ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 ついにあのお方が動き出すので初投稿です。


其之九十四 リメイク!?アンドロイド桃白白!?

 

 桃白白は煩悶していた。

 これまでは弟子からのパワーハラスメントによるノイローゼであったが、今回ばかりは違った。

 

 ーーーな、なんなのだ…!今の恐ろしい気配は…!

 

 遥か遥か遠くの銀河。

 どれぐらい遠いか想像すらできないほどの遠方の地。

 そこから迸る意味不明なエネルギー。

 途方もなく巨大な戦闘力。

 

 あの桃白白ですら、恐怖に足がすくむほどである。*1

 おまけに自身が化け物と思っている小籠包や、その愉快な仲間たちのそれではない。

 全く身に覚えのない気配だった。

 この世にこれほどの強者が存在するのか…!と疑うほどに。

 

 その相手とはもちろんクウラのことである。

 スーパーサイヤ人を前に本気を出したクウラの途方もない戦闘力は遥か彼方の地球にまで届いたのだ。

 

 あんなのにやられたらひとたまりもないわー

 などと呑気に茶を啜っているところ、桃白白はついでにあることに気がついた。

 

 ここ数日、小籠包(馬鹿弟子)の気配を感じない。

 忌々しい孫悟空達の気配もだ。

 しかし死んだにしてはそこまで大きな気配は感じていない。

 奴らを殺すとなればそれなりの巨大な気を感じなければ辻褄が合わない。

 

 そこで、桃白白に電流走る…!

 宇宙だ…!

 奴らは宇宙に旅立ったのだ…!

 

 何故そんな発想になったのか?言うまでもない、ついこの間宇宙人が侵略に来たばかりなのである。

 あの正義感あふれる青臭い小娘のことだから、奴らのアジトを見つけて乗り込んだとかそんな顛末だろう。

 

 つまり…つまりだ…!

 

 この巨大な気配は小籠包どもを踏み潰してくれる桃白白にとってのメシアなのである。

 

 ーーー遂に俺様の時代が来るか…!新生桃白白、セカンドシーズン。…ふふ、悪くない。次の看板はこれだな…!

 

 もう勝った気でいる彼はウキウキでヤカンに手を伸ばして取っ手を握り込む。あっつあつの取っ手であるが、サイボーグなので問題な

 

 「熱ァッツァ!?」

 

 謎に痛覚搭載の超技術。

 派手な音をたててヤカンはひっくり返りながら熱湯をぶち撒ける。

 あち、あち…!と下半身をびしょ濡れにしながら、熱を冷ますべくびょんこぴょんこと飛び跳ねる。

 

 ーーー流石のアイツでも今回ばかりは助かるまい…!

 

 そこに小籠包がいるかもわからないのに勝手に確信して勝ち確ムードを漂わせるあたり、本当に彼が小籠包に技と心を教えたのか不思議である。

 小籠包さえいなければ、自分は好き勝手に暴れ回り、適当な油田を掘り当てて人生ファイア、一抜けである。*2

 

 さて、ご存知の通り…彼のこのウキウキ事業再開ムードも、この後に迸る意味不明なもう一つの気配に顔面蒼白になった。

 それもそのはず、その気配は先日宇宙人と戦っていた宇宙人の気配なのである。

 しかも、しかもである。

 この世に舞い降りた天使、救世主メシア様は現れたこの馬鹿みたいに巨大な戦闘力の前になす術なく消滅した…様に感じる。

 つまり、相変わらず小籠包が自分の人生の足枷になることに変わりはないのだ。

 

 この時、桃白白の戦闘力1万2000。

 重力トレーニングによって彼の出力は飛躍的に上昇した。

 彼の桃白白もここが限界である。

 …なんてことはない。

 ()()()2()()()で4倍近く戦闘力を上げたのだ。

 彼の潜在能力は計り知れない。

 

 それでもなお、遥か彼方から感じた気配の足元にも及ばないのもまた事実。

 彼は思った

 この機械の体が悪いのでは??

 トレーニングとは生身の肉体だからこそその効果を発揮する。

 肉体部分は確かに強化された。

 だが機械の体の方は随分とアップデートを重ねていない。

 しかし、この体を作った人間は殺してしまった。

 

 仕方ない、最初は2億ゼニーって見積もりを出していたくせに、ちょっと強化箇所を増やしたくらいで倍の金額を請求してきたのだ。

 流石に大人気ないかなと半額は払ってやった、それでもこの桃白白に文句を言ってきたものだから、一思いにサクッと殺してやったのだ。

 

 というわけで、新たな技師を探さなければならない。

 半分機械のこの体を如何様に改造してもらうか…!

