職業はヒーラー。気付いたら復讐【ざまぁ!】系主人公の邪魔をしていた件   作:やっくんYU

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アットホームなパーティ

 

「ハクさん?」

「……………」

「おーい、ハクさーーん!」

「ッッ!!? ご、ごめんなさい。ぼーっとしてて……」

 

 

とある森にて。

ハクは言った通りぼーっとしていた……訳ではなく、少し考え事をしていた。

考え事……と言うより、物凄く反省をしていたのである。

 

 

「あはは。謝らなくて大丈夫ですよー。ほらほら、ご飯できましたので呼びに来ました!」

「あ……ありがとうございます。ミヤさん」

 

 

因みに、単独行動をしている訳ではなく今一時的に———臨時でパーティを組んで貰っている。目的地へ向かう為のパーティ。その1人がミヤと言う名の少女。歳は12歳。

 

 

「ほらほら2人とも。あったかい内に食べよう!」

「野宿するハメになっちゃったっス~~。でも、外で食べる料理もまた格別っス!! なんせ、料理のレベルが劇的に上がったっスからねぇ~~♪」

「――――(こくこく)」

 

 

次にミヤの兄エリオ15歳。

そしてその幼馴染であるギムラとワーディが続く。

 

口数が少なく、ただただ相槌を打って首を振って感情表現をするのがワーディ。少々お調子者な所があり、いつもいつもミヤに怒られてしまうのがギムラだ。

 

ひょんな所で、彼らのパーティに加わったのがハクだ。

 

無論———それには理由がある。彼らのパーティへ自分の意志で入ったのだ。

 

 

「わぁ、とても美味しそうですね!」

「えへへへ。だってハクさんのお料理、見せて貰って色々と学びましたから! ここ数日で腕だって上がってますよ!」

「うんうん、いやほんと最初の方を考えたら……随分と見違えたよな、ミヤの料理……」

「高確率でダークマター発生してたっスからねぇ……。恐ろしい成長速度! いやいや、ハクさんの功績っスね! 絶対!」

「―――――(………こくこく)」

 

 

要らん事を言うその他面々に対して、ミヤはぎらりっ! と睨みつけると一喝。

 

 

「そんな事言ってると、明日からもうハクさん以外サポートしないよ! お水だって出してあげないんだからねっ!」

「「わーわーわーわー!! 冗談冗談」っス!!」

「ッ! ッッ!!」

 

 

アットホームと言うのはこういう事を言うのだろう。

ハクは、この手の感じ……この空気感には見覚えがある。あの世界でもそうだった。相手は確かにNPC。AIかもしれないが感情表現や表情、仕草のソレは人間とは変わらなかった。駆け出しの冒険者、それも同じ村出身の冒険者ともなれば、こんな感じで温かく心地良い空間だった。

 

 

 

 

……だからこそ、ハクは彼らを見捨てられなかった(・・・・・・・・・)のだ。

 

 

「(……日に日に、濃くなってる……)」

 

 

初めて出会ったのは森の中。

気配を消して辺りを散策している時に彼らパーティと出会った。基本的に人種(ヒューマン)達は自分達が蔑まされ、劣等種と差別されている事を解っているが故に、警戒心はかなり高い。そしてそれと同等以上に他人に対して優しい。困っている人が居たら手を差し伸べる。そんな心優しき人達だった。

差別されているからこそ、その苦しみが解っているからこそ、他者を見下し蔑む事をしたくないのだろう、と思えた。

 

彼らもきっと同じだろう。仲間たちと連携し、商人であろう人達を護る為に剣をとり戦っている姿を見てもよく解る。

 

そして、ハク自身も手を貸そうと動き出した時に……視えたのだ。

彼らの背後にある黒い影(・・・)が。

 

 

それを視た瞬間から、どうにか彼らと一緒にいけないか? と思い、行動を開始した。

丁度、魔物の群れと遭遇していたので、手を貸すと言う名目で知り合う事が出来た。

白魔導士としての力を存分に振るい、皆の回復に努め、ケガをしていた人達を癒した。

 

