たったひとつの願い   作:Jget

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引っかかり

 

視点:AR-15

 

どれだけの時間が過ぎただろうか、2人はようやく先程の人物たちを見つけた。

 

「AR-15、追いついたぞ」

「照明に見つからないようにしてね」

 

狭い道を通り抜けると、開かつした光景が広がる。

これまでの古めかしい見た目とは違い近代化された設備群が多い。

 

「文化遺産の建物の地下に軍事物をため込むなんて結構な罰当たりね」

「さっきは神なんて信じないとか言ってなかったか?」

 

聖書の話なんて、話さなきゃよかった。

 

「"ノードは、この核シェルターに?これで、この施設がぶっ壊れたときの請求額をアンジェは考えてる訳?」

「考えてないな」

 

でしょうね、と考えつつもマーキュラスたちの会話は聞き逃さない。

 

「やっと着きましたの?しかし、かなり遠回りでしたね?」

「念の為ですよ、このルートなら記録が残る心配もありませんからね」

 

気づかれてはいないが、念の為の策を取られたと言うわけね…直接つながる道を探せば良かったかも…

 

「それでは、バクラーダノードの保管場所に案内いたしますね」

「えぇ、では扉を開けてもらえるかしら?」

「…確かにこの先はバクラーダノードのところに続いていますが我々には開ける術がない。ここは旧ソ連の保管場所でして現在のベルグラード当局でも開けることができないのです」

 

マズイ…それじゃあ、私たちは何も出来ない。と唇を噛んだ時だった。

 

「き…貴様…っ!」

「まぁ…素敵な表情」

 

突然、マーキュラスが士官の首を頭上高く持ち上げると、首を締め上げていた、よく見ると持ち上げているのは漆黒の触手の様だった。

腐った気を踏みつけた様な、嫌な音が鳴った。

士官の首は人体状曲がってはいけない所に曲がっていた。恐らく、どうあがいても…数分も持たない。

 

「助かりましたわ、ご案内して頂いて…」

 

用済みになったら殺す…か。

マーキュラスが一歩後ろに下がるとやがて生き絶えた士官に一礼した。

 

「…」

 

AN-94が口をつぐんだまま、銃を握りしめていた。怒りと言うより、これは警戒かもしれない。

 

「ふふふふ…あーはっはっはっ!!!」

 

突然、マーキュラスが笑い出した。

 

「それでは、そこにいるお人形さん?感想をお聞かせ下さいまし!!」

「…ッ!」

 

バレていた…隠れていた方向に向かって、触手が飛んできた。

触手は隠れていたコンクリートを容易く破壊して、破壊した割れ目からマーキュラスが直接見えた。

 

「ふふ…もう隠れる必要はないのよ?反逆のAN-94そして、AR-15!!」

 

見られている以上、役に立たない柱も必要ない。

 

「私をつけていたのでしょう?そう、まるで愚かな漁師が、水面の月を置いてるかのように!!」

 

恐らく、私が漁師で月がマーキュラスのつもりで言っているだろう。

それにあの攻撃……M4A1が報告した下水道に現れたネイトと一致している。

 

「大地は要塞、秘密の守護者、そしてあらゆる命の帰る場所!価値なきものは地を張って腐っていくのがお似合いですわ!」

 

次の瞬間、まるで攻撃の合図のようなものもなく、突然触手が飛んでくる。

 

「…クソ」

 

かわしたと思ったが、額がヒリヒリする…その辺りを触るよりも前に、額から顎に滴るような感覚を覚え、攻撃が掠っていた事を思い知らされた。

 

「触手に触られたのか!?」

「この舐めまわされた様な感覚…そう見たいね…」

 

最初こそ、分からなかったが脳裏に何がすぎる様な感覚を思い出した…確かにこの感覚はAN-94であっても、イラつきそうな不快な感覚だ。

 

「だとしたら、我々以上の技術でコイツは強制侵入できるのかもしれない」

「あら…どなたかと思ったら、猫の時にお会いした人ではないですか?メンタルを閉じたのは秘密の王子様だと思いましたのに…残念ですわ」

 

マーキュラスはさぞ、残念そうに私達を見ている。

 

「それにしても、何も知らされずにこの任務を当てがわられるとは所有者の能力や人となりも知れますわね?あなたとその承認欲求の塊も」

「人となりに関してはその通りだと言いたいけど、きっと私とアンタが想像しているのは違うと思うわよ」

 

膨大な数の白い勢力の信号が検出される。

…直接手を下す気はないと言うことね。

 

