいな顔と言っておこう。

 光の束を集めたような金髪を昔のアニメでしか見ないようなクルクルと巻いたツインテールにしている。この髪型を見てドリルが頭についているなと、心で思ったが決して口には出さなかった俺を褒めてやりたい。服装は黒いドレスだ。母親の血を色濃く引いているのか貧乳である。スレンダーとあえて言っておこう!

 総じて美少女である。悪役令嬢みたいな、が頭につくが。

 

 そんな美少女が頭に俺の下着を被っている。どれだけ贔屓目で見ても変態にしか映らない。下着というオプションはこんなにも優れた容姿を台無しにするのか!

 俺も頭に下着を被る時は気を付けないといけないな⋯⋯と、自分でも意味不明な事を考えていた。どうやら妹の痴態に頭が混乱しているようだ。まずいな。今からジャンケンファイトだと言うのに!正気に戻るんだ俺!

 

「さて、準備はいいかいエルザ」 

「はっ!大丈夫でしよ!わたくしはいつでもお兄様を押し倒す準備は出来ております!」

 

 聞かなかった事にしようと思う。さて、重要なのはここからだ。俺の下着を賭けたジャンケンファイト。今まで妹とは何度もジャンケンをしてきた。妹とのジャンケンファイトの勝率はおよそ9割。つまり俺の勝ちは殆ど決まっているようなもの。

 

 ───『一割負けるんやでー』

 

 頭の中に響いた声にハッとする!そうだ9割勝てるという事は一割負けるという事!

 俺とした事が見落としていた!やはり俺は天に愛されている。こうして大事な事を思い出させてくれたんだからな!

 ジャンケンマスターのヒロちゃんに慢心などない。誰が相手であろうと気を抜かず本気の勝負だ!

 

「それじゃあ、いきますわよ!」

 

 妹の掛け声と共に腕を振り上げる。何を出すかは既に決めている。俺の黄金の右手が勝利を掴めて轟き叫ぶ!掴み取れ栄光の勝利の二文字を!いくぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ジャンケンポン!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───妹が出した手は『グー』。そして俺が出した手は『パー』。

 

「俺の勝ちだね」

「なん⋯⋯ですって」

 

 ふふふふ、やはりジャンケンマスターのヒロちゃんの名は伊達ではない。妹が考える手をこうも読み切ってしまうとは。

 素人には俺が何故『パー』を出したか分からないだろう。俺には妹が何を出すか、その表情を見て直ぐに連想出来たのさ。下着を頭に被り鼻息を荒くしている姿はさながら猫!

 前世で俺が飼っていた猫『ミケランジェロ』に似ていたのさ!直ぐに連想出来たさ。俺の愛猫ミケランジェロは猫パンチが得意だった。つまり妹が出そうとしている手は『グー』。

 そのパンチを優しく包み込む『パー』こそが勝利の決め手!

 

 HAHAHAHAHAHA!やはり俺の直感は正しかった。あの時、脳裏に浮かんだ光景は俺をハメる為のモノだったに違いない。

 妹に負ける光景を強く印象付ける事で俺が負けない為に『チョキ』に誘導する、そこに決め打ちの『グー』を出す気でいたんだろ!そうだろう妹!

 

 名探偵顔負けの推理で満足していると、右手を見て妹がプルプル震えている。どうした?

 

「わ、わたくしが負けた」

「そうだ、俺の勝ちだよエルザ」

「負けた⋯⋯という事はこの下着は」

「当然だけど返して貰うよ」

 

 言い切る前に妹がぶっ飛んだ。車に撥ねられたんじゃないかと錯覚するような見事な後方へのぶっ飛び。妹が自ら飛んだ事を俺は見逃さなかった。大丈夫だ、恥じることはない妹よ。今のは俺じゃなきゃ見逃していたからな。俺だから見逃さなっただけさ!

 

「お兄様⋯⋯わたくしの⋯⋯負けですわ」

 

 吹っ飛んだ勢いで絨毯の敷き詰められた床に倒れた妹が口から血を吐きながら負けを認める。なんで血を吐いているんだという無粋な質問はやめた方がいいだろうか?

 誓ってもいいが、ジャンケンファイトが原因ではない。ジャンケンファイトに直接相手を傷付ける力はないからな!

 

 なら、なんで妹が血を吐いているか?

 

 知らん!

 

「返して貰うよ」

 

 妹が頭に被った下着に手を伸ばしてその手に取る。妹の口から『あっ』と小さな声が漏れた。

 

「これは俺の下着だよ。欲しかった、また挑戦してくるといい」

「分かりました⋯⋯次は必ず⋯⋯お兄様が履いている下着をちょうだいいたしますわ⋯⋯ガクッ」

 

 こうしてジャンケンファイトに勝利した俺は下着を取り戻す事ができた。ただ、妹が舐め回していたのかびちょびちょな下着はそのまま履こうという気は一ミリも起きず、洗濯行きとなった。

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