「指揮官……私の後ろに」
M4A1がユーリの前に立った。
「アレは私が片付けます」
その姿は、前に戦った疲れとあきらめが混じったような弱弱しい姿ではなく、炎のようにきらめいて見えた。
「ごああああ!!」
エクスキューショナーが唸り声をあげて襲い掛かる。
何らかの影響で、暴走して自我を失っているように見えたが、それでも十分脅威だ。
その襲い掛かる脅威をM4A1はまっすぐと見据えて、ブレードによる攻撃を見切る。
再度、ブレードが振り回される。
M4A1はさっと、銃をストックがエクスキューショナーに向くように、持ち直すと……なんと、ブレードの柄めがけて、思いっきり殴り攻撃を下に弾いてしまった。
さらに、今度はM4A1が銃を横に振り回してハンドガードで思いっきりエクスキューショナーの顔を切り裂きながら、大きくのけ反らせてしまった。
「あれが……M4A1の実力なの……!?」
M4A1の実力の高さに、416は驚いていた。
もし、あそこで奇襲をしてしまったら……下手の打ち方次第で、自分が半殺しにされていたかもしれない。
ユーリも以前とは、全く違うM4A1の戦闘の様相にユーリは驚いている。
「前とは違うことを教えてあげる……!万全な状態なら、あなたにチャンスはないわ……!」
確かに以前は、エクスキューショナーに追い詰められていた。
だが、それはそもそも武器や素体、そして精神衛生上のあらゆる部位が満身創痍だったからだ。
こうして、武器を清掃しなおし、素体のメンテナンスを終え、時間をおいて落ち着けるようになった、M4A1は本来の戦闘力を発揮できる。
前はダメだったけど、今は万全だ。
1対1がむしろ、有利な土俵に変わっている。
「こっちの方が早い……!」
ブレードを振り下ろす前に、腹に蹴りを入れる。
ピストルの引き抜くより早くその腕を撃ち抜く。
近接格闘戦に強いエクスキューショナーが得意なレンジで苦戦を強いられる。
もし、エクスキューショナーが狂っていなかったらこの状況を悪夢と思っていたに違いない。
「終わりにしてあげる……!」
M4A1が銃撃を繰り出し、エクスキューショナーがブレードで守る。
「やはり、通常の5.56ミリではダメか……!」
今使っている銃弾では、エクスキューショナーのブレードに防がれる。
なら、違う弾を使えばいい。
守りに入ったことで、動きを止めたエクスキューショナーを蹴り上げ、さらに銃でエクスキューショナーをぶんなぐる。
エクスキューショナーが後ろに下がる。
それをあらかじめ待っていたM4A1が、自分の通常の5.56ミリが入ったマガジンを交換して、緑色のテープを巻きつけたマガジンに交換する。
”M995徹甲弾”、この弾丸は15ミリもの装甲を貫通できる弾丸だ。
これなら……
M4A1は再度、エクスキューショナーに銃撃を加える。
録画の焼き直しのように、エクスキューショナーがブレードで防ぐが……
「……!!??」
徹甲弾がブレードを貫通し、さらにそこからヒビが入っていき……ブレードが真っ二つに折れた。
エクスキューショナーがブレードを捨てて、ピストルを抜こうとしたがさらにM4A1は銃撃を引き抜こうとした腕に銃撃を加え、その腕を引きちぎった。
「……!!」
残った腕でエクスキューショナーは何かしようと、腕を動かそうとしたが……
「さようなら……!」
それよりも先に、折れたブレードの刃を拾い上げ、エクスキューショナー腹に思いっきり、突き刺して、とどめを刺した。
「倒した……!」
「M4A1、なんて……奴なの?」
一部始終を見ていた、ユーリと416は本当にAR小隊が最高性能の人形であることを理解することになった。
「残りの敵は……」
「いなくなってますね……」
416の言う通り、鉄血以外にこっちを妨害していた部隊はいつの間にかいなくなっていた。
あのM4A1の猛攻を見て、かなわないと判断して撤退したのだろうか?
「……私はここで後続を待つわ。当分、敵は来ないでしょうし」
「そうね……ありがとう。416、助かったわ」
M4A1が手を差し出した。
握手をしたいのだろう、416はその伸ばされた手が悪意がないと理解しつつ、逆らえない気持ちにもなった。
「こちらこそね」
416がM4A1との握手を終えて、別れた後、
音もなく、3人組の人形たちが416の背後に現れた。
「謝らないわよ?」
416は背後の人形たちに、勘弁してくれという雰囲気でそう話した。
「いいわよ。あの依頼主、本当はAR小隊のデータなんてどうでもよかったようだし……」
「なんですって?どういうことよ?UMP45?」
416は、やっぱり騙されていたのかと訝しがりながら、説明を欲した。
「AR小隊に嫌がらせかけるのはあくまで建前。本命はその、ブレードをぶっ刺されたエクスキューショナーよ」
UMP45は、M4A1によってブレードを突き刺されたエクスキューショナーを指さしていた。
「何?依頼主は鉄血のエリートを鹵獲したかったの?」
「ええ。しかも、M4A1とぶつけて消耗したうえで、私たちが鹵獲する算段だったけど……まあ、M4A1が新しい指揮官を手に入れちゃったでしょ?はぐれならまだしも、同士討ちはよくないってことで依頼は取り下げ、代わりにエクスキューショナーを鹵獲しろっていう依頼に変わったわ」
「回りくどい、そして慎重派ね。ここで、私たちが追加で料金を吹っ掛けたら私たち404小隊の情報を渡して、AR小隊にぶつけさせようって、魂胆なわけ?」
「そういうことよ、じゃあ……この、エクスキューショナーは回収しましょう、幸いコアモジュールは動いているようだし」
動いている?