「さぁ、私と共に踊りましょう!!お父様のおっしゃられる通り下賤な灰塵が我々に叶うはずも有りませんわ!!」

 

「指揮官はあの外務省の人形は信頼できるの?」

「ROは指揮官が言う事を疑うの?」

 

護衛任務当日、どうやらSOPⅡとRO635がA-545の話をしていた。

 

「いえ…でも、指揮官が私達を邪魔だと思ったり。使えないと判断する可能性は考えられるわよ」

「それで彼女がエゴールの様な処刑役に回るかもって?RO、この任務が終わったら少し休んだ方がいいよ。周りを疑いすぎる」

「アンタは単純だからね…そう思えるのよ。そもそも、私達は────」

「2回も銃を向けられたから、裏切られたから信用ならないで、しょうか?」

 

いきなり、気配もなく現れたA-545をRO635は気味悪がった。

A-545はテーブルに乗せていたペットボトルの水を取る。

 

「よく分からない、新顔…しかも、I.O.Pとは異なるネットワーク…誰が信用できるんですか?背中を刺さないと言う保証は?どこにあるのか証明もできていない…自惚れているのかしら?」

 

A-545は手に持ったペットボトルの水を一口飲んだ。

 

「つまり、仲間の代わりに私や外務省に猜疑心を持つんでしょう?損を恐れない人ですね」

「…なんですって?」

 

どうやら、怒らせてしまったらしい。

A-545たちはそもそも裏切るつもりはないから安心しろと話したつもりだったが、RO635は拳を握りしめていた。

 

「……初めから、信頼されるとは思ってませんよ。ただ、ここまで不信感を募らせていたとは……仕方ない、身の証を立てましょう。私はこの作戦で────」

「それは本当の事を言ってる訳!?」

「本当でなければないとこんな作戦をお話しするわけないでしょう」

 

RO635はA-545がこれから行う作戦を聞いて驚愕の表情を浮かべていた、M4SOPMODⅡは心配そうな表情だった。

 

「信用できないわ…リスクが高すぎる」

「その心配する必要はないのでは?リスクは私が追うことになる」

「ふん…勝手にしなさい」

 

否定がない所を分析すると。どうやら、RO635には承諾してもらえたらしい。

暫く静観していた、M4SOPMODⅡはRO635が部屋から出るのを確認すると

 

「あんな事言ってるけど、ROはみんなのことが心配なんだ。仲間達に裏切られて…脱走されてグリフィンの人形達ですら信用できなくなってるみたいだから」

「えぇ、私だって同じ事をするかもしれません」

 

それではといって、既に装備を整えて外に出るA-545をSOPⅡが引き止めた。

 

「…どこに行くかだけ、教えて」

「浄化塔に行く」

「…あそこが襲われるの?」

「そうはさせない為に行く。何かあったら、すぐに連絡を手が空いたらすぐにそちらに向かいます」

 

────視点:M4A1

 

──── アンタ、何の成果もあげない割には先に救助されて、パパが捕まった時の救出作戦に参加しなかったよね?

 

締め上げられた、首元を触る…まだ配線が寄せられた様な感触がある。

それほどの力を出してしまうほど、彼女…AK-12は私を恨んでいるのだろう。

 

「…」

 

あの時、軍にエルダーブレインを奪われかけた時、"最後の手段"として私はコーラップス液の爆弾を使用した。

その中で、唯一使用に反対していたのが目の前を歩いている、AK-12だ。

 

「…」

「そろそろよ」

 

隔離壁で巡回していたグループの一つがルートから外れて壁に移動し始めたらしい。そして、そのグループは白い信号を出した…

 

「(白い信号…白い兵士…私達の敵。指揮官を拷問した…敵)」

 

数ヶ月前なら、先に指揮官の事を思い浮かべたのに…時間の経過と共に私の中にある、大切なものの基準が揺らいでいるのかも知れない。

 

「見えたわ」

 

数分もせずに隔離壁に到着した。

 

「最悪…アンジェ、現場で反乱が起きてるわ」

 

隔離壁の兵士が二手に分かれて銃撃戦…人形同士ではない。

人間同士の殺し合いが起きている。

 

「ここで、偵察を続ける?」

<いいえ、あなた達は隔離壁の兵士を援護、反乱軍を殲滅しなさい>

「本当にいいの?他国での武力行使は…」

<あなた、いつからそんなに優柔不断になったの?>

 

全く…AR-15には慎重になれと言っておきながら、今の状況にカッカするのはどういう了見かしら?

アンジェリアに何か余裕がなくなる状況が起きた?

