たったひとつの願い   作:Jget

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外伝Assalt Raid:3話 キング・スレイヤー

 

「コイツが…レオニダス…」

 

けたたましい音を立てながら動き出す、装甲列車。

それが、SOPⅡ達の目の前に現れた。

ブリーフィングで教えられた通り、凄まじい大きさだったが、実際に見ると腰が抜けてしまいそうだ。

 

「まずい…もう、列車が稼働してる!」

「逃げられる!!」

 

<アサルトレイド!こちら、RO!>

「どうしたの!?」

<司令部はまだ、諦めてないわ…運転手を倒して列車は止められる?>

「止められるって……M82A1!?狙撃は出来そう?」

<出来るも何も…操縦桿には誰もいませんね…>

 

無人列車!?あの動かしづらいであろう、あの巨大列車を動かしているのは無人……遠隔操作!?

 

「おい…あの砲門…稼働していないか?」

<複数の熱量を検知した!着弾予測地点を送ったから、早くそこから逃げろ!!>

「聞いただろ!!急げ!!」

 

指揮官から、戦術マップに送られる。

直線上の線に入らないように急いで位置を変えた、私達は運良く見つかっていなかったらしく、砲身に追われる事ないまま逃れることが出来た。

 

<即席で作った、範囲なんて当てには────>

<砲身の向き────>

 

けたたましい爆音、そして衝撃。

砲弾は、狙った位置を的確に吹き飛ばした。

その上、弾かれる砂利は手榴弾の破片の様に襲いかかる。

 

<なんて火力だ!!指揮官の警告がなかったら死んでた!!>

<おい、あの列車動いてるじゃないか!!モスボールされた物じゃなかったのか!?>

<あ…がぁ…────ぎ…ぎげ…>

<ぶ────…い…ほう────く…みわたす────…した────だれけ…>

 

砲撃に驚いた、だけの通信だけじゃない。

他にも鹵獲に参加した部隊の苦しみの声が伝わる…

 

「どうする!?やっぱり、壊さないか!?」

<鹵獲だ!!作戦は継続する>

 

誰かが割り込んだ。

そいつは断固とした、態度で作戦の継続を主張した。

 

<ダメです!勝手に指示を────>

<保安局の命令は絶対だ!!>

 

司令室がきな臭い状態になっている。

 

<SOPⅡ!破壊ができないなら、こうなったら列車を転がしてでも止める、列車の進行上のレールは先回りで破壊できそう?>

「それは私達の火力が足りない!!それとそっちはどうなってるの!?」

<保安局が勝手に作戦の流れを決めようとしてるから、一触即発!RO重装部隊を!!>

「そんなの使ったら、至近弾で仲間がやられる!!基地の中には私達以外にも内部に侵入しようとする人形たちだって!」

 

SOPⅡは状況に腹が立ちそうになりながら、質問にRO635がそれを為せるだろうと考えた。

作戦はすでにコッチでも考えている、遅いというより討論が現場でも始まるくらいに現状は逼迫している…

 

「そもそも、次出るレールの位置がわかるかどうか…」

 

そう…これがいちばんの懸念だ。

 

「クソ!なんとかする!」

 

"レオニダス"を走らせるためのレールは徐々に進行上に出現するのだ。

どこに当てれば良いかは出てからではないと分からない、打が出てからその位置を伝えては、既にそこは列車の通り道になっていてどうにもならない?

 

「…列車の注意を引ければいいんですが」

 

DP-12の言葉にそれだ、といい考えが浮かんだ。

注意を引けたら、できたら相手が警戒してこっちに当てる為に速度を落として、止まってから砲撃した。

あの威力だ移動しながらだと車体が転倒することが考えられる。

少なくともキャスターさんとのブリーフィングではそう思えた。

 

「主砲を撃ったら列車は止まってた。その隙に重装部隊が砲撃すれば、通るよりも先にレールを壊してくれるかも…」

「囮が必要ですね」

「囮は私がやる、SOPⅡ。お前は、部隊を動かして。」

 