明らかに、M4A1は急所を狙っているはず……
416がブレードを引き抜く。
すると……本来、コアモジュールがある場所にコアモジュールはなく、どこかに付け替えた改造をされた跡があった……
「なるほど、これが原因でエクスキューショナーは暴走をしていたのね」
後日……
「ええ。そういうことで、M4A1とその部隊員で構成されたAR小隊は資源の優遇を発端にいじめを受けていたようです。……告発すれば、I.O.Pに迷惑がかかると我慢していたようですが……グリフィンが身内だけで解決使用した理由にこれも加わるかと……」
ユーリは昨日起きたことを、”あの方”に報告していた。
「グリフィンは黒という判断でよいのか?……い、いえ!?これで、グリフィンという組織がどうか、という判断をするつもりはありませんが……はい。確かに、グリフィンがこのような問題を抱えているのは事実と思います」
まだ、見極める必要があると伝えると、一応”あの方”も納得してくれたらしく、引き続き報告を頼む。という、言葉と共に通話が切れた、
「はぁ……」
ドッ……と、肩の力が抜ける。
基地に戻り今に至る。
「お疲れ様です、指揮官」
M4が待ち合わせしていた食堂で私の目の前にやってきた。
「お疲れ様、M4。昨日は大活躍だったな。まさか、あんなにすごいなんて……いや、すまない忘れてくれ」
ユーリは顔を伏せた。
どうであれ、最後はM4A1に任せきりにした自分が他人事のように褒めてはいけないと思ったから。
「……いえ。私は、あなたの力になりたいと……思っていただけですから。だって、あなたは私を初めて……」
「初めて?」
M4A1が口をつぐんでしまったので、聞いてみた。
だけど、M4A1はぶんぶんと頭を振ってしまった。
「そ、それよりも指揮官、データはどうでしたか?」
「え?データ?あ、ああ。昨日のか、あのデータは大当たりだ」
端末を取り出して机に置く
「君の部隊が残してくれた通信コードとこれからの逃走ルートの座標が乗っていた。中々難しい暗号で、残していたんだな」
そう言って、M4A1にマップを見せた。
M4A1はそのマップを食い入る様に見つめた…
「もう、ヘリアンさんに伝えてある。近いうちに救出作戦が始まるだろうな」
「…ありがとう、ございます。本当に何から何まで…」
M4からこの件で感謝の言葉を聞くのは何度目だろうか?
…だが、感謝をされると言うのは悪い感じではない。
「後、帰り道の事…申し訳ありませんでした。」
「あぁ…あの事か…」
ヘリが来るまで帰り道に待ち惚けを食っていたら、救難要請を受信したのでM4が躊躇いもなく助けに言ったのでついていく事にした。
だが、救援要請は嘘っぱち。
補給物資をかすめ取ろうとした山賊だった。
助けに行ったときに、すぐ銃撃を喰らってしまった。
M4は何が起きたのか飲み込めておらず呆然と立ち尽くしていた…。
そんなM4の手首を掴み走って、逃げた、走って、走ってようやくヘリポート辺りに着いた時にやっと、M4は事態が飲み込めた様だった。
そして、ヘリに乗った時に変な水音を感じて足元を見たら、腕から出血して血溜まりが出来ていた。
「痛った……」
思わず溜息が出る。
これは明日から痛むのだろうなぁと思いつつ、さっきまで、"眠かったから、寝ようとなんて考える"ことがどれだけ危ない事をしようとしているのか理解してしまったところだ。
「指、揮官…?」
M4も私の様態に気づいてくれた様で急いで医療セットで応急処置をしてくれた…までは良かったのだが、
「あ、おい!M4!!先に消毒しないと…!!」
「あ、え!?ご、ごめんなさい!!」
M4は消毒を忘れしまって、いきなり銃弾を食らった所に止血しようとしたり、
「ばっ、馬鹿!!弾を抜こうとするな!この弾が出血を食い止めてるんだぞ!?」
「え?」
「ギャアッ!!!!!」
私が言うよりも早くM4が銃弾を取り出してしまっていた、しかも指で。
そのお陰で私はヘリの中で治療という名の拷問を受ける事になった。
「あぁ……まぁ、間違えや失敗なんてよくある事だから、今回は気にしなくていいよ。大切なのはそこからどうやって自分の力に還元できるか、だからね」
まだ痛むのは変わらないが。
「…すみません、ありがとうございます…」
おずおずと頭を下げていたM4の方をポンと叩き、気にするなというジェスチャーを送った。
午後10時
「M4……」
「…ブツブツ」
「(怖い!)」
先程の会話の後なんだか追い詰めた様な雰囲気がM4から醸し出されていたので、心配に思い、帰りにM4の部屋に寄ったら、案の定1人体育座りで暗い顔をして、何かしらの言葉を復唱していた。
「ど、どうかした?」
と言って隣に座り込んで見る、何も言わなかったがスペースを空けてくれたので、同じ高さまで腰を下ろして話しかける……
「…あの時の住民は助けるべきでした、グリフィンの大義のために…」
「そうか…」
ふむ、大義としてか……
だから、いじめも我慢していたのか?