 そこで彼は思い出した。

 10年以上前、にっくき孫悟空と戦うきっかけとなったある組織のことを。

 レッドリボン軍である。

 

 噂によるとあの小僧によって壊滅させられたが…全てが皆殺しにされたわけではないと聞く。

 あの軍にいた最高最悪のマッドサイエンティスト「ドクター・ゲロ」。

 彼の行方は誰も知らないが、知らないと言うことは生きている可能性があると言うこと。

 

 ーーー奴も孫悟空は憎かろう…!上手く話を持ち込めば使えるかもしれん。

 

 くっくっくっ、はーはっはっはっ!!

 などとそれっぽい高笑いをあげては見たものの、手がかりは()()()()()()である。

 このおじさん、人生甘くみすぎチャンネルなのは相変わらずだ。

 

 しかし、手段がないわけではない。

 タンスの中をガサゴソと漁る。色々なガラクタが詰め込まれたその中から…ロボの残骸を取り出す。

 蜂の形をした超小型のロボット。

 機能を停止しているようだが、時折腹のランプが鈍く点滅しているところから、完全に壊れてはいないようだ。

 

 そして桃白白はこの蜂の大きなお尻に小さく小さく描かれたとあるエンブレムを見逃さなかった。

 真っ赤な蝶ネクタイの様なシルエットの左右に「R R」の2文字が描かれた奇抜なデザイン。

 かつては全世界に畏怖の対象とされていた最恐最悪の武装組織の名である。

 ①動いているのなら、通信をしている可能性がある。

 ②通信をしているのなら音声を拾っている可能性がある。

 ③音声を拾っているのならこちらの呼びかけに答える可能性がある。

 

 ーーーつまりこいつに呼び掛ければドクター・ゲロに繋がると言うことだ!!

 

 中学生もびっくりの超ガバガバ三段論法である。

 まずこれら全ての可能性がクリアしている可能性は実に低い。

 いくらゲロの発明品とはいえ、戦闘力4桁の気功波を直撃して動作停止をしているのだ。

 電源系統が生きてるだけでもまず奇跡的といえる。

 しかもこれが運良く羽を動かす動力系統だけがすっぽり壊れているだけなど、まずあり得ない。

 そしてそして…この蜂に音声を拾う機能がよしんばあったとして、その機能が死んでいなかったとしてだ…。

 

 あの偏屈科学者、ドクター・ゲロがこのケチな元世界最高の殺し屋の呼びかけに応じる可能性は低いと言える。

 この高すぎる4つの関門を潜り抜けてようやく、ようやくスタートラインなのだ。

 

 が、この人生甘すぎチャンネルさんはそんなことお構いなし。

 そんな細かいことをウダウダ考える様な男はそもそも脱サラして殺し屋になろう!なんてイかれた発想にはならない。

 

 「ドクターよ、聞こえているか?私だ、桃白白だ。覚えているだろう?」

 

 人生甘チャンネルさんの声だけが虚しく響き渡る。

 残念ながら当然だ、まるで旧知の仲のように語りかけてはいるが彼らはほぼほぼ初対面に等しい。

 彼の偏屈変人ドクターがこんな胡散臭さの塊の様な存在の呼び掛けに応じるはずがない。

 

 ーーー桃白白だと?レッドの奴が雇った殺し屋が、今更私になんの用だ。

 

 天は、彼に味方をした。

 スピーカーに問題があるのか出力される音声にはかなりノイズが乗ってはいるものの、会話する分には辛うじて言葉は聞き取れる。

 桃白白は…ニヤリ、と実に小物臭い微笑みを浮かべるのだった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 北の都の更に北、都の民はおろか、近くの村民ですら足を踏み入れない未開の地。

 その山の中をくり抜いて作られた巨大な巨大な研究施設。

 そこはドクター・ゲロが秘密裏に作り続けていた個人のラボだ。

 この地球上て見ても類を見ないハイスペックなマシンの数々、一体何を作るつもりの施設なのかは余人には想像もつかない。

 

 彼は老いた肉体を捨て、機械の体を得るための最終調整を行っていた。

 もうすぐ、もうすぐで憎き仇敵、我らが野望をあっさりと踏みにじった孫悟空へ復讐することができる。

 

 スパイロボのデータを集計し、それにより生成された地球上の数多の戦士の可能性…その全てを網羅したスーパーデータベース。

 彼の怨念がたっぷり詰め込まれた呪いのデータ。

 そこには孫悟空だけでなく、彼に与するあらゆる戦士のデータがそこにある。

 