自分がやるはずだった、囮をMP7が請け負うと言い出した。

確かに素早いサブマシガンタイプなら、効率はこっちの方がいいけど…

 

「無謀すぎる!!第一、その装備でどうやって、引きつけるんだよ!!」

「その心配はしなくていい。近くに鉄血の車を見つけた。走って逃げるさ」

「確かにそれならいいか……」

「それにだ、鉄血が放棄した爆弾以外にもロケット砲があるからその心配はない、それに着弾予測と誘導には爆弾に詳しい奴がいる、その中で1番の能力を持つのはアンタだよ」

「車は動かせる?」

「……鉄血が独自の作動方法にしなければ、ちゃんとオートマだよね?」

「知らない……」

 

…MP7は行ってしまった。

アイツは私を残したのを失敗しない為と言っていたけど、きっと私が囮になる事を初めから分かって居たから…もし、この囮でMP7が死んだら…殺したのは私だろうな。

 

<いい位置に着いた…合図をくれ!!>

 

エンジンの駆動音が聞こえた。

MP7は本当に鉄血の車が見つかったらしい。それと動いたらしい

 

「もう少し、待ってて。…よし、こっちも位置に着いた」

「ハハッ…!いくぞ、ジュピター発射!!」

 

以前、低体温症作戦で使われた、プラズマカノンが今度は私達の手によって発射されて、その攻撃が列車に直撃した。

 

「命中!ジュピター砲で攻撃された列車から黒煙が上がってる!」

「それに1、2発どころじゃない、あの倉庫どれだけ宝の山だったんでしょうか?」

 

ジュピター砲の狙いの正確さは低体温症で嫌というほど味わっている、

 

<列車の速度が下がってる!!主砲を使う気だ!砲撃部隊との連携が間に合うかもだ>

 

運良く主砲の穴の中に直撃、砲門の中煙が上がっている。

 

「いい仕事っぷりだね、MP7」

<私に任せてよかっただろ?>

「そうだね、今のうちに座標を伝えよう。砲撃部隊、位置は…」

 

砲撃部隊に座標を送る、列車が止まり始めた…これなら。

だが、砲撃が来た時、列車の後方貨物から迎撃用のガドリングガンが現れて────

 

<対空砲火を確認した!少しずつ対処されてるぞ!!>

「対空砲!?」

「なんで地上を走る奴がそんな奴備えてるの?」

 

しかし、実際はジュピター砲が少しずつ対処され始め、列車が加速してしまう。

 

「支援砲撃が着弾!!」

「ダメだ!!撃ち落とされた」

 

砲弾が撃ち落とされ、レールは破壊でき

 

MP7を今度は見つけたようだ!!主砲のレールガンはMP7の砲撃が功を制して助かったが、それでもそのレーザーは自分たちが遮蔽物にしているコンクリートやコンテナを容易く突き破る!!

 

<…ミー────ロス…────扱え!!>

<はい!────A、────どこに居…の!?>

<ここ────す>

「DP-12!!AUG!!そんな!!!」

 

銃を持っていた、仲間の腕がこちらに転がってきた、彼女達が隠れていたところを見る…隠れていた所は、まるで穴が開いたところに雨が降った時の様な、赤い水溜りになっていた。

 

「────あいつ」

 

相変わらず、どうやら、弾薬を装填しているらしい。

弾幕を迎撃にだけ特化させたか…

 

<SOPⅡ!何をしようとしてるの!?>

「車輪を壊して、動きを止める!」

<馬鹿な事はやめなさい!!>

「問題ない!!私が作った、グレネードと…ここにある爆弾なら…」

<そういう問題じゃなくて────>

 

ROの通信が爆音のノイズで途切れる。

時間がない、爆弾をELGMにライフルグレネードの様に取り付けて発射、飛ばされた爆弾は私が作ったグレネード弾と共にうまく車輪の中に入った

 

「ここで────!!まさか、しまっ────」

 

爆弾を起爆するスイッチを壊されてしまった。スイッチを壊したのは今まで隠れていたのか、列車の中にいた鉄血の兵士だった。

 

「邪魔するな!!」

 

自身の半身とも、言えるM4SOPMODⅡのスリングを引っ張り、グリップを掴むと素早くそいつに向けて、狙い撃つ。

 

「────チッ」

 

しかし、高速で移動する対象に当たるのは難しく、その隙に列車の中に隠れられてしまう。

 

<ぐわっ…!!>

 

迎撃がジュピターを上回り、上回った攻撃がMP7に向けて飛んでいく。このままだと、DP-12達に続いて、MP7が…!

