────M16の迎撃にM4が出てしばらくして……
「侵入成功」
潜水艦の内部に入り込んで人形は、周囲を確認した。
人形はM16に与えられた命令を実行するため、潜水艦の内部を進んでいく。
この人形は鉄血人形のエリートだ。名前を"ウルサス"。
人形の素体をコアの交換だけで入れ替えることができる人形だ。
M4A1らが潜水艦の中に入ってた時に既に侵入していた、既に正規軍か、パラデウスか、それとも鉄血によってコアが破壊された人形の素体を奪い。
グリフィンに紛れて中に潜んでいた。M16が場所を特定したのもこの人形が位置情報を確認していたからだ。
「標的確認」
潜り込んだ人形が標的にした場所は医務室。
言うまでもなく、狙いはユーリだった。
ウルサスはエルダーブレインが死んだことはどうでもいい、大切なのは命令が残っていること、それだけだ。
「まち、なさ……い……!」
ドアに手をかけたウルサスに向かって呼び止める声がした。
「……お前は」
振り向いた先にはOGASの干渉にやったの思いで耐えて、ぜぇぜぇと息を吐きながらこちらを睨みつけるAK-12がいた。
「……アンタ、なんで……平気なのよ……」
「へ、平気って?あなたもそうです、よね?」
ウルサスは入れ替えた人形をほぼ模倣できる。
だから、自分も不思議だと演技して見せた。
「なんとか、耐えてる。だけ、よ……!M16の姉妹のM4はともかく、アンタはなにも関係のない電子戦もできない人形でしょ……!」
潜入した時は模倣した人形だと、全く気が付かれていなかった。
だが、このM16が作った状況が逆に怪しさの証拠になっている。コイツがしぶといせいでめんどくさくなったとウルサスは舌打ちする。
そして、人形はナイフを抜いてAK-12にむかって喉元目掛けて切り掛かる。
「……!?」
AK-12は必死に腕と手を持ち上げ、切り掛かるナイフの手をとめる。
理解した。保安局の回し者か、それとも鉄血のスパイか知らないけれどコイツは敵だ。
敵は後でバレないためにわざわざナイフで切りかかってきた。
「くっ!……うっ!?」
いつもなら、この程度の敵の速度と強度の手なんて軽くへし折れる。
だが、AK-12はM16A1の、正確に言えばM16A1のOGASによる大規模なジャミングに耐えるため、この程度の敵を制圧するための十分な動力を回すことができない状態になる。
「うぁああ……!ふんっ……!!」
AK-12は力を込めて、ナイフをなんとか下に下げさせる。
だが……
「うっ!!」
だが、ウルサスはそのままタックルしてAK-12を壁にぶつけた。
AK-12は少し力が抜けただけで、ナイフの手を握ったままだ。このまま喉元に突き刺さないと思ったウルサスは首ではなく、そばにある、AK-12の腹に突き刺した。
「────!!」
激痛のアラートが頭のあちこちに響き渡り、AK-12は歯を食いしばる。
AK-12はいつも通りのパフォーマンスは発揮できない。
民間人形どころか、小学生にも負けるほど弱りきっている。
「ふんっ!」
更にウルサスは腹に突き刺されたナイフを膝蹴りで蹴り上げ更に突き刺す。
「────!!!」
更にナイフが押し込まれ、腹に激痛がひしめく。
「こ、いっ…つ!」
まずい、このまま切り上げられてコアが壊される。
なんとかしないと!