 ゲロは既にスパイロボによるデータ収集を打ち止めている。

 既に孫悟空達の強さは頭打ちだと断じた。

 そのうえで…彼を確実に殺せる最強の戦士を生み出すことに今は注力している。

 

 既に、ナンバリングは15

 そのほとんどが欠番のようなものだ。

 パワーは高いが、孫悟空の抹殺以外、ゲロのコントロールを超える可能性がある。

 高いパワーを持てば持つほど、この傾向は高いらしい。

 これは自我を与えなくても同様だ。

 その原因はゲロですら突き止めることは叶わなかった。

 

 おまけに彼らは、完全機械型であるが故に「成長しない」。

 

 そこでゲロは人間型の人造人間を作成することにした。

 ヒトのまま細胞レベルで強化することによって、

 生体を維持したまま、人造人間としてのパワーを与えるのだ。

 

 しかし、その目論見は失敗に終わる。

 行方知れずになっても困らない子供二人拉致し、

 記憶を消して改造したはいいものの、テスト起動ではどうやっても自分の命令を受け入れることはなかった。

 

 このままでは埒があかないと、

 仕方なしに19号を開発した。

 相手のエネルギーを奪い、弱体化させることに特化した個体。

 これであれば多少パワーが低くともある程度敵の変化に対応できる。

 そうして作られた19号は命令にも忠実。

 19体目にしてようやく成功と言える代物ができた。

 

 17号、18号の計画は一時凍結。

 今は自身を改造手術するためのプログラムを作成している。

 決して失敗は許されない。そのために入念なテストを繰り返す。

 

 十何時間とぶっ続けで作業を行い、一息を入れた頃だ。

 蜂型のスパイロボから奇妙な音声を受信したのは。

 桃白白という殺し屋の偵察をさせていたスパイロボだ。

 流石に殺し屋相手には通用しなかったか、あっさりと撃墜され、戻ってこないのなら良いと捨て置いていたものだ。

 

 当然ゲロはこれを無視しようとした。今更殺し屋の手を借りる必要もない。

 型落ちパワーの19号ですら孫悟空達を抹殺するのには十分だとコンピュータが結論を出している。

 …しかし、19号以外の声を聞いたのも久しぶりだ。

 余計な自我を持たせない様プログラムしたおかげで会話に張りがない。

 事実上の孤独、人への飢え、そんな辛うじて残されたゲロの人間らしさが通信開始のボタンに触れる指先に力を入れた。

 

 「今更私になんの用だ。」

 「孫悟空を殺したくはないか?」

 「…生憎だが間に合っている。それに…貴様は孫悟空に負けたではないか。」

 「うっ…!」

 

 くだらない、やはり時間の無駄だ。

 こんな会話をするのであれば1秒でも睡眠に充てたほうが有意義というもの。

 通信終了のボタンを押す直前、彼はドクター・ゲロのマッドサイエンティストをくすぐらせた。

 

 「まあ聞け、私も随分パワーアップした。()()()()()()に、人造人間を作りたくはないか?」

 

 ぴたり、ボタンを押し込みかけた指先が止まる。

 普通の少年少女をベースに改造した人造人間…17号/18号は恐ろしい強さだった。

 慎重なゲロが、このパワーを持ってすれば更に確実に仕留められると確信できるほどに。

 しかし彼らはコントロールが利かない。

 

 その点、今会話している男はどうだ?

 自ら進んで孫悟空を殺してやるといってくれている。

 しかも、彼は半分機械の体となっているが…これを人間型の人造人間に改造すれば…!

 その強さはどんな物になるかなど想像もつかない。

 

 すぐにでも飛びつきたくなる好奇心を抑えてゲロは努めて冷淡な声を放った。

 

 「なぜそのことを知っている。」

 「ほう、やはり作っていたか…当時は7号だったかな?」

 「…8号だ、アレも失敗作だったがな。」

 

 忌々しい習作ともいえる不出来なガラクタ。

 今作り直せばもっとマシな性能になるはずだろう。

 

 「今一度聞いてやる。この私を素材にする気はないか?」

 

 通信機越しに響く勝利を確信した冷笑が目に浮かぶ。

 そんな語り口だった。

 殺し屋にいいように扱われるのは癪だが、それ以上に科学者としての好奇心が勝った。

 

 「…金は孫悟空を殺してからだ。前金は一切払わんぞ。」

 「結構、前金として私を貴様に改造してもらえればよい。報酬はその後、孫悟空を殺した後にでも頂こう。」

 「いいだろう、孫悟空を抹殺したのならいくらでも望む額をくれてやる。」

 

