たったひとつの願い   作:Jget

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変異

<支援砲撃着弾。…橋ごと吹っ飛ばしてやったぜ>

 

カリンカチームの砲撃主からの報告が入り、どれだけの着弾効果があるのかが大まかに分かってきた。

 

<こちら、ヴェルグ5。カリンカ砲撃チーム、北北東から、合流するE.L.I.Dの大隊規模が接近。支援砲撃の時間を少し、遅らせることを提案>

<カリンカチーム、了解した。ヴェルグリーダー、砲撃支援が3分遅れる。それでもいいか?>

『問題ない。3分なら、下がらなくても稼げる』

 

ヴェルークトの対ELID戦術は、最初に近接戦闘とおよび密集戦をするユニット1、支援兼交代のユニット2、支援部隊である、ユニット3。この3つの連携で行われている。

 

『さらに、先行している敵感染者に接敵』

『まだ数は少ない。トラップに近づかれる前に、落ち着いて倒すぞ』

 

今回のユニット1は、ヴェルグチームの前衛部隊でユニット2は、グリフィン人形とヴェルグ隊の混成部隊、ユニット3はカリンカチームといった具合だ。

規則通りなら、最初に武装ヘリコプター又は重砲による空爆からスタートする。だが、この汚染状況でヘリなんてたはざるわけがなく。今回は重砲と重装部隊による支援砲撃。

重砲は一撃の火力に優れる。

 

『終わりですかね?』

『水を飲む時間なら、あると思うぞ。ヴェルグ2』

『なら、今のうちに』

 

その後、残存および爆音を聞きつけた感染者を散らばらない様にユニット1が所定位置に引きつける。

今ユーリとヴェルグ2の隊員、アキ・テルラフ、そしてその2人のお付きの軍用人形がやっているのがそれだ。

 

『ふぅ、生き返る…って、また来てますね…!』

『化け物達も、怠け者がお嫌いで粛清せずにはいられないのか?』

 

この為、ユニット1の装備は9ミリ×19のサブマシガンもしくは5.45ミリ×39又は9ミリ×39のアサルトライフルと近距離用の長刀が装備される。

今持っている、ユーリのライフルはA-545"6P67"タイプだが、任務の環境によっては、9ミリ×19のPPK-20を採択するときもあった。

 

<合流の確認した!支援砲撃、いくぞ!!>

『シールドを!』

 

映画の爆風のような衝撃で骨をなるべく傷つけないやつに、ガントレット型の装置から、青い光を放つシールドを展開。

 

『…くっ!』

『ぬぅ…!』

 

前衛部隊には生存性と着弾の巻き添えの回避の為、シールドも装備される。

 

『爆撃で吹き飛ばしても、先頭は残るよな!』

『そろそろ…トラップにかかりそうですが…』

 

先頭を走っていた為、重砲の砲撃をすり抜けた感染者がユーリ達の前に岩雪崩のようになだれ込む。

 

『(まずは足元から…ドミノ倒しだ)』

 

ユーリが放った、A-545の射撃で足元に当たった、先頭が勢いよくすっ転び、そのすっ転んだ感染者が原因で次々と転がっていく。

 

『ユニット2の援護を確認!』

『潮時だな。ラインを下げるぞ』

 

ユニット1の射撃射程距離はおよそ250メートルから、そこから残り、100メートル程まで、感染者がやってきたら、ユニット2が支援射撃。

 

『腐肉喰らいがトラップに掛かりました!』

『急ぐぞ!長持ちするとは限らない!!』

 

さらに、50メートル以内には、足元に高圧電流と7.62ミリ×39弾を発射する自動ターレット、このトラップが次の防衛ラインまで、撤退するための時間を稼ぐ。

ベオグラードの時といい、ターレットは縁の下の力持ちだ。

この時に、ブースターは使わないで走って次の防衛ラインまで下がる。この理由は単純なのと複雑なのがある、単純なのは飛び上がると燃料をたくさん使うから。

複雑なのは、飛び上がった時に運悪く、味方の援護射撃にぶつかったり、飛び上がるせいで射線を塞ぐ可能性があるから。

 

『ヴェルグ1が防衛ラインを離れる、それが最後の1人だ』

『よし、こっから本格的に固定砲台の時間だぞ!!』

 

ユーリとアキを援護する、ユニット2。

こちらの装備は人形、人間共に5.45×39ミリアサルトライフルまたは7.62×54のライトマシンガンを装備している。

 

