「AR小隊って、知っていますか?」
あのスケアクロウの討伐作戦成功させた、次の日
グリフィンの指揮官として、討伐を成功させたユーリは”あの方”にその報告をした後、AR小隊について聞いてみた。
「……そうですよね。やっぱり、表向き以上の情報は分かりませんか……いえ、お手数頂きありがとうございます、AR小隊はこちらで調査しつつ、引き続きグリフィンでの業務を続行することにいたします」
通信が終わって、ユーリは業務用の椅子に背もたれを預けた。
やはり、あの方でも自分が調べた以上の情報は載っていない……ということは、そこまで大きな影響を与える人形たちじゃないんだろう、少なくとも今のところは……
しかし、それでも……だ。
それでも、グリフィンのAR小隊に対する執念は異常だ。
と、自分の勘が叫んでいた。
「分かってる……きちんと、証拠を集めるさ」
デスクに飾ってある、家族の写真を見ながらそうつぶやいた。
さっそく、AR小隊のことをもう少し調べようと、コンソールを起動したら、上司のヘリアンさんからメッセージが届いていた。
<昨日はよくやった。しかし、思えば本当に危なかった……誰もけが人が出なくてよかった>
全くだ……まさかスケアクロウが自爆するときには、本当にヒヤヒヤした。
他にも、謎の座標を口ずさんでいたりと色々と気になる所だったが、それがこちらに命令されていない以上他のグループが調べることだろう。
<残念なのは鉄血のチップが壊れて、それが復元できなかった事だな>
なるほど、確かにあのデータは鉄血がなぜ人類に攻撃しているのかの手がかりになった筈だ……
<私は報告書をまとめないといけないので、お前に1つ頼みがある>
「頼み……?」
ユーリは姿勢を正して、重要そうな話を体制をとる。
仕事の後片付けではないだろう。
ヘリアンはこちらにマップデータを提供した
「何とか復元したデータによると”プロセスナンバー 835492660223”これは、重要情報の一つだ」
成る程……スケアクロウが言っていた座標か……。
何てことだ、調べてくれる他のチームは自分のことになってしまった。
<分析版によるとそこに座標が1つあるようだ。だから、そこを調べろ>
ユーリはヘリアンに電話を掛ける。
<ヘリアンだ>
「ユーリです。メッセージを拝見しました。実行の前に確認したいのですが、今回の作戦で借りた人形をすべて、元の指揮官に返却してしまって手持ちがありません。こちらの人形の交渉を進めていただけると話を伺って居るのですが……今どうなっていますか?」
そろそろ、返事が来ても良いと思うが……
<いや、それがまだ届いていないんだ。君の渡した資材で人形は作られているらしいが、一体どうなっているんだ……?I.O.P.に問い合わせて、それができないとの一点張りでな……>
「できない?」
<あぁ>
ヘリアンさんは困った顔になり。
<それで他の指揮官に頼んでみようとしたのだが、それをI.O.Pに直接却下されてしまい、本来なら即刻、解決をしたいのだが、場所が場所でな、協定に挟まって動けないんだ>
ヘリアンが申し訳無さそうな顔になる……まさか、まだ残っていたのか?
「そこで新任の前に行ってもらうことにすることになったんだ。お前はまだ新任だから指揮官としてのデータ登録がされていない。だからこそ、その協定に引っかからずにその座標を調査することができるというわけだ」
やっぱり、か。
金を掛けた訓練をさせる前に、ここで俺をふるいにかける気だな?クルーガーめ、あくどい。
<人形の事はこちらで何とかしてみる、だが、それまではお前の裁量に任せよう、以上だ手がかりがあれば報告してくれ>
そう言ってヘリアンは通信を切ってしまった。
ここからは、俺一人だ。
1時間後
「え!?指揮官様!!無茶ですって!!」
大雨が降りしきる中、基地を出ようとする私をカリーナが止めようとする。
「分かってる。だが、行方不明の捜索は時間勝負なんだ。ならばこっちから行く必要があるだろう……ヘリアンさんには自由に伝えといてくれればいい……心配するな。無茶はあんまりしないと思う、そうだな、”土産話期待しといてくれないか?”……なんて、伝えてもいい」
そう言って、私は私物の銃であるブッシュマスターACRとMP443を出勤する際に使った、バイクの荷台に詰め込んで、座席に乗り込んだ……
さて、こんなバカとしか言いようないことをした指揮官は異端なんだろうか……
バイクを走らせて、さらに数十分後
指定通りの座標に近づくと、鉄血の偵察隊に出くわした。
幸い、こっちに気が付いておらず、数も割とまばらだった……こちらから見つけたとしても語の土砂降りの中で、かつ、こちらを探す気もないらしい……
「協定のお陰かな……」
バイクを止めて、ACRを立てかけると、サイトで狙いながら鉄血兵を観察する。
この雨の中で通常なら目視できる距離でも、少し捕捉されづらいような箇所に隠れながら移動すれば奴らに全く見つからなかった……。
それでも、頻繁に連絡は取っているから鉄血の捜索隊は大規模の展開はしているようだが……