「……そうか、それなら今までいじめてきたやつも大義の為にやっていたのかい……?」
「そんなわけ!!」
お前に何がわかる!?と言いたげな怖い表情をM4が見せたが目には少し悲しみの色を浮かべた。
「少し…昔話をしよう」
M4の表情が沈んだものから少し立ち直りこちらに目を向けてくる。
「とある軍人達が司令部の命令で、不法に居座る連中を救助する為に化け物の群れに飛び込んだ……」
あの日はそう…よく晴れてた、そしてよく暑かった…
「1人……また1人悲鳴と共に仲間が殺されるのを無線越しで聴きながらも軍人達は必死になって、そいつらを救った……」
仲間の悲鳴……M4が少し不思議がった表情をした私は今どんな顔になっているのだろうか?
「助けた連中からの声は感謝ではなく、こちらの武器によって発生した損害による憎しみの声だ。ふざけるな、思ったはずだろう……アイツらは勝手に離れた連中でしかも補給物資も盗む連中だ……今更な救助要請までしやがって……てね」
情けない愚痴を並べた後、少し無理に笑った。
「君の事が分かる……とはまだ、いや、これからも言えないかもしれない……でも、君が嫌な思いをしたら君の味方になってあげたいと私は思うんだ……」
M4はしばらく黙っていて、その後に
「貴方に家族はいらっしゃいますか……?」
M4から家族の質問をされた…
恐らく、今一番自分が気にかけたい存在を知りたいのだろうか?
「……いるよ」
「そうですか……やはり大切ですか?」
「……私はそうだ、家族がどう思うか、分からないけど……」
家族の形も様々なのだ……
それからM4と私で話をした、例えば趣味の話や、好みのアタッチメント、ちょっとした昔話と…たくさんのことを。
話を聞いている時のM4は真剣な目つきで私を見て、話をしている時のM4はなるべく理解してもらおう、細かいところまで話していた。
「M4……」
お話も終わり、どこにぶつければ良いかわからないM4の怒りも冷めていった時に私はM4に語りかけた。
「家族に会えないのはやっぱり怖いかい?」
彼女ははい、と迷いなく答えた。
そうだろう。
やっぱり、頼りになる人がいない時間は……恐怖で押し潰されてしまいそうだろう。
「……!」
「…」
震える手を両手で握る強くではなく優しく……握った彼女手は冷たかった……。
「君の事は私はまだ理解できていない……でも、君が怖いと言うのなら私はその間君と一緒にいるよ」
「…!…ありがとう」
ポタリと雫が拳に落ちたのを感じ、冷たい手が温かくなるのを感じる…そうか、私の手の体温が彼女に移ったのか。
それから、M4は眠るまで私の手を握り続けていた…。
午前5時
『起床時刻です』
「ん…あ、あぁ…って…!?」
「すぅ…すぅ」
朝、目覚ましアラームが鳴り瞼を開いた時に隣にM4が寄りかかっていた。
どうやら、彼女が眠るまで手を握るつもりが彼女が眠るタイミングで自分も眠ってしまったらしい。
「……うーん」
さて、本当に困った。今ここでそっとM4の隣を離れ部屋から出ようとしても、今M4が私に寄りかかっているので離れたらM4の頭が重力で床にぶつかり目を覚ましてしまうだろう、
というか、そもそも手をこちらから握っているとは言えど、その状況は片方の手を片手で私が握り、その手を空いた片手で握られ、その上に私がM4の手を握っているのだ。
…何となくだが、私がここで手を離してしまったら、それでこそ起きてしまう予感がする。
さて、ここからが問題だが、ここグリフィンにいる、職員方はたかが、人形の部屋に指揮官がいて何か、問題でもあるのか?
