犠牲者は。。。
犠牲者は。。。
※小説9巻の後ぐらいの設定です。アニメではおそらく3期が終わった後ぐらいになります。
若干ネタバレありますので、アニメで追っている方はお気を付けください。
「リムルよ、酒はないのか?」
金色の月を背負って、白銀の髪をなびかせた吸血鬼は素敵な笑みを浮かべて言い放った。
と格好つけてナレーションしてみたものの、
「はぁ~」
溜息しか出てこない。
ヒナタ達とも和解し、祭りも無事に終わったが、まだまだやることはたくさんあるのだ。
etc...
そんな忙しい日々を謳歌して、
「今日もよく仕事したな~」
『マスターは大半寝てました』
相棒にそんな突っ込みを受けながら着いた我が家の縁側で、いきなり現れた魔王が言ったセリフが最初のセリフである。
「いや、何してるんだよ。」
真祖の吸血鬼にして、八星魔王の先輩である。
基本的に自分の城にいて、こちらに出てくることなどほとんどないのに。
「ふふっ、そう急かすな。偶には魔王二人、密会と洒落こむのも乙なものじゃろ?」
「はいはい」
美しい笑顔でほほ笑むヴァンパイア、ルミナス・バレンタイン。
一時は七曜の老師の暗躍で敵対しそうになっていたが、それも昔の話。
その後の和解の宴会。開国際などを通じて、気軽に話ができるようになった
…と個人的には思っているんだけどなぁ~
ポヨンポヨン
「で今日は何の用?」
スライム姿のまま、縁側に腰掛けるルミナスに近づいていく。
「いや何、酒を飲みにきただけじゃよ」
「ほぉ~」
長い付き合いではないが、何かを企んでいることぐらいは想像つく。
「それで酒じゃ、どうせおぬしの中にしまってあるのじゃろ?」
スッ
「あっ」
不用意に近づいた俺のスライムボディを軽々と捕まえて膝の上に乗せてしまった。
これは逃げられないなぁ~
「ふふふっ、まさか妾がせっかく来てやってるのに…」
にやっ
「よもや逃げようなどとは考えておらんよな?」
くそ、見抜かれてる…まさか、こいつも読心じゅ…
『否、マスターが分かりやすすぎるだけかと…』
…そうですか
「これでいいのか?」
あきらめて体の中にしまってあった徳利とお猪口を渡す。
ルミナスのイメージはワインなんだけど、浴衣と日本酒も似合ってたから良いだろう。
「ん?なぜグラスが一つなのじゃ?」
「え?」
「一人で晩酌なぞつまらん。あいてせぇ」
「…はいはい」
一人でさっさと飲んで帰ってくれること期待したんだけどなぁ。
もう一つお猪口をだして、片手で持ち、もう片手でお酌する。
「うむ、相変わらずきれいな酒じゃ」
「ありがとよ」
皆が頑張って作ってくれた酒だ、ほめてもらえるのは素直にうれしい。
「じゃあ俺も」
「貸せ」
「あっ」
ひょいっと徳利を取り上げるルミナス。
…反応できなかった。
「ついでやろう」
「どもども」
侍女姿ではなく、ゴスロリ服のルミナスに酒を注いでもらえるとは…
「このクイーンオブナイトメアに酌をさせるとはのう…」
くっくっくっ
また俺の心を読んだように…
「ま、まぁ、俺も魔王だし!」
精一虚勢を張ってみた。
「ふっ、たわけ」
一蹴された。悲しい
「ま、今日は妾からの訪ねたゆえ、こういうのもよかろう」
「…そうだな。とりあえず乾杯」
「乾杯」
ちんっ
小さなお猪口同士を優しく繋ぐ。
そこからはのんびりとした時間だった。
日本酒の話や、使用している器具はお猪口と徳利というのだとか。
そんな話をしていた。
美女の膝の上に抱えられるスライム。
そして二人で月を見上げながら静かに酒を飲む。
同じ魔王でもミリムとはまるで違う。
ミリムに抱えられている時は大きなクッション+お菓子とジュースって感じだったしな。
ルミナスは、軽く俺の上に肘を付きつつも体重をあまりのせず、こちらを気遣ってくれるような。
そんな大人の気配りを感じられて、これはこれで…
こういうのも、たまにはいいかもなぁ。なんて考えていると、
「時にリムルよ、お主のところは珍しい服もあるそうだな」
「あ?なんだよ急に」
のんびり酒を飲みながら急に振られた話は、服の話だった。
これが来た理由か?
