ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 オリ主魔改造のお時間なので初投稿です。


其之九十八 ヤードラットでの出来事。

 

 フリーザ親子襲来から少しだけ遡る。

 エイジ763 5月。

 

 場所、ヤードラット星。

 地球からやってきた3人の超戦士はヤードラットの民から恐ろしい扱きを受けていた。

 …わけではなく、ただひたすら瞑想の日々を送っていた。

 

 ピバラからの課題はたった一つ。

 心を静かに保つこと、同時に肉体も全ての力を抜く。

 文字通り、心も体もゼロにするのだ。

 針の山にて静かに丸一日己が精神を研ぎ澄ます。

 それだけの行為。

 

 スピリットとは、地球人の言う「気」とほぼ同義と言って差し支えない。

 ヤードラット人は「スピリット」…「気」の扱いに長けた種族なのだ。

 彼らの域に達するのは至難の業である。

 生涯をかけて術を学び、これを個性として昇華させる種族。

 少しばかり気を扱うことができると言っても毎日の様に気のコントロールを鍛えているわけではない。

 一朝一夕…一年二年で形になるモノではないのが彼らの秘術である。

 

 さて、そんな彼らに修行をつけるべくピバラは3人の戦士を評価した。

 

 孫悟空

 3人の中では最もバランスの取れた戦士。

 体に合わせて心も安定している。

 気の運用技術も言うまでもなく高い。

 サイヤ人を自称しているが、それが事実か疑わしい程に彼のスピリットは穏やかだ。

 それでもヤードラット人に比べれば、そのバランスは歪と言わざるを得ない。

 ピバラの見立てでは彼の基礎訓練は半年を見込んでいる。

 これでもかなり早い方だ。

 通常…幼いヤードラット人は数年…あるいは十数年かけてこの領域に達する。

 これを遠い地の武道家がここまでの練度に達することの異様さが伝わるだろう。

 

 ラディッツ

 体は頑強、流石は戦闘民族サイヤ人と言ったところ。

 3人の中で群を抜いて力を持っている。

 だが心がそれに追いついていない。

 少なく見積もっても数年単位での修行が必要になるだろう。

 彼が強さを求めるのであれば、ここでの修行をするのではなく別のやり方をした方が本人のタメかもしれない。

 本人にやる気がある様子なので先ずは様子見、一月程彼を観察して見込みがなければ中止を提言したほうがいいだろう。

 

 小籠包

 類い稀な才を持っている。

 同胞の血を受け継いでいるとはいえほとんど独学でヤードラットの秘術、その一端にたどり着けたのは驚嘆の一言に尽きる。

 それを差し引いても彼女のアンバランスさは見逃せない。

 術によって強大なパワーをその身に宿して戦ってはいるが、肉体は非常に脆い。

 その弱点を術で補えているのは素晴らしいことだが、体が追いついてない以上、その分スピリットは不安定だ。

 このアンバランスな状態でよく「スピリットを直接攻撃する」などという出鱈目な技にたどり着けたのかはピバラにもわからない。

 

 彼女に必要なのは基礎訓練だ。

 先ずは体と心のバランスを整える。

 そうすれば彼女の力は自ずと上がってくるはずだ。

 術による増強をせずとも更なる力を身につけられる。

 先ずは一年様子を見るべきだろう。

 鍛錬の仕方を教えれば自ずと開花するはずだ。

 

 以上、ヤードラットの長直々の評価である。

 

 「ピバラ様すげえなぁ、大体あってっぞ。」

 「…む、向いていない…。」

 「心と体のバランス、か。」

 

 三者三様、感心したり、凹んだり、噛み締めたり、その様子をうんうんと頷きながらピバラは続けた。

 

 「これからの鍛錬はあくまで我々の技術を磨く上での基礎訓練だ。我々は戦闘民族ではないからね。この技術をどう活かすかは君たち次第だし、できないからと言って上を目指せないとは思わないで欲しい。」

 

 明らかにラディッツへのフォローであるのだが、彼の言い分は間違ってはいない。

 戦士にとって必須技能であるのなら、彼らは全宇宙でも屈指の強戦士であるはずなのだ。

 走り方を知っているからといって、陸上選手に勝てるわけではないのである。

 

