ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 やりすぎた感あるけど後悔していないので初投稿です。


其之百五 目覚めよ!キラーマシン桃白白!?

 

 エイジ767 某月某日。

 

 巨大なマザーコンピュータを操作する一人の老科学者と、その横に丸々と太った無機質な顔立ちの巨漢。

 言うまでもなく、ドクターゲロ改め、人造人間20号と19号である。

 彼らはとあるサイボーグの最終調整を行なっていた。

 

 コードネーム:キラーマシン Pと名付けられたそれは…小籠包の師である桃白白その人だ。

 

 ゲロ…いや20号が生身の肉体であったのなら冷たいモノをその背筋に流していただろう。

 

 かつて桃白白に17号と18号の強さのパラメータを示すその値は恐ろしい数値を叩き出していた。

 

 その数値、なんと300億。

 

 ーーー私は…とんでもない怪物を生み出してしまったのかもしれん…!

 

 彼は20号の想像を遥かに超えてしまった。

 それもそのハズ、彼の改造は完全なるロボットベースか、一般人をアンドロイドに作り替える改造手術なのだ。

 その後者を達人に対して行ったのだ。

 元が超強化人間を作る思想の人体改造、

 パワーセーブの設計をしたとて限界がある。

 

 サンプルがなかった上に実験をロクに行えなかったが故に大きく改造の方向性を変えることができなかったのだ。

 

 全宇宙を見渡しても彼を超えるものなどいない最強の殺し屋が生まれてしまったのである。

 

 しかし手放しに喜べる話でもない。

 既に20号は2体の制御不能のモンスターを持て余している。

 しかも、キラーマシンP(仮名)はそのモンスターが霞む様な怪物なのだ。

 まともな制御が効くとはとても思えない。

 

 もし、万が一目覚めた桃白白が正気を失って暴れでもしたらこの世は終わりだ。

 文字通り破壊神となって全てを破壊し尽くすだろう。

 20号はマッドサイエンティストだが、世界を滅ぼすつもりなど毛頭ない。

 ただ、憎き仇敵である「孫悟空」を抹殺したいだけなのだ。*1

 だからこそ、キラーマシンP(仮名)にはもっとパワーセーブがされた設計が行われるべきだったのだ。

 

 様々なパラメータが目まぐるしく画面に出ては消え、出ては消えを繰り返す。

 常人では目で追うことも難しい画面の変化も人造人間となり身体能力が超人となった20号にとっては処理することなど造作もない。

 その一つ一つを全てチェックし、異常な数値を出していない事を確認する。

 バイタリティ、メンタリティ、共に正常。

 改造前と大きく変わっていないことがわかる。

 シミュレーションの結果からは…キラーマシンP(仮名)が暴走をする確率は限りなく0に近いと出ている。

 あとは起動ボタンを押すだけ、…なのだが流石の20号も今回ばかりは緊張が走る。

 

 このシミュレーション結果も100%と正しいとは限らない。

 もう既にキラーマシンP(仮名)の性能はイレギュラーなのだ。

 シミュレーションが正しく動作していない可能性もある。

 

 いや、大丈夫だ、問題ない。

 17号/18号のときと違い、彼は自ら進んで改造を受け入れたのだ。

 何より相手はあの伝説の殺し屋桃白白。

 ちょっとやそっとで正気を失うような男ではなかろう。

 

 覚悟を決めた彼はしわくちゃの指先に力込めて、ボタンを押下した。

 まるで棺の様なカプセルから大量の熱が排気される。

 大量の煙の中、ゆっくりと開いたカプセルの中からその男は出てきた。

 

 ほとんど皮膚を失っていた顔面は20号の技術によって完全に復元されている。

 スーパーどどん波を放つ機構を残したまま、両腕は元に戻された。

 誰がどう見ても…全盛期の桃白白の姿がそこにあった。

 

 こき、こき…と首を左右に鳴らしながら淡々と現れた彼は己の拳を握りしめる。まるで動作確認でもするかの様に。

 そんな彼に努めて冷静に声をかけた。

 

 「気分はどうだ、キラーマシンPよ。」

 「…なんだその呼び名は。」

 「貴様は我が作品達の連番からは外れているのでな、特別な名を付与した。」

 「いらん、これまで通り桃白白と呼べ。」

 「う…うむ。」

 

 心なしかしょんぼりと縮むマッドサイエンティスト。

 同時に確信した。

 桃白白はあの凶悪な改造を施されて尚正気を保っていることに。

 

 「感謝するぞドクターゲロ。…さて、報酬はいただいた。予定通り…孫悟空を殺してやろう。」

 「頼んだぞ桃白白よ。」

 「しかし、その前にこの肉体の試運転がしたい。」

 「…今のお前に敵うモノなど存在しない。孫悟空のデータは…上振れを考慮しても精々数百万程度だ。」

 「俺様のやり方にケチをつけると?」

 

 余りにも冷たい殺し屋の視線が突き刺さる。

 機械の肉体となり忘れたはずの恐怖心が蘇る。

 殺される…!

