────3日後、モスクワルビャンカ・ビル
突然、ヴィクトルは緊急の用件で呼び出され、KGB本部の会議室に赴いていた。会議室にはカーターの軍人だけではなく、閣僚だけでも、珍しいのに新ソ連書記長”アルドレオ・ヴォルフ”も座っていた
「同士ヴィクトル掛けてくれ。カマロフ外務大臣が、重大な脅威になるであろう事実がが判明した…とね」
ヴィクトルが一寸の無駄もなく椅子にかけた。
「同士カマロフ、君が判明したという事実とは何かね?」
唯一タバコに火も点けず、真面目な態度でカマロフがゆっくりと口を開いた。
「今回は勿体つけると話が混乱されるので、この場にいる方々に率直に報告させて頂きます。このまま阻止できなければ、1週間以内に我々新ソ連全ての主要都市に核弾頭が撃ち込まれます。そして、この核弾頭は全て、迎撃不可能です」
周りが騒然とした、書記長も驚いている様に見える。その上、あの方々までがどよめきを隠せずヒソヒソ声があちこちで始まった。
「…どういう事かね、同士カマロフ」
「3日前、グリーンゾーンの街で鉄血工造の仕業と思しき襲撃が起きました、そこで我々外務省が保有する部隊"ヴェルークト"がProject Monster計画が実行されていたという事実が判明しました、この計画はもう最終段階目前となっています」
「Project Monster?」
書記長が首を傾げた。聞いたこともない計画だからだ。
「その説明の為に、私はこの計画に大きく関わっている。同士ヴィクトル国家安全保障局長にお越し頂けるようにお願い申し上げたのです」
「同士ヴィクトル、君はこの計画について知っているのかね?」
「はい…」
ヴィクトルが重い口を開いた、額には動揺からか、汗を書いている様に見えてカマロフは少し清々した様に見える。
「…話したまえ」
「Project Monsterとは、第三次世界大戦が終わり、我々は勝利こそしましたが潜在的な脅威である西側諸国は健在の状況でした」
議員たちや軍人たちは、話に興味を隠せない。まさか、本当に脅威が目の前にある事を突然理解してしまったのだから。
「…そこで、西側諸国の持つ迎撃システムを超える火力の核弾頭とそれを運ぶための到達速度で完膚なきまでの壊滅をを与えるための計画です」
書記長は顔を顰めた…当たり前だ、自分を蚊帳の外にしてこれほどの計画を立てていたのだから。
「当時は戦術人形万能論が大きく支持されていて、計画の実行に必要な人形開発はその時、最もシェアを獲得していた鉄血工造に委任されて計画は始まりました」
「そして、表向きは海外から進行するELID感染者の排除、しかし実際はそのための内部に入れておい安全局の潜入捜査員が情報を手に入れるための組織の"皮"として作られたのが"ヴェルークト"でした」
カマロフは、追求するかの様に机をトントンと指で叩いた。
「人員は戦死しても公で問題にならない存在を掻き集め、その中に本来の情報をかき集める為の人員の中に国家安全保障の人員を入れて、ヴェルークトは出来上がりました。私が行ったのは同士ヴィクトルが必要だという人員の補充に加担しました。当時は私も気付く事はできませんでした」
「結果はどうなったのかね?」
書記長がタバコを軽く回して、話を進ませた。
「調査して、基本的なスペックを知る事は出来ました…ですが、持ち帰ってきたのは我々の核ミサイルよりも高度な自動迎撃能力と自動報復システムを保有していることが分かりました。よってこの核を撃ち込む計画は実質的に破綻しました」
「ですが、秘密裏にではあるが発足したばかりのプロジェクトです。別の役目を公表されていながら本来の目的を達成したのが問題となり、"ヴェルークト"は持て余してしまった、だから、貴方方はヴェルークトを消そうとした、それはあそこにいる方々も同じ意見…違いますか?同士ヴィクトル?」
「ご想像にお任せします」
軍人にも閣僚にも見えない、男達を書記長は彼らに見えない様に睨んだ。
「責任を追記をするのは後だ、カマロフ外務大臣。では、なぜその計画が我々の脅威になっていると言える?」
「鉄血工造の中には一部ですが鉄血の反乱に加わらない人形がいたことが最近判明しました。そこで、委託された計画も含め鉄血工造からデータを回収していると複数のグループの人形達が事前にインストールされた計画を実行しようとして稼働しようしていたことが判明しました、Project:Monsterの計画もそのうちの一つでしたが…安全局は事前に計画を止めようとしていて計画を進めていたことの事実をかくしていたようですが…」
