ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 閲覧ありがとうございます!

 テレビスペシャルなノリで拡大式に投稿したので初投稿です。


其之九 決着!勝者はどっちだ!?

 

 試合再開のドラが鳴り響く、だというのに二人は動かない。

 観客にも伝わる二人の緊張の糸、動かないのではない。()()()()()()。互いが必殺の一撃を喰らわせるつもりで身構えている。さながら居合。先に動き、隙を晒した方が容赦なく両断される。先に動いたのは…

 

 「はァァァァ!」

 「うゥゥりャァァァァァ!」

 

 小籠包だ。

 受けて悟空が待っていたと言わんばかりに前傾姿勢の彼女の鼻っツラ目掛けて拳を撃ち込もうとする。瞬間、殺し屋の口角が上がった。まるでその軌道を知っていたかの様に首を傾けて…柔らかな頬に一閃の傷をつけるだけに終わる。

 

 罠だ…!

 

 理解した頃にはもう遅い。小籠包の拳は…先ほど脚先で打ち抜いた箇所と同じところを拳で打ち抜く!取った…!勝利を確信した彼女に発する僅かな緩み、それを悟空は見逃さなかった。

 

 「だァァァァりゃぁぁぁぁ!!!」

 「かふ…!?」

 

 ここにきて彼女は失念していた。孫悟空の頑強さを…この小僧は並大抵の攻撃では沈まない。急所を撃ち抜いたというのに…彼の勢いは止まらない。逆に自分は()()()()()()()()()()に二度も攻撃を受けてしまう。ぐるん、と視界が反転する。今自分がどこを向いているのかもわからない無重力…このままでは不味い…。掌に気を集中させる…いや集中なんて上等なものではない。闇雲に溜め込んだそれを…彼女は自分自身に打ち込んだ。

 

 「!」

 「まだ、まだ…!」

 「おめぇ…ほんとスゲエなぁ…!」

 「貴方こそ…今の一撃、死ぬかと思った…!」

 「へへ、オラまだまだやれっぞ!」

 「私だって…!」

 

 ーーーはァァァァ!!

 

 彼女が再び全身に気をみなぎらせる。裂帛の闘気が具現化するかの様に火花すら迸る凄まじい気。

 そこ知れぬ好敵手の力に、悟空は舌先でペロリと唇を撫でる。

 

 ーーー来い、小籠包…!

 

 無言の覚悟に応える様に彼女が消え、背後から感じる空気の流れ。そのまま反撃に転じる悟空の首筋に走る衝撃。

 

 ーーー速…!?

 

 悟空の身体が崩れる様に地面に崩れ落ちる。何が起きたのか、外から見ていた観客にもわからない。つい先ほどまで裂帛の気合いをこめて何かを溜めていたのではないのか、いつ彼に攻撃をしたのか?

 天津飯と、ジャッキーだけが…彼女の動きを視認できた。

 人智を超えた速度で悟空の視界から離脱し、その僅かな意識の怯みをついて首筋に手刀を叩き落としたのだ。

 

 ーーーあ、あいつ…!

 ーーー更に速くなりおった…!

 

 「か…は…!?」

 

 先のダメージに、気の解放は流石に効いたのか…彼女の纏う気が霧散し、崩れかける膝をなんとか支え、倒れ伏しカウントを受ける悟空を見下ろす。

 今度こそ勝利を確信する。視界がダメージで明滅するなか、彼女は確かに笑っていた。

 

 その様子をみる天津飯…殺しの命令など忘れて思うままに強敵と闘争に興じるその姿に、彼は憧憬を抱かずにはいられなかった。

 

 「立て!立て悟空!!」

 「そうだ!殺し屋に負けるんじゃない!!」

 

 だが、これで終わる悟空ではない。

 親友達の言葉に彼の闘志が再び燃え上がる!