 本気でそう感じる冷たい氷のような視線だ。

 

 「そうではない…!余り派手に動いては孫悟空に勘付かれる。…貴様とて仕事はやりやすい方がよかろう!?」

 

 既に桃白白とゲロの関係は対等ではなくなっている。

 何せ彼には()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 17号/18号の様にいざとなれば緊急停止によって殺すこともできない。

 

 「…安心しろ、一人…始末したい女がいる。俺様の力を測るのにちょうどいい奴だ。」

 「貴様、自らの弟子を使って試すつもりか…!」

 

 信じられない。

 この男は自ら手塩にかけた若者をその手で始末しようというのだ。

 ただ己の力を試す為の的として。

 

 「弟子だと?当に破門しとるわ。うろちょろと目障りなのでな、ウォーミングアップがてら引導を渡してやるのよ。」

 

 つまり、彼の弟子…小籠包は消したいほど目障りな汚点というわけだ。

 そして会話を重ねれば重ねるほど、彼は己が最高傑作に対して震え上がった。

 ここは、彼に借りの一つでも作っておいた方が今後の為になるだろう。

 

 「…ふむ、ではこうしよう。その弟子の始末…邪魔が入らぬよう…我々が協力しようではないか。」

 「ほう?」

 

 今や20号も人智を超えた存在だ。

 計算上では十分孫悟空を抹殺できる。

 この手で彼を殺せるのならそうしたいのだ。

 キラー……桃白白は万が一の保険である。

 

 コンピュータに向き合ってキーボードを何度か操作する。

 カタカタ、と無機質な音を奏でた直後、ピリリ、と電子音を響かせながら大きな地球を模した立体映像から…南の大きな都…天下一武道会会場のある大きな島…その更に外れにある都、「あめんぼ島」と名前が表示された。

 

 「我々二人が…この南の都の外れ、ここで破壊活動をしよう。そうすれば奴らの仲間を誘き寄せられる。…貴様はその日に合わせて弟子を呼び出せばいい。」

 「なかなか良い作戦だな。何故そこまでする?」

 

 …流石世界に名だたる殺し屋といったところか。

 ここまで礼を尽くしても一切の信用を見せない。

 ここは、おかしな裏を見せる必要はない。

 彼に確実な仕事をしてもらうためなら、20号とて相手に媚びは売る。

 大義名分は必要だろうが。

 

 「貴様の試運転にノイズが入るのは私とて不本意だ。テストは完璧なものであるべきだからな。」

 

 これは方便半分、本心半分だ。

 桃白白に取り入ろうと言う考えがないわけでもないが、

 最高傑作を作り上げたのだから、その出来栄えを正しく確認したい。

 これもまた20号の本心である。

 

 「…いいだろう、日時は追って連絡しろ。」

 「了解した、何かあれば連絡する。通信機の使い方はわかるな?」

 

 ぴくりと、殺し屋のこめかみが揺れる。

 

 20号は迂闊な発言を後悔した。

 彼に求められたのは完璧な戦士の肉体である。

 製作者との余計なパイプは求められてなどいない。

 

 「…余計なモノをつけよって。」

 

 落ち着いてはいるがその言葉に含まれているのは明らかな怒気だ。

 

 「…あ、安心しろ。貴様の思考を傍受するような機構はつけてはおらん。」

 「ふん、そう言うことにしておいてやろう。」

 

 その瞳の奥に幾らかの通信画面が展開される。

 使用方法が実にわかりやすく簡潔に伝えられていることだろう。

 

 彼はそれ以上何もいわないまま背を向けて進み出す。

 

 これ以上余計な事を言うべきではない。

 わかっているのに、

 一抹の不安を覚える20号は口を開かずにはいられなかった。

 

 「桃白白よ…期待しているぞ。」

 

