たったひとつの願い   作:Jget

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復讐課題

『だから、私は言っていたのです!!劣等民族を大都市におくなんて────』

『テロリストを見つける方法?簡単ですよ。我々は民族毎に収容するプロトコルを確立する為に────』

 

『これにより、人権派の動きはより一層、激しさを増すと思われ…』

 

テレビが市外で起きたテロ時間のニュースを流していた。

世間の反応は様々だが、テロリストの行動を非難する内容であることは一貫していた。

 

実際、襲われたら武器なしで敵を制圧するなんていう光景を映画だけではなく、実際の訓練でもやらされていたが、

実際は襲われようものなら武器を手に入れても逃げ回るしかなかった。

現実が思うように行った試しはないが、それでもやれると思ったことが心中で"できない"に変わる事を自覚しなければならないのは……屈辱だった。

 

その事件を思い出したくないAR-15を流していたテレビの電源を切った。

 

「ニュースかい?」

「ええ。この前のテロ事件です、メディアはかなりグリフィンを糾弾する内容で騒がれていますよ」

「実際、その指摘は認めざる得ない。グリフィンには契約解消を迫る所が殺到して災難だったんだろうな」

 

…グリフィンS09地区戦術司令室にて。

 

あの、"グループ"での施設でのテロ騒動から2日ほどたち、

あれ程騒いでいたテレビの話題はまだまだトップニュースを飾る。

 

「他人事みたいに言いますね。とてもあの時現場にいたような人とは思えません。失態を晒した私がいうのも可笑しいですが」

 

 

あの後、事件が原因で陰りを見せたAR-15も

事件の衝撃の影響は残っているものの、誤魔化すことに気が回るくらい落ち着きある性格に戻っている。

だが、グリフィンというのはそんな自分に追い討ちをかける様に任務が舞い込んでくる。

 

 

「前回の会議では災難だったな」

「そちらのメディア対応ほどではないと思います」

「謙遜をするな。イヤミに聞こえる……さて、雑談はここまでにして本題に入りたい。ユーリ指揮官、前回の作戦で貴官がハンターを倒してくれたおかげで、グリフィンは人間が住める居住区をさらに奪還するチャンスを手に入れられた」

 

ヘリアンさんからの話によると、ハンターが遠征し、そして倒された事でそこを支配していた地域が空いて、

ボスもいない鉄血の下級兵は新しいボスの元に撤退を始め、いくつかの住人も戻っているらしい。

 

「しかし祝っている暇はない。君が考えている通り、早いうちに結果を出し────挽回をしなくてはならない。早速次の計画に移ろう」

「了解」

 

だが、特別な休みなどは無く仕事は回ってくるらしい。

余程、前回のテロが堪えたらしい。

60年前から対テロ戦争と呼ばれる、時期があったが……今以上にテロが起きたら企業や国の信頼というのは大きく損なう時代だったのかもしれない。

 

「これまでAR小隊が得た情報によると、S09地区には鉄血の重要な計画にかかわるファイルが隠されているらしい」

「ふぅ…む…」

 

"重要なファイル"というのが隠されているのか。

そんなに重要なら、まず鉄血との勢力差が均衡している現在で"そういう情報"事態、漏れる事が怪しいのだが……

歴史でも、どこかで誰かがうっかりしていた事で落ちた城は割とある。

……つまり、運がいいかもしれないのと、罠かもしれないのとで半信半疑だ。

 

「重要なファイルというのは、どのような中身です?」

「依頼主の方からは何も聞かされていない。重要なのは変わりないだろう、既に派遣された小隊がいる。今回の貴官の任務は、こちらの小隊が目標地点に無事到達できるよう支援することだ」

 

中身は知らないが動きが早い。

そういう実直さはグリフィンの強みであり、顧客に信用される点であるのかもしれない。

 

「それで、こちらを見てほしい────」

「あの時の…」

 

映し出された、モニターには救出した、AR-15と共に基地に戻る際に一悶着あった連中だった…

 

「支援するのはこちらの小隊だ」

 

調べてみたがわざとらしい情報しかない、グリフィン側の闇の部隊、員数外の人形か……

下手に踏み込まないほうがいいと、自分の勘が告げていた。

 

「指揮官には端側から入って援護してやってほしい」

「了解です」

 

……

 

「みんな、ヘリアンさんたちから新しい仕事だ」

 

ユーリはホログラムマップを展開し、いち早く反応したM4A1が食い入るように見つめている。

 

「グリフィンが掃討作戦を始め、私たちも参加することになった。やる事は先に展開した部隊に協力する事だ。そして、掃討作戦を始める場所はこの辺り……ご存じの通り、M16が最後に割り出された位置にある」

「グリフィンがM16の救助も並行する……なんて事ではなさそうですね。兵力がそれを物語ってますもんね」

「(それ皮肉ですよね)」

「JS9もやり方がわかってきたようじゃない」

「うえ…」

 

M4A1に何を考えているか見破られたような言葉を聞いて、JS9は消沈する。

 

「いいニュースもある。それと、今回は新しく配属された仲間も仕事に加わる。来てくれ」

 

ドアが開き、新しい人形がやって来た。

 

「64式短機関銃です。この度、クルーガー社長の命で本日付けでユーリ指揮官の元で働くことになりました!」

「同じく、SV-98です!あ、えっと……よろしくお願いします!」

 

入ってきた2人の人形も、JS9と同じように入って日が浅いのかガチガチに緊張してこちらに敬礼した。

 

「使えそうかな?AR-15」

「どうかしら……少なくともここを軍隊と勘違いしているようだけど」

 

M4SOPMODⅡとSTAR-15は2人にやや、厳しそうな視線を送っていた。

 

「ふふ……」

 

一方、M4A1は何も言わずに2人に笑顔を浮かべるだけだった。

 

「今回は2人も入れて2部隊で運用する。なに、壁に刺さって抜けない鍵を抜くような作業だ。前より気楽に出来るだろう」

 

珍しく気楽な構えを取るユーリの本心はマトモな部隊を揃える事が出来た安堵か、それとも…….