 

 「未だ…だぁ…!」

 「…っ、ほんっとーに頑丈だねぇ…!」

 「へへ、オラケッコーしぶてェかんな!オメエがその気なら、オラだって本気の本気…見せてやるよ…!」

 「へェ…じゃあ…見せてよ!その本気の本気って奴を!」

 

 小籠包が踏み込む、先ほどよりも遅い。しかしその動きは…敵を倒す為ではなく…敵を殺すための殺人拳。悟空の急所的確に狙う…一撃でもその拳が、指先が沈めばタダではすまない。

 迷いも躊躇いもない。

 しかし彼女に殺意はない。

 これは信頼だ、孫悟空になら自身の全てをぶつけても良い、彼なら自分の攻撃で死にはしないという確信。

 現に悟空は超速に迫る死を、その悉く回避している!

 最早二人の戦いは前回の天下一武道会決勝戦の領域を大きく踏み越えた超決戦となっていた。

 観客にはシャオランの腕が何本にも増えているように見え、それを難なく回避する悟空の姿も何体もの残像を残している。

 

 ーーー…なんて奴…!こんな子が…この世にいたなんて…!

 

 試合用に力を抑えているのは、自分だけだと思っていた。

 奥の手…″気の解放″をし…自身の持てる全てを曝け出せば…この少年は楽勝だと思った。

 しかしどうだ、彼は試合の最中に成長して、自分を踏み越えようとしている。

 そして彼も()()()()()()()()()()()()()()

 敵を侮っているのではない。

 本戦は全部で3試合、その全てをフルパワーでは戦えない。故に…部分的に8割程度の力で戦わねばならない。彼はその制約を取っ払った、他でもない()()()()()()()()

 その事実が誇らしくて口元が緩む。

 そのわずかな緩みからか、自身のスピードを超えたアッパーカットに顎を捉えられて、身体が大きく宙を舞う。

 放たれた飛び蹴りによる追撃、小籠包の身体は場外目掛けて吹き飛ばされる。

 

 ーーー決まったか…!?

 

 ピタッ!彼女の身体が空中で静止する。

 

 「へへ、忘れてたぜ、そういや空飛べるんだったな…!」

 「…この程度じゃ、場外には飛ばせないよ…!」

 

 しかし、彼女の身体は限界だった…ダメージの蓄積した身体での気の解放。その反動で彼女のパワーは大きく低下している。もう、先ほどの様な超スピードを出すことはできない、さっきの場外回避も殆ど無自覚で出た様な物。今ので、勝負は決していたのだ。

 

 「ならオラも、最高の技でキメてやるぜ…!」

 

 ーーーか…め…

 

 悟空の両手に気が集中していく。彼の気が倍以上に膨れ上がるのを感じる。先ほど自分が弾き飛ばしたモノなど比較にならない。

 ただでやられるものかと、シャオランも指先を突き出し、なけなしの気を総動員する。

 

 ーーーこちらもどどん波で対抗する…!

 ーーーは…め…ェ…

 

 悟空の迸る必殺技に比べて、自分の気のなんと小さい事か、勝負は見えている。だからこそ、試さずにはいられない。彼の奥義に自分がどれだけ抗えるのか…!

 

 ーーー波ァァァァ!!

 ーーーどどん波ァァ!!

 

 迫る二つの閃光、それは鶴の光を飲み込み…術者目掛けてそのまま突っ込んでいく。気がつけば小籠包の身体は武舞台に隣接する壁にめり込み、見事なクレーターを壁に作っていた。

 

 カウントが響く。

 立ち上がれない…もう火花一つだって放つことはできない。

 確実に負けが近づいているのに…彼女の心は満たされていた。

 負けを潔く認めることが、こんなにも穏やかだったとは。

 

 10カウント。波乱の一回戦第四試合は孫悟空の勝利で終わった。

 

 

 久方ぶりの敗北…敗北=死という世界に身を置いていた小籠包にとって不思議な感覚だった。いや、この感覚は知っている。かつて師匠と組み手をし、純粋な力比べをしていたあの頃と同じ。

 

 ーーー忘れてたなぁ…この感覚。

 

