たったひとつの願い   作:Jget

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霧に奪われる

────13:30

────UMP45

────グリフィン:404小隊

────タリン市郊外、発電所エリア。

 

「状況はどう9?」

「よいしょ…進入したよ、45姉。予想よりも簡単だね。下水道からの干渉もあまりなかったし」

 

404小隊がタリンに参入してから、4時間…まだ完全に制圧しきれていないエリアを探索している。

 

「このままこの道をずっと辿ると、発電所まで行きながら進みましょう。ヴェルークトが片付けてない自動システムに挽肉されたく無いし…416、後衛はあなたとG11のエレメントよ」

「了解。新型の素体に買い替えてもあんたの世話をする必要があるなんてね…さっさと目を覚まして!」

「────うげぇっ!?」

 

416に顔面を踏まれた、G11が悲鳴を上げて目を覚ました、こんな状況で目を覚さないG11は、一種の天才かもしれない。

 

「G11はまだ寝てたの?」

「情けないことにね。あぁ、そうそう…もう少し行くとシステム接続ポートよ」

 

9が壁から少し、顔を出して視界を増やそうとして、壁に手をかけた瞬間…途端に、通路の反対側で等間隔の銃声が鳴り響いた。

 

「────!自動ターレット!!」

 

制圧した、エリアから2キロもしないで、爆発と振動を伴った弾丸の洗礼が降り注ぐ…だが、私達はそれを承知で制圧外のエリアに足を運んだのだ。

 

「自動砲塔に無人機に警備ロボットまで…45姉!街の半分近くが私達を殺しに来てるよ!」

『────さっきの銃声はなんだ!』

『確認するぞ』

「ヤバ…」

 

傍受ではなく、直接自分たちのもとにヴェルークトの隊員が確認にやってきたことで、自分たちがタリンに来たことがばれた。

銃声1回で、バレるなんて…どんな感の良さよ?

 

『所属は?』

「あははー…私たち、道に迷いまして」

『またか…今、IDとその解凍用のパスコードを送った。そのIDを展開すれば、撃たれないで済むぞ。全く…またこれか』

 

笑って誤魔化していたところ、IDデータと解答パスワードが送られた。

怪しいか怪しくないか確かめる暇はない、角の先には50を超える、番人が殺しに来ているのだから。

すぐさま、パスワードをコピーして、IDデータのロックをペーストして、IDを取得し、自身の認識プログラムにバグ起きない様に入力すると…

 

「────と、止まったぁ…」

 

プログラムにIDを入力すると、銃撃が止まる…成る程、タリン市民の市民IDか…

縮こまった、G11がヘナヘナと座り込んだ。自分が歩こうとする、道路が無数のクレーターの大地と化していた。

 

『気をつけろ、我々もいつも近くにいるわけじゃない。なんども助けてはいるが、絶対は約束できない』

「────なんども?」

『聞いてないか?1時間前にも、勝手に制圧エリア街に出て同じように自動ターレットに追い立てられた挙句、銃声を聞きつけた腐肉喰らいにまで追い詰められるって、言うダブルコンボだ』

「大変ですねぇ」

『他人事じゃないだろうが』

 

これは失言だったらしい、失敗失敗…間接的とは言え、助けてくれた相手に感謝する方が先だったかな?

 

「どうして、タリンで立ち往生しているんですか?」

『お前も聞いてくるのか』

 

だが、まあいいという様子で、隊員はタリンで止まっている電車の状況について説明を始めた。

 

『お前たちが利用している電車を載せている線路がこの先で詰まっているから、なんとかしようってあちこち調べてるんだろうが』

「あ?あー…そういう事情で」

 

なるほど、線路が塞がっているとか道がないとかの方向に向いているから、立ち往生してたのか。

 

『背景説明なしでほおりだすとはな、本当にグリフィンは横の連携が取れてるのか?』

「まったくです」

 

まぁ、逆上や罰金ではなく…口頭注意で済ませてくれるだけでも、優しいと思おう。

実際、助けてくれたりもしたのでかなり優しい。

 

「────はぁ…9に飽き足らず、危うく私とG11を道連れにしようとするところだったわね」

 

