職業はヒーラー。気付いたら復讐【ざまぁ!】系主人公の邪魔をしていた件   作:やっくんYU

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まだまだ、暑い日が続きそうで、クラクラ〜ヘトヘト〜です……………


エルフ種の国の活動内容

今日から拠点は主にエルフ女王国を中心に冒険をする事に決めたのは最近ではない。

ダガスで事件を解決した後に向かう予定だったのだ。

 

 

つまり、これから舞台はエルフの国へ移行。

なのでハクは奈落の皆とは一端お別れである。

 

 

奈落の皆にはハクを大恩のある人として大層もてなしてくれた上に、送り出す時はかなり名残惜しそうにしてくれた。……それがハクにとっても凄く嬉しかった。恩と言われる程の事をした自覚は無かったし、そもそも(主にエリーのせい)邪魔をしてしまった罪悪感だってあるくらいだ。

 

それでも皆が名残惜しく、悲しそうにもしていた。その中でも特にナズナが一番印象深いだろうか。

 

何せあの娘とはパーティを組んで奈落ダンジョンに潜っており、特に接する機会が多かった内の1人だったから。同じ理由でジャックとも付き合いが長い内の1人になるが、

 

『弟分の背中を押すのも兄貴分の仕事!』

 

と、実に兄貴分らしい、漢らしい台詞と共に見送ってくれた。それでも何処か寂しそうに、名残惜しそうにしてくれたのは……きっと気のせいなんかじゃないのだろう。

 

でも、ナズナはそうはいかない。ジャックの様に上手く言い繕い、隠そうとしたりは出来ない。そう簡単に割り切れたりしない様だ。

誰よりも一番悲しそうに鼻を啜っていて。

 

 

『絶対にまた来いよ! 絶対戻ってこいよ!! 絶対遊びに来いよ!!!』

 

 

と涙ながらに訴えてきた。

奈落以外での初めての友達。おまけに親愛し敬愛しているライトが尊敬している恩人でもある。ナズナが懐いてしまうのはある意味必然であり、その別れともなれば……本当に仕方がないのかもしれない

 

末っ子気質な所もあるナズナだったから、それに釣られる形で他の皆も涙ながらの盛大なお別れ会となってしまった。

勿論ハク自身、今回のこれで今生の別れにするつもりは無い。その意思は皆に表示してある。

 

 

見聞を広げる為にまた世界を巡る。外の世界に戻るだけなのだから。

確かに奈落での生活は楽しい。優しい人たちでいっぱいで魑魅魍魎蠢く地上とは比べ物にならないまさに名前からは連想できない楽園と言って良い場所だった。……でも、そこに留まり続けるのは自身の信条に反する。

 

確かに奈落も果てしなく広大なダンジョン。

それでも、外に広がる世界だってそれ以上に広大で、果てなんかとてもじゃないが視えない。

そんな世界を視て回るのがこの世界での目的の1つなのだから。

 

広大な世界を巡りに巡っていれば必ず奈落の皆と巡り合うし、何よりまた必ず遊びに会いに来る。

 

 

『お待ちしています。ハクさんならいつでも大歓迎ですよ』

 

 

そう約束して、最後には主であるライトとガッチリと握手を交わした。

 

 

『ありがとうございました。……では、また』

 

 

————後ろ髪引かれる思いではあるが、こうしてハクは奈落ダンジョンを後にしたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エルフ女王国】

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

そして、久方ぶりにエルフ女王国に足を運んだのだが……正直見違えた。

自身の目を疑う程の光景がそこには広がっていた。

 

それはあの奈落での別れの感動の余韻もあった筈なのにあっという間に掠れてしまう程の光景。

 

 

これは思いもしなかった……と言えば正直ウソになるだろう。

実はハクは首都に到着する前から予感はあったのだ。

 

港町から街道を通り、首都にまでやってくるその道中。まだ首都は目視出来ない距離だったのにも関わらず……その禍々しいモノの片鱗が視え初めていたから。

 

これから向かうのは実はエルフ女王国———などではなく、どこぞの魔界の城。魔王城みたいな所ではないのか? と思える程に、その視える景色が一変している。

 

 