最初こそは驚かれたが、助けてくれていると解ったエリオ達はただただ魔物の群れだけに意識を集中。そして無事に撃退する事が出来たのである。

まだまだ駆け出しで、Lvが低い人種(ヒューマン)冒険者パーティにしてはまさに大金星。

商人たちもギルドと繋がりが有るので、恩を売る事も出来た。流石にF級から特進出来た~と言う訳ではないが、それでも印象は間違いなく良くなった事だろう。

 

 

「僕が見てるから、今の内に皆休んでて良いよ」

 

 

そして食事も終わり———就寝時間。

流石に外で大っぴらに寝るのは危険すぎるので、夜番で交代しながら休憩するのだ。

 

 

「いつもいつも先に~は悪いっスよ! たまにはオレっちが先に番するっス! ……って、以前ミヤちゃんにメチャクチャ怒られたから、今日は挽回させて欲しいっス。因みにワーディが付き合ってくれるっス」

「――――(こくこく)」

 

 

ギムラとワーディが手を挙げた。

因みに、当然ながらギムラはミヤにめちゃくちゃ怒られてた。夜番の時間なのにすっかり寝過ごしてしまってその代わりをハクが担ったからだ。

別に大丈夫だとハクは笑っていたんだけれど、ミヤが許さなかった。頬を思いっきり膨らませて怒っていた。

パーティで共に居るのだから、自分の負担を誰かにかけてしまうなんて言語道断! と。

 

 

「別にそこまで気にしなくても良いんですが」

「駄目です!! 気にしてください!!」

「ハイっス……」

 

 

怒られたことはしっかりと脳裏に刻まれている。そもそもぐうの音も無い程の正論だからギムラはしっかりと反省しているのである。冒険者としてもあるまじき~だ。

 

 

「今日はお兄ちゃんとハクさん、私の3人で休みましょう」

「はははは。はいはい」

「よろしくお願いします」

 

 

ミヤの一声で決まった。

ハク自身もある程度安全を確保しているので、今は心配することは無い、と思っている。……今は(・・)、だ。

 

 

簡易テント内で寝袋を用意し、夫々の寝袋の中に身体を入れると頭を出して、頭が向かい合わせになる。後はこのまま眠るだけなのだが……。

 

 

「ハクさん。まだ起きてますか?」

「?? はい。起きてますよ」

 

 

ミヤが小さく声をかけた。

兄の方に視線をちらり、と向けると規則正しい寝息と膨らみ、縮まりがあるので眠っているだろう、と確認した後に。

 

 

「あの……少しだけ、お話しても良いですか?」

「ええ。大丈夫です。……エリオさんが目を覚まさない様に注意は必要ですね」

「ふふふっ。お兄ちゃんは寝ちゃったら思いっきり叫ぶか手を出さない限りは目を覚まさないので小声なら全然大丈夫です」

 

 

ミヤは少し笑うと………真剣な面持ちになった。

そして少し沈黙し———口に出した。

 

 

「ハクさんは……、エルフ種(・・・・)なのに、どうしてこんなに優しくしてくれるのかな、って……」

「……ああ。なるほど。そうですよね。普通、疑問に思っちゃいますよね」

 

 

ミヤの指摘に対して、ハクは思い返した様に頷きながら続けた。

 

 

「種が何か、は関係ないです。僕は、僕自身が視て、知って、そして考えてます。それを行動理念とているだけですから。何も考えずに先入観だけで行動する事程愚かしい事はありませんから」

 

 

そう言って初めて出会った時の事を思い返しながら続けた。

 

 

「あなた達を視て……助けたい、と思った。だから僕は手を出しました。……まぁ、皆なら僕が手を出さずとも対処していたかもしれませんが」

「そんな事ないよっ! ハクさんの回復魔法が無かったら、お兄ちゃんだってギムラだってワーディだって……それに、私だって大怪我してたかもしれないし、商人の皆さんを護れなかったかもしれません。ハクさんが来てくれたから、助かったんですっ!」

