四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハードすぎない⁉︎ 番外編 作:例示
「ハロウィン……ですか」
「そう! 真昼さんもぜひ楽しんでほしいの!」
そろそろ本格的な冬物も欲しくなる11月中ごろ。
生徒会長を引退して受験勉強に忙しいはずの七草先輩は、私にそんな話を持ってきた。
どうも仮装大会をしたいとかで、全校生徒参加型だとか。
ハロウィンか……
実は研究所でもやってはいた。
というのも、下の街は雰囲気が雰囲気なだけに、ちょっと飾り付けして貸し出せばいい資金源になるのでは? と思って入場料を取って一週間解放していた。
もちろん入り口で調査はするけど、元々地元では有名なフォトスポットだったこともあってそれなりに人は来ていた。
一部の人からは伝統的な街にそぐわないと反対意見もあったけど、あくまで伝統的なハロウィンの衣装に限定するということで認められた。
研究所の中?
表の研究所はともかく、裏の方ははっちゃけすぎて禁止にしたよ…
「わかりました。準備しますね」
「ありがとう! 楽しみだわ〜♪」
せっかくだし、研究所の試作品出そうかな…
ちょっとまともにする必要はあるけど、面白そうだし。
「えっと……どうでしょう?」
音声のみの通話で研究所に呼び出された俺と深雪。
少し待つと、普段と違って恐る恐る入ってきた真昼。
言葉だけでは何かわからないが、その姿を見れば一目瞭然だろう。
「…すごく、かわいいわ…!」
「あ、ありがとうござ……うぶ」
真昼の言葉を遮るように、感極まった深雪が抱きしめる。
その驚きを示すように、兎耳がピンと立つ。
……ずいぶんと高性能なアクセサリーだな。
「すごいわ……柔らかい…」
「あの……くすぐったいので触るのは…」
「触覚を再現しているのか?」
神経に電気信号を送ることで触覚を再現する技術は確かに存在する。
しかしそれは、義手など
兎耳は本来人間に存在しない器官だから、装着部位の皮膚感覚としてしか感じられないはずだが…
「ええまあ……昔キメラ化が研究ブームになったことがありまして、その時の遺産でこういった追加物の感覚も再現できるようになっているんです。VRでの練習は必要ですが、実際の身体のように動かすこともできますよ」
言葉通り、耳をぺこんと畳んで頭につけてみせる。
深雪はしばらくそれをうっとりと見つめていたが、ハッと我に帰ると真昼の肩を掴んで詰め寄った。
「真昼、それは私も使えるのかしら?」
「え、うん……オーダーメイドだから採寸は必要だけど、数時間トレーニングすれば使えるよ…」
「お兄様、ぜひお兄様もこれを使って参加しましょう」
「俺もか?」
正直そこまでの熱意はなかったのだが、深雪の勢いに押されて俺も使うことになった。
最初は狼の耳と尻尾を深雪に勧められたのだが、それはさすがにやめてくれと拒否。
協議と妥協の末、オーディンの衣装に合わせてカラスの羽を着けることになった。
……オーディンの使い魔がカラスというだけで、オーディン自体は何もついてなかったはずなんだがな。
「どうですか? 問題はありませんか?」
「ああ。違和感はあるが、他は問題ない」
人工筋肉と合成羽毛によって作られた翼を、首・鳩尾・腰に巻かれた接続ハーネスを介して背中に装着する。
装着部位にも電極があるが、背骨に密着している電極群によって感覚と操作の送受信を行うそうだ。
実際、VRのトレーニングは最初こそ違和感が酷かったものの、慣れてくればそれなりに動かすことができた。
例えるなら、手の代わりに足でモノを掴むようなものとでも言えば良いのだろうか。
ただ、反射的に動いてしまうのを止めるのはかなり難しそうだ。
深雪は猫耳と尻尾をつけて、黒猫魔女にするのだと張り切っていた。
……まあ、深雪が楽しいのならばいいか…
「ふふふ、かわいいわね…」
「ありがとうございます…?」
学校でのハロウィンの後(みんなには驚かれたけど高性能なおもちゃ、ということで納得された)、せっかくだからと真夜様にも見せたら有無を言わさずに直接会うことになった。
そして真夜様の趣味で猫モードに。
まあ別にどっちでも良いんだけど、こっちの方が尻尾の操作度が高いしね。
しばらく真夜様の膝の上でお話ししていると夜も更けてきたので、そのまま一泊することに。
外したら外したでしばらく感覚が変になるのでそのまま猫モードでいると、何かの用事で来ていたのか文弥とばったり会ってしまった。
「ま、真昼さん⁉︎ その格好は…」
「あ…えっと……トリックorトリート?」
言ってしまってから気づいた。
どう考えてもこんな状況でお菓子なんか持ってるはずがない。
なんか一方的にイタズラ仕掛けることになっちゃう…!
「え、えぇ⁉︎」
「その反応からすると、お菓子はなさそうですね…」
もういいや、とっととイタズラして解放してあげよう。
そう思って一歩近づくと一歩離れる文弥。
また一歩、もう一歩。
三度踏み出しても近づかない距離に、焦ったさを感じて反則技を使うことにする。
空間魔法で文弥の後ろにこっそりワープゲートを繋いで、前に進むふりをして急いでそこから抱きつく。
慌てる文弥の首元に跡が残るように噛みついて、一言。
「これで勘弁してあげます」
……なんかいまさら恥ずかしくなってきた!
文弥の表情を見ないようにして、急いで部屋に戻る。
翌朝、顔を真っ赤にした文弥と、その首元のアザを直視できない私を真夜様がにこやかに見守っていた。