 「おい、大丈夫か…?」

 「立てないかも。…ねぇ()()()()。悪いけど肩を貸してくれないかな?」

 「ちょっと待ってろ!」

 

 アレだけの死闘を演じた後だというのに、悟空は彼女の身体をひょいと抱き起こす。

 身長差もあり半ば引きずられる形で二人は武舞台を後にする。

 

 「お前ェすっげえなぁ!またやろうぜ!」

 

 本来、再戦など望むべくもない自分にとってあまりに眩しい勝者の一言。横にある少年の笑顔に思わず顔が緩んだ。

 

 「うん、今度は、負けない。」

 

 自分がどんな顔をしていたのかわかっていないのだろう。身内以外に屈託のない、年相応の笑みを浮かべる少女に、天津飯と餃子は驚きを隠せなかった。あの娘が、他者に心を開いたのは両親を始め、自分たち以外にいたであろうか。

 

 「天さん……。」

 「何も言うな、わかってる。」

 

 もう彼女は殺し屋ではない、いっぱしの武闘家だ。

 今の試合、例え相手が自分でも、彼女の底力をあそこまで引き出せただろうか?

 

 ーーー孫悟空、面白いやつだ。

 

 戦いたい。アイツの全力と…天津飯は、孫悟空という少年に興味が沸き始めていた。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 「…ねぇ、悟空君」

 「なんだ?」

 「貴方の事を誤解してたわ、ごめんなさい。」

 

 控会場まで介抱された小籠包が支えられたまま続ける。

 

 「オラ全然気にしてねーぞ。よくわかんねーし。」

 「ありがとう。……先生の最期はどんな風だったの?」

 「自分で投げた爆弾にやられちまってたなぁ。」

 

 嘘には聞こえない、不思議と幻滅する気にはなれなかった。

 彼は自分の思う様な男ではなかったが…

 それでも自分に技を、生き方を授けてくれた。

 やはり小籠包の師匠は、桃白白なのだ。

 

 「……ありがとう、もう自分で歩けるから。」

 

 嘘だ。

 今すぐにでも身体はバラバラになりそう。

 立っていられない。

 これはつまらない意地だ。

 身体を引きずりながら歩き始める。

 

 「またね。」

 「またやろうな!!」

 

 その背中を見て、悟空はワクワクする。天津飯ってヤツはもっと強い!そう思うと、闘いが終わったばっかりだというのに、身体はウズウズする…ウズウズするのだが……

 

 ーーーぐゥゥゥぎュルルルルル!!

 

 「あァ……腹、減ったぁぁ」

 

 悟空の腹の虫が絶叫をあげる。

 アレだけ殺し屋から殺人的な攻撃を受けてもビクともしなかった身体は、腹の虫の前にあっけなく崩れ落ちてしまった。

 

 ーーー私は腹の虫以下ってことね。

 

 背後から響いた実に間の抜けた声にまた噴き出す。

 今日は、よく笑う日だな、そんな風に考えながら身体を引きずっていく。

 

 「命のやりとりをせぬ戦いはどうじゃ、小籠包よ。」

 

 控会場から出た矢先。いけすかない説教を垂れた老人、ジャッキー・チュンが待ち構えていた。

 

 「そんなことを言うためにわざわざ待っていたんですか?」

 「大事なことじゃよ、ワシにとっても、おぬしにとってもな。」

 「そんなコスプレまでして…武の神様は随分と暇なんですね。」

 「ジジイもたまには暴れたいんじゃ♡」

 

 武の神と呼ばれた男は茶目っ気のあるウインクをする。

 

 「…凄い子ですね、貴方のお弟子さんは」

 「まだまだ未熟者じゃよ。」

 「その割には、既に貴方を超えてるようですけど。」

 「何をいう、未だ未だ若いもんには負けんわい!」

 

 ふと、視線が窓に移る。

 窓ガラスに映る自分は、負けたと言うのに随分と嬉しそうな少女の顔に驚き、口元を覆った。

 

 「ずっとこんな顔してましたか?」

 「うむ、良い顔をしておるぞ。」

 

 こんな穏やかな顔をしたのはいつぶりだったか。

 

 「私でも、武闘家になれるでしょうか?」

 

 聞かずにはいられなかった。他でもない武の神と讃えられたこの男に。

 

 「一端の武闘家みたいなことを言うではないか。」

 ーーーふふ…アハハ…!