 

…ただここで拒否する理由も意地もない、隔離壁の兵士を援護することにした。

 

────数分後

 

「…久しぶりに人を殺したわね」

「はいはい」

 

AK-12はこんな時でも自分ペースを崩さない所は尊敬に値する。

にしては先程の発言は私の方を見て話したわけではなさそうだが…私達は敵の防衛線を素早く突破して、下層エリアまでたどり着いた。

 

「これから、反乱軍の人間とご対面よ」

「待って」

 

ここにたどり着いた瞬間、負傷して床に倒れていた兵士を見つけた。

恐らく、反乱軍にやられたのだろう…彼を見た瞬間、彼がエゴール達に裏切られた時の私と重なった。

 

「大丈夫ですか?」

 

気がつけば、私は彼を助けた。

 

「士官ね、反乱の際にやられたのかしら?随分不憫な事」

「黙ってて!!」

「はいはい…」

「うぅ…誰だ」

 

士官の人が目を覚ました…だが、傷は深いどうすれば…

 

「AK-12、何か彼を助けられる物は────」

 

AK-12の方に振り返ると、背後に見たことない敵が襲いかかっていた…レーダーに反応は無かった!?いや、今もない!

 

「え────」

 

振り向いたAK-12が吹き飛ばされて、次は私に狙いを定めていた。

どの武器を使ったとしても…間に合わない…!!やられる!!

 

だが、次の瞬間、銃弾が飛んで私を攻撃して来た敵を引き裂いた。

 

────銃弾が発射される方向を見てもそこにそれらしい人物は見当たらない…敵が動かなくなり、どういう訳かその姿が消えた瞬間……先程まで誰も居なかった筈なのに目の前に黄金の色をした髪を持つ、私と同じぐらいの身長の女が"撃つな"と静止のジェスチャーをして近づいて来た。

 

「…あなたは?」

「失礼」

 

黄金色の女は私を1秒ほど見つめると、私を押し退けて私が助けた士官の救出処置を何倍も効率良く、効率的にテキパキと済ませていく。

 

「アンタは────」

「邪魔しないで、集中できない」

 

AK-12は心当たりがある様で話しかけようとしたが、金髪の人形は質問に"邪魔をするな"と返して、人形は治療を20秒で済ませて、止血が完了した、士官を助け起こした。

 

「これで問題ありません、ですが無理をしない様に」

「…ありがとう。…お嬢さん達」

「M4A1、AK-12。増援が上の階に迫っている、時間が無い」

「私達を知っているのは引っかかるけど、お礼を言わせて貰うわ。所で恩人の所属を知りたいんだけど」

「それはまた今度です」

 

次の瞬間、人形の姿が消えた…。

いや、見えなくなった…というのが正しいのかも知れない。

 

「あいつなんなの?」

 

「さぁね。取り敢えず、戦術人形データベースにアクセスして見たけど、引っ掛からなかったわ」

 

データベースに無い戦術人形?

そんなのまさか、白い勢力なの!?いや、それなら、私たちや時間を助ける説明が付かない。

 

「I.O.P製じゃないって事?AK-12、アンタは知り合いだった様だけど」

「いや……勘違いだった。私の知ってるやつはもっとイヤミなやつだったし、通信企画すら別のものを使っているからきっとこの国の戦術人形ですら怪しいわ」

 

成る程、他国の戦術人形なら納得できる。

けど、あの女が私を見る目…何処か

 

<各部隊に告げる…2名の戦術人形をサポート…要因としてマークした。…攻撃するな、識別信号番号は…>

「どうして、私達の識別番号が…?」

 

識別信号は私達の番号と同じ番号だった。

あの黄金の髪の色をした人形が指示したの?私達は、一度もここでその識別信号の事を喋っていないのに…

 

「まぁ、何にせよ…私達の手伝いはしてくれるという事ね」

 

上に上がり、あの女の言った通りの場所は確かに絶好の位置だった。

こちらからは相手を見やすいし、敵からは見えづらい。

 

「…で、それにしてもどうしてあんな事したの?」

「多分、あの金髪女と同じ考えよ」

「成る程、そして、彼女の言い訳は臨機応変とか…そんな感じ?」

 

AK-12…何が言いたいの?