「これはまた、暫く来ない間に随分な事に……。……黒い風が、死の気配が大きい。……多き過ぎるよ。首都を包む勢いとは。……大型イベントでも起きたのかな? って感じだ」

 

 

国丸ごと飲みこまん勢いで風が吹き荒れているのだ。

 

実際にそんな風が吹いてる訳ではないから街行く人々はなんでもなく生活出来ている様だが、実際にこの光景を見れば即倒する事間違いなし、だろう。

 

ハクの目に視える、ハクの目にしか視えない不可視の光景。

 

 

【黒い風】

【死の気配】

 

 

基本それは無機物にではなくその人物を起点として纏わりつく様に湧き起こるモノの筈。

だが、今回のコレは明らかに首都そのものに纏わりつく様に吹き荒れているのだ。

 

 

「………はぁ」

 

 

勿論、この手の光景を見たのは初めてではない。

あくまでこの世界ででは初めて、と言うだけで以前での世界でも見た事はある。かなり大変だったから強烈に覚えていると言うモノだ。

 

実に簡単な事で、この国内で死の気配を纏う人数が多すぎる、と言う事。

故に1人1人纏う黒い風が集まりに集まってまるで相乗効果の様に黒い風も大きく膨れ上がり、こんな光景を生み出してしまう。と言う事。即ち、エルフ女王国、国家存亡の危機だと言って良いだろう。

 

白を強調する様な街並みだった筈なのに、ここまで黒で塗りつぶされてしまうのを視てしまえば、待ち受ける運命を鑑みたら、エルフ種の性質を知っていても最早同情すらしてしまう。

 

 

「十中八九……、九割九分九厘、……ほぼ間違いなくライト……ダークさんがらみ、だよね、これ。次は何処に~みたいな話は聞いてなかったけど、これ次の標的はエルフの国、って事だね。意図的に聞かない様に、ダークさん達が言うまで聞かない様にしてたけど……失敗だったかも」

 

 

ハクは復讐する事については何も口は挟まない。復讐しなければ前に進めない。

如何に白を極めた身であったとしても、その力は主に人を助ける為の力でそう言う職業に就いた身ではあったとしても、こればかりは仕方がない。

晴らさねばならない恨みと言うモノが存在する事くらい、ハクは解っているから。

 

でも、それでも———怒り、恨み、そんな黒いオーラだけで日々を過ごし、内包させ続けるのは心を疲弊させてしまうのもまた事実。

奈落の外であっても友達に成れる事をハクは勿論、人種(ヒューマン)の皆は証明してみせたのだから。少しくらいは心の休息になれれば、と思って敢えてハクは聞かなかった。もっと楽しい話題。ライトの休憩時間くらいはそう言う話題で話をしたかったから。

 

 

 

でも、この光景を視たらちょっとくらいは聞いていた方が良かったかも? と思ってしまう。

 

 

 

「うん。……次は、次こそは邪魔しない様にしないと……」

 

 

そう、重要なのはそこ(・・)である。

 

 

環境がヒトを化け物に変える……と言う事を世界を通じて何度も目にしてきた事ではあるが、それを踏まえてもあのエルフ種の皆さまは等しく例外なく清々しいまでにクソであると思ってる。

それをハクは直に見てきているので、この死神の様な存在に目をつけられてしまったとしても、完全に因果応報だ、報いを受けるべき、と情は沸かずに吐き捨てるくらいには出来る。

 

……でも、ライトが丹精込めて、長年溜めに溜めて奈落の皆で作り上げた計画(恐らくはエリーだろうか)の邪魔をする事態だけは避けておいた方が良いだろう。

ライト自身は笑って許してくれそうだけど……、カイトの件はやっぱり苦い思い出だ。

 

 

「エリーさんが……一番大変、かな」

 

 

そう、あのエリーの存在が最早頭痛の種となってしまってるのだから。

 

 

 

『頭痛の種とはなんですの!! 失礼な!!』

 

 

 

———と、この場にいない筈なのに、エリーが眼前までやってきて、腰に手を当ててプリプリ怒っている。そんな姿が瞼にハッキリ映ってしまう。……彼女とも中々に濃い付き合いをしていたからだろう。

ナズナとはまた違った意味での特段濃〜〜い付き合いを重ねてきたからに他ならない。

 