 「確かににいちゃんは瞑想って感じじゃねえな。」

 「パワーぶち上げて殴り倒すタイプだもんね。」

 「…お、お前ら…!」

 

 そんな彼の渾身のフォロー2名の空気読めないあんぽんたんによって無駄に終わったのであった。

 さて、座学もそこそこにピバラは早速3名に修行をつけた。

 針の山、巨大な剣山の様に何本も巨大な針が聳え立つ修練場。

 この先端にて静かに、ただ静かに時を感じよ。

 これがピバラからの課題である。

 

 「心を静かに保つんだ。君たちの原点、これをまず理解すること。」

 

 この修行、最初にクリアをしたのは当然孫悟空である。

 よく動き よく学び よく遊び よく食べて よく休む 人生を面白おかしく張り切って過ごせ

 亀仙流の心がここに活きたといっていい。

 

 さて、逆にこの修行に苦戦したのは小籠包とラディッツだ。

 

 意外でもなんでもないが、彼女が心をおちつかせることは殆どない。

 この数年間…ほとんど気を解放しっぱなしなのである。

 これは常に緊張状態に身を置いていると言っても過言ではない。

 例外的に気を抑えたことは何度かあったが、彼女のデフォルトは「フルパワー」なのだ。

 眠る時ですら彼女は気を解放している。

 常に臨戦態勢、それが小籠包なのだ。

 

 これに倣っているラディッツも当然彼女に続いて苦戦を強いられた。

 

 悟空が修行の第一段階である原点、ゼロを捉えたのは僅か1ヶ月のことである。

 続いて小籠包が3ヶ月、ラディッツはピバラの提言に合わせてこの修行を断念した。

 さて、これはあくまで入り口、修行の前の準備段階。

 原点を理解したら次はこれを変化させて、基準点を合わせる。

 バランスをとり続けるのだ。

 具体的には気を高めながら己の心を見失わない。

 力んでいる時こそ、冷静でいなければならない。

 そんな心の修行。

 これは皮肉にも、かつて神が小籠包に指摘し、彼女が笑い飛ばした物である。

 

 悟空にとっては実に聴き馴染みのある修行だ。

 様々な武の達人たちが同じことを悟空に言い聞かせてきた。

 ある意味昔を懐かしみながら彼はあっさりとこの修行をクリアする。

 …とはいえ、それから3ヶ月ほどかかってしまった。*1

 

 これにて孫悟空は基礎訓練をたった4ヶ月ほどで終えてしまった。

 恐ろしい才能である。

 仮に同じ亀仙流のクリリンとヤムチャがここにきたとて、ここまですんなりとは進まなかっただろう。

 純粋さ、素直さ、それが弟子として悟空の強みなのかもしれない。

 

 さて、我らが小籠包は悟空が基礎訓練を終えてしまった頃、漸く心のコントロールのフェイズに入ったところだ。

 どうしても彼女は気を漲らせると、殺気、殺意が溢れ出すのだ。

 しかしそれこそがスピリットを鈍らせているとピバラは指摘する。

 怒りは己が心を曇らせる。

 それでは正しい景色を捉えることはできない。

 

 彼女の気功崩が未完成な理由はまさにそこにあった。

 精密コントロールが必要なのに、メモリが汚れて見えていない。

 そんなのではコントロールがうまくいくはずがないのだ。

 瞬間移動のような()()()()()とは訳がちがうのである。*2

 

 さて、彼女はこれを克服するのに半年以上の時間を要した。

 時間しておよそ9ヶ月。

 ピバラの想定通りの時間だ。

 

 さて、心を穏やかに。

 そんなお行儀の良いことを彼女は達成したのか?