 

「まぁ、クールな奴ほど自分の心には嘘をつけない。わざわざ偽らなくても、あなたの事はそういう事で嫌いにはならないわ」

「私はあなたの父親を傷つけた事には怒ったくせに?」

 

AK-12は失笑した。

 

「ワザとであろうとなかろうと、あんな態度を取られたらそりゃ怒る。嫌いにならないのは私はあなたが非情になりきれない"優しい"所よ。その気持ちをどうして、パパに施して上げられたら色々変わってたのかしらね」

「…っ」

 

ずっと言われると思っていた、糾弾されると確信していた事を会話の中でAK-12にさらりと捩じ込まれた。

怒りたい気持ちでいっぱいなのにそれを言い返すことができる理由なんてこれっぽっちも私は持ち合わせていない。

 

「さぁ、仕事を続けましょう?」

 

M4A1の顔を見て愉快そうに笑うと、AK-12は銃のコッキングレバーを引いた。

 

────視点:ユーリ

 

議事堂周辺

午前6時

 

────次の方、身分証を

────はい

 

「…そっちは?そうか、"あの方"の予想が当たったか。なら、俺たちの方にも起きるだろうな。起きたら、こっちは任せてくれ」

 

護衛任務当日、俺達はKから渡された、記者の身分と格好を着て議事堂の中の何重にも取り付けられたフェンスやバリケードの隙間を通りすぎた。

バリケードには"牢個な装備に見える"、SIG552を装備した警官やツァスタバM21を装備した憲兵がいた。

 

────"ロクサットの犬など必要ない!"

────"ベルグラードから出て行け!権威主義の犬ども!"

 

恐らく、ロクサット犬=汎ヨーロッパ連合、権威主義の犬ども=新ソ連という意味のプラカードだろう、それぞれの意味に統一性がないがそれがベルグラード…ひいてはセルビアが受けた被害だという事だ。

 

「和平会議にはたくさんの人が反対しているようだね」

「それだけ、西側の連中が嫌いなんでしょ。ねー隊長」

 

どうやら、SOPⅡは電話をかけているらしい。

 

「テストの結果どうだった?……30点?おー、私より点数取ってるじゃん。え?帰る日?あー……そうだね、あと、2、3日で帰れそう。うん、それじゃあいい子にしててね」

「えいや」

「痛っ!?」

 

電話が終わった後、いきなり尻を叩かれてSOPⅡは飛び上がる。

 

「なにすんのさ!」

「電話なんてかけちゃって、そんなに気になる奴がいるんだ〜せんせー!ここにいかがわしい子がいまーす!」

「えー……?」

 

SOPⅡのA(アサルト)とROのR(レイド)部隊は念のため、議事堂周辺の監視拠点に配置した。

たわいもない話をしていたら、無線が鳴る。

 

<X95、状況は?>

<指示通りの方法で潜入に成功しました…以上ありません>

 

警官隊とベルグラードと睨み合いは開会を待たずして始まっていた。

それもそのはず、何故蚊帳の外の連中が自分達の街で勝手に自分たちの了承も得ないで和平会議でもやらされたらたまったものではない筈だ。

ユーリはキューブ型の端末を動かしてA-545と通信する。

 

「A-545?そっちは対応しきれそうか?」

<現在、隔離壁内に展開された7割の反乱分子勢力を制圧。残りは…反逆小隊が倒しているところです。これから、アリアとその部下は外壁側にでて、E.L.I.Dの間引き、および壁に異常がないか調査します>

「分かった。引き続きアリアの指示に従って掃討を続けろ」

<わかりました>

 

A-545が現在の状況を報告した。

やはり、"あの方"懸念していた反乱が発生していた。

A-545、報告を入れてくれたお陰で確証を持てたアリア達が動いてくれている。

 

浄化塔は彼女達に任せよう。

嵐は上昇気流に乗ったコーラップス液の粒子を地面に叩きつける。

そうなったら、浄化塔頼みだ。

 

「フォトン、そっちは?」

<デモ隊は警官隊とざわついている。平和なもんだ>

 

視点はフォトンに移り変わる。

 

<この平和が続くことを願う>

「そうだな」

<フォトン指揮官。国連のVIPがき来たよ。それにしても、このウルリッヒさんと言う人は凄いなぁ…経歴だけでも驚いちゃうよ>

 

先に潜入に成功したルイスが感嘆の声をあげていた。

ルイスが言う通り、ウルリッヒ氏の功績は確かに、今回の代表として選ばれるだけは、あるな…しかし、ロクサットの代表が西ドイツ人というのは、引っかかる…

 

別にドイツ人と言う事を卑下するわけではないし、その和平相手は新ソ連でも対外的にも覚えがいいロシチンだ。

お互いの地位は"政治屋の視点"で不足はない。

問題は国同士のバランスだ。

新ソ連は新冷戦の東側の盟主で…その新ソ連と和平交渉する相手が西側ヨーロッパのリーダーとして名高い一勢力になってしまった西ドイツだ。

 

