────!M4A1!!
「────っ…!RO…と、R5…」
「生きてたか…立てるか?」
叩き起こされた視界の中────映ったのはRO635と私に追いついていたR5だった。
「どうにか…」
壁に手をつき、立ち上がる。強化装備の脚力強化のアームが立ち上がる行為の補助をしてくれた。
「ほら、落としてたぞ。宝物なんだろ?」
「ありがとう…」
R5がFNX-45を手渡してくれた、彼女がわざわざ回収をしてくれたのか。
「どうなってるの?状況は?」
「ダンデライオンが沿岸砲を発射する座標を指定しています。いま、AR-57が動かしていますがあなたが撃った方がなお早いでしょう」
そうか、沿岸砲を彼女が…それにしてもダンデライオン…どうやって列車の位置を把握したのかしら?
「…分かった、そういえば」
「なんです?」
「なんでもないの…ごめんなさい」
「1人やられた」と言っていたRO…誰が死んだ、せめて名前だけは覚えておきたいと思ったが、それは傲慢なのではないか?と質問を言い終える直前で気づいた為────聞くのをやめてしまった
「あなたが沿岸砲にたどり着く前に死んだ人形はHS2000…衛生兵よ。障害物に逃げきれなくてね。弾丸が胸に当たってそのまま機能停止よ」
「馬鹿な子よ」と付け足すように呟いたROの声はどこか震えていた、仲間が殺されたなのか、それとも失った悲しみか…それか、殺されたことに対する怒りなのか…それには分からないが、それでもROはどこか大切なものを失った。
「M4。沿岸砲は必ずKCCOが奪いに来るでしょう。その間に敵列車を倒せるかが要点です」
「その通りよ、制御権を頂戴。なんとか、狙ってみる」
制御盤を動かす前に私が倒した兵士のドッグタグを引きちぎる。
名前に興味はなかったが…あの強化装備が流れ者だとしたら、確実に外務省は被害に遭っている。
ユーリに渡して、誰が奪ったかを知る手がかりになるかもしれない。
「よし…」
制御盤にネットワークを接続────ダンデライオンが接続した座標に着弾できるように角度を調整する。
重量のせいだから仕方ないのではあるが…「じれったい」とM4A1はなかなか調整した角度に向けて動かない方針に苛つきを感じずにはいられない。
「よし…!」
ようやく、方針の角度が目的の位置に向いてくれた。
発車スイッチを押す────沿岸砲の砲身が自分の背より大きい弾丸を発射したことで発生するバックブラストが制御室からでも視認できるほど巨大だ。
<命中────制御用の車両を破壊>
ダンデライオンの観測結果が来る、砲身が残っているが砲弾を放つための車両が吹き飛んでしまえば支援砲撃は来ない。
グリフィンは歩兵や戦車との戦いに集中できる。
<────グリフィン部隊が移動を開始>
「戦車の位置を!」
装甲列車の砲撃機能が失われたなら、代わりに砲撃をするのは戦車だ。
M4A1は戦車に狙いを定める、当たるなら多くを巻き込める密集地域を狙いたい。
「せめて、足止めにさえなれば…!」
2度目の砲撃────今度は砲撃の準備をしていた機甲部隊に着弾、直撃を受けた機甲部隊はその頃、運悪く弾薬を戦車や自走砲に運んでいた為、爆弾や弾薬も連鎖的に爆発して多少ではあるが爆発の範囲を広めてしまった。
「────隊長!新手です!!制御室を奪いに来た部隊かと」
「そう…案外早いわね。何分持たせられる?」
「退路を作っておくことも考えると…15分です」
「ダンデライオン、グリフィンはあとどれくらいで防衛線を基地内に築ける?」
<指揮官の報告だと、20分>
長すぎる────M4はグリフィンの防衛線を築く時間に冷や汗を流す。
退路を使って追撃から逃げるのにかかる時間はどれだけ早く動けても5分はかかる、沿岸砲を撃てる時間は長くて10分だろう、
だが、グリフィンの防衛戦を築く時間は20分────つまり、砲撃の時間を差っ引いても10分はKCCOの攻撃を避けるか耐えなければならない。
「(1時間しないでこの戦況よ…残り5%もないのに10分耐え切れるの?)」
<こちら、ヴェルグチーム。待たせてすまない、こっちの仕事は完了した。グリフィンの撤退の支援をする>
ユーリ、もう仕事を…?と言う事は、私も"アレ"を必ず達成しないといけないだろう。