 

 

興奮した様に話すミヤ。……少々声が大きいようなのでハクは口元に人差し指を当てた。

ミヤもそれに気付いて慌てて自身の口を押さえる。……エリオが目を覚ます事は無さそうなので少し安心して、ほっと胸を撫でおろしたと同時に小さく笑う。

 

一頻り笑って、笑って……眼に浮かんだ涙をぬぐった後。

 

 

「……皆、皆……、ハクさんみたいな人だったら………良いのに、なぁ………」

 

 

ミヤは、ぽつりとそう呟く。

人種(ヒューマン)としてどういう扱いをされてきたか……これまでの事を思い返せば返す程、それを願わずにはいられなかった。

 

 

「……難しい問題、ですよね」

 

 

ハクはミヤの言葉を聞いて少しだけ表情を暗くさせる。

 

 

「環境が、人を育てます。その結果、第三者視点でみたら聖人にも悪人にも……バケモノにもなるんです」

「え……?」

「差別を行う事自体を悪だと思わない環境下で育ってきたなら。……それが、当たり前(・・・・)だと認識して育ってきたのなら………、脈々と受け継がれ、育まれたとするなら……もう他者にはどうする事も出来ないと思います」

「…………」

 

 

ハクの言う事は解る。

ミヤだって差別を受けてきた側の人種(ヒューマン)。酷い事を何度もされたし言われた。ケガをした事だってある。……全てに共通して言えるのは、それらを行った連中はそれが悪い事である(・・・・・・)と思ったりしていないと言う事だった。

ギルド等で定められたルールを破る事は出来ない。それは決まりだし、ギルドが示した【悪い事】だから。でも、人種(ヒューマン)である、と枕詞があるなら……バレなければ何をしても良い、と言う考えに行き着く。何せ劣等種だと言われ育ってきたのだから。

 

 

「ハクさんは…………違ったんですね」

「………そうですね。僕はそう言う風に育てられてません。自分自身で考えろと言われました」

 

 

ミヤはそう呟くと、表情を和らげた。

ハクという人は、心から信頼出来る、と。ここまでの気持ちになったのはパーティメンバー以外ではハクが初めての事だった。

初めて………他種族で信頼出来る人が出来たんだ。

 

他種族だから容姿から年齢は解らないけど、きっと近しいと思う。だからいつか………お友達になって欲しい、とお願いしようかな……とミヤは考え……軈て寝息を立てた。

 

 

それを確認すると、ハクは視線を違う方へと向ける。

 

 

「寝ているふりはもう大丈夫ですよエリオさん」

「ッ」

 

 

ぴくんっ! と大きく身体を動かすのはエリオ。

どうやら彼は眠りについている訳じゃなさそうだった。

 

 

「あ、いや……ゴメン。盗み聞きするつもりは無くて……」

「ふふふ。解ってますよ。だってミヤさんは妹。エリオさんは兄です。心配するのは当たり前ですから」

 

 

ハクはそう言うと笑って見せる。

ミヤは勿論、エリオだって初めての事だったから。こんなに他種族の人に良くしてもらったのは。だからこそ、ある程度警戒をしてしまうのは仕方がないと言うモノだ。

 

 

「まぁ、それもあるけどやっぱりオレも気になってさ。だから、ミヤの様にハクさんに聞きたい事があったんだ」

「答えれる事なら何でも聞いてください」

 

 

ハクの承諾を得たエリオはそのまま続けて聞いた。

 

 

「ハクさん位の凄い実力者……凄い魔法使いなら、オレ達と一緒にいかなくても、【ダガス】になんて簡単に行けるんじゃないかな? って思って。……寧ろ、居た方が足手まといって言うか……、何で一緒について来てくれてる(・・・・・・・・・)のかな、って」

 

 