 後日、桃白白は19号に連れられてゲロのラボに連れてこられた。

 既に彼の機械の体はだいぶガタがきているようだった。

 何故ここまで摩耗しているのかと聞けば、サイボーグのくせにトレーニングをしていたというのだ。

 そんなことをせずとも機械部品を強化すればいいものを…とそんな彼の疑問に対し、製作者は既に殺していると本人が宣った。

 想像したよりこの殺し屋は間抜けらしい。

 

 設計図もない、製作者もいない、とあればもうこれは一から彼を作り直した方が早い。

 

 少し時間をもらう。

 そういって開いたのはスキャンした彼の肉体。

 一見肉体のほとんどを機械化している様に見えるが、あくまで失われた皮膚を機械で補っているようだ。

 

 ーーー私の描く究極の人造人間…!それを実現させてやる…!

 

 気づけば積み上がる仕様書と設計書の山。

 キーボードを叩く指は止まらない。

 あらゆる可能性を考慮する天才的な脳髄が回転し続ける。

 

 桃白白改造計画は驚くほど早く進んだ。

 僅か一週間で彼の改造計画を完成させたのだ。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 いろんな奇跡が噛み合った結果、桃白白は見事ドクター・ゲロとの交渉を成功させた。

 

 ーーーくくく、上手くいけば、あの小娘と憎き孫悟空を同時に始末できる…!

 

 そうなれば、もう自分を縛るモノなどなにもない。

 今度こそ、「新生!アンドロイド桃白白!」の看板を掲げて殺し屋としてリメイクされるのだ!

 

 ゲロからの連絡を受けて彼は淡々と彼の前に現れた。

 心の中はウッキウキなのは言うまでもない。

 

 「では契約の最終確認だ。」

 

 ゲロは書類を何枚か取り出した。

 そこには、互いの約束事が取り決められたことがいくつか書かれている。

 いくらちゃらんぽらんなおじさんといえど、ここは穴が開くほど読み解いた。

 過去に、これで報酬金をチャラにした間抜けがいたからだ。

 

 ①桃白白を人造人間に改造することに同意する。

 ②改造は肉体まで、洗脳などは一切行わない。

 ③施術にはおよそ5年の歳月を必要とする。

  これには施術後の経過観察を含む。

 ④目覚めた後は孫悟空の抹殺をすること。

  期間は目覚めてから一年以内。

  破った場合は体内に仕掛けた爆弾が起動する。

 

 概要だけ読み解けばこの通り、すっかり殺し屋モードとなった桃白白は書類を置いていくつか依頼人へと質問を投げた。

 

 「洗脳を行わない、…それはどう証明する。」

 「洗脳は術後の経過観察の際に行う。貴様に入ってもらうカプセルには装置を外しておく。」

 「ふん、それ以外のカプセルに入れないという保証がないではないか。」

 「私の洗脳も完全なモノではない。貴様が目覚めた時にでもカプセルを確認すればよかろう。」

 

 事実、持て余している人造人間が2体も存在している。

 そもそも完全な洗脳が可能であるのなら、わざわざ桃白白の改造に加担などしないのだ、

 

 「わかるか?貴様の懸念通り、ワシが貴様を洗脳できるのなら、そもそも貴様を改造するなどと言う選択肢は取らん。」

 

 流石は天才科学者、どこぞの殺し屋と違って論理立てた潔白証明。

 彼にとって洗脳装置を外すパフォーマンスさえ見せれば十分なのだ。

 

 「いいだろう、そう言うことにしてやる。最後に…この爆弾。解除はしてくれるのだろうな?」

 「孫悟空を殺せばな…できないと言うのならそのまま死んでもらう。」

 「…奴は強いぞ、貴様の改造がどこまで通用するかわからん以上、安易に頷くことはできん。」

 「…ついてこい。」

 

 彼はラボの更に地下へと彼を連れて行った。

 中央には超巨大なメインコンピュータを据え、まるで棺を思わせるかのようなカプセルが何機も設置されている。

 

 ゲロはメインコンピュータを操作し…とある双子…17号、18号とナンバリングした人間型のプロトタイプのデータを開いた。

 

 「これはなんだ。」

 「その辺の小僧を捕まえてな、ワシが改造を施した。」

 

 何言ってんだこいつ?