 

「27、28……29」

 

M4A1が自分の銃に使用するマガジンに弾丸を1発ずつ数えながら装填していく。

別にこんなことをしなくても、クリップという弾丸を纏めて装填できる道具を使えばもっと早く終わるのだが、M4A1はこの指で弾丸を入れるという地道な作業が好きだった。

こういう所が、よく言われる”優柔不断”に繋がるんだろうか?

 

「30」

 

M4A1が最後のマガジンに弾薬を詰め終わる。

自分の上着に最後のマガジンを入れて、サイドアームを乱暴にポケットに入れる。

 

「……行くか」

 

腕時計を見るとちょうどいい時間だ、自分の銃を持って自室を出る。

 

「あ……」

 

偶然にもユーリとばったり再開した。

 

「どうされました?」

「いや……ちょっと、見送りに」

 

やっぱりユーリはいい人だ。

こうして、前線に出なくなっても見送りに来てくれたらしい。

偶に一人になるときはあるのは、ちょっと気になるけれど……たぶん、それはグリフィンの人間がやらない当たり前の行動なのだろう、多分。

 

「前のテロでは大変でしたね」

「確かに……君が来てくれなかったら、どうなっていたか」

「ふふ、ありがとうございます」

 

M4A1は微笑んでいるが、その微笑みの裏で護衛をしていたはずのSTAR-15は何をやっていたんだ?と、暗い感情を感じていた。

”私を命がけで守るためにプログラムされた”とか抜かして、ハンターにわざと捕まる真似をしておいて、ユーリという指揮官のことは命がけで守ろうとする気はなかったんだろうか?

私たちは、彼のお陰で今生きてられているっていうのに。

 

「AR-15は大丈夫でしたか?あの子、思っていたよりも顔に出やすいので泣きべそとか書いていませんでした?」

 

 

……

……私を、私達を…助け…て…

 

弱音を吐いていた、STAR-15の姿がちらりとよぎる。

ああいう、機敏なところもM4A1は見ているのか。

確かに、こういう変化を気づけるのは隊長としての適性がある。

 

「いや……ただ、AR-15と生き残るためにあれこれ考えていただけだったと思う……多分」

「そうでしたか。……なら、良かったです」

 

よくはない。

M4A1からしたら”よくはない”回答だ。

 

M4A1はユーリに泣きべそかいて、助けを乞う姿を遠目で見ていた。

きっと、ユーリはそのことを知っているし知っていてわざと、黙っている。

 

よくはない、だが理解はできる。

よくはないのは、こうしてユーリのやさしさに甘えたり付け込もうとすることだ。

 

だから、私以外にあまり深く関わってほしくない……なんて、思っている。

なぜ、そう思う気持ちの正体は、まだ、よく……分からないけれど。

 

多分、疲れがたまっているせいだろう。

仕事に集中すればきっと、そんな考えもなくなるとはいかなくても、薄れるはず。

 

「どうかした?」

「ああいえ……見送りはここで結構です。あなたも基地に残って業務があるでしょう?」

 

戦えば、気持ちは落ち着く……はずだ。

だから……いざ行こう、先行した部隊を助けに。

 

無人ヘリで作戦地点に降下し、M4A1は無線を入れる。

 

「指揮官、目標地点に降下しました。作戦開始します」

<了解。先行チームの状況は芳しくなさそうだ。かなり長い時間、防衛戦をしているらしい>

「回線を繋いでください」

<分かった。少し待って……よし、つながった>

 

ユーリがカリーナに先行チームと回線を繋げさせた。

 

「こちら、グリフィンのAR小隊です。現在、そちらに向かっています」

<こちら、先行チーム!あとどれくらいで着く!?>

「なるべく急ぐけど、3時間はかかりそうです」

<分かった……とにかく急いで。もう弾丸が数えるくらいしかない!>

「了解」

 

3時間後……先行チームが釘付けになった陣地のもとに向かう。

 

「先行チーム!そっちについた!」

<今は聞けんよ!スナイパーが狙ってて、こっちもろくに動けない!>

「距離は?」

<知るか!!多分、400かそれ以上!!位置はもう何発も撃たれているから、おおよその位置が分かる>

 

先行チームから、方角を受け取る。

 

「確認しました。狙撃チーム!スナイパーを排除して!」

 

M4A1から送られた位置に照準を向ける……スコープの反射が見えた。

スコープのつまみを弄って、調整する必要はない。

この誤差なら、目盛りに合わせて照準を調整するだけで良さそうだ。

 

「待ってなさい……」

<うん!やっちゃって!!>

 

SOPⅡ、アンタには言ってない。

 

狙点を調節する。

5.56ミリで400mに当てるなら…上二つ分ね。

北西に風は吹いているがそれはもう調節した。

引き金を引き絞る。

サプレッサーをつけた銃の濁った音がする。

サプレッサーをつけたのは位置を悟られないためとフラッシュを抑えるためだ。

 

「排除」

<了解!!ありがとう!!AR-15!!あ…弾切れ、マガジンを変えるよ!>

「マガジンを変えてから、話しなさい。引き続き監視を続けるわ」

 

久しぶりの市街戦だ…懐かしいと言うよりも、厄介だと思えるのは自分の鍛錬不足からだろうか?

