なにやら息子が鮮烈(ヴィヴィッド)しまくってる女の子を拾って「私は恋人ですから!」と叫ばれている件。お母さん、ちょっと分からないわ 作:SUN'S
ミッドチルダ首都、クラナガン近辺。
リンジ・ミヤザワは数日前の行われたアインハルトと高町ヴィヴィオの再戦を見学して以降、何かと彼女は達と交流を持つようになっていた。
「お久しぶりです、リンジさん!」
「おう。久しぶり、ヴィヴィオ」
ぺこりと頭を下げるヴィヴィオ。
その挨拶に対してリンジは軽く彼女の頭をポンと押すように触り、そのままノーヴェと兼任する形で借りる事にしたジムへと入る。
とくに他意があるわけではないけれど。リンジはそこそこノーヴェという女性を気に入っている、とくに他意はないけれど。
「まずは誰からだ?」
ぐっ、ぐっ、と身体を引き伸ばすようにストレッチを始めるリンジの言葉にヴィヴィオ達はこそこそと話し合い、最初のスパーリング相手を決め合う───数秒ほど経つとリンジの目の前にリオ・ウェズリーが意気揚々と勇み足で躍り出る。
「私が最初の相手です!」
「よし、今日はリオだな」
そう言うとリンジはボクシングやムエタイなど打撃系格闘技者の使用するオーソドックスなアップライトに構える。リオも同様にアップライトに構えて、小刻みに身体を左右に揺らす。
どっしりと腰を落として構えるリンジに向かい、リオは素早く初速ならプロに近いジャブを、二、三、四、と連続で打ち込み、背筋のバネを利用した強烈な右ストレートを叩きつける。が、リンジはリオの小さな拳に手のひらを添えるように弾き、往なし、受け流す。
「むうっ、ガード硬すぎですよ!」
「これでもプロだからな」
「それなら、コレはどうですかっ!」
そう不敵な笑みを浮かべたリオは先程と同じように間合いを詰め───。いきなり、リンジの真上に向かって飛び上がり、嵐を彷彿とさせる連続の蹴りを繰り返す。
浮いている。
そう二人のスパーリングを見ていたジム会員は錯覚する。しかし、リオは宙に浮いているわわけではなく。蹴りを防がれる瞬間、リンジの防御する瞬間、彼の身体の部位を蹴る反動を利用し、その場で跳ねているのだ。
「おりゃああっ!!」
一気呵成の雄叫びを上げ、リオは振り上げた右足を振り下ろし、左足を跳ね上げて、リンジの腕を挟み込み、ガッチリと身体を押し付けるように固定───腕ひしぎ十字固めを仕掛ける。
「まあ、作戦は上出来だ」
「あ、あれ?」
いくら完璧に関節技を極めようと初等部、それも小柄な女の子が成人間近の男に飛び付いたところで押し倒す、あるいは組み伏せる事は難しく、襟首を軽く掴むように引き離されたリオは「この後は、どうする?」というリンジの言葉に、しょんぼりと肩を竦める。
「まあ、さっきの蹴りは良かったぞ」
「ホントですか!?」
「おう。チャンピオンのお墨付きだ」
リンジはリオの蹴りを褒めつつ、どうやれば効率的に相手の攻撃をすり抜け、自分の技を仕掛けられるのかを細かく彼女に教えながら、その教えた通りのやり方を自分の身体を使い、優しくレクチャーしてあげる。
〈リオ・ウェズリー〉
春光拳の使い手
高町ヴィヴィオとコロナ・ティミルの親友。自分と同じ古流武術の使い手であるリンジ・ミヤザワに興味を持ち、なにかとスパーリングの一番手を得ようと頑張っている。