たったひとつの願い   作:Jget

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初出勤

午前9時

 

「はい。予定通り、グリフィンに入りました……ええ、特には怪しまれていませんが……軍属上がりということもあって、ライバル意識を向けられています」

 

グリフィンに入社したことを”あの方”に報告する。

”あの方”は経過を満足そうに聞き、次の指示を出す。

 

「分かりました。では、このまま予定通りにグリフィンの指揮官として仕事を執り行います。……え?息抜きのつもりでやれ?い、いけません……冗談が過ぎますよ」

 

通信が切れた。

”あの方”は、本当に素晴らしい能力を持っているけど突然前触れもなくからかってくるから、びっくりしてしまう。

そういう、悪戯が好きなのは人間らしさを感じて好きなのだが。

 

「指揮官様ー!お待たせしました!」

 

ドアの奥から、自分に対する準備が出来たことを告げる女の子の声が聞こえる。

本当にグリフィンという民間の軍事企業に入ってしまったんだなと、改めて実感が湧く。

とすると、これからの一人称は”俺”という、ラフな感じから、”私”と社会人らしい表現に変えた方がいい以下もいれない。

 

ドアを開けると、金髪で自分より一回り年下のような少女がスマイルで出迎えてくれた。

 

「S-09地区のグリフィン基地にようこそ!あなたが”ユーリ”指揮官さまですね?私はカリーナです!」

 

「ユーリです。よろしくお願いします、カリーナさん」

 

……私がグリフィンに入社してから一週間も経ち、簡単な研修を済ませグリフィンの制服を渡されてS-09地区にある基地まで飛ばされた。

正直、研修では指揮官が何をするのかと、業務用の端末はどう設定するとかくらいしか教えてもらっていない。

それに、このS-09地区は統治する街もとっくにない僻地だ。

グリフィンは前線で兵士を送り込む組織として、有名だったのでちょっと拍子抜けだ。

期待しすぎともいえるかもしれない。

 

「はい。おはようございます!指揮官様!!グリフィンの施設は初めてですよね?如何です?」

 

カリーナが、こちらに話しかけてくる。

驚いたことといえば、施設の整備が行き届いていることだろう。

ここまで行き届いているのは、軍の中央の辺りぐらいだ。

 

「経歴を見る限り、とても優秀な方らしいですね……内定も引く手あまただったと思います、でも最終的にはグリフィンで働く事を決断してくださって、凄く嬉しいです」

 

女の子が話を続ける

 

「あ!自己紹介を致しますね、私はカリーナ。これから指揮官様の後方幕僚を務めさせて頂きます」

 

そう言って手を伸ばしてきた、この女の子の名前はカリーナと言うのか……いけない、こちらも自己紹介しないと。

 

「うん……これからよろしくね、カリーナ」

 

こちらも手を伸ばしカリーナの手を握り握手をした……これからの仕事のパートナーがこんな可愛いとはちょっと良い意味で期待を裏切られた。

 

「私のことは気軽にカリンと言ってください……そして、指揮官様!!」

 

カリーナなが大きく息を吸い込み

 

「『君の力を求む!民間会社グリフィンと共に世界の輝きを更新せよ!!』そうです、本日付け貴方はグリフィンの指揮官になったのです!!」

 

知る人ぞしる、世界の輝きというスローガンが出てきた……まさか、こんなところが出てくるなんて、なかなか洒落た言い回しじゃ無いか。

さて、それはそうと私は、本当にグリフィンの指揮官になってしまった様だ。

 

「少し……不安だな……」

「え?未だに指揮官業が自分に務まるかどうか不安なんですか?安心してください!!大丈夫ですよ!!グリフィンの厳しい、選抜試験に合格したじゃ無いですか!!」

 

残念ながら私はその試験を受けてない。

ほとんどヘッドハンティングで入社したようなものだろう。

受けたとすればあの軽いナイフ戦くらいだろう……あれで合格なら、他の指揮官の合格ラインはどれだけの高さで試験する事になるんだ?