 ぴたり、まるで怒りに触れたかのようにその足が止まる。

 一拍の沈黙をおいて彼は再び歩き出し、無言で彼の研究所から去っていった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 桃白白、齢308。

 今日は人生で最高の目覚めだったのかもしれない。

 欠損した体が元に戻った上に、特に身体にはなんの違和感もない。

 なんだったらこのまま殺し屋稼業を再開できると感じるほどに、その身体は調子がよかった。

 

 キラーマシンなどと言うふざけた名前をつけられさえしなければ、

 この目覚めは人生で最高のモノだっただろう。

 

 勿論却下した。

 なんだPって、桃白白の桃からピーチってか?

 素晴らしい頭脳を持っているというのにネーミングセンスには恵まれなかったらしい。*2

 

 ここで舞い上がっていてはドクターゲロに舐められる。

 殺し屋は舐められたら終わりなのだ。

 特に相手は自分が知る中でもっとも賢い天才科学者。

 ここは超怖い殺し屋だと何としてもわからせねばならない。

 

 大事なのは自分のペースを掴むこと。

 依頼人にへーこら下手に出てはロクな目に遭わないと知っているからだ。

 大体の依頼人はさあ殺せ、すぐに殺せ、なぜやらない!

 そんな風に急がせる。

 ハイヨロコンデーなんて言い出したら相手はつけあがる。

 

 それではダメだ。

 そう言う奴に限って、積まれた金以上のことを要求する。

 

 そう言う奴が出ないように、自分のペースで仕事に取り掛からねばならない。

 依頼人からは文句は出よう…しかしここでギラリと一発睨んでやれば大体の奴は大人しくなる。

 ドクターゲロが怯むとは思えないけど。

 

 「俺様のやり方にケチをつけると?」

 

 できる限り、しかし最小限の殺意を込めて睨む。

 余り大袈裟にやり過ぎても良くない。

 何せ相手は自分を超人にしてくれた恩人なのだ。

 幾ら報酬とはいえ小僧一人殺す程度の対価にしては破格の報酬といえよう。*3

 

 思ったよりゲロがびびっているが、舐められるよりマシなのでヨシ!

 突然何万倍も強くなりました!

 なんて言われても実感がわかない。

 何せ…自分の身体から()()()()()()()()のだ。

 なんとなく強くなった感覚はある。

 というか強くなってくれてないと困るので、強くなったことにしておく。

 

 ーーーくくく、これならばあの目障りな小娘を始末できる。

 

 しかし今回の依頼人(ゲロ)は頭が回る。

 なかなかにこざかしく食い下がってきた。

 派手に動くな、などと殺し屋相手に何を当たり前のことを言うのか。

 人知れず抹殺するなんて日常茶飯事。

 特に小籠包(あのバカ)は自分が呼び出せばホイホイ現れる。

 一人で来いといえばノコノコ現れるだろう。

 

 名付けて

 

 マジで闇堕ちした師匠がラスボスになって帰ってきた大作戦☆*4

 

 である。

 他人の力で最強になっておいて超天狗なおじさん。

 本当に人生を舐め腐っている。

 仕方ない、それが桃白白という男なのである。

 

 「貴様、自らの弟子を使って試すつもりか…!」

 

 身内を始末すると言ったゲロの反応は意外だった。

 その辺のガキを捕獲して改造人間にしておきながら

 このヒトデナシと言わんばかりのあの目は余りにも心外である。

 外道振り的には大した差はないと言うのに。

 

 どうしても先に孫悟空を殺して欲しそうだったくせに、

 彼は急に媚を売り出した。

 こういう頭の良いじーさんが突然媚を売るときは大抵ロクなもんじゃない。

 なんせ、兄である鶴山人がそうだったのだから間違いない。

 

 色々考えてそれっぽいセリフでカマをかけてみたが、

 科学者として完成度は見ておきたいじゃん?

 などと言われたらハイソーデスカと言わざるを得ない。

 

 何せ、自分を改造するときに散々暗殺者としてだの科学者としてだの小難しいことを散々したり顔で語ったのだ。

 今更くだらないとか言い出したら、麻酔打たれて逆改造されかねん。

 

 ノリと勢いで生きている殺し屋のおじさんも今回ばかりは慎重だった。

 

 ともかく、小籠包の周りには面倒な奴がいっぱいいるし、足止めしてくれるって言うなら断る理由もない。

 

 とにかく、ボロが出ない内にさっさとこんな辛気臭い部屋からはとっとと出て行きたい。

 そんな風にウズウズしてるおじさんの耳にとんでもない言葉が飛び込んできた。

 

 「通信機の使い方はわかるな?」

 

 

 なんて??????

