どうやら俺は須川君に憑依したようだ   作:葬炎

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〜第七問〜 後半

『ドアと壁をうまく使うんじゃ! 戦線を拡大させるでないぞ!』

『『『『『うおおおおお!!』』』』』

 

戦場から秀吉の指示する声が聞こえる。どうやら前線は戦闘を始めたようだ。

今は雄二の作戦により無事Cクラスの矛先をAクラスに変え、Bクラスとの戦闘に入ったところだ。俺はいつも通り少し下がったところで遊撃を務めている。

さてと、このままいけばだいたい予想通りの展開になるのかな。流れ的には俺が前線に出てるわけじゃないから原作とそう変わらないはず。しいて言うなら枷が無いので姫路が全力で戦闘しているというとこだろうか。しかし前線にいるBクラスの生徒が増えているからその分働いてもらわなきゃ困るんだけど。

と、とりあえず俺は俺で仕事しますか。

 

「遊撃部隊。いつも通り気張っていくぞ!」

『『『『『おーー!』』』』』

 

気合十分。遊撃部隊は俺の指示通りピンチになっている生徒の援護に行ったり止めを刺しに行ったり頑張っている。

俺がやるべきことは....あれ? なくね?

雄二に指示されてることはあるが、それはBクラス戦終盤のことだし、今はやることがない。

 

「(俺も前線に加わるべきか...;? いや、いざという時のための保険が無いのは危険だ。原作なら根本が色々やらかすけど、この世界じゃありえない。あれ? 俺今はいらない子....?)」

 

いや、まぁいいけどさ......

どうするか。このままぼーっと戦場を眺めてるのもなー。

 

「なら私と話してますか?」

「......なんでここにいる恭子」

 

俺から見て戦場とは逆側、つまり俺に背後に背中合わせにして恭子が立っていた。

俺の体が壁のようになり戦場のやつらは気づいてないようだ。ある程度離れているとはいえFクラスの集団がそこにいると言うのによくバレないもんだな。

 

「いえ、暇でしたのでちょっと須川君の観察ーー視姦を」

「訂正どころが酷くなってるだろ。Bクラスに戻らなくていいのか?」

「大丈夫です。これも作戦の中の一つでーー」

 

と、そこで恭子の声がピタリと止まった。不思議に思い肩越しに頭だけ振り返って恭子の姿を確認すると、恭子は俺の横っ腹当たりから顔を出して戦場を見ていた。

 

「......吉井君が変な顔をしてますね」

「ん? いつも通りじゃ?」

「いえ、あれはなんか考えている顔ですね。勘ですがこっちに来そうなので私は次の行動に移ります。それでは須川君また」

「ん?」

 

恭子の言葉に反応して戦場を見ると、確かになにか悩んでいる顔をしていて、なにか思いついたのか、バッと顔を上げてこちらに走ってくる。

む、背後には恭子がーー

 

「ーーいない!?」

 

すでに恭子はいなくなっていた。

こんな何もない廊下で気づかれないように近づき離れるなんて、どうすればできるんだ......?

 

「須川君、ちょっといいかな?」

「なんだ明久?」

「須川君と、根本さんが、付き合ってるっていうのは、本当、なのかな?」

「ーーっ!」

 

殺気!?

今の明久の質問と共にFクラス全体及びBクラス男子生徒の意識が全部こちらに向いた気がする。心なしかやかましい戦闘音が一瞬止んだ。

いや、今は試召戦争中だ。そんなことはアリエナイだろう。

 

「......いや、付き合ってないけど」

「そう......これは根本さんに確認しなきゃね。でもこの試召戦争中に会えなきゃ誰かに邪魔されちゃうだろうし.....なんかインパクトあることして混乱している間にーー」

「いや、お前はなにをしようとーー」

「ーー雄二に相談だ!」

 

明久はFクラスにダッシュで向かって行く。これは馬鹿なことをしそうな予感......