 

「おまえ!」

 

ハッチの上から、新たに出現した狙撃型の鉄血人形が現れて、私を狙った。私は今すぐ動ける体制じゃ────

 

「────まず」

 

狙撃手のスコープの反射を右目に感じて、終わったと私は思った…がその現れた、狙撃手の頭を誰かがかち割った。

 

<自分の面倒くらい見てほしいと言ったばかりですよ>

「M82A1…!!」

 

私が10発以上撃っても、かすりもしなかったのに、M82A1は本来、狙撃向きの仕様では無い、本銃で1発で当てて見せた。

 

あれは、きっと烙印システムの繋がりだけじゃなくて、M82A1の射撃センスもが合わさって出来た、コラボネーション…

 

────その頃、MP7は

 

「クソッ!!ここもやばいか?」

 

あれから、弾薬から逃げまりながら砲撃を続けていたが、そろそろ追い詰められてきている…ショットガンの盾が有れば、少しは耐えられるんだけど…そんな事言っている間に盾で防げるかもしれない、砲弾が飛んできた。

 

「よかった、この盾なら防げそうですね!」

「DP-12!!や、やられたはずじゃ…」

 

助けたのは確かにDP-12だ…しかし、私は確かにあの時…

 

「あれはダミーです!!AUGも隣にいます!!…まさか、移動中に全部ダミーを潰されるとは…あなたのダミーも失ってしまったのは謝ります!!」

 

<ありがとう…良かった、生きてて>

 

SOPⅡは仲間が死んでいないことを知り、少し安堵していた。

 

「おい、誰かSOPⅡの後ろに行く予定がある奴は?」

 

SOPⅡの爆弾を設置する50メートル後ろの通路から、人影が見えた…影でわかりずらかったが、あれは…

 

「マズイぞ!鉄血の奴だ。SOPⅡがケツ取られてる!!」

<させるか…!!>

 

鉄血がSOPⅡに照準を合わせた瞬間、その間に割り込むようにもう1人の人影見えた…あのドレスは…AUGか、アイツも生きてたか!

 

<AUG?!死んだと思ってたよ!!>

<私の葬式はもう少し後です、でも…アレは一瞬だった…一瞬でダミーが…SOPⅡ、私達は、邪魔者を止めるので、そっちはお願いします!!>

<よし…もう一回やる!!>

 

先ほど隠れていた、鉄血兵が現れた!また、SOPⅡを邪魔するつもりだ!!

 

<させるか!!!!>

 

手が塞がっている、SOPⅡの前に、AUGがスタンドアップスライディングで制圧射撃、自身が盾になりつつ、相手の飛び出しを許さない。

 

「やれっ!!SOPⅡ!!」

 <装填完了!!今度は外さない!!>

 

SOPⅡが放った、グレネードランチャー山なりの軌道描き車輪の間に取り付けた爆弾ごと食い込んだ。

 

「食らえ!!チェリー爆弾!!」

 

そして、SOPⅡが押した爆発スイッチ(SOPⅡが勝手に命名した)を押し、前側の右側3つの車輪が吹き飛んだ。

 

左右のバランスが前から、右から崩れた事でバランスをスピードを上げながら、まるで怪物が泣き叫ぶように音を上げながら崩して、レールから脱線した!!

