「ミッション開始。アーキバスの戦力を振り切ってルビコンから脱出すっぞ」
おーらい。
ひとまずは目の前のアーキバス部隊を何とかしないとな。
「私がレーザーランスで仕掛けます。その後は離脱してスタンニードルランチャーで支援しましょう」
「じゃあレーザーランスの次は俺達だな」
おう。
僕もヘイトは稼いでやる。
「っ?! まずい、V.Ⅱのレーザーランスが来るぞ――っ?!」
「うらぁああああ!!!」
「ヤケだな、あの声」
まぁ事態が事態だし。
いつかみたいに「私こそが企業だ」とか言い出さないだけましだよ。
「お前がまだ社員だった頃のあれか。あれはすごかったな。お前が便乗して『企業閣下』とか言い出すもんだからなだめるのにも苦労した」
あんときの一番のキレポイントがよりにもよって僕の『閣下』発言なんだからずれてるよなぁ、スネイル。
「…………」
「落ち着きましたかね、スネイルさんよ」
「ええ、嫌になるほどに。『閣下』は不要であると何度言わせれば気が済むのか」
さて。
スネイルのレーザーランスで散らしたところにフロイトのレーザーブレードで一気に吹き飛んだね。
何気にスカルちゃんのバースト銃とミサイルの効果の馬鹿になんない。
最後まで残ってた四脚さん二機は僕のレザダガコンボとスネイルのスタンニードルランチャーでネクターになったし、滑り出しは順調かな。
「いんや、どうやらMT部隊が蹴散らされるんのは奴さんも想定内のようだぞ」
「あれは……鹵獲した封鎖機構のLCが二機か」
「搭乗者は、V.ⅤホーキンスとV.Ⅷペイターか」
さっそく来たか。
ホーキンスさんに、ペイター君。
「……まさか、こういう形でスネイルと戦うことになるとは思わなかったよ」
「同感です。初めから上層部の命令通り独立傭兵ブレイン・スカルもファクトリー送りにしてしまえば、こんなことにはならなかった」
「……。こればかりはスネイルの方が上手だよ。彼が二人を庇っていたら、上層部がなんと言おうとそう簡単には排除できないものさ」
余裕そうだね。
高性能な封鎖機構の機体に乗り込めば、僕らに敵うとでも思ったのかい?
「いやいや。私も君達の恐ろしさはよくわかっている。……だから、対策は施してあるさ」
「っ?! おいブレイン、こいつらステルス機を連れてやがる!」
なるほど。
数は……なんとなく視認できるだけで四機。
そのうち二機は遠くからレーザー射撃を仕掛けてくるタイプとみた。
「LC機体はそそられん。適当にその二機と、ついでに他の奴らも巻き込めるなら巻き込んでおこう」
あいあい。
じゃあなんとなく僕はそこの二人か。
「そう簡単に――?!」
「私を忘れるとは、ずいぶんと詰めが甘い。こんな事態でなければ再教育センターに送っているところでしたよ、第八隊長ペイター」
「……貴方にそう呼ばれる筋合いはありませんね。裏切り者の第二隊長」
はぁい、スネイルのランスばかりにかまけているとレーザータレットの餌食だよー。
ってわけで、今のうちにまた離脱しなー。
「感謝しておきます。……そういうわけだ、せいぜい私を警戒するといい」
「厄介だねぇ、この布陣。スネイルをフリーにしたくないのに、ブレインとフロイトがそれを許さない」
「独立傭兵スカルの存在も馬鹿にできません。銃弾はこちらへ向けているのに、ミサイルはゴーストの機動妨害に使用している……まさかここまでゴーストが役に立たないとは」
オキーフとラスティの暗殺に使われた機体なんだもん、そいつら。
そりゃ解析して対策はしておくよ。
……いや、というかこれ割とずさんなステルスだよ。
「スキャンか。……流石上位ナンバーと言うべきか」
というかさ、ホーキンスさん。
僕の『狩場』、もうできあがってるの気づいてないの?