固定砲台だと語った、ヴェルグ3"グレゴリー・スノウロフ"が使っているのも、PKP"ペチェネグ"の特殊部隊仕様の"プルパップタイプ"だ。

 

<こちら、ヴェルグリーダー!次のライン辿り着いた。ユニット2は支援砲撃は一旦休憩しろ!!>

 

下がっては支援を受ける。

以上の手順を繰り返して、感染者を殲滅させるのがヴェルークトの一般的な戦い方である。

 

余談だが、基本的にKCCOはE.L.I.Dと戦う際に今、戦闘している編成の部隊10倍の人員と火力で作戦を決行するらしい。

こればかりは、規模と予算の差である。

 

ユニット1に配備されている軍用の戦術人形は本来なら1人につきアイギス3体とミノタウロス2体。

だが、今回の異性体の異変の関係上手動操作となり、動かしているのは1人につきアイギス2体とクラトス1体になってしまい、火力不足気味。

ユニット2は、なるべく感染受けない箇所で人形を置いているのでサイクロップスとヒドラの4体ずつが万全な射撃でユーリ達をフォローしている。

 

『援護を突き破って、やってきました!』

『サプライズゲストか、構わん!何度でも歓迎してやる!』

 

────AR-15

 

「ぐぅっうう!!」

「くそ……相変わらず、ゾワっとするわね!」

 

装甲列車で起き上がった、感染者の波はAR-15達にもやってきていた。

今はなんとか大きい、ビルで籠城戦をしている。

 

「E.L.I.Dども!大盤振る舞いだ!50発分持ってけ!」

「AR-57!もういい!撤退よ!」

 

一階につき、8つの防火シャッター。

どれも昔であっとしてもタリンは首都圏であった事実は本当らしく安全基準を満たしていた。

今はそのシャッターをバリケードとして壊れそうになったら撤退を繰り返していた。

 

「来た!AR-15達!」

「ぎゃああ!?E.L.I.Dもたくさん来てるぅ!?」

「(足元を狙って…転ばせる!)」

 

撤退するAR-15達が位置につくまで、今度は404小隊が守りに入る。

HK416は2度とはいえ、E.L.I.Dとの戦いをアンジェリア救出作戦とベオグラードで経験しているからこそ、冷静にかつ、ある程度有効な戦い方を編み出している。

 

「うそ!?止められない!?」

「────イヤアアアアアア!?怖いよオオオオオ!!!」

 

だが、UMP9とG11はE.L.I.D戦は初めてだ。

取り敢えずE.L.I.Dの進行を止めるために転ばしてくれたら、それでも助かるが、G11は酷いパニック状態で半狂乱で叫びながら銃をぶっ放している。

404の中でも1番えげつない殺し方を心得ているG11は、E.L.I.Dに食い殺されるというこの世で1番悲惨なかもしれない死に方をするのではないか怯えている。

 

「頭を無理に狙わない!当てられるところを当てて動きを止めて!」

 

そもそも404は対人部隊の経験が強い。

なので、高い威力の弾丸を持っているのが現状5.56ミリのHK416。

そして5.56は汎用的な弾丸である。

こういう強制的に正面切った戦いに引き摺り出してくるE.L.I.Dとはすこぶる相性が悪い。

 

「限界よ!次のシャッターまで後退!」

 

404小隊は全力で融合勢力のいる場所まで後退した。

 

「あとはよろしく!」

「おい!AR小隊の細切れより早く帰ってきたぞ!?」

「どれだけ増えている!?」

 

融合勢力の鉄血人形は予想よりも早く撤退してきた404小隊の姿を見てこれから自分たちがどうなるのかと不安になっている。

 

「ダァアアッ!!死ななネェ!?ウッゼェエエエ!!!」

 

鉄血の兵士の言葉ですら気に障ってくる、うるさいのはお前の声だ!気が散るわ!!────と

 

「下がれ!下がれ!」

 

数が自分たちよりも多いので、404小隊より長い間持ち堪えたものの、鉄血も鉄血でこの防火シャッターもE.L.I.Dの津波で破られる。

階段を使うか?それとも…エレベータか…こんな停電した状況下で防火シャッターを降ろせているのは非常用電源を使っているからだが、その非常用電源でも限度というものがある。

他にも問題や課題はある、仮にエレベータを動かすための電力が残っていたと仮定して、エレベーターは安全のために一定の範囲内に人が入ったら閉まらないように工夫されている、追いかけてきた感染者には院内までに辿り着かれてしまったら最後に逃げはない。