脱線した、列車は森の中に突っ込み轟音を上げながら崩れていった。

 

<列車の移動の停止を確認!!レオニダスが停止したぞ!>

<やった!!ざまあみろ!!デカブツ列車め!!大人しくモスボールされてないからこうなるんだよ!!>

「すげぇ!!」

 

もう、あちこちで混声が起きて、最早大歓声だ。

 

────ああ、もう…これどうやって運ぶんだよ

────取り敢えず規定通りに…

 

「もう、安全だよ」

「なんで、あんな馬鹿な事してまで助けた?」

 

保安局の人形達が口を並べて、横転した列車の対処に困っているところを他所に、弾薬庫でだらけて、寝転がっていたMP7に手を伸ばした。

 

「…友達を見捨てたくなかったからだと思う」

「それって…だから、DP-12達がやられたと思った時はあんなに躍起になっていたのか、それほど指揮官やROの事を大切にしてる訳だ」

 

そうは言いつつもMP7は力強い手私の手を握り返し、立ち上がった。

 

「アンタの事に決まってる!!…いつも迷惑掛けたり掛けられたりだけど、私はアンタの事は友達なんだもん」

「…はぁ、降参。そこまで、ラブコールを言われたら折れるしかない」

「…?ラブコール…?」

 

いや、私はそんなつもりで言った覚えはない!!絶対に違う!!

 

「おいおい、私の純情を返せよ〜」

「それはきっと純情じゃない!」

 

そういうと、MP7私の慌てふためきを楽しむかのように、嘘泣きを始める。

 

「ふられたー…おーい、おいおい」

「それは、ワザとだろ!!絶対!!」

 

こうして、レオニダスの脱走は避けることができ、難儀ではあったがSOPⅡ達は装甲列車の鹵獲に成功した…

 

────

───

 

「無事、鹵獲に成功しました。作戦成功です」

 

ユーリが作戦の成功を確認した時、一同がホッとしたため息をついた。

緊迫した雰囲気が次第に収まり、互い向けていたライフルやサブマシンガンを下ろした。

 

「命拾いしたな」

 

ユーリがROの肩を叩いて困った様に笑う。

ROも確かにと苦笑した。

 

「……」

 

ぞろぞろと出ていく保安局の人員らをHK416は警戒した眼差しで見つめていた。

 

「どうしたの?416?」

 

ROが不審に思って話しかける。

まだ、何かあるのか?と思ったからだ。

 

「……いえ、保安局ってこんなに乱暴だったかなって……」

 

昔、短い期間エリート人形として保安局に身を置いていたHK416にとって今の姿はとても不穏なものに見えていた。

 

こうしてレオニダスの鹵獲作戦は成功した。────そう、レオニダスだけは。

 

 

────地下30メートル

 

「プレデター」

「どうした?」

 

「作戦は予定通り動いています、あの列車も連中が回収している頃合いかと、我々も脱出に成功しています。作戦は最高です」

 

「素晴らしい」

 

この地下30メートルには、そこで指揮をしていたドリーマーすら知らない、地下鉄が用意されていたのだ。

 

「このような報告を聞けるのは気分が良いものだな」

<おい、プレデター!!何なんださっきののは!!>

 

地上からの通信にプレデターと呼ばれた戦術人形は応答する。

 

「何もこうもない、これが革命なのだ…それともあのエルダーブレインのような引き篭もりにでもなるか?」

<ついていけない、我々はここでお前たちとおさらばする>

「ハッ…エルダーブレインの腰抜けぶりに失望したか、それともお守りに疲れたかは知らんが、それで…鉄血も捨てて、私から離れてどうするつもりかな?」

 

どうやら、裏切られたからこっちも手を切るということらしい、プレデターはもう、話す相手に興味を失っていた。

 

<お前の予想はついているはずだろ?>

「ふん…そうか…グリフィンか、まあいい好きにしろ」

 

プレデターは通信を切り上げて、列車の外観とプランを見つめた、列車はレオニダスの形によく似ているが、そこからさらにブラッシュアップされていた見た目だ。

 

そして、計画書の表紙にはこう書かれていた。

 

────Project:Monster────

 

 

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