 

 笑ってしまう。これで三度目、本当によく笑う日だ。

 

 「どうじゃ、ワシの下で一からやり直してみんか。殺めた人の数は消せぬが…おもしろおかしく、人生を楽しむ方法は、教えてやれるぞ。」

 

 武天老師の目は細く鋭く、真剣だった。

 どこまでも深く、底が読めない。この老人は、本気で彼女を殺し屋(鬼姫)ではなく、ただの小娘(シャオラン)としか見ていない。

 思えば、最初に鼻の下を伸ばしていた時も…サングラスの下はこんな風に自分を観察していたのかもしれない。

 

 「貴方に弟子入りしたら何されるかわかりませんね。」

 「むほほ♡毎日手取り足取り教えてやろうかの…♡」

 「一生、女性門下生はできそうにないですね…」

 

 真面目なのかふざけてるかよくわからない中、老師はトロンとした顔を再び引き締める。

 ジャッキーの視線がまっすぐ黄色と黒の瞳を貫く。孫悟空に勝てなかった訳が漸く分かった気がした。

 成る程″武の神様″とはよく言ったモノだ。この老人は自分がやり直せると本気で思っている、信じてくれている。

 

 「もし私たちが路頭に迷っていたら、拾ってあげてください。」

 「うむ、いつでも待っておるぞ。」

 

 これは完敗だ。いつかはこの人に教えを受ける日が来るかもしれない。でも、師弟にそろってやられっぱなしは性に合わない。

 口元が意地悪く孤を描く。

 

 「授業料をお支払いしないといけませんね。」

 「では…お主のそのパイパイでぱふぱふして貰おうかの♡」

 

 スケベ爺さんの要求の軽さに驚く。

 なんなら一晩相手をしろ、とでも言われると思っていた。

 ジャッキーの腕を掴む。パフパフはよくわからないが…要するに

 

 ()()()()()()()。そんな意味だろう。

 

 「では前払いに、どうぞ♡」

 

 ジャッキーの老骨に伝わる柔らかな感触、いやそれは柔らかいなd

 ーーーぶしゅ!!

 さて、念願の瞬間を堪能するまでもなく、老人は倒れ伏した。

 

 「ほほ…ぱふ、ぱふ…♡」

 「老師様も、まだまだ修行不足ですね。」

 

 倒れるジャッキーに対して、ンベ、と舌先を出して満足そうに去っていく。ご老体にはさぞ効くかもしれない大量の鼻血を吹き出してるジャッキーが見つかったのはそれから少ししてからだったという。

 

 





戦闘力更新

孫悟空 160=>180(超本気)
小籠包 100=>150(気の解放)=>80(無茶な解放により更にパワーダウン)
※戦闘により戦闘力低下



 Q.気の解放習得してる割に主人公弱くね?
 A.ドラゴンボールって割とノリで色々やるから…(震え声
 
 マジレスすると、雑な界王拳みたいなもんです。
 後年、「あんなものは気の解放でもなんでもない」と笑われる様な精度の技です。…ってことでどうすか…?ダメ?…こまけぇこたぁ!いいんだよ!!!

 Q.チートオリ主のくせに弱くない?
 A.相手もチート主人公なので流石に分が悪いです。

 Q.ぱふぱふ気安くない?ビッチなの?
 A.殺し屋やるくらいですし、ねぇ?色々妄想してやってくださいw
  一応、こんなんでも花より団子、割とバトルジャンキーだったり。

 なんとか次話間に合いそうです!

 閲覧ありがとうございます!気になる事あったら是非是非感想まで!!!次回もよろしくお願いします!
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