さも、残念そうにカマロフは話すが、内心はヴィクトルを因縁を責めることができて嬉しい側面もあるかも知れない。
「いま、我々に必要な話はこの悪魔の様な出来事を止める手立てはあるか?その議論をすべきだ…カマロフ、計画はどこまで進行してるのかね?」
「はい、先程。私が説明した通り、計画は最終段階に入っています。説明が計画の最終段階は、本来開発するはずの貿易船に似せて、海を移動、そしてコーラップス液が充填して人が寄り付きにくい所で戦術人形が作戦で運用して核弾頭を使う為の装置又は兵器を上陸させて、有効射程に着いたら一斉に発射するのが本来の計画です…ですが、本来の計画がAIによって進んでいる以上、よりブラッシュアップされた計画を運用されると考えます。」
「……」
カマロフが、ファイルの中から計算結果が書かれている用紙を配った、政治の中枢である大臣が、自らの手で
「ヒントとなったのがあります、1週間以上前に起きたグリフィンによる放棄された装甲列車の鹵獲作戦です。この計画で二台の列車が稼働した為、一台は破壊しました。二台目からは逃げられましたが…その2台目が作戦の本命でしょう。カルコフ分析官からの説明によれば、射程はおよそ700キロこれは通常の仕様ですが…装甲列車のレールガンをミニマム軌道で発射すれば…」
「海の時点でも合衆国…いや、世界中に核弾頭は届く…か」
周りはもう、携帯や端末で慌てて、連絡を入れている。あのカーターでさえも…だが、相手は家族だろうか?それとも恋人?愛人?何れにしても、世界が終わるかもしれないから隠れろ、という連絡には違いあるまい。
「…カマロフ外務大臣、打開策はあるかね?」
書記長は冷静な様にあえて振る舞い、カマロフに質問した。
「えぇ、その為の打開策は講じてます。それにアメリカとの回線を繋ぐ用意も取れています、お望みでしたら、今すぐでもかけることも容易です。自由主義の陣営ですが、自国内の問題の為、手を貸してくれる見込みはあると思われます」
この脅威にもカマロフは今のこの国のトップである書記長に自信を持って答えた。
「お待ち頂きたい。書記長、我々は国家以上に崇高な役目を果たすためにここにいる、その為にこの国家が頭を下げて愚かなアメリカ人に追求のカードを渡すなど…!」
軍人にも閣僚にも見えない、男達が我慢できず抗議の声を上げた。
「ほかにもある、あの米蘭島での出来事以降、アメリカ人は利益を吊り上げる余り、我々の警告を軽んじてきた、露骨な政治の取引を駆使して!これは更なる破滅をアメリカ人が行う可能性もあったはずだ!我々を絶望に追いやるアメリカ人の口を閉じさせる事ができる、その計画を自分達で止めれば、我々の崇高な…!!」
「書記長、いま、この状況で西側諸国に付け入る隙を与えるのは……」
「同士ヴィクトル、それに"ロクサット主義"の皆様。貴方方の勝手な思い上がりで世界を壊す責任を我々は取る気はありません。これは、ここにいる新ソ連、全員の意思です。もともと、介入できる立場ではないことは忘れないように」
書記長に出ていけと言われる前にカマロフが状況を見ろ、と忠告した。
「…思い上がりだと?我々と我々の…ロクサット先生の技術がいなければ、あの戦争は早期に終わらず今でも泥沼の地上戦が続いた事は忘れてはおるまい?」
「核はそもそも返しのために使うもの、初めから使う兵器ではない、先制による自衛権の行使など…!!」
テーブルを叩き、カマロフは余計な口を叩くなと怒鳴る、その様子だけでもまた余計な時間を取られることは必至…書記長はカマロフを静止して、静かにする様に言った。
「確かに貴方方が供与してくれた事実、そして技術は我々に勝利をもたらすものだった。それらはかの、レザー・ロクサットの功績であることもまた、事実です」
「ですが、今度は貴方方が放置した計画が世界を崩壊液以外の方法で滅ぼそうとしている、確かに昔は貴方達の話を聞いていたでしょう。ですが、今は時代が違う。今回はこの会議から外れてもらいましょう」
「何だと…?」
「お帰りはこちらです」
扉の外から現れた、警備兵が彼等を会議室から連れ出した。書記長は少しほっとした様な様子でカマロフに話しかけた。