 

「流石ですね。もう、マークスマンではなくスナイパーですよ!」

「アナタは自分の仕事を取られたという自覚を持つべきじゃないかしら?」

 

隣で伏せていた、SV-98に褒められるが……

本来この距離から撃つのは、SV-98というライフルを持ち、狙撃機能を底上げした隣の人形がやるべきだった。

しかし、SV-98が狙撃をするという宣言をする前にSTAR-15がその狙撃手を倒してしまったのだ。

 

40分後…

「待っていたわ。先行チームってあなた達なのね?UMP45」

 

先行チームが籠城していた土嚢とテントしかない寂しい拠点に居たのは、UMP45とその小隊メンバーだった。

 

「ええ。ほかにもいたんだけど、私たちにここで待機させて逃げ出したわ。よほど、ここで怖い思いをしたのね。今さら来たことには気にしなくていいよ♪助けがあるだけありがたいし……」

 

STAR-15を酷くした皮肉屋のUMP45も、空回り気味でどれだけ酷い目にあったかは予想は着く。

 

「悪いんだけど、45ACPある?まあ、ないとは思うけど」

「……あるわよ」

 

M4A1がFNX-45のに装填された45ACPを見せる。

UMP45が顔を覆って、声を抑えていた。

よほど、嬉しかったんだろう。

 

「416〜私もM4のように優しくしてよ〜」

「サボって寝なければね」

「M4養って〜」

「???」

 

眠そうにして目をこする戦術人形が来た。

持っている銃のスコープかあ、STAR-15のような狙撃手なのかもしれない。

そして、狙撃手はM4A1が固まってしまいそうな発言をした。

 

「戯言だから気にしないで、G11。さぼって弾丸使わない分、アンタが働くのよ?」

「ひ、ひええ……」

 

眠そうな狙撃手はG11らしい。

そして、G11の隣には416がいた。

 

「テロの件は聞いたわ。お手柄だったようじゃない」

「巻き込まれただけよ。私も肝が冷えたんだから」

 

M4A1と416が拳を合わせた。

 

「多めに持ってきてよかったわ。これ、いるでしょ?」

「……正直、かなり助かる」

 

M4A1が持ってきた5.56×45が30発装填されたSTANAGマガジンを4つ受け取る。

 

「ちゃんとSTANAGなのね……助かった。このモデルオンボロのタイプだからPMAG刺さらないのよ」

「製作者はマニアックなの?」

「……そうとしか考えられないでしょ?」

 

UMP9にもJS9に持たせていた9×19の弾薬が沢山入っている小型のアモボックスを渡しておく。

 

<指揮官だ。攻撃を受けている部隊の状況を知りたい>

「まぁまぁですね、損害は今のところ無し、ですが…」

 

だが…?と指揮官の声を聞き、M4はチラリと問題の方を見た。

 

「先行チームは救出…いえ、援護に成功しました。このまま、先行チームと一緒に目的の拠点の奪取に向かいます」

<進捗は?>

「えぇ、順調です。指揮官、このままのペースで進むとして……最寄りの空軍基地跡地までは、どのくらいかかりますか?」

<ああ。……このまま鉄血との戦闘が続くと判断して、たどり着くのなら…まぁ、1時間だね>

 

今回の鉄血はなかなか狡猾だ。

最初から指揮官の指揮を必要とする、私達戦術人形に対する対処として、

効果的にジャミングを形成できる様に、箇所に限定してジャミング装置を置いている。

 

<AR-15から、M4A1へ。これからその奪取の援護にちょうどいい位置にSV-98とで移動するわ、分かっていると思うけど、それまで援護できない>

「分かった。位置……についたら連絡……頂戴」

 

通信が少し悪くなった。

有線ケーブルも中継機もない通信はこの辺りが限界だろう。

グリフィンが使用しているヘリは所詮、民間用のヘリに長めの航続距離を与えただけだ。

 

高射砲どころか、マシンガンの蜂の巣で墜とされてしまう。

そして、最悪なことにこの地点ではその両方が数多く確認されている。

重要な情報があると言うことには間違い無い。

 

一方……

M4A1達は最寄りの空軍基地が見える場所を確保して様子を伺っていた。

 

「偵察してきました」

「数があるっていいですねぇ。思ってたより早く終われましたよ」

 

64式とJS9が偵察したデータをM4A1が受け取り、そして指揮官であるユーリも確認する。

 

「見てよ。随分とやる気が出そうな中身じゃない」

 

拠点の空軍基地跡の防衛体制の配置は思っていた以上に強固だった。

 

まずM4A1たちがやらないといけないのは、目的地の空軍基地跡地を奪還だ。

次に近場のジャミング装置を破壊する。

 

これがなくては指示が届かず、始まる作戦も始まらない。

その後、空軍基地に指揮官を配置して追加の指揮官やその部下の人形部隊が来るまでの指揮をしてもらう。

空軍基地は元々航空隊や航空部隊を管制する関係上、普通の基地より広範囲に通信を行える。

 

そこにヘリアン達は目を付けたのだろう。

広範囲に飛ばせるのもジャミングも同じ、鉄血がそこに目をつけないはずはない……と。

 

M4A1達は鉄血が守っている基地の正面に位置する高所に陣取った。

 

<こちら、AR-15。援護地点に到着、準備完了>

「了解。UMP45、こっちは着いたわ。そっちの状況は?」

<待ってて、よし……今着いたわ。じゃあ、陽動をお願いね>

「了解。では、始めましょう。各員、指揮官の指示を受けつつ……基地を制圧しましょう。では、狙撃チーム、攻撃を」

<了解、始めるわ>

 

……

 

「了解、始めるわ。静かね……まぁ、当然か」

 

だからこそ、それがグリフィンにこの地点での作戦を戸惑わせているのだが…。

 

「分かっていると思うけど、今回はあなたにも活躍してもらうからね」

「は、はい!頑張ります」

「ええ、頑張って。結果は残さないといけない……か」

 