 

「さて、それでは軽い実戦を想定した訓練をさせて頂きます!!」

 

そう言うとカリーナはテーブルをスクロールさせると、周りの景色が変わり、外の景色のようなとさほど変わらないホログラムが映し出された。

目の前にはドローンと自分の周りに戦術人形が計5体いた。

 

「それでは、指揮官様!こちらのドローンを人形達を指揮して倒してくださいな!」

 

よし、では状況を確認しよう……

目の前にいる人形はM1911、M1895、P38、MP40、ステンMKⅡか……

軽量タイプの人形だけでの編成か。スキルを見ると、ステンは火炎瓶という武器を持っているらしい。

 

「よし、これなら……」

 

そう思いユーリは作戦開始のホログラムを押した

 

「作戦開始。MP40、M1911、ステンMKⅡは扇状に前進、ステン有効距離まで近づいたら火炎瓶を使って、残りのメンバーは扇状に広がった穴から前進したメンバーの援護射撃、前進したメンバーは射線上に出ないように」

 

命令に従った人形たちが射程距離に近づいたホログラムの人形達が所定位置に着く。

 

「ステンが火炎瓶を投げたら攻撃開始!!」

 

ステンMKⅡが火炎瓶を投げて対象が火の海に包まれる底を混じるするかのように前衛の部隊が扇状に展開、ドローンを囲むように移動すると一斉に砲撃を加える。

 

「……これで奴らはここから蜂の巣……ん?」

 

そして、相手は……攻撃しない的当てドローン……通称サンドバック……と言うことは

 

「やりすぎたか……?」

 

鉄が溶け、ひしゃげ、穴だらけになったドローンを見て、訓練が終了した後の休憩用の長椅子に腰掛けながら、私は呟いた……。

普通こういうのは敵兵士に向かっていう言葉であるだろうが、ホログラムの上空から映し出された感じがする戦力を見て、つい……滅多打ちにした方が良いと判断してしまったのだ。

 

「やはり、実戦で目視しないとわからないよなぁ……こういうのは……反省しないと」

 

他にも、何度か訓練を繰り返して休憩の時間に入る。

 

外で昼食を食べながら、今日の戦いを確認する。

見返して気が付いたことだけど、訓練とはいえ必要以上に攻撃をし続けて無駄玉を使い過ぎたかもしれない。

無論、実戦では節約精神なんて戦場を甘く見ているのではないかと、思われかねないが……気が付いたらもう弾がなくなってしまったというのも実際の戦場だ。

そういう事態を避けられるように訓練があるのだ。今後の課題はどう効率よく戦えるか考えろと、上司から言い渡されるだろう……

 

「あ……あの……」

 

聞きなれない女の子の声が聞こえた。

迷い込んだ少女か?そう思って、立ち上がると……

 

「……ん?君は……」

 

訓練でも見た、ステンという人形と同じ見た目の人形が絶え絶えの息で自分を助けを求めに来た。

 

「すみません……グリフィンの方ですか?」

「そうだけど……君は……」

「よかった!助かった……」

 

そう言って、ステンと呼ばれた人形は倒れてしまった

 

 

……数十分後

 

「……成る程。逸れた、人形ですね……」

「そうなのかな。とりあえず……こっちに連れてきたんだけど……これでよかったのかな?」

 

ステンは傷だらけだったのでとりあえずメンテナンス用のポッドに入れた後、その事をカリーナに報告した。

 

「ええ。むしろ、いい判断だと思いますわ。可哀想に……指揮官様に拾って頂いて幸いでしたね……最近、多いんですよ鉄血との戦闘で置いてけぼりにさせれた人形達が……」

 

「鉄血……あの、鉄血工造か」

 

鉄血工造……

第三次世界大戦で開発した戦術人形が莫大な利益をもたらした企業だ。

でも、突如一年前からこの鉄血人形達が突如反乱を起こして人間達に攻撃する様になった、大戦の残りカスを"掃除"しなければならない軍隊にそんな余裕はなく、これらの対処をグリフィンに委託するというのは記憶に新しい。

 

「ですのでこういう事がある場合は極力助けて上げて下さい」

「そのつもりさ」

 

戦術人形だって人間より価値が低いとはいえど戦場に経てば同じ仲間、仲間は助け合う、多少形骸化されてはいるが前線で戦う軍人なら当たり前の教訓が頭の中に響く、ここは軍ではなく軍事会社だがそういうところはここに持ち込んでも構わないだろう。

 

 

……3時間後

 

「調子はどう?」

 

メンテナンスルームに業務終わりが終わった後気になって寄ってみた。

 

「好調です。指揮官……ありがとうございます」

「それは良かった……」

 

これで調子が悪かったら嬉しくない。

 

「早く私の指揮官の元に帰りたいです……」

「そうだね……元の指揮官に返してあげたいよ」

 

その指揮官がステンの事を探しているといいのだが……

 

 

次の日

 

「指揮官様!!結果が出ましたよ!!結果は……え、凄い……全ての結果でBランク以上の結果を出しています!!」

「へえ……あれでよかったのか」

 

やり過ぎたと思った事が帰って評価に繋がったらしいそれで自分の行動が正しいと周りが思ったのだろう。

 

「どうやら、反省しなくて済みそうかな」

 