その通りだ…このエストニアの首都タリンに放置されたのは街だけじゃないようね。

 

"────ようこそタリンへ!タリン…世界ゆ…うのITせ…し…国の技…をふ…んに活かさ────"

 

UMP45は目的の一つである、壁に設置された電子案内板の錆かけの金属カバーをナイフで取り外し、中1本のケーブルを抜き、そこから、自分の義腕に接続した。

 

「…ビンゴ。やっぱり、街の事前情報は間違いだらけね」

 

街の案内板のデータを掻っ攫っただけだが、それでもかなりの間違いが修正された。

 

「────うわ!酷すぎ!間違いだらけじゃん!!今回の情報屋は結構役に立つって聞いてたのに!」

 

データを送られた、9が憤慨した。

どのくらいひどいかと言うと、店の名前や建物の内部構造のズレなんかがマシに見えるレベルと言った方がいいかもしれない。

特に酷いのは通れないところが通れたり、通れないはずの場所が通れたりともはや噂話を直接マップに書き記した。

今までの中でも群を抜いて、劣悪なマップだろう。

 

「あのスクラップは、タリンの人形?うーん、構造を見ると…鉄血の兵士と別段変わらないように見えるけど…」

「そりゃあ、エストニアは創業初期から鉄血工造と関わりがあるからね…ここの自動システムで這い出てくる奴らが鉄血製品でもなんの問題もないわ」

 

鉄血工造は戦術人形ばかりが目立つけど…ドローンに自動ターレット、警報装置まで、鉄血は幅広いものを扱っていた企業だ。

それも第三次世界大戦が勃発する前から…だからこそ、人類に反逆した時に問題になったわけだけど…

 

「それにしてもこのID様々ね…私も電子戦に関してはかなりの強化を入れたけど…さっきのように一度に10台以上砲塔と無人機に襲い掛かれたら…と思うとゾッとしないわ」

 

今は、指揮官から秘密でM4を継続監視しなければならないと言われてるので、使用可能なリソースも制限されている。

だからこそ、無駄にリソースを使えないこの状況でそのリソースなるべく使わないで済むのならそれは、吉報なのである。

 

「私たち、色々改造して強くなったけど…まだまだうまくいかないね…」

 

周りに追いつくにはあと、どれだけ金を注ぎ込めばいいのやら…

 

「取り敢えず、この辺りの電気を切りましょう。IDの通用しない防衛設備に出くわすかもしれないしね。私と9はショートカットするために、爆薬を取り付ける。416とG11は下水道の退路を確保して」

「了解…」

 

────3、2、1 …

巨大な轟音と爆発が大地を揺るがした。

建物を支える柱が爆弾たちによって破壊され、天井から崩れ落ちながら、建物の内部の変圧器と天然ガスのタンクも全部相次いで連鎖爆発した。

漏れ出した、電流の青い閃光が、暗くなり明るかった空を数秒間、真昼のように眩しくした。

爆発で飛んで上がった破片がほとんどが地面に降り注ぐ…

 

「…完全に粉砕したわね」

「えぇ、見る影もな────ううっ!?」

「────!?45姉!大丈夫?! 」

 

グラグラとバランスの感覚を維持できないまま身体が傾いた。9はあわただしく走り、私を支えてくれた。

 

「どうしたの?珍しいじゃない?」

「…大丈夫…だけど、急に膨大な数の接続信号が現れ… 」

「45姉、電子戦なら私が…」

 

それは結構だ…もう気分も落ち着いたし。

だが、数十…いや、おそらく数百個の信号が同時に相互接続した影響で処理能力が奪われたのだろう。

 

「一体ここで…何が始まろうとしてるの?」

 

────14:01

────M4A1、傭兵部隊

────タリン市郊外、非制圧区域

 

「────ぐうっ!?」

「────アグッ!?」

「────う…!!」

「────はぁ…はぁ、今のは!?」

 

調査の最中、いきなり、街中の電気が停電になったかと思うと、100を超える接続が全身に襲いかかった。

 

「────全員無事!?」

「────まぁな…でも、一瞬グラついた…まるでギターで偶然高音を鳴り響かせちまった気分だ」

 

