たったひとつの願い   作:Jget

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どんな姿になったとしても

『どうした!?こっちは盛り上がってるぞ!』

 

忙しいので、時間経過でかかる通知用のスイッチが自動で起動して、MCXからの連絡が入る。

 

<M4A1が危険です!>

 

聞けば、M4のメンタルモデルが巨大化して、自分自身の許容量を上回りかけており、このままでは危険らしい。

 

『────隊長!!行って!!』

『お前1人で支えられるのか!?』

 

戦いは、長刀を振り回して戦う、近接格闘戦。

人員が欠けると、その抜けた穴から虫の様に感染者が襲いかかる。

 

『私にも…仲間がいますから!!』

 

ヴェルグ2が飛びかかる腐肉喰らいの首根っこを、普通の兵士よりも慣れた手つきで掴んで、バスケットボールのバウンドの様に叩きつける。

 

『────早く!!』

 

叩きつけた、感染者の頭が砕け散り、血と肉がヴェルグ2のヘルメットにこびり付く。

 

『…何を言っても聞くつもりはないらしいな…分かった、ここは"君達"に任せる』

 

ヴェルグ2の意見を聞き、この場をヴェルグ2に任せて、ユーリはM4が接続していたところにたどり着いた。

 

『着いたぞ!!』

「大尉!」

 

ユーリがM4のところに辿り着く。

恐らく、M4の現状をある程度理解しているMCXが端末をユーリに見せた。

 

『どうして欲しいんだ!?』

「見えますか?数々のメンタルモデルがM4A1に入り込もうとした時に、M4A1が巨大化した!」

 

残念ながら、これはオーラ状エネルギーの類いとしか見えない。

 

「なぜ、これほどの巨大化が起きたのかはわかりませんが、このままでは隊長が危険です。どうにか、連れ戻さないと…」

『俺は人間だぞ?』

 

人間がマインドマップに侵入か…命令や伝達はマイクロウェーブで受けとって、それを人間の脳でも耐えられる様に変換して、情報を伝達する仕組みだが…

 

「このプログラムで、電子マップに潜入できます、隊長が一番信用しているのは貴方です、時間もかけられない以上、最も手早い方法でいかないと…」

 

今回は、電気信号を直接、受け取る…それを変換もなく、無数のメンタルマップも受け止められるのだろうか。

 

『状況は分かったが、人の脳で、電子演算分のプログラムを受け止められるのか…』

「その分の補填を私達がするんです。数十分は稼げるよ」

『了解した…全く、電子マップの世界なんてあんまりやってないぞ…』

 

コードをコピーアンドペーストで、マインドマップのパスワードのアンロックを済ませる…あとは、侵入する事を選択するだけになった。

 

「最後にやったのは?」

『訓練の時…6年も前だよ』

 

それでも、終わったあとは吐きかけた。

それほど、情報量を脳で理解するためのプロセスは厳しい行為なのだ。

 

「未経験じゃないんだね?なら、いけるって」

『マジかよ…よし、じゃあ。────行ってくるか』

 

了承の画面を選択した瞬間…ドボン!と突然海に放り投げられた様な感覚がユーリを襲った。

 

────グリフィン:AR-15

 

その頃、AR-15が監視カメラで感染者の動きに合わせて、防火シャッターを動かしていた時、突如動き出した、エレベーターが屋上にたどり着いて、ドアが開く。

 

「…」

 

セーフティを外して、ショートバレルの方のライフルをエレベーターの方に向ける。

 

「────撃つな!味方よ!!」

 

ドアから出たのは、HK416達404小隊と融合勢力の鉄血兵だった。

 

「感染者かと思った」

 

ドアが勢いよく開かれる。

 

「────オオオオッ!!!」

「クソがっ!!」

 

シャッターの壁を抜けた、一部の感染者だろう。

サイトの焦点を合わせて引き金を引き頭を狙う。

 

「────オオッ!?」

「短距離走でもしてた?」

 

