「あ、あなた達も来たんですね!!良かったあ…!」
「指揮官の一方通信で、ここに辿り着きましたよぉ…死ぬかと思った…」
「…死んだ奴も多かった。取り敢えず、集まれる場所があるだけ儲け物だな」
教会の扉を叩いた、TEC9を窓の外から確認した先に民間人とウルリッヒ主席を教会に避難させた、カリーナが教会のドアを開けて、中に入れた。
TEC9もそうだが、あそこまでの絶望的状況から生き残っただけでも、儲け物ではあるが…命からがら助かった人形達は装備、身体、そして…メンタルがボロボロになっていた。
「もうおしまいだ…ヘリで逃げようにもあの化け物が撃ち落とす…!陸路だって、内部に逃げるしかない…ジリ貧だ…!!」
「どこだ……どこだ……」
ある人形は頭を抱えてる、ある人形はまだ何も現れていない通路に銃を向けている。
「指揮官様は?」
「現在、ユーリ指揮官様はSOPⅡさん達を回収してから、戻るとのことです…フォトン指揮官様はROさん達と一緒にいますけど、大丈夫でしょうか…」
────視点:M4SOPMODⅡ
「────バラバラになった…正真正銘のスクラップだよ」
「もう、気配も何もありませんね。教会に行きましょう」
「そうだね」
凶暴化した人形、そして感染者を再び一掃したが、お陰で弾薬が心許ない。
「今後も狂った奴らが出たら、どうする?」
「……どうするって?」
MP7の質問に多少、食ってかかるように乱暴に答えた。
憎いとかそういう訳ではないが、反射的に答えてしまう。
あまり前評判を今まで気にしてなかったが…こうして、Cx4の様に要所、要所で嫌われるとなると、もう少し配慮して置けば…と後悔することは珍しくない、私のAR部隊を抜けた理由の一つにもなっているし、口論のネタにもなる。直そうとは考えた事もあるが、それじゃあ私らしさは何なのか…?そう考えてしまう。
「手を下せんのか、って聞いて────ちょっと待った、10時方向200メートルに味方信号」
「味方信号とは言っても…気をつけるしかないけどね、」
全周囲を警戒して、SOPⅡ達は味方の信号があるところに向かった。
「近いぞ…信号は…2つ?」
「その様ですね」
味方の信号に後もう少し…と思ったその瞬間…
「────お前のせいだよ!!」
叫び声がした次の瞬間、乾いた音が鳴り響いた。
ベオグラードの街の壁が呆気なく破壊された、あの時私はどうにか感染者だけでも入れない様に必死になっていた。
────痛い!!痛い!痛い!
────く、来るな…い、嫌だああああああ!!!
────く、食われッ…助けて!!タスケテエエエエエエエエッ!!!
1人、また1人、と感染者の餌食になった。
1人は最後まで抵抗して食い殺されて、
他の1人は戦いを放棄して部隊から逃げ出した先で誰の援護も受けられるわけでもなく、感染者の餌になった。
そして、壁があっけなく壊れた。
みんなのメンタルは粉々に、打ち砕かれた…反撃の狼煙は一吹で吹き消されて、赤い光が降り注いだ。
光らなかった時….その時私たちは2人生き残った…
助かった…そう安堵する筈だったのに…
さっきまで食われた仲間達が起き上がった…まるで操り人形の様にユラユラ動いていた…私と目が合った時、獲物を見つけた獣の様に襲いかかってきた…
気づけば、私の銃から煙が溢れていた…私に襲いかかってきた、味方だった人形が穴が空いた場所を眺めた。
「…ゲ…ぐ…ギぎ…」
そして、まるでバグに犯された、コンピューターの様に意味不明な動きをして…人形は動かなくなった、
「う、うわあああああああ!!!」
生き残ったもう1人が叫び声を上げた、そして持っていた銃を私に向けてきた。
「お、落ち着いて…!」
「お前のせいだ────」
誰のせいでもない、でも彼女は怯え、怒り、悲しみで包まれていて、私の声が届かなかった…
「お前のせいなんだよ!!」
「やめて────」
銃を向けた、彼女は突然自分のこめかみに当てると泣き叫びながら、引き金を引いて、自害した。
「…」
訳がわからず、私は放心していた…何かの足音が聞こえる、感染者だろうか?それとも、パラデウス?でも、もう私の周りには誰も仲間がいない…私はもう、十分じゃないか…どうせ、壊れても…また、工場の中で…
「────くそっ!なにがどうなって…ねえ、あなた!!ねぇ!!」
銃声が響き、その音がした所で2人の戦術人形を見つけた。
「────ねえ!大丈夫!?何か、何か答えて!!」
先に議事堂に潜入していた人形達だった。
1人は手に持っていた銃と同じ口径で傷つけられた、弾痕が発生していた…自殺か?