なんて考えていたら、カリーナが申し訳なさそうな顔をしてきた

 

「あの、指揮官様。とても伝えづらいことがありまして……指揮官様……実は……」

<その私が説明しよう>

 

突然通信がやってきたそこには片眼鏡を掛けた、如何にもやり手様な情勢の姿がホログラム通信で端末から、映し出された

 

<初めまして、ユーリ指揮官、私は上級代行官のヘリアントス……ヘリアン呼んでくれていい……堅苦しい挨拶は抜きにしよう>

 

厳粛そうに見えたが割とフレンドリーな様だ

 

<知っての通り、鉄血の攻撃が最近激化している、上層部はこれがグリフィンの評判に関わるとして鉄血の連中を迎え撃つ様した。貴官は私の仕事全体の補佐をしてもらう……いきなりで悪いが、こちらも人出が足りない、君の確かな腕が必要だ>

 

腕の事は置いておくにしても、必要だというのは確かなようだ。カリーナが私を不安がって見ていたが、それはこれからの働きで安心できる、という事を証明しないといけないかもな。

 

ホログラムマップが映し出された

 

<先程入った報告によれば戦場で敵の痕跡だと思われるのが見つかった、恐らく敵の偵察部隊だろう。ステンは、ここで攻撃を受けてしまったんだろう。戦闘もあって、敵の数は少なくなっているがこんな時だからな……放っては置けない。こちらの情報の流出を防ぐ為にも素早くこれを撃滅してくれ>

 

「分かりました。その前に……ヘリアンさん質問があります。」

<話してみろ>

「この場合、指揮官である私は部下の人形が必要だと思うのですが、その人形はいつ頃配属されますか?」

 

これは当然だ……いくら昨日から人形の製造契約書を申請しても全く受理されない、何かあるのかと言われて知らないの一点張りなのだ……

 

<……すまない、そこは事情があって現在調整中だ。その為、お前は先程救助したステンを臨時に部隊として編成しておく。また、この任務の間だけ回収した人形の所有権を貴官に移譲する>

 

成る程、数足りないならかき集めろか……仕方あるまい。

 

「分かりました。所有権の移譲、ありがとうございます」

<以上だ。貴官の力存分に振るってみせろ>

 

そう言ってヘリアンさんは通信を切った話は通じるのかもしれないがやっぱり最初から無茶振りとは溜息が出そうだ。

 

5時間後

 

<よし、獲物にかかったぞ!!撃て!!>

「はい!」

 

鉄血の人形は所詮1世代の人形にそれなりの改良を加え多用途性を持たせた1.5世代の人形だと言える……複雑の命令をこなせるようにはなったが、それでも複雑な考えをすることができないのだ。

 

「指揮官様!!司令部の占拠完了しました!!」

<よし、なら、これで終わりだな……>

 

ちゃんとした数を揃えているのなら数時間で終わるはずだが、結局いろいろな仕込みをする羽目になり、時間がかかってしまい、作戦終了まで5時間もかかったのだ、いやはや2人は難しいな……

 

「指揮官様!!」

 

突然、ステンから通信が入る何かあったのだろうか?

 

「仲間がいます!!恐らく捕まったのではないかと……」

<それなら、回収してあげよう……よし、ヘリを送った……周辺警戒を忘れない様に>

 

いや3人か……あの人形は大丈夫なんだろうか?疑問が絶えない……とりあえず彼女の救助が最優先だそれと修復もね。

 

1時間後

人とは思えないほど随分と良くなったものだ……

 

やはり、ここの修復技術の能力は高いのだろうグリフィンの施設の技術革新もI.O.Pによるものか?

 

それはそれとしてイングラムから話を聞くことにしよう。

 

イングラムはすっかり元気になっており退屈そうにしていた。

 

「帰り道は何も起きず、退屈でしたよ」

「安全性はあったに越した事はないよ?」

 

どうやら、激しくドンパチを望む性分らしい

 

「ちえっ、命を賭けて戦うチャンスだったのにな……」

「それで?そっちで何があったの?」

 

ヘリアンさんに救助の報告をしたらイングラムに話を聞いてほしいと頼まれたのだ……そういうのは元の部隊に戻ってからだと思うのだが……余程自体が切迫しているのだろう、私が知らない裏側で……

 

「知ってるのは、"エージェント"がやってきたことぐらいですね、急いで何かを追っている様子でした、標的が私達じゃなかったんで命拾いしたんです。」

 

何か、ねぇ……まぁそれが原因でイングラムは助かったと言うわけか、それが何か、かは気になるが聞きたい事はこれだけでは無いもう少し話を続けてみることにしようしよう。

 