AR-57は今にでも届きそうなE.L.I.D達を5.7ミリと階段の転びやすい構造を何度もE.L.I.Dを転ばせて利用して押し留める。

 

「リロードして!」

「了解!」

 

リロードするAR-57と入れ替って現れたSTAR-15の弾丸は首に命中、着弾位置が少し低い。

そこから少しだけ…1ミリくらい上にサイトを合わせて引き金を引く。

 

「────オッ…!?」

 

今度は頭に命中、頭である必要はそこまでないが、脳を揺らされる時に発せられる衝撃は全身に行き渡る、ヘルメットで弾薬を防いだ兵士が衝撃で気絶したまま植物状態になった事例もあるくらい、脳から全身にかかるダメージは大きい。

 

「下が酷い!もっとどうにか出来なかったの!?」

「────今すぐ、たたき落としてやろうかしらっ!?」

「喧嘩するな!あと、どれくらいはもつ!?」

「アレで30分持ったら、奇跡ね」

 

AR-15はHK416の報告に確信を得て頷くと、屋上に置いてあるサプライのロックを開ける。

 

「これをここと、ここに取り付けて」

 

中身は爆弾だった。

これで屋上に来た感染者を軒並み道連れにする気なのだろうか?

 

「アンタ、私たちに心中しろって言いたいの!?」

「違うわよ。まだ中身がある…みなさい」

 

続けて、サプライから出てきたのはパラシュートだ。

 

「アンタらが爆弾を取り付けた後に渡してあげる」

「2つしかないけど!?」

「そりゃあ、私とAR-57の予備だもの」

 

つまり、予備のパラシュートとだから全員分を用意できたわけじゃないということだ。

 

「AR-15、そろそろ最後の防火シャッターが破られる!感染者が来るぞ」

「ああっ!くそっ!!迎撃よ!屋上に来させるな!ドアの前に立って、撃ちまくれっ!!404は爆弾を早くつけろ!!」

 

「言われなくても!!」

 

UMP9が口を開いている頃には、すでに爆弾を指定された箇所にセットしていて、あとは配線を繋ぐだけだ。

 

────30分後

 

「────オオオオオオオオオッッ!!」

「ひぃっ……!」

 

なんとか30分持たせたその頃、下の階から唸り声が聞こえG11が震え上がる。

その数秒もしないうちに銃声が屋上に繋がるドアの辺りで鳴り響いていた。

 

「────セット完了!!」

「ほらっ!!約束よ!!」

 

AR-15がパラシュートを3セットUMP9、G11、HK416に投げ渡す。

 

「本当にこれだけ!?45姉の分は!?」

「それで全部よ!!貰えるだけありがたいと思いなさい!」

 

AR-15が、一足先に屋上にある、穴の空いたフェンスを潜る。

 

「死にたくないなら自分で工夫しろっ!!」

 

AR-15に続いて、屋上が持っていた鉄血たちも穴の開いたフェンスの方へ向かって、飛び降りていく。

 

「────あぁっ!もう行っちゃった!?」

「無責任なヤツ!!」

「くそ!ドアが!!」

「────オオオオオオオオオッッ!!」

 

抗議する暇もなく、大量の感染者が屋上にやってきた。

 

「抱えるなりなんとかして、とにかく行け!」

 

起爆のために最後まで残っていたAR-57が飛び降りるように促す。

 

「こうなったら、仕方ない!私が45姉を抱えて飛ぶっ!」

「落としそう…9って、不器用だし」

「後ろ!G11!!」

「────オオオオオオオオオッッ!」

 

AR-57のカバーから外れたE.L.I.D達が血走った目で自分たちを喰らおうと飛びかかろうとしていた。

 

「急いで!持ち堪えられない!」

「「「クッソおおおおお!!!」」」

 

