ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 老師桃白白が作者の予想を大きく越えまくって迷走してるので初投稿です


其之百六 小籠包という戦士

 

 「よし、休憩だ。情けないそのツラを洗ってこい。」

 「はぁ…!はぁ…!はい…!ありがとう、ございます…!」

 

 パオズ山の奥深く、瞑想をする悟空の傍、容赦無く悟飯を叩きのめしたピッコロが見下ろす。

 普段はまるで父のように見守ってくれる彼もこと修行に関しては鬼だ。

 少しでも気を抜けば容赦なく踏みつける。

 始めは悟空もこのやり方にいい顔をしなかったが、これは少しでも悟飯の生存力を上げるためのピッコロなりの優しさであるとわかっている。

 故に、悟空は彼のやり方に文句は言わなかった。

 

 その甲斐あってか、彼の戦闘力はたった一年で飛躍的に上昇した。

 ナメック星での孫悟空の力を確実に超えている。

 ただし残念ながら覚醒には至っていない。

 

 人造人間が現れると予言を受けた「3年後」は刻一刻と迫っている。

 しかも、その日付はよくわかっていない。

 明日かもしれないし、一ヶ月後かもしれない。

 

 悟飯は焦っていた。

 このままでは皆の足手纏いになってしまう…!

 その焦りがまた彼を覚醒へと遠ざけてしまっている。

 

 「お前ェ、相変わらず厳しいなぁ。」

 「悟飯にはあれくらいでちょうどいい。」

 「お父さん、僕なら大丈夫です…!」

 

 誰の目にもわかる、オーバーワークだ。

 ピッコロとてそれは重々承知している。

 だからこそ悟空を睨んだ。

 父親だろ気の利いたことでも言ってみろ。

 そんな意思を汲み取って悟飯の肩を叩いた。

 

 「焦んなって悟飯、今のお前ェなら地球に来た時のベジータくらい楽勝だぞ。」

 「…でも、こんなんじゃフリーザには勝てません…。」

 「…孫、流石に比較対象が悪すぎるぞ。」

 

 ため息と共に頭を抱えた。

 彼は非常に頼りになる男なのだが、こう気の抜いた時は本当に一つも二つも抜けているのだ。

 それが孫悟空の美徳であることもピッコロはよくわかっている。

 

 「へへ、悪ぃ悪ぃ、でもこの一年で見違ェたぞ。明日にでもスーパーサイヤ人になれるかもな。」

 「…お父さん、それは昨日も聞きました。」

 

 我慢しきれず盛大なため息がピッコロから吐き出される。

 これでは悟飯がますます焦ってしまうではないかと。

 

 「…孫。」

 「…まぁいいじゃねぇか。それより飯にしようぜ、オラ腹減っちまった!」

 「貴様というやつは…。」

 

 チチから預かった超巨大な風呂敷を広げていき、中に詰め込まれた大量の弁当に歓声を上げる悟空。

 視界の端で己が無力に震える悟飯の頭に手を添えてやる。

 

 「自信を持て悟飯、お前の力は俺が一番よくわかっている。」

 

 師匠を見上げる悟飯の顔がくしゃりと不安に歪んでいる。

 たまたま父親が最強の武闘家だっただけの少年、それが孫悟飯なのだ。

 だからこそ、ピッコロは本心を言うのなら、彼には穏やかに学者の道を歩んでほしい、そう願っている。

 

 「他でもない孫悟空が大丈夫というんだ、父親を信じてやれ。」

 「…はい!」

 

 その言葉に強く頷く姿を見てやはりまだ子供、そう感じずにはいられなかった。

 風呂敷の中央で大量の飯に囲まれながら早く食おうぜー!と子供のようにはしゃぐ悟空にピッコロはまたため息をついた。

 

 ーーーまったく、どっちが子供かわからんな。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ガツガツムシャムシャバリバリゴックン!

 

 もきゅ、もきゅ。

 

 二人の食べっぷりは正しく正反対。

 弁当箱まで飲み込むのでは?という勢いでガッつく悟空によく噛んで飲み込む悟飯。

 それを水を啜りながら静かに眺めるピッコロ。

 

 すぐにでも人造人間が訪れるだなんて毛ほども感じられない穏やかな時間がここに流れていた。

 

 「あの、ピッコロさん聞いてもいいですか?」

 

 ガツガツ!モグモグ!

 と余りの豪快な食べっぷりの父親を背景に口の中の物を飲み込んだ悟飯が口を開いた。

 

 「どうした。」

 「どうして小籠包さんと仲が悪いんですか?」

 

 パオズ山の湧き水が詰められた水筒の傾きがぴたりと停止した。

 さて、悟飯にはどのように説明すべきか、そのように思考を回す中、愛妻弁当をかっこむ悟空が口を挟んだ。

 

 「ほーほんほーはいっほほのひほーはんはよ。」

 

 いや、正確には飯を突っ込んでいた

 きちんと口の中の物を飲み込んで師匠に尋ねた息子の方がマナーが良いとはどう言う了見か!