と言うか俺に服の話をされても分からないぞ?いつも着せ変え人形になっているだけだし。
「安心せい、お主が服に詳しいとは思っておらん」
「それはどうも」
「だが色んな服を着させられているだろう?この国の誰より」
ぐぴっ
白い喉が嚥下する姿は美しい。
酒を飲んでいるだけで、絵になるとは羨ましい限りだ。
ぐいっ
「いやなに、美しいオナゴは見ると目の保養になるじゃろ?」
「そりゃな」
「美しいものと美しいものをかけ合わせたらより美しくなるじゃろ?」
「そりゃ、なぁ」
「その綺麗なオナゴの魅力を引き立たせるような衣装を纏わせることが出来たらどうじゃ?」
「最高だな!」
あれ?さっきまでのゆったりした雰囲気はどこに?
まぁそれは置いといても、なるほど、誰かに着せる衣装をこの国で仕入れようとしてるのか。
「それでどんな衣装が好みなんだ?」
「ふむ、、」
以前ヒナタも言っていたが、この世界では生きるのに必死で中々洋服などの娯楽が発達しない。
ただしルベリオスは、魔王に守られた町。意外と良い服は着ているのだ。
ただしそこは宗教観が強いのか、あまり浮ついた格好はいなかったかもしれない。
まぁウチが色々と作りすぎてるんだけどね!
『それは主にマスターの悪ノリのせいかと』
相棒が何か言ってる気がするが気にしない!
敬虔な女性がはじける姿!
なんてスバラシイ!!
「お主はどうなんじゃリムルよ」
「ん?俺?」
「そうじゃ、色々着せられたお主なら何かお勧めはないのか?」
「ん~」
意外性を狙うなら、、
シュナだったら、普段巫女服だから、少し露出が多いのもいいかもしれない
シオンだったら、いつもスーツ姿だからあえてナースとか?
いや、あの料理で看護された悪化する未来しか見えない…
ブンブンッ
病院が墓場になる嫌な妄想をかき消して…
「迷うなぁ。。結局だれが着るかによって変わるよな」
結局それなんだよな~
誰に着せるかが分からないと、難しい。。
「そういえば誰に着せるんだ?」
ルミナスなら何を着ても様になりそうな気がするけど。
普段のゴスロリもメイド服もあれだけ着こなしているぐらいだし。
あえて白のフリルも似合いそ…
「あぁ、ヒナタじゃよ」
そっかぁ~ヒナタかぁ~
「え!?」
「だからヒナタじゃ」
「…マジ?」
ヒナタにかわいい服を?
それ自体は素晴らしいけど、色々と不安しかないんだけど。。。
「ふふふっ、大丈夫じゃ。何だかんだ言って、あやつもオナゴじゃからなのう」
いや、それはそうだけど、あのヒナタさんだからな…
「リムルよ、おぬしはヒナタと同郷。あやつぐらいのおなごがどのような格好をしていたのか知らんのか?」
「え~」
俺とヒナタじゃ生きていた年代も微妙に違うし、そもそもおっさんの俺が女性のファッションなんか余計に知らないし…
よく渋谷や新宿で良く女の子が着てるような服装はあるけど、テンペストでもよく見るしなぁ~
この前の祭りの時にヒナタも何着か買ってたみたいだし。
かといってヒナタに黒ギャルとかの恰好はなぁ~
むしろ特攻服のが似合いそうだな…
「おいっ、1人で妄想しとらんと妾にも説明せい」
「あ~悪い悪い」
「それでどうじゃ?」
くいっ、
盃を優雅に傾けながら聞いてくる。
「難しいな~、ヒナタと俺じゃ年代が離れてたし」
「ふむ」
「それに来た時あいつ高校生だったっていうじゃん。そんな若い子のファッションなんかしらないって」
「ん?その高校生とはなんぞや?」
「あ、あぁ、俺らの世界だと、年齢に合わせて集団を分けて学習を行うんだよ」
「ほぉ」
「5歳と15歳だと、知識も肉体も全然違うだろ?だからそれをある程度同レベルになるように年齢で集団を分けて学習を行うんだ」
「なるほど、じゃが肉体は年齢に比例するとしても知識はそうはいかんじゃろ?」
「あぁ、そこは試験してその集団を分けるんだ」
高校受験…懐かしいなぁ~
「ほぉ、こっちでは考えられないな」
「まぁあっちの世界では争いが一般的ではなかったから、学習に重きを置いていたからなぁ」
「なるほどのぉ」
くいっ
「まぁ、受験もたまに家から近いからとか、制服が可愛いからとかで選んでる人もいたけどなぁ」
俺の友達にいた話だから事実だ、まぁ、地方だと高校の数が少ないからなぁ。。。
「ん?制服とは?」
「制服っていうのは、この集団は学生ですよ~って証明して、この学校に通ってるっていうことが分かるようにするための服だよ」
「部隊事の軍服みたいなものか」
「まぁ、そんなとこだよ」
制服かぁ~
ヒナタは制服、セーラー服だったのだろうか?