このときだけ、珍しく404小隊の息が合ったかもしれない。

必死の形相で穴の空いたフェンスのところまで捕まらない事をあれほどいないと決めつけていた、神に祈りながら、全速力でダッシュをして、助走をつけた後、高層ビルを飛び降りた。

 

「やっと行ったか……これは臨時報酬もらうからね!クライアント!」

 

404小隊が飛び降りるのを見た届けたAR-57もビルから飛び降りるとパラシュートを展開。

そして、爆弾を起爆。屋上ごと吹き飛ばした。

 

「────ううっ!!」

 

UMP9、必死に腕を動かして片手だけでUMP45を抱えたままハーネスを力任せに引く…そして、シュッと音を鳴らせて背中からパラシュートが膨らみゆっくりと落ちていく。

 

「────うう…」

「45姉!帰ってきたんだ!!」

 

一足先に、電子空間から抜け出した、UMP45の目が開く。

 

「お陰様って────何よ!?この状況!!」

 

目に映ったのは、自分の足が地面につかずユラユラと落ちていく景色だった…

 

────グリフィン:RO635

 

「もっとそのデカいケツをあげろっ!!」

「うぅ…重労働」

「逸れた時に十分休んだんでしょ?なら、もっと働けます」

「ブラックすぎっ!?」

 

その頃、RO達のR部隊は案の定側面から侵入してきたE.L.I.Dを食い止めながら後退し、フォトン達の大陸横断列車の方へと走っていた。

 

「寝てもいいわよ。ここで生き残れる自信があるなら」

「頑張るっ!頑張りますから!置いてかないで!!」

 

ようやく悲鳴を上げながら辛くも、フォトンのいる築かれている陣地のところまで来れた。

 

「────これが、今回のパラデウスの資料です」

 

RO達は秘密裏に回収されたパラデウスに関する資料を一通り集めた。

 

「よくやったわ。これは、詳しく調べないと」

「それで?AR-15達は?通信が安定する様にら無線を強化している筈だけど?」

 

グローザは資料を受け取り、フォトンはSTAR-15を尋ねた。

 

「────最後のやりとりからして、M4の傭兵のAR-57と融合勢力とともに健在です。ただ…多少問題が」

 

問題とは?とフォトンが尋ねた。

 

「報告されたとおり、あの異性体達の素体の出どころを調べていたのですが…途中で、404小隊と接触。その時に、生きていた異性体とUMP45がつながってしまったらしいです」

 

「厄介だな」とフォトンが唇を噛む、予想が正しければUMP45が引き摺り込まれてるはずだ。

 

「回収を進言しますが…如何なさいますか?」

「勿論、回収だ。外務省は?E.L.I.Dとどうなってる?」

「健闘しています、傍受した所…M4A1のメンタル容量が急激に上昇しているらしいです」

 

「────なんだというんだ?なぜ、大きくなる?」

 

ROも首を振って、「分からない」と告げる。

 

「作戦を少し書き換える。R部隊はAR-15と404を回収。その後、それとなく外務省の援護に向かい何が起きているか聞き出してこい」

「了解です、補給後…すぐに回収に向かいます…!」

 

 

────ユーリ

 

 

「M4っ!────これは…デカイな…」

 

電脳区間に入ってから、数分…まるで、スキューバダイビングのような感覚から解放されたと思ったら、目の前にはM4だと思われる、巨大な姿をした存在は体が恐竜…いや、ドラゴンの様な姿をしていた。

 

「M4!俺の声が聞こえているか?」

 

────ゥウガァアア!!!

 

「────!!」

 

何かが飛び出してくる、ユーリはブースターを侵攻方向の真逆向けて、さらにGによる衝撃を防ぐための対ショック姿勢を取る。

 

間一髪だった、切り裂かれる。

その寸前で巨大な鉤爪をユーリは避けた。

 

────ゴオオォ!!