エリオが思った事はそこだ。

これまでの道中で何度かモンスターと鉢合わせをして戦闘をしたが、ハクの実力の高さは解っている。

完全無詠唱で回復。それもパーティ全体を回復。自動回復スキルでも得たのか? と思えるくらいだ。傷を負っても即座に回復してくれるので怪我の心配がなくなった。寧ろ命の心配だってなくなったんじゃないか? と思える程だった。

パーティで唯一の魔法を使えるミヤなんか出会った当初は驚き興奮しっぱなしで目を丸くさせて違う意味で大変だったんだから。

 

エリオが言う事に対してハクは笑顔で小さく笑って言った。

 

 

「あははは、じゃあ変に気を遣わずに正直に言わせてもらいますね。――――皆まだまだ未熟。連携は上手ですが、やはり基本性能(レベル)が低いですからね。そう思ってしまう気持ちは分かります」

「ぅ……」

「……だからこそ、危なっかしくて視てられなかった、と言うのが正しいかもしれませんね? 挟み撃ちされた時なんかも本当に危なかったですし」

「ぅぅ……、め、めんぼくないです……リーダーとして……」

 

 

一頻り小さく笑うと———ハクは続けた。

 

 

「それに……パーティは、仲間と言うモノは良いものだと、教えて貰いましたから」

「!」

「それだけは、自分1人では絶対に経験できない事です。……なので、短い期間かもしれませんが、臨時で入れてくれて、感謝してるんですよ。経験したい、と言う気持ちがあったのは最初だけ。後はやっぱり危なっかしくて見ていられなかった、と言うのが正直な気持ちですね」

「いや、そんな!! 感謝なんてオレ達の方がしてもし足りないくらいで!! そして最後のはごめんなさいっっ! 頑張って強く————————ッッ」

 

 

エリオが声を上げたと同時に、ハッ!! とした顔をした。

次いでに、ハクの口元に当たる人差し指も視えた。

 

 

「似た者兄妹、ですね」

「ぅぅ……なんか恥ずかしい……」

 

 

暫くして、本当に2人は眠りについた。

騒がしかった事は、しっかりと外のワーディやギムラにも聞かれていたのだろう、小さな声が外から聞こえてくる。

 

 

———勿論ハクは、眠らずにそのまま辺りを警戒続ける。

 

 

「(自分の姿をエルフ種にしている(・・・・・・・・・)事、すっかり忘れてた……。危ない危ない。ミヤちゃんには感謝、かな……)」

 

 

 

そう。

現在ハクは姿形を変化させている魔法を使っている。

 

 

容姿はこの世界で言うエルフ種に近い容姿になっているのだ。

 

 

色々と情報を得る為に、様々な種族に変身して探るつもりだった。

その最初に選んだのがエルフ種だった、と言うだけで深い意味は無い。人種(ヒューマン)を護るエルフ種……なんてかなり目立つかもしれないがそれでも良いと思った。

 

少なくとも、彼らの背に見える黒いアレが視えなくなるまでは。

 

 

「(死の気配(・・・・)……濃くなってきてるから、多分ダガスのダンジョン……かな)」

 

 

それは所謂、神眼と呼ばれた能力の1つ。

以前の世界ででも、白魔導士として多用して色んな人を救ってきた。……寿命等でなくなるパターンの場合は予期する事が出来ないが、この眼は見た者が《悪意を持った誰かに殺される》場合に映る。ある意味予知能力に近いかもしれないが、細かな詳細までは知る事が出来ないので、使い勝手が良いとは言えないが。

 

 

「……でも、色々注意しないと(・・・・・・)

 

 

 

その後、夜番の時間が来るまでハク自身も警戒を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後―――目的地(ダガス)に到着し、事態が動いた。

 

 

 

「……黒い風が………」

 

 

視界に入るのは仮面をかぶった少年、黄金の騎士、妖精の様に可憐な少女の3人の人種(ヒューマン)

 

 

その内の1人、道化の仮面をかぶった少年と目が合ったのである。

 

 

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