「アサルトチーム!仕事の時間だよ!」
視点:HK416
SOPⅡが先導して、ACRとP22が続きその後ろについていくように他のメンバーもゆっくり前進した。
「ここはどこにいても狙われる最悪の地形だよ…人が入れそうなところは全部気をつけて」
SOPⅡは冗談で言っているつもりはないらしく、本当にしまっている扉や窓が閉まっている建物にも銃口を目紛しくあちこちに向けていた。
「SOPⅡ、久しぶりに狙撃支援してあげますよ」
「ありがと、辺りはクソみたいに敵味方の見分けがつかない…それなは山ほどのトラップ、本当にふざけたところだよ。引き金は確実に敵だと判断できる奴に引く事」
「わかってますよ」
R93は周りの建造物より比較的高いアパートを見つけると、階段を上って行った。
「今回はテロリストなんでしょ、たかがテロリストが私達と戦うなんて馬鹿な奴らね」
「そう言う見方は好きじゃない。あなたもそうでしょ?指揮官?」
「あぁ、どんな相手でも楽勝と考える奴から死んでいく」
「平気平気…心配性なんだ────」
<…うわっ!!>
アパートを登っていた、R93から悲鳴が聞こえ、爆発音が響いた。
「どうしたの!?R93!!」
<へ、平気です…ブービートラップに引っかかる所だった…ふぅ。>
「無事なら良かった、他にもトラップがないか気をつけてね」
早速油断で死にかけた人形が現れた。
<面目ありません…取り敢えず、狙撃地点は確保しました。もう安全です>
部隊に緊張が高まる。
指揮官は動揺してなかったが、ここがたかがテロリストの巣穴だと馬鹿にしていた、街警備をしていた方から駆り出された、人形達は緊張していた。
<アサルトチーム、こちらはスパイダーチーム…>
「"スパイダー"、どこにいるの?」
<こっちは"糸を辿って"本拠地を叩く、ティラノ隊とスペクター隊はもう、始めている。私達は彼らを支援する位置を目指して北上中。予定通り、ガソリンスタンド前で合流しよう>
「了解、SOPⅡアウト」
今のところは、予定通り…
「待って」
SOPⅡが拳を上に上げて、止まれの合図をした。
「罠だ。トリップワイヤー…」
「私が解除する」
SOPⅡが指差しているところを注意して見てみると、かなり細い糸で手榴弾のピンを外れないように縛っているのが理解できた。
「やれそう?…それとも代わる?」
「いや、もう…片づいたわ」
グッと手榴弾の安全装置を握りしめてワイヤーを外した。
「いい手際だね」
「Nicht wirklich(それ程でも無いわ)」
ビュン!と勢いよく、刺さっているところから最初に刺したところに向かって、ワイヤーが戻っていく。
「みんな、トラップは片付いた。前進」
その戻る力で手榴弾のピンを引き抜こうという仕掛けの為、外れないように安全装置を握りしめて、爆発しなかった手榴弾を回収した。
「(死の匂いがする……)」
SOPⅡが再び、先導した…敵の気配は殆どしない…だが、SOPⅡやACR達は神経を張り巡らしているようにも見える…
ユーリもここには幾重にも張り巡らされた死の罠がある様な気がしてならない。
その後も全く敵の姿が見えなかったが、合流地点のガソリンスタンドまで、あと25メートルというところで突然発生した。
「ロケット!ロケットだ!!」
SOPⅡがデータリンクで一つの建物に赤い矢印をその建物の窓から真っ直ぐ光が向かってきた。
鋭い発射音、激しい爆発音、凄まじい爆風が一団を襲う。
それが、SOPⅡの言っていた。ロケットランチャーの砲弾だ。
「くっ!!」
ロケットは私達にそこまで近い距離で着弾したわけでもないのに、全身の関節が引きちぎられそうな感覚を感じる。
「援護を!!」
ACRが一番先に立ち上がり、矢印をつけた建物を狙って、セミオートで精密性を重視せた、制圧射撃をしていた。
「いくよ!スモークグレネード!!」
続いてSOPⅡがFN-ELGMを取り出して、道路の真ん中目掛けて引き金を引く。
