なにやら息子が鮮烈(ヴィヴィッド)しまくってる女の子を拾って「私は恋人ですから!」と叫ばれている件。お母さん、ちょっと分からないわ 作:SUN'S
ミッドチルダ某所、マンション街。
三十階建ての高層マンションの一室。リンジ・ミヤザワはフローリングの上で正座し、スヤスヤと寝息を立てるアインハルト・ストラトスを恨めしそうに横目で見つめながら、自分の目の前に立つ母親の説教を聞いている。
「リンジ、私は貴方のやりたいことを止めるつもりはないけどね。流石にお母さんもいるのに、女の子をお持ち帰りするのは止めてもらえない?」
「いや、チゲえよ!?ソイツは俺にケンカ吹っ掛けてきたヤツで、流石に女の子をぶちのめして『はい、さよなら!』は出来ないから連れてきただけだっつーの!」
そうリンジは訴えるものの。母親は訝しげな視線をリンジに向けつつ、ソッと左手を肩に添える。ようやく分かってくれたかとリンジが安堵するも「私は分かってるから、ね?」という言葉に、また溜め息を吐く。
「母さん、よく考えてくれ。俺が半裸になって、こんなか弱そうな女の子を襲うわけないだろ?」
「いつも半裸だものね」
「いや、まあ、確かに」
否定できねえ…!
そう悔しそうにうつ向くリンジだったが、ふと視線を感じて真横を見る。じっ、とアインハルトが色彩の違う綺麗な瞳でリンジと彼の母親とのやり取りを黙ったまま、ずっと観賞していたことをリンジは理解した。
「初めまして、お義母様。アインハルト・ストラトスと言います、昨晩はリンジさんに
「やっぱり!」
「おい、やめろ。母さんも母さんで初対面のヤツの話を信用してんじゃねえよ、仮にも俺はアンタの息子だろ…!」
「ただのジョークよ、ジョーク」
ころころと楽しそうに笑う母親を見上げながら、リンジは「いや、アンタはマジだろ」と思うものの。そんなことを言ったら何をされるのか分かったもんじゃないため、またしても深い深い溜め息を吐いてしまう。
「リンジさん、また御教授をお願い出来ますか?」
「お前もお前で
「そ、そうですか?」
なぜ自分のトゲのある言葉に恥ずかしそうに照れるアインハルトの反応を見てリンジは更に困惑する。
「俺の周りにいる女は、こんなのばっかりなのか?」
「ステキですね」
「………」
もう、いいや。と二人のズレた感覚にリンジは諦めて冷蔵庫に向かってしまう。一体、どうしたのだろうとアインハルトは小首を傾げつつ、ワクワクとしている彼の母親に再び視線を戻す。
「ところで。アインハルトちゃんはウチの息子とどういうご関係に?」
「私とリンジさんの関係ですか?」
リンジの母親の問いに悩むアインハルト。強いて言うならば互いを高め合えるライバル、悪く言うならば被害者と加害者と云える関係だが───。
「強いて言うならば恋人です」
「ブッフォオッ!!?」
「あらあら、まあまあまあっ!」
フフンと胸を張るアインハルト。あまりにも唐突でバカみたいな発言に噎せて、飲み物を吐き出すリンジ。そして、何も分かっていないものの、息子に彼女が出来たと喜ぶ母親が出来上がってしまった。
〈リンジ・ミヤザワ〉
自称・灘神影流の継承者
DSAA格闘競技ワールドチャンピオンの青年。分厚い筋肉と精密機械の如き繊細なバトルスタイルを得意とする選手。門外不出・一子相伝の〈灘神影流〉こそ最強の格闘技だと証明する事を目標にしている。