まぁいっか。明久がなにして恭子がどう答えようと大丈夫だろ(無根拠)。

 

「しかし明久が戦線から抜けたけど、大丈夫かな?」

 

俺は戦場を注視しながら、明久が抜けた場所の戦力が大丈夫か心配していた。

しかし戦力としては明久が役立たずだったことに気づいて3秒後にはどう暇を潰すか考えていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「雄二!」

「なんだ明久。脱走ならチョキでしばくぞ?」

 

僕がFクラスの教室に駆け込むと、雄二はなにか考え込むように腕を組みながら座っていた。

 

「話しがあるんだ」

「ん、聞いてやろう」

 

雄二の上から目線の言葉が気になるが、今はそんなことに構っている暇はない。しかし雄二は僕の考えがなんのそのとでも言うようにニヤニヤと笑っていた。

 

「根本さんとインパクトのある出会いをしたいんだ」

「......お前になにがあったんだ?」

 

し、しまった! このままだと僕が根本さんと付き合いたいみたいになってる! いや根元さんと付き合えるなら大歓迎だけど!

 

「ああ、いや、その。えーと......」

 

本当は根本さんと須川くんが付き合ってるか知りたいだけなんだけど、そんな事情話したら鼻で笑って一蹴するついでに僕の目がチョキでしばかれちゃうし、勘違いされた場合僕が異端者として皆に追いかけられることになってしまう......!

 

「ふむ、なにかよくわからんが深くは聞かないどいてやる。その代わり、俺の指示通り動いてもらうぞ?」

「くっ、致し方ない....!」

 

雄二は不思議そうな顔で、しかし思い通りとでもいうかのようにニヤリとしながらそう言ってきた。

雄二の指示に従うって約束をするのは少し不安だが、もしかしたらFクラスに最高レベルの異端者がいる可能性を考えたら仕方あるまい。いや、やっぱ不安だ.....横溝君にでも代わってもらえばよかったかな。

 

「で、それだけか?」

「うーん、指示って言ってもそんなに無茶なことを要求しないでほしいかな.....?」

「そうか。じゃあお前がやることについてだがーー」

「無視!?」

 

雄二はまるでなにも聞こえなかったかのように話しを進める。

はぁ、変なこと言われなきゃいいけどーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「これは、そろそろ厳しいか....」

 

こちら前線はただいまピンチと言うまではなくとも少し危うい戦況となっている。

明久が抜け、代わりに姫路が戦いながら指示を出している。そのおかげでFクラス全体の指揮は上がってるが、それでもBクラスとの戦力差が埋まるわけではなく、このままでは普通に負けてしまう。いやBクラスが加減してるから大丈夫なわけだが、それは交渉の場にいた雄二を守っている生徒数人と俺と交渉していた雄二本人しか知らないので、Fクラスは正真正銘全力で特攻しているのだ。

それよりもうそろそろだと思う思うが.....

 

 

「須川」

「やっとか」

 

噂をすればなんとやら。雄二がこちらに向かって歩いてきている。急げと蹴り飛ばしたいとこだがそれは後でいいだろう。

 

「さっさと指示を出して終わらせるぜ」

「ああ。それじゃ」

 

雄二が一旦喉を整え、声を張り上げる。

 

「お前ら! 最後の特攻だ! Bクラス代表の根本さんまでの道を開けろぉぉ!」

『『『『『おおおおおおおお!』』』』』

 

雄二の指示が全体に伝わりFクラスがあらかじめ言っておいた通りに動き、人の海に一つの道ができる。

それはFクラスが指示を聞いてBクラス生徒の召喚獣を自分の召喚獣をもって攻撃をくらいながらも突進して左右にずらしたからなのだが、当然これもBクラスの協力があってからこそ。普通にこれをやろうとしたら点数差で吹き飛ばされて終わりだろう。そのことにFクラス生徒が気づけないのは(ひとえ)に『Fクラスだから』だろう。姫路は最前線でひたすら頑張ってるからそこまで気が向けないからだろうが。

 

「よし、行くぞ!」

「おう!」

 

俺が先頭を走り出し、雄二、近衛隊とついてくる。

そして走り抜けると共にさっきまで廊下からBクラスに向かって侵攻していたFクラスの生徒はBクラスの生徒と場所が入れ替わり、Fクラスの生徒がBクラス教室を守るかのようにBクラスの生徒を入れないような立ち位置となった。

 

「よし、切り抜けたな」

「ようこそ。少し遅かったですね」

 

Bクラスの中心には堂々と床にレジャーシートを敷いてその上に正座しながらお茶を飲んでいる恭子がーーーーもうなにも言わん。教室にある机とかをどかしてなにしてるんだとか、結局なにしてたんだとか、入口は塞がってるのにどうやって教室に戻ってきたのかとか。

 

「まぁそう言うな。それよりさっさと終わらせるぞ」

「わかりました。では.......いい加減諦めませんか? 例えFクラスがBクラスの教室を獲得したとて、その後は考えているのですか?」

「ああ。当然対策は考えてある。だがBクラス代表サマに教えることじゃないな」

 

始まった。

これはFクラス生徒を騙すための演技。いらないとは思うが、まだやる気を無くしてもらうわけにはいかないし。

 

 

ドン! ドン!