 

今度は真っ黒な髪と白い服をしたゴーストが無数に現れ襲いかかる。

 

【援護:失礼するわ】

 

だが、そのゴースたちは真っ白な髪を表に、裏に緑の髪をした女性によって纏めて撃ち滅ぼされる。

 

【確認:会えてよかった。無事じゃなかったら、あの子に顔むけできないもの」

「あなたは?」

 

助けてくれたから味方……と思いたいが、それすら仕組まれている可能性をユーリは警戒する。

 

【逡巡:そうね。言葉にするのは少し信じてもらえないでしょう】

 

本気で悩む目の前の女性、自分たちの理解もつかない何かなのだろうか?

 

【切替:それよりも、レイラの方を気にしないと。ほら、アレを!】

「────う…」

 

だが、M4だと思われる存在に取り付こうとしていた、ゴースト状の少女達が呆気なく切り裂かれて、血と肉を飛び散らせた。

 

「……あれは?」

【回答:パラデウス達が廃棄した失敗作の成れの果て……と言ったところかしら。あの子はあなたに会えて自分を手に入れたけど、アレはその自分を手に入れいることが叶わなかった】

 

だが、それでもあのゴースト達は絶えず群がろうとしている。

 

【警告:アレはM4、正確に言えば彼女のメンタルを奪おうとしている。彼女はそのメンタルを寄せ付けないためにあの姿になった】

「あの姿が?あいつらもあれを見ても…やるしかないと思えるか…」

【説明:あなたが必要なの。私はあなたを案内するためにM4を守るのを切り上げてここに誘導した】

「キミの目的は?」

【回答:あなたにはM4をここから脱出させてほしい。すでに、タリンの問題はあの障害物を力ずくでなんとかするだけになった。私はあの子が助かることを望むわ】

 

正直、怪しい。

そもそも彼女が何者かわからない。

 

【催促:はやく決断なさい。どうにもならなくなるわよ?】

「裏切るなよ?」

【否定:もちろん。あの子ためですもの】

 

攻撃の様に見える体の動かしを紙一重で避けながら、少しずつ近づいてユーリは語りかけていた。

 

「────M4!!」

【援護:雑魚は私が面倒見てあげるわ】

 

白い髪の女性が飛び上がり、ゴースト達の群れをライフルのフルオート射撃で瞬く間に薙ぎ払う。

もう一度、呼びかける…今度は、M4の動きが少し止まった…銃撃のとは違うがまた、鉤爪を振り回す。

 

「(…自我はあるのか?)」

 

さっきの一撃でもそうだが、明らかに振り下ろす速度をゴーストと同じようなスピードで切り裂けば、当たり前に切り裂けるはずだったのにそれがない…

 

────ぐうウゥうう!!

「────ウオッ!?」

 

────いや?思い違いか?今度は、シールドの展開が少しでも遅れていたら…空を飛ぶためのユニットは粉々なったはずだ。

さて、どうする?ブレードで削って中にいるM4を引き抜くか?

 

────ギィイイイイイイ!!

 

…いや、これはやってはいけない気がする。切り裂かれた時に、辛そうに悲鳴をあげる姿を見てしまい、悲しい気分になったのを覚えている。

────基本的な切り裂きができない…それなら、やる事は決まってるよな。

どうしようもない直感で、決まった物だが…何となくこれが1番いいと戦術データのAIよりも早く、己の確信を得ていた。

 

「────はあっ!」

 

素早く、加速しつつ補助のためのブースターの向きを調整して、空中からの侵入を想定した装備を伸ばした…

とにかく、シビアな反応が必要だ…とにかく、全力であの腕から下げられる、鉤爪は"受け止められない"最低でも。

 

「くっ…M4…」

 

どうすればいい、彼女は俺ならM4A1を元に戻せると言っていた。

けれど、その方法が分からない。

 

「レイラ…」

「…」

 

ふいにM4のもう一つの名前を呼んだ。

すると反応をする様にこちらを向いた。

もしかしてだが、M4には俺の言葉が届いているのか?