法的には存在しない、うん多分。そういう目的で作られている人形もいるくらいだし、そうなんだろう。
しかし、それに抵抗してはいけないという法律も無い。
昔、正規軍で働いていた時に女型の軍用人形にセクハラした同僚がセクハラされた側の人形に蹴り飛ばされた過去を思い出した…ヤバいなこれは
「…よし」
出した結論…それは、
まずはゆっくりと慎重に手を離して手を使えるようにする、そして、その場から離れた時に落ちてぶつからないないように優しく下ろす…
これなら上手くいくはず……
「…?」
「…ん?え、あ、あぁ…」
なんて考えたのが間違いだ。
終わった…そんな事考える間にM4が起きてしまった…さて、どうするべき脳内で色々物議をして出たは結論は……
「おはよう…あと、ごめんね?」
「…?」
朝の挨拶は欠かさずして、そして素直に謝る。こうすれば相手もこちらの事を悪気はなかった分かってくれるはず…。
「ふみゅ…」
「ん、え?」
起きたと思ったらいきなり、M4が私に抱きついてきた
「ど、どうしたんだ…」
おずおず私はM4に語りかける、まさかとは思うが…
「…しょっぷつー、だっこはあとでねー…」
「まさか…」
まさか、寝ぼけてる…?
「M4…?」
「しかたないわね…」
突然、M4が私に寄りかかる
「ぎゅー!」
「いや、それはやめ、はなせぇー!!!!M4おおおぉー!!」
そして私は力強く抱きしめられた…
人形の腕力で抱きしめられた、その一撃はアームロックをされる様な力を誇る…やばい
「…ごめんなさい。」
「…いや、こっちこそ悪かった。早めに君の部屋を出るべきだったよ」
「そうですよ?指揮官様、女の子の部屋にずけずけ上がるから、そうなるんです」
5分程経ってM4が寝ぼけている状態から私の悲鳴で目を覚まして、自分のやった事を謝っていた。
一応、カリーナの言う通り、本人の了承も得ないで部屋で寝てしまった自分が悪いのだが…
「で、カリーナ久しぶり…休日は何してたんだい?」
「私ですか?フフン、プライバシーを切り売りする事は致しませんわ」
正直、休日はM4の事に付き合っていたのだが、どう使えば良いかは分からず、先に働いていたであろうカリーナの話を参考にしたかったのが本音である。
まぁ、断られるのはわかっていたが、
「へぇ、指揮官様はこちらで働く前は色々な所を転々していたんですね。」
「あぁ、まあ。根無し草と変わらないよ」
私とM4そして、今度はカリーナも来たので3人で朝食をとる事にした、食事中に昔何をしていたのかと、聞かれたので掻い摘んで過去を話した。
それを聞いたカリーナは興味を引いたようで、質問を増やしてきた、M4も言葉にこそ出さなかったが食事の手を止めて、自分の話を興味津々で聞いていた。
だが、まぁ場合にもよるが自分の話に興味を持ってくれるのは悪い話ではない、と私は思う。
「お疲れだ、指揮官。作戦は無事終了したようだな。」
M4と食事を取った後、まだ着慣れないグリフィンの制服を着てヘリアンさんの報告を受ける。
「ここに来る途中で前回の作戦報告書を受け取った。まず初めに、エクスキューショナーを仕留めて管轄内の鉄血部隊を徹底的に殲滅したこと、これは賞賛に値するぞ。」
M4と色々とコミニュケーションを取っていた事を懐かしく感じるが私とM4が出会ってまだ、1週間も経っていない事実には我ながら驚いている。
…おっと、感傷に浸っているわけにも行かないなヘリアンさんの話を聞かなければ…
「それに加えて、M4A1を無事回収しそのコピーしたメモリーを無事本部へ送り届けたこともだ」
しかし、あそこまで鉄血に追われてしまうメモリーとは一体なんなのだろうか?