発射されたグレネード弾は道路の砂利道に転がり、暫くすると白い煙が、立ち込めだした。
「スモークが奴らの視界を遮っている前に、奴らの視界から姿を消すんだ!」
「移動よ!移動!!」
私は指揮官の指示に従った、煙の壁が私達を守ってくれる時間はそう無い、それは今までの訓練でもよく覚えている。
「────ACR!いけ!!」
「────了解!!」
SOPⅡもACRを先に行かせて、今度は数を重視した制圧射撃する。
敵がたまたま近くに命中した制圧射撃に怯んだその隙に、他の人形達も急いで、ガソリンスタンドから離れた。
「こちら、アサルトリーダー!」
<アサルトリーダー、どうぞ>
「待ち伏せされた。ガソリンスタンドは危険!繰り返す、ガソリンスタンドは危険!」
<了解。お前達の銃声を聞いた直後に私たちも攻撃を受けた、ブルールートで敵本拠地を目指す、そこの入り口で合流しよう!>
「────行け!行け!」
「────屋根の上!屋根の上!」
激しい会話がこだまする。
「────カッ!?くそっ!」
耳元で弾丸が着弾し、隣の石が弾け飛び、HK416の耳を軽く切り裂いた。
耳から人工血液が流れ込む。
弾丸を飛んだ先を見て、射手を見つけ出す。だが、自分の取り付けたエイムポイントの等倍サイトでは当てるのは厳しい、ACOGやELCANの高倍率スコープにしておけばよかった。
「────R93!MGを見つけた!サンドカラーの看板を改造している場所にいる奴!」
近くにマークスマンもいない。
仕方ないので、スナイパーに始末を頼む。
<え?サンドカラーの看板なんて、たくさんありますよ?ああ、あのレーザーですか?>
HK416はレーザーを出していないが、気の利いたヤツがいたらしい。
それを目印に敵を探す。
<────見つけました、武器はMG……命中、キル確定>
当たったらどこに当たろうと、アーマーを着ていようと戦術人形でもおそらく死は免れない、高いストッピングパワーを持つ、".300ウィンチェスター・マグナム"が命中したのだ。キル以外は考えにくい。
回り込んだ所を抜けると、"ブルールート"出た、そこでは鉄血の人形達が今回の敵勢力と激しい銃撃戦を繰り広げていた。
「SOPⅡ!遅かったじゃ無いか!待ちぼうけしてたぞ!」
「悪い。少し、足止めを食らった。攻撃部隊の状況は?」
ハンターが積まれたスクラップを指差した。
「順調…とは言い難い、敵も必死だ。これじゃ殴り合いだ、このままじゃこっちが不利になる」
戦力の逐次投下は数に余裕があってこその戦術だ…その余裕はテリトリーを持つ相手側にある。
「よし、こっちの敵は私達で引き受ける。アンタ達はお得意の"崩し"で攻撃部隊に突破口を開いてあげて」
「分かった。スパイダーチーム、敵は全部グリフィンの部隊に任せろ、奴らのバリケードを崩すぞ!」
鉄血人形達は、ハンターの指示に従い射線を塞がないようにバリケードに近づいていく。
「指揮官からチーム全員へここは根性見せろよ!1人も近づけさせるな!」
「「了解!!」」
────20分後
鉄血達が抑えんこんでいた、兵士たちがもう、視認できるくらいに近づかれたがようやく全て倒すことができた。
「いい腕だ!流石に直属を任せられるだけはある!あれを見逃さなかったのが鍵になってた」
「Vielen Dank(どうも)」
SOPⅡが、じりじり詰めてくる兵士の1人が制圧射撃をしている隙に近づこうとしたのを射殺したのをみて褒めていた。
「ちくしょう。数で押されるのは少し、キツイかったな!」
「根性見せろMP7」
「たかだかテロリスト、でしょ?」
SOPⅡに叱り付けられ、ACRに煽られたMP7は「私は言ってねぇよ!」愚痴を飛ばしながら、少し追い込まれていたことをごまかす様に言った。
「スパイダー!バリケードはまだ崩せないの!?」
<この溶接部が癖でな…もう少し…!よし、いいぞ>