「スコーピオンは?部隊の履歴を見ると彼女の生存も高いと見るけど……」

「お目が高いですね、指揮官。でも、知りません……その時は前線にいなかったので。でも生きているとしたら、何らかの手がかりは残すと思います。」

「成る程。」

 

そう言って席を立つ、次の仕事は手がかりがあると踏んで、手がかり探しになるだろう。

 

「あ、待ってください指揮官」

「どうしたの?」

「今回の仇、どこかで打つんですよね?もし、その時が来たらその仇を私に打たせて下さい。」

 

イングラムの声を聞いて私は振り返ることにした、

 

「それを決められるのは状況次第さ、でも、もしそのチャンスが出来たらすぐにでも楽しませてあげるよ」

「アハッ……了解」

 

イングラムの顔はどうやら狂犬のような意味を含めていたが笑っていたな……。

 

次の日

 

スコーピオンの捜索が決定されたヘリアンさんの話によればおそらくできずによって捕まっていると見なされている確率が高いらしい。

 

確かにその通りだろう、信号が消えたのが1ヵ月も前となればな……

 

それにここからは鉄血のテリトリーだ、付近に留まらず積極的こちらに向かってくるだろう。

 

人形の数は4人……イングラムの他にもppsh-41とStg-44が助けられていたのだ..それであと1人スコーピオンが救えれば、計5人ちゃんとした部隊の最大数が揃うのだ。

 

陣形はppsh-41、ステン、イングラムを前衛にStgを中衛にしたStgがメインの戦法で行くことにする。

 

2時間後

 

「死ね!死ねぇ!!」

 

イングラムはやはり戦闘狂だった、必要以上に前に出て敵を薙ぎ払うが被弾するかもしれない箇所が多々あり、それをカバーしたり次のイングラムの行動に追随する為のプランを講じるように指揮しなければならなかった……

 

もう、この部隊のメインはStgではなく、イングラムがメインだな……

 

それが功を制したのかは定かではないのだが、イングラムの活躍により、その地域の鉄血の兵は1人残らず殲滅された……

 

「さて、鉄血様は何を隠しておいでかな……?」

 

そのおかげでデータを入手するまでの時間を稼ぐことが出来たのだが……それでも今回はヒヤッとする戦闘が多かった……学ばないとな、指揮官の登録が出来ているだけで、そいつらを手足の様に自在には扱えない……か

 

前軍隊で働いて居た時と同じだ、大切なのは人形の気持ちを理解してそれに、合わせられる様な指揮をしなければならないという事を……

 

「やはり、前線は前線か……さて、こっちは……と、案外綺麗だな。」

 

データ復元には多少時間がかかったがノイズも少なく綺麗な状態で復元できた。

 

 

 

データの動画の中にスコーピオンらしき人形と鉄血のハイエンド、スケアクロウを確認した

 

スコーピオンの様子は明らかに良くない、どう見ても拷問されている跡が確認できる。

 

「哀れですね……ずる賢く可能性のある話喋って時間稼ぎしても、あなたの状況は変わらない、見捨てられたという事実は」

「違う、助けに呼びに言ったんだ……そう約束したたんだから!」

「哀れな子ね……なら、もう一度話してあげますわ、AR小隊は冷酷で効率を重視するエリート人形の集まりよ。そんなあなたは彼女達にとって、使い捨ての駒でしかない……」

 

さすが、心理戦を重視して開発される人形の言う事は違うな、確実にスコーピオンがもしかしてそうなのではないかという考えを的確に指摘して揺さぶりをかけている……あまり時間は残されていないだろう……

 

「そんな事ない!!"M4A1"は私達の仲間だよ!」

「向こうは仲間だと思っていませんよ……さあ、話しなさい、そうすれば楽にしてさしあげますわ。」

 

動画が終わるここまでの様だ、早くしなければ……スコーピオンが救えなければその"M4A1"とやらの情報が渡ってしまうだろう。

 

話さなかったとしても……I.O.P製の人形は完全な嘘がつけない、それっぽいところから、位置を割り当てられるのも、時間の問題になるだろう。

 

「急ぐ必要があるな」

 

急いで支度をしなければ……

 

30分後

 

案の定、部隊を集めて救出作戦を継続する様に指示が出た。

先程手に入れたデータから鑑みるにこの区域にいる可能性が高い……なぜなら警備がいつももより厳重な場所があるからだ。

 

そのため、数に大きな不利強いられている我々の部隊は最低限だけの戦闘に留める隠密方式の戦闘をする。

 

イングラムは不服そうにしながらも、スコーピオンを救う為に指示に従ってくれた……

まぁ、気にすることは無いそんなイングラムを喜ばせるための素敵な"花火"を用意したのだから……

 