────午前7時

 

時間が経つにつれて、議事堂が人で満たされていく。

拠点から指示を出すのはフォトンに任せて、ユーリ達は議事堂に忍び込み前衛を担当する。

 

「……なるほど」

 

プライドが高いお偉方が"和平交渉をする為だけ"に国に西ドイツを採択する事をよく頭を振った物だ…だとしたら、この交渉を狙った差し迫った危機が起きるに違いない。

 

それに、だ。ガチャガチャとプラスチックや金属音の触れ合う音がよく聞こえ出した。

 

「総員、警戒体制のレベルを一つ上げて」

「何かまずいことでも?」

 

確かに、今は平和の状況だ。

だが、今日この場所でずっと…聞こえる、ガチャガチャと銃の部品が擦れ合う音…手入れをしすぎて部品やマガジンの中の弾薬が擦れ合う…この音…この会場にいる全員から聞こえる。

 

「まだ、何も起きていないだけ。だが、確実に今日は何か起きるに違いない。ほら見て」

 

外では、エージェントと警備隊が揉めている。

やっぱり、警備側も内心この会議なんてお望みじゃないんだろう。不備も当然だ。

 

「私達がおかしいんですかね?会議の安全を守ることが第一だと思っていたのに」

「おかしいと思っていい。この会議が彼等に唯意義だったら、君の言う通りだ。でも、この会議はここに来る人以外は唯意義では、ない。これまでの事を考えたらこういう事が起きるのも仕方ない」

「この酷い"歴史"のせいなんでしょうか?…この会議、本当に"平和"で終わればいいんですけど…」

 

その保証は出来ない。なぜなら、自分はこの後起きることであろう予想を教えてもらっているから。

 

「保安局に期待するのはやめておくべきだね、反逆小隊はその時の立場次第だね」

「そうですか…」

 

…さっきから、気になっていたがホールの様子がおかしい。

 

「X95、ホールの様子は?」

<問題ありません、安全です。どうしました?>

「本当に安全?ホール内の通路は全て確認した?」

<通路は頑丈な作りです。800グラムまでならびくともしませんでしょう。ですが、安全を配慮した避難の場合避難の遅れが…>

「分かった。SOPⅡ」

<問題発生ですか?>

 

問題と言えば問題かもしれない。

 

「……ホール内の出口が塞がれている、それに警備が偏っている。しかも偏った所に警備員だ、配置されていない箇所を警戒をして」

<了解。ACRと一緒に側面位置の警戒を!>

<了解>

 

念のためSOPⅡだけは動かしておいた。

彼女なら自分が気が付かない見落としに気がついてくれるかもしれない。

 

「パッと見ると保安局のエージェントは見当たらないが…」

「別の任務に就いているんじゃないですか?」

「ない、それはない」

 

はっきり断言した口調でカリーナの発言を否定した。

この耳障りの音で、大体予想がつく、だからこそ"これで大丈夫だと思っているのか?"と俺は不安なのだ。

 

「非常口を塞いだのも外部の侵入を防いだり、敵の逃げ道を塞ぐため…じゃないですか?」

「それはあからさま過ぎない?」

 

まて、カリーナの発言が引っかかる。逃げ道を塞ぐ?

 

「マズイな、RO」

<はい>

「非常口のセキュリティレベルは?」

<…少々、お待ちを…警察標準といった所です。すこし、強引に行けば突破できそうです>

「分かった」

 

セキリティレベルは覚えておこう。

しかし、重大な会議というのなら現状は素人でも分かる程、あまりに不条理…こんな異常事態をKが見逃す筈はない…だとしたら、布石は打っていると考えておこう。

 

「だが、こちらはこちらで備えておくべきだな。X95、今の地点をルイスの部隊と交代して下の会へ移動。武器を素早く取り出せる様に」

<了解>

 

侵入されても、手早く突入できる様にと人形達で武器を素早く手渡せる様にもしておくには機動力のある人形が必要になるだろう。

…今回は引っかかる事ばかりだ

 

<指揮官!外のデモ隊が暴れ始めたよ!!バリケードを破ろうとしているみたい!>

「警戒体制、怪しい動きは?」

<指揮官!フードかぶった人があれば爆弾?あれ?爆弾がフェンスに投げられて────>

<おい何やってる!?早く止め────>

 

ドォン!!とMP7の警告と同時に投げつけられた爆弾が爆発、大きな爆発音が轟いた。

 

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