ウォオオオ!!と歓声に近い怒号が聞こえる、攻め入ったのだろう。
「アサルトチーム各員へ、道が開けた!さぁ、いくぞ!!」
<スパイダーより、アサルトチームへ礼を言う>
「貸しにしておくよ」
<本当かよ、お前も頑張れよ>
「いつも、こんな感じなのかい?」
MP7が視覚的に見える、掃討が始まった敵施設を眺めるSOPⅡに話しかけていた。
「そう、そんな感じ」
「あのね、お前の馬鹿面がそこまで悲哀に満ちるものだとこっちもテンション上がりづらいんだ。察してよ」
「レーザーを当ててくれる気の利いた連中もいるのにね」
MP7のからかいにHK416も珍しくうんうんと頷きそれに乗った。
だが、HK416の言葉にSOPⅡは違和感を覚えた。
「レーザー?私たちにそんな余裕はないよ…電池1つの残量すら気にかけてアイアンサイト使ってるのに」
レーザーなんてものを使う余裕、M4SOPMODⅡ立にはあるわけがなかった。
「じゃあ…」
「誰が…」
「役に立ったようで何よりだわ」
静かに物陰から、SOPⅡらを見つめてる地元民が被るものと同じフードを被っていた異郷の少女はそれだけつぶやいてレーザーを向けるために使っていたM4A1を拾い上げると、身を翻した。
「さて、次は指揮官に会いに行かないと……」
しばらくして、SOPⅡが壁にべっとりと付いている黒くなった血の跡を見つけて、そこに向かって近づいた。
「んー?どうした?何もない場所を掘り返そうとなんて」
「いや、ある。416、そこにあるスコップ貸して」
「……?ええ、これでいい?」
SOPⅡが偶然スコップの近くにいたHK416にスコップを持ってきてもらい、血のついている地面を少し掘り起こし始めた。
「おいおい、こんなところに機密文書を隠すバカが何処に────」
「────これは」
M4SOPMODⅡが地面を掘り続けると、人間の頭蓋が見えた。
酷い腐敗臭が漂う。
「…酷いな」
そこから掘り進めると、ミイラ化が始まっていた遺体が現れた。
「子供まで…」
埋められていた、遺体を全て掘り出すと1人の子供の遺体を抱き上げて、そっと撫でていた、以前の彼女だったらこんな事をするのか、さらさら疑問だったがこの行為をするまでに彼女の心の中に変化があったのかもしれない。
「この辺りは、最初はあいつらとは違う鉄血が占拠したいみたいなんだけど、浮浪者やここに閉じ込められいた人達を使って入り込んで支配者を入れ替えたんだ…でも、使われた人達はこうやってゴミみたい捨てられるんだ」
M4SOPMODⅡにとって慣れた光景ではあるがそれでも、はらわたが煮え繰り返りそうになる。
アイツらの心はとっくに弱者狙う、モンスターになっていた。
「ケダモノどもめ!明らかに犯罪だぞ!」
「クラメンが私たちをけしかけた本当の理由はこれか……」
遺体は結局、火葬して土に埋める事にした。
だが、あまりにも惨い惨状に人形達はしばらく言葉が見当たらなかった。
「大丈夫?」
「…指揮官」
燃える遺体にしがみつくわけでもなく、無関心になるでもなく、ただただ燃える遺体を眺めていた、SOPⅡの近くに指揮官がやってきた。
「第三次世界大戦でも同じようなことが、ありました?」
「……あったよ」
SOPⅡは残念そうだった。
もし、人間同士だったらもっとマシな光景になっているだろうという、藁にもすがる疑問であるのはユーリもわかっていた。
だからこそ、ユーリは本当のことを話した。嘘を話してもSOPⅡのためにはならないと思ったから。
────数時間後
「今のうちに探すぞ」
作戦が終了して、犠牲になった人の火葬が終わった後、作戦に参加した人形達が情報を集めていた部屋を漁っている。
そもそも、私達が今回掃討した勢力は、ここを管理していたグリフィンの人形達がおかしくなる原因の元である武装勢力の始まりの勢力だ。
ウイルスの突破口を探す様にまずは始まりを探す、これは捜査ともあまり変わらない。
