たったひとつの願い   作:Jget

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外伝Assalt Raid:7話 コーシャス・スタンス

視点:ユーリ

 

「以上が、こちらで今回の襲撃で得た情報です」

「そうか…ご苦労様。SOPⅡは?」

「状況は思っていたよりも落ち着いてます。ここでの任務はやっていけそうです」

 

SOPⅡ…普通なら褒めて欲しいと犬の様にはしゃいで連絡を寄越すのに…いや、仲間だった存在をこの手にかける経験をしたのにそれを褒めて欲しいとなんて、普通なら辛いに決まっている。

 

「分かった。SOPⅡに話したくなったらいつでも相談に乗ると伝えておいて、あと近いうちにそっちに行けるかもしれない」

「それは…そうですね、助かります。後は、SOPⅡに自分から話しかけると返って傷つける…彼女そういうものですか?」

「そういうものなんだ」

 

ZB-26は少し呆れた様に、溜息をついて通信を切った。近いうちに彼女へのフォローもしておかないとな…それにしても、ZB-26の話にあったフレシアという部隊長…

 

「まさか…とは、思うけど。いや、まだ早まるのは止そう」

 

ZB-26が送ったデータの中には現在の勢力がどの様にひしめき合っているのか通信のログが書かれていた。

 

 

────次の日

 

視点:RO635

 

漸く、作戦のブリーフィングが始まった。あの、列車騒ぎ以降、私達に殆ど仕事が回ってこなかった。

 

いよいよ、仕事をしないと厳しい財政危機にも遭遇しかけているが、一番気になるのはSOPⅡだ、彼女は恐らく自覚こそあるけど、それに伴うスキルがまだ…などと考えているとクラメンがやってきた。

 

「今回はオセチアで入手した情報を元に鉄血が何をかき集めているのか調査する事だ」

「オセチアで入手した、情報の中に鉄血が?しかも、他の街の入っているんですか?」

「その辺りは、MP7達がついてから分かる事だ」

 

MP7…?"お前達"じゃなくて?…まさか、

 

「お前達にはこれから、その情報のあった街で調査をしてもらう」

 

────

───

 

激しい爆発音が木霊する。

人が逃げていく。

 

<状況報告!RO何があったの!?報告しなさい!>

「街中で爆発!それに…武装勢力が街で銃を乱射しています!!」

 

────誰か、応援をよこしてくれ!!

────バスの影に民間人!あの位置じゃ流れ弾に当たる!!

 

横になった体で必死になって、ホルスターからベレッタAPXを引き抜いて、辺りを見回す。

 

「また自爆ベストだ!!

 

────この事態が起きる、80分前

 

「すごいネオンですね。今まで警備をして来た街とは全然違います。これがグリーンゾーン…」

 

DP-12が今回、任務できていた街の様子を素直に驚いていた。

今回の任務の指揮官は前回の列車な話に続き、クラメンだ。

ユーリ指揮官はMP7達と共にオセチアに行きそこでSOPⅡ達の指揮をとってくれるとなら事だ。

 

「そうね、じゃあ改めて作戦を確認しましょう」

 

事前にダウロードした作戦計画のファイルを解凍して展開する。

 

「今回はこの街で潜んでいる鉄血が何をしているかを確かめて、それを突き止める事…どうして、それがグリフィンと縁切り寸前までやらかした奴らが取っておくのかは知らないけど、上はこれが重要だと受け取ったんでしょうね」

 

「交戦規定は?」

「撃たれたら、仲間や民間人に当てない自信があるなら撃っていいですって」

「窮屈な作戦だ」

 

MG36の愚痴は確かにそうだろうと思う。

今は街中だからここのグリフィンの支部にある所で解除してもらわないとトリガーは引けない、だから予め持参している"通常"のハンドガンが頼りなのだ。

 

「なら、先にグリフィンの支部を目指しましょう」

「ええ」

 

10分程して、グリフィンの支部についた。ここは自分達が使っていた所と内装は豪華な装飾があり、イメージ戦略をしているのが伺える。

 

「どちら様の人形ですか?」

「グリフィンのレイドチームのRO635。予約を入れていた、烙印システムの解除をの申請に来ました」

「IDをお願いします」

 

私とMG36はIDチップのドッグタグ、AUGとハニーバジャーはIDカード、DP-12は免許証をそれぞれ提示した。

 

「…はい、皆様異常が無いですね。それでは、武器をお願いします」

「どうぞ」

 

順調な流れで進んでいく、うちの支部のめんどくさそうな係とは大違いだ、今すぐ入れ替えてしまいたい。

 