「探し者がまだ見当たらん……と見て、良い方かな?」
とりあえず最寄りの使われていない基地で通信施設からメールでヘリアンにこの事の状況報告した……。
使われてない基地……と言うのはまぁ、第三次世界大戦で戦場になると予想され、結局最後まで使われなかった場所とか、そういうのをPMCや傭兵が前線基地の中継地として通信機材とともに放置されてる……ということがよくあるのだ。
大抵の場合は軍人のID登録等が必要なのでそれを盗んだりしても何の値打ちにもならない……あるとすれば、溶かして金にするくらいか……
ヘリアンさんから返信があった。
この報告を聞いて、本部に戻るらしい……
グリフィン本部
「……どうやらそう以上に事態は深刻のようです、クルーガーさん……こちらの指揮官の報告によると鉄血一歩、先をこされているようです」
ヘリアンの報告を聞いてグリフィンのCEOベレゾヴィッチ・クルーガーは口を開いた。
「……つまり奴らは我々より先にM4A1の情報を手に入れたと言うことか。」
「はい。ハッキングに長けた人形がいるのではないかと……現在ユーリ・フレーヴェン指揮官が調査を続行しております……」
「あるいは情報が漏れているか……」
「……それは」
ヘリアンが少しバツの悪そうな顔になる
「お言葉ですが、グルーガーさん……グリフィンの従業員は信用に足るものばかりです。セキュリティーも万全を期しています。」
「安全も信頼も絶対的なものではない、相手にどんな切り札があるか予想もつかないのだ」
クルーガーは外の窓を見る、それは昔を思い出すような顔を見ているようだ……
「大事をとって、お前の作戦を一時中断とする、ヘリアン。その指揮官に与えている任務も一度止めよう……人形無しでやれることなど多くは無い筈だ、今となってはな……」
「……では、AR小隊の救出任務は?」
ヘリアンに向き直って発言したクルーガーの方針にヘリアンはこれからどうするかの意味を込めて質問した。
「もちろん続けるが、やり方を変えよう。もっと適任の奴を探す。……ところでヘリアン、猫は好きか?」
「猫……ですか?……もしかして?」
「そうだ、行き詰まったときには初心に帰るしかない。」
そう言うとクルーガーは端末を使い……ある電話番号を押した。
数時間後
引き続き捜索している、ユーリにカリーナが通信を入れてきた。
<指揮官様!ただ、解析が終わりました!また、すばらしい点数を出したようですね!>
結果はCランクを出したのもあったが全て目標の制圧は完了させていた……その事実にカリーナは度肝を抜かれていた。
「だけど、その成功は仲間の大半を挽肉にして、得た勝利……きっと、後ろにいくつもの備えがあるはず、実戦だったら仲間を再編成するには時間がかかる……その間にその備えの兵士で反撃されて、こちらは終わりだ」
<それではお伺いしますが、指揮官様はどのくらい戦力が減ったら、負けだと感じますか?>
どの位減ったら……か。
「そうだな……まず、戦場で1人さえ失ってしまったら負けだと私は思っている……それでも続行しなければならない時は、再編成の時間も計算して……20%やられたら負けだと判断するかな」
<そうなんですか……あ、それと指揮官様、本部から新しい指令が出たのでお伝えしますね>
カリーナが座標データの入ったプロジェクターを照らす。
<スケアクロウの破壊で鉄血は撤退を始めたのですが、まだ鉄血に占拠されているところが一箇所あるんです、そこを指揮官様が調べて欲しいとの事です>
なるほど、確かにその地点にに1番近いのはこの私だ。
行く理由にも十分なものだろう……そう感じながら私は装備を持ち出して、再び基地出て土砂降りの戦場に蜻蛉帰りした……。
15分後
「それにしても……8時間の経過か……そろそろとはおもったが……まだ、絞り込み出来てないのか?」
山岳地帯の上部にて双眼鏡から鉄血の動き確認しながら、ついボヤいてしまった……。
情報を得て、捜索から発見までの部隊展開して見つけるには48時間の勝負だ……。
48時間もたってしまうと敵に探している事がバレてしまい、すぐにその地点を離れてしまうからである。
「呑気なものだねぇ……鉄血も……そう言う私も、未だ手がかり無しだがな……」
そう言って殲滅された鉄血兵士の死骸の山を片付けながら呟いた……。
「この大雨なら、助けを呼ぶ暇も無かっただろうな?」
雨と雷の音そして、遠距離からのサプッレッサーのコンボは凶悪だ、環境がうるさ過ぎて弾丸は撃った、私自身すら、何も聞こえやしない……。
嵐のせいで離れた味方との距離感が取れなかっただろうから、それをカバーするために高所の基地を選ぶのは良かったが、それは返って此方の目印になるというデメリットになる、と言うことは夢にも思わなかったんだろう……。
基地の機能を利用して、AR小隊の情報と思わしきものをあさってみるが今のところそれらしい情報はない。かといって、削除したような痕跡もない。
ハズれか?
「だが、カリーナの話してた怪しい信号の座標はここのはずだったんだがな……」
ログを漁ってもそれらしい情報は見当たらなかったので、ここは空振りか?