「っ?! それをいうということは――」
「そういうこった。あちしの弾幕を食らうがいい」
「っ……しまっ?!」
もう遅い。
そのままレーザーダガーで三枚おろしさね。
「V.Ⅴホーキンスの撃破を……あ? なんだこれ?」
……こりゃ、ペイター君。
「まさか、私を庇って……?」
「……まぁ、その、なんです。ここで倒られても迷惑、ですので…………」
……。
「V.Ⅷペイターの撃破を確認。ホーキンスの方も、もう機体は死んでんよ」
「ステルス機も片付いた。そろそろ移動を始めるべきだ」
ま、僕らはあくまで脱出が目的だしね。
そういうわけで、トドメは刺さないであげるよ。
じゃあね。
「…………。終わったよ、ペイター君。やはり、私達の負けで終わってしまったけどね。……流石はブレイン君、か。やっぱり強いね」
「そう、ですか。まぁ、上層部は『奴ら』やスネイルと違い穏健派、ですからね。ひとまず、ここまでやれば、昇進は絶望的、ですが……まぁ、悪いようにはならないでしょう」
「いざという時は自分を優先しろと言った筈だけど」
「貴方にも、ご家族がおられるのでしょう? そこは、まぁ、お互いさまと言うことで」
「まったく……。救難信号を出しておくよ。私達の分と、望み薄だろうけど、彼らMT部隊の分もね」
◆
「さて、結構上ってきたわけだが」
「まだ生きている私の端末で補給シェルパを人数分手配してあります。各位、補給を済ませアーキバスの追撃に備えるように」
「了解だスネイル。……この補給を済ませ、あのリフトを登れば、地上だな」
輜重関連の仕事を僕の方で処理して正解だったね。
じゃなきゃここで補給できなかった。
ホーキンスさんとペイター君の一件以来、大きな妨害がなかったのもありがたいよね。
やっぱりレイヴンとウォルター、あとあの二人が呼んだRaDによる陽動がうまく効いてる。
解放戦線の部隊の大部分があっこの方に流れている。
後はこのまま僕の船を隠しているグリッドに行けたらどうにかなるんだが……。
「まぁそこまで世の中甘くはないようで」
知ってる。
外出た瞬間来やがった。
「敵はACとバルテウス。……だが、どっちも普通じゃねーな」
「ACの方はV.Ⅳラスティ。やはり生きていたか。それに、ブレインと同じように新しい機体に乗っているようだ」
「バルテウスの方は、封鎖機構の拠点から鹵獲したものをアーキバスの技術で改修したものです。本来は私が乗る筈でしたが、奴が盗み出した」
「バルテウスの搭乗者は……なるほど、問題のオキーフだぜ」
やっぱりあの時の暗殺事件はブラフだったってわけだね。
よくも一杯食わせてくれたな。
ラスティに、オキーフ……!
「よく来たな、独立傭兵ブレイン」
「独立傭兵レイヴンとハンドラー・ウォルター、そしてRaDを陽動に使うとは考えた。だが私達の機動力は折り紙付き……ここまでだ」
ずいぶんと手厚い歓迎だこと。
そんなにもアーキバス上層部からの条件が良かったのかい?
解放戦線のお二人さん?
「さて、なんのことか」
とぼけるのか。
まぁこの際どうでもいっか。
「ああ。私達がどこの誰であろうと……お前達には消えてもらう」
一応聞くけど。
僕らの目的はコーラルを捨ててルビコンを脱出すること。
解放戦線からすれば嬉しい展開の筈だぜ。
「だから見逃せと? ……嘘だな、独立傭兵ブレイン。お前はそこでは終わらない」
……なんだ、やっぱりばれてるのか。
「ああ、お前のプロファイリングは済ませている。お前は、身内への攻撃と裏切りには絶対の恐怖で返す。……ここで逃がせば、必ず戻ってくるだろう。復讐のために」
そーかそーか。
よくわかってるねぇ。
ご指摘の通りだ。
アーキバスは勿論、ルビコン解放戦線の奴らも誰一人として楽には死なせない。
たとえどんな形になってでも、この借りは耳を揃えてきっちり返してやる。
先のフロイト暗殺未遂の件も含めて、ねぇ?
「また出ましたか、ブレインの悪い癖が」
「まったくだ。……盛り上がっているところ悪いが、そこの新型ACは俺が貰うぞ。エルカノACに乗るあいつなら、少しは楽しめそうだ」
そういうフロイトこそ、現実わかってる?
今回は、お前の悪い癖こそ、許容できる状況じゃないんだけど。
「だから私も残るのです。アーキバスバルテウスについては熟知している。その弱点も。……奴を撃破する片手間に、やりすぎないよう監視しておきます」
「そういうわけだ。お前達二人は先に俺達の退路を確保してくれ。……どうやら、そちらにも『客』が来ているようだ。そちらの歓迎は任せる」
「……ん、フロイトのいう通りだぜブレイン。奴らとはべっこの機体反応がある。迎撃しなきゃあちしらがサンドイッチだ」
わかった。
僕とスカルちゃんで潰しに行っとくわ。
そんなつまらない奴らに殺されるなよ?
「さて。ようやく本気のお前だな。こんな状況でなければ純粋に楽しめたものを。残念だ」
「V.Ⅰフロイト……お前もまた、ルビコンを脅かす危険因子。この新型で、止めてみせる」
「貴方の相手は私です。ACから乗り換えた程度で勝てるほど私は甘くない。それを、体に教えて差し上げましょう」
「それは武者震いか? スネイル、お前の方こそよく知っている筈だ。このアーキバスバルテウスの性能を。……お前はここで、順当に死ぬこととなる」