さっき自分ががちがちに固まったSV-98に言った言葉がそのまま反芻する。

重要な情報があると言うのならグリフィンも手を出さずに居られないだろう…

特に、一昨日の様なテロ騒動が起きてしまったのなら…信頼回復をする為に尚更だろう…

 

「…全く、嫌になるわね」

 

STAR-15が敵を狙い、引き金を引き絞る。

だらだらしていた鉄血兵リッパーの隣にいるウェズビドの胸に命中した。

ウェズビドが苦しそうに胸を抱えてがくりと倒れる。

リッパーが動揺した間に、今度はSV-98がそのリッパーの頭を撃ち抜いた。

 

「やるじゃない」

 

STAR-15がSV-98を褒めた。

即座にこのタイミングでフォローを入れないといけないのは理解しているらしい。

 

リッパーが倒されて動揺が広がている間に今度は64式やJS9、M4A1のサプレッサーを付けた人形たちが高所から弾丸を降り注いでいく。

鉄血に動揺が広がっていき、固まりだしたところでM4SOPMODⅡがアンダーバレルに取り付けていたグレネードランチャーでUMP45達の侵入経路を確保しつつするため、壁を出来るだけ多くの敵を巻き込んで吹っ飛ばす。

 

規模の大きい攻撃を受けたと思った鉄血達に細かい余裕がなくなっていく。

この同様の隙をついて、UMP45達が基地の内部に攻め込み素早い動きで鉄血達を排除していき、ジャミング装置を破壊していく。

 

潜入と素早い制圧のプロがUMP45達なら、M4A1達は殴り込み用の海兵隊といった所だろう。

 

ジャミング装置が粗方壊されたら鉄血達は何の迷いもなく撤退した。

M4A1達の攻撃がよほど聞いたのか、ジャミングが鉄血側の本命だったんだろう。

鉄血部隊がいなくなった拠点を後からやってきたグリフィンの本隊が制圧にかかる…

 

「基地を確保したわ」

<了解。これから、基地をグリフィンでも使えるようにするための人員を送る。みんなは制圧した基地で待っていてくれ>

 

……

 

ユーリはM4A1達に別名あるまで待機するように指示を出した後、通信を聞くためにつけていたヘッドセットを外して、ヘリアンに報告する。

成功した旨を伝えられて、ヘリアンも基地の方に必要な人員の選定をした。

 

「お疲れ様でした。では、待機といっても自由時間だと思いますので、各々好きなようにしててください」

「了解でーす」

 

とあっけらかんとした、まるでピエロの様に笑顔を絶やさないUMP9達がM4A1に手を振って一旦基地の中で自由時間を押下した。

 

 

……廃棄された空軍基地司令室にて。

 

 

「目的地に到着。予定時間より20分早いわね」

「…♪やっぱり人間の指揮官がいてくれると効率が違うね。416、ちゃんと言うことを聞きなさいよ?」

「余計なお世話よ。命令があればそれに従うだけ。それに……認めるのは癪だけど、あのM4A1がいたのも大きかった。……それより、ここで合ってるのよね」

 

鬱陶しそうにUMP45のからかいを跳ね除け、HK416は壊された鉄血が残した機材の残骸を踏み潰す。

 

「そうよ、ここがAR小隊がエージェントにボコボコにされた……という、記録が保管されている場所。エージェントがここに残したデータを鉄血達は回収しようとしたのね……対策を立てようとするために」

 

うんうんとUMP45は保存された戦闘ログを眺める。

人形でもバケモノな戦いとしか思えない。

 

「ああ……あんなに強いのに、ボコボコにされたと思ったら、随分卑怯なことをしたのね……エージェントってやつ。でも、AR小隊の名声が地に堕ちた決定的な証拠になりそうではあるのね。今ならあいつがいた場所でゆっくり思い出に浸れるよ」

「……あんたは一度、ゴミ圧縮機に放り込まれたらどうかしら?作り直されたアンタなら多少はマシでしょうしね」

 

HK416は古びたパンを拾い、UMP45に見えるように音までたてて、手を合わせて潰した。

 

「うふふ♪私を始末するにしても、まずは仕事を終えてからにしましょ」

 

表示は笑顔のそれだが目は笑っていない、内心怒っている…のかもしれない。

 

「…はぁ、いつもこの調子なんだから…データ復元完了、"エージェント"の座標を見つけた。9に伝えて、引き続き追跡するようにと」

「はーい、これで大きな仕事が片付いたわね。って416、勝手に弄ってなにしてるの?そんなことでもして、データが変なものにで変わったりしたら……」

「してないわよ。デバックして、ウィルスメールがないか見てるのよ」

「へえ?で、なにを見ていたのかな?あ、やっぱり~♪あいつの手がかりを探っているんでしょ?」

 

416が落ちていた弾薬をスキャンしているのを見て、UMPは取り乱したのを隠す様にからかった。

 

「…またとないチャンスなのよ。逃すわけにはいかないわ」

 

UMP45をからかえる、またとないチャンスであったのだが……

 

「M4A1に挨拶しなくていいの?アイツの妹よ?」

「どんな顔して言えばいいかわからないのは、アンタもおんなじと思うけど?」

 

今のHK416にとってそんな事はどうで良い事ではないが……誠実に向き合うにも、嫌味を言って別れるにもM4A1とは関係が長すぎた。

 

「はいはい、邪魔しないでおくね。私は先に9が手に入れた情報を見てくるわ」

 

そう言って、UMP45は隣の部屋のドアノブを回す。

 

「あまり一人で遊び過ぎないようにね。奴が本気を出したらやばいのは、あんたが一番分かってるだろうから」

「…本気を出す前に仕留めるだけよ。それにアイツより、M4A1の方がとんでもないわ」

「それはそう。まさか、あそこまで強いなんて……きっと、アイツはしばらく前から噂になっていたソ連最強の戦術人形を作る前のプロトタイプと同じかそれ以上に強力な人形だと思うわ」