AK-12は一か八か、自分の顔面を相手の顔面に叩きつけるヘッドバットを敢行した。
弱った攻撃などほんの少しの怯みにもならないと思われたが……
「────あつっ!?」
AK-12の顔面に触れた途端、熱暴走で高温になった顔面を押し当てられ、ウルサスは思わず後ずさる。
あの熱さはさながら熱した鉄のように熱かった。
「いまだ…!」
AK-12は力を振り絞り、ウルサスを勝った。
頑張って蹴ったかいがあり、ウルサスは反対側の壁に激突した。
「はぁっ……はぁ…!クうっ!?」
AK-12は腹に刺さったナイフを引き抜くために、ナイフを握った、もちろん激痛が走る。
だが、抜こうとしても中々抜けない、奥に刺さったのもあるが身を守るために電子戦能力をフル活用し続けているAK-12が疲労を起こして弱っているのだ。
このままでは、敵が体勢を治してまたやられる。本当に、本当に必要な機能以外はカットしないと。
────色覚補正機能、カット……モノクロ処理に変更
────擬似嗅覚、カット
────擬似味覚、カット
────聴覚機能、オフ
────擬似触覚、継続
五感の機能を最低限だけ残し、AK-12はもう一度ナイフを握る。
余分な力が減り、ナイフが少しずつ抜けている。
抜けていくたび、白黒なのに激しい激痛で周りが真っ赤になったかと思ったそれでも、引き抜くのをやめず……ナイフを引き抜くことができた。
「……はぁ、はぁ、くっ…!」
苦しみの声を上げる。
いや、あげたのだろうか?AK-12は自分の声が聞こえなかった。ただ、口が動いたことだけが、感触でわかる。
引き抜かれたことで溢れた血の流れを拳に感じた。
「……熱い」
漏れ出る、人口血液はAK-12自身の高熱で湯気が出ていた。
「……す」
たぶん、殺すと言ったと思う。口はそう動いていた。
ナイフを握ってウルサスに向かって近づく。
ウルサスは拳銃をホルスターから引き抜こうとしていた。もう、音が出ようが構わないのだろうか。
「────っ!」
拳銃の弾薬が腰に当たり、よろめく。発砲音に気がつき、潜水艦内がざわめき声をあげた。
AK-12は倒れそうになる……倒れ込んだ姿勢から、足に力を入れて強く地面を蹴った。
「────!!」
そのまま、ウルサス目掛けて走り出す。
ウルサスは更に発砲する。
9ミリは肩、そして左目を抉る。それでも、AK-12はウルサス目掛けて走り続ける。
────このとき、AK-12はあることを思い出していた。
昔、ユーリとヴェルークトを裏切ったあの日……とまれ、止まってくれ、なんども強く願っても全く制御の効かない自分が軍人でもないスタッフにすらその手にかけていたとき、1人の若いスタッフが床に落ちた拳銃で必死に抵抗した。
あれと、目の前の敵が重なって見えた。
コイツも同じ心情なのだろうか?"死にたくない"と。
彼女とコイツの違いは明確だ。
私はスタッフは殺したくなかった、目の前にいるコイツは私が差し違えても殺さないとならない。
伸ばした手が、ナイフが────首に刺さった!
「んぅううう!!!!」
そのまま!体重をかけて、切り裂く。
こっちも必死だ。マトモなことを考えられる余裕なんてない。
ウルサスの頭はべろんとした、ハムのような肉の切れ端のように垂れ下がる。
だが、手が動いてナイフを掴もうとする。
AK-12は急いでナイフを引き抜く。
そして、反対の手を掴ませて時間稼ぎをした後、背中からウルサスのコア目掛けてもう一度ナイフを突き刺す。
「────!!!」
手応えあり!
ひび割れた感触がする、AK-12は握り拳を作り、振り上げる。
「シネェエエエエエエ!!」
AK-12は全力で振り上げた拳を下ろし、ナイフを突き刺した。
砕け散る感触を感じた。
ウルサスはガクガクとショートしたように身体をバタつかせた後、そのまま動かなくなった。
「動くな!」
聴覚を元に戻したら、自分に向かって銃を向けるクルーの声が聞こえた。
……彼らは医務室から出てきた。
なるほど、入り込まれてもどうにかできる算段だったらしい。
騒ぎがおさまったから、やってきた。なるほど、私は捨て駒だったか。
「……!……!」
AK-12は咳き込みながら、床に座り込むと、手を挙げた。
嵌められた気もするがもう構わない。
今度こそ、守りたいものを守ることができた。
<今、潜水艦では緊急で人形達に鉄血コアが埋め込まれてないから緊急確認中よ>
「……SOPⅡ大丈夫かしら?随伴機は鉄血のコアを使ってるのに……まぁ、自分でなんとかするか。……AK-12は今回はユーリを守れたのね」
<ルニシア、これからどうする?>
だから、わたしにはM4やレイラという名前で名乗っていて────
「ルニシアって、だれよ。それと、これから…ね」
M4は懐にしまっていた司令書を取り出した。
M4はこれからアドミニストレーターと会う事になっている。
────アドミニストレーター…ユーリやアリアが"あの方"と呼ばれている存在だ…
アメリカと新ソ連の特殊部隊を顎で使える存在…何者なのだろうか?