……無理矢理良い思い出~に変換させらていたりする? と自身の記憶を疑いそうになることもしばしば……。

 

 

 

 

兎にも角にも、正当防衛やら何かを助けるために手を下す事はあっても、あのカイトの様に嬉々と打ちのめす様な真似は止めておこう……と、心新たにした。

 

 

 

 

 

 

 

街道を通る道中、優雅に馬車に乗り、首都へと向かっているエルフ種の男女が目に入り……そして酷使されている人種(ヒューマン)の男性2人も目に入った。

 

馬車で積み荷を運べば良いモノを、積み荷の殆どはその人種(ヒューマン)の2人がどうにかこうにか運んでいる。馬車にはまだスペースがある筈だが……。

 

 

「全く、何処までもトロい存在ね。これだから劣等種(ヒューマン)は」

「そうそう。融通のきかない所もまさに劣等って感じ。積み荷の1つや2つ、首都にまで運べないのかしら?」

「あっはっはっは! 如何に非力とはいえここまでとは見誤っていたよ。あまりにも脆く、弱く、醜い。それが劣等種(ヒューマン)だ。再確認出来て良かった。……首都に戻ったら処分して活きの良い若いのを仕入れるとするか」

 

 

男女のエルフ種が、身体中痣だらけ、表情も青くさせてそれでも懸命に前へ前へと歩を進め歩き続ける人種(ヒューマン)を蔑んでいた。

 

相変わらずの醜悪さで、胸糞悪い光景。

 

 

「あれ……? ちょっと止まりなさいな、劣等種(ヒューマン)!!」

「は、はぃ……」

「ひっっ、ひぃっ……」

 

 

ハクがそんな光景を見せられて眉を顰めていた時、馬車が動きを止めた。

すると、小奇麗に着飾ったエルフの女が出てくる。更に続く様に男の方も。

 

 

「まぁ! やはり貴女だったのですね! ハクレン(・・・・)さん!」

 

 

現在のハクは旅人の姿に身をやつし、長い髪を靡かせて、特徴的なエルフの耳もつけて、そして何より以前この国に滞在していた時にしていた服装で街道を歩いていた。

 

そのハクの姿は、ハクの存在は実はエルフ女王国ではちょっとした人気になっている。

 

 

「どうも、こんにちは皆さん」

 

 

ハクはぺこり、と頭を下げた。

1人1人の顔を覚えている訳ではない、が。こうやって話しかけてくると言う事は以前に会った事があるのだろう。……ただ、他者を他種族を蔑む様なゲスたちの顔をいちいち覚えていないだけなのである。

 

実はこの国での彼の名は《ハクレン》。

以前この国に来た時にそう名乗り、活動をした事がある。

 

勿論、特に意味はなくハクの名にテキトウに追加した名。後は変装魔術を使って容姿を変えた際に、性別まで弄っていたのである。……勿論、女装の趣味がある訳ではない、とだけ強調しておこう。

 

 

その時にエルフ種の醜悪さを目の当たりにして、この世界の情勢もある程度知った。

そして……。

 

 

「もうすぐ、通り雨が降ると思いますよ? なので、雨養生を……馬車に戻る事をお勧めします」

「え?」

 

 

言われるがままに、空を見てみる。

太陽の光が場を照らし、温める晴天の空……。これをどうすれば雨が降り注ぐと言うのだろうか? と疑問に思い始めたが、ハクはそのまま手荷物の中にある傘を手に取り、開いていた。

 

 

「まぁ、ハクレンさんが言うなら」

 

 

ハクに習う形でいそいそと、準備をし始める。

すると、今の今まで晴れていた空が突如陰り出し……軈てぽつ、ぽつ、と雨が降り注ぎ始め、あっという間に空は黒く染まる。

 

 

「うわっ!!」

「わっ! マジで来た!!?」

「つよっっ! めっちゃつよっっ!!」

 

 

慌てて馬車内に置いてあった傘を取り出した。

そして満面の笑みでこちら側へと歩み寄る。

 

 

「流石ですね! ハクレンさんの【占い】は去年までは人気コンテンツの1つだったんですよ! でも、突然いなくなっちゃって、心配していたんですから」

「あはは。すみません。私の本業は冒険者でして。占いは趣味の様なモノです」

 