 

416が人知れず、基地を出たとき、

グリフィンの本隊が来る前にSTAR-15は旧軽く空軍基地内を見回った。

後からやってきたグリフィンの指揮官や人形達がやってきてあの手この手で難癖をつけて場所を奪うのが予想できるからだ。

そうされる前に基地の中を見学したかった。

 

「……すごい」

 

空軍基地は飛行機が降りたり飛んだりするために使われるだけあって、本当に細長かった。

 

飛行機が入っていたはずのハンガーを開けてみる。

錆びついたハンガーがぎぎい……と音を立てて開く。

中は薄暗い……でも、中に巨大な何か?があるのはハンガーの奥のさらに大きい影でわかる。

 

照明をつけようとして、ハンガーの中を歩くと突然足元にゾワっとした感覚が走った。

 

「…!!」

 

咄嗟にSTAR-15はサイドアームのP226の現代に必要な機能を付け足したリニューアルモデルを構える。

M4A1がハンドガンというサイドアームを手に入れた事を知り自分も持ってみようと思って買ったものだ。

 

音がした所を慎重に確認する、そして…

 

ガダッ…と音がしたところに銃口を向け、P226に取り付けられたライトがその場所を照らす。

 

「────チュチュ…!!」

「…なんだ、ネズミか」

 

撃ち漏らしでもしよう物ならと思い、寿命が縮まった思いだ。

人形に寿命があるのか怪しいが…

……ライトがふと、巨大な影にあたる。

 

「……!!」

 

ギラリと鋼鉄の翼が見えた。

 

「懐かしい。このカナードはSu-30だな」

 

ふと、ガレージの扉から声が聞こえた。

声の主は、今空軍基地にやってきたユーリだった。

 

「Su-30?」

「正確には”Su-30SM”。この飛行機……戦闘機の名前だ」

 

ユーリが基地のライトをつけると、

さっきの翼よりその10倍大きい翼を持った、鳥のような巨大な飛行機がその姿を晒した。

 

「すごい……!」

「気に入ったようだな」

 

STAR-15がSu-30に感激しながら「まぁ、俺はこのカナードが気に入らないけど」とユーリは余計なひと言を心の中でつぶやいた。

 

腕につけられた、バンダナを撫でる…

人に支給品以外で贈り物をされるなんて始めてだ。

あの人はやっぱり今まで見てきた人達とは違う、だが…その決定的な違いがわからない。

 

「AR-15が来た!!来てたなら話してよ!」

「別に基地についた時の報告なんざいらないでしょ。状況は?」

 

チャーリー地点の入り口で後方警戒していた、SOPⅡと合流した。

 

「するべきだよ!SV-98だけしかいなくて困ったんだよ?」

「特にM4がね!AR-15が見当たらない時に、こう言ったんだよ。ええっと……」

「SOP〜?」

「はい黙ってます」

 

「みんな、戻ったよ」

 

すると指揮官がM4と共にチャーリー地点に戻ってきた。

 

「まさか、報告しなかったのって」

「そうだね。64式、AR-15も隅に置けないねえ」

 

64式たちがほほえましげにSTAR-15を見つめる一方、M4A1はニコニコした表情でSTAR-15を見つめていた。

 

しばらくして、空軍基地にグリフィンの人員が集まっていき、

空軍基地がグリフィンの作戦基地に模様替えされていく、Su-30戦闘機もハンガーに居座る不労者と嘲笑うかのように晒し物にされていた。

そして、その姿にSTAR-15は多少のやるせなさを感じていた。

少し離れた箇所のグリフィン基地に生まれ変わったブリーフィングルームではヘリアンが本作戦の概要を説明していた。

 

「諸君、本作戦を始める前に本社から伝えられたことについて話そうと思う。今回の鉄血の襲撃は由々しき事態だ。戦況は楽観視できなくなっている」

 

確かに大都市は今のところやられてはいないが辺境の箇所は何個かやられたという、噂が立っている。

 

<先に現地入りした小隊の情報によると、この区域には鉄血のボスが存在、名前は"イントゥルーダー"というらしい>

「私たちが集めた情報だよ」

「…えぇ」

 

ちなみに先に現地入りした状態というのは、我々AR小隊とUMP達の先行チームのことだ。

部隊名を聞いても教えてくれない。

よほどダサいんだろうか?

M4SOPMODⅡは思っていた。

 

「ハンターやエクスキューショナーのように情報がない。新型の鉄血人形らしく、現在残されている製品カタログにもそれ以上の情報は見当たらない」

 

ユーリは似た見た目の鉄血の戦術人形に見覚えがあった。

恐らく、テストモデルを改良させて正式に量産したのだろう…か?

 

「だが調査によると、一騎討ちを得意としたこれまでの人形とは違い、指揮が専門の人形のようだ」

 

ヘリアンさんがマップをプロジェクターに映した。

 

「よって、両端のルートを塞いで、できる限り外部との連絡を遮断しなければならない。でなければ、鉄血の増援部隊が戦場になだれ込むことになるからな」

 

さて、この情報はどうやって得たのか?それを説明するには、その日よりも前の日に遡る事になる。

 

後日

壊れたビルの中で……M4A1とUMP9とG11の混成チームはインテゥルーダーを捜索するため、片っ端から建物を捜索していた。

 

「クリアレフト…」

「クリアレフト…」

 

UMP9が敵を隠れている角をゆっくりと見まわして、自分たちに気が付かず未だに道路に展開しているグリフィン人形に発砲した鉄血のウェズビドの頭を撃つ。

 

「こいつで最後です」

「この部屋で最後…このフロアはクリアだね」

 

部屋の明かりがつかない、暗い室内で、音と僅かな影を頼りにM4達AR小隊とUMP9がビルを攻略していた。

 