「カマロフ君。アメリカとの回線を繋いでくれ、アメリカの大統領と話したい。それと君の打開策については君に一任するとしよう」
「お任せを、ではその計画についてです、彼らは列車を運ぶ為の船を手に入れる為に町や管理の行き届かない所を襲撃して材料を集めていました。もう、船は完成して、洋上に出ていると言う目撃情報の裏付けも取れています」
「何ということだ…」
ここからが本番の様でカマロフは少し、緊張した声色にも聞こえる。
「ですので、ここは我々の管轄する特殊部隊、"ヴェルークト"とアドミラル・クズネツォフの運用を打診いたします」
「アドミラル・クズネツォフ…を使うのかね?」
「えぇ、それが私が予想する最良の提案だと存じます」
────視点:RO635
────太平洋上空
<"クトゥルフ"、こちら"クレインズ"最終侵入に移る>
<了解、クレインズ。着陸を許可する>
「まさか、Project:Monsterが保安局の計画だったなんて!アイツらぶっ飛ばしてやる!」
RO達はヴェルークトが保有するヘリの中でProject:Monsterの中身を知らされていた。
「ダメだ、RO!それよりもまずやらないといけないことがある、Project:Monsterを止めるなければ。これを止めないと、世界中でもう一度、核戦争だ!!」
「どうします!?」
「私達の切り札を全部使う、"空母"も艦載機もな…理論上は余裕持って追いつけるだろうが、予想以上のスペックを持っていたり妨害も起きる、正直一か八かになるかもな…」
ヘリの窓から多数の艦載機やヘリを乗せた、巨大な船が見えて来た。
「見えて来たぞ…コレが俺たちの切り札、"空母"アドミラル・クズネツォフだ」
────旧オセチア領
視点:M4SOPMODⅡ
オセチアには、前よりも多くのグリフィンの戦術人形達がやってきて普通じゃ装備しない様な過剰な装備まで持って来ている。重装部隊の数だって5部隊はいるだろう。
──── 新ソ連に対する支援組織にも機嫌を取らなければならなかった、つまり責任を取る存在…一番居なくなられても困らない、外務省の報告してきた部隊ヴェルークトを生贄に選んだ。
M4SOPMODⅡは、RO635に言われたことがまだ信じられないでいた、まさか指揮官が自分達の指揮官になる要因が保安局である事は知っていた。
ただ、
そして…M4はまだ、その事実を知らないのだろうか?
知っていても保安局にいるのか?
前者であれば、悲しいことだ、後者であれば彼女にはどんな目的があるのだろう。
軍用ヘリがユーリ達に近づき、そして着陸した。
着陸しドアが開くと、一体の人形がこちらに敬礼してきた。
「迎えに上がりました、指揮官。戦術人形のA-545です、貴方をもう一度ヴェルグ隊の隊長にされたいと外務大臣と書記長様がお望みです」
「書記長が…?」
書記長という名前が出たときにユーリは意外そうにしていたが、私の方を見た。
私は頷く、"大丈夫"だと、それを見た指揮官が少し安心した顔でヘリに乗り込む。
「指揮官、ここは任せて」
輸送機が、上昇し砂を巻き上げる、巻き上げられた砂が、髪に絡みつく…そのまま揚力で上がった輸送機は加速して、エンジン音と比例する様に私から離れていく。
更地になった、朝焼けを眺めて私は、仕事に戻る。
────アドミラル・クズネツォフ甲板
────視点:ユーリ
「どうぞ」
ヘリコプターが甲板に着陸した。
まずA-545が先に降りて、その後ユーリを降ろした。
「────あ、隊長!来てくれたんですね!やっぱり、ヴェルークトは貴方じゃないと!」
「久しぶりだな、ヴァレリア」
輸送機から降りて来た、自分を最初に出迎えたのは、ヴェルグ8のヴァレリア・スタブレジョフだった、自分の顔を見るなり、本心で嬉しそうに笑っていた。
「作戦はあとどれくらいで始まる?」
「あと、23時間後です、他のヴェルークトはコンディションの為に睡眠中です、起こしますか?」
「いや、眠らせるべきだろう。ヴァレリア、あのA-545という人形は?」
「クトゥルフが寄こしました。"あの方"っていう人?の判断で送られました。希望があれば作戦に出せます」
なんで、あの方の扱いが疑問符なんだと思っていたが、ユーリは思い出した。
ヴァレリアはあの方のことを知らない。
「"あの方"の判断で?凄いな、じゃあ喜んで一緒に来てもらおう」