と思って次のポイントに移動しようとしたところ。
「……」
きょろきょろと、異様なほど周り警戒した様子で、アサルトライフルを抱えた少女がこっちに近づいてきた。
およそ、18歳位だろうか……?そのくらい少女が持っていたアサルトライフルはM4カービンだろうか?
恐らく、M4カービンだと思しき物を武装してこちらの施設を見つけて入ろうとした姿がみえたので……人形かな?と思いながら……雨宿りがてらAR小隊を見ていないか聞き込みをしようと思って、こちらから手招きする。
「君、1人かい?よければどうかな?食事はないけど……雨宿りくらいなら……」
「……!……ここも、ダメ」
「ダメってなんだい?……って、おい!!……行ってしまった……」
こっちの話を聞く間もなく、少女は”ダメ”と言うつぶやきと共に、反転していきなり逃げ出してしまった……
一体なんだったんだ?M4A1を持った今の彼女は?
それにしても、M4A1……?この単語……どこかで……
……
漸く見つけたのですの……M4A1の座標を……
スケアクロウが自爆する間際にそんな言葉を残していた気がする。
そして、ヘリアンさんからも"M4A1"の言葉があった筈……いや、まさか……まさかとは思うが、彼女こそが鉄血を探している存在だろうか?
だとしたら彼女がこっちを見るなり、居なくなったのも合点がいくが……
「"協定"のせいか……?」
これも妄想に過ぎないが、忌々しい資産家が自分の縄張りを守るための協定で、グリフィンが展開できないから自分以外は全部敵をともっているのだろうか……?
だが、もしそうならば、座標絞られてる……鉄血に見つかるのは、時間の問題だ……
「会って確かめるしかないな……色々と忙しくなりそうだな」
そう言って私は、バイクに乗り込み少女が逃げた方向に向けてかっ飛ばした。
バイクを走らせて2時間後……
「これで、よし」
さっきの少女を追いかけながら、仕込みもぬかりなく仕掛けていく……仕込みは粗方済ませたから、鉄血の兵士達が遠距離通信しようにも通信出来ないだろう……。
あとは、あの子を見つけるだけだ。
「……さて」
ピクピクと瀕死の鉄血兵が床に落ちていた銃を手を伸ばして拾おうしたのでその銃を蹴り、鉄血兵の手元に飛ばした。
飛ばされた銃が近くに来たので反射的に拾おうとしたタイミングでその腕を踏んづけ、鉄血兵のリッパーは小さい悲鳴を上げる……。
「君には……世話になったよ……」
此方に近づくのが分かればサイドアームを取り出すのがセオリーだが、手元に届く位置で武器が来てしまったのなら、つい拾ってしまう簡単な心理学だ……見上げた鉄血にサイドアームのMP443を向けた。
「悪かったな……」
ガンッ!!と鈍い打撃音が響き渡り、リッパーは額を殴られ動かなくなった……。
「これでしばらく誤魔化せるだろう……」
殴った兵士のIDをコピーする。これで少しは鉄血の目は誤魔化せるだろう……
「順調だな……」
「何が順調なんだ?テメェ?」
声をかけられ振り向くとそこには……
「エクスキューショナー……!?」
「……ほぅ、俺様の顔を知っているとはなぁ……うれしいぜ」
エクスキューショナー
近接格闘戦を重視した、鉄血のハイエンドモデルだ。
……まさか、とは思うがスケアクロウの通信を聞いてやって来たのか?
M4が逃げていたのはコイツもその要因の一つだろうな……
「人数確認する度に下の連中が減っていたらな……立ち寄ってみたら……現れたのは人間……しかもそのバイクの席に突っ込んであった、制服……ありゃあ、グリフィンの指揮官のもんだろ?指揮官様が前線に出るなんざ……随分とおかしな奴だ」
そう言うと、エクスキューショナーが拳銃を撃とうとしたので慌てて銃のスライド押して、引き金を引けない様にし、ACRの銃口をを胸に押し当てる。
「この……!」
「ほう……」
さて、ここから問題だ……相手は銃のトリガー引かないが、もう片方の手には高周波ブレードが握られている……。
こいつを振り回されるより前に銃撃を叩き込んだとしても、エクスキューショナーがそれを耐えて、ブレードを振り回したら私は胴体から上が落ちてしまう……。
さて、どうする?運にかけてみるか?