「ここにも……」

「こんなの初めてだよ。もしかして……今回のボスって結構やばい奴なんじゃ」

 

M4がジャミングの装置のコードを引き抜き、電源を落とす。

 

「ええ。姿も分からない……多分、技術確保で開発された実験人形じゃないことは確かね。不安ね……この建物の一番上にもあったりして」

「どうせ虱潰しに探すんだし……どうせなら、探してみる?」

「そうね……なんだか、嫌な予感がします」

 

M4が銃を構えて、階段上に狙いをつける。

不意打ちを防ぐための処置だ。

 

「恐れを躊躇なく口にだすねぇ…好きだよそういうの。それじゃいこか」

 

UMP9が自分の後ろに来たのを確認すると、M4A1は階段を上がる。

 

「私とUMP9は5階に上がるわ、SOPⅡ上がってきて。AR-15は狙撃地点から移動、玄関に」

<すぐ行くよ>

<了解>

 

コン、コンと階段を登るたびに緊張が銃を構えている手やサイトを視る目に走る。

階段を上り終え、5階に上がると、あったのは扉が一つだけだった。

 

ドアの前に立ち、UMP9が残弾を確認する。

 

「7発」

 

残り7発か…

UMP9が目頭を押さえていた、恐らく緊張から目を開けっぱなしだったのだろう、

何時も笑っているUMP9がここまで緊張を催した表情をするなんて新鮮だ。

新鮮ていえるほど、長い時間は過ごしていないけれど

…などと考えては作戦も終わっていないのに気が抜けているのではないか?自分を戒める感情が浮かんでは消えた。

 

「…ごめん、待たせた?」

「…いえ」

 

どうやら、私がドアノブに手をかけようしたのに気づいたらしい。

 

「…蹴破りますか?」

 

姿勢を戻してUMP9に確認する、なんとなくここで意見を蔑ろにしたくは無いとM4は思ったのだ。

 

「…そうだね、最後は派手に行かないと!」

「…どっちがやります?」

「…M4がやってみてよ、ちょっと見てみた…いや、サブマシンガン私の方が効率よく行けるし」

 

M4A1は単に何が言いたかったのか、分からないだけの首を傾げる行為だったのだが、

UMP9にはふざけてるのか?と怒られていると思ったらしく、発言を慌てて取りやめた。

 

「…行きます」

 

M4A1は足の曲げ伸ばし、反動に体重を乗せ、扉を軽く押させていた金具毎、扉を蹴破った、

その扉が開いた一瞬にUMP9は侵入した。

 

「……!!いや!!やめて!!」

「動くな!!」

 

UMP9が銃口を向けて威嚇した。

普通ならそのまま撃ち殺すはずなのに、と不審に思ったM4も侵入した。

 

「これは…?」

 

そこには鉄血はおらず、ただ部屋には人形しかいなかった。

 

「私、捕まってて…」

「動かないで…調べるから」

 

UMP9に目配せして、合図を送り人形に近く…あと少しで手が届きそうな瞬間…

 

「馬鹿が!!」

 

突如、腰から拳銃を取り出して…

 

「死…!?」

 

引き金を引こうとしたが、その手はM4に捕まれた。

 

「ちょっと、待っ……」

「待たない」

 

人形がビックリした直前、UMP9が引き金を引いた。

 

その一撃が首元に直撃。

そして、M4A1ももう片方の手でホルスターのロックを解除、サイドアームのFN-FNXを取り出して、腹部に4発打ち込んだ。

 

「やっぱり… 鉄血はあくどい、あくどい。ほら」

 

UMP9が撃ち殺した人形からコア引き抜き、M4見せる。

 

「成る程…厄介な手を使いますね…」

 

そのコアはI.O.Pで使われるようなコアではなく、鉄血での共通の規格で使われているコアだった。

 

「もしもし…聞こえますか…」

 

<聞こえる。音声がおかしかったが、今はクリアだ、どうやらその地点にジャミングがあったようだね>

「それ以上に重要な問題が判明しました。鉄血か破壊された、人形にコアを埋め込んで化けていました。幸い、こちらに損害はありません」

<了解、さて…君達が送ってくれた情報を解析してみたら色々面白いことが分かった、データを送る>

 

データが送られる、内容は任務が終わった後に確認するべきだろう。

 

<さて、これで通信もやりやすくなったし。高射砲も潰れた、グリフィンのヘリも降りやすくなるだろう>

 

一度戻ってくるか?という質問にM4A1は同意した。

なんだか、少し張り切ってしまっている気がする…

 

「それにしても便利だよねぇ、コレ」

 

UMP9が階段を降りた先に居た、自分そっくりの人形を叩く。

 

「"ダミー人形"電波を利用して、五感を共有、まるで手足の様に動かせる…凄いよこれは」

「単純に戦力を増やせたり、危険な箇所の偵察、囮を作るのにも有用ですからね」

「そうそう!もしこれに感情が芽生えたら…いや、これは考えるだか恐ろしいね自分の手足に裏切られたらいよいよ自分ですら信用できなくなる」

 

 

「…終わったの?」

 

どうやら、STAR-15たちが上がってきていたらしい。

 

「えぇ、指揮官から戻ってくる様に言われたわ」

「…了解、それじゃあ帰るとしましょう」

「G11?起きてるー?」

<うぅ…どうしたの?9?>

 

M4A1が一通り報告を済ませた後にUMP9がG11に通信を入れた。

 

「任務が終わったから、これから帰るよ!」

<よかったぁ…これで眠れるね>

「それじゃあ、私はこれから先に行くから後で追いついてね!」

<うん…AR-15、おんぶ…あ、あれ?どこ?>

 

おぶって貰おうとAR-15を探したがそこにはいない、なぜならM4が呼び出したから。

そして、SV-98もトコトコととG11のことを忘れてついて行ってしまっていた。

 