「これは…」
探しているうちにR93が一つの名前が現れた。
「これは武器の流通を示した書類ですね、送った奴が誰だか分かりそうです。…ふむ、見る限り、頻繁にやり取りしているらしいですね。最後のやりとりは…あの列車騒ぎの1週間前だ…あ、運良くやり取りしている側の名前が出てきました。"ヘルメス"というのがやり取りしている様です」
「ヘルメスか……」
とりあえず覚えておこう、役に立つかもしれない。この部屋に残ってもめぼしいものは他の人形が見つけるだろう。
ユーリは出口に手をかける。
HK416もユーリの動きに気がつき、護衛のために立ち上がった。
「どうします?」
「あそこはSOPⅡ達に任せよう。俺たちは……」
ユーリとHK416がホールに戻る。
ユーリはカーペットを何度か蹴った、そして何か当たりがついたのか
床のカーペットを引き剥がして、その裏面を見る。
「フッ、手の込んだことをする」
ユーリはカーペットの裏側に仕込まれていた紐を引っ張ると隠し扉が現れた。
「カーペットの中にロック解除を仕込むとは」
「きっと中から開けられるようにするための工夫だろう。ロープは下の階層につながっていた」
よくそんなこと気がついたな、HK416も舌を巻かざるえない、床を踏むだけでそこまで理解するとは。
「先導します」
HK416はライフルを構えながら、丁寧に部屋をクリアリングする。
隠し部屋を作ったのだ、絶対宝の番人がいる。
最大限の警戒を持って、部屋を確認したが……
「……どういう事?」
「酷いな」
HK416が隠し部屋に入った頃にはすでに隠し部屋は既に制圧され、人形は皆殺しにされ血の海と化していた。
死んだ人形達の状態を見る、銃の安全装置が外されていない人形がいる……襲われるのを気づかれないほど、とても素早く制圧されたのだろう。
「いくぞ」
何にせよ、この大勢の人形を倒したのは凄腕だ。
ユーリもMCXラトラーを構える。
互いの死角をカバーし、部屋を確認していく。
「クリア」
だが、部屋の中を探しても見当たるのは死体だけ、ここの指揮官らしい人間の死体は見つかったがここを襲った犯人は見当たらなかった。
もう、襲撃者は目的を果たしてしまったのか?
「416、上で待っててくれ。私は部屋の中に重要な情報がないか調べる」
「了解、待機してます」
HK416は軽く頷くと上のホールに戻っていく。
「さて……」
「────お探しなのはこれかしら?」
まるで、指揮官が1人になるのをずっと見計らっていたかのように、ずっとその時を待っていたかのように、一体の人形がファイリングされた資料を手に何も変哲のない壁から音もなく現れた。
光学迷彩だ。
「M4……」
「お久しぶりですね。指揮官」
あの作戦からずっと連絡が取れなかった、かつての自分の副官……そして、誓約の相手、M4A1が今、自分の目の前にいた。
「ああ、久しぶりだ……元気だったか?」
「……はい。元気です」
M4A1は再開した時、色々聞かれるんじゃないかと思っていたし、怒られるとすら思っていた。
けれど、ユーリが再開でくれた言葉は…心配の言葉だった。
「色々聞きたいことがあると思いますけど、まずはこれを」
M4A1がファイリングされていた資料を手渡してくれた。
ユーリはそれを受け取ると、静かに中身に目を通しておく。
「よく手に入れられたな。ここの護衛も手強いはずだろう」
「意外と簡単でしたよ。戦闘の音に気を取られた時を狙ったら呆気なく行けました」
「そうか」
M4A1と短い会話が終わった時にユーリは気になった名前を見つけた。
「また"ヘルメス"?」
「ええ、鉄血の残党勢力はヘルメスという人物を通じて、オセチアから必要な材料を中継したようですね。曲がりなりにもここは鉄鋼業が盛んであった場所ですし、ジャンクパーツは山ほどを中継したようですね」
「中継……ああ、思い出したぞ。アイツのことか」