 

 慌てて彼は自分の体の中を探り回す。

 確かにちょっと視界が近未来的になっててわーすごーいと感動していたが、まさかこの内容全てがモニタリングされているわけでないだろうな!?

 

 桃白白はいい加減な男である。

 突き詰めていけば彼の発言と行動は一貫性の微塵もないその場しのぎの適当おじさんだ。

 

 ここに自分の思考ログが載っていてゲロもソレが見れるよ!

 何て言われたら困る!

 だってソレじゃゲロのこと裏切れないじゃん!

 

 いや、これはある意味チャンスだ。

 は?何余計なもの入れてんの?話と違うよね?じゃあ契約不履行でお前のことぶっ殺しちゃおっかなー♡

 と睨みを利かせる口実になる!

 

 そうと決まれば早速ちょーっとだけ殺意を込めてゲロをチラ見してやる。

 

 「…あ、安心しろ。貴様の思考を傍受するような機構はつけてはおらん。」

 

 なあんだ、じゃあいいや。と思考を0秒で放棄する。

 全然良くない、ゲロのこの発言を信じちゃうからこのおじさんは甘々なのである。

 桃白白足元掬われチャンネル開設待ったなし。

 

 そんなことより、いつボロが出てもおかしくない。

 話も終わったし、桃白白はさっさとここから飛び出したかった。

 

 足早に…出て行っては不自然なので、わざとかつーん、かつーんと足音を鳴らしながら彼の研究所を後にする。

 

 「桃白白よ…期待しているぞ。」

 

 やべ、これもしかしてワンチャン仕事しない可能性があることを見抜かれている?

 いやいやそれはない。

 我ながらこれまでの擬態は完璧だった。

 でもあの小籠包(あのバカ)と違ってドクターゲロ(天才科学者)だ。

 疑われててもおかしくない、ここは何か言葉を返すべきか。

 いや、違う。

 

 桃白白はこう言う時の奥義を持っている。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 頭の良い奴ほどこの手はよく効く。

 その論だとあのバカ弟子も頭がいいことになるか?

 いや、アレは違う。本当におバカなだけだ。

 

 あんまり立ち止まっていても、図星かこいつ?と勘づかれてしまう。

 数秒…この塩梅が大事だ。微妙な間が大事なのである。

 

 そうしてたら、なんかわからんけど相手は大体納得してくれるのだ。

 

 ーーーバレてないな…!

 

 内心冷や汗ダラッダラなおじさんは超クールなポーカーフェイスを作って、なんとかゲロの研究所を後にすることができたのだった。

 

*1
なお、ワンチャン世界が滅んで孫悟空が死ぬならそれもアリ

*2
このおじさんも人のことは全く言えない。

*3
その小僧にコテンパンにされたおじさんのセリフ

*4
このおじさんも人のことは全く言えない。





 戦闘力更新

 キラーマ………桃白白
 基本最大:300億

 あまりの数値に三度見必至。

 おじさんの幸運とゲロのガバと作者のノリによって意味不明な強さに魔改造されたおじさん。
 サイボーグ化したけど意味なかったし、
 超鍛錬しても追いつかなかったので、
 ぶっちゃけトントンでは?
 と心の底では思っている。
 でも人体改造までしたんだからなんとかなるでしょ!!

 の精神で割とノリノリ。


 人造人間20号
 基本最大:1億
 頭に自分の脳みそ組み込んでるアタオカマッドサイエンティスト。
 絶対17/18号でミスったからひよったでしょ?と言わざるを得ない戦闘力。
 ゲロの中ではこれでもオーバーキルだから許してあげよう。
 サイヤ人が悪いよサイヤ人が。
 曰く、不老不死が欲しかったのでは?と噂されているが
 人造人間完成まで、自分が寿命で死ぬリスクを取っ払いたかったのでは?
 と言うのが作者の解釈。

 人造人間19号
 基本最大:9000万
 完全ロボット型の人造人間。
 17/18号の二の舞にならないように調整したんやろなと言う塩梅。
 どうせ王子にぶっ壊されるし原作と特に違いはないのでノーコメント
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