ブレイン傭兵事務所へようこそ   作:上代わちき

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今回は閑話回です。
壁越えの後の話です。
よーするに四話の前後ぐらいのお話。


閑話

 

 

 

「遊びに来たぞ、ブレイン」

 

 

 おおー、来たかフロイト。

 

 

 

「一度気になっていたんだ、お前の船」

 

 おや、AC馬鹿にしては珍しい発言だねぇ~。

 

 

 

「俺がACだけにかまけていると思ったら大間違いだ。だから早く見せろ、お前のコレクションを」

 

 要するに僕のゲームセンターがみたいんだね。

 いいぜ~、驚くがいい~。

 

 

 

 

「やれやれ、結局娯楽ですか」

「おや、あんたも来たのか。"閣下"殿」

「閣下は不要です。……色々と疲れました」

「あんたも苦労してんだな」

 

 

 

 

 

 

「レトロばかりだな」

 

 おうさ~。

 あの年代のアーケードは味があるものばかりでね~。

 

 ついつい集めちまうんだ~。

 

 

 

「そんなんだから金欠に喘ぐんじゃないか」

 

 ……ばれたか。

 

 

 

「流石に俺でもここまでの散財はしない。あの娘……スカルといったか。あれに苦労させるのは、流石に引くぞ」

 

 返す言葉もございません……。

 

 

 

「だいたいお前は私生活が雑に過ぎる。訓練生時代、俺とスネイルがどれだけ苦労したことか……」

 

 うぅ……。

 

 

 

 

 

「まじか。あの所長に常識を説ける奴がいるだなんて」

「私に言わせればどの口が言うか、と叩きつけたいのですが」

「……類は友を呼ぶって奴か」

 

 

 

 

 

 

「ところで、お前のACだが」

 

 ん、どがんしたよフロイト。

 

 

 

「……アーキバスの解雇を経て洗練されたな。あえてベイラムのハンドガンを使っているのが面白い。これ、使い続けているんだろう?」

 

 金欠だからね~。

 

 

 

 

「ただの金欠でこれを使い続けるのは不自然だ。安くて使いやすいものならまだほかにある。……アーキバスに戻っても手放せないだろ、これ」

 

 

 まぁ、慣れ親しんじゃったってのはあるね。

 

 こんなに軽くて、でも相手の姿勢を崩すのには十分な火力があるんだ。

 なかなかいい娘だよ。

 

 

 ちょっと相手との距離感だけは工夫しないといけないのがあれだけど、まぁそれぐらいの方が愛着が湧くんだ~。

 

 

 

「今のお前のACはさながら狩人だな。相手を狩るための場を作り出し、たった一度のチャンスで急所に食らいつく。……くそ、やりたくなってきたな」

 

 

 悪いけどそれはまた今度だ。

 まぁ、アーキバスに戻れたらいくらでもチャンスがあるんだから、それまでの辛抱だぜ~。

 

 

 

「言ったな? ……逃げ出すような真似はするなよ。V.Ⅳの奴はエルカノ辺りのフレームに乗せんとつまらんからな。俺にはもう、お前しかいない」

 

 ハン、せいぜい吠えてろ。

 

 

 

 

「……アーキバスに戻ってなおもベイラムの粗悪品を使うつもりですか、ブレインの奴は」

「お宅の所のロックスミスからしてベイラムのライフルとバズーカ使ってんだ。多分うちのもそうすると思うぞ」

「……会話から察するに、要項は衝撃力でしょうね。先進開発局に余裕ができ次第、新しいハンドガンの開発を要請しましょうか」

 

 

 

 

 

 

「ここが船内事務所とやらか。……まるで探偵の事務所だな」

 

 

 おう、実際参考にしてる部分はある。

 

 入口の方を向いてるブラウンの事務机とかそれっぽいだろ~。

 実際依頼を受ける時の書類仕事はそこらへんで処理してるし。

 

 

 

「まぁそこにジュークボックスやビリヤード台があるのがお前らしいセンスだが。ピカレスクロマンでも目指しているのか」

 

 どっちかっていうとダーティーヒーローとかじゃないの~?

 

 

 

「お前の場合はマフィアの方がしっくりくる」

 

 ひっでぇ。

 

 

 

「ふむ、ブレインのコレクションはこの棚か」

「見たい映画でもあんのか」

「最新の映画は一通り嗜んでいますが、アーカイブにしか残っていないようなレトロ映画はブレインぐらいしか集めていませんからね」

「ああ~。そこらへんはダーティーな手段つかってっから。多分あちしやあんたが真似しようと思って真似できる手段じゃねーぞ」

 

 

 

 

 

 

「ふむ。ACは四機格納できる、か」

 

 おや、ここにいたんかスネイル。

 せっかく揃ったんだから久々にみんなでTRPGやろうぜー。

 

 

 

 

「ずいぶんと高い買い物をしたものだ。四人も集める算段でもあったのですか?」

 

 あ、この船についてか?