指揮官には心当たりがあるらしい。
「ご存知なのですか?」
「"ヘルメス"は保安局の運び屋の名前だ。俺たちがE.L.I.D掃討した地域の件で、軍にいた時に政府に回せそうな物資をしつこく聞いてきたのを思い出した」
そして、経歴を辿っていると、何故この事実が隠されていた理由があるかは分からないが、資料を読み進めると答え合わせのようにこの土地の事実が少しずつ浮かび上がってきた。
どうも最初に武器が送られるより前に、日に日に暴力的になるグリフィンの治安維持の行為が厳しくなって、死人まで出した不祥事が起きたらしい。これは、SOPⅡが提供してくれた日記と事実が合致する。
このあたりで不満や反感を感じた、タイミングで民衆達に保安局が隙に着け入り、"ヘルメス"を通じて、武器を送りつけたのだろう。
結果、お互い過激になっていき、保安局も手がつけられなくなったから外部からの救援も揉み消したことで孤立無援、誰も信じる事ができなくなったグリフィン側はブレーキ役も居なくなってさらに暴走したんだろう。
そして、その穴埋めのように鉄血の残党があの列車で必要なものと兵力の貿易を行って、カオスが出来上がってしまった
「保安局のクソども!」
保安局め…指揮官を好き放題に動かすだけでは飽き足らず、この国すらめちゃくちゃにしているらしい。
「この件はツケを払わせてやる!」
「この資料を渡したらあなたは随分キレると聞いてたけど、まさかここまで感情を露わにするんですね」
「言うじゃないか」
M4A1は手を前に出して、止まるようにジェスチャーする。
「貴方を非難してはいません。ただ……信じられなかったんです」
M4A1は夕焼けをバックにタンポポの書かれた黄色い絵画を見つめる。
「私は貴方と誓約して、お互い隠し事がない、知らないことはないって……そう思っていたんです」
けれど、結果は?
こうしていつもと違う調子でキレるだけで、M4A1は内にある動揺を隠さなかった。
一方、ユーリは「M4A1が知らない自分を知っている誰か」という事実から、M4A1の"協力者"という人物はだれか、随分と人数を絞り込めていた。
「M4……君はカーター将軍と組んでいるのか?」
「────」
M4A1の瞳は童謡で揺れた。
なぜ?あの一言だけで、私の事を容易く見抜くのかと。
「……ええ、キャスターさんの仲介でカーター将軍とは提携させてもらいました」
今回の装甲列車の騒動に詳しいのと提携したいと、M4A1はキャスターに依頼した。
すると、装甲列車の部隊を運用した経験のあるカーター将軍が詳しいと言うことになり、オンライン上で引き合わされることになって。
────だったら、なんであんな事を!?
────お前の指揮官が捕まった件は、私の意思ではない。
キャスターの仲介で、カーター将軍と提携をする際には、それなりに揉めた。
当然だ、仲間を背中を撃ってのほほんと正義を語る奴をそう許せるものではない、ましてやユーリはカーター将軍のかつての部下、部下を守らず挙げ句の果てに巻き添えで殺そうする奴は尚更だ。
────君と私が提携を結ぶように、パラデウスと我々も提携関係にある。我々がパラデウスから提供されたもので自由にさせてもらう代わり、パラデウスも我々から提供されたものを自由に使う。そういう関係だった。だが、……そして、それが私のミスだった。
────お前達を背中から撃ったのは我々だ、あの結果になったのは我々にも責任はあるだろう。お前が私を信じられないのは承知だ。だが、ユーリの件でお前が必要なものを最も提供できるのもこの私と言うわけだ。
────今回だけよ……!次は必ず、裁きを与えてやるわ。
カーターの弁明を全て信じることできない、けれども大枠は間違ってないと直感で感じた。
そして、必死に私たちを助けて生きて帰ったと思ったら保安局に銃を向けられて、「結果を出せなければ殺す」と脅された!