だからと言って階段は、狭い。エレベーターも狭いが一回ドアが閉まればそのまま上に直行だ、階段を使うとなると段差で登る高さに疲れを感じてくる、できるのならエレベーターを使いたい…だが、その判断をするのが少し遅いかもしれない。

 

「バリケードが破られた!」

「クゾが!」

 

エレベーターが閉まるまでの時間を稼いでもくれなかった、防火シャッターが破壊されて感染者がなだれ込む、階段を選ぶしかない────そう思った時────

 

<────委託!ストレス発散!からの飲酒!>

 

甲高いとは違う、体全体に響く重圧を感じる銃撃の主はKord重機関銃。

その弾薬がビルの壁を突き破り、貫通した弾丸がE.L.I.D感染者を鋭く、切り裂く。

 

<エレベーターに乗ってください!>

「範囲内に来られたら、エレベーターは閉まらないのよ?」

<だからこそ、急いで!>

 

釈然としない感覚のまま416達は声の主に従い、エレベーターに乗り込んでいった

 

「────404小隊の撤退を確認!」

「よくやった!あれで暫くは持つでしょ、kord…暫く銃を休ませておきなさい」

「はい、分かりました」

 

kordは部隊から逸れていた人形だったが、RO達に救助いる。

今は部隊の人形と逸れてしまったので半ば感染者を抑える手段として手を貸してもらってい?状況だ。

404小隊の援護を完了した。

神出鬼没のE.L.I.Dが手薄になった場所にやってきた場合に備えて、RO達の部隊はE.L.I.Dがやってきた進行方向とは逆の位置に潜伏していた。

この位置なら感染者がこちらに来る事はないし、来たとしてもこの人数で対応できる数だ。

 

「資料は?」

「やっぱり、パラデウスと繋がりが…」

「でしょうね」

 

その間、RO達はタリンで残されていた資料を集めて読み漁り、何かを探しているらしい。

 

「RO、連鎖反応が強くなってきました」

 

計器を見ていた。

DP-12がさっきにも増して、感染が強くなってきたことを報告した。

恐らくM4が何かを掴んだ可能性が高いと言うことの証明だろう。

 

「信号側の位置は?」

「M4に近づいていません…花園に向かっています」

「さっきまで近づいていたのに今更、なんのつもり…?」

 

ROが計器を見間違いがないか確認したが、たしかに連鎖を生み出していた信号はM4A1がいる位置から外れてエピフィラムの花園へと移動して行った。

 

「これからどうするの?」

「決まってるでしょ、これから────」

 

 

 

その頃、M4とUMP45は崩れる電子空間の中前は前へと走りながら崩壊から逃れようとしていた。

 

「こいつは…?」

『該当人員ナシ…排除シマス』

 

出口の光を塞ぐように虫みたいな姿をした、巨大ロボットが火のように小さく、針のように細長いエネルギー弾が襲いかかる。

 

「グッ…!!」

 

M4にエネルギー弾が飛んできたが…ハイレディで銃を構えていたおかげで、運良く銃を盾にして攻撃を防ぐ。

 

ハイレディ────銃口を上向きに向けた状態で持つ射撃準備。

下半身が自由になるので一番移動しやすい射撃体制とも言われている。

銃口が上に向いているので、銃口を味方に向けることがないので誤射を防ぐことができ、 階段や建物の2階といった上からの攻撃から即反撃するには効率的とも言われる。

ただし、射撃までにかかる時間はストックが肩に掛かられていないため、動作の数が多くなり、他の射撃耐性より比較的遅いと言われており疲労が溜まりやすいとも言われている。

 

だが、銃を上に構えることで細い範囲ではあるが銃を盾にすることもできる…が、部品や武器の補完に責任が付き纏う軍隊では、あまり推奨されない行為ではある…これは、元ではあるがPMCだからこそ出来る行為なのかもしれない。

 

「この野郎!!」

 

UMP45が反撃する、だが…偏向衝撃が銃撃を弾く。

 

「────どけっ!!」

 

M4がガンケースを起動。

鉄血のジュピター砲を多少下回る程…だが、威力はあのドッペルゾルドナー、正規軍の自律戦車のデュポーンを軽々と破壊する重火力は規格外と呼ぶのにふさわしい。

 

「当たれ!」

 