全身の回路が接続に対応するために、強引に稼働し続けられて、今こそ治ったが…まだ焼かれているような感覚が残ってる。

実際、M4が先に警告をしなかったら接続を切るのに間に合わず、破裂してたかもしれない。

 

「冗談を言えるまで回復したのなら…言う事は無いわね」

────侮っていたわ…信号は、一つではなかった。奴らが来てる。

 

知ってる。耳鳴りなマインドマップの深層まで聞こえてくる奇妙な音が…ますます大きくなってくる。

みんなR5のように気丈に振る舞ってるけど、どこかイラついているように見える。

 

「…とにかく高い場所に移動しましょう。感度がより良い場所に移動し、通信を回復できるようにしないと」

 

"警戒:敵勢力がネットワーク上での接続を試みているわ"

 

煩いわね、黙って見ていなさい。

いや、この声はいつものような透き通る声じゃない。

それに頭からじゃない、でもすぐ近くから聞こえる。

なら、どこから?

 

「────あ、そうそう。クライアント?」

「はい?どうかした?」

 

高台を目指している道中、静寂した廃街を歩きながら、R5が話を切り出した。

 

「彼氏さんと会ったんだろ?どうなんだ?熱い時間を過ごしたか?うん?」

「────R5いったい何の意味で、あー分かった、そういう意味ね。はぁ?…全く、そんなわけないでしょ?」

 

任務の話か、と思ったけどまさかの猥談だった…思わず身構えてしまった自分が馬鹿馬鹿しい。

 

「ふっ、当てが外れたわね?R5、今回の予想は私の勝ちよ」

「アンタたちねぇ…」

 

まさか自分の部下たちが自分の恋愛事情を賭けの対象にするなんて…ため息でる。

 

「悪りぃ悪い────あ、そうだ。MCX!」

「はぁい?」

「アンタも思い人いるんだろ?どんな奴なんだ?やっぱり人形か?」

 

知らなかったな。MCXにも恋人がいたんだ。

私の傭兵部隊の話に乗ったのはそれか。

こんな怒りよりも態度に辟易する気分は自分自身が今までどんな事になるだろうか、と気になるところでもあるが…そんな事を気にする理由もないさ。

 

「いいえ?私も隊長と同じ、人間の恋人ですよ。まぁ、男性ですよ」

「警官が男とコレねぇ?あれ?コレって不純じゃない?」

「────おおっとぉ!?これは、差別じゃないですかぁ?これは、セクハラで裁判できますねぇ!」

 

AR-57が例のポーズをして、MCXが食いついた。

人間が人形を差別しているのに、人形同士で差別…などと言ったが…その逆である、人間との関係も不可能じゃないわけね。

 

「人形の民事裁判は離婚とか…互いに弁護士を予め用意する時にしかできないものだし」

「そも、人形が裁判する手続きするには頭がパンクしそうなほど、書類を手書きで書かないといけないからね…あれ、なんらかの嫌がらせなんじゃない?」

 

まぁ、それで人形に権力を持たせたくない側と人形の権利を与えようとしている存在…この双方に納得させるための処置だろうけど。

 

「でも、メリットもありますよぉ?離婚したくても手続きを盾にして、時間を稼げますからねぇ」

「そもそも、お前が結婚できるのかよ?クライアントも」

「失礼ね。聞こえてるわよ?」

 

私にも、彼氏がいるのによくもまぁデリカシーの効かないセリフがペラペラと出てくる。…あれ?これで私何回呆れたのかしら?

 

「そういや、電力切れた後に、このひっきりなしな接続来たよな?誰が切りやがったんだ?」

「私よ」

「ちげえよ、送信を押しとどめてたものがあったはずだろ。それを切ったのは誰かって話」

「心当たりが多すぎるわね。どっかの馬鹿がトラップ踏んで斜め上の解決策を思いついたんじゃない?」

 

オーバーヒートを防ぐために、呼吸が代わりにこうやって話し続けて、体の中に新鮮な空気を取り入れて、状況を誤魔化した。

 

「着いたぁ…」

 

だが、目的の屋上に着いたときにはもう一同の言葉も少なくなっていた。

 

「「「「何この霧?」」」」

 

何とか体の熱に耐えてたどり着いた、屋上の光景は、霧で覆われたタリンだった。

 

M4達と同時刻、M4の小隊から遠く離れたところ…

 

 

────行く?

