ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 私はハピエン厨なので初投稿です。

 ※本二次創作には独自解釈を含みます。


其之九十五 絶望と希望

 

 突然の余命宣告。

 恋慕を自覚し、早々にそれを成就させ、己の中の暗雲から希望が差し込む。

 彼女の人生はまさに上向きに変わりつつある…!

 そんなところに死という絶望が小籠包の前に立ち塞がった。

 

 「ば、バカを言うな!俺たちはさっきまで決闘をした…!小籠包はいつも通りだ!そんな奴が病だと!いくらカカロットの息子でもそんなつまらん嘘を言うのは許さんぞ!」

 

 下手の良いシャツを来た悟飯の胸ぐらを掴む。

 そこに対して悟飯は全く怯まない。

 

 「すみません…でも本当なんです。既に小籠包さんは病に蝕まれています。今は…症状が出ていないだけで。」

 

 悟飯は彼女の中に巣食う病について語った。

 

 ウィルス性の心臓病

 

 発症例はごくごく僅か、強い感染力を持つウイルスだが大抵の場合免疫によって駆逐されてしまう。

 しかし極めて低い確率で…免疫から逃げ延びるウイルスがいる。

 それでも長い長い潜伏期間を経て発症するも、発症しないまま天寿をまっとうするなど、研究が遅々として進まなかった病。

 

 それでいて、病状が発症すれば24時間以内には確実に死にいたる恐ろしい病だ。

 彼らの時代の小籠包はヤードラット人達の協力虚しく、僅か半日でこの世を去ったという。全て、彼女を看取ったラディッツからの言だそうだ。

 

 ヤードラット星に行っていなければ…地球で発症していれば…

 そんな後悔がラディッツの精神を破壊した。

 三度小籠包を守れなかった不甲斐なさに彼は行方を消した。

 その後の行方は今も分からない。

 

 しかし、二十年の月日を経て、特効薬が完成している。

 ピラフは元々時空に関する知識に関しては一家言ある科学者だ。*1

 ブルマと共同開発したタイムマシンによって、この時代に訪れたのだという。

 

 「これです、症状が出たら…飲んでください。病状が和らぎ…あとは自然治癒します。」

 

 ラディッツの手に特効薬のはいったホイポイカプセルが握らされる。

 

 「具体的な日付は分からんのか?」

 「すみません、そこまでは…ラディッツさんからは多くを聞き出せなくて。」

 「そうか…迷惑をかけたな。」

 「そんな…僕こそ、ラディッツさんに何も出来ずに…」

 「気にするな、お前が気に病むことじゃ無い。」

 

 肩を叩くとまたも悟飯の表情がくしゃりと歪む。

 たくましく成長はしたが、涙脆いところは変わらないようだ。

 …横に居る青年が驚くところをみると、普段はしっかりしているのだろう。

 

 さて、そろそろ彼の後ろで所在なさげにしている青年の話を聞かなければならない。

 

 「ところで…そっちの彼は…?」

 「はい、紹介します。…僕の弟分です。」

 「初めまして…お二人のことは皆さんから聞いています。」

 

 彼の紹介で少年が前に出る。

 見れば見るほどその面影には覚えがある。

 しかも、彼のスピリットからしてサイヤ人でもある様子。

 

 

 「お前は…サイヤ人だな?」

 「はい、僕も悟飯さんと同じサイヤ人と地球人の混血です。」

 「誰の子だ…?」

 「それは言えません。きっとそのうちわかりますよ。」

 

 ふっ…と意味深に笑う。

 不敵な微笑みだがそこからは嫌なものを感じない。

 好青年とは彼の事を言うのだろう。

 

 「言えないのならいつまでもここにいるのはまずいんじゃない?」

 「はい、薬を渡したら帰るつもりでした。」

 「そっか、元気でね、」

 「…はい、久しぶりに会えて良かったです。…ピッコロさんが会いたがってましたよ。」

 

 アイツがそんなタマか?

 寧ろこちらが死んで清々してるのではないのだろうか。

 

 「地獄で待っててやるからさっさと来なさいって伝えておいて。」

 「あはは!…わかりました。伝えておきます。」

 

 何がおかしいのか、ピッコロが地獄行きなどと毛ほども思ってない彼女には「二度と会いたくねぇよバァカ。」だと言うのに。

 悟飯は色々と誤解をしている節がある。

 そして思い出したかの様に悟飯は口を開いた。

 

 「…父さんを連れて行ってはくれませんか?小籠包さんから瞬間移動を教わらなかったのを後悔してるみたいなので。」

 「…チチを説得できたらね。」

 「…それは…難題ですね…。」

 