砲撃が直撃…巨大ロボットは多少よろめいただけで大した損傷は見られない…だが、偏向障壁を放っている時に現れる、障壁が消えていた。

 

「シールドが割れた!!」

「蜂の巣にしてやる!!」

 

UMP45のストックを肩に当てた状態でほぼ射撃姿勢になり即座に射撃対応が可能な即応性に優れた姿勢のコンバットレディ────

視界を保ちながら移動できる。スピードを活かす、UMP45には攻撃しながら回避をする為の最も効率的な戦闘スタイルだろう、ハイレディと違い、反射的に撃ってしまう可能性が高くなる可能性を除けば、だが。

 

『────…』

「効いてない!?」

 

攻撃を違う方向に逸らす、偏向衝撃を破壊したはずなのに、まるで攻撃を受けたような反応がない…

 

「バケモノが!!」

「どうする…?」

 

勢いよく、パラデウスのロボットが飛び上がる。

 

「────」

 

着地した瞬間、M4A1は狙い澄ましたようにガンケースの砲撃を放つ…聞かない事はなんとなく直感でわかる、だが…ここで相手する時間がない事も理解している。

M4A1が選んだのは────巨大ロボットが着地する地面だ。

足元を崩せば、体制が変わる、4本足の細長いロボットだ体制が崩され転んでしまったら最後立て直すのに時間が掛かるはずだ。

 

「スモークを!!」

「マークを忘れないで!」

 

UMP45もこちらの意図を理解して、狙いを勘づかれないようにする為にスモークグレネードを2人の足元に転がす。

そしてグレネードから大量の煙がM4とUMP45を包み込んだ。

巨大ロボットもサーマルでM4A1達を探ろうとするだろうが、それだけの時間を稼げるのならそれで結構、その時間で段取りを整えている。

 

「いけっ!!」

 

放たれた砲撃が今にも着地しそうな地面をロボットごと勢いよく吹き飛ばし、爆炎の代わりに衝撃が地面に迸る。

そして、その一撃は巨大ロボットを呆気なく吹き飛ばした、さっきまで傷一つつかなかった筈の、無敵だと思われたロボットを…だ。

 

「────は?M4、アンタ何かやったの?」

「いや…私は運良く転ばせることが出来たらなって…」

 

倒せると思わなかった一撃だ。

だが、現にあのロボットは破壊されている…何が起きたのだろうか?

 

だが、考えている余地はない。

あの不思議な現象は後で考えればいい、結果オーライだったと、受け入れながら2人は再び崩れ出す電子空間の先を逃れる為に急ぎ、走り出す。

 

走って…走って…走り続けて…漸くたどり着いた。出口は…まるで幻想的な花園だった。

 

「これは…エピフィラムの花園?」

 

────よく来たわね…

 

空から、待っていたと言わんばかりの声が左の集音器に響く。

 

「いきなり居なくなったけど、あなたは一体、何がしたいの?OGAS?」

────連鎖を安定させていた…真相にたどり着く道を敷いただけ。

 

一泊ほど置いて、OGASが返答した。

 

「どこが道よ、一歩間違えば、アンタのお陰で落とされそうになったわよ?」

────ネズミを落としたいだけよ。

 

ネズミ、恐らくUMP45の事だろう。

 

「悪いけど、UMP45は殺させないわよ。死なれたら困る」

 

まず一つ目の約束、自分の目の前でUMP45を殺させない事、それがUMP45のOGASとの約束だ。

 

────M4はこの光景を見て、何かを感じる?

「さぁ?懐かしい感じはする、でも経験をした覚えはない他人の記憶よ。それに関する感覚は"気持ち悪い"それ以外に感情もないわ」

 

M4A1は迷いなく、キッパリと答えた。

自分が作られた理由に興味はないし、それに引っ張られて生きるつもりはなく、M4A1は"ルニシア"ではなく"レイラ"としての人生しか生きる気はない。その意思表示として"気持ち悪い"と答えのだ。

 

「この決断をあなたがあの異性体と同じく価値がないというのならそれでも構わない。私はあの異性体達と同じ末路を辿る気も毛頭ないわ」

────価値ならある、前にも言ったでしょ?貴女は自分の行動でその資格を…価値を勝ち取ったのよ、だからこそ彼女は貴女を歓迎したわ

「彼女…?」

 

光が包み込み、そこから…ゆっくりと歩み寄る1人の少女がゆっくりと近づいてくる。

 