「なぁ、ここにドクロのバンダナぶら下げてM4A1カービンを持った、女のガキを見なかったか?」
「M4A1カービン?そんなの、世界中で出回っているだろう?探せばブラックマーケットでゴロゴロ転がっているだろうからな、持ってやつはごまんといるだろうさ、それにドクロのスカーフ?特にここは戦場だ、こんな危ない場所にいるならばやつなら威圧の意味ををかけてつける奴もいるだろうよ」
あえて、ここは知らないではなく、多すぎてわからない、という線で喋ってみる。
やれやれ人間でよかったそれらしい嘘もつける……
「気にいった……!!グリフィンの連中が俺を見る限り、ビビるわ……どっか指揮官のだったか……そいつの目の前で
「だからなんだ?お前が靴を舐められた時の心境なんて知らないけど、私が驚かないのは私は今、お前の胸に銃口をくっ付けてる……ピッタリとな……それは、こっちがいつでも先制で攻撃からだ……理解できるか?」
うーん、脅威を伝えるはずがこれではビビっているのを隠しているように見える……これじゃジリ貧だ……失敗した。
「オーケー、オーケー……分かったよ、M4はこっちに来てないんだな?……フン、やっぱり他の基地が襲われない様に逃げ回っているか……」
どうやらこちら思惑とエクスキューショナーの予測嬉しくない事に一致している様だ
「わかった、やっぱりM4A1の奴は俺様が怖いんだな……アンタは俺様にビビらなかったから、後でゆっくりぶっ殺してやるよ……せいぜいM4が逃げ回り続けるのを期待しておくんだな!!フハハ!!」
そういうとエクスキューショナーは拳銃から手を離し、捕まった状態を解除して離れた後、窓をぶち破り嵐の中に消えていった……
アイツめ。言いたい放題言って、いなくなりやがった。だが、M4A1を探しているのはあいつだとはっきりした。
ならば……
「……ここから、先は競争だな」
エクスキューショナーが持っていた拳銃をしまうと私はバイクに乗って、嵐の中に入っていた
30分後
<指揮官様!!指揮官様!!聞こえますか?>
走らせているバイクにつけていた端末から、声が聞こえる。
「しっかり聞こえる……どうぞ」
バイクを停止させてカリーナの通信をする事にする
<こちらが16LABの……>
<へぇ……君がクルーガーが選んだ例の指揮官の……どうもどうも>
端末からもう1人、人物が浮かぶ……
<私がペルシカ、16LABの研究員よ……>
<ペルシカさんはですね、優れた最高品質の装備や人形作っている16LABの首席研究員でなんですよ!!>
16LABと言ったらI.O.Pの変態技術が詰まっていると噂の期間だと聞いたが……その首席研究員がなぜ……?
<実はね、この辺りにあるデータを収集してほしいの……>
「データ?」
<ペルシカさんはこの前データ保管庫に残してきたデータを取り戻したいんです。この命令はグリフィンの許可をちゃんと得ています>
グリフィンの許可得た……か、おそらくM4絡みとしてだろうか……
「とりあえず、私が予測する位置を送ります」
いずれにせよ、探さなければ始まらない。
そのころ、グリフィン本部部にて……
「クルーガーさん、ここにいらしたんですか」
「この度はご苦労だったなヘリアン」
クルーガーがヘリアンに礼を言う。
「当然の務めです。それから、今M4A1のデータベースをチェック中とのことです。しかし今のところ取得可能なデータでは不完全なので、さらに捜索範囲を広げる必要があるかと」
「餅は餅屋だ、後はペルシカに任せよう。現状、こちらで捜索範囲を広げるのは無理だ。契約に従い、我が社の業務の重点はいわゆる……「戦略的価値」のあるところに置かねばならんからな」
クルーガーの顔は心なしか穏やかなものではなかった……
「また雇い主からの命令ですか……主力の人形を富裕層居住区に留めておきながら、AR小隊の情報を得ようなんて、いくらなんでも……」
横柄だ対応としたヘリアンを制止してクルーガーは語る
「まだ収穫があっただけましだ。この前の報告書、両方とも実に役に立ったぞ。」
「報告書とは……S09地区に展開している我々の人形が、それぞれM4A1と鉄血ボスに出くわしたあの2件のことですか?」
クルーガーは頷く
「ああ。AR小隊は遠く離れられずに、まだ近くで鉄血に包囲されたまま……この点は間違いないだろう。あとの残りは、ペルシカの仕事だ」
「では、これからの重点はやはりAR小隊を助け出すことなのでしょうか?」
「AR小隊……少なくともM4A1は、鉄血にとって相当見つけられたら困る情報を見つけたはずだ……鉄血は今なお多くの謎に包まれているが、M4A1を無事、連れ戻せたらきっと進展はあるだろう」
「ですが、雇い主の命令に背くわけにいきません。主力部隊を受託地域外に連れ出すのは……」
ヘリアンの顔は困ったものと化す。
「部隊は必要ない。例の指揮官は?」
「はい、新人ですが、腕は確かです。まさか、1人戦場に出るなんて……今度は人形もないのに」
それを聞くとクルーガーはニヤリと笑った
「フッ……テストのつもりで人形なしでやらせてみたが……やるな、ユーリ……そうでなければ、お前をグリフィンに入れた意味がない……」
クルーガーは緊迫した場面の中己の勝利をただ1人確信していた。
あの後、自分の考えた予想進路をもとにペルシカが割り出した座標の元にユーリは向かった。