M4に少し聞いてみたら、
「メモリーは機密保持の為グリフィンから抜き取られています…」
と記憶の欠落こそ発生していないが、中身の事は何も知らないと答えられた。
まぁ、自分が知るべきではない事なのだろう。
「今は君からもらったデータの解析を急いでる。そして今、」
ヘリアンさん眼がいつもより真面目なものに変わる
「我々は戦線を大幅に広げ、鉄血勢力を徹底的に駆除する必要に迫られている」
鉄血の勢力範囲は拡大している、これからのグリフィンの宿敵は鉄血になるだろうか。
「君がM4A1を助けたときと同じ協定の制約があって、グリフィンは今回の作戦に主力部隊を投入できない」
富裕層も自分の利益を守るのに必死だ。
理由は最近話題なった、ある”思想”のせいだろう。
そもそも、こちらに人形を渡してくれればもう少し柔軟かつ、スピーディーに動けたと思うが……今となっては、隠れていじめられるリスクを減らせる分、ある意味メリットになっているかもしれない。
「だからこそ、今回は貴官に、この地区の道を切り開いてもらう、今後の作戦のためにもな」
「わかりました」
2時間後、戦線にて…
<反応を確認できるのはここで最後です>
「ありがとう、これから制圧に入る」
<お気をつけて>
偵察ドローンから、送られてきた情報をカリーナから無線で教えてもらう、どうやら彼女オペレーターとしての才能も高いようだ。
最後はここら辺か、と考えながら今日グリフィンから支給されたカラシニコフ第四世代アサルトライフルAK-102のストックを近接戦闘の不意打ちの対策と畳んだ、発砲したことこそないが、同様のコンセプトのAK-107を訓練で使ったことがあるからどうにかはなるだろう。
「ドアに注意しておけよ…」
「了解…」
よりコンパクトな武器を持つ自分が先頭を歩きその後ろをM4が付いてきた。
「…!!」
右腕をあげて止まれの合図をだす。
理由は曲がり角から銃身がチラリと見えたからだ
「…わざとだな」
こんな、見計らったようなタイミング銃身を見せるという事は失敗を装い、裏を取ろうとするルートに鉄血兵が潜んでいるだろう。
「向こうに敵…手榴弾を使用する」
後ろにいたM4が構えた姿勢から素早く移動する為に銃を上に上げてコンパクトな体制をとる。
「投げるぞ?…準備は?」
「いつでも」
ドアの開いた隙間から手榴弾のピンを力一杯引き抜く、
「…っ」
ピンを抜いた瞬間腕に激痛が走る。やはり、昨日の治療の痛みが腕に響いたか…
それでも、ピンは抜けた。後は適切なタイミングまでチャージして、
「…手榴だ…」
曲がり角の奥に向けてに投げ込む、手榴弾がコンと曲がり角に飛んでいきら反応するまでも無く手榴弾が爆発した。
衝撃と内部の破片が鉄血兵を襲う、気づいていた時にはもう爆発なのでほとんどクリーンヒットだろう…
爆発したのを確認し曲がり角をクリアリングしながら曲がる。
そこには、腕がひきちぎられたり、破片であちこちに刺さっているのが転がっている
「…う、あ」
鉄血の人形が落ちていた銃を拾おうとするが
起き上がろうとした兵にM4がトドメをさした。
手榴弾の爆発を聞いて鉄血の兵士がやって来る音がした。
この人数は確認の時に来るだけなら多すぎる、これで最後だろう。
私はM4に指示してすぐ近くの部屋に隠れるように指示を出した
程なくして鉄血の兵隊が現れる、
周りの惨状に呆気に取られていた兵士達だが、ふとその内の何かに気づき拾い上げた。
「…?」
それは携帯端末だった…その画面にはLIVEという文字が映し出されており。
「マヌケめ、よし……やるぞ」
「はい」
突然、隣の部屋から銃弾が壁越しから放たれて、突然の事で身動きが取れなかった兵士達は瞬く間に殲滅された。
「いい戦法だろ?」
「…えぇ、良い作戦だと思います。」
やった事は簡単だ、私の端末とM4の端末のアドレスを共有して、端末の録画と中継機能を活用すれば。
即席の監視カメラの完成だ、後は自分達の隠れて絶好の機会になったら奇襲すれば良い。
この作戦を話してたら、M4が思わず「すごい…」と言われてしまった。
大したことをした覚えはない。少し考えれば、簡単な工夫なのだが、そういう工夫する考えが浮かぶ事がすごかったのだろうか?
今回、倒す分の鉄血兵が潜んでいると思われた施設は想像よりも暗かった…
こんな時にライトがあれば、相手をおびき寄せたり、部屋の中を確認する事も出来るのだが…
ピガニティーレールがないのが悔やまれる、仕方ない、この戦いが終わったら、出費がかさむが追加でAKにつけられるマウントレールを買おう。
照準器やライトなどはもともと持っていた、私物で補えるかもしれない。
「これで、事前情報でわかる限りの敵は殲滅か…」
「そうですね…」
あまり、手応えを感じない…こいつらは斥候だな、つまりは次からが本番…か。
戦闘終了後、誰もいない司令部の隅っこで…ユーリとM4A1は中継器を設置していた。
「よし、今の内だ。今なら鉄血にも気づかれないだろう。もちろん、グリフィンがにもな」
「感謝します。AR小隊…こちらM4A1、誰か聞いているのなら応答を。」
この基地の人員は3人しかいないはずだが、何故だか自分達の基地以外のメンバーもこちらの基地に出入りしている。
何かがあったのだろうと推測し、念の為なるべく人気の少ない場所で昨日手に入れた通信コードを使用してみる事にした。
<いいタイミングだな、M4。あと1分遅かったら繋がらなかったぞ。>
こちらから送った通信に反応が来た、端末上に映像が送られていない…音声か。
「M16姉さん!そちらの状況は?」
やっと聞き慣れた声にホッとしたのか、M4の声がいつもより少し高い。
<近くに鉄血が数体いる。もう少ししたら通信を切るぞ。>
繋がったのは良かったが悪いタイミングで掛けてしまったのかもしれない。
「じゃあ手短に。私は無事助け出され、今はある指揮官の元に居ます、私たちの部隊が前線の近くにいるので、いつでも応援に行けます。M16姉さん、AR小隊の状況は?」
<後ろの敵を抑えているときにはぐれてしまった。この前連絡したときはまだ無事だったが…コードは渡しておく、M4A1。私に構わず、まずAR-15とSOP IIを探せ>
チラリと私を見る、私はまだ見られていないとジェスチャーを送った。
<それと、私から聞きたいんだが……そのグリフィンの指揮官は信用できるのか?>
「ええ、私の命を懸けてもいい」
<……分かった。そこまで言うなら、私も信じよう。……すまん、奴らがやって来た。話はまたあとだ。大丈夫、また会えるさ。>
「…了解。M16姉さんも気をつけてくださいね。」
無線が切られてた後すぐに、3種類のコードが送られてきた、恐らく1つは自分の、残る2人は姉妹達のコードになるだろうか?