 しかも勝手なことを言い出したことにピッコロは苛立ちを隠せない。

 

 「おい、口の中の物、ちゃんと飲み込んでから喋りやがれ。」

 

 ぱち、と瞬きの後、まるでリスのように頬に大量の飯を詰め込んでいた悟空の喉が盛大なコブを作って…ごくん!と無理矢理胃の中へと強制連行していった。

 

 ーーーちゃんと噛めよ。

 

 余りの出来事にもう突っ込む気にもなれなかったピッコロはため息をつくしかなかった。

 

 「小籠包はな、師匠なんだよ、な?ピッコロ。」

 「ふざけるな、何が師匠だ。アイツはいつか必ず叩きのめす。その次は孫、貴様の番だ。」

 「へへ、そりゃ楽しみだな!」

 

 半ば八つ当たりに近いその言動に、やはり悟飯は不思議そうに首を傾げた。

 小籠包が関わるとピッコロの態度はいつも変わるのだ。

 師匠の全く知らない一面が見れて嬉しくもあり寂しくもある。

 

 「なんだか、お父さんとベジータさんみたいですね。」

 「うーん、なぁんか違ェんだよな?どうなんだピッコロ?」

 

 相手が悟空だけであるのなら、知らん、勝手に想像しろ。

 そう返していたかもしれない。

 他でもない悟飯が問いかけているのだ、そんな不義理な返答はできることならしたくない。

 

 「奴には借りがある。それだけだ。」

 

 辛うじて、ピッコロが語れるギリギリのライン。

 正直な所、既に憎さよりかはライバル心の方が強い。

 

 「そういえば前に聞きました。小さい頃は小籠包さんと一緒に暮らしてたって。」

 

 ピッコロの鋭い視線が悟空へと突き刺さる。

 米粒塗れの口角をへへへとつりあげていた。

 余計なことを…と呟いたところでピッコロは観念した。

 

 「…認めたくはないが、奴は俺の敵であり、師であり…親でもあるかもしれんな。」

 

 最後の一言は思わず自分でも反吐が出そうになる言葉だった。

 客観的に言えば、鍛錬を含め…世話をしてくれたのは事実だ。

 今思えばあのやり取りは…彼女なりのコミュニケーションだったのかもしれない。

 そこまで考えたところでピッコロはくだらんと脳内で吐き捨てた。

 どこまで言っても彼女は悪党なのだ、自分の面倒を見たのも、今地球を守る戦士であるのも…単純に利害が一致しているからにすぎない。

 たまたま彼女の目的はあくまで「己が平穏」であり「地球の平和」ではない。

 その過程において殺しが必要なら躊躇わないだろう。

 

 「今は一時休戦に過ぎん。人造人間とかいう奴らを叩き潰したら、今度こそ奴を殺す。」

 「こ、殺すんですか?」

 「ンなことする気ねェ癖に。」

 「やかましい。」

 

 ライバルの言葉に思わず舌打ちをする。

 今やこの言葉すら形骸化しつつあることを彼自身も自覚しているのだ。

 あの魔族の王、ピッコロ大魔王と謳われた大悪党の生まれ変わりが随分と丸くなったものである。

 小籠包を倒して顔面を踏み付けてせせら笑うことさえできれば彼は満足なのだ。

 

 「そういや、お前ェと小籠包ってどっちが強ェンだ?」

 「パワーだけなら俺に分がある。」

 「それはオラもだ。…でもなぁ。」

 「奴に勝利するビジョンが見えん、…だろう?」

 

 悟空は静かに頷く。

 戦闘力という観点で言うなら悟空もピッコロも間違いなく小籠包を超えている。

 しかし二人にはあのメタルクウラ・コアを屠った技「気功崩」が目に焼き付いて離れないのだ。

 単純なパワーでどうにかできる相手ではない。

 悟空とて、スーパーサイヤ人抜きでは彼女に手も足も出ないだろう。

 これは種族的なアドバンテージ抜きでは彼女に勝てないと言うことを意味する。

 武道家としては悟空は小籠包に大きく遅れを取っているのだ。

 

 何より二人のやりとりに一番驚いてるのは悟飯だ。

 勿論小籠包が強いことは知っている。

 …しかし父と叔父が最強と信じて疑わなかった彼にとって

 父親が「勝てる気がしない」と言うとは思わなかったのだ。

 

 「小籠包さんってそんなに強くなったんですか?」

 「どうなるか分からねェって言い方が一番近ェな。」

 

 彼女は出会う度に新たな境地を見出している。

 気功法しかり、瞬間移動しかり、気功崩もだ。

 これまでは味方として…あるいは競技相手として立ち塞がって来たが、これが「敵」として現れた彼女を悟空は想定できない。

 

 「もしアイツが容赦無く来たら、オラ殺されるかもしれねェな。」

 「小籠包さんはそんなことしません!」

 