「アレが…」

【計測:ジャミング周波数が一致。連鎖分裂の首謀者よ】

────アレは、私じゃなかった。エリザのお陰でハッキリしたわ。

「……鉄血がここに?」

────最もエリザ達はこの失格異性体になんの意味を見出せなかったようだけど…

「という事は、M16も来たんでしょう。M16が傘ウイルスに感染しているという事は…」

「同じく手がかりを求める…と?」

────そもそも、私はOGASから派生した意識そのもの、その場合その意識は宿主によって姿形が変わる…

 

UMP45が一定の見解を述べると、OGASが再び語り出し、風景は最初に見た不可解な森と背景に切り替わった。

 

「だから、UMPのOGASは…」

 

UMP45の最も影響を受けた人物…UMP40の影響を受け…いや、UMP45のUMP40に馳せる思いが強すぎて、OGASがその形になった。

 

「私にもOGASが…?」

「やっぱり気づいていなかったのね…」

 

突然の事実に、UMP45は動揺しつつも事実を否定できなかった。

心当たりがあったのかもしれない。

 

【推測:超事件でのファイルに記載された症状は傘ウィルス感染と同じ症状が見られる】

 

あの装甲列車の時間で手に入れたファイルか!

自分が今までどれだけ苦労しても得ることが出来なかった力は自分にOGASが宿って出来たものだということを…

 

────私のOGASは…ルニシアだけのOGASなのよ。あなたがM16と行動して一度分裂した作戦…あの、エージェントに首を絞められた作戦…もう、その時に貴女に傘ウイルスが潜んでいた。

 

────傘ウイルスは、人形を鉄血にするためのウイルスじゃないの、メンタルそのものを元々のメンタルを"食べる"事で"托卵"するプログラムなの

 

UMP45の言葉を思い出す、托卵するプログラム。

そして、その卵から生まれたのが、私の頭の中にあるOGAS…だとしたら、

 

「まさか…OGAS…私達をここに誘き寄せたのは…!」

────私が間違っていた…私とあなたはそもそも一つの存在なのよ…

「マズイわ、M4!!」

「やられた、アンタを信頼した私が馬鹿だったわ!取引は解消よ!」

 

UMP45の危惧は正しかった、素手に無数の触手のような腕が2人を取り込もうと現れ出す、M4A1がガンケースを背景向かって、引き金を引く…

 

「出口が!!」

「今のうちに…!!」

 

破壊された背景の中から混濁した色の世界が見える。

あそこから私たちはこの世界に入ったのなら逆のこともできるはず…

 

────無駄よ

 

しかし、一瞬で穴が塞がっていく…その光景に一瞬手が止まる。

だが、その手を止めたのが命取りだった。

 

「────ゴハッ!!」

 

手を止めた、UMP45の腹を触手が貫いたのだ。

 

「────UMP!!」

────よくも、この世界で好き勝手してくれたわね…!!アンタもあの男と同じように邪魔なのよ!!

「────OGAS!今お前なんて言った!?」

 

ガンケースは一度撃ったら、再装填に時間が掛かる。

M4A1は自身のライフルを取り出すと自分の周囲を取り囲んだ触手を薙ぎ払う。

 

────もう、そんな事を気にする必要はないわ。

「イライラする…!!私に気に障る言葉言うのがそんなに楽しい訳!?」

 

弾丸が切れて、タクティカルリロードしようとする腕を掴むように現れた触手を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばし、蹴り飛ばされた触手が他の触手に衝突、次々と他の触手を巻き込んでがんじがらめにする。

 

────大丈夫。あなたならみんなの存在を受け入れられる

【警告:OGASと複数のネットワークが侵入!】

「────あぁ!?煩いわね!!お断りだって言ってるの!!」

 

一瞬の隙をつきM4A1がUMP45の元に重火力とは思えないほど凄まじいスピードで走り出し、UMP45の元にたどり着くと体に突き刺さった触手を見た目からは想像もできない凄まじい腕力で豪快に引きちぎる。

 

「────ゴホッ!ゴホッ…!!」

「まだ死なないでよ…!!」

 

死なれたら、迷惑なのだ。

ここで死なれたら、UMP45のOGASから約束を守ってもらえない、

 

 

「────!」

 

無数に現れた触手が次々と盾になる。

本命だと思われる触手が、M4の銃を握っていた右腕を絡めとる。

 

────ひとつになりましょう?