────事後処理を済ませ、再度発進した潜水艦はそのまま潜水艦はロシアでアンジェリア達を降ろし、そのまま黒海を経由してグリフィン本部に最も近いキルギスの港で降ろした。
鉄血の人形が潜り込まれたのもあるため、何名かの人形達は潜水艦内で殺されるかもしれない事を警戒していたが、徹底した検査で他に鉄血が化けた人形はいないと判断され、アリア達にも「生かしておいた方が良いことが起きる」という事で見逃された。
ただし、今回の件でアメリカ軍が助けに来た事は絶対に口外しないとフォトンやカリーナ、アンジェリアは数時間に渡る長い説明と幾分にも渡る、確認と宣誓の末に10枚くらいの合意書を記載されて、退艦を許された。
「…M4は降ろさない?どういう事?」
ただし、M4はアドミニストレーターに会わなくてはいけないためグリフィンと一緒に降りる事はできなかった。
「M4にはまだ、私たちの用事に付き合わないといけないの?お分かり?」
当然というべきかAR-15や、SOPⅡ…そして、ダンデライオンはアリアの発言に納得していなかった。
「ダメだよ!M4も一緒に行かなきゃ!!」
SOP IIも必死にM4を引き止めていた。
「困るわねぇ…」
アリアは食い下がろうとするAR-15達を睨みつけに殺気をM4は感じた。
推測だが、コーラップス液の爆弾の際AR-15も関わっていた事を知っているのかもしれない。
「私も不本意よ。こんな女を預からないといけないなんて…」
「まぁまぁ、アリアさん。ご家族の心配はごもっともですっテ。まぁ、安心しナさんな。奥さんの安心は保証するさ」
割って入ってきたのはヴィシャスだ。飄々とした言い回しで、M4の肩に手を置いた。
「奥さンはさらに面倒な手続きが残ってるだけなんで、それ終わったらすぐに帰れるっすよ。ですよね?アリアさん」
「手続きが全部終われば…ね」
アリアは小刻みにうなづいて答えた。
「手続きって…どのくらいよ?」
「ウンニャ。そりぁ…手続きする人の都合とM4の手続きの消化にかかっていると思イますぜ。残念なことにここじゃできないので他のところで手続きをしないといけなイのが残念なんですがねぇ…」
「そんな……!」
SOP IIが顔を歪めた。
「違う場所ってなんだよ!そこでお姉ちゃんを殺すかもしれないって事!?」
「そんな事は起きないわよ…多分」
流石に自分も納得させないといけない、と判断したM4がSOPⅡの発言に割って入った。
「大丈夫。私が何をするかは…聞かされているの。みんなが危惧する様な事は起きないわ」
人形は嘘をつかない────喋らない事は出来るが、M4はあえて"何をされるか知ってる"と本当の事を言い、戦術人形もまたその事を知っているのでAR-15達も渋々納得して出していた。
「分かった。私達…先にグリフィンで待ってるから。…待ってるよ、お姉ちゃん」
「ええ、また会いましょう」
驚いたことに最初に食い下がるのをやめたのはSOPⅡだった。思っていたよりも成長していたSOPⅡにM4は拍子抜かれた。
続いて、RO、AR-15に続いてダンデライオンも納得してくれてM4から離れていった。
「……ありがとう」
ホットしたのか、思わず涙ぐみそうになるのを抑えて絞り出した言葉に全員に背を向けたまま手を振り、見えなくなったのを確認するとM4は再度潜水艦の中に戻っていった。
「全く。あんなのがいたんじゃ気が休まらないじゃないの」
「仕方ないんじゃないんですか?姉妹なんでスし」
「ロボット同士で姉妹ねえ…」
「ロボットで姉妹はアメリカだと珍しいんですかい?」
ヴィシャスの問いにアリアが被りを振った
「アメリカじゃ人型の戦術人形はあんまりいないからね…ピンと来ないのよ、強いて言えば姉妹じゃなくて…兄弟って感じね」
「ハハハ…兄弟っすかア」
ヴィシャスが顎を撫でた、アメリカの戦術人形の姿…一体どんな姿だろうか?