 悟飯の強い言葉がパオズ山の木々を揺らす。

 青空に漂っていた雲が気が付けば消滅していた。

 彼の無意識の気迫、息子の譲れない一線に触れてしまったことを悟空は恥じた。

 真剣な眼差しで見つめてくる息子の頭を優しく撫でる。

 

 「父ちゃんが悪かった。ごめんな悟飯。」

 「…いえ、僕の方こそごめんなさい。」

 

 口の周りが米粒まみれでなければ汚名返上だったのだが、そこは我らが孫悟空である。

 ピッコロはあえて彼の威厳を損ねない為に口出しはしなかった。

 

 「悟空、悟飯、余り奴に気を許すな。」

 

 元魔族として、神の片割れとしてわかる。

 彼女の魂は真っ黒、紛うことなき悪である。

 正直なところ、なぜここまで善人たる悟空達に肩入れしているのかわからないほどだ。

 何も知らないものが気を感じ取った場合、間違いなく警戒されるだろう。

 …ヤードラットの民がそうだったように。

 今この状態、小籠包が味方である事実が奇跡と言っていい。

 

 「でもピッコロさん、小籠包さんは悪い人ではありません。」

 「100人以上殺している極悪人だぞ。」

 「でも、今は反省しているはずです。」

 「…反省だと?奴が?するはずないな。奴の殺しは″正当な殺し″という奴だ。わかるか?そこに反省の余地はない。そんな奴が何を改める事がある。」

 

 悟飯は絶句する。

 それもそうだろう、彼にとって小籠包とは小さい頃から可愛がってくれた母親とはまた違うお姉さんのような存在なのである。

 

 「奴が改心などありえん。自身の安寧の為なら、容赦無く俺たちを殺しにくるぞ。」

 

 彼女は「世界の敵」となり得る芽を「鍛錬」のために利用したのだ。

 本当にこの世の為に彼女が動いていると言うのなら、ピッコロ…いやマジュニアはあの時殺しておくべきだった。

 …結果的に彼の心は善に傾いていったがそれは結果論に過ぎない。

 小籠包という女は基本的には自分本位だ。

 彼女の善行は結果論に過ぎない。

 …という理性論が家族同然と思っている孫親子に通じないことは言うまでもない。

 現に悟飯はこれ以上ない悲しそうな顔で師匠を見上げている。

 流石のピッコロも今回ばかり咳払いをせざるを得なかった。

 

 「そう言う可能性もあると言うことだ。頭の片隅にでも置いておけ。」

 

 流石に今回のは失言だった。

 彼は誤魔化す用に水筒の中身を空にする。

 この最悪の空気感の中、弁当箱をいつの間に風呂敷に詰め終えたのか、少しだけ膨れたお腹を満足そうに叩く悟空が口を開いた。

 

 「悟飯、次は父ちゃんが稽古をつけてやる。今日はスーパーサイヤ人(ちょっとだけ本気)でな。」

 「!…はい、よろしくお願いします!」

 

 父の本気が見られる、その言葉に悟飯は飛び跳ねて支度をする。

 …それが間違いなく悟空からのフォローであることは言うまでもない。

 

 ーーーすまんな悟空。

 ーーー気にすんなって。

 

 悟飯に気取られないよう目線だけでのやり取り。

 悟空とて自分達と彼女の関係が実に危うい関係性であることはわかっているのだ。

 そして、彼女のことになると少しばかり熱の入るピッコロのことも。

 

 呼吸を一つ、そして内に迸るサイヤパワーを破裂させ悟空は一気に伝説の戦士、スーパーサイヤ人へと変化した。

 

 「おし悟飯、(リキ)出せ。お前ェの全部、父ちゃんに見せてみろ。」

 「はい!」

 

 先ほどまでの緩やかなやり取りが嘘の様な激闘がパオズ山で展開された。

 結果はもちろん、悟空の圧勝である。

 …しかし悟空は彼が将来遥かな高みへと到達する才能があることを確信した。

 それはまたピッコロも同じ、それに対してそれぞれがどの様な気持ちで受け止めたかは推して知るべしだ。

 

 孫悟飯、スーパーサイヤ人覚醒まであとわずか。





戦闘力更新
 孫悟空
 基本最大:750万=>1500万
 超1-1:7億5000万
 我らが孫悟空、心臓病という最悪のリスクを取っ払い準備完了。
 人造人間よ、いつでも来い!
 …と言いたいところだが今の悟空さでは間違いなく17号どころか18号にも遅れをとるだろう。
 実は原作と同程度の強さだなんて言えない。

 孫悟飯
 基本最大:750万
 父の背中を確実に追いかける。
 9歳にして既に伝説の戦士への覚醒条件を満たしている。
 彼に必要なのはきっかけだ。
 実は原作の同程度ry
 
 ピッコロ
 基本最大:6000万 => 3億5000万
 打倒小籠包!
 悟飯を鍛える傍ら、自らも究極レベルアップ。
 悟空の超化を引き出すレベルには進化を果たした。
 確実に小籠包を超えた。
 しかしどうしてか、彼女を倒せるビジョンがこれっぽっちもみえやいのは…
 
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