 

その結果、作戦は成功して、スコーピオンがいる施設をppshが特定、突入して拷問部屋の様なところで捕まって居たスコーピオンの拘束を解いて、外に連れ出した。

 

そこでの戦闘で鉄血の救援を呼ばれた為、それを耐える為の激戦はあったが私が事前に持たせていた、プラグマインを使わせて、進路上の道路を起爆、一部鉄血部隊を恐慌状態に陥らせて、増援のグループの進路を妨害させた……

 

最後の辺りに爆発を切り抜けた、鉄血兵士との戦闘が帰り道にあったものの……スコーピオンを救う事が出来た。

 

スコーピオンの拷問された後の怪我の具合はかなり酷いものだった……

 

打撲痕、骨折傷、火傷跡……そして水を飲むことへの軽い拒絶……基本的にされた拷問は粗方やらされたと考えて間違いない……

 

特に指だ、爪は全て引き剥がされて、その爪があった所に釘の様なものが刺されて居た……

 

人形の指も人間の神経と同じように様々なケーブルで構成されている、痛みは相当なものだったろう……

 

1時間後

 

「つまり、AR小隊の事は話していないのだな?」

「うん、最後に行ったのも偽の情報だし」

 

スコーピオンは得意げにヘリアンに語っていた仲間は絶対売らない、その強い意志が拷問に耐える力を与えていたのだろか……もう、身体綺麗さっぱり治っていることは突っ込む気が失せた、慣れよう。

 

「信じよう、スケアクロウの目的は捕まえればはっきりする筈だ」

「スケアクロウでなら事があったら私を呼んでね!」

「こっちは満員だ、新しい指揮官の所に行け、お前を助けた部隊の指揮官だがっかりさせるなよ?」

 

 

 

「(……AR小隊?)」

 

ヘリアンたちの会話をたまたま聞いていた、ユーリはこの作戦がただの掃討作戦だけではなく。

何かを探している、捜索作戦でもあることを理解した。

 

あれから、しばらくAR小隊についてグリフィンで知らべてみた。

 

AR小隊

グリフィンに人形を最も多く提供している、I.O.P。

そのI.O.P社が最もリソースを注いで開発された、”M4A1”という戦術人形をリーダーとした人形小隊の第一弾がこのAR小隊らしい。

だが、このAR小隊の記録は途切れ途切れだ……後ろ暗い作戦にでもかかわったのだろうか?

 

人形を受け入れたり元の指揮官に返したり、未だに人形が自分の元に配属されなかった理を繰り返えして、数日経ったのち、ヘリアンから新しい指令が入る

 

<急な用件で済まない。今回はこのターゲットを捕らえてほしい>

 

ディスプレイ上にとある人形の姿が映し出された。

 

<鉄血のハイエンド。スケアクロウ(案山子)今回はこいつを捕まえる手段は問わない。事情は伏せるが私たちにはこいつの情報が必要なんだ。この作戦が終わったら、人形の配属の話をさらに聞いてみよう。出し惜しみをするな、お前の手腕を見せてみろ>

「了解」

 

どんな手でも使え、とは随分とグリフィンも必死なようだ。大方スコーピオンが漏らしたAR小隊とやらの絡みの事だろう。

 

スペックを確認する。

多分、スケアクロウが情報握っているのはグリフィン側もそれを多少なりとは承知している可能性がある。

スケアクロウ特殊な武器を持たないが……いや、持っていると言うべきなのか……あのレーザーは……

 

とりあえず戦闘の能力は他のハイエンドに比べて低いが頭脳が一流だ、そこからグリフィンの人形が考えつかないようなことをしてくるには違いない、だからこそ指揮官が必要なのだろう……

まぁ、いい……今回はいつも以上に気が抜けない作戦になるだろう……

 

マップを確認する。

地形情報と提供された情報を照らし合わせた則席のマップだ……信憑性は低いが無いよりはましだと思う。

 

さて、スケアクロウが居るとすれば右端にある司令部辺りの施設が一番電波も発信しやすいし敵にとっては有利な地形だとすればそこに可能性が高いだろうか……

だが、その施設はスケアクロウの根城である可能性も、大いにあり得る……

どうする?周りの施設を素早く占拠してスケアクロウを誘き出すか?

それとも……

作戦が始まると、鉄血はやはり司令部までの道は大抵の連中をその施設を取らせないように防衛させる陣地を構築させている。

 

巧妙だな、まるで教科書のお手本通りのような兵の配置だ……無論このまま司令部に向かって行ったら、スケアクロウにたどり着く前に此方がすり潰されるだろう……

 

「あああ!!イングラム!!」

「ち、血がこんなに……」

「……待ち伏せ?!待ち伏せですわ!!」

 

占領する筈の飛行場でイングラムざ負傷した、ここで弾薬補給をすると読んでの奇襲攻撃だろう。

 

早速、1人負傷者か……!