「大尉さんが手助けしてくれんなら、安心だな」
「R5、AR-15に繋いで」
M4A1の凄みすら感じる声を不思議に思いながらもR5はAR-15に通信を繋ぐ。
<M4、何かあった?>
「融合勢力の生き残りはあとどれくらい?」
<20%いるかいないかよ…まぁ今は彼女達機嫌が良いみたいだし…士気はかなり高いわ>
なんで高い?嬉しい事だが、喜べるニュースなんてヴェルグチームが任務を終えたぐらいしか思いつかない。
<どうも、エルダーブレインがまた配下の鉄血人形を捨てたみたい。慌てふためく鉄血を見て、自分達の行動が正しかった喜んでやがるわ>
裏切られたから、見限る行為があってるとは繋がらないとは思うけど…とはM4は沿岸砲の照準を合わせながらそう思った…しかし、
「待って、鉄血がまた切り捨てられたの?どうやってよ?」
<それは、指揮権の放棄よ。まさか、ペット捨てる飼い主みたいに段ボールに突っ込まれたと思ってた訳?>
「────なら、放棄された指揮権をあなたが引き継げるんじゃない?融合勢力の指揮官、あなたが持ってるんでしょ?」
<あ────>
────その頃、基地内では
「邪魔だ!死ねっ!人形!!」
「────いゃあああああ!!??」
エルダーブレインが突然行った、指揮官放棄により、混乱した鉄血兵の元にKCCOの部隊が到着。
一方的に蹂躙されていた。
「────ここは出口じゃないのか!?」
「────私に聞く」
基地から逃げようとした鉄血兵もいた、しかし、鉄血兵の出口に当たるところはKCCOにとっての入り口、鉢合わせになった鉄血人形達はエネルギーが枯渇した武器の引き金を必死で引いて切り抜ける事を試みるが呆気なく殺されていく。
「助けて!…こ、降伏する」
藁にもすがる思いで命乞いする鉄血人形もいた、しかしその相手が先頭を歩く意思を置くスペースもない軍用人形では話にならない。
KCCOの人形は敵だと認識したプログラムによって放たれた引き金が頭を貫く。
結局────降伏を選んで生き残る事ができた人形はほんの少数だろう、だが無慈悲に殺されるよりはマシかもしれない。
「ここもダメかっ…」
かき集めた人形達を率いて必死に脱出しようとしている、ハンター達もその1人だった、だが後ろに潜水艦基地を取り戻そうとしているパラデウス兵と前からは潜水艦基地を奪おうとするKCCOの兵士達と出くわして挟み撃ちになっていた。
手持ちの武器には供給できるほどのエネルギーがない、電力さえあればエネルギーを供給して戦えるがないものはねだれない。
下位の鉄血人形達も殆ど同じ状況だ、行動は三者三様だが結末は同じに見えた────
「こんな所で終わりか…」
<────そりゃねぇよ>
パラデウス達の信号が消えていく、レーダーを確認するとパラデウスよりさらに後方からグリフィンの人形のIDを出しながら、鉄血の生体反応を検出した手段がこちらにやってきた。
何者かと思い、鉄血人形達が身構えたが追ってきたパラデウス兵の反応が全て消えた後、グリフィンよ反応を出す、鉄血人形がやってきた。
「無様だな。エクスキューショナー」
「エクスキュショナー?お前、殺されたはず…」
「ほぅ、鉄血で再生産されたのは随分と呆気ないやつなんだな」
「どう言う事だ」問いただしたかったが、ハンターの引き連れた鉄血兵士達を見て理解した。
彼女達はまるで視認して識別できるように、同じ柄のスカーフをつけている…ベオグラードの作戦から帰ってきた人形達から聞いた事がある。
「まさか、融合勢力…?」
「そのまさかだ。今日は元同僚のよしみで誘ってやることにしたんだ。まだ生きていたいなら…こちらの"側"つかないか?」
「お前、何を言っているか分かっているのか?」
「あぁ、鉄血と縁を切れって言ってることは百も承知だ。それとも、まだついていくとでも言うのか?お前らをまた、見捨てたエルダーブレインのガキに?」
反論できなかった、いまこうして基地から脱出しようとしたものエルダーブレインが自分達を放逐したからだ。
生き残るために誰がとは今は言ってられない。
「────分かった、生きていくためだ。協力しよう」