もうひとりは虚ろな眼で、上を見上げていた…暴走する人形も暫く、固まってから動き出す、もしそうだったら…私は彼女の肩を揺り動かして、様子を見る。
「貴女は…ARの…」
反応が帰ってきた…よかった、どうやらまともな人形達だったらしい。
「────生きてる仲間に会えてよかったよ。私はSOPⅡ、あなたは?」
「X95…小隊の隊長を…任されて、いました…生き残りは────ああ、私…ひとりです、私が…殺しました。私が…適切な判断ができなかったから」
虚な目で全てを諦めた、表情で淡々とX95は語った…
その目…よく知っている、私がたった1人で周りみんながいなくて…孤独と不安しか見えない目だ、彼女は放っては置けない。
「…私達は生き残りの人形や生存者を集めてる。アナタを見つけられたのは私にとって幸運だった」
「幸運…?私なんかに会えて?」
うん…勿論だよ。
もう、目の前で私の様な絶望を味わう前に助ける事ができて良かった。
「…そうだよ、アテがないなら…一緒に行こう?…ね?」
「…私で、良ければ」
X95の手を私は暖かい方の手でその手をとった。
────30分後
「SOPⅡとりあえず生きてて良かった」
「そっちこそ、通信を聞いた時は飛び上がりましたよ。あぁ、そうそう。途中でX95を拾いました。…放って置けなくて」
先程の通信で指定された場所で再開していた。
途中までの通路だ感染者の山が燃やされていた事を考えると私達はかなりの間を待たせていたかもしれない。
「そうか…大変だっただろう」
「指揮官ほどじゃないよ」
こういうのは…苦労自慢する所ではないと思うんだけど…というか、指揮官が私を探していると聞いた時は、本当に冷や汗をかいた。
それに、合流した時に沢山の弾丸を持って来ていた。
まさか、自分たちが心配されていた側になっていたなんて…いや、指揮官の責任と言われたら、どう言い返せばいいかも困るけど…
「あぁ…そうだった、ねぇ指揮官…今後はどうするつもりですか?ヘリは…まぁ、知ってるかもしれないけど」
「そこだよね…論点は、さっきの様に撃ち落とされて溶かされるだろう」
「列車は使えない?」
「実は爆発の時に線路が全部ダメになったらしい、強引に走らせても脱線してしまう」
「…そうですか、現状は私達はこのベオグラードに閉じ込められている状況ですね」
「ただ…少しの間だけなら────」
また、銃声が聞こえた…今のは!?
銃声はここから2ブロック離れたところから聞こえた、別の誰かが撃っているらしい。
ただ、この銃声は…
「パラデウス…!?」
────視点:RO635
「みんな…慎重に…」
ROの部隊とフォトン指揮官そして直属の人形部隊は市街地を足跡を立てない様に慎重に歩を進ませていた。
「…」
自分の悲惨な運命を知らない感染者達を除き、市街地は死体で溢れかえっていた。
「前方、感染者…突破は無理そうね」
「AUG、私は左をやる。あなたは右を」
「了解…」
銃を倒壊した、ブロックに立て掛けて感染者の頭に狙いをつける。
「3カウント。3…2…1────」
私と、AUGがカウントダウンの1とほぼ同時に引き金を引き、感染者の頭を貫く。
「前進」
前進の合図で、DP-12とハニーバジャーが先行する。
暫く、前進を続けていると信号が青…味方の信号が検出された。
「前方に味方信号」
「"恐らく"の間違いでは無く?」
味方信号が青でも油断できない、あの化け物の光を浴びて感染者の様に凶暴化した人形も死ぬまで、味方の信号のままだった。
エレメントの指示を出して、常に仲間から離れない様にしつつ信号の場所まで慎重に進む。
「…────」
そこはどんなせいで起きたかは不明だが…廃墟になった、建物の弾痕で埋め尽くされた鉄板の裏で俯いて、胸元を押さえながら震えている。彼女の前には粉々なった感染者もいた。
「何か…答えて?」
凶暴化して、いるかもしれない…だからこそ、部下を危険な目には合わせられない。ゆっくりと、その人形に近づき…銃口を向けながら質問をした。
「…」
人形の髪は灰色をしていた、そして彼女は答えなかった。