「合流地点はさっき説明したから、わかるよね!!ばいばーい!!」

<待って!聞いていなかった!!謝るから!!私も連れてってー!!UMP9ー!!>

 

その後G11はM4A1が回収して、基地まで連れて行った、

 

その後…空軍基地跡の休憩室にて。

 

「さて、この辺りの通信が良くなったなら……近くにいるグリフィン部隊にも通信ができるだろう」

「えぇ、通信を待ちますか?」

「そうだなぁ、まずは…

 

「あ、待ってください…これは…通信信号?」

 

これからの行動を考えていたら早速通信が舞い込んできた。

作戦を立てるのならちょうど良いタイミングだ。

 

「…応答せよ、誰か聞こえたのなら応答を…」

「…?!M16姉さん!!私です!!M4A1です、聞こえますか!?」

「えっと…M4A1、聞こえるか?」

 

後で聞いた話なのだが、通信してきた存在の小隊は彼女達の長女に当たる存在のM16A1だったらしい。

 

…ダメ元で通信して、いきなり身内だったら誰でも驚くだろう。

 

「…無事なの?!M16姉さん!!」

「ああ…M4、ここにいたんだな。ということは、みんなと合流できたのか?」

 

通信先のM16A1は安堵した様な声で話している、

M4A1を通じて存在だけは知っていたがこんな声なんだなと思った。

 

「AR-15もSOP IIもここにいます。あとは姉さんだけです、この辺りの通信が通用したということはこの辺りにいるんですか?」

<だろうな…まぁ、安心しろこっちは無事だ。補給ポイントも見つけた。…がまだ用事があってな>

 

成る程、盲点だった普通に活動限界を迎えていたと思っていたが、補給ポイントの近くに潜伏していた、と言う事か。

賢いな、下手に動かないで慎重に救待つ、冷静に戦える奴のようだ。

 

「まだあるんですか?では、いつになったら合流できるの!?こっちはろくに寝れてないのよ!?」

 

途中でM4がイラッとしたのか口調が怒っているような発言になる。

寝れていないのは、夜襲の味を占めた鉄血のせいなのだが、

まぁ…せっかくのタイミングではぐらかされたら誰でもそんな気持ちになるかも、な

 

<悪いな、それは…状況によりけりだ。…とにかく切るぞ>

「もしもし?もしもし」

 

どうやら切られたようだ、声が聞こえない。

 

「お姉ちゃん、M16お姉ちゃんからの連絡はまだなの?」

「さっきまで繋がっていたのに、M16姉…」

「…待て、おや…?公開チャンネルに誰かいるぞ」

「……!」

 

先程まで、M4が姉を呼び続けて居たがそれを聞くと警戒を露わにした。

自分に向けてないよ、な?

とりあえず、その公開チャンネルにあるアドレスにアクセスした。

 

<初めまして、皆さん。感動の再会に胸を躍らせるのも良いけど…目先の出来事を気にした方がいいんじゃないのかしら?>

「イントゥルーダー…こんなに早く現れるとはね」

 

どうやら、映像付きのようだ…まるでバレリーナの様な格好しているな…

…イントゥルーダーだったか…何処かで見た事があるが…上手く思い出せない…

 

<あら、私の事をご存知で?素晴らしいわ!!それなら、せっかくお客様が来てくれているのに、接待しないと失礼にあたりますね!>

 

どうやら自分が相手に知られて居ないことは自覚があるようだ、

知られたと知るや否や、まるで作品が受賞した映像作品で良くある、作家の様な喜んだ態度を取る。

 

<まずはおめでとう。昨日の戦闘でジャミングを破壊し、増援部隊を断ち切ることに成功して>

 

ジャミングをさらに広範囲無線と併用して居たのは増援呼ぶためか、なら回収もできて良かった。

 

<でも、これは補給線のほんの一つにすぎないの。私にとっては大損害でも、鉄血全体にとってはなんてことはありませんよ?>

「これは手始めにすぎないのよ、それに、鉄血…貴女も機械なら知っているでしょ?ネジは一本外れるだけでもそれが原因で壊れることもあるって」

 

それに、回収ではなく、破壊されている判断したのならイントゥルーダーは全ての状況が把握できては居ないらしい。

それにしても、M4がここまで鉄血に対応が悪いのは家族がらみなのだろうか?

まぁ、自分がE.L.I.Dが憎くて仕方ないのと変わらないのかもしれないな。

 

<ウフフ…敵に指摘されるなんて、貴女とは気が合いそうね?>

「アンタに好かれるなんて、気味が悪い。次はあなたたちの防御設備が標的よ。降伏の準備をしたら?」

 

イントゥルーダーも中々肝っ玉の様だ、ここまでドスを聞かせているのに笑って流すとは

 

<まぁ、エルダーブレインがいくらお馬鹿でもそれは許さないと思いますわ。だから、喜んでお迎えしますわ。貴女は確か指揮官が居なかったわね、それなら直接伝えるわ>

 

レーダーに反応が出ている、無言で迎撃態勢を取る様、身振り手振りで伝える。

 

M16A1とM4の会話を涙ながらに聞いていたUMP9も表情を猟犬のそれに変えて、弾薬箱を拾い上げた。

 

「その情報は古いわ、既に私達には指揮官がいるそして現地に居て…すでに話を聞いているもの。指揮官、作戦のご命令を」

<あらあら、とっても信頼しちゃって…素敵な殿方なのね…指揮官さん、貴方とお話が出来る事を楽しみにして居ますよ?それでは…開演です!!>

 

カン!!とアルミの屋根に銃弾が当たった音が聞こえる。

また夜襲が始まったらしい。

 

15分後…

 

<クソッ!バレルが燃えてる!!撃ちすぎた!!>

 