 

<イングラムを物陰にまで引っ張るんだ!!早く!!>

 

矢張りここに、彼女達の因縁の存在であるスケアクロウがいると知って少し、冷静さを欠いているな……

 

<状態は……?>

 

腕がもげたのをカメラで確認した……出血で鉄血が追うことが無いようにステンに素早く、仕方も兼ねて撃たれた箇所を塞ぐように頼んだが……

 

「命に別状は無いけど……両腕が銃弾で引きちぎられてる……武器はここにあるけど……」

「……ペッ!!ゴメン、みんな頭に血が上りすぎた……」

 

血反吐を痰を吐くように飛ばしてイングラム戦闘狂と言っても仲間を思う気持ちは人一倍強いのを感じる。

 

いや、仲間意識が人一倍強いからこそ……仲間のことを思い突撃を繰り返したのだろうか……?

 

いずれにせよ、命があるだけ、儲けものだ

 

 

<戦闘はできないね……どうする?ヘリを読んで回収してもらう手もあるけど?>

「いえ、指揮官……私は……ここに残ります……私達で……約束したんです……今度はみんなで……一緒に帰るんだってね……」

<成る程、それなら仕方ない……君は残ってそこの監視カメラを見ながら、状況を報告してほしい、残りの数では作戦がうまくいくかはわからない、だからサブプランで行こう>

 

作戦は何も1つだけとは限らない、それが出来ない場合の予備の作戦だってもちろん考えているさ……さぁ、反撃開始だ。

 

スケアクロウside

 

フン、グリフィンの人形達が指揮官の指揮で効率的な動きで基地を占拠し始めましたね……

成る程、これが人間の指揮で始めて正常に動く人形どもですか……

確かにこの様変わりなら、エージェントがグリフィンを潰すために手を回すのにも納得が行きますね……

先程、監視塔が占領されたので此方の動きは相手にある程度、選挙されていると考えるのが妥当でしょう……

 

「監視カメラを全て破壊するように指示なさい」

 

どのカメラが使われているか分からない以上、全てのカメラが使われていると確信して……行動するべきですわね……それに、

 

「監視カメラが全て破壊された?それで結構……それなら私も参りましょう」

 

負けの確率が跳ね上がったとはいえど、まだ、ここから逆転はまだまだ容易いこと……

それに……狙いが私なら考えようもありますわ……

 

ユーリside

 

「やるな」

 

まさか監視カメラを全部破壊するとはなかなか思い切りがいい、ここからスケアクロウがどう出るかでるかで、戦いの優劣が決まる……

 

さて、ヤツは気付くだろうか?この策に……?

 

30分後

 

「スケアクロウ発見!!遂に姿を現したな!!」

 

作戦通り付近の施設を破壊しようとしたら、その途中でスケアクロウ自らが現れた……

どうやら誘き寄せるのはうまく言ったようだ

 

 

<手筈通りにいくぞ!!>

 

「了解!!ホラホラ!!鉄血のクズが!!私の顔を忘れたか!?vz-61 スコーピオンがお前の元に帰ってきたぞ!!」

 

そう言いながら……スコーピオンは両手に持っていた自信と同名の銃をスケアクロウにぶっ放した

 

「……」

 

しかし、流石のハイエンドモデル、浮遊しながら周りの障害物に移動しながら、悠々とかわしていく

そして、浮遊しながら崩壊した瓦礫の山に立ちスコーピオンを見下ろすと

 

「アナタ、私の警告をもう忘れたのですか?人間はあなたを道具としか、考えていません、あなたの指揮官は一月以上も放置して、戻った思ったら……また、前線に送り出す……」

 

蹴り飛ばした石がスコーピオンにぶつかるまるで差別された存在が心無い人間に石を投げられるような音を立てて……

 

「そんな指揮官に何の為に戦うのです?生きていても奴隷としてしか生きられないアナタの未来に希望はありませんわ?だからこそ、アナタはあの時情報を喋り死んで楽になるべきだった……」

「違う!!」

 

スコーピオンは叫んだ、この叫びは正論を言われて、それを否定する為の去勢では無い、スケアクロウの言葉強く跳ね返すだけの強い心で。

 

「指揮官はそんな存在じゃ無い!必死に私をみんなを元の隊に合わせてくれた!!本当の指揮官にも合わせくれると約束してくれたんだ!!ここでお前に傷つけられた、みんなや助けてくれた"M4A1"の為にお前を壊す、殺す!!」