位置情報で送られていた施設にたどり着く……
「……やっぱりだ、最近までここに居たのか」
やっぱりだ、送られていた座標にあった施設を調べてみると、散乱したメンテナンス用具……ブチまけられていた引き出し……そして毛布……そこには、ここ最近生活した後が残っていた。
「これか……?"角砂糖"は?」
そこにはまるで見つけてくれと言うような位置にビデオテープが置かれていた
ビデオテープを再生してみる
……
「……19時25分、逃亡70日目」
「進展はありません……いえ、むしろ前より厳しい状況に陥っています……というのも、鉄血にマークされてしまったので。
「鉄血の追撃は想定内でしたが、相手がしつこくて、予断を許さない状況です……」
やっぱり、2時間くらい前にあった女の子だ、これで確信ができた……彼女こそ、今鉄血が血眼で探している"M4A1"だ
「あと、どのくらい持つか分かりません……早急にグリフィンの誰かと連絡を取らないと……」
……ビデオの再生が終了した。
再生したデータを送られてきた電話から返信する形でビデオデータを送り、ついでにドローンでビデオテープもペルシカに送った。
マップを出す。
彼女が離れた位置から計測して……M4A1が逃げられる範囲はこの辺りか……ここから、エクスキューショナーのスペックから割り出される行動範囲は……
マズイな……完全なエクスキューショナーなどう頑張っても有効範囲内から出られない……
早く何とかしなければと思っているとペルシカから連絡が入った。
<……>
ペルシカさんは少し唖然としていた表情をした、
「ペルシカさん?繋がっていますよ」
<え?あ……その……いずれにしても、ありがとう、指揮官。さすがはクルーガーが見込んだ新人ね……本当に驚いちゃった、これなら本当に"AR小隊"を任せることも……>
<私やクルーガーさんが見込めばそれだけでいいわけではない。>
お礼を言うペルシカさんに割り込む形でヘリアンさんが通信に接続した。
<そうね、結局はボスが決めることよね。それからついでに……>
<ついでに……ペルシカ。そちらの任務は完了したか?>
<それなら……安心して。データは手に入れたから、すぐに結果がでるわよ。>
<それなら急いでほしい。時間は限られているからな……分かっていると思うが。後、ユーリ指揮官お前の雑用係じゃない。>
なんだか置いてけぼりに、された気がするので施設をでる……雨が弱まってきた……嵐が去るか……
<ユーリ指揮官……今回は、ありがとう……今度、コーヒーをご馳走するわ……>
そんな事を考えバイク乗ろうとしたら、ペルシカさんからコーヒーをご馳走してくれる聞き舌がなる……
<はぁ……冷蔵庫の中で謎の甘ったるい液体を飲まされるのが好きじゃなければ、行かないことだな>
……前言撤回、それはコーヒーなのか?
<本題に戻ろう、ユーリ指揮官。これより、貴官に重大な任務を言い渡す。では、詳しく説明する……>
ヘリアンは昨日見た真面目な顔よりも気が引き締まったような表情になる。
<お前も多少は見当がついていると思うが……今回鉄血がS09地区に侵入したのは、決して偶然ではない>
時間が惜しいので、バイクを爆走しながら雨でぬかるんだ土が撒き散らし移動しながらヘリアンの通信を聞く。
<実は、鉄血のボス”エクスキューショナー”は今M4A1という戦術人形を探しているのだ……M4A1はグリフィンのAR戦術小隊に所属し、これまでずっと16LABのペルシカ研究員に雇われて、実験データを収集してきた>
実験データ……それが鉄血に渡したくなく、協定の穴を突いてでもグリフィンが血眼になっても回収したいデータなのか。
<情報によると、M4A1が持つメンタルモデル、すなわちメモリーチップには、重要な機密情報が含まれている可能性がある>
そうか、鉄血はM4A1のデータが欲しいのか……!
<M4A1は任務中のアクシデントによって失踪した。そして、偶然にもこのS-09地区で手掛かりが見つかった。なれば、早急に回収せねばならん。だが色々ややこしい協定のせいで、正式にこの件に手出しはできないんだ。それで討論の結果、グリフィン本部はこの任務を先に現地入りをしたお前に任せることにした。>
人間を戦場にだす……戦術人形を戦場に飛ばすグリフィンの常識を無視してでも、GOサインが出たも言うことは、事態が一刻を争うのは上も承知か……
<よって直ちにS09地区のT6地帯を捜索し、鉄血より先にM4A1を見つけ出して保護してほしい>
クルーガーめ!!
やっぱり俺のことが嫌いだったんだな!?また、面倒事を!!
<貴官の報告にある、エクスキューショナーという鉄血のハイエンドモデルの目下の標的はM4A1だとはいえ、軽率に近づくのは危険だ。気を付けてくれ>
わかってるさ、あのでかいブレードを見たら誰でも近づこうとは思わんだろうさ
<できるだけ早く、奴らの通信チャンネルを干渉しつつM4A1を探すように。今回の任務は責任重大だぞ、指揮官。グリフィンの上層部も貴官に大きな期待を寄せている。本部を失望させることのないように。では始めてくれ。>
「了解!必ず遂行します!」
おおよその行動ルートから割り出したM4A1とエクスキューショナーが鉢合わせするであろう、地点から戦いの音が聞こえる……!!