前衛で牽制射撃をしている、UMP9が毒づいた。

どうやら撃ちすぎて、排熱しきれずにバレルが燃えたのだろう…

 

「冷却液は!!」

 

冷却液なら、暫く…

 

<マシンガンじゃないんだよ?!>

 

なら、仕方ない…範囲的に基地を少し燃やすことになるだろうが…

 

「UMP9!!仕掛けを作動したら、後衛の所まで後退して!」

<…了解!!>

 

UMP9が建物から出て、広い通路に出た、案の定、銃身は燃えており、アッパーの隙間から火が漏れ出している。

 

「SOPⅡ、君も通路に出て、UMP9の援護をほかのメンバーは、UMP9が作業が終わるまで、先頭の敵を叩くんだ!!」

 

<<<<了解!!>>>>

 

3分後…

 

<全ての通路にトリップワイヤーをセット!!>

「よし、後退!!」

 

M4SOPMODⅡの報告を聞き、素早く2人に後退を指示、それを聞くと脇目も降らず全速力で走り出した。

ちょうど、2人がこちら位置まで来たタイミングで…

 

「来ました…指揮官、敵がトリップワイヤーの所まで…」

「よし、"モロトフ"用意」

 

見張りをしていた、M4の報告から兵士が近くまでやってきたと判断した。

同じタイミングで鉄血の兵もなるべく奇襲に備えて、なるべく多くの兵士を密集させていた…

そして1人がワイヤーに気付かず、突き破ってしまい…

 

連動していた仕掛けが起動し、ワイヤに繋がれていたドラム缶が勢いよく落下、噴水の様にオイルを撒き散らした。

 

「うへっ!?」

「これは!?」

 

 

 

「投げろ!!!!」

 

 

 

AR小隊とUMP9たちがそれぞれ火炎瓶を投げ、計6本がガチャン!!と地面にぶつかり、割れる…

ちなみにモロトフというのは、世話をするために代用した、布にガソリン・灯油などの可燃性の液体を充填して、火をつける炎上させる、

俗に言う火炎瓶だ。

元々、空軍基地跡に放逐されていた、"状態の悪い"ガソリンがトリップワイヤーで多くの鉄血兵にぶっかけられる…

そこから、よく燃える火炎瓶で火をつける…するとどうなるか…

燃え上がった火は、先程のトリップワイヤーで撒き散らされた火と混ぜ合わされ…

 

 

答えは単純、ゴオオオオオオオオオオオ!!!と勢いよく燃え盛る。

 

ここでの鉄血の失敗は、1世代特有な単調な行動でトラップを警戒しなかった事、集団行動していた事の2つだ。

トラップを警戒していたら、トリップワイヤーに気付いていただろうし、集団行動ではなく小出しに、兵を出していけば被害はあまり出ないだろう。

 

だが、先に小数単位で相手をかき回したとなった時の対策として多めの数を要する、"基本"を意識とした、鉄血の行動が逆に最悪の事態を引き起こしたのだ。

 

こちらには最高の結果だ。

何度も夜襲で痛い目を見てたまるか。

 

「戦闘終了、鉄血が引いていきます」

「あれだけやられたら、流石に引くしかないだろうしね…よし、消化活動だ」

 

燃え盛る火を消す、難点があるが…

 

同時刻、M16A1の潜伏先では…

 

「やれやれ。 嘘をついたのはいいが、やはり仲間がいた方が楽だったな。最も…」

 

壊された鉄血に腰掛けた、眼帯の戦術人形が見つめる。

 

「お前は助けに来たわけじゃなさそうだが」

「やって来たのが鉄血の方がまだましだった。とでも思ってるんでしょう?」

 

冷たげな表情の戦術人形が眼帯の戦術人形を睨みつける。

 

「…はぁ、いや、こういう事態を想定していなかったわけじゃないしな。だが、教えてくれよ。どうやって、私の場所が分かった?」

「大した話じゃないわ。最近、いい友達が出来てね。このエリアでグリフィンがあなたを探す作戦に参加する人形や指揮官をありったけ募集してたことを教えて呉れてもらったのよ」

「じゃあ、お前はその作戦に参加していたのか……嬉しいもんだ」

「ええ。M4A1に道まで切り開いてもらってね」

 

M16A1の雰囲気が変わる。

 

「なんだと……」

「あの子とはちょっとした縁が出来たのよ。あの子はいい子ね……だますのはちょっと気が引けたわ」

 

眼帯の戦術人形がやれやれとした表情を浮かべ立ち上がる。

 

「…妹がお前と仲良くなるのは複雑だな。だが、その友人の姉という私を鉄血以外の人形を殺すのなら、理由ぐらいは聞かせてほしいものだな」

「IFF(敵味方識別信号)の事?…それは404小隊の特権のお陰よ、敵味方構わず先制攻撃を仕掛けられるのよ」

 

おいおい、と言葉を並べ眼帯の戦術人形はチャージングハンドルを軽く引く。

 

「…便利な特権だな、少し…いや、結構羨ましい」

「黙れ…このグレーゾーンの代償がどれ程高い金額か?鉛玉で教えてあげようかしら?」

 

冷徹な表情が崩れ怒りを隠せない表情に変わる。

 

「…私がそこまで邪魔なのか?」

「…この特権を与えられて嬉しかったことなんてなかったわ。今回まで…」

 

眼帯の戦術人形がため息をつく。

 

「正直、国家保安局にいたころはお前のこと結構気に入っていたよ…あの時は。で?ついに決着をつけようってか…416」

 

課題は復讐であれ、さっさと済ませたいのは人形も人間も変わらない様だ。

 

「…その大好きな416を貴女はどうしたのかしら?…いえ、もうこの話は結構よ…始めましょう、M16…今度は逃がさない」

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