「やったな…」
「…はい」
これから、自分の姉がどうなるだろうと不安を感じているのか声がいつもより小さいものになっていたが、これまでやってきた事が無駄ではない事を知って表情を少し緩ませている。
しかし、まさか私が命を懸けてくれるまで信頼をしてくれるなんて、幸先がいいと思う反面、プレッシャーを感じてしまった。
「…そろそろ、食事にしようか、腹が減ってはなんとやらさ」
「…分かりました、私もこれからの戦闘では万全を維持して望みたいです」
「そうか…それで?今日は何を食おうか?」
「そうですね…私は、」
これから食べるもの、そして予定を話しながら私達は基地に戻った。
次の日
午前11時
作戦区域にて
タタン!!
ガシガシッ!
大戦時の跡が色濃く残る地下街の中で買い物するには不釣り合いな音が鳴り響く
「反撃ありません…クリアです」
「…OK、それじゃあ前進しよう」
カツンカツンとM4の鋼鉄のブーツが地下街に響く、踵から足をつけて歩いているようだが、音を包み込むような構造では音が鳴り響くのだろうか…
地下街に特別な用があるわけでは無いのだが、様々なルートを通れるかどうかの検証の為に抜け道に慣れそうな所を回っている所だ、探索をしているとふとある場所が目に付いた
「この中を調べてみよう」
「マーケット、ですか?」
「あぁ」
もしかしたら、アレが手に入るかもしれない
「見つけた」
マーケットを物色して、家庭用品の棚からあるものを見つけてM4を呼んだ。
「そいつをこのボトルの中に入れてくれるかい」
そう言って、私はM4に紙のボトルと先程見つけた物を見せる。
「…洗剤?」
「ああ」
「洗濯でもされるんですか?指揮官」
まぁ、洗剤と言えば洗濯が正しいだろう…だが、他にも洗剤には面白い使い方もある。
マーケットに持ち出した分の商品の金額をカウンターおいて、店を出た後、
ユーリは洗剤を紙のボトルに手分けして8本程の分量で剤で満たし、バッグに入れ、地下街を出た。
成果はそこにたむろしていた鉄血2分隊程の排除と地上から地下街に逃げ込める4箇所の裏口と洗剤を入れた紙のボトル…あぁ、いけないいけない、この携帯電話とそれに対応できるケーブルの事も忘れていた。
その後、交戦は出来るだけ避け、慎重に回る事にした。
今回の部隊が本番だとしたら、なるべく司令部に近い道路や施設はなるべく取られないようにしなければならないだろう。
その為の"仕込み"も兼ねて今回、いや…しばらくは慎重に動いた方が良いだろう。
そして現在、鉄血部隊の先遣隊と思われる部隊の側面に回り込んでいる
「敵は8人…内、半分はシールド持ちだ」
「確認しました、どうします?」
ドローンカメラから敵の装備とモデルを割り出してその結果をM4に送る。
「…M4はどうする?」
M4には特別なモジュールが取り付けられているらしく、指揮官いなくても短時間なら指揮を行えると聞いた、ここでしくじったとしてもやる事は結局変わらないので、ここは戦術指揮がM4の意見を聞いてみようと思ったのだ」
「…私は、そうですね。まずはシールドをたたいてから、残りを倒します」
「…ふむ」
思っていた以上にセオリー通りの戦術だった事に逆に驚いた、やはり、特別な人形だからといって特別な事を期待するのは私の悪い癖だ。
「…よし、それで行こう。タイミングは?」
「盾の側面が見えるタイミングから攻撃しましょう、それまでに見つからないようにする為に…うーん」
思っていた以上に遮蔽物がない事に気付きM4は困っていた、しかしあまりモタモタしている時間はない今すぐにでも鉄血の先遣隊が迫っているのだ。
「この木の上に登るのはどうだ?」
「え?」
大体の状況では物音がしない限りは上を見ない、なぜなら人は空を飛べないから。
だからこそ、木の上に登る戦術はこういう遮蔽物が少なく、遮蔽物があったら入念に調べようする山岳戦にはこういう高度をとる戦法それなりに有効である
<来ました、準備は?>
「いつでもいいぞ」
射線を塞いだり、飛んだ薬莢が顔に当たるのを防ぐ為に私達は別々の木の上に登っている
<鉄血の分隊が通り過ぎたら、私が右のシールド兵を背後から攻撃します、指揮官は左のシールド兵を>
「OK、わかった」
<私が撃ったら合図です>
昨日、カリーナの店で買ったAK系の銃に取り付けられるマウントレールを装着した所に乗せた、ダットサイトのレクティルを鉄血の兵士に合わせる…
ホント、カリーナの店はなんでも揃っているな…
鉄血の兵士達がこちらの下を通り過ぎる…
「…?」
1人の鉄血兵が上を見たその地点には私がいる…バレたか…?