ヴァレリアがドアを開けて、俺を中に入れると船内で騒がしく働いていたクルー達はすぐ静かになり、俺がブリーフィングルームに入るのを見送っていた。その目線が何を意味していたのだろうか?憧れ?それとも困惑だろうか?でも、はっきり感じられたものがある。
それは、希望だ。
あと、数日もしない内に世界がまた破壊されるかもしれない現実でも希望を感じている、俺は彼らは期待を絶対に裏切れなくなった。
────
「Project:Monster…これはもう、動くICBMだな…」
「はい、全長は297m。列車以外にも対空機銃、SAM、レールガンと対空兵器で使える兵器は充実しています、前回の"レオニダス"この運用を出来る様にテストできる様に改造されたのでしょう」
ユーリは、カルコフからの予想戦闘能力を聞き進入コースに最適な位置が正しいか、確認していた。
「A-545、君の希望の所属を教えてくれ」
「一番、足りていない所のご助力ができるのでしたら…それを希望いたします」
なら、助かった。ちょうど足りていないところがある。
「よし、じゃあ。A-545は先遣隊だ。俺の背中を任せたい」
「喜んで」
A-545は、頷くとユーリはクルーにA-545でも使える装備を用意させた、彼女は一礼すると装備を受け取りに部屋を出た。
そして、入れ替わるように空母の船長というべき男、クトゥルフ入ってきた。
「ユーリ、いいか?」
「ええ、クトゥルフ。船の管制はいいのですか?」
「問題ない、それよりもカマロフ大臣が直接話したいと」
ユーリが画面の電源をきり、スイッチを台の上に戻した。
「はい。では案内をお願いします」
空母の管制室にたどり着く。
そこに案の定ではあるがカマロフさんはいなかった。あるのは彼のホログラムだ。
政治屋が空母にいたら、こちらも困る。
<ユーリ、久しぶりだな。追い出されて以来か?>
「えぇ、その件はお世話になりました」
<ついこないだ俺たちが世話になったばかりだろう>
「では、貸し借り無しということで」
皮肉はない。本当に危なかったのだ、その時はカマロフ大臣には多くの支援をしてもらって感謝している。
<よし、本題に入ろう。ユーリ、君に中尉の任を返す事を書記長が認めた>
書記長が!?まさか、国のトップが承認したなんて流石に驚いた。
「公聴会の件がそこまで影響を与えたのですか?」
<証拠だけではないな、お前が身を挺してあの策謀から家族を守ったことにとても感銘を受けてな>
「そうでしたか」
<現在、我々は世界規模の危機にまた、直面しているのだ。アメリカと新ソ連が我々の協力者の失敗で核の脅威に晒されている。そんな時、信頼できるのがお前だったんだろうな。話がそれたな、もう船の位置は特定できている、出来るだけ早く核発射を阻止して欲しい。君達の部隊の能力に期待している>
「えぇ、期待を頂いた分は仕事をさせて頂きます」
カマロフは、満足した表情で近くにいる人に話した…誰かいるのか?
<では、ユーリ。最後に我らが書記長からのお言葉がある。心して聞く様に>
<…ユーリ・フレーヴェン>
「はい、私がユーリです。ルビャンカ・ビルとバンカー8の護衛の際にお会いしましたね。ルビャンカ・ビルの時は、ザルカフ氏が書記長の頃でしたが…」
<そういえば、同士ザルカフとの会合で同志カマロフの護衛にいたのが君か…>
書記長が少し驚いていた、自分も書記長と直接話す機会なんて無いと思っていたし。
しかも、こんなにさらさら言える自分にも肝を冷やす。
<成る程、公聴会の時点で君を推薦した理由が分かった気がする。────…第三次世界大戦、いやそれよりも前の裏切られた人間の恨みが今、世界中の脅威として吹き上がろうとしている。諸君…我々の罪から、私たちの大切な人達を守ってくれるのは君達だけなのだ。>
今日見れる夕暮れが最後の光景でない事を願いつつ、まだ美しいものを観れると言う、感動にも近しい気分を保ちつつ甲板の上で、書記長が俺に託した言葉を思い出す。
昔はこんな国、大嫌いだった、いつも俺に厳しい事、辛いことさせて…でも、その国が今、俺に救って欲しいと願っている。
…この国のために漸く、軍人として、戦う理由が見つかった。
「私は先遣隊だ、奴らの船の上、もしくは海で戦う、調整に回れるのは君だけだ」
────視点:RO
────アメリカに核をまた、撃ち込む!?