「ねえ、ROあれ…」

「…」

 

鉄血の格好はしていないが、容姿が鉄血の量産型に酷似している…データベースで照らし合わせてみる…

 

<86%一致>

「当たりよ。クメレンタ、見つけました。鉄血のグループ、被疑者は複数。この場で取り押さえますか?」

<ネガティブ、市民に不安を与えてしまう>

「了解です」

 

だが、追いかけてはいけないとは聞いていない。

 

「今すぐ、やれそうにありませんね…」

「尾行するわ。AUG、この場を任せてもいい?」

「ここが銃撃戦にならない限り、約束しますわ」

「了解」

 

10分ほど、追いかけて…人混みが多い所を抜けた所で彼女達のスカートの下から…

 

「…銃を持ってる」

「…鉄血だしね、もう少し…誘おう」

 

そこから、更に3分程追いかけていると、少し身長には不釣り合いな格好をした男達がやってきた。

 

「人間と接触している…」

「街に溶け込んでいるつもりかしら?」

 

どうやら、この男達と会うのは初めてでは無いらしく、弾んだ会話が聞こえる。

 

「音声を集音できない?」

「やってみるわ」

 

集音機能を上げるために、設定を弄ろうと手を伸ばし────

 

「奴らが来たぞ!同士よ!いけ!!」

「しまった!このっ────」

 

視覚から、現れた男がハニーバジャーに襲い掛かった。

慌てて、ハニーバジャーが取り押さえた。しかし、時既に遅し会話していた男達と鉄血だと思われる人形に気付かれてしまった。

 

「止まりなさい!」

 

止む負えず、DP-12がベレッタAPXを彼女達に向ける。

 

「ちょっ…何するんだよ。人形!」

「撃たれたくなかったら、跪け!」

「あの女達が逃げる!────まて、あれはスイッ」

 

────ドオオオオオン!!

 

直後、2人組の女の1人が自爆した。私達は衝撃で吹き飛ばされる。さらに、その爆発が連鎖する様にあちこちで爆発した。

 

 

「銃!銃よ────!!」

 

銃のホルスターからAPXを引き抜こうとしても中々抜けない!!もう、私はコイツ引き金を引かれたら…もう

 

「RO!」

 

その、撃ち殺そうとした、男よりもはやく、私を助けてくれた人形がいた。

直後、激しい爆発音が木霊する。

人が逃げていく。

 

<状況報告!RO何があったの!?報告しなさい!>

「街中で爆発!それに…武装勢力が街で銃を乱射しています!!」

<なんて事…>

 

────誰か、応援をよこしてくれ!!

────バスの影に民間人!あの位置じゃ流れ弾に当たる!!

 

RO635は横になった体で必死になって、ホルスターからベレッタAPXを引き抜いて、辺りを見回す。

 

「また自爆ベストだ!!」

 

叫びながら、こちらに突進してくる!!

 

「コイツ────!」

「…」

 

しかし、私を助けた彼女は慌ててAPXを構えた私とは違って、冷静に頭を当てて息の根を止めた。

 

「あ、あなたは…」

「PA-15だよ!雇い主が顔忘れちゃダメでしょ?」

「あなただったのが意外だっただけよ」

 

グリップを握り直し、もう一度辺りを見回す。

あちこちで悲鳴や銃撃戦の音が聞こえる。

 

「銃はそれだけ?」

「えぇ、今は烙印システムを解除してもらってる」

「烙印無しのハンドガンでしか戦えないってなると、厳しくなるわね」

 

ハンドガン一丁と呼びマガジン2つ…確かに厳しい状況ね…

 

「AUG、聞こえてる?」

 

<外の悲鳴と怒鳴り声も一緒に聞こえてます。武器ですよね?>

「えぇ、もう烙印システムは解除されてるでしょ!?私達はロータリーにいるからそっちまで早く武器を渡しにきて!」

<分かりました>

 

爆心地から離れて、開けたところに行くとそこはもう阿鼻叫喚だった、武装したグループや鉄血の人形達があちこちで撃ちまくっている。

 

「クソ!アレはAKよ!」

「無差別に撃ってくるわね…」

 

クソ!こっちは拳術一丁なのに!!

 

「どうします?RO!」

「コイツらを止めるに決まってるでしょ!ハニーバジャー、DP-12、MG36でチームを組んで、私はPA-15と行く」

「了解」

 

────避難しろ!走れ!