「RO…もしかして」
「落ち着きなさい…!…ねぇ、あなた…グリフィンの人形?私達なのよ?一緒に来ない?」
AUGが私の代わりに彼女の頭に銃を突き付けた。
本当は私が1番落ち着いていない…
「…」
尚も彼女は答えようとしなかった。
その様子を見たAUGが伸ばしていた人差し指をトリガーにゆっくりと掛けた…もう猶予は残されていない。
「────頼むから、何か答えなさい!!────答えないと…答えないと、殺すわよ!!」
本当に凶暴化した人形かもしれない、周りが判断し始めている…味方を自分の手で殺す可能性が現実味を帯び、乱暴に怒鳴ってしまった。
「…ぅた…ないで…」
ようやく彼女は、蚊の鳴くような声で両手を上げながら、顔を上げた…瞳には涙を浮かべてやっと私に答えてくれた。
「どうして答えなかったんですか?」
「ま、街を監視する…任務についていて…い、いきなり…あの、恐ろしい叫び声が…そ、そしたら…感染者がいきなり…勢いを上げて…わ、私…こ、怖くて…」
そして、勢いを増した感染者達に監視小隊は、彼女を残してやられてしまったと…
ヴァオオオオオオオオオッッン!!!
「隠れて!!」
また、あの叫び声だ…赤い光がまた降り注ぐ、あの光を浴びた人形は苦しみ出した後に死んで、凶暴化した…そして、まるでE.L.I.D感染者の様に暴れ回る。
「あの光…あの光を浴びた人達が…みんな、みんなおかしくなって…誰が誰だが…分からなくなって…感染者がすぐそこまで来ていたのに、味方同士で殺し合って…私、怖くて…」
「ゥッ…ウゥ…」
死体だった筈の人形がゾンビの様に不規則な動きで、立ち上がる。ハニーバジャーがいち早く、光が降り注いだ後に人形に近づくと…その人形の頭に銃弾を当てて、始末した。
「そ、そんな…み、味方なのに」
「残念だけど…あの光を浴びたら…もう、違うのよ」
ハニーバジャーだって、相棒が光に浴びでしまったのを、助けようとしたが…最終的には自分で手を下して始末した。
「いい…落ち着いて聞いて…ここはもう、グリフィンの誰も経験した事のない戦場なの…生き残るには助け合って生きる事と同時に…"ああなってしまった"仲間達にも…銃を向ける覚悟を決めないといけないの、もしかしたら、次目覚めることすら出来ないかもしれない…なんて、嫌でしょ?」
「…はい」
助けられた、人形はHS2000と名乗り、MG36と一緒に動くことになった。
まさか、こんな事になるなんて…それがわかったらこんな所に来させたくはなかった。
「あらあら…随分と見苦しい人形劇ですこと…」
レーダーに反応しなかった場所から声が聞こえて、みんなが一斉にその方向に振り向いた、振り向いた先には秩序乱流作戦で指揮官を捕まえて、拷問した人形によく似た…"ネイト"がクスクスと笑っている。
「ね、ネイト!?指揮官を先に教会に!!」
「…あの失敗作と同じ扱いですって?」
指揮官を先に行かせた、そのすぐ後にネイトの腕から一瞬で触手が飛び出る。
「────グッ…!!」
ネイトから放たれた触手が私の足を絡めとり、地面に受け身を取るよりも早く叩きつけた。
「クソッ…!!」
起きあがろうともがくが、触手の力が強く中々抜け出せない!
援護を頼もうにもどこから現れたのか、ストレンツィやロデレロが部下に攻撃してきている…
「────私はニモゲン!!お父様から選ばれた名誉ある存在!!ネイトではない!!」
「────ニモゲン?ネイトじゃ…ない?ガッ…?!ア…!?」
ニモゲンの左足が私の腹をハンマーの様な衝撃で、押し潰す。
「この…その、汚い足を退けなさい!!」
どうにか伸ばした、右手に届いたホルスターからベレッタAPXの照準をニモゲンの頭に合わせる。
「アハハっ!!!」
だが、既に私の反撃が読まれていたのか私の足をそのまま振り回し付近の乗り捨てられた乗用車に投げつけた。
「ゴバッ…!!」
「ゴミにしてはよく頑張ったじゃない」
ニモゲンが落としたAPXを拾って、私の額に突きつけた…マズイッ、コレじゃあエゴールの時の様に…!!