────束縛が解かれたの?

────来たの?

────天使が来たの?

 

 

崩れた建物の残骸と濁った煙の中から、ぼやけた形がちらほらと現れた。

それらがぺちゃくちゃ話をしながら、これから起こることを期待している様子だった。

 

────新しい身体?それとも同類?いや…破壊、そして壊滅。それだけではない…もしかして選ばれた方?あぁ…教えてください。私は、ここから離れる事はできますか?貴女は私を救ってくれますか?

 

 

そして…その少女達の先頭にいる、少女は駅の屋上に立っているM4A1を凝視した。

 

”警告:多数の未確認存在がレイラ、君を標的にしている”

 

這い寄る声がM4A1に警戒を促した。

 

────14:11

────ユーリ・フレーヴェン大尉

────ヴェルークト:ヴェルグ1

────タリン市内:未制圧区域

 

<ヴェルグ1、こちらカリンカチーム。電力を供給していた施設の中枢が破壊され、それと同時にある程度しまっていた門が、電力切れで開いたのを確認した>

 

先行したカリンカチームから発電所に問題が起きたことを知らされた。

タリンの防衛設備がストップしたとの事。

 

<それに加えて、通信の干渉がさらにひどくなった。かなりの数のネットワークの中継を介して接続を試みている様だ、戦術人形の動きも悪くなっている>

 

タリンの電力が止まっているのに、ひっきりなしの通信?普通は逆ではないか?

 

『了解。その大量の通信が気になるな、念のためこちらの戦術人形は下げておくべきだと提案するが…まだ、制圧していないところでその行為は危険か…』

<なら、こうしよう。ヴェルグチームの担当エリアは制圧間近の筈だ。なら、その担当エリアを、制圧した後、そのエリアを防衛ラインにする。その後、我々も人形をその防衛ラインにまで下げさせる>

 

成る程、無策に自分のチームの火力を減らすよりは火力を引き出せる様に近くで待機させる考えだな。

 

『分かった。その提案に同意しよう』

<了解、エリアの制圧ができたら連絡をくれ>

 

カリンカチームからの通信を終えると、俺達は制圧のペースを上げた。

 

『なんだ…?』

 

パトロールをしていたはずの、グリフィンの戦術人形だ。あのバカでかいMGは誰がどう見てもKordの12.7ミリだと分かる。

 

『────おい?何やってるんだ?』

 

ヴェルグ3が明らかに共同が不自然な人形に声をかける…だが、

 

「あ…あ…」

 

明らかにその人形の動きの様子が変だった。

どれだけ声をかけても反応しない、目にライトかざしても目をそらすそぶりも見せない、まるで俺たちのハッキングにかかってしまったかのように俺たちのことを認識できていなかった

 

「き、霧が…」

『霧?』

「あ…」

 

人形が”霧”という、言葉だけを言い残すとパタリと戦術人形が倒れこんだ。

 

『霧?一体どういうことだ?』

『わからん、特殊なスモークかもしれないし、何らかの身間違えかもしれない。────だが、外傷はない』

 

コンピューターに詳しい、ガルマンが倒れた人形を調べる。外傷がない、ということは内部か?それなら体のどこかがショートして見えるはずなんだが…

 

『そもそも、こんな晴天下で霧なんていう方がおかしい。とりあえず、グリフィンに連絡を入れよう。────クトゥルフ』

<どうした?>

『グリフィンの人形に不可解なことが起きた、霧という言葉を連呼して、倒れたんだ。グリフィンの指揮官に回線をつないでくれ』

<わかった、少し待て…>

 

俺もグリフィンにいたことがあるがこんな不思議な光景は初めてだ、初めての状況を話し合うため、フォトンからの連絡を待っていると。

 

 

木の枝が折れるような音が、静的を破った。物音のする方向に銃を向ける。そこから現れたのは、みすぼらしい難民の姿に見えるが手足が明らかに人間とは違う、人形だ。

 

「……アナタは…誰ですか?私たちとは別の存在…?…敵?」

『それ以上近づくな!でないと、撃ち殺すわよ!!』

「────グルルルル!!!」

 