「このっ…!そんな小道具で止められる私じゃないわ!!」

 

だが、M4A1もその事は予想できていた、すでに左足に取り付けていた、愛用のハンドガンFNX-45のセーフティを親指で解除しつつ、ハンマーを下に押し下げ、他にも絡め取ろうとした触手を弾きながら、右手の絡み取ろうとした触手を強引に引き千切る!

 

────これも、あの男の影響だとでも?

「そうよ!!私は彼のものよ!アンタに渡すか!!」

 

明らかに不利な状況で、縦横無尽の無双っぷり、これをUMP45を守りながらやっているのだから、OGASも驚きを隠せない。

 

────メンタルは奪わないわ。ルニシア。

「────うるさい!誰がルニシアよ!兵器の名前以外にもねぇ!私には"レイラ"っていう、お気に入りの名前があるのよ!!」

────M4!!お待たせ!引き上げるよ!!

 

OGASの声に介入して、電子空間が再びひび割れるとUMP45のOGASの声が響き渡る…!

 

────このOGAS…!?まさか、ルニシア!アナタ!!

「悪いわね。取引相手はアンタ以外にも確保してるのよ!」

 

────待ちなさい!ルニシア!あなたが私達を家に────

 

「私はアンタらの家なんざ知らないのよ!じゃあね!マヌケ!!」

 

M4A1はUMP45を抱えるとUMP45のOGASが開いた電子空間にダイブするとそのまま吹き上げられるように上昇していく。

 

「────」

「新手か…!!」

 

先程まで、花園にいた異性体が下からどんどん追いついてくる…その距離…600…300…100…20…3メーメル。

 

────次の瞬間、異性体の手がM4A1の手に触れた。

 

「せめて…UMP45だけでも…!」

 

M4A1がUMP45の手を離す…すると、景色が暗転して、前に見たような花園にいた。

だが、その位置は前には決していけなかった、花園の奥だった。

 

────みんな…一緒なら、何も怖くない。

「────これが融合とでも?」

 

最悪の気分だ。自分の知らない思い出が、理解出来る様になっていく、それだけではない…

 

────…助けてください

────も○ろ(

────あ♪がと>ござ_ます、例えこ6が無駄 ○足だった :しても…(の、ご^は忘○ません。

 

今まで自分が生きてきた記憶がどんどんと淡白に…まるで、どうでもいいようにと少しずつ変わっていく…

 

【警告:メンタルモデルに複数の侵入!】

 

「消える…消える…消えていく…!?」

いやだ!────ダメダメダメ!?

 

「────何も心配しなくていい?ですって?」

────ふざけるな

「グガガ…ギ!!」

 

──── 私も君の事が好きだよ、M&

「────ガガギギッッ!私も……すきよっ……!」

 

ああ、彼の声が聞こえる。それが私の抵抗力になる。

渡すものか…いや、私の記憶よりも他の奴の記憶の方が重要な訳がない

 

「グガガ…ガギッ…ガ、ガエセ…」

────みんな幸せ?

────ルニシ

 

それしやない、違う、ふざけるな、

電子状の体が、ボロボロと崩れていく…大量の水をかけられた砂の城のように…

 

「返せ」

 

こんな明らかに危険な状態で愚かにも融合しようしてきたメンタルが溶けていくM4A1に入り込もうとする。

 

「────失せろ」

 

"何か"が、融合しようとしたメンタルを一瞬で引き裂き塵に変える。

よく見ると、その"何か"は巨大な爪のような形をしていた。

 

「────ガァエズェエエエ!!!!」

 

ドロドロと溶けた体が、爪の方に集まっていく…これは融合ではなく…まるで変異の様に

そして、その爪が勢い割れると、その中から…巨大な異形と化した、M4が現れた

 

「────サッサと消エナァア!このアマ共ォオオ!!」

 

「これは!?」

 

数値を見ていていた、MCXが驚愕の声を上げた。

 

「どうした!MCX!?」

「クライアントのメンタルサイズが戦術人形の肉体の許容値を超えてるっ!?」

 

最初に計測した時は気にも留めず、まだまだ余裕があり安定したはずのメンタルがしばらくオーバーロードを起こしそうになったので原因がわからず途方に暮れていたのに、今度は突然M4A1メンタルが彼女自身大きさがの肉体を凌駕しようとしているのだ。

 

「肉体の許容値を超えたらどうなるの!?」

「パンパンになった風船みたいにM4A1は肉体以上のメンタルの大きさに潰されて内部から崩壊する!」

 

MCXの回答はR5を戦慄させるものだった。

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