あの馬鹿でかいブレード音なら、エクスキューショナーそして銃声はM4A1カービンの音だ……間違いなく捕捉されている……一刻も早く
……少し前。
「はあ……!はあ……!まさか、こんなタイミングで遭遇するなんて……!」
M4A1は執拗に自分を追い立てる、銃撃から逃れようと必死に走っていた。
逃亡を続けて、少し強引にでも包囲網を突破しよう奇襲を試みたら、なんとその奇襲先にエクスキューショナーがいて、最悪な状況を引き当ててしまった。
自分が万全な状態なら、エクスキューショナー相手でも強行突破出来たかもしれないが、70日以上の逃亡生活で銃も弾丸もM4A1自身も消耗しきっており、本来の性能の3割も出せていなかった。
「うらああああああ!!」
獰猛な唸り声をあげてエクスキューショナーが、足元のモーターで加速しながら、勢いよくジャンプしてそのまま巨大なブレードを振り下ろす。
振り下ろしたブレードが、ブレードに内蔵した高周波と重なり合い、空気の刃となってM4A1の背中を大きく切りつけた。
「……!!」
背中にすさまじい痛みを感じながら、前のめりに転がっていくのが分かる。
走ってるままでは逃げきることはできない。
M4A1は、歯を食いしばってライフルの銃口をエクスキューショナーに向け、発砲する。
銃撃の反動が、斬られた背中に響く。
痛覚をカットするだけだけの余力はM4A1にはない、背中の痛みが全身に響く。
「攻撃……!!」
「軽いんだよ!!」
エクスキューショナーが高周波ブレードを扇風機のように回して銃弾を衝撃の壁を作り攻撃を防ぐ
「……そ、そんな……!?」
エクスキューショナーの荒技にM4は目を見開いて驚く。
銃撃を弾かれたことにも驚いていたが、それ以上に自分の銃撃が見切られるほど悪化していたのを理解してしまったからだ。
「オラオラ!!」
次はこちらの番だと言わんばかりに豪快に高周波ブレードを鞭のよう振り回して、衝撃を次々飛ばしていく……
「……!!」
急いでM4A1は近くに障害物に身を隠す。
だが、3発目の衝撃波で障害物は破壊され……
4発目の攻撃はM4A1を切り刻みながら、吹き飛ばす。
「……くっ……!!」
転がり切ったタイミングで、M4A1は銃口をエクスキューショナーを向けてトリガーを引き銃弾を飛ばす……
だが、エクスキューショナーは近くにあった車のドアを引きちぎると、それを盾にしてそれを防ぐ。
「……そんな!?」
「ガキンチョがあ!!」
エクスキューショナーはドアを槍投げするかの様にM4A1めがけて投げつける。
M4A1は慌てて、回避したがその地点にエクスキューショナーが走り出して……
「内臓ぉ……!!ブチまけなぁ!!!」
サッカーボールをゴールにシュートするか様にM4A1の腹を勢いよく蹴り飛ばす
「……ガハッ!!」
蹴り飛ばされた先の倒壊した、店のガラスを突き破り店の中に転がり込んだ……
「……ク……ソ」
近くに落ちていた
弾が切れたので、リロード。
10発だけ残っているマガジン。
これが最後のマガジンだ。
「はぁ……はぁ……大丈夫……まだ、動く……」
「まだ、生きてんのか?……面倒だな……てめえAR小隊の隊長だってのに、よく逃げ回る……そして弱いときたもんだ……なんでコイツが機密データを奪ったんだか……予想もつかネェ……な!!」
血反吐を吐きながら次の隠れる場所に異動するために店から出たM4A1に向かって、彼女が引き金引くより早く、M4A1の髪を掴みを顔面を壁に叩きつけた後、道端に脱げ飛ばす。
そのままM4A1が持っていた銃のマガジンをエクスキューショナーは踏みつぶしてしまった。
これでM4A1の弾丸は無くなってしまった……。
「……か……は……」
M4A1の顔や頭からから人工血液を流れていた……。
もう、体中が痛くてとても動けそうにない。
色々データを残して、グリフィンに助けを求めるという賭けをやってみたが、誰も来ていないんじゃ失敗したんだろう。
みんな、みんな、AR小隊は嫌いだしその隊長はもっと嫌いなんだろう。
賭けに失敗する前に人生にも失敗していたんだ、わたし……。
「フン、さっさと終わりにするか……」
「(みんな……ごめんなさい……)」
何に謝ればいいんだろうか?と空を仰ぎ見る。
ああ……どうして、
……どうして、今日は、青空が見えるかもしれないって、思ったんだろう。
エクスキューショナーがブレードを首筋に掛けた、もう……今度こそ終わりなんだ……
「まだ、敵は残っているぞ?いいのか?無視をしても?」
声がする……誰の声だろう……でも、聞いた事が……
……
「ほら、入らないかい?」
そう言えば……誰かが、こちらに手招きしてくれたな……
いや、そんな、都合の良い事なんて……M16姉さんが助けてくれた時の様な事なんて……ない、幻聴に違いないって、思って、鉄血が先に来ていたとおもって、逃げ出して……
「おいおい、まじかよ……」
……え?
幻聴じゃ、ない?