今の私は保安局の人間の元にいる、腹立たしいがこうでもしないとユーリの手助けも行えない。
「……確かに私は貴方にとって、お呼びじゃない。憎んで、許せなくて、殺したい、そう思うのでしょう、けれど……」
私はその銃を向けた人間と同じ組織にいる。理由はどうであれ、今の私はここで私が殺したクズと大差ない。
けれど……私は、私は……私は貴方の力になりたかった。
「貴方が困ったことになるって、聞いた時何とかしないといけない。そう思った」
これは嘘じゃない、本当の感情だ……
だから、私はバレたら裏切り者扱いされる選択を取った。他でもない、1番愛している指揮官の力に少しでもなりたかったから。
「信じてはくれないんでしょう。……わかってる。私は貴方の信頼を裏切っている、失ったものは……取り戻せない」
ユーリはなにも話さず黙って聞いていた。
側から見れば私の行為は泣き落とし、印象をさらに悪くするだけだ。
「……私、帰るね」
M4A1は申し訳なさそうな表情で部屋を出ようとしていた。
本当はもっと色々話したかった、謝りたかった。
でも、これ以上ここにいるともっとみっともない姿を晒してしまう。
「────待ってくれ!」
M4A1の手を掴んでいた。
「……M4、俺たち……やり直せないのか?」
「────本気で、言ってるの?」
「────本気じゃない方が楽なのか?」
「そうじゃなくって……!」
出来るものならやり直したい。
「いえ……そうね、私もやり直したいと思ってる」
でも、まだ……私にはその資格がない。
私はまだ────その資格に相応しいものを持っていない。
私は、まだ失った信頼を取り戻せていない、自分があんな事をしなくて済む力を持っていない。
だが、その資格を持ってなくても、彼の力になりたいとは思っていた。
でなければ、SOPⅡ達にレーザー照準のサポートをしたり、こうして先に隠し部屋を制圧して資料を先んじて回収するリスクある行為はできない。
M4A1はすこし、考え込んだ末に電話番号が書かれた紙を渡した。
「……もし、私の力が必要になったら、この番号に連絡して。上手くいけばあなたを助けることができる……また、会いましょう。私の……私の指揮官」
M4A1はユーリに厳かに頭を下げて、部屋を出て行った。
視点:RO635
「RO!」
モール内に人質を取り、もたもたしていると彼らはその場から逃げおおせてしまった。
突入するための入り口を見つけて、侵入する準備を進めていた時、大きめのボストンバッグを背負ったAUGがこっちにやってきた。
「AUG…という事は」
「えぇ、あなたの武器です。まだ、光学照準器付けていないんですか?」
仕方ないでしょ、金がないんだから…でも、そろそろアタッチメントの一つもつけないとレールが余分な重量にしかならないわね。
取り合えず、装備を受け取った。後、部下とも合流を済ませて、ヴェルグ3に報告を入れる事にした。
「ヴェルグ3。出入り口を見つけました」
「こっちも見つけたぞ、よし…今回の襲撃犯は中に立て篭もるが脱出の算段をとっているはずだ。ヴェルグ8とヴェルグ5が出口を塞ぐ、そして俺とヴェルグ4がこちらで見つけた入り口から侵入するから、お前達はそっちが見つけた入り口から入ってくれ、うまくいけば挟み撃ち出来るかもしれない」
軽い現場での打ち合わせを終えて、私たちは後から侵入する事になった。