 答えは、ノーである。

 

 己のゼロが戦闘スタイルに合わないのであれば、ゼロを戦闘スタイルに合わせたのである。

 パチリと意識を殺しに切り替える。

 かつて彼女の師が、武道大会の裏側にて見せたあの所業。

 愉快なおじさんが一瞬で恐怖の殺し屋に変わったあの変わり身。

 あれは変わったのではなく、あれが桃白白にとってのゼロなのだ。

 半ば普段はそのゼロからずらすことで彼を愉快なおじさんたらしめている。

 …もっとも、そんな小難しいことを彼は考えてはいないのだが

 

 一度は諦めた師と同じ領域への到達。

 殺し屋をやめたのであれば最早極める必要もないとしていた殺意のあり方。

 これを彼女は会得したのである。

 武道家となって、彼女は改めて殺し屋として完成したといっていい。

 

 雑に説明するのなら、ヤードラットのやり方は合わなかったので基礎知識をベースに、我流でスピリットのバランス調整に成功した。

 これには流石のピバラも苦笑いが隠せなかったのは言うまでもない。

 

 「二人とも、よく頑張ったね。ラディッツくんは残念だったが、君たち二人がこの訓練を超えられたことを嬉しく思うよ。」

 

 小籠包が無事基礎訓練を終えた頃、ピバラは二人を呼び出した。

 孫悟空は彼の想像を超えた速さで、小籠包は自分では思いもよらない方法でこの訓練を突破したのである。

 これを嬉しく思わない師はいないだろう。

 

 「ピバラ様もサンキューな、この一年ですげえ強くなった気がするぞ。」

 「それだけスピリットの乱れがなくなった証だね。ただし、それは今後も続けていくんだよ。君の様な強い戦士のスピリットは乱れやすいからね。」

 

 この修行は彼の性に合っていた。

 なんなら今後も日常的にこの鍛錬を無意識にこなしていくことだろう。

 彼は有事の時以外は常に気を抑え、そして心を穏やかに生きているのだから。

 

 さて、とピバラが向き直ったことで小籠包は姿勢を正した。

 

 「君には驚かされるね、もちろん良い意味でだよ?」

 「…ありがとうございます。」

 「胸を張るべきだ、私の知らない方法で課題を克服したのだから。」

 

 これはいわばヤードラットの伝統への革命だ。

 比較的穏やかな種族の彼らには決して思い付かない方法であり、おそらくは禁じ手として封印される手法になるだろう。

 何故ならこれが罷り通るのであれば心を静かに保てない悪人ですらヤードラットの基礎訓練を終えられることになるのだから。

 

 「私からのお願いは一つだ。その方法はできれば後世には伝えないで欲しい。」

 「はい、認めてくださりありがとうございます。」

 

 「小籠包自身の可能性」として彼はこれを容認した。

 技に罪はない。

 それがピバラ…ひいてはヤードラットの考え方である。

 思いついた本人がこれを研究し、会得する。

 これを禁じた場合、ヤードラット人の在り方を否定することになるのだ。

 新たな術を拓くのは良い、しかし場合によってはそれを広めてはならない。

 これはそういう話である。

 

 「これからは小籠包くんも悟空くんに合流することになるね。」

 「はい、がんばります。」

 「君にはまず…その″キコウホウ″という技の精度をあげてもらうよ。」

 

 ピバラは3人の持つ技を把握している。

 読心術は彼にとっては造作もない術なのだ。

 

 「そしてもう一つ、″カイオウケン″これは使ってはならないよ。」

 「なぜですか?」

 「あの技はね、スピリットを過剰放出させる事で一時的に力を得る技だ。キコウホウとは相性が良くない。」

 

 気功法と界王拳この二つの技は彼女を支えてきた奥義。

 ピバラ曰くこの組み合わせは寿命を縮める技…片方だけを使用するのなら問題はない。

 気功法と合わせることでこの技の危険性は大きく増している。

 そもそも気功法はスピリットを集中させて密度を上げることによってさらにパワーを充実させる技。

 界王拳は()()()過剰放出させている。

 

 自分の許容量を大きく超えたエネルギーをさらにオーバーして出力しようというのだ。

 自殺行為といって差し支えない狂気の組み合わせである。*3

 

 そもそもここに界王拳を上乗せするだけの余力があるのなら、気功法の精度をもっとあげられるはずなのである。

 あれもこれもやるより、一つの技を極めたほうが効率がいい。

 