「…」
兵士はしばらく木を見ていたが何もないと思ってくれたらしく、そのまま視線を前に戻した。
危なかった…思わず、トリガーを引くか悩んでしまった。
鉄血兵達が通り過ぎる、そのタイミングで、M4がフルオートでシールド兵をシールドが装備されていない背後から攻撃した合図だ。
セミオートで引き金を引きながらM4のサプレッサーの抑えた音に私も追従する様にAK-102を撃つ。
1発1発、胴体に的確に銃弾を撃ち込む…
私が今、フルオートではなくセミオートで打っているのは、マズルフラッシュを抑制するためのバレルを装着していないため、マズルフラッシュが眩しいからだ。
まるでカメラのフラッシュを浴びる時のように、それをフルオート撃つと全く視界を確保できやしない、だからいま、フルオートではなくセミオートなのだ。
「…グッギ…!!」
今、放った銃弾が鉄血のシールド兵を仕留めた残る4人もこちらに反撃しようと、制圧射撃をしているが、後方ばっかりに攻撃している為、上にいるこちらには全く銃口が向けられてすらいない。
1人、また1人敵を倒し、最後の1人もM4の一撃に倒された。
「クリア」
<了解…>
敵の銃弾が来ないのを確認した後、私達は木を降りて、別の場所に移動する事にした。
最初の奇襲時にこそ気づかれなかったが、もし本隊に気づかれたら、この辺りを隈なく探してくるだろう、そうされたら木の上にいても後で見つかってしまうだろう。
「来たな…」
林を歩いて、10分後、1時間ほど前から監視カメラを見ていたカリーナから鉄血大部隊が来ると言う、連絡が入った。
報告に来た敵の情報元にマップを形成して、敵の予想地点を割り出す…
よし、"アレ"が使えるな…
鉄血の本隊が来るであろう予想地点でM4と一緒に迎撃態勢をとる。
今、端末を介して鉄血の行動を監視している。
…数はおよそ60から70多めの小隊規模だな。
奴らが"仕掛け"の1つに近づいたか…そろそろだな、
「たっぷり喰らいな」
携帯電話をかけるそれは仕掛けにつけたあった電話にかかり……勢いよく火柱が上がり一直線火柱が駆け出した、無論その付近にいた小隊規模の鉄血兵はみんな丸焼きになったに違いない。
「こ、これは!?」
こちらからも確認できるほどの大規模な火柱はM4を驚かせるように燃え広がっていた
「ナパームだよ、洗剤を使ったね」
「…洗剤?」
火柱から上がる炎を見つめながら、私は呟いた。
第三次世界大戦になると国々は軍事を優先するようになりマーケットなどに出回る商品の質が下がりだした。
洗剤も例外ではなく、本来なら燃えないよう工夫が施されるがそれも怠るようになり、洗濯液が原因の火災が発生した事もある。
今回はその燃えてしまう洗剤に目をつけた。
IEDという即席爆弾と組み合わせれば今回の鉄血を纏めて吹き飛ばせるだろう、とな
紙パックを使用したのも爆発した時に燃え広がるのをなるべく阻害しないようにする為だ。
だが、今回の爆発を見て本当に木々がない、旧市街の辺りで使って良かった、ともし森の中で使用したら辺り一面火の海になっていたのかもしれない…次は気をつけないと。
ともあれ、今回で敵は殲滅できた筈…最後の確認をして、報告をしないと、
<指揮官様!!>
カリーナから無線が入る…
<前方から敵部隊の分隊規模の兵士が来ます!!早い!!およそ、20秒後に接敵します!!>
なんだと?生き残りいるとわかっていたが、そんなスピードで来れるのハイエンドくらいだ、まさか…!?
まさか、と思いながら銃を構えるとそいつがやってきた…
「ローエンド!?…だが」
二脚の歩行型ロボットに乗っている4体の個体を確認した、どいつも同じ顔だ、ローエンドタイプ量産型であるのは間違いないだろう
…だがコイツは初めて見る、新型か?
