はぁ、神様よぅ、今ほどあんたを恨んだ日は無いぜ....
俺はそんなため息が吐きたくなるような状況に陥っていた。
「聞こえてますか? 無視はよくないと思うんです。聞こえてなかったらもう一回自己紹介をしましょう」
ここはバカテスの世界。....の、IF。
だからと言って、これはあんまりじゃないかな....?
そう思ってしまう原因が、俺の目の前にいて、俺の手を握っていた。
「私の名前はーー
「....俺はーー」
名前でわかるだろうか、俺の目の前にいるのはアノ根本
しかし、なぜか彼だったはずの根本君は、今俺の目の前に彼女として立っている。....しょせん、TSというやつだろう。
もしかしたら名前が似ているだけの別人、という可能性もあるが、あの神様は『本来の作品とは違うところがあるかもしれない』ことを強調して説明していたんだ。おそらく、これが違うところなのだろう。だからと言って、こんな誰得なTSは誰も望んでいない....!
そんな元彼、現彼女はうるんだ目、赤くなった顔、上目遣い。そんな感じで俺を見ている。
これは明らかにーー
「ーー
「須川君......」
こいつ聞いてねえ。
はぁ、こいつ出会ったのは、まぁ子供にありがちなことだったーー
ーーーーーーーーーー
『なー! 鬼ごっこしようぜ!』
『うん! じゃあ鬼ごっこするひとこのゆびとーまれ!』
わーわーきゃーきゃー
「..........」
俺は公園に来ていた。
というのも、やっぱ予想通りこの体は小学生、それも低学年のもので、いつまで経っても部屋を出ない俺を母親(なぜか現れた女性と男性を両親だと理解できたし、すんなり受け入れられた。神様がなにかしてくれたのだろうか?)が公園まで連れ出してきたからだ。
親が後ろのほうで他の親としゃべってる間、俺はずっとブランコに座ってぼーっとしてただけだが。
「はぁ....暇だ」
さすがに俺は去年にもう魔法使いになってしまった存在。
まぁ、当然前世の話しだが。あと、なにが魔法使いなのかを聞かないでくれ。
そんな俺が、見た目子供だとしても、他の子供に混じって遊ぶことなんてできるはずがない。....というか、子供(今は同年代だけど)との接し方がわからないです。誰か教えてください。切に......
「母さんは......井戸端会議か。さて、なにしよーーう?」
母さんが会話中なので帰ろうにも帰れない。
そんなことを考えながら周りを見渡すと、まぁなんとも子供がやってそうな光景が見えた。
『あははは! おまえくらくてじゃまー!』
『もーどっかいってよー』
『ほらっ! くらえ!』
『なんで....私は....』
まぁ、ようするにイジメだ。
この年代はなかなかイジメに関して難しい。ただ大人に言って、大人が口先で怒るだけだと、一時期収まるかもしれないが、絶対と言っていい確立で再発する。
そして、再発した場合はだいたいが陰湿になる。理由は子供たちなりにまた怒られないように、バレないように精神的にイジメてくるだからだ。
こういうのはだいたいが時間で解決するが、たまに時間が経つにつれ過激に、取り返しのつかないイジメに発展することがある。
これの解決方法はーーと、そんなこと説明してる場合じゃないな。しかし、あれに介入しようにも、イジメられてる女の子と知り合いってわけじゃないし、イジメてる側の誰かと知り合いってわけじゃない。こういう場合はガキ大将的なやつと友達だと手っ取り早いんだがな....