────また、与えられている命令従っているんだろう。鉄血のエルダーブレインの反乱で操られても命令がある限り鉄血はその任務を粛々と遂行し続ける。だから、こんな問題が出たのさ。
船で渡されたさまざまなアタッチメントを取り付けたRO635…私の半身を眺める。
アタッチメントは貸してもらった。
「外務省の味方に海軍がついていたなんて驚きです」
「海軍も予算の配当に不満を持っていたからな予算をもらえる口実ができる外務省についた方が存続しやすいと考えているのさ」
空母の艦載機である。Su-33が滑走してスキージャンプでジャンプする様にふんわりと飛び、そのままジェットエンジンで空に、一機、また一機と飛んでいくという、のは資料映像で見た。
飛び立つための準備をしている、Su-33を間近で見られるのがこんな状況じゃなければ良かったのに…
「あなたたちがグリフィン部隊の方々ですね?」
「あんたは?」
「申し遅れました。私はA-545といいます、この船に一時的に失礼しています」
「乗員ってことは軍用人形?」
「そんなところです。現在の所属は新ソ連海軍歩兵です」
海軍歩兵とはエリートだ。
だが合理的でもある。上陸作戦じみたことを考えると、海軍歩兵を頼みにするのだろう。
「作戦ではここにいる戦闘機が対艦ミサイルで船を沈めます。貴女の役目は船に取り付いて、発艦させないようにする敵を退かすこと…でしたっけ?」
「合ってます。A-545、その装備はヴェルークトの装備ですね…と言う事は…」
「はい、先遣隊として、対空能力を削ぎます。実は私は海軍歩兵が運用を検討している"あれ"を動かす為に、ここでお世話になっていたんです」
指さした先にはフルフェイス型のアーマーが見えた。
彼女がグリフィンのどこにもいなかったのはこれが理由か…軍用装備を使う為の訓練…か。
「そういえば、指揮官の事を随分ご存知のようですがいつから指揮官…いえ、ユーリ中尉とは知り合いなんですか?」
いけない…癖が出てしまった、一時的とは言え、彼はもう軍人なのだ。
民間の時の名前では語れない。
「まぁ、知り合いと言われたらそうなりますね……ほら、私の烙印装備はフレーヴェン中尉がよく運用されているA-545ライフルですし」
「あぁ…そうなるんですか…ね?」
そうか、確かにあの秩序乱流作戦でも指揮官はあのA-545ライフルを撃ちまくっていた。
あれは指揮官の使い慣れている兵器だったのか。AK-12とかじゃないのは意外だ。
「ROさん、世界が灰になる前にあの列車を戦争の憎しみと共に海に沈めましょう」
まぁ、いいでしょう。憎しみでやる事なんて、大抵ろくなもんじゃない。
────視点:M4SOPMODⅡ
────オセチアの元グリフィン人形達が鉄血との取引で鉄血の装備品を持っていた事が過去の記録で判明した、その中にはProject:Monsterのプランに似た砲塔がある事も確認されている。それで、空母が破壊されたら今回の作戦は失敗する可能性が高くなる。
なるほど、じゃあヘルメスは粛々と仕事をしていたら、あちこちに怨みを買われて、それに首を突っ込んだらとんでもない事実に行き当たったのか。
「M4…」
恨み…復讐…あの計画を進めている鉄血はその気持ちにそった計画通りに動いている。
つまり、あの列車は復讐で世の中をメチャクチャにしようとしている、それは姉のM4A1達に通ずるものがあるだろう。
ある意味ではM4…いや、お姉ちゃんとの決別の戦いになるかもしれない。
「さーて、世界を救う奴らの邪魔者を潰しに行きますか」
「悪くない、ついでに憎しみとの決別だ」
だけど、自然と悔いはない、人の命や人形の命は関係ない。多くの命を守るため、多くの人が今生きている、苦しい毎日をまた、1日過ごせる様に私は恩讐との決別を誓おう。
────
───
「決別か」
戦いに向かうSOPⅡ達を物陰でじっと見つめる人形がいた。
さっきの彼女の思考に出てきたM4A1だ。
M4はある男の連絡を待っていた。……あと少しで来るだろう。
ほら、電話が来た。電話の主は、キャスターだ。
<準備はいいな?そろそろ、始めろよ>
「ええ」
M4A1は彼の命令を従うように長距離移動で拝借したバギーに乗り込む。
思えば彼とも不思議な縁だ。
ユーリから紹介されて姉を探して、クメレンタを始末しないか?と誘われて、コーラップス兵器で地獄を作り途方に暮れた私をユーリを救うチャンスをやると誘われて、今は私がキャスターを誘って世界を救おうとしている。まぁ、断られても1人でもやるつもりだったけれど。
これが上手くいけば、暫くグリフィンを脅す保安局は内面の整理に追われるだろう、そうすればユーリ達を脅すのも形だけになる。
そうすれば、彼は動きやすくなる。
……どんな中身かもわからない、彼なりの計画をする動きが
「
エンジン音が唸りを上げる。
アクセルはかけた、もう後戻りは出来ないこれは命をかけたゲームだ。