 うぐ、と言葉に詰まるあたり…あちらの孫悟空も苦労してる様子。

 いや、苦労をしているのはチチの方か。

 

 「私がそっちで教えてあげようか?」

 「辞めましょう、むやみやたらに歴史を変えるのは、きっと良く無いので。僕らが来るのも、これっきりにします。」

 

 流石悟飯だと感心する。

 とてもじゃないが、孫悟空の血を引いてるとは思えないインテリぶり。

 教育ママ努力の賜物なのだろう。

 

 「そうだね、悟空くんの件は…頑張ってみる。」

 「…すみません、最後の最後まで。」

 「私の方こそ、勝手に野垂れ死んでごめん、元気でね。」

 「…最後にもう一度握手をしてくれませんか?」

 

 手を差し出される。

 相変わらず謙虚だ、もっと別の要求があるだろうに。

 ニヒ…と口角を吊り上げると。

 自分より背丈の高くなった悟飯を優しく抱きしめた。

 

 「…元気でね。」

 「……はい。」

 

 腕の中で震える悟飯が落ちつくまで小籠包はじっと待った。

 そう言えば…よくこうして彼をあやしていたことが、あった気がする。

 もう大丈夫です、と自ら腕の中から抜けた彼の顔は先ほどよりもスッキリした様に見えた。

 

 「僕らはこれで。行こう。」

 「はい、悟飯さん。失礼します。」

 

 部屋から出て行く姿を見送り、ラディッツがポツリと呟いた。

 

 「…ドラゴンボールでお前の病を治す…では行かんのか。」

 「無理だね。向こう一年は使えない。私が死ぬまで待っーーーごめん、悪かったって。そんな怖い顔しないで。」

 

 ヤードラットが半年後の死場所だと言うのに、行くことは許さんぞ。

 ラディッツの鶴の一声で彼女の修行の旅は見送ることになる。

 更に念の為…該当のウイルスに感染しているかの検査を行うことにした。

 血液検査から始まり、よくわからない機械の中に体を放り込まれてスキャンをされる。

 あまりいい気がしないが、ラディッツに引きずられ、こうしないと修行はさせてやらんと言うのだから仕方ない。

 

 「…結果は…陽性…でした。」

 「そうですか、ありがとうございました。」

 「え、ちょ…え…!?」

 

 予想通り、医者からはまるで死刑宣告を告げる重々しさがあったが、

 最早結果をわかりきっていた小籠包はケロリとして出て行った。

 医者がドン引きしていたのは言うまでも無い。

 

 その足で小籠包はカプセルコーポレーションに赴く。

 もちろん、ブルマへ病気の報告と、そこから先の相談である。

 ピラフは財力はあるが、悟空達とのコネクションがない。

 彼女とはあまり関わりがなかったが、ナメック星の一件から…色々親身になってくれた気がするので、足を運んだというわけだ。

 

 「はぁ?ウイルス性の心臓病?」

 「うん、陽性だってさ。」

 「軽いわねぇ…確かに直ぐにどうこうってモンじゃないけど。」

 

 さて、彼女の様子からことの深刻さを伝えるのが難しそうだ。

 …なにせ、この時代では対処法が分からない病な上にそもそも発症の可能性も極小なのだ。

 仕方なしに、小籠包は未来からの使者の話をした。

 

 「ちょっと…本気で言ってるの?」

 「うん、一年以内に発症して死ぬってさ。」

 

 まるで他人事のように言うのは、彼女が死後の世界を知っているからだろう。

 死が終わりではないことを身をもって体験してるからである。

 今までとの違いは現世に戻って来られないことなのだが、そんなことを気にする小籠包ではない。

 

 「でも薬はあるのよね、なら安心じゃない。」

 

 しかしブルマの感想は違う。

 特効薬があるから安心している。

 …が、小籠包は全く別のストーリーを思い描いていた。

 

 「私以外にも感染してないって保証は?」

 

 感染しているのが自分だけならいい。

 ここは既に未来の悟飯達と違う世界になりつつある。

 あちらでは発症者が自分だけだったかもしれないが…

 こちらではそうである保証はどこにもない。

 

 薬は一つ。

 もう一人感染者がいるのなら…どちらかの心臓病は治すことができないのだ。

 

 「あのね、何百万人に一人って確率なのよ?そう身内にホイホイいてたまるもんですか。」

 「私と同じこと言ってるね?」

 

 あの時のラディッツの感覚を理解する。

 嫌な予感というのは的中してしまうものなのだ。

 

 「あの二人が来る前…私もそうやってラディッツに話したよ。安全なヤードラット星で死ぬ訳ないでしょって」

 「わかった…!わかったわよ!みんなの検査をしましょ!」

 「流石ブルマさん、話がわかって助かる。」

 