「へっ、そう来ないと。上手くいった。…あぁ、そうだ。これから部隊に編入させる…バッテリーはくれてやっても良いか?…そうかい、ありがとよ」
────
「M4。融合勢力が一部の鉄血人形を味方に引き込む事が出来たわ、これで少しは持ちそうね…」
「それを聞いて、少し安心したわ。…よし、砲撃までの時間はもう少し稼げそうね」
────
───
「────なにこれ…?」
基地の中に入って反逆小隊を捜索していた、404小隊は強烈な電波妨害を受けた。
なんとか、妨害を振り切って参入した施設の中には、鉄血とパラデウスが相対して彫刻のように動かないという摩訶不思議な光景が視界に入ってくる。
「これ…狙って良いの?」
「わかんない…」
UMP9やG11は開幕検討もつかない表情で動かない人形達の間を通り抜ける。
「────あたっ…!」
「ちょっと!?」
G11が動かなくなった鉄血兵の足につまづき転ぶ、HK416が急いで転んだ先の鉄血兵に銃を向けるが兵士は微動だにしなかった。
「────あ、こいつネイトじゃない?こいつも動かないの?」
「あ、ホントだ。動いてない」
ヴェルークトとの共同作戦で対峙した際に見かけたネイトとは違う装備を携帯していたが見た目は同じだ。
鉄血兵と同じく微動だに動かない。鉄血がナイト達にクラックされて動きを止められた後にM16に止められたのだろうか。
「…M16」
「いまは、コンプレックスを発散するときじゃないわよ」
「わ、わかってるわよ」
UMP45がHK416に作戦を遂行するように注意し、HK416も「問題ない」と返して見せたが。
────じゃあ、頼んだことについてはしっかり頼んだわよ
M4A1のから依頼された時の言葉が過ぎる。
この時のHK416は他の誰にも分からないように不安げな表情を浮かべていた。
「…あ、45姉。この施設、予備電源が残ってるから反逆状態を探せるよ。どうする?」
「今すぐやって」
「敵のど真ん中で入れる訳?身体中が穴だらけになるわよ」
この時、UMP45は何か焦っているようで動かしたら次どうなるかの予想を立てる事を珍しく失念してしまう。
「動かなかったら、アンタがここの扉をこじ開けてくれるのかしら?」
「この基地、おかしいわ。今までの任務も確かにおかしいことばかりだったけど。明らかに簡単に侵入できすぎてる」
HK416が今までの経験から感じるこの作戦の浮かび出た疑問を挙げる。
「制圧ができてるのなら、反逆小隊と連絡が取れている準備ができてるはず。なのに、反逆小隊は一向に応じない。あなたも分かってるんじゃない?これは罠の可能性の方が高いって」
「反逆小隊見つけた!なんか部屋に閉じ込められてるから、トランシーバーでなら取れるかも」
「詳しい話が知りたいわ、古いものでも早速お願い」
UMP45の指示で、UMP9がトランシーバーの周波数を反逆小隊の閉じ込められている部屋に合わせる。
「こちら、UMP45。AK-12、聞こえる」
<えぇ、聞こえてる。RPK-16やAK-15とは会った?>
「まぁ、ね」
RPK-16とAK-15。一言で言えばなにを考えてるか分からない胡散臭い奴とゴリラの様に戦闘のことしか考えそうにない奴、アイツらはAK-12諸共、挨拶の仕方を一から学んだ方がいいかもしれない。
「部屋に閉じ込められる初歩的な失態を晒すなんてね。だから、ヴェルークトの正式ライフルの座をA-545に取られるのよ。失笑が止まらないわ」
本質的にAK-12を嫌う、UMP45はここぞとばかりにAK-12に向かってHK416が気にするようなネタを挨拶がわりに浴びせる。
<はいはい、お決まりのネタをどうも。どうせ、私はどう逆立ちしてもパパに使ってもらえない、情けないライフルよ。御託を並べるのはここまでにした本題よ、地下二階にパラデウスの研究施設を見つけたんだけど、そこに鉄血がなだれ込んできて…>
「みんな動かなくなったってわけ?」
<一旦、体制を立て直すために隠れたタイミングで電力が切れちゃってね。閉じ込められたわ>
電力がなければ、ハックもクラックもできない。
だから、AK-12達は何も出来ず部屋に閉じ込められたままだったのだろう。
「アンジェはどこに?」