 

警官も拳銃で応戦している、だがあっちとの武器の火力が違う…

 

「グリフィンです。援護します」

「グリフィンか!なら、あのクソ野郎どもをサッサと殺してこい!」

 

それをする為に、どうして欲しいか聞いているが…いや、突然起きてしまったのだ。

そんな事を聞く方がおかしいか…

 

「了解、目の前の奴から片付けましょう。PA-15。離れないで」

「援護は任せてね!」

 

しかし…ここまでの重装備と上手く奇襲が成功した、という事は随分前からこれは…随分前から計画されていたのか?

 

「…お…が」

<警官がやられた!…私の、私の近くで!>

「責任を感じるのは後よ、それよりも市民の避難を」

 

動揺と責任感を感じたハニーバジャーに淡々と告げているが、それでも同様はしている…だが、その同様を形にしてしまった方が死ぬ確率が高い事も私は身をもって学んでしまった。

 

「ウッ…!危ないところだったわね…」

「あの、本屋から狙われてるわよ。警官も狙われてる、片付けましょう」

 

PA-15が示していたのは灰色のだった、その中に本屋の掲示板も確かにある…そこからの銃声も

 

「よし、行くわよ!」

 

走りながら、腕を伸ばして反動を抑えて引き金を4発分引く、当たったかどうかは定かではないけど、銃撃がこちらに飛んでこなかった様な気もする。

 

本屋がある、建物中に入る…

 

「た、助けて…」

 

まだ人が…!?逃げ遅れか…

 

「シューター!上よ!」

 

PA-15の声の通りに上を向くと、こちらが侵入した物音に気付いて降りてきた鉄血人形が見えた。

 

「死ね!」

 

咄嗟に引き金を引くよりも早く、PA-15が鉄血人形にヘッドショット…私は一発は外れて2発目が当たった。

 

「シューターを倒した!上に上がる!」

 

二階でSKSタイプの銃で狙っている、人間のスナイパーはまだこちらに気づいていない、PA-15と同時に銃を撃ち、スナイパーを倒した。

 

「DP-12…こちらRO、本屋を制圧。スナイパーを倒したわ」

<有難いです>

 

ライフルを取る、銃を使っていたのが人間でよかった、そうでないと私がこのスナイパーライフルを撃てなかったから。

 

「敵のライフルを手に入れたわよ。支援する」

 

本当は敵の銃を使って、敵を倒しては原則いけないのだが、状況が状況だ…仲間の背中を狙う敵から…狙う。

 

<巡査!バスの中にまだ市民が隠れています!>

 

混線している中に紛れた、警察の無線の音声を偶然拾った。

 

「バス…?あれか!まずい!敵が、市民を狙ってる!!」

 

ゼロインもほとんどしていなかったがレティクル真ん中で撃った銃弾は狙っていた、敵兵士を倒した。

 

<隙が出来たぞ!誰だ知らないがいい腕だな!>

「正確な射撃ね。RO!」

「運が良かっただけよ」

 

特に練習もしていないライフルを一発で当てたのだから本当に運がいい。

さて、そろそろ私が敵の狙撃手に間違われてしまう、敵もいない本屋に用はない、そろそろこの店から出よう。

 

────市民に当てるなよ!おい!軍隊や特殊部隊はまだなのか!

────駐屯している軍の即応部隊がこっちに向かっているらしいです!

 

外に戻ると、まだ銃撃は止んでおらず、乾いた音があちこちで響いていた。

 

「奴ら、ショッピングビルに下がっていったわ!」

「追うわよ!」

 

ロータリーには警官以外にもグリフィンの戦術人形が鎮圧に加わっていた。これなら、行けるか…と思っていた矢先。

 

「自爆ベスト!!」

 

目の前を1人の人形がダッシュをして通り過ぎていった…そして、グリフィンの人形や警官達が多くいる場所まで近づいて…

 

「しまっ────」

 

また、自爆した…

あの人形は私に気づかなかった…だから、爆発に巻き込まれなかった…私がもし、早くあの中に合流していたら…

 

「…そんな、嘘でしょ。大丈夫ですか!?RO?」

「えぇ…」

「クラメン司令!こちらハニーバジャー!モール前で自爆ベスト!グリフィンの人形や警官がやられました!」

 

────うぅ…

────あ、あ…

 

爆発された所で、人形や生き残った警官が唸っている。私は比較的重症度が高いモール近くの警官の方によって傷口を抑えた。

 

<…了解した。被疑者はモールに立て篭もっている模様。モールを包囲せよ!>

 