俺の時代だとブレザーが多かったけどなぁ。
ヒナタならどっちも似合いそうだなぁ~
「くくくっ、リムルよ、気持ち悪い笑みが浮かんでいるぞ」
「えっ!?」
え?俺そんな気持ち悪い顔してた?
『…はぁ』
あれ?相棒まで溜息をついてたような…
「ふふっ、決めたぞリムル、その制服とやらをヒナタに着させようではないか!」
「…え?…えっ!?」
思わず二度聞いてしまった。
「うそ…だろ?」
「ふふふっ、妾がうそを言っているようにみえるか?」
不敵な笑み…と言うより邪悪な笑み…これは本気だ。
「だ、だけどさすがに、ヒナタがイエスと言わないだろ?」
「安心せい、妾の言うことなら案外素直に聞くものよ」
「お、おぅ」
「だから早くその制服とやらを教えるのじゃ」
これは本気だ…
「じゃ、じゃあ…」
「…」
「……」
「………」
「なるほど!それなら生足は外せんな!」
「そこかよ!」
思わず突っ込んでしまうが、確かにあの肉体美だ。
足もよく引き締まっているだろう。
「あやつの足はきれいじゃぞ。ここの温泉ではそれは良く堪能したものじゃ」
ニヤニヤ
思い出して笑っているのだろう。
俺だってあの時そっちには入れれば。。
だけど単純に生足よりは…
「なるほど、少し子供じみて、生足を見たい。けど綺麗さは損なわせたくないなら」
「ないなら?」
「これでどうだ!」
「おぉ!素晴らしい!」
「セーラー服なら、やっぱり屋上での愛の告白とか良いよな」
「ほうほう」
「いや、ドラマとか…架空の物語みたいのでは定番だったんだよ」
「なるほど、じゃがそれをヒナタにさせると…」
「あ~、まぁ中々ないだろうけど…」
「じゃが、あのヒナタが頬を染めながら」
「先輩、好きって」
「「それは良い!!」」
「…」
「……」
「………」
こうして思念伝達を使った作戦会議は朝まで続いたのだった。。。
コンコン
「リムル?少しいいかしら?」
「…アレ」
おかしい。
確かにセーラー服だ。
紺色に赤いスカーフ
薄めの化粧がよりヒナタの美人ぶりに拍車をかけている。
仄かに赤く染まった頬は上気して、とても艶めかしい。。。はずだ。
だけどロングスカートに木刀。
刺繍で「夜露死苦」とか見えちゃってるんだけど。。。
「えっ、、と?ヒナタサン?」
「ふふっ、何かしら?リムルせ・ん・ぱ・い?」
あれおかしい。確かに言ってほしいセリフだったのに。。
夕暮れの教室で、夕日に照らされて恥ずかしそうに頬を染めたヒナタならって思ってたのに?
「どうしたんですか?リムル先輩?」
うふふ
満面の笑み。
今までにないぐらいの笑顔なのに、背中を伝わる冷や汗が止まらない。
染まっている頬の赤が少し?濃いのと、
なぜか木刀の先にも同じ赤が見えるけどきっと気のせいだろう。
「うふふふ」
「いや、ちょ、ご、ごめ…」
~~~~~~後日談~~~~~
「そういえばリムル」
「…はい」
ぼこぼこにされた後に、さらに笑顔でこちらを見てくるヒナタ
「私も学生時代にちょっと聞いてたけど、セーラー服って三種の神器って言われてるんでしょ?」
「…え?」
そんなおじさんみたいなセリフがヒナタから出てくるなんて。
「だから、残り二つはあなたに着てもらうわね。ふふふっ」
…え?
バンッ
突如開いた扉には一着ずつ洋服?を持ったシオンとシュナ。
「リムル様に新しいご洋服を用意するのは秘書の役目です!」
「言ってくださればセーラー服もありますからねぇ~」
やばい…やばい…
二人の目がマジだ…
「良かったわねリムル、ふふふっ」
「ちょ…」
「リムル様、シオンやミリム様だけでなくルミナス様にも抱えられてお酒を飲んでいたんですね~」
あ、シュナの目が暗くなってる、やばい!
「いや、その…あれは…」
「ふふふっ、いいんですよ、別に、怒ってる訳じゃありませんからぁ~、ふふふっ」
や、やばい!助けて相棒!
『…』
あ、あわ、あわわ…
「ふふっ、じゃあ早速お着換えしましょうね~」
「大丈夫ですリムル様!きっとかわいいです!」
「安心してリムル、ちゃんとルミナスには伝えておくから。ふふふっ」
いやぁぁぁああああ!!!!
『…自業自得です』
久しぶりに転スラを読んで書きました。
いやぁアニメ三期って原作でも一番好きなところなので楽しみです♪