なんだ?笑いながらエクスキューショナーが私をから目を逸らした?……何故だろう……そんな事を思いながら閉じてしまっていた目を開く。
「……!そんな……まさか」
そこには、私の元に近づいてくるグリフィンの指揮官がいた。
……なんで?どうして、人間が未だ鉄血が支配している、敵の戦場に!?
もしかして、彼が私の予想通りグリフィンの指揮官だったとしたら……
「……い、た……ん……いたん……の……指……揮……官」
「やっと話しかけてくれたね、君がM4A1かな?それにしても”異端の指揮官”なんて、AR小隊は二つ名をつける習慣があるのかな?……でも、いいネーミングセンスだ"角砂糖"さん?」
……グリフィンが助けてくれる時に使う合言葉……?
やっぱり、本当なの?
本当に、この人は私を……
私を……助けてくれるの?
「……なるほど。ヒーロー見参ってことか?ずっとこの時を待ってたというわけか?M4A1?」
ニヤニヤ笑いながらエクスキューショナーは私を見下しながら問いかけた。
確かに賭けをしてグリフィンの救出を待った……賭けをするしかなかった。
それしか、私に道はなかったから。
そして、本当に、本当に来てくれた、私を助けてくれた人が……
だが、指揮官自ら来るなんて誰が想像できるのだろうか?
「援軍は来ない、私が来れそうな部隊は全部"片付けた"いや、」
たくさん場所で爆発するのが見えた。
「"散らかしてしまった"かな?それで、君の始末はどうしようか?」
指揮官と思えるその人はMASADAに似たアサルトライフルのチャンバーを少し引いて問いかける。
「テメエ……一回見逃してやったくらいで勝てるって、思ってんのか?」
エクスキューショナーは、苛立ちを隠しもしないでユーリを睨みつけた。
「なめられている」、そう思っているのかもしれない。
「君こそ、私じゃ君に勝てないって思っているのか?」
だが、ユーリはそのエクスキューショナーに自信を含んだ笑みで返す。
「……ハハハ!!面白え!!本当に面白えよ!!アンタ!!」
怒鳴りながら、エクスキューショナーが笑い飛ばし、エクスキューショナーは高周波ブレードを振り上げた……
「……退屈な奴ばかりだと思っていたが、アンタは話したりするだけでも面白い、戦いも楽しめそうだ……!まずはテメエをバラバラに切り刻んで!街灯のシンボルにしてぶら下げてやるよ!」
「それは良かった。来な、エクスキューショナー……イかせてやるよ」
ユーリがライフルを構える。
グリフィンの指揮官ユーリと鉄血のエリートエクスキューショナーが相対した。
「行くぞ!!」
そう言ってエクスキューショナーがブレードを地面を切り上げ……衝撃波を飛ばす。
あっという間にくる、ブレードの衝撃波をユーリは最小限の動きで避ける。
そこからACRの引き金をセミオートで引く。
「そらそら!!」
先程の動きと同じように扇風機のように回転させ、銃弾を防ぐ。
「残念だったなあ!?銃弾なんて切り落としちまえばいいんだよ!!」
「そうか……なら、好きなだけ切り落とせばいい」
そういうとユーリは射撃をしながら横に動いて位置を変える。
「……ん?グッ……!」
ユーリが横に移動したせいで銃弾の弾く角度が変わり、エクスキューショナーの肩に当たったのだ……。
「お前……!わざとこっちに弾丸を切らせて……!」
「ああ、ついでにこれも!」
ユーリが手榴弾をエクスキューショナーに向かって投げつけた。
エクスキューショナーが切り落とそうとした瞬間、手榴弾が爆発しエクスキューショナーが手傷を追った。
「お前っ!?」
さらにユーリが複数の手榴弾を投げる。
今度はブレードではなく、ピストルで手榴弾を打ち落とした。
しかし、今回は爆発ではなく煙が一気に散布された。
「スモークグレネードだとお!?」
エクスキューショナーの視界がふさがれる。
だが、エクスキューショナーには時間稼ぎにならない、サーマル機能を使ってユーリの姿を見つけ出すと、彼めがけて一気にブレードを担いで飛び上がる。
「もらった!」
エクスキューショナーがブレードを振り下ろそうとした瞬間、銃弾が数発エクスキューショナーに命中して、空中で攻撃から防御に切り替えざる得なくなる。
「やりやがったな……1発食らっちまったよ……ぜってえ、ぶっ殺す!」
跳弾により傷ついた肩を指して、唸り声を上げる。
これでは、ユーリには褒め言葉だ。しかし、褒められるのは嬉しいがもっと嬉しいことがユーリにはある。
「いいのか?こっちばかり相手して?」
エクスキューショナーは、ハッとする。
「お前……」
M4A1の姿が見えない。
M4と距離を離されてしまったらしい。
「そろそろどっちに集中するか決めた方が、いいかもな」
余裕そうにしているユーリだが、実はそこまで余裕があるわけじゃない。
残念ながらこれでマガジンの中身が空になっしまった……
マズイな……再装填にまでかかる時間がマガジンを抜いて、新しいのを入れて、ボルトリリースを押すのが1秒として、エクスキューショナーは0.5秒で近づいてくるだろう……
「テメエぶこっろして!M4A1をつかまえる!……これで、ぶっ殺す!!そんじゃ、行くかぁ!!」
エクスキューショナーがあっという間に接近して、ブレードで切りかかる……
「……!!!」
動きは目で追えるが、いかせん体がついてこない……
「……!!」
なんとかギリギリかわせた……そのまま振り回されたらお陀仏だ……!