突然、卵ほどの大きさの飛翔体が空中で爆発して、ニモゲンに破片が降り注いだ。
────視点:M4SOPMODⅡ
「SOPⅡ!!私の目の前でフレシェットを使うのはいい加減にして!次やったら、私がアンタの股のドタマにぶち込むわよ!」
ROは最寄りの乗用車を盾にして怒鳴り散らした。
「はいはい、覚えとくよ。今のうちにROも逃げて!撤退するよ!」
ネイトに直撃しなかった。
フレシェットが不規則な散らばり方をした…偏向障壁だろう。
「いつから、私を指図できる様になったのかしら?」
ROが下がるのを確認して、SOPMODⅡの方の銃を構える。
EOTech 556越しにネイトは先ほどよりも数メートル先に移動して、ニヤリと笑っていた。
「キャハハハッ!!また、遊びがいのあるオモチャが増えたわね!!クスクス…やっぱりこうじゃないと!!」
「オモチャ…か、ちょうどいいね!!散々鬱憤が溜まっていたんだ!晴らさせてもらう!!」
ブルーのラベルのついた、グレネード弾をFN-ELGMに差し込んだ。
「さぁ、逃げろボロクズ!!」
「────レーザー?!」
ネイトが浮遊して、レーザーを発射する。
それを滑り込む様にかわして、横になった体勢からグレネードランチャーを発射した。
「────ギャッ!?」
グレネードランチャーの擲弾を撃ち落とそうと再びレーザーを発射したがグレネードランチャーの爆発範囲が通常よりも大きい爆発だったため、火炎がネイトの顔を軽く焼いた。
「どうした!?偉そうな事言っといて、その程度!?口数が増えただけで、大して強くなってないんだね!ネイト!!」
「私はネイトじゃない!!あんな出来損ないと同じにするな!!」
逆上したネイトが触手を伸ばしてきた。
「────!?…フンッ!!ウリャアア!!」
突然のことで驚いたが、範囲が直線的…すぐさま捕らえようとした触手を逆に掴み、引っ張ると自分の目の前にまで持ってきてその顔に向けて、出力を集中させた蹴りで空中に飛ばして、そこから最後に触手を引っ張り道端に叩きつけてやった。
「はぁ……はぁ……どうやら、言う程変わらない様に見えるけど?ゴミが生ゴミと不燃ゴミがある様に、ネイトもネイトの中で細かい分類が違うだけなんでしょ?」
「────きっ、貴様アアアアアああああああ!!??わ、私を…私を怒らせたわね!?鉄屑にしかなれないクソ人形が!!難民でも愚かでも、美しく血を流し死ぬのに…この、血も流せない!ボロクズガァアアア!!」
「それがお前達の本性だな!!」
そう見下して、ベオグラードの人達もテロで傷つけたんだな…!!それだけじゃない…感染で死を待つしかない人をコイツら、パラデウスは…兵士にして実験台にして弄んでいる。
「────ブサイクめ!!ぶっ壊れろぉ!!」
「いやだね!」
そもそもこんな事をしている場合じゃないのに、それすらも楽しんで争っている…それがコイツらの最低な面を証明するのには十分だ。例え、コイツらにどんな事情があっても許すわけには行かない。
「SOPⅡ…どうにかコイツ以外は片付けた!あの叫び声がいつ来るか分からない!サッサと引き上げるわよ!!教会の道はもう、指揮官達が確保しているから。後はアンタがアイツを巻くだけでいい!」
「────…分かった、ここは引き下がるよ」
コイツらは絶対に許せないが、私にも失い仲間や部下達がいる。
あの、"覚醒態"とかいう、E.L.I.Dが何かをして自滅したら、それこそ自分を許せなくなる。
「逃がすとでも?お前達、全員スクラップにしてや────」
「────いけっ!!チェリー爆弾!!」
ネイトが何かをする前に、擲弾を発射した。クラスター状に連続して爆発した擲弾はネイトの足を止めた。
<急いで!凶暴化した感染者も集まってます。長居はできませんよ!!>
「今行く!!────もう1発!!」
そして、足が止まった瞬間を逃さず。通常の擲弾をネイトに食らわせる。着弾と同時に進路を確保していたG36達の方に戻った。
「お待たせ!」
「今ので…倒せたのでは?」
「────おのれえエエエエエエエっ!!!!」