────午前2時
ヴェルークトのメンバーが先にモールの中に侵入する姿を視認した。その私たちはドアの前で待機している。
数回、小さい音がしてこちらに向けてドタドタと慌てる音が聞こえ、ドアが勢いよく開かれた。
「────!逃げてきた1人を倒しました」
前も見ないで逃げてきたので、私たちを見るよりも早く、AUGよって素早くヘッドロックで締め落とされる。
<その階はそいつが最後で入っていいぞ>
「了解です。レイドチーム、これから入り口から中に入ります」
先に侵入したヴェルークトの隊員たちが片付けた階の電力の落ちたドアからアパートに侵入した。階段から、一階に上がりドアを開き、広い周囲をクリアリングする。
「クリア…敵影なし」
「行って」
なるべく音を立てずに侵入して、狙撃されないように、壁に張り付くように広がりながら部隊を展開した。
「いい…中には民間人もいるはず。誤射しないように」
<こちら、ヴェルグ5。敵はその階にはいないわ>
「敵は何処にいるか、分かりますか?」
<3階に集められているみたい、暗視装置じゃ、それ以上は探れそうにないわね…>
スナイパーのヴェルグ5曰く、電化製品売り場で何かをしているらしい。
「あれは…資材売り場…?」
「結構荒らされたわね。何も残ってないんじゃない?」
窓ガラスは砕かれ、壁は吹き飛んでいる…店ごと奪い取るつもりだったのかしら?
「何にせよ、資材売り場を荒らした理由は犯人から直接聞きましょう。行くわよ」
私達は、一旦ヴェルークトの隊員と別れて、エスカレーターを目指した。
襲撃は2つのルートから行われる。
1は下から上に登り、私たちのチームと4階から3階を制圧する、ヴェルークトのチームだ。
カン…カン…と鉄の階段を登る足音がが小さく鳴る。
「気をつけて…」
今度は自分達が先頭に立ち、止まったエスカレーターを登る、思っていたよりも音が鳴りやすいわね…
「────けて!!」
「────んだ!!」
黒い覆面を付けられた、兵士が囲む様に立っている、どうやら大きい声で何かを叫んでいる。
「ずいぶん大きい声で話してるわね」
「このまま聞いてますか?」
「まさか、気が付かれないウチに制圧しないと…準備できました。ヴェルグ3、そちらの状況は?」
<全員、配置についた。会話を聞きたいところだが、人質の命には変えられない。突入しよう>
フラッシュバンを5人で一人一つづつ、そっと転がす様に投げる。
それが光輝き瞬いた、それと同時に私達はその光に入り込み、覆面を付けた犯人を全員、一瞬で捕らえる。
「さて…よくもやってくれたわね…この」
「やめて!!」
人質が叫ぶ、覆面を取るとそれは人質としてモールの中に連れ込まれた人だった。
「違う!コイツらテロリストじゃない!人質だ!!」
「助けて…助けて」
覆面をされた、人質の一人の服が妙に服が膨らんでいる事が気になり、ローブを引き裂く…すると
「自爆ベスト…!」
配列をみる…旧式の爆弾ベスト…端末捜査タイプじゃなくて、時計型!?私達が来た瞬間には作動していたのか
「どうだ!?RO?」
「死にたくない…死にたくないよ…!」
…あと、20秒…!!電子戦が間に合わない!
ベストを無理やり、引きちぎってみる
「硬い…!!」
あと、10秒…!だが、糸がほつれるのが見えた!力任せに行けば千切れそうだ…!!