明らかに怪しい状況下で現れた人形に、ヴェルグ4….ァリサが ケルベロスにシールドを展開させて、反撃を防ぐ陣形を展開する。

 

「そう言うってことは敵ってこと?私を殺したい…?それとも、私に死にたいの?」

「────グッ!?グルる?」

 

ケルベロスの挙動がおかしくなったと思うと、そのおかしな挙動は全身に広がり、グリフィン人形と同じように動かなくなった。

 

人形が警告を聞かずこちらに接近したので、ヴェルグ2はA-762を背部のガンマウントから、取り出すと足元を撃って威嚇射撃をした。

まさか、こいつが人形を動けなくした張本人なのか?

 

『警告はした、次は当てる。…わかったか?』

「────うん、よく分かった」

警告を理解したと頷いた瞬間、俺たちのもとにダッシュして近づいてきた。

 

『────クソッ!!』

「ありがとう…」

 

無論警告を無視して、襲い掛かってきたのでファリサとガルマン、俺の3人の銃撃であっけなく死亡したが…その時の死に顔はまるで、解放されたように穏やかな表情だった。

 

「あれ…?私何を?」

『いったい…どういうことなんだ?』

『気味が悪いぜ』

 

先ほどの人形が機能を停止するのと同時に、ケルベロスや先ほど倒れていた人形がハッと目を覚ました。

 

<ヴェルグ1、待たせたな。今通信が取れるようになった>

 

時計を見る、時計は3分しかたっていなかった。

 

 

────14:17

────RO635

────グリフィン:レイド隊

────タリン市内:隔離壁コントロールセンター

 

<ねえ、本当にそっちは何もない訳?>

「ありません。でも、本当にひどい霧ですね…」

 

M4の部下の報告を受けて、外に出ると本当に街中がとっくに霧で覆われていた。2フィート先見えるか見えないかだ、その上電波状況も悪く敵味方識別がうまく機能せず、このコントロールセンターにたどり着くまでに2回も同じ部隊から誤射を受けた。

 

<な?でも、M4の奴────んて見────ってるん────あ…>

 

うん?聞き逃したか?

 

「ごめん、よく聞こえなかった。繰り返して」

 

恥ずかしさを承知でもう一度、話してもらうようにR5に頼むが…

 

<RO!?────こちら、MCX!あなた達の声────よく聞────れな>

 

やっぱり、聞き取れない…これは、明らかにおかしい。どう見ても、ツェーナネットワークに問題があるのかもしれない。

 

「こうなったら奥の手よ…」

「ツェ―ナネットワークが!!」

「ちょっと!?」

 

みんなびっくりしているだろう、周囲の選択した対象に向けて、私を含めてツェ―ナネットワークを無効にした。

 

本当は、ツェ―ナネットワークを利用したテロリストに対する緊急措置だったがそれを今。仲間のメンバーに使用した。

 

「RO!?どうして?────あれ?霧が消えてる?」

 

やっぱりそうか、私たちは霧が見えているんじゃない。何らかの形で送られてくる大量のデータが私たちの処理限界を超えだし、生存のために視覚情報すらカットして見えた”空白”が霧のように見えただけだったのだ。

 

「RO、助かりました…でも」

「ええ、あなた達のツェ―ナネットワークは私が破壊した。今持っている武器には烙印は働かないわ」

「私はハンドガンなので、あまり烙印の弊害は感じませんが…」

 

そう、今の私たちはネットワークを制限されて今まで以上に敵味方の判別が困難になったり、会話をするには、直接言葉を交わす必要もあるだろう。

 

「あの烙印システムなしの重機を持たせた訓練や常に通常の銃の部品を持たせたのは、そういう…なるほど、来たるべきときに備えた訓練の成果を見せる時が来たようですね」

 

相方のAUGが俄然やる気を出して、銃の分解をして烙印システムの機能を取り外すと、元の銃と同じ分品を組み替えた。

他の人形達も黙々と、AUGと同じように元の銃と同じように組み替えていった。

 

「そういうことよ、私は役に立たない訓練なんてさせるつもりはないわ。さあ、振り切るわよ」

 

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