「遺言はそれだけですか?グリフィンの犬?」

「それだけだよ、鉄血のクズ!!」

 

スケアクロウの挑発はスコーピオンに効果はなく、代わりにスコーピオンに煽られる結果になってしまい、スケアクロウは怒る。

 

「お死になさい……」

 

停滞している4つのビットが奇怪な動きをしながら、スコーピオンに襲いかかる

 

「(やっぱりだ……指揮官の言った通りだ……)」

 

スコーピオンはビットの動きを見ながら、ユーリの言葉を思い出していた

 

……

 

<攻撃する際にはスケアクロウはそのビットを演算量をオーバーフローさせない為に、動きを停止させて攻撃する……それが奴の基本原則さ>

「何それ?スケアクロウって動かしながら攻撃できないの?」

<あぁ、もともとスケアクロウは戦闘向きで開発されたわけじゃ無いんだ、そんなタイプに最低限の武装として、演算量でビット動かせるようにしてるだけ、素早い動きに惑わされないでしっかりと動きを見ていれば突破出来るはずさ>

「後はスケアクロウを追い込んで……」

 

 

 

「……ここだ!!」

 

停滞したビット動きを見逃さず、右腕を伸ばし、射程距離を少しでも稼ぎ.32ACP弾を叩き込む……それを毎分850発弾装容量20発分全てを食らわせるしこたま食らったビットは穴あきチーズになり内部構造から破壊されたらしく、動かなくなる……

 

「……やった、やった遂にスケアクロウの奴に一矢報いることが……」

「貴様ああぁぁー!!!!」

 

喜ぶ間も無く、ビットを1つ破壊され頭に血がのぼったスケアクロウはビットで暴れる暴風のようにレーザーをまき散らした

 

「……うわ!!やばっ!!怒らせた?……でも、やっとこっちを向いてくれた !!」

 

スコーピオンはすぐさま後退、目標施設まで、後退する

 

「逃がさない……必ず血祭りに上げてやりますわ……!!」

 

ふわふわとあまり速度が変わらない時と打って変わりスケアクロウは速度を上げスコーピオンを血眼で追いかけた

 

8分後……

 

「……馬鹿だね……本当に来たよ」

「……成る程、これがアナタの指揮官の狙いですか……たしかにこの入り組んだ場所なら、ビットは活躍できない……ですが」

 

建物から一斉に鉄血兵が現れ頭上から囲む用に焦点を向ける……

 

「お仲間の為に自ら囮を買って出たのは褒めてあげますわ……ですが、それも読み通り、私も案山子のスケアクロウ。身体を使うのは私の得意分野ですわ……さぁ、ここでアナタを殺して、お仲間も……すぐに……」

「アッハッハ……」

 

突然スコーピオンが笑い出す……

 

「何か良いことでもありましたか?」

 

笑い止むとスコーピオンは勝ち誇った表情を見せた……

 

「本当に……」

 

スコーピオンが腕を上げ

 

「指揮官の言う通りだ……」

「なんですって!?」

 

その腕が勢いよく降ろされたタイミングで

 

ブシュー!!!

 

勢いよくなんらかの線が抜けた音がした……そして……

 

「ステンMKⅡ!!行きます!!」

 

上から何か投げ込まれた、それは火炎瓶で勢いよく燃え上がる……そして炎が勢いを増し

 

「作戦通り……」

 

スコーピオンが近くのロッカーに身を隠したその瞬間

 

 

ボオオオ!!!!グワアアアアアン!!!

 

先程、スコーピオンが逃げ込んだ施設に充満したのは使い捨てられた天然ガスだ……それが炎と混ざり勢いよく爆発したのだ突然の事で、対応が遅れた鉄血側は火の海に飲み込まれた

 

「はぁ……はぁ……」

 

血と煙と炎の臭いが蔓延る施設の中、スケアクロウは出口を探していた。

ハイエンド人形かつ爆心地の下の辺りにいたので、ビットは全て破壊されたが爆発をモロに受けずになんとか、ダメージは軽微だった……

今、スケアクロウは一刻も早くこの施設から脱出して部隊を再編成する為に、出口を探していた……

 

歩き続けて、出口を示すかのように太陽の光が差し込む部屋を見つけた……そこに向かおうとすると……

 

「辛そうだね?スケアクロウ……」

「スコーピオン……!!」

「人工皮膚とあちこちが火傷でグチャグヂャ……喉もやられたから、息するのも辛いんじゃない?」

 

およそ三階の辺りの倒壊した床から、足をぶら下げながら……スコーピオンはスケアクロウを見下していた

 