んー、しゃーない。
「君たち、なにをしてるんだ?」
『なんだよおめえ! おれたちはこいつとあそんでるんだよ!』
『そうだよ! じゃますんな!』
『なにーきみー?』
「あうぅ....」
俺はイジメられてる女の子の隣に立ってイジメっ子たちに問う。
反応はかね予想通り。
さて、解決方法だが、こういう場合はアル手段に頼らせてもらう。これは前世ではまずできない、つまりこの世界だとできる方法だ。
「ーー俺は恥ずかしいっ!」
『は?』
『なに言ってんだよ!』
『ふーん?』
「なんでお前たちはそんなグレてしまったんだ!? 昔はもっと純粋にみんなと遊びたかったはず! なのに今の現場を見ると、ただ少女をいじめるだけのイジメっ子集団じゃないか! それでいいのか!? 君たちは仲良く遊びたいだけだろう! なぜそうなった! 家の事情か? 友達の作り方がわかないのか? むしゃくしゃしたのか? だが! 今ならまだ間に合う! さぁ、このこと手をつなぐんだ!」
さて、皆様は俺がなにをしたいかまったくわからないだろう。
そこでだ、この世界がどこかを思い出してほしい。
そうーーバカテスの世界だ。
原作を持ってない人はわからないだろうから説明すると、バカテスの世界は、常識人も非常識なやつらもーーだいたいノリと勢いでなんとかなる。
具体例はバカテスの何話だったか忘れたが、学力強化合宿編の
そうーー全員だ。もとからエロいやつはともかく、そういうことはやっちゃいけないと考えるやつが絶対一人はいるはずなのに、全員なのだ。
よって、この世界の住民はーー
『....なんか、わるかった....ごめん』
『....ごめんなさい』
『ほー、じゃーわたしもごめんなさーい』
「え....うん別にいいよ」
ーーノリと勢いで押せばなんとかなることが多い。
多いだけであって、なんともならない時もあるだろうけどな。
『おまえっていいやつなんだな! いっしょにあそぼーぜ!』
『じゃーあそこの鬼ごっこにはいろう!』
『わたしはどっちかっていうとそっちの男の子にきょうみあるなー? まーいーやー。あそぼー』
「......はい!」
こうして、イジメっ子集団とイジメられっ子は仲良くいっしょに遊び始めましたと。めでたしめでたし。
「さて、俺はどーしよーかなー」
まぁ、俺の現場はまったく変わってなくてめでたくないけどな。
『ねー奥さん、あそこのスーパーのーー』
『あらやだ、もうこんな時間。私はーー』
『あら、私もーー』
今は夕方。ようやく母さんたちの井戸端会議が終わりそうな頃だ。
「んん~....はぁ~」
俺は結局他の子供とは遊ばなかった。だって、神様からもらった身体スペックもあってなにしようと勝負にならないし、勝ったら勝ったで泣き出す子とかいてあやすのが大変なんだもん。....おぇ、精神おっさんがこの口調はねえわ。
「......ねぇ」
「ん?」
俺は背後から声をかけられたので振り向く。
すると、後ろにいたのはーーイジメられていた少女だった。
「....私を助けてくれたよね?」
「んー、気のせいじゃないかな?」
「うそ」
なにかめんどくさいことになりそうだと俺の勘が警報を鳴らしていたため、嘘をついて適当にあしらおうとしたらあっさり否定されてしまった。
ふむ、まぁ話しくらい聞いてやるかーー
「あなたのことが好きになりました。よろしければ婚約を前提に結婚してください」
「....は?」
婚約を前提に結婚....?
どういうことだーーーー!?
ーーーーーーーーーー
「そして冒頭に戻る、と」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
俺がこの少女を根本君だと思ったのは、当然名前が似てる、というか一文字以外同じということと、あとーーちょっとたれ目的な目つきとか、全体的な造形がなんとなく根本君に似ているからだ。
あの根本君の顔を全体的に女の子っぽく丸い感じにして、髪型をロングにすればこんな感じになると思う。
『りょ~ちゃ~ん、帰るわよ~』
「あ、母さんに呼ばれてる。帰らないと。じゃぁな」
「む、残念です......ええ、また明日」
俺は母さんに呼ばれて帰ることとなった。
....なんか明日会うことになってるのは、気にしないほうがいいだろう。
そして、俺は帰った。
この出会いが色々な事件に巻き込まれるきっかけとなるとも知らずにーー
個人的にはこの設定が気に入ってます。誰得なのは変わりませんが。