 

「聞こえているのなら、聞いてほしい」

 

どうかなんて、分からない。

聞こえることに賭けた。ユーリは今度は、M4の目の前、避けられる距離よりも前に立つ。

 

「…その、ずいぶん。大きくなったな。ファンも増えたようだし…」

 

円を書いて周囲を飛行する、亡霊みたいなメンタルモデルをクトゥグア・ツヴァイでM4に当てないよう、まとめて吹き飛ばす。

 

「────!!」

 

M4の動きが止まる。

そして、幽霊への迎撃はユーリを巻き込まなかった。

やはり明確な自我を持っているのだ。

 

「(だが、これから本当にどうすればいい?)」

 

あいつめ、何をしたらいいかを教えずに投げっぱなしにするなんて何を考えているんだ。

彼女は俺に合って、初めて自分を手に入れていたと言うくらいには詳しかったのに。

 

「(それとも、それがヒントなのか?)」

 

彼女は”M4は俺に出会って、初めて自分は手に入れた”と言っていた、ならM4と会った時のことに彼女を戻すヒントが隠されているのか?

 

「レイラ。初めてにあった時のこと覚えてるか?君は初めて会ったとき、逃げ出したよな!あれ、結構ショックだったんだぞ!?」

 

「初めてだったよ!人形に避けられてショックだったなんて、今日の今日まで気にしていなかったけどさ!思い返せば不思議だったな!」

 

「それで、君がM4だって分かって追いかけることになった。そうなると、何度も追いかけられた俺も最初に追いかけた方だったわけか」

 

普段だったら言わないであろう本音がなぜかスラスラ出てしまったが期せずして、自分もM4A1と出会った原点に立ち返ることができた。

 

「君と向き合うたび、自分が感じなかったことに気が付かされる。いままで、自分のことは知り尽くしたと思っていたんだけどな」

 

この空間ではそんな事はあり得ないが、エンジン部の加熱を防ぐために一旦、腰部の跳躍装置のエンジンを切り排熱する。

エンジンを切ったので、感性の力だけ働き、ゆっくりと落下していく…

 

「…!」

 

地面に落下するよりも少し早めに、下方向にブースターをかけて、地上に減速をかけゆっくりと着地、今度はM4の目の前に飛び出す。

 

「実のことを言うと、キミに会うまでだれも信じてなかった。いや、何を話さそうともどうでもよかったのか?ともかく、そもそも、本音でだれかと話したこともなかったしそもそも自分に本音があるのも怪しい」

 

「けど、確信できることがいくつかはあった。正直に言う。俺は人形が嫌いだった」

 

「君にとってはショックな話だろうけど、目に映らないで欲しかった」

 

あの時助けずにむしろ、楽しむように殺すのを見た時から、人形を見たくもなかった。

 

「そんな気持ちもあったのにAK-12が来て、組まされた時は正直悪夢だった。裏切った時にはある意味せいせいしたかもしれない…もう、今となっては"どうでもいい"って思える話だし」

 

口や態度ではみんな大切とか言ったりしてながらね。

 

「けど、君のことはなぜか信じられた」

 

「君は気が付かないだろうけど、君にはそうだな…特別なものを感じた、特別なものおかげかは分からないけれど人形を信じる事をもう一度俺に思い出させてくれた」

 

この排熱の行為を選んだ理由はやはり日頃の戦闘での意識だろう、無駄に思える行為も今までの感覚が残っていれば自然にやってしまう。

長刀を引き抜いて、また取り付こうとした、メンタルモデルを長刀の形をアックスの形になるよう出力して豪快に数体を吹き飛ばす。

 

「お互いを信じ合う事で、力になる。懐かしいな……誰が言ったんだっけ?自分か?どうだろう?……だれでもいいか。君がそれを俺にもう一度、気づかせてくれたんだ」

 

「────!」

 

一瞬、動きが止まった気がする。

ユーリは歩み寄りM4までの距離を詰める。

 

「それにさ、君の事情も関係してたかもしれないけど、余所者だった、俺を君は信じてくれた」

 

「君が信じてくれたから、俺は人形を信じられなくても目の前の君だけでもう一度信じたいと思ったんだ」

「────それは…違いますよ」

「────M4!?…あっ!?」

 

危なかった…!