 

何故ハクに人気があったのか。それは彼が占い屋としてエルフ女王国で活動していたからに尽きる。

ただの天気占いからその人物の運勢、探し物、相談事など、小さな事から始めて徐々に口コミで広がっていき、日銭を稼いでいた。

 

ただの情報収集とエルフ女王国内に溶け込む事が目的だったのだが……予想外の繁盛で、そこはハクにとっても想定外だったりする。

 

 

「へぇー、それは知らなかったですね。そうでしたか……」

「占いの力を応用すれば、確かに活動の幅は広がりそうですが」

 

 

エルフ種たちはハクの腰に携えた剣を見て、占い師兼冒険者である事を認識する。

占い師が備え付ける様な大きなフードの中には、冒険者と言っても良い姿が隠されていた。

 

 

「でも何だか、勿体ないですよ。ハクレンさんの的中率だったら王国お抱えの占い師に成れたかもしれないのに」

「いえいえ、私としても流石にそこまで大きくなるのは、やっぱり怖いですよ。ただの占い~なのに、それが外れた時の事とか考えたら。重罪! とかになっちゃったらどーするんです?」

「あはははは! 流石にそんな事にはならないですよ。エルフ女王は慈悲深いお方なんですから」

 

 

楽しそうに話をする。

何処が慈悲深いと言うのだろうか……、とハクは表面では笑顔を見せているが内心ではかなり呆れていたりする……が、取り合えずハクは目的を果たす事にした。

 

 

この雨はハクの天気占いの結果の雨、つまり自然のモノでは無い。

 

 

正体は彼の魔術【慈愛の雫(フェアリーレイン)

 

 

広範囲系回復魔術。

水の魔術と治癒魔術の複合。

雨の様に生み出した水の雫1粒1粒に治癒魔力を込めている。それが損傷した身体に付着すると、まるで体内に浸透する様に奥へと入り込み、身体の隅々まで負傷を治癒させ、活性化もさせる。

無論、無差別に快復を施すような使い勝手の悪い魔術じゃない。指向性を持たせ対象を選ぶ事も可能なのだ。

 

ハクが快復する為に指定したのは当然ながら……。

 

 

「ぁ……、え……?」

「っ………んくっ、んくっ」

 

 

奴隷として、凡そヒトの扱いをさせて貰えてなく、襤褸雑巾の様になってしまっている人種(ヒューマン)の2人だ。

 

雨ざらしにされて、満足に寝させてもらう事も出来ず、この雨も災難だと表情を青くさせていたが、降り注ぐ雨に当たれば当たる程、疲労感が嘘の様に消え、鈍い慢性的な痛みも軽減される。

 

 

「んん……、彼らは具合が悪そう、ですね」

「え? あの劣等種(ヒューマン)ですか? そんなの見なくて良いですよハクレンさんの目が汚れてしまいます」

「そうそう。ゴミや汚物と思ってくれて結構! それよりも金運を占ってもらいたくて―――」

 

 

ゲスの様な答えが返ってくるが、ハクは気にせず歩を進める。

 

 

「いえいえ。占いも年単位ぶりで、さっきの雨を当てれたのも結構ひやひやだったんですよ? 上手く当たってくれて……って、内心ではそんな感じです。……回数を熟して勘を取り戻さないと、と思いましてね。それに……彼らには良くないモノが見えてますから、そちらの精度も確認しておきたくて」

 

 

ハクがそういうと、エルフ種らは取り合えず納得した様で、人種(ヒューマン)達を嘲笑う姿勢こそ崩さないが、特に止めるような事はしなかった。

 

 

「(し……っ。動かないで)」

「「!!」」

 

 

身体は快復させている。だから問題なく動けるだろうけど、例え動けるようになったところで、圧倒的にレベル差のあるエルフたちからは逃げられない。

そもそも、逃げると言う気力は根こそぎ奪われていて、もうこのまま朽ち果てるしか道はないとあきらめの境地でもある。

 

だから、ハクが何か命令をするまでもなく、彼らは動かない。……動けない。

 

 

虚構の咎人(ファントム・オーラ)