「…早いな!?いや、考えるのは後だな。」
歩行ロボットからの射撃が放たれ、腰のポーチをシュッとかすめるこれが自分の脇腹だったらとは考えたくもない。
反撃の5.56ミリ弾をセミオートで2発撃つが…
「早い!クソ!!」
素早く横にジャンプ移動して攻撃をかわしながら、銃撃をしてきた、あのジャンプのラグは不規則で着地した瞬間を狩るのは難しいな…だが
「M4!無事か!?」
近くのスクラップ同然になったダンプカーの後ろに隠れて近くにいるであろうM4に呼びかける。
「大丈夫です。でも…少し、厳しい、状況です…」
M4の声がする所から、彼女を見つけた…M4が隠れているのは台車の下だ。
下手したらぺしゃんこされてしまう。
すかさずM4を狙う新型をフルオート射撃で追い払う。
追い払ったタイムラグを狙って、M4A1が追撃を入れた。
追撃の弾丸は一体に命中して機能停止した。
残り3体か…
ブォン!とジャンプした歩行ロボットが私のところにいる、ダンプカーのバンパーに着地したフロントガラスが割れた。
そして、銃口を向けようとした瞬間。
「…!?」
ズボッと歩行ロボットの足がバンパーにあった穴にはまっていた、ちなみにこの穴は今、ジャンプの着地の際に発生したものである。
「…!!」
よく見たら、足も折れ曲がっている…あんなスピードで動き回れば、細い軸足も強い衝撃になるし、ダンプカーとはいえ、老朽化が進んでいる。
「惜しかったな!!」
私の声にハッとした鉄血兵がこちらを向いた瞬間にヘッドショット、乗っていた鉄血兵はハンドルから手を離して、バンパーから転がり落ちた。
「…」
その頃、M4も台車から飛び出して別の遮蔽物に隠れていた。
遮蔽物から銃とそれを握る手だけを出して反撃する、弾丸が当たったかは分からない、だが反撃しなければやられてしまう。
歩行ロボットが突進してくる、M4は射撃を中断、仰向けになり身体を出さないようにに寝転がった。
歩行ロボットが壁ごと遮蔽物を蹴り飛ばし、突き破った瞬間……
「このタイミングなら…!!」
突き破った事により、移動速度が大幅に減衰した、このタイミングなら、当たる!
撃つなら、今しかない!!
待ちわびた絶好のチャンスは逃がさないと言わんばかりに自分のM4A1を撃ちまくる。
至近距離、しかもフルオートでの連続発射をされた鉄血兵にもはや抗う術はなかった。
そのまま、銃弾の嵐にただ散らされるだけだ。
残り1体。
最後の鉄血兵はこれ以上のやられて我慢ならないと思ったか、それともせめて自分を殺せないと意味がないと思ったのか、こちらにロボットを降り突撃してくる。
予め、ロボットの所に仕込んでいたのだろうか?
小型のピストル型の武器をこちらに撃ってくる、すかさずダンプカーに隠れる。
そのタイミングを逃すまいと素早く、至近距離まで接近
「(…思い切りがいいな)」
逃げられはしない、このまま腰だめで反撃を試みる、だが敵がオーバー気味に角を曲がったので攻撃は外れる、
「……!!」
ナイフが喉元を目掛けて、襲いかかる。
拳銃では、引き抜くタイミングで切られる、ライフルは長すぎる。
「…素早い!」
胸につけていたベンチメイドナイフを順手で構えて敵のナイフと鍔をぶつけ合う。
絶好のタイミングでこちらも切り掛かったようだが、運が悪かったらしい首を狩る前に防がれた。
「……」
相手が素早く下がり、ナイフを構え直す、こちらもナイフを順手から逆手に持ち直す。
敵が飛びかかる、その動きに合わせるようにスライディング、
浮いているため、身動きを取れないその体を私の持っていたナイフが首元から足元まで、切り裂いた。
「…アッ!?」
勝負は一瞬だがスライディングするのは少し危険だった、もしM4が援護してくれると思って射線を確保するためにスライディングしてを選んだが、
もしM4が援護出来るような状況では無かったら、奴が飛びかからなかったら…だが、私は賭けに勝った。
「…惜しかったな」
もう、動くことはないと思ったが、念の為だ、頭に1発撃ってトドメを刺した。
<お二人とも無事ですか?>
「えぇ…どうにか」
カリーナからの無線にM4が返事した、M4と合流した後、迎えのヘリが来るまでその地面に2人で仰向けに倒れこんだ。
「なんとか、生き延びたな……」
「はい……」
あちこちから、吹き出る汗を拭う…予想外な事態はあったがまた、2人…いや、3人で乗り越えることはできた。
ちらりとM4を見る、M4は安堵からくる笑顔を見せていた…
明日から、いや、帰ってから、どうしようかな?
まずはシャワー浴びてその後、報告書書いて…この後のことを色々考えていたら、M4A1の持っている無線が何かを拾った。
ヘリからの回収連絡だろうか?
それなら、私の無線に来るはずだ。
無線から、声が聞こえた。
<聞こえますか?M4?こちら、AR-15>