 流石の桃白白もドン引きする所業。

 しかも、なんの罪悪感も抱いてないあたり彼のヤバさが伝わってくる。

 

 「貴様もこいつらと同じ施術を受けてもらう。」

 

 更にゲロはキーボードを叩いてデータを見せる。

 見ればわかる、孫悟空のデータだ。そして…

 Powerと銘打たれた数値には5万4000という表記があった。

 

 「ここをみろ、孫悟空のもつエネルギーを数値化したものだ。」

 

 そしてこれが貴様のデータだ。

 そう言ってゲロは今度は桃白白のデータを表示する。

 Powerには1万2000と表記があった。

 

 「これはいつのデータだ。」

 「貴様の数値は先日取った最新のモノだ。孫悟空のデータは1ヶ月前のデータだな。」

 「なぜ更新しない。」

 「奴の戦闘能力はこれが頭打ちと判断した。この数値を簡単に踏み潰せる存在を作れば問題ない。」

 

 …本当にそうか?

 そんな杞憂を他所にドクターゲロは端末を操作し、次のデータを表示した。

 

 「そしてこれが…私が改造した小僧どものデータだ。」

 

 その数値に目玉が飛び出そうになる。

 そのパワーは圧巻の12億、女の方は9億と破格の数値だった。

 

 「良いか?その辺の素人を改造してここまで強くなった。貴様のような武道家をベースにしたら、どんな怪物が誕生するのだろうな?」

 

 ごくり、と生唾を飲み込む。

 12億などという途方もない数値…彼の感じる「気」を数値に表すことはできないが…少なくとも…先日感じた気配が…自身の1万倍強いか?と言われたらそんなことはないように感じる。

 …正確な判断は難しいが…

 

 「理解したか、貴様の杞憂が如何に愚かな行為だったのか。」

 

 己が頭脳に対して侮辱を吐いた人間に冷たい視線を投げるゲロ。

 確かに、自分の行為は相手を侮っていたことに他ならない。

 殺し屋を呼びつけておいて「本当に殺せるのか?」と問いただすも同じだ。

 

 「そうだな、お前への侮辱であった…しかしな?ならば貴様の提示した爆弾も私への侮辱だぞ?」

 「なんだと?」

 「殺し屋が前金をもらって働くかどうかわからんだと?ふざけたことを…この私を誰だとおもっている。」

 

 ゲロのプライドが天井知らずなのは把握済み。

 そんな相手だからこそ指差してやるのだ。

 「お前もヒトのこと言えねーじゃん。」と。

 結果は、予想通りだった。

 

 「くっくっくっ…確かに貴様はそういう男だ。いいだろう、爆弾の施術は無しにしてやる。」

 

 ヨシ!

 相手のプライドの高さを逆手に取った!

 これぞ殺し屋。

 クレバーに立ち回ってこそ、殺し屋は成立するのである。

 因みに桃白白は普通に命に危険があったら逃げる。

 ドクター・ゲロは現在進行形で詐欺にあっているのである。

 哀れ天才科学者、この詰めの甘さが彼の最大の弱点なのだ。

 

 「ただし、ある程度パワーはセーブさせてもらうぞ?精々こいつらの10倍程度になるだろうな。」

 「何故だ。」

 「私の目的は孫悟空ただ一人。これ以上のパワーは余計だ。貴様が世界を滅ぼしたいのであれば兆でも京でもくれてやるが?」

 

 まるで出来るみたいな言い分である。

 世界を滅ぼす気など毛頭ないが、確かに過ぎたるは及ばざるがなんとかとも言う。

 億のパワーがあればもう小籠包に怯える必要なんかない。

 「もうお前は用済みだー」とかなんとか言えば殺す理由にもなるだろう。

 

 「理解した、では…私の体…貴様に預けたぞ?ドクター・ゲロよ。」

 「嗚呼、貴様を最高の人造人間に仕上げてやる。楽しみにしていろ、桃白白よ。」

 

 二人の悪党の笑い声が静かに静かに研究室の中で響き渡った。

 その一方で孫悟空の強さが彼らの想定を遥かに超えていることなど、知る由もなかった。

*1
いつも通り定期。

*2
まだ左団扇を諦めていない。





 戦闘力更新
 サイボーグ桃白白
 基本最大:1万2000
 重力トレーニングによって大幅パワーアップ!
 おじさんの見立てでは20万くらいには膨れあがるつもりだった。
 やっぱり人生舐めてる。
 ここまでインフレしても原作ベジータには敵わない。

 因みに、おじさんがスパイロボを見破れたのは偶然です。
 殺し屋だから破壊できた!…って理由はゲロの感想。
 叩き落としたら見覚えのあるエンブレムなので念のため保管しといたみたいな感じ。
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