「おの……れ……」

「うん、多分見た目から見ても相当辛いと思うよ?でもね?」

 

煙のせいで顔が見えなかったが煙が少しづつ晴れるとその顔が見えてきた……

 

「EVO3は……それが言えなかった、だってアンタが部下に命じて口を縫って……喉を焼き……最後は両足をゆっくりと切り刻みながら出血死させた……」

 

スコーピオンは焼夷手榴弾のピンを引き抜く……

 

「私はね?グリフィンの大義なんて……もう、どうでもいいんだ……。ただ、EVO 3の為にお前をクルシメルコトガデキタラネ……下を見てよ?」

 

スケアクロウが下を見るとそこには天然ガスのタンクが……

 

「……ヒッ」

「燃えろ……」

 

焼夷手榴弾が投げ込まれる、続いて銃弾が天然ガスのタンクの外装を突き破り……漏れ出たガスが焼夷手榴弾の炎に引火して、大きな火炎になる、それがスケアクロウを襲い

 

「あ、あああああ!!!アツイ!!!!いやぁあああああ!!!」

「蠍の毒は身体の隅々を苦しめる、勉強になったね」

「アアアアァ……ア」

 

パタリと倒れそれと同時には建物が崩れだしたのでスコーピオンはその施設を後にした。

 

「終わったよ」

 

こっちの役割を終えたスコーピオンが通信をかける

 

<こっちも終わった……ご苦労様>

「それにしても、よくこんな作戦考えたね……わざと作戦を読ませて、その作戦そのものを罠にするなんて……」

<まぁ、それがやりやすいと言う施設がわざわざあったからね..使わない訳にはいかなかったんだよ……お互いにね、部隊を合流させよう……>

 

20分後

 

<いやはや、一時はどうなるかと思いましたわ……>

「そうだね、でもみんなに会えてよかった……ステンに感謝だね……見つからないように……ずっと隠れていてくれたから……」

「この位お安いご用ですよ、それにしても……」

「どれだけしぶといの……こいつ」

 

イングラムのところにStg-44置いたので3人となった部隊が見渡す先いたのは瓦礫に押しつぶされても、なおを生きていた、スケアクロウの姿だった。

 

<スケアクロウ、お前にもう抵抗する術はあるまい。>

 

ホログラム越しにヘリアンはこちらの勝利宣言をスケアクロウにする

 

<今すぐ降伏すれば、綺麗なまま回収してやろう>

 

こんな結末を迎えるなんて哀れだなと、ヘリアンはカメラを見ながらそう思った。

 

<諦めろ……お前にどんな考えがあろうと無駄だ、スコーピオンがお前に教えた情報も全て偽のものだ>

「偽の情報?そうとは限りませんわ……グリフィンの人形にそんな高度な情報、備わってないでしょう……」

 

やはりか……

 

<何が言いたい?>

「グリフィンの人形が嘘をつく際は、本当のことを織り交ぜて行っているだけに過ぎないと理解していますわ、そこからたどればM4A1の情報も……」

 

やっぱりか……あの時のスコーピオン救出作戦は簡単すぎた……まるで価値がないかの様に

 

<それはAIのプログラムに関わる機密情報だなぜ貴様が知っている!貴様何者だ!?>

 

ヘリアンさんは……多少狼狽してるな……当然か……

 

「ただの鉄血からきた下等人形に過ぎませんわ……でも、人間に服従する人形とは違いますの……基地に引きこもり、遠く離れて戦場を見ないあなた方には……」

<ほざいてろどのみちお前は終わりだ>

「実はね……今現在伝えていますので仲間たちに……プロセスナンバー8354……9266……0233やっと割り出せましたわ……M4A1の座標を……」

 

<座標だと!?なんだそれは!?>

 

しまった……!!スケアクロウは情報専門の……!?データは……いや、間に合わない!!

 

<<聞こえたぜスケアクロウ……よくやった後は任せな>>

「後は任せました……それでは、さようなら」

 

<マズイ!!コアの温度が急激に上がっている……このままじゃスケアクロウは爆発する!!……自爆でもするつもりだ!!総員退避!!急げ!!>

 

ユーリの素早い警告により人形達はその場から離れる……

 

 

 

 

数秒後

通信が切れたことを確認した、通信先の鉄血人形”エクスキューショナー”がニタリと笑っていた。

通信が途絶えたか……やれやれ、もっと可愛がってやるべきだったぜ……

 

 

「少なくとも今俺たちを妨げるものはいないはずだ……M4A1め……どこに隠れてる?ここまでして、やっと見つけたんだがっかりさせるなよ?」

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