べちゃり
「?」
だからこそ保険を用意する、セムテックスグレネードを振り回す腕につけた。
「……!?こ、この!!ふざけやがって……!!」
慌ててエクスキューショナーはグレネードを引きちぎり遠い場所に投げつけた、その先にこちら下がって……マガジンを渡して、抜いて、差し込んで、ボルトリリースを……!
「オラァアアアアア!!!」
「ヤバっ!!」
エクスキューショナーが思いっきり、接近してブレードを叩きつけてきた……
反射的にACRをブレードに押しつけるようにして防いだ、それのおかげで私は切り裂かれずにすんだが、ACRはサプレッサーと光学照準器のリフレックスサイト毎切り裂かれ、衝撃波により、思いっきり壁に叩きつけられる
叩きつかれた時の痛みは背中から肺に伝わり息をするのを辛くさせる……
「……はぁ、今のは一番ヒヤッとしたぜ……本当にアンタやるじゃないか、褒めてやる……!これで満足か!?ああ!?」
「お言葉……感謝……だね!」
ブレードで切り裂かれるよりも早く跳びつき素早くブレードの持つ手の方を払いサイドアームのMP443を頭にぶち込んでやろうとしたが
その腕をブレードの方の腕で組みつかれる
「M4に助けて貰おうとも無駄だ。ボロボロなうえ、タマを切らしているからな?」
「……フッ。その前に、銃弾の規格というのを勉強しておけ」
「なんだと」
ザっと、音を立てて。
銃口を向けられる音が静かにこだまする。
「さようなら……!」
「な、何?!」
背中から銃弾の雨を叩き込まれたエクスキューショナーはそのまま倒れこむ。
「どう、して……弾は……」
「グリフィンの指揮官がくれたのよ……!このマガジンは私でも扱えるから」
M4A1が持つにACRのPマグが差し込まれていた……。
あの時のスモークの時にユーリがM4A1に渡していたのだ。
PマグははACR、M4A1どちらのマガジンとしても使うことできるのだ……
「これで終わりだとでも思ってるのか?たとえ、お前がグリフィンの部隊に紛れ込もうと、こっちには別の方法があるんだぜ。」
仰向けで動けなくなった、エクスキューショナーが笑いながら語り出す。
「何故?」
「忘れてないよな?M4A1?お前の仲間が三人ほど、まだ戦場に取り残されてることを……分かってんだろ?あいつらを人質として……」
M4A1は迷いなく引き金を引いた。
「……ごはっ!?」
明らかにとどめの一撃だ。
M4A1が引き金を引いたのは、エクスキューショナーの態度が気に入らいらないのもあったが、エクスキューショナーがやろうとしたことを他の鉄血に漏らさせないためだった。
「仲間の話をしたのは失策だったわね、鉄血のクズが」
先程までの弱々しい顔とは打って変わり、M4A1の顔が冷たいものとなる。
M4A1なりに合理的な理由はあったが、それはそれとしてエクスキューショナーに憤りを感じたのは事実だ。
「フン……どうでもいいさ……知ってるだろ。オレたちは……そう簡単には……消滅しないって……AR小隊、お前らと違ってな……」
そう言って、エクスキューショナー息絶えた。
エクスキューショナーを倒したことを報告して、ユーリがあらかた事情を説明したら、M4A1は「は?」と声を上げた。
人形なしで自分を助けたなんて、誰も思わなかったんだろう。
ユーリ自身も思わなかった。
「…でも、あなたが……ペルシカさんに頼まれた指揮官さまですか?」
ユーリから貰ったマガジンを差し込みながらM4A1はユーリに尋ねた……
「前線に出る指揮官は変だよね?驚いた?」
「そ、それは……すみません……!それよりも自己紹介させてください。」
流すのか……なんか天然かつ機械的……そして
「私の型式番号はM4A1。その名で呼んでもらって大丈夫です。私はグリフィンの人形でAR特殊小隊に所属していますが、事情があって今は鉄血に追われています。ペルシカさんからは、戦術指揮官が救援に来てくれると聞いていました。合言葉は……えーと」
「角砂糖だろ、ほら?エクスキューショナーと戦う前に話していたんだけど……あれで会ってたよね?」
「そう、そうでしたね。救出してくださりありがとうございました」
「しかし、どうしてこんな辺境に来たんだ?もっといい基地にも逃げられたろうに……」
「それは……そうですね。それは、おいおいお話させていただきます。今、私がここにいて願うことは、ただ一つだけです……」
M4A1はボロボロで血だらけの体をこちらにむけ手を伸ばしこう言った
「……助けてください。」
「もちろん……」
そうだ、彼女の伸ばされた手を取ったあの日、あの瞬間が始まりだったんだ……。
"たったひとつの願い"を持った彼女の出会いこそが……私、いや、俺の"運命"だった……