<多分、他のエリアよ。でも、大体の予想はつくわ。コメントに困るくらいとんでもない状況だからね。取り敢えずここから出たいわ、電力を復旧させてちょうだいな>
「それなんだけど、ここにいる完璧なお人形様が電力を動かしたら蜂の巣にされるっていうのよ」
<なにそれ?そんな状況電力復活させるつもりな訳?臆病な程、慎重なUMP45様はどこにいったのかしら?>
今度は、AK-12がUMP45を煽る。
<今思い出したけど、パラデウスや鉄血に近づきすぎるのは危険よ。触るだけで、再起動する可能性は高いわ、まぁ…あなた達がそんなヘマすること考えてないけど>
UMP45が鉄血兵にぶつかり先程転んだ、G11を睨みつける。
「よくもやってくれたわね?」
「ひ、ひぃい…!わ、私は電源が入る前にこの施設から────」
「────何を言ってるの?ヘマしたあなたに挽回するチャンスをくれてやるのよ、嬉々として引き金を引きなさいよ。一旦隠れて殺し合いの隙を突いて逃げるわよ」
404小隊が見つからないように隠れる、全員が隠れ終わったタイミングでUMP9が電力の再起動を行う。
「────!!」
「────!!」
次の瞬間、電力再起動に伴ったことでパラデウスと鉄血工造の殺し合いが再開────死角をついた404小隊が出口の邪魔になる人形だけを倒して、狂った様に続けられた殺し合いの場から我先に脱出する。
「────もうやらないわよ!あんな事!!」
HK416がUMP45に怒鳴り散らす、確かに急ぐ事情があるとはいえこんな危険な行為は誰であろうと2度とやりたくないに違いない。
「…はいはい、9。M16の位置はわかる?」
UMP45は基地に入るなり、妨害をしてきたグリフィンの裏切り者、"M16"の場所を探る。
「うーん…一定の距離をとって離れてるね。何がしたいんだろ?今のところは妨害はしてきてないみたいだね」
「だったら、アンジェと合流しない?状況を整理できるかもしれないわ」
────
───
「みんな落ち着け、防衛戦についてから反撃すれば良い!」
フォトンと生き残りの数少ない人形達は、基地内の防衛拠点を作れる施設に向かって全速力で走る。
M4A1の操作した沿岸砲の砲撃で列車からの攻撃は止まったが地上部隊の追撃は未だ止まない。
隔離壁を抜けた兵士達が障害物を手に入れるとそこから容赦のない追撃を加える。
沿岸砲の一撃と思われる砲弾が追撃してくる部隊の真ん中に着弾。
先方だと巻き込まれると配慮しての行動だろう。
配慮は正しく人形達やフォトンの撤退に割ける貴重な時間を手にいれた。
<指揮官、聞こえますか?これで、最後の支援です。KCCOの隊員達が目の前まで接近してきています。内部で合流しましょう、内部に入り込めば沿岸砲のレンジの外です>
「分かった…ありがとう」
M4A1の報告を項垂れそうになりながら了承する。
しょうがない、フォトン達は残りは自力でなんとかしないといけない。
<指揮官さん、聞こえてますか?ヴェルグチームです、今から"クトゥグア"による支援砲撃をします。衝撃に備えて────>
「ありがたいなっ!もう少し、早くきて欲しかったが…」
一度目のクトゥグアの砲撃が飛んでくる、戦車の装甲を貫いて一直線にKCCOの兵士達を切り裂き、吹き飛ばしていく。
<指揮官、分かっていると思うけどこれでも軍の攻撃を止められるとは限らないわ。二度目の砲撃の後に入口を爆破して侵攻を阻むのよ>
「ダンデライオン!二度目の砲撃まであと、どれくらいだ!?」
ダンデライオンが「3分」答える。一番先頭を走る人形達に無線を繋ぎ最終列の人形が通り過ぎたら爆弾を起動させる様に命令する。
余裕はない、敵はこちらの事を考えてくれるわけではないし、支援をしてくれるクトゥグアは協力だが、個人携行サイズの為沿岸砲程の威力があるわけでもない。
<苦しい選択かもしれないけど、最終尾の人形を犠牲にするしかないわ>
「…っ」
ダンデライオンの言葉に「ついにきてしまった、この時が」という言葉がよぎる。
フォトンは自分の国の人間を平然と切り捨てる軍人の考えが嫌いで民間軍事会社に入ったが、銃を持ち力のある人形ではあるが味方を切り捨てるという、軍人と同じ行為をしなければならない事を迫られたのだ。
突然、奥から甲高い爆発音が木霊した。
「何の音だ!?」