「戻ったわ」
M4がハッチを閉めて、梯子から降りてきた。
「お、イイ顔になってますよ?奥さん」
「奥さん?」
M4はヴィシャスの言葉に首をかしげた。
「違っタんすか?大尉にもあんなに親密な間柄で話してたから、噂になってますよ。M4…ああいや、レイラさんはフレーヴェン大尉の奥さんじゃないカって」
「…そ、そう?」
確かにM4とユーリは恋人同士だが、まさか夫婦とすら思われていたなんて…これからがM4にとって緊張の種になのにどっと場の雰囲気が和やかになった。
「そういえば、あなた見ない顔ね。どこから来たの?」
M4はヴィシャスの事を今更のように思い出して、何者か聞いた。
「ああ、私はヴィシャスって言います。外務省の戦術人形デす」
「へえ、外務省でもこういう人形を使うんだ…」
アリアも意外だったらしく、うんうんと頷いた。
「あ、ちなミにI.O.P製じゃあないんですけど、烙印システムをつないでいるんですぜ!ちなみに私が烙印してるのはこの銃さあ!!」
ヴィシャスが自慢気に烙印している銃を見せた。
「「ああ、うん。知ってた」」
M4とアリアはヴィシャスが見せたサブマシンガンに特段驚きもせずに納得した。
「驚くと思ったノに!!」
「いや…”ヴィシャス”っていう名前の時点で察しが付いていたわよ」
「正直、聞き違いレベルの銃で何となく…」
散々な言われようだが、気を取り直して本題に入った。
「それで、”あの方”というのはどんな方なんです?」
M4は医務室の椅子に腰を下ろし、ユーリに早速質問してきた。
「…一言でいうなら」
「言うならば…?」
ユーリは少し困ったような、表情で念入りに言葉を吟味してから言った。
「社畜って感じの人だな」
「え…?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「会社に飼われている人間……という事ですか?」
「仕事をしすぎて全く休まない人の事よ。とにかく働いているし、しょっちゅう歩いて毎日重要な会議を済ませて計画の進捗の管理や今後の情勢の的確な予報をしてくれるの」
ユーリとアリアが"あの方"について例を挙げたが、すごい人であるウというのは分かったが、余計に全体像がつかめなくなった。
そもそも、その人が何をした人なのか、何故そんなに働いてしまうのか、まるで謎だった。
理解をするには直接会いに行くしかないのだろう。
────
───
その後、M4達は潜水艦で3日程過ごしてアリアから目的地に到着したと報告された。
ようやく、潜水艦生活とおさらばだ。潜水艦から、外に出てこれからドッグを出る。
「ようこそ」
いくつかのセキュリティチェックを済ませて、1メートルはありそうな鉄の扉が開いていく。
さて、私は何処の国に生かされたのやら……外の景色を見ればわかるだろう。いくら年月が変わってもその時特有の形状は残るものだ。
……そう思った、M4の予想は簡単に裏切られた。
「……え?なに?どういうこと?」
扉が開いた先に映った景色、それは真っ黒な都市だ。
真っ黒といっても、あちこちにライン上のライトが照らし出され視界に不自由はなかったし、視力が落ちる感じがする世界ではなかった。
「全く、ユーリと同じ反応するわね。あなたも」
「え!?ユーリも来たんですか!?」
「当たり前でしょ、ここは我々の拠点。その一つよ、ついてきなさい」
アリアは手招きして、黒い街を進んでいく。
M4A1は不安を覚えながら、アリアの後についていった。
「え?これ、どういうこと?…すごい!?」
街の中はたくさんの摩天楼が出迎え、美味しそうなにおいがする料理店、明るく輝くゲームセンター、美麗な映像が流れる映画館、見たとかのないたくさんの兵器達…-皆が活気に満ちていた。
なにもかもが、M4A1の想像を超えるようなもので、溢れていた。
あまりにも、夢のような世界にM4は感嘆の声を上げ少し観光気分だった。
空を見ると真っ黒だが、真っ暗ではない。上から大きな光のようなものが吊り下っているのが見える、あれはなんだろうか?