「おい、もう吹き飛ぶぞ!!」
「あと10秒!!あ…!」
ヴェルグ4が無理やり人質から引き剥がす、すでに時計はもう10秒ですらなく、残り5秒を切っていた。
「…すまない」
「いやだ!…いやだ!!…やめてくれええええ!!!!」
ヴェルグ4が自爆ベストを取り付けられた、人質をボールを投げ落とした。
「────うあああああああああ!!!!!」
それが私が聞いた、助けられなかった人の最後の言葉だった、ドン!!という爆発音と赤い光が一瞬だけ輝いた。
「…そ、そんな…」
「クトゥルフ…人質を救出した、奴らには、恐らく、逃げられた…」
<了解。監視カメラをチェックしてそれらしき人物を探ってみよう。医療班の用意はできている。人質を外に出してやれ>
全員じゃない…全員じゃない…手のひらを見つめる、私の力が足りなかったから…あの人は…
────
───
「全チーム、建物を確保。捜索を始めろ」
「電化製品売り場を調べでみよう、爆発させる人質まで用意したんだ、何かあるだろう」
電化製品売り場を探してみると、起動されたパソコンがあった。
「送信中か…逃がさない…!!」
爆弾を使った奴らは、ここで証拠隠滅する為に、人質に爆弾を取り付けたのね…
コネクタを繋いで、送信している情報を吸収した、今日ここで死んだ人たちの光景がフラッシュバックする。
あれだけのことをしといて、私から逃げられると思うな、絶対に見つけ出す!
────
───
「どうぞ、こちらを」
美しいネオンが瞬いていた、街の様子は光り輝いても落ち込んだ様を呈しており、状況を確認する為に遺体に被せていたシートを風邪に流されない様に、足でシートを押さえていた警官に前の職業が警察の仕事についていたDP-12は何か思う事があるのか、差し入れを配っていた。
「終わったよ」
「お疲れ様です」
RO635とヴェルグ3が戻ってきた。
「どうだった?」
「送られている、情報は山の様にありました。爆発が2階で起きたおかげで、手に入れる事ができた情報です」
ヴェルグ3が、あらかたの報告を終えたらしく、私にさっき手に入れた情報のことについて聞いてきた。
「あまり、アイツを悪く言わないでやってくれ。アイツはアイツなりに人質を守ろうとしたんだ、そのせいで爆弾を取り付けられた人質が死んだ事実はアイツが一番重く受け止めてる」
ヴェルグ4が悪いことをしていないことを知っているはずなのに…トゲのある物言いをしてしまった事実に少し、後悔した。
「どうやら、これ以外にも今回犯人達は襲撃をしていた様です。ヘルメスを通じて資材を倉庫とこのモールに運ばせたようですね」
「ヘルメス?」
「保安局の物流を任されてる奴だ。西側がテロリストと指定する組織にも武器を送るウワサもある」
「で、そのヘルメスが用意した大量に資材を盗む為に、鉄血が街に入れず、追い出された人を捲し立てていたからだそうです」
「お偉方のツケが帰ってきたんだな」
保安局の物資が狙われたのか。
そもそも、受取人はどこの組織だ。
「受け取り先も残ってたな、どうやらもと鉄血の組織らしい」
「……もしかして、それって装甲列車に関係してます?」
「……正解です。ご存知なのですか?」
「正解も何もついこの前、保安局の高いパシリで装甲列車を鹵獲する作戦をしたばかりですよ……」
ヴェルグ4のお陰でRO635のいろいろ考えていたことがひとつに繋がった。
あの鉄血の装甲列車はヘルメスが用意した資材を使って完成させたのか、けれど何らかの理由でその装甲列車を奪う必要があり私たちを使わせた。
だが、装甲列車を持った鉄血の一部は何らかの理由で離反、それに焦った鉄血が資材をこれ以上奪われないようにするため、難民を焚き付けて今回の事件を起こしたのだと考えれば納得がいく。
「そしてその資材は船を作る為に使われていたらしいです。ある計画を達成する為に」
「ある計画だと?」
「コードネームは"Project:Monster"」
「なに?それは本当なのか?」
「今回の列車の事件を中心に暗躍している鉄血が実行しようとしている計画が新ソ連が仕切っている"Project:Monster"の様なんです」
「馬鹿な…あの計画がまだ生きているだと!?クソッタレ!つまり、そういう事か!」
ヴェルグ3が「まさか」言って困惑していた、おそらくシロだろう。だが、作戦のことは知っているかもしれない。
「この計画はあなた方、外務省も関わっている記述もあります!疑っているつもりはありません。ですが、重要な事なんです!教えてください"Project:Monster"って一体何なんですか?」