<こちら、ヴェルグ1。"テイラー"が破壊されました。アイツで最後の軍用人形です>
「くそ…」
感情のない軍用人形である事は分かっている。
でも、名前をつけるくらいには愛着を持っていたその人形を切り捨てる事を判断した時、ユーリ大尉にはどのくらいの逡巡があったのだろうか?そして、今彼と同じ判断を下す事に怯える自分がいる。
「バルメM82!部隊ともども殿に志願します!士気は旺盛、役割を十二分に果たす所存であります!!」
フォトンは足を止めて、殿を申し出る人形達を見た。
「死ぬって事だぞ、分かってるのか?」
「だからこそ、士気が高い私達が志願しました。士気が低い人形は役目を満足にこなせません、残酷な仕事であるからこそやる気があるものが執行するべきです!ご命令を…!」
M82の声が少し震えているのがわかる、本当は死にたくない。バックアップが取れる彼女達人形であっても死を感じると恐怖で震えるのだ。
命令を出すのは簡単だ「死んでこい」と言えばいい、だが唇が動かずただ頷くことしか出来なかった。
「指揮官様、さようなら」
殿の部隊は一旦、フォトンの方に振り返ってこちらを見つめたがすぐに視線をKCCOの方に戻して残り少ない遮蔽物を盾に敵への銃撃を開始する。
「…くそっ!ハーヴェルめっ…!!」
2発目のクトゥグアの砲撃音が聞こえる。
振り返る勇気なんてない、フォトンはただこんなところに行かせたハーヴェルに対して悪態のような叫び声しかあげられなかった。
────
───
『隊長、グリフィンが通路を爆破した』
『それが時間稼ぎだな、最後の支援を開始しろ』
2発目の射撃の直後、ユーリ…ヴェルグ1の指示で最後の支援であるクトゥグアツヴァイの砲撃が放たれる。
戦車二台とその直掩に当たっていた戦術人形を諸共破壊した。
『クトゥグアでの支援はここまでだ。グリフィンが入口辺りに置いた支援物資を、今頃は取りに行ってるだろう。ヴェルグ3と5は俺とこい。"あの方"が手配した回収地点までの活路を開く、残りはグリフィンの支援だ』
ヴェルグ1の指示で部隊が二手に分かれて、ヴェルグ1のチームはさらに地下に残りはグリフィンが築いている防衛地点のところまで急行する。
『そういえば、大尉?』
『何だ?』
回収地点までの活路を開く為にヴェルグ1達が通るルートは未だ通路内、ブースターを吹かして高速移動はできる戦いが輝くのはひらけた箇所だ。
強化装備で支えられた外骨格で走るスピードを上げるので精一杯だ。それでも、数十キロの装備を背負って100mを6秒内で走り切るとんでもない脚力を持つ。
『この3人の人選って何か理由でもあるんですか?』
『そうだな…火力、細密、速度で選んだらこの人選になった。どうした?』
ヴェルグ5の質問にヴェルグ1は特に込み入った考えはなく自然な判断で選んだと答えた。
『深い意味はないんです。でも、この3人って重要な事をする時はこの人選になってません?』
『あー…確かに"お決まり"のメンツだな。前のコーラップス作戦でもそうだった』
ヴェルグ1は確かにそうかもしれないと思う。撤退戦、E.L.I.D戦における大規模反抗作戦の先鋒────思い返してみれば、この2人はいつも人選に選んでいた
『そうだな、無意識に選んでたかもしれない。俺たち、長い付き合いだもんな』
『そうだぜ、いつからだった?ヴェルークト作った時からか?』
『グレゴリー、ヴェルグ3のお前とはな、ファリサ、ヴェルグ5とは世界大戦の頃からだ』
『世界大戦!?ってことはお前らとんでもない年齢から戦ってきたんだな』
『と言っても、お前とも8年の付き合いだろう?随分長く続いた』
ヴェルグ1は多少、しんみりとした雰囲気の中でため息の様な深呼吸を吐く。
『これからも、長く付き合いましょ?隊長?』
『だな、ヴェルークトの隊長はアンタにしか任せられないってな』
『お前ら…さては自分で考えるの苦手だから俺に押し付けようとする腹づもりだな?そうはいかないぞ』
壁に厚みのある行き止まりにたどり着く。
『ここから出たら、絶対に銃撃戦が始まる。腹は決まったか?』
『おう』
『フッ…』
準備は万端の様だ、端末を起動して行き止まりだった壁が右にズレて動いていく。
『いくぞっ────!』