意識を持っている様だが、思考が纏まっていない…よくからない言葉の羅列を並べて、きちんとした喋りになっていない言葉を話していた。

 

「しっかり!意識を手放さないで!!」

「RO!危ない!!」

「────ハッ!?」

 

モールの中に敵がいる事を忘れていた…包囲する私たちに迎撃する為に出てきた敵が鉈を持って襲いかかってきた。

 

「うががああああ!!!」

「うそ!?」

 

その敵は別の誰かが消音された銃声で放たれた弾丸で素早く倒された…

 

「おい、当たってないか?…当たってないな、良かった。彼はメディックに任せておけ」

「た、助かりました…って、貴方は!?」

 

装備がAK-74M3だったから、一瞬分からなかったが近づくにつれてそれが誰だが判る様になった。

 

「なんだ?前に会ったか?」

「私はあの時ダイナゲートになっていたROですよ!」

 

彼は、暫くを見つめて…思い出し声を上げた。

 

「…あー…あー!あの、元の体に戻りたいって嘆いてた黄色のダイナゲート元の体に戻れたんだな」

「お陰様で!また、貴方達に助けられましたね!ヴェルークト!!」

 

 

 

その頃…旧オセチア諸国では、

 

「ここから先が、彼らの武装勢力の縄張りだ」

「根城にしてある病院は縄張りの真ん中にあるんだよね?」

「あぁ、距離は1キロといった所だ」

 

 

視点:M4SOPMODⅡ

 

あれから、しばらくしてここで過ごすうちに彼らのやり方にだんだん馴染んできて、周りもあまり私をよそ者扱いしなくなった。

 

奪還作戦もそれなり進む様になり、あまり元グリフィンの人形を撃たなくても良くなってきて、気が楽になる様な感じもする。

 

「食うか?」

「うん」

 

ハンターから手渡された、腐った果物を抵抗せずこうやって受け取れるくらいには、親交も無自覚に深めていた。

いつも聞く足跡より、少し重い足音が聞こえた。

 

「きたか…」

「今日はお前の友達がやってくるんだったな」

 

会うのが楽しみだよ。

 

「M4SOPMODⅡ?」

「いかにも」

「ターバン似合ってませんよ。隊長」

 

ターバンを外す、冷たい空気が肌を通して感じた。

 

「ここじゃ、顔を見せるのも危険だからね…それに砂が痛いんだ。そういう、あんたはR93?」

「まさしく」

 

覆面マスクから、ピンク色の髪と緑色の瞳が現れた。P93、知ってる顔だ。

 

「で、HK416?アンタも来たんだ」

「ええ、指揮官を守るためにね」

 

それと、普段は普段着のグリフィンの服装でくると思っていたHK416は民間に流れたマルチカム迷彩のレプリカとプレートキャリアと完全武装だ。

 

「離脱した鉄血とはあんた?」

「ああ」

 

他にも、2小隊規模の人形達も見えてきた。

今回は元グリフィンの人形が残した日記にも書かれていた、"テロリスト"と呼ばれる武装勢力の一掃する作戦だ。

間に合わせるように頼んだ甲斐があったらしい。

 

「列車の件は助かったとクラメン司令官からの伝言よ」

「気にするな、こっちも悩みの種だった」

「本当?」

 

形式的なやりとりが行われて、そろそろ時間になったので、ハンターが仲間からの通信を受け取った。

 

「それじゃあ、私は持ち場に戻る」

「頑張ってね」

「本当に鉄血が手を組んだんだな。人間と」

「あぁ、MP7。いたなら早くいってよ、やっぱり動物の気配は気付きづらいんだね」

 

MP7もどこからか、私の目の前に現れた…その近くにはP22やACRがいた。多分、2人と話していたのかな?

 

「黙れ馬鹿SOP。それよりお前にサプライズだぞ」

「サプライズ…?」

 

ここ以上にサプライズの状況はないだろうに。

 

「やぁ、SOPⅡ」

「え」

 

肩を軽く叩かれて、振り向くと指揮官がいた。

 

「話すとややこしいけど、要約すれば…クラメン司令が私をここに送りつけてきた」

「そうですか!?」

 

悔しいがサプライズは本当のようだ。確かに嬉しいけど、こういうのは…予め…いや、私を信頼していないなら…

 

「大丈夫?」

「あ…え、は、はい!」

 

指揮官に動揺を見せるべきじゃない。私はもう、この人形たちの隊長なんだ。しっかりしないと…

腕時計をみる、そろそろ…時間だ。

 

「アサルトチーム!仕事の時間だよ!」

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