爆発の中から、完全に偏向障壁で防ぎ切る事が出来ずに切れていたネイトが現れた。
「────チッ。これじゃダメか、取り敢えず教会まで逃げよう!!」
「支援します。走って!!」
新しく加わった、X95が最後まで残っていてくれて足止めを手伝ってくれた。
その後も、ネイトが追いかけようとしていたのか、いつ仕掛けたか分からないほど事前にかつ、精密に仕掛けていたユーリののトラップが作動する音が聞こえる。
「指揮官!?」
「走れ!援護する!!」
「あっ、了解!!」
その後も、ネイトが追いかけてきたが次第にトラップに阻まれ、その声は小さくなっていった。
────視点:AN-94
「攻撃開始だ。さぁ、どうする?反逆小隊」
鉄血の兵士達のレーザー、銃口が私達の方にも向けられていたのだった。
「(AR-15…ここは時間を稼ごう。アンジェは支援を出すと言っていた、座標はもう送信している)」
「(そういうところは抜け目ないわね…)」
無線会話でAR-15にした提案は彼女に受け入れられた。もう、マーキュラスはここにはいない、混乱に乗じて逃げる事はできないだろう
「答えは出たか?」
「えぇ、降参よ」
私達は"今"持っている武器を捨てて、両手を上げた。
────
まさか、彼女らの目的も「バグラノード」だったとは…M16達が私達に銃を突きつけて、その後を追う。
それにしても、アラートが引っ切り無しに頭の中でなっていて、うるさくて仕方ない。どうにか、気を紛らわせようとふと、思い出した話題を口にした。
「M16、私を覚えているか?」
「…AN-94」
「研修の際にお前達の部隊に加わった筈だ。そうだろう?AR-15?」
「まぁね…アンタが前より口数が達者になったのはいい思い出ね」
M16は答えない。
「…そうか、まぁお前にとって私は取るに足らない存在なんだろう…きっと」
「…お前は一瞬でもAR小隊の一員だとでも思っていたのか?」
「…そう思っている、私は。M16…なぜ裏切った?グリフィンを…AR小隊を…フレーヴェン指揮官を?」
内心私は、許せないでいたのかもしれない…
「フン…なら、そこにいるAR-15は何だ?我先に逃げ出したコイツは責めないのか?それとも、散々責め立てた結果同じ部隊に入ったのか?」
「…あぁ、責めた」
あれはM4A1に会う前だっただろうか?復元されたと知った私はAR-15に詰め寄った。どうして何も言わずに逃げ出したのか?なぜ、誰にも相談しないで勝手に決めたのか?なぜ、グリフィンに力を貸そうとしなかったのか?何度も、何度も詰問してその結果、AR-15を許した、それだけだ。
「そうか」
「そうだ、M16、私の話に答えてないぞ?」
「死んでも、復元できるお前に程度に話す義理はない」
それも答えではない。
「そう?」
「そうだ、はっきり言ってやる。私はAN-94、お前が嫌いだ」
全く…AR小隊は全員性格が悪いのか?唯一まとものなのはRO…いや、アイツはAR小隊の一員ではなかったか…だとしたら、1番まともなのはSOPⅡか…アレが1番まともって…いや、アイツを悪くいうつもりはないが。
「キャハハッ!!嫌われてるぞぉ?真面目さん?」
「お前の隊長の方が嫌われやすいと思うが?」
この狭さでバイクに乗ってちょっかいを出す、「ビーク」だったか…コイツを上手く使えば…
「そりゃあそうさ!」
「嫌ってるのはお前だけだろう?ビーク?」
────一瞬、場が気まずい雰囲気になった。鉄血の人形達は「まさか気づいていないのか?」という眼差しでM16を見つめた。
「昔と比べると周りの評価すら気にしないお前から随分と感情的になったな、M16」
「黙れ、お前と馴れ合ったのはたかが1週間かそこらだ。それも厄ネタを持って来てな」
私にとっては1週間も…だ。さて、ある程度稼げたか?AR-15はうっかり情報を漏らす癖があるからな…私も漏らしているが、それ鉄血の不和を呼ぶための漏洩だ。
彼女達の間に剣呑な空気が流れる。
今にでも掴みかかりそうな彼女達を切り替えさせたのは、暗闇から飛び交ういくつもの弾丸だった。