 まぁ当初は貧民街の奴らと組んで仕事してたからな。

 

 

 

「あぁ、それでですか。……だがその奴らがいないというのは、そういうことですか」

 

 あたぼうよ。

 ベイラムが憎けりゃ何してもいいってわけじゃないからね。

 今頃は後悔しまくってるんじゃないかな~。

 

 

 

「……ある意味、安心しましたよ。その悍ましい部分、なくなったわけではないのですね」

 

 

 今でも締める部分はきっちり締めるよ。

 身内は身内。

 他人は他人だ。

 その境界もわからん奴に優しくしてあげる道理はない。

 

 でも、一回だけそれ絡みでスカルちゃん泣かせちゃったからね……。

 

 

 

 

「彼女、ですか」

 

 

 僕は一度スカルのことを救った。

 でもそれ以上に、戦場で何度か命を救われてる。

 

 その辺のごろつきなんかよりよっぽど強い娘で、でも気遣いもできる優しい娘だ。

 こんな悪党でも、情の一つぐらいは湧くさ。

 

 

 

「ならばせいぜい大切にすることです。今のアーキバスは不穏分子が多すぎる。私が庇うにしても限度があると思いなさい」

 

 あいあい。

 助かるよ。

 

 

 

「全く……」

 

 

 

 

 

 

「友情ごっこは楽しかったか、スネイル」

「ええ、それなりには。あのくだらない余興に定期的に付き合うだけであれほどの駒が忠実になるのです。ファクトリーなどよりもよほど効率的だ」

「なるほど、所詮は計算か」

「ええ、当然です」

 

「あいつは、お前のそういうところが気に入っているんだろうな」

「身内には最大限の愛を。代わりに、他者には一切の関心を示さない。それがブレインという男の本質です。ならば、徹底して鷹揚なフリをすればすぐ靡くというもの」

「なら、せいぜい死ぬその時までそのフリを続けることだ。その姿勢さえ貫けば、あいつは最後までお前の味方でいるだろうよ」

 

 

 

 

 

「なぁ、スネイル」

「なんですか、フロイト」

 

「俺達の、最初の目的。覚えているか」

「アーキバスで成り上がり、いずれは君臨する。忘れたことなど、一度たりともない」

 

 

「俺としては成り上がるだけでよかったがな。実際、かなり満たされた方ではあるとは思うぞ」

「生憎ですが、私はまだまだ物足りない。……このコーラルの利権を以て、アーキバスだけではなく、全宇宙を支配する。いずれは宇宙政府の件にも着手せねば」

 

 

 

 

「……ブレインの奴は、どうだろうな」

「どうであろうと、関係ありません。……私の計画に、あいつの力は必要不可欠です。最後まで付き合ってもらう」

「なるほど、大変そうだな」

 

 

「大変なのは貴方もですよ、フロイト。散々事務と政治で助けてやったのですから、その分は働いてもらいます」

「そうか、俺も他人事ではないか。……全く、面倒くさいな」

 

 

 

 

 

 

 

◆◆おまけ

 

 

 

「こちら私立探偵のブレイン」

「通りすがりの一般人、フロイトだ」

「警察のスネイルです」

「GMはあちしだ。クトゥルフシナリオを進めていくぞ」

 

 

 

「目星だ。サイコロを振れお前ら」

「あい」

「25。成功だ」

「56。成功です」

「97?! 僕だけファンブルかよ?!」

 

 

「聞き耳の時間だ」

「18。成功だ」

「77。失敗です」

「96?! またファンブル?!」

「大変そうだな」

 

 

「SAN値チェックのお時間だよ」

「01。無駄クリティカルだな」

「60。辛うじて成功ですね」

「99?! 普通のダイスロールだったらファンブルだぞ?!」

「愛されてんな。ダイスの女神に」

 

 

 

「ハハハハハ」

「ちきしょおおおおおお! なんで戦闘でもファンブルばっかりぃぃぃい?!」

「いいからさっさと<回避>を振れヘボ探偵」

「くっそ……あぁぁぁぁぁあぁああああ100ファンンンンンンンン???!!!!!」

「ハハハハハハハハハハ。無様ですねぇ。惨めですねぇ。ブレイン、貴方のその這いつくばる姿を見ていると実にワインが進みます。ハハハハハ」

 

「いつになくスネイルが楽しそうだな。あいつがここまで笑っている姿は何年ぶりだか」

「秘匿ハンドアウトによる敵対シナリオで敵プレイヤーが面白いぐらいに失敗ファンブル繰り返してるからな。そりゃこうなる。ましてやヘボ所長だし」

 

 

 

「フハハハハハハハハハハ」

「そこ!!! 笑いすぎだこの陰険クソ眼鏡野郎!!!!!!!」

「ハハハ。誉め言葉として受け取っておきましょう。ハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

 

 




そりゃ楽しいでしょうな友情ごっこ。


というわけで、ここでTRPG要素の用語を一つまみです。割と偏見で書きました。

ダイスロール:TRPGにおける技能の成功失敗を決めるサイコロ振り。クトゥルフTRPGにおいては出目の数が、あらかじめ設定された値より低いと成功、高いと失敗になる。
目星:大雑把に言えば、何かを探したり見つけたりできる技能。
聞き耳:音の情報を拾う技能。ルールやGMの采配次第では匂いの判定にも使える。
SAN値チェック:それぞれのキャラに設定されたSAN値=正気度が減るかどうかの判定。クトゥルフシナリオは正気が減る展開が多い。正気がなくなったらゲームオーバー。
ハンドアウト:TRPGのプレイヤーキャラにまつわる特殊設定。例えば作中スネイルのキャラに渡されたハンドアウトは、ブレインのキャラとの敵対を運命づけるものだった。
秘匿ハンドアウト:上述のものが他のPCに公開されない、特別な設定。大抵はゲームのクリア条件を付与される。これがある場合、だいたい他PCを出し抜くような条件になる。

ファンブル:致命的失敗。GMの采配次第だが、だいたいプレイヤーにペナルティが下る。6版のルールにより、96~100の出目が出るとこうなる。
100ファン:さらに致命的な失敗。

クリティカル:大成功。GMの采配次第でプレイヤーにボーナスが出る。6版のルールにより、01~05の出目が出るとこうなる。
1クリ:さらに大成功。ただしフロイトが出したのはSAN値チェック時という非常に特殊な条件下だったので、特例的にボーナスなし。故に無駄クリティカル。
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