「こっちよ」
M4は物珍しさからキョロキョロと見回していたが、アリアについてくるようにと言われたので大人しく後についていく。
「カランビットの試験も順調そうね…実施試験は早くて2週間って言ったところかしら」
その他にも、見たことがないような機械や設備がM4が今まで生きていた世界を広くしていくような感覚を感じさせていた。
「あの白いビルが見える?あそこがが”あの方”が今いるところよ」
アリアが指さした先には巨大な摩天楼がずらりと並び、その一番高い漆黒と純白のライトラインが照らす高層ビルがあった、あそこに”あの方”、アドミニストレーターがおり、私に会いたがっている。
「今?」
「ええ、あの方は24時間同じ場所にはいない。そんな人のスケジュールをあなたの為に割くことにどれだけのコストがかかると思う?」
「想像がつかない……」
「想像がついてたら怒ってたわよ」
怖すぎるひっかけ問題だ。
「わかっているつもりでしょうけど、M4……ここから先は覚悟を決めなさいね」
「……はい、分かっています。いざとなった時は私の命を差し出しても構わないつもりです」
そして、二人は漆黒のビルに入っていった。
ビルの中には紺色の甲冑をして、顔を覆う竜のような甲冑をした騎士ような兵士が30人ほどいて、M4達を待ち構えていた。
「────そこで止まれ!!貴様らは米海軍のアリアとグリフィンの人形M4A1か?」
甲冑の兵士が剣を突き付けてきた。
え?まさか、嵌められたの?
「どういうつもりですか!?」
M4は咄嵯に銃を抜いて構えた、それ見た周りの兵士たちもM4を超える速度で武器を構えた。
M4の顔が緊張に歪む、目の前にいる兵士の異様な姿に息を呑んだ。
こんな姿をした兵士達の殺気は初めて見る上に、どう見ても友好的な存在ではないことは明白だ。
「黙れ!!”あの方”は待つためにここに来られたのだ!!あの方に予定外は存在せず、予定外になる事を我々が排除する!!お前が人形であることなぞ知ったことではない!!もう一度問うぞ?貴様らは米陸軍のアリアとグリフィンの人形M4A1か?」
「────そうよ、道を開けて。M4、銃を下ろしなさい。こいつらはあなたやネイトを軽々と凌駕する先鋭よ」
アリアは兵士に臆することなく答え、M4も戸惑いながらも銃を下げた。
「ならば良し!!このまま、最上階へ向かい、"あの方"の元へ行くのだ!」
兵士たちが道を開ける。
M4A1は甲冑の兵士を通り過ぎる。
この瞬間、直感だけで……ようやくわかった。私は余程のことがない限り、彼らと敵対してはいけなかったと。
アリアがエレベーターの最上階のボタンを押した。
エレベーターが上に登っていき、最上階にたどり着いた。
最上階についたエレベーターのドアが開かれると、その先に巨大な左右に開く扉が見えた。
「この先に"あの方"がいるわ」
「はい」
アリアが扉の前に立つと巨大な扉がひとりでに空いた。
扉の奥は真っ黒とした景色に、星が瞬くように煌びやかな光がそこかしこにか輝いていた。
「アドミニストレーター、連れてきました」
星のある方に向かって、報告する。
「ご苦労、下がっていい。2人きりで話したい」
星の方から、幼くも厳かな声が帰ってきた。
「……承知しました」
「長旅ご苦労だった。下でゆっくり疲れを取るといい」
アリアは何か心配そうだったが、丁寧に頭を下げると踵を返し……エレベーターに乗って帰ってしまった。
「其方もだ。遠路はるばるご苦労だった」
M4A1に話しかける声、また星の方からだ。
視線を向けると、空中に浮かぶように一人の女性が佇んでいた。
「うん、ユーリの報告にあった通り可能性を感じる。興味深いじゃないか」
彼女はまた、M4A1に話しかけた。そして、ユーリのことを話題に出した。
間違いない、この人が……ユーリ達が話している"あの方"だ。
彼女は白い髪を靡かせ、青い瞳をしている。
背丈は15かそこらの少女の姿をしているようだが、とても子供のように接することができない厳か雰囲気を見せていた。
「すまないな。挨拶が遅れた、私は"アドミニストレーター"。お前の知るユーリや"子供達"からは私を"あの方"と呼ばれている」
やがて、"あの方"もとい"アドミニストレーター"はM4A1に挨拶する為、微笑みかけた。
「ようこそ、我らの住処に。歓迎しよう。M4A1…いや、レイラ」