警告音がなければ、胴体が引き裂かれているかもしれない…

だが、後方には下がらない。せっかく反応してくれたのに、下がってしまったら拒絶になるだろうから…

 

「こんな姿になった私を……いえ、そもそも私は……アナタを信頼を裏切っている。あなたを傷つけた。……友人だった人の命を奪った」

 

先に武器を向けたのはあちらとは言え、私が殺した兵士の中には彼の旧友だっていたろう。

私は唾棄していたAK-12と同じことをしていた。

 

「でも、信頼を取り戻そうと……少なくとも戦力だけでも役に立ってあげたかった。……だのに、今こんなトラブルに振り回されっぱなし……無様、笑えますね」

 

俯きながら、恐らくM4は自覚はしているが抑えきれない衝動に体が動いてしまうのだろう。

だれが、何を、何のためにけしかけた結果だったとはいえ、この姿はきっとM4そのものが選択して選んだ形なんだろうか?

警告音が出終わるまで間に合う攻撃といい、まるで、自分自身を遠ざけようとしている行為に見える。

だけど…それでも、ユーリは…

 

「俺は君が帰ってきて欲しい。何者であっても構わない、あのコーラップスを使っても変わらかった」

 

M4が欲しい。

その欲求が1番に思いついていた…だから、彼は今の彼女と出会しても下がろうと思わなかったし、何度でも近づこうとしていた…

 

「これがエゴである事は認めたくないところだけど…君の答えが知りたい」

「────!!」

 

そう、ユーリは受け止めたのだ…巨大な鉤爪の様な物体を、剣も盾も使わず、己の体で、ユーリが受け止めた…まさかの光景に、M4も驚いており腕が止まっていた。

 

「やっと…捕まえたぞ」

 

そして、そのまま鉤爪をつたい、M4の身体まで手繰り寄せると、そのままその身体にたどり着き、彼女を力強く抱きとめた。

 

「…答えを聞かせてくれ」

「────もし、私のこの姿がまた、変わって…ダイナゲートの姿になったら?」

 

いきなり、形が変わって、鉄血のダイナゲートの形に変わった。

 

「かわいい姿だ。毎日、膝の上に乗せて撫でる」

「正規軍で使ってる様な、ヒドラの姿になったら?」

「大きいお部屋が必要だな。見た目は気にしない」

 

ゆっくりと、頭を撫でる。

 

「たとえば…こんなに気持ち悪い、パラデウスの姿になったら?」

「ジャンプしても、大丈夫な様に弾力ある物を部屋に敷き詰めないといけないな…そんな弾力がある物、分からないけど…」

 

形の違いなど、今のユーリにはあまり積極性を損なうものではない。

 

「そうですか…」

「そうさ」

「────全く」

 

「いえ、アナタはそういう人でしたね」

 

M4が、元の姿に戻っていた。

そして、溜息を吐きながら、ユーリに向けて優しく笑っていた。

 

「答えなんて決まっているでしょう?私もずっと一緒にいたいわ」

「君に会いたかった」

 

いや、それこそが野暮なのかもしれない。

もう、彼は自分の命を賭けるだけの目的が見つかっている。

 

「やっぱり不思議ね。はたから見ればお節介なはずなのに…実際に話してみるとついつい頼ってしまう…ふふ」

 

M4はユーリの胸元に手を伸ばして過去を思い出していた。

そして、これまで彼の行動をむしろ納得していた。

 

「さすが私が惚れた人ね」

 

────どうして…!