 

 

壁からなにか叩きつけられているかのような音が聞こえてくる。どうやら明久も始めたようだ。伝説(?)ともなるアレを.....

 

「ギブアップしませんか? 今なら戦後対談で終わらせたことにしてあげてもいいですよ?」

「それはずいぶん優しいことで。だがこっちが勝つから必要ないな」

「確かに須川君は強いですが、代表であるあなたはそうでもないことはわかってるのですよ? 近衛隊で須川君を足止めしている間に私が戦えばあなたたちに勝ち目はありません」

「ふっ、そんならーー」

 

 

ドン! ドン!

 

 

音がだんだん大きくなっていく。

 

 

「ーー正々堂々と不意打ちするだけだ!」

 

 

ドゴォ!

 

 

「だあぁーーっしゃぁーーっ!」

 

気合の入った叫び声に近い声と共に明久が壁をぶち抜いてくる。

そう、BクラスはDクラスと隣接していて、明久はどうにか先生を騙してDクラス内で観察者処分されている自身の召喚獣を召喚し、どうにかしてBクラスとDクラスを隔てている壁を壊して『入口から侵入する』のではなく『Dクラスから壁を壊してBクラスに侵入する』ということをやらかしたのだ。壁を壊した時にどこか悲壮な叫び声な感じがしたような気がした気がしなくもない。だったら壁を壊すなと。

 

「すごいですね」

「根元さん! 貴方に勝負をーー」

「Bクラス山本が引き受けます! 試獣召喚!」

 

しかし明久の特攻は虚しくも近衛隊に止められてしまう。

そしてまだまだ俺と雄二か明久が恭子の元へたどり着くには距離があり、しかも近衛隊が間にいてこちらにジリジリと近寄ってきている。

うむ、見た目だけピンチだ。

 

「残念でしたね。壁を壊してくるのは予想外でしたが、それではクラスの中心にいる私のとこまでの距離が遠いですよ」

「大丈夫だ」

 

恭子が冷静に明久に駄目だしをしているところに雄二が口を出す。

そう、この後はーー

 

「策ってのは二重にも三重にも考えてあるもんだぜ?」

 

 

スタッ!

 

 

開け放たれたBクラスの窓から二つの影が飛び降りてくる。

 

「..........Fクラス、土屋静香」

「あらら」

「Bクラス代表、根本恭子に保険体育勝負を申し込む....!」

「土屋さんですか。多少気になることがあるのでお話ししたいのですが」

「ーー試獣召喚」

「それは後でいいでしょう」

 

『Fクラス 土屋静香 VS Bクラス 根本恭子

保険体育 462点 VS 382点 』

 

土屋はの召喚獣は手に持った鎖鎌のような武器で恭子の召喚獣の首を狩り、一撃で戦闘は決した。

 

 

今ここで、Bクラス戦は終結となった。




更新遅れて申し訳ございません。葬炎です。
先週学校の卒業課題が終わり、今週無事に卒業してきました。就職する会社から指示されたことも終わったので4月までは今まで通りの更新となります。まぁ早く次話が投稿されることはあるかもしれませんが。

さて久しぶりに書いた本編についてですが、ちょっと行間を変更してみました。こっちのほうが見やすければ今まで書いたのも書き直し統一してこれからもこれでいこうと思います。
あと気づいたと思いますが、土屋さんの武器が変わってますね。これは仕様です。性別変わったならこれも変えようかと。
土屋さんは武器が短剣から暗器全般としました。その中には短剣もあります。
格好は忍び装束を改造して露出を多くして下にレオタードらしきものを着ていると思ってください。
根本さんに関してはまだ描写してません。もうちょい後で。

感想、意見、批判などがあれば是非ください。葬炎でした。


追記:2話前の「申し訳ございませぬ」は除去しました。ついでに「特別編:ハロウィン」も恥ずかしかったので除去しました。
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