 「今の君になら、もっと精度の高いキコウホウが使えるはずだよ。」

 「…わかりました。」

 

 界王拳は彼女にとって大事な奥義の一つ。

 それを捨てねばならない、彼女にとって複雑だった。

 

 「君にとって思い入れのある技なのは理解しているが、わかって欲しい。一歩間違えれば命を落とす技だ。…そんなモノを容認していたらあの世にいるツカネくんに申し訳が立たないからね。」

 

 もちろんピバラの言うことも理解している。

 危険だと言うのなら、危険と判断されないほどに己が強くなれば良いのだ。

 

 「わかりました。」

 「…わかっていないよね、小籠包くん。」

 「心を読むのは反則です。」

 「ふふ、では私に読まれないように精進なさい。」

 

 ピバラの指導の下、彼女の気功法の改良が始まった。

 

 さて、気功法という技のおさらいをしよう。

 気功法は自身の潜在パワーを解放し、充実させた上でこれをさらに「集中」させ、その密度を高めることで飛躍的な戦闘能力向上を計れる奥義。

 気功砲を容易く扱える鶴仙流皆伝がたどり着いた極地とも言えるだろう。

 彼女の最大密度は20倍相当だ。

 しかしこれはただただ気を集中し圧縮しているに過ぎない。

 今の気功法はその精度が低いのだ。

 ただただ紙をぐしゃりと丸めるより、折りたたんで行ったほうがより小さくなるのと同じである。

 

 ピバラはそこを指摘した。もっと効率良くスピリットを集約しろ。

 これが今の彼女に課せられた課題である。

 

 スピリットの安定性が増した今の彼女ならこの技を進化させるのは実に容易いことだった。

 

 時間にしておよそ1ヶ月。

 彼女の技に変化が訪れた。

 

 「…ぴ、ピバラ様…これが、本当に私の力ですか?」

 

 己が力を疑うほど、彼女は新境地に達していた。

 ()()()()1()0()()()()()()()()()の力を彼女は身につけたのである。

 

 「勿論だ、私は何もしていない。それは君自身の力だ。」

 

 若き天才にピバラはニコリと微笑む。

 この結果は彼の想像通りだ。

 強引な出力による澱みを全て取り払った。

 だからこそ彼女の基礎能力は向上した。

 体が彼女の技に追いついたのである。

 

 「それはスタート地点だ、君はこれからもっともっと強くなれる。」

 「ありがとうございます…!」

 

 これでもまだサイヤ人の足元にようやくくらいつけるレベルだが、天井は完全に消え去ったといっていい。

 技は完成した。

 気功法改め、真・気功法。

 彼女を遥か高みへと連れていくきっかけの一つである。

*1
それでも原作悟空よりは一月早いペース

*2
なお、ヤードラット人目線、普通の感覚からすればとんでも技であることに変わりなし。

*3
断りを入れるなら界王様もダメと言っている。小籠包が言いつけ守ってないあんぽんたんなだけ





 戦闘力更新
 基本最大:2万8000=>40万
 真気功法(20倍相当):800万

 界王拳を失った代わりに得た新たな力、
 界王様が泣いておられるで…。
 これでも相棒の超化を引き出すのには足りない。
 だがこれが彼女のスタート地点。
 ここで大事なのは、殺し屋として完成したことにある。
 Z戦士の癖に殺しを一切躊躇わない冷酷な戦士に仕上がった。
 元からそうじゃないかって?細けぇこたぁいいんだよ!!
 
 孫悟空
 基本最大:300万=>750万
 超1-1:3億7500万

 実はメカフリーザくらいならあっさり叩きのめすことができたし瞬間移動も会得済。
 小籠包がダメというから仕方なくメカフリーザの相手は我慢した。
 19/20号コンビなら問題なく倒せるが…?

 ラディッツ
 基本最大:2000万
 超1-1:10億
 ドーピングサイヤ人、サイヤ人最強の座はまだ揺るがない。
 しかしそろそろ弟との才能の差を見せつけられる頃合い。
 このまま鍛えていけば17/18号くらいはなんとかなる…?
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