 

また、声が聞こえる。OGASの声だった。

そして、再び無数の異性体のメンタルがやってきた。

 

「OGAS…」

「彼女が…?」

 

そうか、ユーリはOGASに合うのが初めてだったか…OGASは拒否されたことをショックを感じながらも私を引き止めようと、私と同化しようとしている。

 

────せっかく、"家"に帰れると思ったのに…!貴方のせいで…!貴方のせいで…!!

【警告:諦めなさい。OGAS、もうレイラはルニシアではなく自分の人生を歩むことを決めているの!彼女の人生を奪う権利は過去にも因縁にもないわ!】

 

白い髪の女性が現れた。

────オマエはどうして肩入れするの!?

 

【回答:決まってるでしょ?私がこの子のストーリーの1番のファンだからよ!】

OGASの形相は頗る良くない、だが…M4にはもう、OGASに付き合うつもりもなかった。

 

「取引は解消!アンタとはこれまで!!説明もしないで勝手に私を利用しようとしないでよ!」

 

────一つになれば、それが…

 

「私の人生向き合って分かったわ。アンタの提案はお断りよ!…私は私の人生を生きる!ルニシアにはならない!私はレイラになる!!」

「────M4…」

 

白い髪の女性は勝利を確信して、微笑んでいた。

M4A1はもうゆるぎない自己を手に入れた。

M4は吐き出すように、叫ぶとユーリの手を取る。

 

【提案:M4、彼と一緒に脱出して】

「…何か、いい考えでも?」

【肯定:ええ、あなたはもう目的を達成している】

 

M4がユーリの手を握る…すると、どんどんと周りの景色が鮮明になってきいき…

 

『…あれ?』

「────目を覚ましたんですね!」

 

気づけば、接続した時と同じ状況に戻っていた。

激しい銃声が轟く…振り向くと、SOPⅡがライフルをフルオートで近くまでやってきた、腐肉喰らいに向かって弾幕を張っていた。

どうやら、グリフィンの部隊はなんらかの理由でここまで来たらしい。

 

『────なんだ、この感覚…?』

 

そんなに時間が立っていたのか、水に浮かぶようで沈む感覚の頭を振り回して、寝ぼけた意識を振り払う。

SOPⅡ達が、これほど銃撃をしているのなら、位置としては後方のはず…それよりも前衛にいた、ヴェルグ2達はどうなっている?

 

「────う…!」

『M4…!!』

「────オオオッ!!」

 

M4A1も目を覚ます突如壁を突き破り、数体腐肉喰らいが現れた。

 

『────ゥッ!!』

 

手首から、長刀を取り出すタイムラグを待ってくれそうには見えない、ガントレットのレーザーを出力、1秒もしないうちに、2体の腐肉喰らいを始末する。

 

「────オオオッ!…オ?」

 

最後の一体になった、腐肉喰らいの両腕は、M4に届きそうだったので、先に切断

 

『────ヤアァッ!!』

 

そしてバランスの効かなくなった頭を鷲掴みにするとそのままグローブの爪を展開して頭に突き刺す。

突き刺さったのを感覚で理解すると、ユーリはそのままその腐肉喰らいの頭を強引に引き裂いた。

 

「凄……」

「隊長!」

「…MCX?」

「…急いでっ!離脱しないと!」

『いま、どういう事なんだ!?』

 

MCXが、目覚めたばかりのM4を支える。ユーリとM4にはまだ状況を理解しきれていない。

 

「あのその話は後で…」

「走りながらでいいから、"今すぐ"説明しなさい…」

 

M4が強引に立ち上がり、体制を戻して、MCXを"脅した"。

MCXは、溜息をつき、説明しようとした瞬間────

 

『ウッ!?』

「ヤバっ!?もう追いついた!?」

 

隣の建物が吹き飛んで、余波がこちらの建物壁をひしゃげた。

 

『成る程…カーター将軍』

 

M4はまだ理解しきれていないが…ユーリはこの衝撃と爆発だけでどんな状況になったのかを理解した。

 

『…"アルゴノーツ"使ったんだな』

 

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