 ブルマを通じて…Z戦士達は同種のウイルスに感染していないかを調べてもらうことにした。

 未来の世界と同じなら気に病む必要はない。

 

 …小籠包の悪い予感は的中した。

 

 陽性反応が一人。

 

 最後の最後まで注射を嫌い、検査を嫌がっていた所を嫁に引っ張られ検査を受けた男…孫悟空、その人だ。

 よりにもよって、この地球最大戦力の一人が…殺人ウイルスに感染していたのだ。

 

 さて、ここで問題となるのが「薬」の数だ。

 未来からの特効薬は1つしかない。

 もう既に彼女の死まで半年を切っている。

 いくら天才ブルマといえども薬学には通じてないようで薬の複製は難しい。

 ピラフもまた同様だった。

 

 何より、こんな代物をおいそれと世間様に流すわけにはいかない。

 確実に、誰がつくったのか?を説明しなければならないのだ。

 とてもじゃないがカバーストーリーを作る余裕などない。

 何より、サンプルを渡すと言うことは…薬は使えなくなると言うこと。

 小籠包の死(デッドライン)までに薬が複製できるとはとても思えなかった。

 

 どうしたものかと頭を捻るブルマに新たに最長老に任命されたナメック星人、ムーリがその様子を聞きつけてやってきた。

 

 「ふむ…不治の病ですか。」

 「そう、ドラゴンボールはこの間使ってしまったでしょ?だから間に合わないのよね…」

 「…そうですね…彼女の死まで()2()()()()()()()()()()()となるとお手上げです。」

 

 ムーリの発言に首を傾げる。

 彼女の死までは残り5ヶ月ほどだ…なぜ一ヶ月も残されていないことになるのか。

 

 「何言ってるのよ、5ヶ月くらいはあるわ?」

 「半年もないのでは?」

 「そちらの一年は…4ヶ月ではないのですか?」

 「こっちの1年は12ヶ月よ。」

 

 この時、ブルマはナメック星の環境を思い出す。

 あの星は太陽が3つ存在し、常に太陽が頭上にあるこの惑星とは異なる環境だ。

 一年の概念がこの星と異なるのは当然なのである。

 

 「ねぇ!次のポルンガはもしかして4ヶ月で復活するの!?」

 「はい。前回の使用が1ヶ月前なので…3ヶ月後には復活します。」

 

 希望が見えてきた…!

 問題はどう願いを叶えるかである。

 

 天津飯、ダイーズ、クリリン、この3名は生き返らせなくてはならない。

 そしてナメック星人達の母星は消えてしまった。

 彼らの新たな母星を用意する必要がある。

 彼らを移動させねばならない。

 いくら小籠包といえど、行ったことのない惑星に瞬間移動はできない。

 これだけで叶える願いは5つもある。

 特に時間制限があるのは次の3つ

 

 ・天津飯の復活

 ・ダイーズの復活

 ・クリリンの復活

 

 クリリンに関しては遺体が残されていないため…魂の移動と肉体を用意しなければならない。

 前回ポルンガは小籠包の肉体をサービスで治してくれたが、

 今回もサービスをしてくれるとは限らない。

 

 そうなると

 ・クリリンの魂を移動

 ・クリリンの肉体の復活

 これらも追加で必要となるだろう…更に願いが増えることになる。

 

 「貴女達が母星に帰るのが随分遅くなってしまうけど…大丈夫?」

 「問題ありません、皆には私の方から説明しましょう。何より…恩人を見殺しにしてはそれこそあの世にいらっしゃる先代様に叱られてしまいます。」

 

 現最長老の大変頼もしい言葉、であるなら彼らの惑星と移住の優先度は下げてもよい。

 仮に次の願いを全て心臓病に費やしたとしても…ポルンガのスパンであればなんとか間に合うペースだ。

 

 「ありがとう!…じゃあ先ずは3ヶ月…病気が進行しないよう、あの馬鹿共には安静にしてもらわないとね…!」

 

 よりにもよってじっとしていられないおバカ二人である。

 悟空はチチに、小籠包はラディッツに監視をさせれば問題ない。

 

 唐突な小籠包への余命宣告まで残り5ヶ月、孫悟空の心臓病が残り3ヶ月以内に発症しないことを祈るばかり

 一抹の不安を抱えながら、見え始めた希望に漸く安堵のため息をついたブルマであった。

 

 

 

*1
大体ピラフルームのせい





 かねてからの疑問。
 心臓病があるとわかってたのなら神龍使って予防でよかったのではないか?
 と思ってた作者。
 薬あるから別にええやろな精神だったのだろうけど、
 ウチのオリ主ならこうした…という蛇足回でした。
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