 

 

人種(ヒューマン)の2人に魔術をかける。

そして、ほんの少しエルフ種らの方の雨を強くさせた。

 

 

認識阻害(ミスディレクション)

 

 

強い雨は、彼らの視線を遮る。

それに加えてハクの阻害魔術を併用する事で、何をしているのか完全に解らなくさせる。

 

 

大地浸透(アース・ハイド)

 

 

人種(ヒューマン)の姿を模倣した何かが形成されて、そして2人の姿は完全に大地へと沈む。足元からずぶずぶと大地へと入っていく。

 

 

ここまでした所で、雨は止めた。

 

 

 

「……うん。良かった。占い結果の通り、通り雨でした。直ぐに止んでくれましたね」

「おおーー」

「ほんとだ。通り雨って言うか殆どゲリラ豪雨……」

 

 

何食わぬ顔で、ハクは傘を畳み、空を見上げた。

照り付ける太陽が、雨はもう上がった~と知らせてくれる。

エルフ種らも魔術をかけられた事など露とも思っていない様で、ただただ雨が上がった空を眺めるだけにとどまっていた。

 

 

「占いの結果ですが――――、彼らはもう長くないですね」

 

 

 

そして、ハクは人種(ヒューマン)の2人の占いの結果を知らせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……噂は、噂はこういうこと………だったんですね」

「うっ……うっ………」

 

 

そして、ハクこと、【ハクレンの占い】にはもう1つの噂があった。

 

この占いはエルフ種には福音を齎す事が多いが、人種(ヒューマン)には死を齎す事が多いと言う事。

あの占いは人種(ヒューマン)にとっての【死の予告】。そして占い師は【白き死神】である、と。

もしも目をつけられ、占われたのであれば、それがもう最後の時だと。

 

 

劣等種と蔑むエルフ種たち。基本的に人種(ヒューマン)が死のうが苦しもうがどうでも良く、寧ろ娯楽とも捉えているのだが、基本奴隷が仕事を負えずに死ぬのはそこまで好ましくない。何せ、如何に弱小な奴隷と言えども減ると余計な仕事が増えてしまう。無料で手に入る奴隷、と言う訳でもない。

 

だから、端から殺傷目的で購入した人種(ヒューマン)ならともかく、奴隷として買った以上は使いつぶすまで死なれるのは損。金の無駄になる、と思っている。

だから、エルフ種らはそれとなくハクが彼らを視ようとするのを止めたのだ。

 

 

 

 

それはそれとして、ハクレンが死を齎す。死神である、と奴隷達の中では恐れられているのだが真実は違う。

彼らもそれを身を持って体感しているのだ。

 

 

「ほんとタイミングが良かった。次は捕まらない様に気を付けましょう。勿論、手は貸しますから」

 

 

世界の数だけ歴史がある。価値観の違いと言うモノもその数だけ存在する。

それらの歴史の全てを否定するつもりは無い。その価値観を壊すつもりも最初は無かった。

 

それでも、白の極致、全てを極めたヒーラーは、傷つき苦しみ、倒れ伏す可哀想な人たちを見捨てる事など出来る訳が無かったんだ。

ライト達と出会った後なら猶更。

 

 

エルフ種の国で過ごす間、それとなく、なるべく目立たない様にしながら、人種(ヒューマン)の奴隷たちを救っていた。

 

 

 

「では、この国を一時出て、安全な所へ行きましょうか。大丈夫ですよ。これは私が好きでやってることです」

 

 

 

ライト達の邪魔にならない様にする。

けど、それも中々難しく感じるのもまた事実。

 

 

 

「……あんなに感動的なお別れをしといて直ぐに戻る~なんてアレだけど……」

 

 

 

目に映る範囲の人種(ヒューマン)の少数を助ける事は出来るが、やっぱり焼け石に水。

奈落の皆を頼る方が一番良い。……下手に行動したら犠牲者が間違いなく増える。

 

どうしようかどうしようか、と悩みつつ虐待されている人種(ヒューマン)を助けてを繰り返している間に事態は急変する。

 

 

エルフ女王国首都からそう遠く離れていない手付かずの原生林に、謎の巨塔が姿を現したのだ。

 

 

 

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